ハイブリッド方式のコンバイン
【課題】脱穀装置の回転各部に適宜設けるパラレル動力取出装置の補助モータを、可動部の動きによって発電された電力で駆動し、エンジンの燃料消費量を低減する。
【解決手段】走行装置(2)を備えた機台(3)上にエンジン(68)と脱穀装置(4)と操縦部(7)を搭載し、該機台(3)の前側に刈取装置(8)を油圧シリンダ(146)で昇降可能に設けたコンバインにおいて、コンバインの可動部の動きによって発電しその電力を蓄える蓄電装置(109)を設け、脱穀装置(4)の回転部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を前記蓄電装置(109)からの電力で駆動する構成とする。
【解決手段】走行装置(2)を備えた機台(3)上にエンジン(68)と脱穀装置(4)と操縦部(7)を搭載し、該機台(3)の前側に刈取装置(8)を油圧シリンダ(146)で昇降可能に設けたコンバインにおいて、コンバインの可動部の動きによって発電しその電力を蓄える蓄電装置(109)を設け、脱穀装置(4)の回転部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を前記蓄電装置(109)からの電力で駆動する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関し、動力源として内燃機関(エンジン)と電動モータを搭載したハイブリッド方式のコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの動力源は、内燃機関(エンジン)が使用されているが、省燃費化や低騒音化の目的で電動モータを併用したいわゆるハイブリッド方式のコンバインが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の発明は、エンジンを最高出力付近の回転数に固定して収穫作業を行い、この収穫作業中のエンジン余裕出力を電力に変換して蓄電装置に蓄えておき、この蓄電装置に蓄えた電力にて電動機を駆動して圃場内外における単なる移動走行を行うことが出来るようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載の発明は、走行装置を駆動する内燃機関と電動モータとを備えたコンバインで、内燃機関の駆動で発電する発電機で発電された電力を電動モータ駆動用として蓄える蓄電装置を設け、この蓄電装置に蓄えられた電力をコンバインの動力源の一部又は全部として利用出来るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−320805号公報
【特許文献2】特開2004−242558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1記載の発明は、エンジンを燃焼効率が高い最高出力回転数付近で常に駆動するので燃料を有効に利用するが、蓄電装置が満充電状態になっても高回転を維持することになって必要以上に燃料を使用する場合もある。
【0007】
また、前記特許文献2記載の発明は、エンジン駆動出力を小さくしても電動モータがエンジン出力を補うことができ、エンジンからの燃焼排ガスの排出量を減らすことができ、またエンジンの振動と騒音が比較的小さくなる。
【0008】
しかしながら、これらの従来技術は、全てエンジンの駆動余力を電力として蓄電装置に蓄えて適宜に電動機を駆動して走行或は走行補助に利用するものであるために、燃料消費量があまり低減されない。
【0009】
そこで、本発明では、エンジン出力の一部ではなく、コンバインの収穫作業時に可動部が動く際に発生するエネルギーを電力として蓄えて適宜に動力の補助として電動機を駆動することでさらに低燃費となるハイブリッド方式のコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行装置(2)を備えた機台(3)上にエンジン(68)と脱穀装置(4)と操縦部(7)を搭載し、該機台(3)の前側に刈取装置(8)を油圧シリンダ(146)で昇降可能に設けたコンバインにおいて、コンバインの可動部の動きによって発電しその電力を蓄える蓄電装置(109)を設け、脱穀装置(4)の回転部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を前記蓄電装置(109)からの電力で駆動する構成としたことを特徴とするハイブリッド方式のコンバインとした。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、可動部である刈取装置(8)の位置エネルギーを該刈取装置(8)の下降時に電力に変換する発電機(207)と、該発電機(207)からの電力を蓄える蓄電装置(109)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド方式のコンバインとした。