ハイパワー光ディスクドライブ

ハイパワーディスクドライブを提供することを課題とする。
ドライブは、DVDの1X速のスピードで書き込みを行った場合光ディスクの面に少なくとも約25mWのパワーを与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年11月28日に出願され、発明の名称が"HIGH POWER OPTICALDISC DRIVES"であるアメリカ合衆国仮出願No.61/200,449の優先権を享受し、同出願の明細書に開示されている内容は、本願の明細書に含まれるものとする。
【0002】
本発明は、光ディスクに高いパワーエネルギーを供給することができる光ディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0003】
光ディスクドライブは、光ディスクにデータを書いたり読みだしたりするのに用いられる。光ディスクには、現在知られているものとしてCD(compact disc), DVD (digital video disc), Blu-ray のフォーマットのものがある。
【0004】
光ディスクドライブの共通の問題点は、光ディスクに照射されるレーザエネルギーのパワーを低減させることである。このパラダイムは、いくつかの理由で強制的に適用されている。第1に、低いパワーは、生産過程や最終利用者に対し価格の低減をもたらす。第2に、多くの光ディスク媒体は、オルガニックの染料を用いているので、高いレーザエネルギーを用いると劣化(ブリーチ)を招く。低いエネルギーのレーザを用いれば、ディスクに記録された内容の劣化も防ぐことができる。第3に、レーザパワーは、ディスクドライブの大きさや重さに影響を与える。高いパワーのレーザは、低いパワーのレーザよりも大きく重たい。工業生産的には、特にノートブックタイプのコンピュータなどは、小さくて、軽いものを選ぶ傾向にある。
【0005】
ディスクドライブレーザパワーは、レーザ源またはレーザダイオード自身のパワーで占められており、工学系から出力され光ディスクに照射されるレーザのパワーには基づかない。レーザ源のパワーは、工学系を通過する際の内部ロスがあるので、ディスク面でのパワーよりも格段に大きい。レーザビームのスプリットによる分割、工学路における減衰などにより、パワーは落とされている。以下に、光ディスクに用いられるハイパワーレーザやレーザダイオードの例を幾つか示す。
【0006】
アップル社コンピュータPOWER MAC(登録商標) G3, G4は、DVD−RAMドライブに半導体GaAs 52mWのレーザを用いているが、対物レンズからの出力パワーは1.0mW(通常の読み取り用)と、17.68mW(書き込み用最大値)である。同様に、アップル社のCD-ROM,CD-R,CD-RW,CD-DA用のドライブは、半導体GaAsレーザ、ハイブリッド型PINダイオードを備え、定格出力が0.3mWであるが、対物レンズからの出力は0.18mW(通常)、2mW(最大)となっている。この情報は、アップルコンピュータのサポート文献"POWER MACINTOSH G3 AND G4: About the DVD-RAM Drive"(最新版は2008年10月8日)に記載されている。
【0007】
ソニー社の内部雑誌CX-Newsには、250mWの半導体レーザダイオードがCD-R/RWシステムに用いられている例や、100mW半導体レーザダイオードがDVD+R/RWやDVD-R/R(volume31; no data)に用いられている例が開示されている。ディスク面におけるパワーについては記載がなかった。
【0008】
Asthana et al.の文献(IBM J. Res. Dev. 40(5)(1996))には、ヘッドの効率により、ディスク面におけるパワーが8−20mWである場合のレーザのパワーは16−40mWである旨の記載がある。ディスクに至るまでのレーザパワーは、非常に厳格に制御する必要がある。熱の影響についても論じられている。第1のマークを書く際に発生する熱は隣接する第2のマークを書く際に影響を及ぼす。さらに、ディスク上に加えられるハイパワーのパルスはディスクに不要な熱を発生させ、その熱が除かれるためにはある程度の時間が必要である。
【0009】
光ディスに用いられる種々の青色―紫色のレーザが提案されている。サンヨー電機株式会社は2003年(2003年3月23日付けの新聞発表)にハイパワーの青―紫レーザダイオードを発表した。光出力は連続50mWで、パルス状で100mWである。ディスク面におけるパワーについては記載がなかった。
【0010】
青−紫レーザダイオードは、60°Cの環境で、パルス状で動作させた場合、100mWの光出力が1000時間以上安定した状態で動作したことが報告されている(SPIE Proceedings Series: April 18-21, 2004)。ディスク面におけるパワーについては記載がなかった。
【0011】
EP特許公開公報第WO2006/049749号(2006年5月11日に発行)にはレーザパワーはディスクの種類に応じて調整したり制御したりすることができることが記載されている。種々のパワー設定により、ディスク上にマークが形成される。マークの反射率が比較され、ディスクに望みのデータ書き込みが行われる前にレーザパワーは調整される。段落066には、動作領域が40mWのレーザは、10−20%の範囲で、すなわち4−8mWの範囲で制御されることが、記載されている。
【0012】
サンヨーは、雑誌(Tech-on!;2008年10月6日)に、パルス状動作の元で、光出力が450mWの青―紫レーザダイオードについて報告している。この報告書には、レーザは、4層のブルーレイディスクを12倍速の記録に利用可能であることが示されている。
【0013】
アメリカ合衆国特許公報第7,123,641号(2006年10月17日発行)には、活性領域からキャリアーが漏れ出るのを防止し、上部のガイド層からキャリアーがオーバーフローするのを防止するため、多層型の半導体レーザが提案されている。このレーザは、70°Cの環境で、パルス状で動作させた場合、230mWの光出力が5000時間ほど安定した状態で動作することが示されている。この特許公報は、このレーザを光ディスクユニット(同公報の図9に示すもの)に利用することを提案している。光ディスクユニットは、従来のユニットよりも高いパワーで動作することが記載されているが、ディスク面におけるパワーについては記載がなかった。
【0014】
本願の出願人自身により、PULSTEC(登録商標)ODU-1000システム(Pulstec社のCD、DVD,ブルーレイ開発用の分析装置)を用いて行った実験の結果によると、通常のDVD+RWディスクの場合、赤色レーザを用い、基本のDVD書き込みスピード(通常1Xで示される書き込みスピード)でデータをディスクに書き込む場合、7mW以下のパワーが必要であることが分かった。通常の光学的効率を考慮した場合、この書き込みパワーを得るためには、約20mWの出力が得られるレーザダイオードが必要であろう。よりハイパワーなレーザダイオードを用いることにより、書き込みスピードをより速くすることができる。必要なレーザパワーは、書き込みスピードが上がる毎に、線形的に上昇する。したがって、4X書き込みスピード(基本スピードの4倍速)で書き込むためには約27mWのパワーがディスク面で得られる必要があり、約80mW出力のレーザダイオードが必要となる。すべての種類の書き込み可能な光記録媒体に対し、より速い記録速度が提供できるようにすることが、主要なドライバ商品となってきている。
