説明

ハイブリッドスーパーキャパシタ

【課題】ハイブリッドタイプのスーパーキャパシタが有する、全体セルポテンシャルの増加によりエネルギー及び出力密度が増加するという長所をそのまま保持しながら、電流集電体及びバインダのない一体型電極を用いることにより、電極内部抵抗及びESRを最小化できるハイブリッドスーパーキャパシタを提供する。
【解決手段】炭素エアロゲルアノードと、遷移金属酸化物エアロゲルカソードとを含む、ハイブリッドスーパーキャパシタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素エアロゲルアノードと遷移金属酸化物エアロゲルカソードとを含むハイブリッドスーパーキャパシタ、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度情報化時代は、各種情報通信機器を通じて多様かつ有用な情報をリアルタイムで収集し活用する高付加価値産業により主導されており、このようなシステムの信頼性を確保するために、安定したエネルギーの供給が重要な要素となっている。このような情報通信機器及び各種電子製品には電気回路基板が装着されるが、それぞれの回路基板にはキャパシタが設けられていて、電気を蓄えて放出する機能を有し回路内の電気の流れを安定化する役割をする。このようなキャパシタは、充放電時間が非常に短く、長寿命で、出力密度も非常に高いが、通常エネルギー密度が非常に小さいため蓄積装置として使用することは困難である。
【0003】
しかし、1995年に日本、ロシア、米国などで商品化された電気化学的キャパシタ、スーパーキャパシタまたはウルトラキャパシタは、情報化時代に対応して高容量化が進められ、最近には世界中の国が先を争って開発を進めている新たな範疇のキャパシタであって、二次電池と共に次世代のエネルギー蓄積装置として脚光を浴びている。
【0004】
スーパーキャパシタは、使用される電極及びメカニズムにより大きく三つに分けられる。具体的に(1)活性炭素を電極として使用し、電気二重層の電荷吸着をメカニズムとする電気二重層キャパシタ(EDLC:electric double layer capacitor)、(2)遷移金属酸化物と導電性高分子を電極材料として使用し、疑似キャパシタンスをメカニズムとする金属酸化物電極の疑似キャパシタ(pseudocapacitor、redox capacitorともいう)、及び(3)EDLCと電解キャパシタの中間的な特性を有するハイブリッドキャパシタ(hybrid capacitor)に分けられる。この中で、現在最も多く使用されているのは活性炭素材を用いるEDLCタイプのスーパーキャパシタである。
【0005】
スーパーキャパシタの基本構造は、電極、電解質、集電体、隔離膜を含み、単位セル電極の両端に数ボルトの電圧を印加すると電解液内のイオンが電場に沿って移動し、電極表面に吸着されて発生する電気化学的メカニズムを利用する。活性炭素電極材料を用いる場合、非静電容量は比表面積に比例するため、多孔性を付与すると電極材料の高容量化によるエネルギー密度が増加することになる。通常、炭素電極材料、炭素導電材、及び高分子バインダをスラリ状にし集電体に塗布して電極を作製する。よって、バインダ、導電材、及び電極材料の種類と比率を変化させることで集電体との接着力を増加させると共に接触抵抗を低減させ、また活性炭素間の内部接触抵抗を低減するための研究が最も重要であるといえる。
【0006】
金属酸化物電極材料を用いた疑似キャパシタの場合、遷移金属酸化物は容量面から有利であり、活性炭素より抵抗が低いため、高出力特性を有するスーパーキャパシタを製造することができ、最近では非晶質の水和物を電極材料として用いることにより、非静電容量が著しく増加するという報告がある。
【0007】
このように、疑似キャパシタはEDLCに比べて蓄電容量は大きいが、製造コストが2倍以上かかり、製造上の難易度が高く、高いESR(等価直列抵抗、equivalent series resistance)を有するという問題がある。
【0008】
一方、このようなEDLCと疑似キャパシタとの長所を結合した非対称電極を用いることにより、作動電圧を高め、エネルギー密度が向上したハイブリッドキャパシタに関する研究が盛んである。しかし、ハイブリッドキャパシタの場合、蓄電容量及びエネルギー密度を高めることはできるが、充放電などの特性が良好でなく、非線型であることから、まだ一般化されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した従来技術の問題点を解決するために、本発明は、ハイブリッドタイプのスーパーキャパシタが有する長所である、全体セルポテンシャルの増加によりエネルギー及び出力密度が増加するということをそのまま保持しながら、電流集電体及びバインダのない一体型電極を用いることにより電極内部抵抗及びESRを最小化できるハイブリッドスーパーキャパシタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、炭素エアロゲルアノードと、遷移金属酸化物エアロゲルカソードと、を含む、ハイブリッドスーパーキャパシタが提供される。