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、可動部である刈取装置(8)が走行時に前後に揺動するエネルギーによって発電するリニアジェネレータ(170)と、該リニアジェネレータ(170)からの電力を蓄える蓄電装置(109)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド方式のコンバインとした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によると、可動部の動きによって発電された電力をキャパシタ等の蓄電装置(109)に蓄え、その蓄えた電力で脱穀装置(4)の回転各部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を駆動するので、エンジン(68)の燃料消費量を低減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によると、刈取装置(8)の上昇は油圧シリンダ(146)で行うが、この刈取装置(8)の位置エネルギーを該刈取装置(8)が下降する際に発電機(207)で電力に変換して蓄電装置(109)に蓄え、その蓄えた電力で脱穀装置(4)の回転各部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を駆動するので、エンジン(68)の燃料消費量を更に低減することができる。
【0015】
また、重量の重い刈取装置(8)の位置エネルギーを、該刈取装置(8)が下降する際緒に電力に変換するので、動きが少なくても効果的に電力を蓄えられる。
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、コンバインが走行することで常に揺れている刈取装置(8)の揺れエネルギーを電力に変換するので、充電量を多く出来、電力不足によるコンバインの作業能率の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの要部説明用の側面図である。
【図4】コンバインの要部説明用の背面図である。
【図5】コンバインの要部説明用の側面図である。
【図6】コンバインの要部説明用の平面図である。
【図7】伝動ギヤケースを断面にして示す平面図である。
【図8】穀粒貯留装置付近の説明用正面図である。
【図9】パラレル動力取出装置を側面図である。
【図10】パラレル動力取出装置の断面図である。
【図11】ブロック回路図である。
【図12】コンバインの一部正面図である。
【図13】コンバインの一部左側面図である。
【図14】一部の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
まず、コンバインの機体構成について説明する。
図1、図2に示すように、コンバインの機体1は、左右のクローラ式の走行装置2の上側に枠組みされた機台3を設け、該機台3の左側部に脱穀装置4を搭載し、該脱穀装置4の右側に穀粒貯留装置5を搭載し、該穀粒貯留装置5の前側に原動部6を搭載し、該原動部6の上部から前方に亘って操縦部7を設け、該操縦部7と前記脱穀装置4との前側に刈取装置8を設けて構成する。
【0018】
前記走行装置2の構成について説明する。
機台3の前後左右の4箇所から下側へ支持脚(図示省略)を延出して設け、この支持脚の下端部に左右の転輪フレーム9,9を取り付ける。該転輪フレーム9,9には、多数の転輪10,10と後端部の緊張輪11,11とを軸支する。そして、機台3の前部に取り付けたミッションケース12によって駆動される左右の駆動スプロケット13,13と、前記転輪10,10と、緊張輪11,11とに亘ってクローラ14,14を巻き掛けて、走行装置2を構成する。尚、前記ミッションケース12には、後述するエンジン68の駆動力が、静油圧式無段変速装置104を介して入力される構成である。
【0019】
前記脱穀装置4の構成について説明する。
脱穀装置4は、側部にフィードチェン15を備え、内部に扱胴(図示省略)を回転自在に備えた上側の扱室と、揺動選別棚、唐箕、一番移送螺旋、二番移送螺旋等を備えた下側の選別室とから構成する。該脱穀装置4は、後述するエンジン68の駆動力によって駆動する構成である。尚、該脱穀装置4の後側には、脱穀後の排藁を切断して圃場に排出する排藁カッター16を搭載する。
【0020】
前記刈取装置8の構成について説明する。
刈取装置8は、機台3の前部に取り付けた懸架台(図示省略)の上部に縦支持フレーム17の上端部を、刈取入力プーリ200の回転軸201と同軸芯で上下回動自在に軸支し、該縦支持フレーム17の下端部に左右方向の刈取ギヤケース18の中間部を取り付ける。該刈取ギヤケース18の前部から前方に向けて分草パイプ19を延出させ、この分草パイプ19の前端部に植立穀稈を分草する分草板20を取り付ける。該分草板20の後側から後上がり傾斜姿勢に引起装置21を設け、該引起装置21の後側下部から後方に向けて、植立穀稈を掻き込む掻込装置と、刈取穀稈の株元側を挟持して後方へ搬送する株元搬送装置と、刈取穀稈の穂先側を係止して後方へ搬送する穂先搬送装置(いずれも図示省略)とを設ける。前記株元搬送装置の始端部下方には、刈刃装置22を分草パイプ19に支持させて設ける。該刈取装置8は、後述するエンジン68の駆動力によって駆動する構成である。
【0021】
そして、図1、図4に示すように、前記縦支持フレーム17を上昇回動側に駆動する油圧シリンダ146を設ける。