【0015】
もちろん、このようなハイパワーは、データを読み出す場合には必要ない。データ読み取り処理におけるディスク面での必要なパワーは、通常、1mW以下である。このことは、データ書き込み処理とデータ読み取り処理では異なった制御を行う必要があることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本願の出願人が行った実験では、光ディスクを構成する材料を種々に変え、その結果、より耐久性のある材料を用いてデータを記録するため、より高いレーザエネルギーを供給することができる光ディスクドライブに必要な条件を得ることができた。この条件は、書き込みスピードを上げるための条件とは、根本的に異なるものである。現在、知られているディスクドライブにおいて、十分なハイパワーをディスク面に供給することができることを保証したものは見当たらない。したがって、本願は、データ書き込みの際、光ディスクの面に十分なハイパワーを供給することができるディスクドライブシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願は、光ディスクの面にハイパワーを供給することができる光ディスクドライブを提供する。本願の光ディスクドライブにおいては、DVDフォーマットディスクの書き込みスピードが1Xである場合の光ディスクに照射されるレーザエネルギーが少なくとも約25mWである。CD、ブルーレイや他のフォーマットに対する最低必要エネルギーなどについても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下に示す図面は、本願明細書の一部を構成するものであり、本発明の一面を特定するものである。図面を参酌して説明される本発明の詳細な説明に基づき、本発明をより明確に理解することができるであろう。
【0019】
【図1】1つのレーザと1つの光ピックアップと有する光ディスクドライブシステムを示す図である。
【0020】
【図2】2つのレーザと2つの光ピックアップと有する光ディスクドライブシステムを示す図である。
【0021】
【図3】図1または図2に示した光ディスクドライブの様に、光ディスク媒体の書き込み、読み出しに用いられる部分のシステムを示す図である。
【0022】
【図4】従来の光ディスク媒体にデータを書き込む場合と、本発明に基づく実施の形態による光ディスクドライブによりハイパワーで光ディスク媒体に永久的にデータを書き込む場合との比較を、マーク単位に必要なエネルギーで示したテーブルである。
【0023】
【図5】媒体にハイパワーエネルギーを供給することにより光ディスク媒体にデジタルデータを記録する光ディスクドライブの方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
要件が複合的に構成される場合、「〜を有する(comprising)」と表現されるが、限定的にそれらのみに解釈されるものではなく、他のものをも包含するものと解釈する。一方、「〜のみから成る(consist essentially of)」と表現された場合は、基本的に示された要件だけに限定解釈されるものとする。
【0025】
材料について
【0026】
以下に説明する光情報媒体は、種々の形や大きさを有するものである。通常においては、媒体は、平坦で丸い形のものである。現在、想定されているものとして、約8cmの直径のもの、約12cmの直径のもの(通常のCDまたはDVD)、約13cmの直径のもの、約13cmの直径のもの、約20cmの直径のもの、約10インチ(約25.4cm)の直径のもの、約26cmの直径のもの、約12インチ(約30.48cm)の直径のものがある。
【0027】
以下に説明する光情報媒体は、少なくとも1つの支持基盤を有する。支持基盤は、光情報記録に用いられるものとコンパチブルなどのような材料であってもよい。好ましい工学的、機械的特性を有するポリマーまたはセラミック材料が好ましい。支持基盤は、ポリカーボネイト、ポリスチレン、酸化アルミニューム、ポリジメチル・シロキサン、ポリメタクリル酸メチル、酸化シリコン、ガラス、アルミニューム、ステンレス鋼、またはこれらの混合物がある。もし、基盤の透明性が要求されないのであれば、金属基盤が用いられてもよい。他に、透明なプラスチックやポリマーが用いられてもよい。支持基盤は、十分な硬さと剛度を有するものを選ぶ。硬さや剛度は、通常、単位面積当たりの圧力で測定するヤング率あらわされ、好ましくは約0.5GPaから約70GPaである。剛度の具体的な値としては、約0.5GPa、約1GPa、約5GPa、約10GPa、約20GPa、約30GPa、約40GPa、約50GPa、約60GPa、約70GPa、またはこれらいずれか2つの値の間の値がある。
【0028】
基盤の材料は、経年的に劣化しない材料であることが好ましい。現在、ポリカーボネイト、ガラス、酸化シリコン(石英ガラス)などが好ましい材料である。
【0029】
支持基盤の厚さは適宜決めてもよい。基盤の厚さはドライブの容量に関連して選ぶことができる。CDドライブには、1.2mm厚のもの、DVDドライブには、0.6mm厚のもの、BDドライブには、0.1mm厚のものが適している。厚みは、回転質量を適切な限度に保つためと、基盤の平坦さと硬さを確保して、書き込み、読み取り処理中にデータ層に焦点が合うようにするために、生産過程において適切な値に選ばれてきた。
【0030】
データ層は、カーボン、アモルファス・カーボン、ダイヤモンド状のカーボン、シリコン・カーバイド、ボロン・カーバイド、窒化ホウ素、シリコン、アモルファス・シリコン、ゲルマニウム、アモルファス・ゲルマニウム、またはこれらの混合物で形成される。光学的特性に影響を与えるためにはかなりの量の活性エネルギーを必要とするアモルファス・カーボンが適切な材料である。この特徴は、温度や化学的に劣化するような環境にしばらく置かれていても、アモルファス・カーボンは影響をほとんど受けない。アモルファス・カーボンはまた、優れた化学的な抵抗力を有する、ハイグレードなグラファイチック(SP)型のカーボンである。データ層に利用可能な材料として、金属、金属合金、酸化金属、ガラス、セラミックなどがある。
【0031】