【0011】
上記炭素エアロゲルアノードは、20nm以上のメソポアサイズの気孔分布を有することができる。また、上記炭素エアロゲルアノードに用いる炭素エアロゲルは、レゾルシノールホルムアルデヒドゾル溶液を製造するステップと、上記ゾル溶液をカーボン紙に含浸し乾燥するステップと、上記乾燥された含浸紙を熱分解するステップと、を含む方法により製造されることができる。
【0012】
上記遷移金属酸化物エアロゲルカソードに用いる遷移金属酸化物は、MnO、RuO、CoO、及びNiOからなる群より選択されることができる。
【0013】
また、上記遷移金属酸化物エアロゲルカソードは、遷移金属酸化物の前駆体を還元させてゾル−ゲル法により製造できる。
【0014】
本発明の他の側面によれば、炭素エアロゲルアノードを製造するステップと、遷移金属酸化物エアロゲルカソードを製造するステップと、上記アノードとカソードを用いてハイブリッドキャパシタを製造するステップと、を含む、ハイブリッドスーパーキャパシタの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるハイブリッドスーパーキャパシタは、エアロゲルアノード及びカソードの製作時、工程変数を調節することで実際のキャパシタンスに寄与しない大きさの微細気孔の形成を抑制することができ、バインダを使用しない一体型であるため、電解液と活物質(電極)との有効接触面積を極大化してキャパシタンスを増加させることができる。
【0016】
また、本発明によるハイブリッドスーパーキャパシタは、電流集電体を使用しない一体型であるため、電極と電流集電体との境界で発生する接触抵抗の問題を解決することができる。
【0017】
したがって、本発明によるハイブリッドスーパーキャパシタは、ハイブリッドタイプのスーパーキャパシタが有する長所である、全体セルポテンシャルの増加によりエネルギー及び出力密度が増加するということをそのまま保持しながら、電流集電体及びバインダのない一体型電極であるため、電極内部抵抗及びESRを最小化することができる。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による一体型ハイブリッドスーパーキャパシタの概略的な構造図である。
【図2】粉末状活性炭のSEM写真(低倍率)である。
【図3】粉末状活性炭のSEM写真(高倍率)である。
【図4】本発明の一実施例による一体型炭素エアロゲルの表面SEM写真(低倍率)である。
【図5】本発明の一実施例による一体型炭素エアロゲルの表面SEM写真(高倍率)である。
【図6】本発明の実施例により製造されたハイブリッドスーパーキャパシタの充放電結果を示すCV曲線グラフである。
【図7】本発明の比較例により製造されたスーパーキャパシタの充放電結果を示すCV曲線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を具体的に説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
本発明によるハイブリッドスーパーキャパシタは、炭素エアロゲルアノードと、遷移金属酸化物エアロゲルカソードとを含み、その他の構成要素として隔離膜及び電解質を含むことができる。
【0022】
(炭素エアロゲルアノード)
スーパーキャパシタの蓄電容量を増やすためには、静電容量が電極の表面積に比例するため、大きな比表面積を有する電極材料を使用することになる。また、それ以外にもスーパーキャパシタの電極には、高い電子伝導度、電気化学的な非活性、容易な成形及び加工性などの特性が要求されて、通常、これら特性に対応する多孔性炭素材料が最も多く使用されている。上記多孔性炭素材料としては、活性炭素、活性炭素繊維、非晶質炭素、炭素エアロゲル、炭素複合材料、及び炭素ナノチューブなどがある。
【0023】
しかし、これら活性炭素などは、広い比表面積を有するにもかかわらず、電極の役割に寄与しない微細気孔(直径が約20nm以下)が大部分であり、有効気孔は全体の20%に過ぎないという短所がある(図2及び図3参照)。さらに、実際にはバインダと炭素導電材、溶媒などを混合してスラリ状にして電極を作製するため、電極と電解液との有効接触面積はさらに減少し、また、製造方法に応じて電極と電流集電体との接触抵抗の大きさや蓄電容量の範囲が一定しないという短所がある。
【0024】
本発明によるハイブリッドスーパーキャパシタは一体型炭素エアロゲルアノードを使用する。