発電装置は、上面にラック部202を形成したラック杆203の先端部を、縦支持フレーム17の長手方向中間部背面に固定したステー204に上下回動自在に軸着し、該ラック杆203を摺動自在に保持する角パイプ状の保持部材205の下部を機台3側に上下回動自在に軸着し、ラック杆203のラック部202に噛み合うピニオンギヤ206を備えた発電機モータ207を前記保持部材205に一体的に取り付けて構成する。そして、前記保持部材205の上壁の一部を切り欠き、該切り欠き部からピニオンギヤ206を侵入させてラック部202に噛み合わせる。
【0022】
前記発電機207で発電した電力は、蓄電装置(キャパシタ)109へ蓄える。
前記操縦部7の構成について説明する。
操縦部7は、機台3の前端部右側に搭載したステップフレーム23の前部から、フロント操作ポスト24を立上げ、該フロント操作ポスト24の機体中央寄りの側の端部から後方へ向けてサイド操作パネル25を設けて構成する。前記フロント操作ポスト24の上部には、中央部にモニターパネル26を備え、該モニターパネル26の右側にハンドレスト27を備え、モニターパネル26の左側にスイッチパネル28を設けて門形に形成した操作装置29を取り付ける。前記ハンドレスト27の前側に、前後方向への傾倒操作によって刈取装置8を昇降させ、左右方向への傾倒操作によってミッションケース12内の左右のサイドクラッチを遮断する操向レバー30を立設する。
【0023】
また、前記サイド操作パネル25には、ミッションケース12に駆動入力する静油圧式無段変速装置104を変速操作する主変速レバー31と、ミッションケース12内の副変速装置を変速操作する副変速レバー32と、刈取装置8の駆動を入り切り操作する刈取クラッチレバー33と、脱穀装置4の駆動を入り切り操作する脱穀クラッチレバー34と、後述するエンジン68のスロットルを開閉操作するスロットルレバー35を設ける。36は、エンジンを覆うエンジンカバー37の上部に取り付けた座席である。
【0024】
次に、前記穀粒貯留装置5部の構成について説明する。
図5、図6、図8に示すように、穀粒貯留装置5は筐体に形成し、左右の底壁38,39を傾斜させ、該傾斜の谷部に機体前後方向の軸芯回りに回転する底部移送螺旋40を配置する。該底部移送螺旋40の軸の前端部は、穀粒貯留装置5の前壁41に取り付けたベアリング42で回転自在に軸受けし、更に前壁41から前方へ突出させ、該突出端部に従動側係合爪43を備えた従動側回転体43aを固定する。また、該底部移送螺旋40の軸の後端部は、穀粒貯留装置5の後壁44に形成した孔を通して後方へ延出させ、後壁44の後側面に取り付けた前側筒体45の内部に配置する。
【0025】
尚、前記底部移送螺旋40の上側には、貯留された穀粒による圧力を受ける断面へ字状に形成した屋根板(図示省略)を配置する。この屋根板の左右両端部と左右の底壁38,39との隙間から、穀粒が底部移送螺旋40側に流れ込んで搬送される構成である。
【0026】
そして、機台3の右側後端部上に、下部引継筒体46を固定する。該下部引継筒体46は、L字形状に屈折した搬送通路を内部に備え、前記底部移送螺旋40と連結・分離自在な機体前後方向の軸芯を有する引継螺旋48を、ベベルギヤケースで回転自在に軸受けする。該下部引継筒体46の前端部と前記穀粒貯留装置5側の前側筒体45の後端部とを、下部縦軸47で機体外側方へ回動自在に軸支する。これによって、穀粒貯留装置5の下側の回動支点が形成される。
【0027】
また、前記下部引継筒体46の上部には、揚穀螺旋49を回転自在に内装した揚穀筒50を、該揚穀螺旋49の軸芯回りに縦軸回動自在に嵌合して設ける。前記揚穀螺旋49の下端部は、下部引継筒体46内のベベルギヤケースで軸受けし、該ベベルギヤケースを介して引継螺旋48及び底部移送螺旋40に連動させる。
【0028】
そして、機台3の後端から作業機支持フレーム51を立上げ、この作業機支持フレーム51の上端部に円筒状の内面を有する支持部52を設け、該支持部52によって揚穀筒50の上部を縦軸回転自在に姿勢保持する。前記作業機支持フレーム51には、排藁カッター16を機体外方へ回勤自在に支持する縦軸53を設ける。該作業機支持フレーム51の下部には前記揚穀筒50の下端部外周に設けた従動ギヤ54と噛み合う出力ギヤ55を備えた旋回用電動モータ56を取り付ける。
【0029】
前記支持部52には、回動支持ステー57を一体的に設け、穀粒貯留装置5の後壁44の上部に固定した上部縦軸58を該回動支持ステー57の孔に上側から押し込む。これによって、前記下部縦軸47と上部縦軸58とが同一軸芯上に配置され、穀粒貯留装置5の上下の回動支点が形成される。更に、前記支持部52には、平面視L字形状に形成した補強フレーム59の後端部を連結し、該補強フレーム59を前方へ延設して脱穀装置4の機体奥側の側面に沿わせて配置する。該補強フレーム59の前部は脱穀装置4側に固定し、前記作業機支持フレーム51と共に揚穀筒50および穀粒貯留装置5の支持剛性を高める。
【0030】
更に、該補強フレーム59の前端部には、穀粒貯留装置5を機体側へ位置固定するロック装置のフック60が係合する被係合部61を一体で設ける。該フック60を被係合部61から離脱させることによって、穀粒貯留装置5を機体外側方へ引き出せる状態となる。
【0031】