データ層における金属は、主として少なくとも1つの金属または合金から成る。金属は、2つまたはそれ以上の金属または合金の混合物であってもよい。金属または合金の例として、テルル、テルル合金、セレン、セレン合金、ヒ素、ヒ素合金、スズ、スズ合金、ビスマス、ビスマス合金、アンチモニ―、アンチモニ―合金、鉛、鉛合金などがある。テルル合金の例として、TeXSe100−X、TeXSe100−X(Xは95以下である)、Te86Se14, Te79Se21, TeXSb100−X, TeXSb100−X(Xは95以下である)、TeXSeYSbZ、TeXSeYSbZ(X+Y+Z=100)、TeXSeYSbZ(X+Y+Z=100、Yは10〜30、Zは5〜20)、Te75Se20Sb5、Te72.5Se20Sb7.5、TeXSeYInZ、TeXSeYInZ(X+Y+Z=100)、TeXSeYInZ(X+Y+Z=100、Yは10〜30、Zは5〜20), Te75Se20In5、Te725Se20In7.5、TeXSeYPbZ、TeXSeYPbZ(X+Y+Z=100)、TeXSeYPbZ(X+Y+Z=100、Yは10〜30、Zは5〜20)、Te75Se20Pb5、Te72.5Se20Pb7.5、TeXSeYSnZ、TeXSeYSnZ(X+Y+Z=100)、TeXSeYSnZ(X+Y+Z=100、Yは10〜30、Zは5〜20)、Te75Se20Sn5、Te72.5Se20Sn7.5、TeXSeYBiZ、TeXSeYBiZ(X+Y+Z=100)、TeXSeYBiZ(X+Y+Z=100、Yは10〜30、Zは5〜20)、Te75Se20Bi5、Te72.5Se20Bi7.5、TeGeAs、TeGeSbS, TeOXSn, Pb-Te-Se、Tb-Te−Sb、As-Te、Ge-Teなどがある。他の合金の例として、As-Se、Ge-Se、GeS、SnS、Sb-S、BiXSb100−x、BiXSb100−x(Xは95以下である)などがある。更に他の合金の例として、GeS、AsS、SnS、SbS、Sb20S80、GeSe、AsSe、SnSe、SbSe、BiSe、GeTe、Ge10Te90、AsTe、SnTe、SbTe、PbTe、BiTe、As10Te90、As32Te68、InTe、InS、CdTe、InSe、などがある。更に、金属、または合金として、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ステンレス鋼、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジューム(Pd)、もネル(ニッケル、銅、鉄の合金で海洋品に用いられる)、シリコン(Si)、AuSi、CuNi、NiCrなどがある。
【0032】
データ層の材料としては、シリコン、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タンタル、オスミウム、イリジウム、プラチナまたはこれらの合金がある。これらのエレメントや、同エレメントの同族を特定する特性範囲に含まれるものは、本発明の実施の形態で利用されるデータ層を形成する材料として適している。データ層の材料は、単一のエレメントからなってもよいし、混合物や合金として、複数のエレメントの組み合わせであってもよい。
【0033】
ここで説明する材料やエレメントの属の利点は、媒体に追加の層を加えて緩和しなければならない否定的効果が見られないことである。別の言葉で言えば、従来の光媒体に必要とされていた1つまたはそれ以上の層を削除することができることである。たとえば、データ層に用いられる材料は、腐食に対し抵抗性を有するので、保護層を省くことができる。ここで説明する材料は、十分な光学的コントラストを有するので、反射層を省くこともできる。ここで説明する材料で形成されるデータ層は、よい吸収性、放出性を有するので、別の吸収のための層や、放出性のための層を省くことも可能である。その結果、本発明の実施の形態に示す例では、非常に単純な多層構造を有する光情報媒体とすることができる。
【0034】
データ層の厚さはどのような厚さでもよい。データ層の厚みにより光学的吸収特性を得ることができる。厚みの薄いほうの限界、すなわち下限は約10nmから約20nmである。厚いほうの限界すなわち上限は、データ層に与えられるエネルギーによって決定され、選ばれた材料によっても決定される。一例として、上限は、約100nmである。厚みの例としては、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、またはこれらいずれか2つの値の中間値である。厚みの値は、論理的にλ/2nの式で計算することができる。ここで、λは読み取り時の波長であり、nは層の屈折係数である。
【0035】
データ層の厚さはどのような厚さでもよい。一例として、厚さの下限は、約2nmである。一例として、厚さの上限は、約250nmである。実例としての厚さは、約2nm、約4nm、約6nm、約8nm、約10nm、約12nm、約14nm、約16nm、約18nm、約20nm、約22nm、約24nm、約25nm、約26nm、約28nm、約30nm、約32nm、約34nm、約35nm、約36nm、約38nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、約120nm、約130nm、約140nm、約150nm、約160nm、約170nm、約180nm、約190nm、約200nm、約210nm、約220nm、約230nm、約240nm、約250nmまたはこれらいずれか2つの値の中間値である。
【0036】
本発明の実施の形態は、光ディスクの面にハイパワーを供給することができる光ディスクドライブである。従来のディスクドライブを用いても効率よく書くことができなかった材料を用いたディスクに対してもハイパワーで書くことが可能となる。これらの材料は、従来のディスクの材料よりも耐久性に優れており、長期間アーカイブなデータストーレッジの開発を可能とする。ハイパワーを用いることはまた、光ディスクのパーフォマンスを最適化する新たな書き込みストラテジーの開発を可能とする。更に、新しい材料を用いた新たな書き込みストラテジーにおいて、ハイパワーにより、高速データ書き込みまたは高速データ転送レートを可能とする。しかし、ハイパワーは、十分に高いベースパワーからスタートし、1ワットかそれ以上の高い範囲のレーザパワーの要求にも応じることができるものである。場合によっては、ベースレーザパワーとして2ワットまたはそれ以上のものを用いることも可能である。
【0037】
本発明の実施の形態に係る光ディスクドライブは、非解析道具(non-analytical instruments)に特化したものである。ハイパワー光ディスクドライブは、読み取りおよび/または書き込み用の光ディスクドライブであり、書き込みストラテジーを見つけるための、解析実験装置(PULSTEC(登録商標)ODU-1000)のような最適化装置を含むものではない。本発明の実施の形態にかかるハイパワーディスクドライブは、オシロスコープや最適化のソフトウエアを含むものではない。本発明にかかるハイパワーディスクドライブは、種々のエラー測定を行うための装置は全くまたはほとんど含んでいないものである。
【0038】
実施の形態の一例では、ハイパワードライブは、パイオニア製の光ディスク読み書き装置の様なものでもよく、書き込みレーザの最大パワーが約60mWから約250mWまたはそれ以上のパワーを有するものとする。他のメーカーの光ディスクドライブのモデルであってよく、大きな容量のレーザパワーを備えれば、本発明のハイパワー光ディスクドライブとすることができる。高い容量のレーザを備えた光ディスクドライブは、ハイパワー光ディスクドライブを構成することができる。すなわち、ドライブにおいて、ここで紹介した範囲のパワーをディスク面に供給することができるものとなれば、かかるドライブは、本発明の実施の形態の基づくハイパワードライブであるものと考えることができる。そのようなドライブにするためには、機械的構造の変形を伴う。他の変形は、より効率の良い光学系を与えたり、機械的構造の回路を交換することによりなされる。