【0025】
本発明において、「一体型」とは、電極物質が一つの単一体を形成するため、別途のバインダや電流集電体の使用が不要となることを意味する。
【0026】
本発明における「エアロゲル」は、固体状態の物質であるゲルにおいて、液体の代わりに気体が満たされている形態で、高い多孔性を有するネットワーク構造を有している。このようなエアロゲルは単一体を形成するため、別途のバインダ及び電流集電体を使用しない一体型電極として用いることができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、上記一体型炭素エアロゲルアノードに用いる炭素エアロゲルは、有機物質を用いてゾル−ゲル法により多孔性高分子を得、上記多孔性高分子を熱分解することで製造できる。
【0028】
上記ゾル−ゲル法は、ヒドロキシル基またはアミン基を含む有機単量体、アルデヒド、及び界面活性剤などを水などの溶媒に溶解して溶液を製造し、製造された溶液を攪拌して、適切な温度で重合した後、乾燥及び抽出などの方法を用いて溶媒を除去することにより行われる。
【0029】
上記ゾル−ゲル法において、出発有機物質である上記ヒドロキシル基またはアミン基を含む有機単量体としては、例えば、レゾルシノール、フェノール、メラミン、ビフェノール、及びスクロースなどが挙げられ、上記アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドなどが挙げられる。
【0030】
上記熱分解は窒素などの非活性ガス雰囲気下で700〜1050℃で熱処理することで行うことができる。
【0031】
具体例の一つとしては、上記ゾル−ゲル法及び熱分解方法を用いて炭素エアロゲルを製造するためには、レゾルシノール(R)とホルムアルデヒド(F)とを塩基性触媒である炭酸ナトリウムと共に、まず多様な触媒比(R/C)と質量分率により水溶液上で縮合反応させる。上記水溶液上の縮合反応によって得られたゾル溶液をカーボン紙に含浸させた後、RFカーボン紙の蒸発を防止するために閉鎖容器中のガラス板の間に入れて乾燥させる。その後、残留する水をアセトンなどで置換すると、カーボン紙に含浸されたRFエアロゲル複合体が得られる。その後これを窒素雰囲気下で高温熱分解(700〜1050℃)することにより一体型炭素エアロゲルが得られる。続いて、上記一体型炭素エアロゲルの有効気孔を増加させるために、高温で二酸化炭素を注入してCO活性化処理をすることができる。
【0032】
本発明による炭素エアロゲルはエアロゲル製作時に工程変数を調節することにより、気孔の大きさを任意に調節することができる。
【0033】
例えば、他の成分の濃度変数値を固定し、有機単量体のモル比を増加させると、凝集クラスタの大きさが増加する。クラスタ間の空間が気孔になるため、有機単量体のモル比の増加からクラスタの大きさが増加され、その間の組織の気孔サイズも増加することになる。また、他の成分の濃度変数値を固定し、界面活性剤のモル比を増加させると、クラスタの大きさが減少し、気孔の大きさも小さくなる。したがって、このような工程変数を調節することにより、有効気孔の大きさ及び比率を調節することができる。
【0034】
上記方法により製造された一体型炭素エアロゲルを電極の大きさに切断してアノード材料として使用することができ、上記炭素エアロゲルは導電性に優れるため、別途の電流集電体がなくてもリード線だけを連結して電極を作製することができる。
【0035】
上記方法により製造された炭素エアロゲルの比表面積は、従来の活性炭に比較してあまり差はないが(700〜1000m/g)、有効気孔(直径が20nm以上の気孔)の数が非常に多く、バインダを全く使用しないため、実際に使用されない電解液との接触面積が非常に少ないという長所がある。また、電流集電体なしで電極を作製できるため、接触抵抗によるエネルギー密度が減少するおそれが殆どない。
【0036】
(遷移金属酸化物エアロゲルカソード)
本発明によるハイブリッドスーパーキャパシタは、一体型遷移金属酸化物エアロゲルカソードを使用する。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、上記遷移金属酸化物エアロゲルカソードに用いる遷移金属酸化物は、MnO、RuO、CoO、及びNiOからなる群より選択されることができる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、上記遷移金属酸化物エアロゲルカソードは、遷移金属酸化物の前駆体を還元させてゾル−ケル法により製造できる。上記遷移金属酸化物の前駆体としては、KMnO、NaMnO、KRuO、NaRuO、KCoO、NaCoO、KNiO、NaNiOなどが挙げられる。
【0039】