そして、前記揚穀筒50の上端部には、排出螺旋62を回転自在に内装した排出筒63を上部引継筒体64を介して上下回動自在に連通して設ける。該排出筒63の自由端部には、穀粒排出口65を形成する。また、前記揚穀簡50の上部と排出筒63の基部との間に、電動シリンダ66を設け、該電動シリンダ66の伸縮作動によって排出筒63が昇降回動する構成とする。67は、該電動シリンダ66の作動用の昇降用電動モータである。
上記底部移送螺旋40と揚穀螺旋49と排出螺旋62とから穀粒排出装置5aが構成されるのである。
【0032】
次に、原動部6の構成について説明する。
機台3の前部右側にエンジン68を搭載する。該エンジン68は、開閉自在のエンジンカバー37によって覆われる。
【0033】
図5、図6に示すように、該エンジンカバー37の内部における前記エンジン68と穀粒貯留装置5との間の空間部に、伝動ギヤケース(伝動切換装置)69を配置する。図7に示すように、該伝動ギヤケース69の外側面部には、入力プーリ70が固定された機体左右方向姿勢の第一入力軸(入力軸)71をベアリング72で回転自在に軸受けする。そして、該第一入力軸71と同一軸芯上に、該第一入力軸71から第一ワンウェイクラッチ73を介して駆動される第一出力軸75を設け、該第一出力軸75の端部に傘歯車状の第一出力ギヤ74を固定する。
【0034】
また、伝動ギヤケース69の機体奥側の内側両部には、機体左右方向姿勢の第二入力軸77をベアリング78で回転自在に軸受けする。そして、該第二入力軸77と同一軸芯上に、該第二入力軸77から第二ワンウェイクラッチ79を介して駆動される第二出力軸81を設け、該第二出力軸81の端部に傘歯車状の第二出力ギヤ80を固定する。そして、伝動ギヤケース69の機体奥側の内側面部に変速装置(増速伝動装置または減速伝動装置)82を備えた駆動用電動モータ83を横向き姿勢にして取り付け、該駆動用電動モータ83によって駆動される変速装置82の出力軸を前記第二入力軸77にスプライン勘合させて取り付ける。尚、底部搬送移送螺旋40の駆動に要する馬力は、一般的に10馬力程度であり、前記駆動用電動モータ83の出力も10馬力程度あるいはそれ以上のものを用いる。
【0035】
そして、前記伝動ギヤケース69の後側面部には、機体前後方向姿勢の出力軸84の後部をベアリング85で回転自在に軸受けし、該出力軸84の前端部を伝動ギヤケース69の前側面部にベアリング86で回転自在に軸受けする。該出力軸84の中間部には傘歯車状の入力ギヤ87を固定し、該出力軸84の伝動ギヤケース69から後方に突出する後端部には、放射方向の2箇所に駆動側係合爪88を備えた駆動側回転体89を固定する。これにより、上記出力軸84に設けた入力ギヤ87に対して、第一出力軸75に固定した第一出力ギヤ74と第二出力軸81に固定した第二出力ギヤ80との両方が噛み合う。以上の構成により、第一ワンウェイクラッチ73および第二ワンウェイクラッチ79の作動により、エンジン68からの駆動回転速度と駆動用電動モータ83からの駆動回転速度とのうちの、他側よりも高速回転となった側の回転によって、駆動側回転体89が駆動される。
【0036】
また、図5、図6に示すように、前記第一入力軸71に固定した入力プーリ70と、エンジン68の機体外側向きの出力軸90に固定した出力プーリ91とに亘って伝動ベルト92を巻き掛け、該伝動ベルト92に張力を付与するテンションプーリ93を設けて、テンション式の排出クラッチ95を構成する。該排出クラッチ95は、排出クラッチ作動用の電動モータ96(実体図省略)により入・切りするよう連繋する。
【0037】
また、図6に示すように、エンジン68の機体内側向きの出力軸97に第一出力プーリ98と第二出力プーリ99と第三出力プーリ100を固定する。そして、前記第一出力プーリ98と、エンジン68の機体奥側の後部に取り付けた発電機101の入力プーリ102と、エンジン68の機体奥側の上部に取り付けたセルモータ124の入力プーリ125とに亘って伝動ベルト103を巻き掛ける。
【0038】
また、前記第二出力プーリ99と脱穀装置4側の入力プーリとに亘ってテンション式の脱穀クラッチを備えた伝動ベルト(図示省略)を巻き掛け、前記第三出力プーリ100と前記ミッションケース12に駆動入力する静油圧式無段変速装置104の入力軸に設けた入力プーリ105とに亘って常時張りの伝動ベルト106を巻き掛ける。
【0039】
尚、前記伝動ギヤケース69と発電機101は、エンジンカバー37の内部、即ちエンジンルーム内において、エンジン68の冷却風通路内に配置される。
また、図6に示すように、前記伝動ギヤケース69に取り付けた駆動用電動モータ83の熱を放熱するために、該駆動用電動モータ83の外周部に多数のフィン83aを設けるとよい。エンジン68には、外側の防塵網120の内側に配置したラジエータ119と、エンジン68によって駆動される冷却ファン118が備えられている。この冷却ファン118の直径はエンジン68本体よりも小さいが、この冷却ファン118によってエンジンカバー37内に吸い込まれた風が、エンジンカバー37の内部において、エンジン68と伝動ギヤケース69および駆動用電動モータ83の周囲を吹き抜ける際に、これら伝動ギヤケース69および駆動用電動モータ83を冷却することとなる。
【0040】