【0039】
図1に示すように、ハイパワー光ディスクドライブ5は、ハウジング10、少なくとも1つのレーザエネルギー源15、少なくとも1つの対物レンズ20、少なくとも1つのデータエンコーダ25、少なくとも1つのディスク回転機構30を有する。レーザエネルギー源15、対物レンズ20、ディスク回転機構30は、全てハウジング10内に収められている。レーザエネルギー源15は、レーザエネルギーを発生し、対物レンズ20と協動してレーザエネルギーをディスク回転機構30の上に保持された光ディスク23の面にレーザエネルギーを供給する。光ディスクドライブ5は、光ディスク23の面に到達するレーザエネルギーのパワーは、DVDの1X書き込みスピードの場合、少なくとも約18mW、少なくとも約19mW、少なくとも約20mW、少なくとも約21mW、少なくとも約22mW、少なくとも約23mW、少なくとも約24mW、のいずれかであるように構成される。別の実施形態においては、ハイパワー光ディスクドライブ5は、光ディスク23の面に到達するレーザエネルギーのパワーは、DVDの1X書き込みスピードの場合、少なくとも約25mWであるように構成される。より高速で書き込む場合、より高いパワーが必要となる。ハイパワー光ディスクドライブ5は、制御回路、読み書き回路、インターフェスを有する。ハイパワー光ディスクドライブ5は、また、光ピックアップユニット(OPU)35を有し、そこにはレーザ15、工学系部材、トラッキング用モータ、スライド機構が含まれている。光学の対物レンズ機構は、OPUのサブセットを構成し、ハイパワー光ディスクドライブ5の光学系部材、増幅回路、ダイオードなどが含まれている。このようなシステムの種々の構成はすでに公知であり、ここでの詳細な説明は省略する。たとえば、光学系には複数のコリメータレンズや、1/4波長プレートや、ミラーが図示されている。
【0040】
ハウジング10は、どのようなものであってもよく、ディスクドライブの種々の部品を格納することができるものであればよい。ハウジング10は、種々の材料、たとえばプラスチックや、金属で形成される。ハウジングは、コンピュータ40の外側に設けるようにしてもよい。ハイパワー光ディスクドライブ5は、図1に示すように、コンピュータ40に、ケーブルまたは無線で接続される。更に、ハウジング10は、コンピュータ内部の、ベイまたはディスクドライブスロットに設けるようにしてもよい。
【0041】
レーザ15は、レーザ、レーザダイオード、ダイオードが組み込まれたソリッドステートレーザであってもよい。レーザ15は、種々の波長のレーザエネルギーを発生することができる。波長は、用いられる光ディスクの種類や、光ディスク23に含まれる材料に応じて選定することができる。たとえば、波長は、約405nm(ブルーレイ媒体の場合)、約650nm(DVD媒体の場合)、約780nm(CD媒体の場合)である。より高いデータ密度を得るためには、より短い波長を用いることが好ましい。したがって、将来の光ディスク技術においては、約200nmから約350nmの紫外光線の波長のものが用いられるだろう。
【0042】
データの書き込みが素早く行われるためは、レーザ15からの光エネルギーを非常に高いレートで変調することが好ましい。高速電気的スイッチが可能なレーザダイオード光源が用いられる利点の1つがここにある。IR帯を用いる衛星通信では、レーザダイオードを用いてギガヘルツオーダーのスイッチングが行われている。このような高速スイッチングは、高い品質の光ディスクドライブにおいても強く要望されるものである。レーザ光を変調させる他の方法として、音響―光または電気―光変調方法があり、この場合は種々のクリスタルが電場において用いられて、ハイスピードの変調がなされる。電場によりクリスタルの光学的特性が変更され、レーザ光の変調がなされる。これらの方法は、レーザダイオードによる電気的変調ほど簡単ではなく、商用的の光ディスクドライブにはまだ用いられていない。しかし、幾つかのCDやDVDディスクのマスターを作るときに利用されている。
【0043】
対物レンズ20は、レーザエネルギー源からのレーザエネルギーを光ディスク23に集光する。対物レンズ20は、透明な材料で形成することができ、たとえば、精密な鋳型で作ることも可能である。多くの対物レンズはプラスチックを鋳型形成して作り出され、費用的にも低価格である。これとは別に、ガラスや水晶を用いてもよい。将来の光ディスクシステムは紫外線の領域における波長に小さくなることが予測されるので、その場合は、紫外線を吸収するプラスチックやガラスは好ましくなくなる。
【0044】
データエンコーダ25はコンピュータ40または他のデータソースからデータを受け、データを光ディスクにレーザエネルギーで書き込み可能なマークのパターンに変換する。このデータエンコーダ25は、光ディスクドライブを制御する特別な集積回路で形成される。
【0045】
ディスク回転機構30は、ディスクドライブ5に収められる光ディスク23を保持し回転させるためのものである。ディスク回転機構30は、ディスクを一定速度または可変速度で回転させることができる。ディスクドライブのスピードは、一般的にX速度の倍数で表される。ここで、Xは、所定のデータ伝送速度(DVDの場合、1.35MB/秒)を表す。書き込みスピードは通常Xの正の倍数(ゼロは含まず)で示される。たとえば、1X、2.4X、4X、8X、12Xなどがある。倍数値は、データレートをしめし、1Xであれば、DVDの場合1.35MB/秒の1倍であり、ブルーレイの場合約4.5MB/秒の1倍である。スピードが2Xになると、1Xの2倍の速さのデータレートになる。光ディスクドライブは通常、一定線速度(CLV)で動作し、読み書きヘッドは、単位時間当たり、トラック上を一定距離スキャンされる。この場合、ディスクの単位時間当たりの回転速度は変化し、ディスクの内側の場合と比べ、ディスクの外周を読み書きする場合はゆっくりと回転する。これはディスク上にあるトラックの半径が異なるからである。DVDスピードの例として、1X(1.35MB/秒)、2X(2.70MB/秒)、4X(5.40MB/秒)、6X(8.10MB/秒)、8X(10.80MB/秒)、12X(16.20MB/秒)、16X(21.60MB/秒)、18X(24.30MB/秒)、20X(27.00MB/秒)がある。ブルーレイのスピードの例として、1X(4.5MB/秒)、2X(9.0MB/秒)、4X(18.0MB/秒)、6X(27.0MB/秒)、8X(36.0MB/秒)、12X(54.0MB/秒)がある。
【0046】
光ディスク23の面に到達するレーザエネルギーのパワーは、DVDに1Xの速度で書き込みをお子舞う場合、少なくとも約18mWから約25mWである。パワーの測定は、光検出器45、たとえば、選定されたレーザ波長とパワーレベルを有するレーザ光の信号の反射光を読むのに適したフォトダイオードを用いて行う。この反射したレーザ光は、方向が逸らされて光検出器45で検出される。光検出器45は、レーザ検出器、たとえばカリフォルニア州アーバイン市にあるNewport Corp. 社の818−SLモデルでもよい。測定されたパワーは、OPUの出力を受ける位置にあるディスク面上におけるパワーを表している。デコーダ48は、光検出器45に接続され、光ディスク23から読み出したデータをデコードする。