例えば、MnOエアロゲルの製造は、文献[Bach et al.,J.Solid State Chem. 88(1990)325及びLong et al.,J.Non−Crystalline Solids 285(2001)288]などに記載されている方法を用いることができる。
【0040】
本発明による遷移金属酸化物エアロゲルは、エアロゲル製作時、工程変数を調節することにより、気孔の大きさを任意に調節することができる。
【0041】
上記方法により製造された遷移金属酸化物エアロゲルを電極の大きさに切断してカソード材料として使用でき、上記遷移金属酸化物エアロゲルは導電性に優れているため、別途の電流集電体なしでリード線だけを連結して電極を作製することができる。
【0042】
(隔離膜)
隔離膜はアノードとカソードの内部短絡を遮断し電解液を含浸する役割を行う。本発明によるハイブリッドスーパーキャパシタに用いられる隔離膜の材料としては、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステル不織布、ポリアクリロニトリルの多孔性隔離膜、ポリ(フッ化ビニリデン)ヘキサフルオロプロパン共重合体の多孔性隔離膜、セルロースの多孔性隔離膜、クラフト紙またはレーヨン繊維などを使用でき、電池及びキャパシタ分野で一般に用いられる隔離膜であれば、特に制限はない。
【0043】
(電解質)
本発明によるハイブリッドスーパーキャパシタに充電される電解質としては、水性電解質、非水性電解質、または固体電解質などを使用できる。
【0044】
上記水性電解質としては、特に限定はないが、5〜100質量%の硫酸水溶液や、0.5〜20モル濃度の水酸化カリウム水溶液、または、中性電解質である塩化カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、硝酸カリウム水溶液、硝酸ナトリウム水溶液、硫酸カリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液などを0.2〜10モル濃度にして使用することができる。
【0045】
上記非水性電解質としては、特に限定はないが、テトラアルキルアンモニウム(例えば、テトラエチルアンモニウムまたはテトラメチルアンモニウム)、リチウムイオンまたはカリウムイオンなどのカチオンと、テトラフルオロホウ酸塩、過塩素酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドまたはトリスフルオロメタンスルホニルメタイドなどのアニオンで構成された塩を非プロトン性溶媒、特に高い誘電定数の溶媒(例えば、プロピレンカーボネイトまたはエチレンカーボネイト)または低粘度の溶媒(ジエチルカーボネイト、ジメチルカーボネイト、エチルメチルカーボネイト、ジメチルエーテル、及びジエチルエーテル)に0.5〜3モル濃度に溶かした有機電解質などを用いることができる。
【0046】
また、電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどの重合体電解質に電解液を含浸したゲル状重合体電解質や、LiI及びLiNなどの無機固体電解質も使用可能である。
【0047】
本発明の一実施形態によるバインダ及び電流集電体を使用しない一体型炭素エアロゲルアノードと遷移金属酸化物エアロゲルカソード、そして上記アノードとカソードとの間の隔離膜、及び電解質を備えたハイブリッドスーパーキャパシタの概略的な構造を図1に示す。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が以下の実施例により限定されるものではない。
【0049】
(実施例)
<一体型炭素エアロゲルアノードの製造>
レゾルシノール(R)とホルムアルデヒド(F)を塩基性触媒である炭酸ナトリウムと共に水溶液上で縮合して得られたゾル溶液をカーボン紙に含浸させた後、RFカーボン紙の蒸発を防止するために閉鎖容器中のガラス板の間に入れて乾燥させた。続いて、アセトンで残留水分を置換してカーボン紙に含浸されたRFエアロゲル複合体を得た。得られたカーボン紙に含浸されたRFエアロゲル複合体を窒素雰囲気下で高温熱分解(700〜1050℃)して一体型炭素エアロゲルを得た。次に、有効気孔を増加させるためにCO活性化処理して最終的に3次元ネットワーク構造を有する一体型炭素エアロゲルを得た。図4及び図5に示すように、20nm以上の均一なメソポアサイズの気孔分布が得られた。
【0050】
得られた一体型炭素エアロゲルを適当な大きさに切断して銅線を連結することで、炭素エアロゲルアノードを製造した。
【0051】
<一体型マンガン酸化物(MnO)エアロゲルカソードの製造>