上記の構成により、図5、図6に示すように、前記穀粒貯留装置5を機台3上の収穫作業位置に配置し、穀粒貯留装置5側のフック60を脱穀装置4側の被係合部61に係合させた状態で、前記底部移送螺旋40の軸芯と伝動ギヤケ-69の出力軸84の軸芯とが一致し、前記従動側回転体43aの従動側係合爪43が駆動側回転体89の駆動側係合爪88に噛み合う。
【0041】
また、図6、図8に示すように、前記機台3上における穀粒貯留装置5の右側の底壁39の下側の空間部107に受け台108を設け、該受け台108に、前記発電機モータ207によって発電された電力を蓄電すると共に前記駆動用電動モータ83へ駆動用の電力を供給する蓄電装置109を搭載する。この蓄電装置109は、コンデンサーのように、高圧の電力を短時間で充電および放電できる特性を有しているキャパシタが適しているが、充電機能を有した他の蓄電装置でも良い。該蓄電装置109は3個搭載し、後部の1個を燃料タンク110の後側に搭載し、中間部および前部の2個を燃料タンク110の前側に搭載する。
【0042】
図9と図10には、脱穀装置4の回転駆動部、つまり、扱室の扱胴や脱穀装置4の扱室の側部に併設する処理室の処理胴駆動軸や揺動棚の揺動駆動軸や一番移送螺旋と二番移送螺旋の駆動軸や扱室後部に設ける吸引ファン駆動軸等、に装着するパラレル動力取出装置156を示している。
【0043】
ブラケット136に軸受142,143で軸支したモータ軸131に、一個のサンギヤ132とプ三個のプラネタリーギヤ133と該プラネタリーギヤ133のキャリア135とリングギヤ134からなる遊星ギヤ機構を装着し、ブラケット136に取り付けた補助モータ141でモータ軸131を駆動するようにしている。また、キャリア135の外周にはエンジン68からの動力を伝動するエンジン側ベルト137を播き掛ける第一Vベルト溝144を形成し、リングギヤ134の外周には脱穀装置4の被駆動側へ動力を伝動する被駆動側ベルト138を播き掛ける第二Vベルト溝145を形成している。
【0044】
パラレル動力取出装置156のリングギヤ134は、エンジン側ベルト137のキャリア135を回す回転力と補助モータ141のサンギヤ132を回す回転力の調和によって一定回転数で回転する。すなわち、エンジン68の負荷が大きくてキャリア135の回転が低下すると補助モータ141がサンギヤ132を回す回転力が補ってリングギヤ134を一定回転数に維持するようになる。
【0045】
また、パラレル動力取出装置156は、前記中継ギヤケース151の入力軸や脱穀装置4の後部に装着する排藁カッター16の入力軸や一番揚穀螺旋158の放出口159を開口する穀粒貯留装置5内に乾燥用空気を送り込む籾乾燥ブロア160の駆動軸に装着しても良い。
【0046】
なお、パラレル動力取出装置156は、前記で例示した全ての駆動軸部に装着しても良いが、負荷変動の多い駆動軸部のみに装着しても良い。
図12,13,14に示す実施例は、刈取装置8が走行時に前後に揺れる動きを電力に変換する実施例である。機台3の右前端部に、永久磁石のN極とS極との間でコイルを往復直線運動させて発電するリニアジェネレータ170を、ガイドロッド172と圧縮ばね173でスライド台171に前後方向へ摺動するように設け、ガイドロッド172の先端取付具174をプレートリンク175,176と取付クリップ177で刈取装置8の刈取ギヤケース18に取り付けている。
【0047】
この構成で、コンバインを走行すると、刈取装置8が前後に揺れ、この揺れをリニアジェネレータ170が電力に変換して蓄電装置109に蓄えるのである。
次に、図11に示すブロック回路図について説明する。
【0048】
コントローラ(制御装置)111に対して、その入力側に、操向レバー30の前後傾動操作角度を検出する刈取昇降操作量検出用ポテンショメータ212と、エンジン駆動式排出スイッチ112と、モータ駆動式排出スイッチ113と、駆動源自動切換式排出スイッチ114と、発電機101で発電された電力を発電機モータ207側へ安定化して供給する発電調整機116と、発電機モータ207で発電された電力が発電調整機209と充電器210を介して充電される蓄電装置109と、出力軸84の回転速度を検出する出力回転数検出センサ122と、エンジン68の出力軸97又は出力軸90の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ127と、エンジン回転速度設定ダイヤル129を接続する。また、コントローラ111に対して、その出力側には、前記排出クラッチ95の作動用の電動モータ96と、モータ駆動回路117と、セルモータ駆動回路123と、モニター121と、エンジン停止回路126と、スロットル開閉調節モータ128と、発電機モータ駆動回路211を接続する。
【0049】
前記第一モータ駆動回路117に駆動用電動モータ83を接続し、第一モータ駆動回路117を介して駆動用電動モータ83を駆動する構成とする。また、前記セルモータ駆動回路123にセルモータ124を接続し、セルモータ駆動回路123を介してセルモータ124を駆動する構成とする。また、第二モータ駆動回路139に補助モータ141を接続し、この第二モータ駆動回路139を介して補助モータ141を駆動する構成とする。
【0050】