【0047】
DVDの1X速の場合、ディスク面におけるパワーレベルの例は、次のとおりである。約18mW、約19mW、約20mW、約25mW、約30mW、約35mW、約40mW、約45mW、約50mW、約60mW、約65mW、約70mW、約80mW、約90mW、約100mW、約110mW、約120mW、約130mW、約140mW、約150mW、約160mW、約170mW、約180mW、約190mW、約200mW、約210mW、約220mW、約230mW、約240mW、約250mW、またはこれらいずれか2つの値の中間値である。通常、より広い種類の材料の利用を可能にするため、および/またはより速い書き込み速度を可能にするため、より高いパワーレベルが用いられるが、光ディスク23の熱破壊が生じるまでのパワーであればよい。光ディスク23に用いられる材料、ディスクドライブ内の通気または冷却手段、光ディスク23の回転数等により、熱破壊が生じるパワーは異なる。
【0048】
図2は、ハイパワー光ディスクドライブ50の別の実施の形態を示す。ある実施の形態においては、光ディスク23に同時に複数個所にデータ書き込みを行うことができるハイパワー光ディスクドライブ50を提供するのが好ましい。これは、ハイパワー光ディスクドライブ50に2つまたはそれ以上の光ピックアップ35(書き込みヘッドともいう。)が含まれていれば達成することができる。光ディスク23の複数個所にデータ書き込みを行うことができる機能を備えれば、ハイパワー光ディスクドライブ50の有効なデータ伝送速度を上げることができる。光ディスクドライブ内に設けることができる光ピックアップ35(書き込みヘッド)の数は、2,3,4,5,6、またはそれ以上である。通常、各書き込みヘッド35は、レーザエネルギー源15を含むが、ハイパワー光ディスクドライブ50は、レーザエネルギー源15を1つだけ備え、そこからのレーザを複数に分割させて複数の書き込みヘッド35で利用することも可能である。現在では、各書き込みヘッドがそれ自身のレーザエネルギー源を保有するのが実用的である。少なくとも1つの光ピックアップ35は、光ディスク23の面に最初に達した点でのレーザパワーが、上述したmWパワーの最低値を有するように構成されている。通常、全ての光ピックアップ35は、光ディスク23の面に最初に達した点でのレーザパワーが、上述したmWパワーの最低値を有するように構成されている。
【0049】
複数の光ピックアップ35を備えた実施の形態においては、光ピックアップはすべて同じであっても良いし、異なっていてもよい。特定の光ピックアップ35は、データ書き込み、データ読み取り、またはその両方を行うように構成することができる。たとえば、ハイパワー光ディスクドライブ50は、2つの光ピックアップ35を含み、一方はデータ書き込み用、他方はデータ読み取り用に用いることも可能である。光ピックアップ35は、データ読み取り用専用であれば、データ書き込み用専用のものと比べ、低いパワーレベルのものであってもよい。変形例として、読み取り時には低いパワーレベルで動作するように構成することも可能である。
【0050】
図3は、光ディスクドライブ5/50と、コンピュータ40と、スクリーン60、キーボード65、マウス70を含むユーザインターフェス部材とを有するシステム55を示す。システム55は、複数の光ディスク23,75,80を含み、それらは種々のディスクタイプやデータ材料を含む従来のディスク75,80である。ドライブ5/50は、どのようなデータ層の材料で、どのようなディスクタイプであっても読むことができるものである。また、ドライブ5/50は、より永久的,不変的なマークをハイパワー書き込みで達成される材料で形成したディスク23に書き込みができるハイパワードライブである。この場合、ディスク23に書き込まれるマークにより多くのエネルギーがつぎ込まれる。ディスク23のデータ層材料に与えられるエネルギーは、本発明の実施の形態に基づき、材料の物理的除去を成し遂げ、永久的,不変的なマークを生成する。
【0051】
図4は、従来の光ディスクおよびハイパワーディスクドライブ5/50で書かれるディスクにマークを形成するための、書き込みスピード、パワー、パルス長、マークサイズ、データ層に加えられるエネルギーを現した表である。図4のテーブルは、種々の従来ディスクの場合における値と、本発明の実施の形態に基づくハイパワー書き込みディスク(HPW Discという)の場合における値の比較を示す。知られているように、マークサイズは、3T, 4T, 5T, 6T, 7T, 8T, 9T, 10T, 11T, 14Tの様に小さい方から順番に示されている。長いマークを作るためにはデータ層の材料をよりたくさん変化させる必要があるので、マーク長が長くなればより多くのエネルギーが必要となる。本発明の実施の形態により、HPW Disc(図3のディスク23に対応)における各サイズのマークは、従来のディスクにマークを作るよりもより多くのエネルギーを与える必要がある。図4のテーブルにおいて、Enは光ディスク(HPW Disc と従来のディスク)のそれぞれのデータ層に種々のサイズのマークを作るために与えられるエネルギーを現し、「n」は「T」の係数を現す。本発明の実施の形態によるハイパワー書き込みディスクにデータを書き込むためのエネルギーは、平均的に、従来ディスクにデータを書き込むためのエネルギー以上のエネルギーが用いられた。たとえば、ハイパワー書き込みディスクに適切に書き込みを行うためにディスクに与えられたエネルギーは、種々の従来の光ディスクに与えられるエネルギーの平均値と比べても約1.9倍から約2.6倍の値のエネルギーである。実際、従来のディスクに、本発明の実施の形態によるハイパワードライブを用いた場合に使われるハイパワーで書き込めば、従来のディスクは破壊されるであろう。
【0052】
従来の光ディスクの多く用いられる染料データ層の材料や、相変化データ層の材料に対し与えられるマーク形成のためのエネルギーは、同じサイズのマークを形成するためには、ある場合においては、1.2倍であった。また、別の場合においては、染料データ層の材料や、相変化データ層の材料に対し与えられるマーク形成のためのレーザエネルギーは、同じサイズのマークを形成するためには、1.5倍であった。更に別の場合においては、染料データ層の材料や、相変化データ層の材料に対し与えられるマーク形成のためのレーザエネルギーは、同じサイズのマークを形成するためには、1.9倍であった。これらの場合のエネルギーレベルは、書き込みスピードやマーズサイズが変わっても同様にいうことができる。
【0053】
準備の方法
【0054】
次の実施の形態においては、光ディスクドライブを準備する方法について説明する。光ディスクドライブの種々の構成品は上述したものを用いてもよい。
【0055】