フマル酸ナトリウム(Na)の水溶液を過マンガン酸ナトリウム(NaMnO)の水溶液に撹拌しながら滴下方式で添加し、過マンガン酸ナトリウムとフマル酸ナトリウムを3:1のモル比で混合した。上記混合物を1時間撹拌した後、60分間真空脱気してCOを除去した。真空脱気は溶液の均質化に役に立つ。得られた溶液を24時間撹拌した後、2.5MのHSOを撹拌しながら滴下方式で添加した。上記溶液を再び24時間撹拌した後、蒸溜水で数回洗浄して可溶性物質を除去した。得られた生成物を濾過した後、室温で乾燥してMnOエアロゲル(NaMnO2+y・nHO)を得た。
【0052】
得られた一体型MnOエアロゲルを適当な大きさに切断して銅線を連結して、MnOエアロゲルカソードを製造した。
【0053】
<ハイブリッドスーパーキャパシタの製造>
一体型炭素エアロゲル電極をアノードとして、一体型MnOエアロゲル電極をカソードとして用い、電流集電体やバインダを使用せずに銅線だけを連結して作動電極を作製し、ハイブリッドスーパーキャパシタを製造した。電解質としては1MのHSO水溶液を用いた。
【0054】
(比較例)
<炭素エアロゲル電極をアノード及びカソードとして用いたスーパーキャパシタの製造>
上記実施例に記載した炭素エアロゲルの製造方法により、一体型炭素エアロゲル電極を二つ作製して、アノード及びカソードを上記一体型炭素エアロゲル電極とするスーパーキャパシタを製造した。
【0055】
(試験例)
本発明の実施例により製造されたハイブリッドスーパーキャパシタ(炭素エアロゲルアノード/MnOエアロゲルカソード)と、本発明の比較例により製造されたスーパーキャパシタ(炭素エアロゲルアノード/炭素エアロゲルカソード)に対してそれぞれ電気化学的特性を評価した。
【0056】
対極及び参照電極としてはそれぞれ白金(Pt)及びSCE(飽和カロメル電極)を用い、電解質としては1MのHSO水溶液を用いた。
【0057】
実際の製品製造時のような特性評価のために、2電極セルテストによりCV(Cyclic Voltammetry)を測定した。
【0058】
図6(実施例)及び図7(比較例)に示すように、両方とも少し歪みはあるが、典型的な長方形に類似したCV形態と鏡像を示し、速い可逆性充放電プロセスを示した。
【0059】
さらに、本発明の実施例により製造されたハイブリッドタイプ(図6)は、より広い電圧範囲を示しエネルギー密度が向上されたことが分かる。
【0060】
上記では本発明の望ましい実施例を参照して、説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者ならば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させる可能性があることを理解するはずである。
【0061】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることは当業者にとって明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素エアロゲルアノードと、
遷移金属酸化物エアロゲルカソードと、
を含む、ハイブリッドスーパーキャパシタ。
【請求項2】
前記炭素エアロゲルアノードは、20nm以上のメソポアサイズの気孔分布を有する、請求項1に記載のハイブリッドスーパーキャパシタ。
【請求項3】
前記炭素エアロゲルアノードに用いる炭素エアロゲルは、レゾルシノールホルムアルデヒドゾル溶液を製造するステップと、前記ゾル溶液をカーボン紙に含浸し乾燥するステップと、前記乾燥された含浸紙を熱分解するステップと、を含む方法により製造される、請求項1または2に記載のハイブリッドスーパーキャパシタ。
【請求項4】
前記遷移金属酸化物エアロゲルカソードに用いる遷移金属酸化物が、MnO、RuO、CoO、及びNiOからなる群より選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッドスーパーキャパシタ。
【請求項5】
前記遷移金属酸化物エアロゲルカソードが、遷移金属酸化物の前駆体を還元させてゾル−ゲル法により製造される、請求項1から4のいずれか1項に記載のハイブリッドスーパーキャパシタ。
【請求項6】
炭素エアロゲルアノードを製造するステップと、
遷移金属酸化物エアロゲルカソードを製造するステップと、
前記アノードとカソードを用いてハイブリッドキャパシタを製造するステップと、を含む、ハイブリッドスーパーキャパシタの製造方法。

【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−183063(P2010−183063A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282839(P2009−282839)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】