この構成により、エンジン68によって発電機101を駆動すると、発電機101によって発電される発電電力の電圧と電流量と周波数とがエンジン回転数の変動によって変化するが、これらを発電調整機116によって安定した直流電流に変換してから、コントローラ111を介して発電機モータ駆動回路211に送ることができる。
【0051】
また、発電機207で発電された電力は、発電調整機209で安定した直流電流に整流された後、充電器210によって蓄電装置109に充電される。該蓄電装置109に蓄電された電力によって、コントローラ111から第一モータ駆動回路117を介して駆動用電動モータ83が駆動され、第二モータ駆動回路139を介して補助モータ141が駆動される。
【0052】
また、コントローラ111には、その入力側に接続された蓄電装置109の電圧を検出する電圧検出手段を備えている。
以上の構成により、エンジン68を始動すると、該エンジン68の駆動力によって発電機101が駆動される。
【0053】
例えば圃場での一辺を刈り終えて旋回する場合に、操向レバー30を上昇側へ操作すると、油圧シリンダ146が伸びて、刈取装置8が上昇する。
そして、旋回が終了し、操向レバー30を下降側へ操作すると、刈取装置8は、その自重によってラック杆203を押し下げながら下降する。
【0054】
この刈取装置8が降下する際に、ラック杆203の押し下げ摺動により、該ラック杆203のラック部202に噛み合うピニオンギヤ206が回転駆動され、入出力軸208が強制的に回転駆動されて、発電機207による発電が行なわれる。このようにして発電された電力は、発電調整機209で整流された後、充電器210によって蓄電装置109に充電される。
【0055】
そして、エンジン68の駆動力によって走行装置2と刈取装置8と脱穀装置4と排藁カッター16を駆動しながら圃場での刈取脱穀作業を行うと、収穫された穀粒が穀粒貯留装置5に貯留される。これによって穀粒貯留装置5が満杯になると、機体1を圃場脇に待機中の運搬車に近付けて停車させ、この運搬車の荷台上への穀粒排出作業を行う。
【0056】
この穀粒排出作業は、蓄電装置109の充電量が不十分な場合や、駆動用電動モータ83の駆動回路が故障した場合等には、操縦者の判断によってエンジン駆動式排出スイッチ112を入り操作し、電動モータ96の作動によって排出クラッチ95を入り作動させて行う。即ち、この場合には、排出クラッチ95の入り作動によって入力プーリ70が回転し、第一入力軸71から第一ワンウェイクラッチ73を介して第一出力ギヤ74が駆動され、これに噛み合う入力ギヤ87が駆動される。駆動用電動モータ83は停止したままである。この際、入力ギヤ87を介して第二出力ギヤ80が駆動されてしまうが、第二ワンウェイクラッチ79が空転するため、駆動用電動モータ83側の第二入力軸77が強制的に回転させられることはない。これによって、駆動用電動モータ83および変速装置82の破損や故障の防止、および耐久性の向上を図ることができる。そして、上記入力ギヤ87の駆動によって出力軸84が回転し、駆動側回転体89の駆動側係合爪88からこれに係合する従動側係合爪43を介して従動側回転体43aが駆動され、底部移送螺旋40が駆動されて、穀粒貯留装置5内の貯留穀粒が排出される。
【0057】
また、蓄電装置109の充電量が十分な場合には、操縦者の判断によってモータ駆動式排出スイッチ113を入り操作し、駆動用電動モータ83を駆動して行う。即ち、この場合には、コントローラ111からスロットル開閉調節モータ128へ減速出力がなされ、エンジン68の回転速度がアイドリング状態(通常700rpm〜100rpm前後に設定される)まで自動的に減速し、このアイドリング状態が維持される。エンジン回転速度設定ダイヤル129で減速目標回転速度を任意に設定した場合には、この設定された回転速度まで自動的に減速し、この設定された回転速度に維持される。
【0058】
そして、駆動用電動モータ83の回転によって変速装置82から第二入力軸77が駆動され、該第二入力軸77から第二ワンウェイクラッチ79を介して第二出力軸81及び第二出力ギヤ80が駆動され、これに噛み合う入力ギヤ87が駆動される。排出クラッチ95は切り操作されたままであり、エンジン駆動力は入力されない。この際、入力ギヤ87を介して第一出力ギヤ74が駆動されてしまうが、第一ワンウェイクラッチ73が空転するため、入力プーリ70側の第一入力軸71が強制的に回転させられることはない。これによって、入力プーリ70に巻き掛けた伝動ベルト92の摩耗を防止して耐久性を向上させることができる。そして、上記入力ギヤ87の駆動によって出力軸84が回転し、駆動側回転体89の駆動側係合爪88からこれに係合する従動側係合爪43を介して従動側回転体43aが駆動され、底部移送螺旋40が駆動されて、穀粒貯留装置5内の貯留穀粒が排出される。
【0059】
これによって、収穫作業を行う圃場が住宅地の近くにあっても、少なくとも穀粒排出作業時には、エンジン68をアイドリング状態として排出作業を行うことができ、排気ガス量の低減およびエンジン騒音の低減によって、作業環境および周辺の住環境を保全することができる。
【0060】
尚、このように駆動用電動モータ83の駆動力によって穀粒排出作業が行われる場合、伝動ギヤケース69の出力軸84の回転数が設定された回転数域に維持されるように、出力回転数検出センサ122の検出結果に応じてコントローラ111から第一モータ駆動回路117への出力が制御される。この出力軸84の設定された回転数域は、エンジン68が定格回転で駆動している状態で排出クラッチ95を接続した場合に駆動される出力軸84の回転数に略等しく設定する。