1つの実施の形態においては、上記方法は、ハウジング、少なくとも1つのレーザエネルギー源、少なくとも1つの対物レンズ、少なくとも1つのデータエンコーダ、少なくとも1つの光ディスク回転装置を提供するステップ、ハウジング内にレーザエネルギー源を配置するステップ、ハウジング内に対物レンズを配置するステップ、ハウジング内にデータエンコーダを配置するステップ、ハウジング内に光ディスク回転装置を配置するステップを有し、レーザエネルギー源と対物レンズが動作するように接続されてディスクドライブを組立て、1X速の書き込みスピードの場合、レーザエネルギー源から生成されるレーザエネルギーが、光ディスクの面において少なくとも60mWのパワーであることを特徴とする方法である。この方法は、更に、ハウジング内に少なくとも1つの光ピックアップを配置するステップを有する。また更に、少なくとも1つの光ディスクを供給するステップ、光ディスクが光ディスク回転装置に保持され、回転されるように光ディスクをディスクドライブに置くステップを有する。レーザエネルギー源は、約405nm、約650nm、約780nmの波長を有するレーザエネルギーを生成することができる。ある実施の形態においては、方法は更に、ハウジング内に2つまたはそれ以上のレーザエネルギー源を配置するステップを有する。
【0056】
利用の方法
【0057】
次の実施の形態においては、光ディスクにデータを書き込むため、光ディスクドライブを利用する方法について説明する。光ディスクドライブの種々の構成品は上述したものを用いてもよい。
【0058】
光ディスクを利用する方法は、光ディスクドライブを供給するステップ、光ディスクを供給するステップ、光ディスクを光ディスクドライブに置くステップ、光ディスクドライブにデータを送るステップ、パターン化されたマークの形式で光ディスクにデータを記録するステップを有し、上記光ディスクドライブは、ハウジング、少なくとも1つのレーザエネルギー源、少なくとも1つの対物レンズ、少なくとも1つのデータエンコーダ、少なくとも1つの光ディスク回転装置を有し、レーザエネルギー源と対物レンズは、動作するように接続され、対物レンズを介してレーザエネルギーをレーザエネルギー源から光ディスクに当て、データエンコーダによりデータをパターン化されたマークに変換し、それをレーザエネルギーを用いて光ディスクに書き込み、どの書き込みスピードに対しても、レーザエネルギー源から生成され、光ディスクの面に加わるレーザエネルギーが少なくとも約20mW、少なくとも約30mW、少なくとも約40mW、少なくとも約50mW、少なくとも約60mW、少なくとも約65mW、または少なくとも約80mWであることを特徴とする方法である。1つの実施の形態においては、DVDの1X速での書き込みスピードの場合、光ディスクの面におけるレーザエネルギーは、約60mWである。レーザエネルギー源は、レーザ、ダイオード埋め込み型の個体レーザ、またはレーザダイオードである。レーザエネルギー源からは、波長が約405nm、約650nm、または約780nmのレーザエネルギーが生成される。ある実施の形態においては、光ディスクドライブは、2つまたはそれ以上のレーザエネルギー源を含むことも可能である。複数のレーザエネルギー源や複数の光ピックアップを備えれば、光ディスクドライブの有効なデータ伝送レートを上げることができる。
【0059】
図5のブロック図のブロック85に示すように、ハイパワーの光ディスクドライブと、ハイパワーの光ディスクドライブによるデータ書き込みを受け付ける光ディスクとを用いる方法は、光ディスクに永久的にデータを記録する方法を含むものである。この方法により、ブロック90,91,92に示すように、異なった書き込みスピードに対し、異なった動作パワーを選んで、光ディスクにパワーとエネルギーを与え、デジタルデータマークを形成することができる。図4のテーブルより明らかなように、高い書き込みスピードは、高い書き込みパワーを必要とする。ブロック93,94,95に示すように、データを書き込むべき特定のメディアのフォーマットに対し、異なった波長のレーザが選択可能に準備されている。永久マークの形式でデータを受ける光ディスクのデータ層は、数ある永久的変形材料のどれを用いてもよく、またどのような厚みのものであってもよい。その例がここにリストされている。これらのデータ層の厚みは、ここでリストされた厚みのいずれであってもよい。図5の例によれば、ブロック96,97,98に示すように、光ディスクに含まれるデータ層の厚みは約10nm、約20nm、約40nmである。これ以外に、ここでリストした値よりも小さなもの、または大きなものを用いる方法であってもよい。
【0060】
ある実施の形態においては、光ディスクは、光ディスクのデータ層に少なくとも1つの金属、または1つの合金を含む。これらの実施の形態において、方法は、1つまたはそれ以上の金属または合金を含むこれらのデータ層に、不滅のデータマークを形成することにより、永久に消えないデジタルデータを記録するステップを含む。ある実施の形態においては、光ディスクは、光ディスクのデータ層にクロミウムを含む。この実施の形態においては、方法は、クロミウムを含むデータ層に不滅のデータマークを形成することにより、永久に消えないデジタルデータを記録するステップを含む。
【0061】
この方法は、染料データ層の材料または相変化データ層の材料に対し与えられるマーク形成のためのエネルギーよりも、少なくとも1.2倍大きいエネルギーを与えて同じ大きさのマークを形成するステップを含んでもよい。代替のステップとして、永久的なマークを作るため、この方法は、染料データ層の材料または相変化データ層の材料に対し与えられるマーク形成のためのエネルギーよりも、少なくとも1.5倍大きいエネルギーを与えて同じ大きさのマークを形成するステップを含んでもよい。更に別の代替のステップとして、永久的なマークを光ディスクに作るため、この方法は、染料データ層の材料または相変化データ層の材料に対し与えられるマーク形成のためのエネルギーよりも、少なくとも1.9倍大きいエネルギーを与えて同じ大きさのマークを形成するステップを含んでもよい。
【0062】
ある実施の形態においては、この方法は、DVDの1X速で書き込みを行う場合、光ディスクの面に1つのマーク当たり少なくとも20mWのパワー与えてもよい。別の実施の形態においては、この方法は、DVDの4X速で書き込みを行う場合、光ディスクの面に1つのマーク当たり少なくとも30mWのパワー与えてもよい。更に別の実施の形態においては、この方法は、DVDの8X速で書き込みを行う場合、光ディスクの面に1つのマーク当たり少なくとも65Wのパワー与えてもよい。
【0063】
図4のテーブルは、種々のマークを最適の状態で書くための必要なエネルギー条件を示している。図示されているように、永久的,不変的な書き込みが可能なHPW Discと表示されたハイパワー書き込み光媒体に書き込むためのパワーは、従来の光ディスクにマークを形成するためのエネルギーの値の約2倍のエネルギーとなっている。最適でない条件のもとでは、より多いまたはより少ないエネルギーをマーク毎に与えることにより最適なマークを形成することができる。しかし、図示されたエネルギーの範囲外で控えめな見積もりに基づくものは、本発明の実施の形態を行えば、他とは全く別のエネルギーの付与や吸収を得ることができる。例えば、本発明の方法によると、レーザエネルギー源からのレーザエネルギーは、3Tマークに対し300ピコジュールまたはそれ以上のパワーを与えるようになっている。これは、従来の光ディスクの3Tマークに対するエネルギーが300ピコジュールよりはるかに小さい(図4参照)ことを考えると、と対比的な値である。他のサイズのマークや他のスピードについても同様な対比的な値である。