【0061】
そして、排出作業の終了または中断によってモータ駆動式排出スイッチ113を切り操作すると、駆動用電動モータ83が停止すると共に、コントローラ111からスロットル開閉調節モータ128へ増速出力がなされ、エンジン68の回転速度が定格回転速度(通常2500rpm〜2700rpm前後に設定される)の上下に設定される定格回転速度域まで増速し、この定格回転状態が維持される。即ち、エンジン回転速度センサ127によって検出されるエンジン68の回転速度が定格回転速度域に収まるようにスルットル開閉調節モータ128への出力が制御される。
【0062】
これによって、操縦者がエンジン68をわざわざ増速操作する必要がなく、以後の走行や刈取作業に迅速に移行することができ、収穫作業の能率を高めることができる。エンジン回転速度設定ダイヤル129で増速目標回転速度を任意に設定した場合には、この設定された回転速度まで自動的に増速し、この設定された回転速度に維持される。
【0063】
また、駆動源自動切換式排出スイッチ114を入り操作すると、コントローラ111による蓄電装置109の電圧チェックにより、蓄電装置109の電圧が設定電圧よりも高いと判定された場合には、上述のモータ駆動式排出スイッチ113を入り操作した場合と同様に、エンジン68の回転速度がアイドリング状態に減速され、電動モータ96は作動せず排出クラッチ95が遮断状態に維持されたまま、駆動用電動モータ83が駆動されて穀粒排出作業が行われる。
【0064】
一方、蓄電装置109の電圧が設定電圧よりも低いと判定された場合には、上述のエンジン駆動式排出スイッチ112を入り操作した場合と同様に、駆動用電動モータ83が停止したまま、電動モータ96の作動によって排出クラッチ95が接続作動して穀粒排出作業が行われる。この場合には、エンジン68の回転速度は定格回転速度に維持される。これによって、操縦者が蓄電装置109の充電状態を気にすることなく排出作業を行うことができ、作業能率が高まる。
【0065】
そして、駆動用電動モータ83の駆動力によって排出作業が行われている際に、蓄電装置109の電圧が設定電圧よりも低下したことが電圧検出手段によって検出されると、スロットル開閉調節モータ128への出力によってエンジン68の回転速度が定格回転速度まで増達し、駆動用電動モータ83の駆動状態を維持したまま、又はこの駆動用電動モータ83を停止させてから、電動モータ96が作動して排出クラッチ95を接続し、エンジン68の駆動力によって穀粒排出装置5aが駆動される。
【0066】
これによって、穀粒排出作業中に蓄電装置109の電圧が低下した場合でも、この穀粒排出作業を中断することなく継続でき、作業能率を向上させることができる。また、穀粒排出装置5aが、駆動用モータ83とエンジン68とのいずれの駆動力によって駆動されているかが、モニター121に、バーグラフ又は円グラフ等によってグラフィック表示される。
【0067】
また、駆動用電動モータ83の駆動力によって排出作業が行われている際に、出力回転数検出センサ122によって、伝動ギヤケース69の出力軸84の回転数が設定された回転数域から外れて低下したことが検出された場合には、コントローラ111から電動モータ96へ出力がなされ、排出クラッチ95が入り作動すると共に、この排出クラッチ95の入り作動がモニター121にグラフィック表示される。
【0068】
これによって、エンジン68の駆動力で入力プーリ70が回転し、第一入力軸71から第一ワンウェイクラッチ73を介して第一出力ギヤ74が駆動され、これに噛み合う入力ギヤ87が駆動される。駆動用電動モータ83は駆動を続けており、駆動用電動モータ83によって駆動される第二出力ギヤ80の回転数と、エンジン68の駆動力で駆動される第一出力ギヤ74とが一致しなくても、第一ワンウェイクラッチ73または第二ワンウェイクラッチ79が空転するため、駆動用電動モータ83の駆動力とエンジン68の駆動力とがぶつかることはない。
【0069】
従って、穀粒排出作業開始時の多大な駆動負荷または蓄電装置109の電圧低下によって駆動用電動モータ83の出力回転が低下した場合に、エンジン68の駆動力によって伝動ギヤケース69の出力軸84の駆動をアシストすることとなる。このアシストにより、出力軸84の回転数が設定された回転数域内に維持されるように、電動モータ96への出力によって排出クラッチ95の接続作動または遮断作動を制御する構成とする。尚、上記モニター121の表示により、排出クラッチ95が自動的に接続されたことを操縦者が認識でき、蓄電装置109のチェック等の対策を早期に行うことにより、穀粒排出作業の能率を維持し、収穫作業全体の能率を高めることができる。
【0070】
また、モータ駆動式排出スイッチ113を入り操作した場合、または蓄電装置109の電圧が十分な状態において駆動源自動切換式排出スイッチ114を入り操作した場合に、上述のようにして、エンジン68の駆動力によって駆動用電動モータ83による出力軸84の駆動をアシストするように構成してもよい。
【0071】