【0064】
本発明の実施の形態に基づいて不変的なマークを形成するためには、簡単には変更されたり破壊されたりしないマークを形成するステップを含む。ここで言う不変的なとは、本発明の実施の形態に基づくレーザパワーにより、物理的に材料の変質または除去を行い、データ材料に形成されたマークが、永久的なものであることを言う。データ材料の除去の一例として、データ層の非マーク部分と比べ凹んだ物理的なピットの形成がある。これらの不変的なマークは、消去可能、またはリライタブルなマークと物理的に異なっている。染料の色を変えて形成されるマークや、結晶状態と非結晶状態の間で相変化させて形成されるマークは、永久的、不変的なマークではない。
【0065】
以下の例は、本発明の好ましい実施の形態の実施例を示すものである。当業者には、発明者によって発明された技術を含む実施例が良好に機能することは明らかである。したがって、実施例は、実施の好ましい形態を提供していることが理解できるであろう。しかし、当業者にはこの明細書の開示に基づき、本発明の範囲に含まれる種々の変形例が可能であることは理解できる。
実施例
【0066】
予測される実施例1: ハイパワーディスクドライブの準備
【0067】
商品化されている東芝アメリカ社(ニューヨーク)のDVDディスクドライブを入手する。制御電子部分、読み/書き電子部分を適宜改良する。ドライブハウジングには、特注の光ピックアップと、光学系(ハイパワー用にデザインされたもの)と、トラッキングおよびオートフォーカス位置決め機構を組み込む。特注のピックアップには、パルステック工業株式会社(Pulstec Industrial Co., Ltd)(日本、浜松市)製の読み取りレーザおよびハイパワー書き込みレーザを内装する。上記の構成部品を制御するため、プログラマブル装置とハードウェアとを備える。これらのステップにより光ディスクの面にハイパワーレーザエネルギーを供給することができる動作可能な光ディスクドライブを構成する。
【0068】
実施例2:ハイパワーディスクドライブを用いクロムデータ層への書き込み
【0069】
商品化されているポリカーボネイト基盤で、既に従来のウォブルグルーブが形成されたものに、厚みが約10nmから約40nmのクロム層をスパッタリングで形成し、非接着状態の光ディスクを作る。DVDの1X速のスピードで、PULSTEC(登録商標) ODU-1000を用いて種々の大きさの不変的なマークをクロム層に形成し、デジタルデータを書き込む。マークは、ディスク面におけるパワーが約90mWから約100mWであるパルス状のパワーを与えることにより形成される。ディスクがODU-1000によりトラッキングされ、読み取られることにより、上記パワーおよび上記データ材料でもって、光ディスク媒体に永久的に読み取り可能なデータを形成することが可能であることが示された。
【0070】
実施例3:ハイパワーディスクドライブを用い接着状態の光ディスクのクロムデータ層への書き込み
【0071】
商品化されているポリカーボネイト基盤を入手する。従来のウォブルグルーブが形成されたベース基盤にクロムをスパッタリングして厚みが約20nmのデータ層を形成する。データ層およびベース基盤の上にダミー基盤を乗せて接着し、接着光ディスクを形成する。DVDの1X速のスピードで、PULSTEC(登録商標) ODU-1000を用い、約31mWのパルス状のレーザパワーを与えて種々の大きさの不変的なマークをクロム層に形成し、デジタルデータを書き込む。ディスクがトラッキングされ、読み取られる。ここでの変調率は約70%から約75%の間であり、バケットジッターは約4.3nsである。ODU-1000を用いて同様の光ディスクに対し、DVDの4X速のスピードでディスク面におけるパルス状のパワーが65mWである条件で書き込みが行われた。ここでも光ディスクのクロムデータ層は、変調率が約70%から約75%の間であり、バケットジッターが約4.3ns状態でなされた。上記パワーおよび上記データ材料でもって、研究用の分析装置ではなく、ハイパワードライブや他のドライブを用い、光ディスク媒体に永久的に読み取り可能なデータを形成することが可能であることが示された。
【0072】
ここで記載したすべての組成物、方法、処理、装置および請求の範囲で請求した内容は、不適当な実験を伴うことなく、すぐに実施することができる。ここで引用された特許や参考文献の記載の内容は、この明細書で記載した内容に矛盾するものでなければ、この明細書の内容を構成するものとする。好ましい実施の形態を用いて組成物や方法を説明したが、発明の概念および範囲に含まれる変形例であって、当業者に考えられる種々の組成物、方法、装置、処理、および方法に中のステップ、ステップの順番は、ここに含まれるものとする。更に、化学的および物理的に関連したあるエージェントは、同じまたは同様な結果が得られれば、ここで説明したエージェントと代替可能である。そのようなすべての代替物や変形例で当業者に明らかなものは、この発明の概念および範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
上記ハウジング内に配置され、レーザエネルギーを発生する少なくとも1つのレーザエネルギー源と、
上記ハウジング内に配置され、上記レーザエネルギーと動作可能に接続された少なくとも1つの対物レンズと、
上記ハウジング内に配置され、データを、レーザエネルギーで光ディスクに書かれるべきマークのパターンに変換する少なくとも1つのデータエンコーダと、
上記ハウジング内に配置され、少なくとも1つの光ディスク回転機構と
を有し、
DVDの1X速のスピードまたはそれ以上のスピード(1.35MB/秒)で書き込みが行われる場合、光ディスクの面におけるレーザエネルギーが少なくとも約24mWである光ディスクドライブ。
【請求項2】
上記レーザエネルギー源は、レーザ、ダイオードが組み込まれたソリッドステートレーザまたは、レーザダイオードである請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項3】
上記レーザエネルギー源は、波長が約405nm、約650nmまたは約780nmであるレーザエネルギーを生成する請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項4】
DVDの1X速のスピード(1.35MB/秒)で書き込みを行った場合の光ディスク面におけるレーザエネルギーが少なくとも50mWである請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項5】
DVDの1X速のスピード(1.35MB/秒)で書き込みを行った場合の光ディスク面におけるレーザエネルギーが少なくとも100mWである請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項6】
DVDの1X速のスピード(1.35MB/秒)で書き込みを行った場合の光ディスク面におけるレーザエネルギーが少なくとも200mWである請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項7】
マークに与えられるレーザエネルギーは、染料データ層の材料または相変化データ層の材料で構成された記録層に対し、同じサイズのマークに与えられるエネルギーの1.2倍である請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項8】
マークに与えられるレーザエネルギーは、染料データ層の材料または相変化データ層の材料で構成された記録層に対し、同じサイズのマークに与えられるエネルギーの1.5倍である請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項9】
マークに与えられるレーザエネルギーは、染料データ層の材料または相変化データ層の材料で構成された記録層に対し、同じサイズのマークに与えられるエネルギーの1.9倍である請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項10】
上記レーザエネルギー源は2つまたはそれ以上備え、上記対物レンズは、2つまたはそれ以上備えた請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項11】
更に少なくとも1つの光ピックアップを有する請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項12】
更に少なくとも2つの光ピックアップを有する請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項13】
更に少なくとも2つの全く同じ光ピックアップを有する請求項1記載の光ディスクドライブ。
【請求項14】
光ディスクに永久的にデータを記録する方法であって、
ハウジングと、少なくとも1つのレーザエネルギー源と、少なくとも1つの対物レンズと、少なくとも1つのデータエンコーダと、少なくとも1つの光ディスク回転機構とを備えたディスクドライブを提供するステップと、
レーザエネルギー源と対物レンズとを動作するステップを有し、
レーザエネルギー源からのレーザエネルギーが、DVDの1X速またはそれ以上の書き込みスピードの場合、光ディスク面で少なくとも20mWのパワーを有するようにした方法。
【請求項15】
更に、少なくとも1つの光ディスクを提供するステップと、光ディスク回転機構が光ディスクを保持し回転するようにディスクドライブに光ディスクを置くステップを有する請求項14記載の方法。
【請求項16】
上記レーザエネルギー源は、レーザ、ダイオードが組み込まれたソリッドステートレーザまたは、レーザダイオードである請求項14記載の方法。
【請求項17】
上記レーザエネルギー源は、波長が約405nm、約650nmまたは約780nmであるレーザエネルギーを生成する請求項14記載の方法。
【請求項18】
上記ディスクドライブは、2つまたはそれ以上のレーザエネルギー源を備えた請求項14記載の方法。
【請求項19】
上記光ディスクは、光ディスクのデータ層にクロムを含み、データ層にデジタルデータを永久に記録する請求項14記載の方法。
【請求項20】
上記光ディスクは、光ディスクのデータ層に少なくとも金属または合金いずれかを含み、データ層にデジタルデータを永久的に記録する請求項14記載の方法。
【請求項21】
更に、染料データ層の材料または相変化データ層の材料で構成された記録層にマーク形成のために与えられるレーザエネルギーと比べ、同じサイズのマークに与えられるエネルギーが少なくとも1.2倍またはそれ以上のエネルギーであるようにしたステップを有する請求項14記載の方法。
【請求項22】
更に、染料データ層の材料または相変化データ層の材料で構成された記録層にマーク形成のために与えられるレーザエネルギーと比べ、同じサイズのマークに与えられるエネルギーが少なくとも1.5倍またはそれ以上のエネルギーであるようにしたステップを有する請求項14記載の方法。
【請求項23】
更に、染料データ層の材料または相変化データ層の材料で構成された記録層にマーク形成のために与えられるレーザエネルギーと比べ、同じサイズのマークに与えられるエネルギーが少なくとも1.9倍またはそれ以上のエネルギーであるようにしたステップを有する請求項14記載の方法。
【請求項24】
更に、DVDの4X速のスピードで書き込むステップと、
光ディスクの面に少なくとも30mWのパワーを供給するステップとを有する請求項14記載の方法。
【請求項25】
更に、DVDの8X速のスピードで書き込むステップと、
光ディスクの面に少なくとも65mWのパワーを供給するステップとを有する請求項14記載の方法。
【請求項26】
光ディスクドライブを提供するステップと、
光ディスクを提供するステップと、
光ディスクドライブに光ディスクを置くステップと、
光ディスクドライブにデータを送るステップと、
光ディスクにデータをマークのパターンで記録するステップと
を有する光ディスクドライブを用いる方法であって、
光ディスクドライブは、ハウジングと、少なくとも1つのレーザエネルギー源と、少なくとも1つの対物レンズと、少なくとも1つのデータエンコーダと、少なくとも1つの光ディスク回転機構とを備え、
レーザエネルギー源と対物レンズとは動作可能に接続されるステップと、
対物レンズは、レーザエネルギーをレーザエネルギー源から光ディスクに与えるステップと、
データエンコーダは、レーザエネルギーを用いて光ディスクにマークのパターンを書き込むため、データをマークのパターンに変換するステップと、
レーザエネルギー源からのレーザエネルギーは、3Tマーク当たりに対し300ピコジュールかそれ以上のエネルギーとするステップを有する、光ディスクドライブを用いる方法。
【請求項27】
上記レーザエネルギー源は、レーザ、ダイオードが組み込まれたソリッドステートレーザまたは、レーザダイオードである請求項26記載の方法。
【請求項28】
上記レーザエネルギー源は、波長が約405nm、約650nmまたは約780nmであるレーザエネルギーを生成する請求項26記載の方法。
【請求項29】
上記ディスクドライブは、2つまたはそれ以上のレーザエネルギー源を備えた請求項26記載の方法。
【請求項30】
上記光ディスクは、光ディスクのデータ層にクロムを含み、上記記録するステップは、データ層にデジタルデータを永久に記録する請求項26記載の方法。
【請求項31】
上記光ディスクは、光ディスクのデータ層に少なくとも金属または合金いずれかを含み、上記記録するステップは、データ層にデジタルデータを永久的に記録する請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−510694(P2012−510694A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538704(P2011−538704)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/066013
【国際公開番号】WO2010/063004
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(592087647)ブリガム・ヤング・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRIGHAM YOUNG UNIVERSITY
【Fターム(参考)】