また、エンジン68が駆動している状態で、モータ駆動式排出スイッチ113を入り操作した場合に、コントローラ111からエンジン停止回路126に出力がなされ、エンジン68が自動的に停止する構成としてもよい。このように、モータ駆動式排出スイッチ113を入り操作すると、エンジン69が自動的に停止すると共に、駆動用電動モータ83が作動して穀粒排出装置5aが駆動される。
【0072】
このように、穀粒排出装置5aの駆動を起動操作した場合にエンジン68が自動的に停止するので、操縦者がエンジン68をわざわざ停止操作する必要がなく、操作性が向上すると共に、収穫作業全体の能率を高めることができる。
【0073】
また、モータ駆動式排出スイッチ113を切り操作することによって、電動モータ83の駆動力による穀粒排出装置5aの駆動を停止操作した場合に、コントローラ111からエンジン停止回路126に停止出力カット信号が出力されると共に、セルモータ駆動回路123へ駆動出力がなされ、セルモータ124が作動してエンジン68が始動する。即ち、穀粒排出作業が終了した場合、又は穀粒排出作業を中断した場合に、エンジン68が自動的に始動するので、操縦者がエンジン68をわざわざ始動操作する必要がなく、以後の走行や刈取作業に迅速に移行することができ、収穫作業の能率を高めることができる。
【0074】
以上のように、例えば圃場の一辺を刈り終えた場合には、刈取装置8を上昇させて旋回するが、この上昇位置にある刈取装置8の位置エネルギーを発電機207によって電力に変換して蓄電装置109に蓄電することができる。これによって、蓄電装置109からの電力で電動モータ83を作動させて穀粒排出装置5aを駆動することができ、例えば住宅地の狭間の圃場での収穫作業において、エンジン68の出力を消費することなく、電動モータ83によって穀粒排出装置5aを駆動して穀粒排出作業を行えるため、エンジン68の燃料消費量を節減できるうえに、エンジン68による騒音の低減、及び排気ガスの減少による雰囲気の清浄化によって、住環境の保全に寄与することができる。
【0075】
また、圃場での旋回が終了し、上昇位置にある刈取装置8を自重で下降させる際に、この刈取装置8の下降動作によって発電機207を駆動して発電を行なうため、刈取装置8の有する位置エネルギーを有効に利用でき、エンジン68の燃料消費量を節減することができる。
【符号の説明】
【0076】
2 走行装置
3 機台
4 脱穀装置
7 操縦部
8 刈取装置
68 エンジン
109 蓄電装置(キャパシタ)
141 補助モータ
146 油圧シリンダ
156 パラレル動力取出装置
170 リニアジェネレータ
207 発電機
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関し、動力源として内燃機関(エンジン)と電動モータを搭載したハイブリッド方式のコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの動力源は、内燃機関(エンジン)が使用されているが、省燃費化や低騒音化の目的で電動モータを併用したいわゆるハイブリッド方式のコンバインが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の発明は、エンジンを最高出力付近の回転数に固定して収穫作業を行い、この収穫作業中のエンジン余裕出力を電力に変換して蓄電装置に蓄えておき、この蓄電装置に蓄えた電力にて電動機を駆動して圃場内外における単なる移動走行を行うことが出来るようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載の発明は、走行装置を駆動する内燃機関と電動モータとを備えたコンバインで、内燃機関の駆動で発電する発電機で発電された電力を電動モータ駆動用として蓄える蓄電装置を設け、この蓄電装置に蓄えられた電力をコンバインの動力源の一部又は全部として利用出来るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−320805号公報
【特許文献2】特開2004−242558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1記載の発明は、エンジンを燃焼効率が高い最高出力回転数付近で常に駆動するので燃料を有効に利用するが、蓄電装置が満充電状態になっても高回転を維持することになって必要以上に燃料を使用する場合もある。
【0007】
また、前記特許文献2記載の発明は、エンジン駆動出力を小さくしても電動モータがエンジン出力を補うことができ、エンジンからの燃焼排ガスの排出量を減らすことができ、またエンジンの振動と騒音が比較的小さくなる。
【0008】
しかしながら、これらの従来技術は、全てエンジンの駆動余力を電力として蓄電装置に蓄えて適宜に電動機を駆動して走行或は走行補助に利用するものであるために、燃料消費量があまり低減されない。
【0009】
そこで、本発明では、エンジン出力の一部ではなく、コンバインの収穫作業時に可動部が動く際に発生するエネルギーを電力として蓄えて適宜に動力の補助として電動機を駆動することでさらに低燃費となるハイブリッド方式のコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行装置(2)を備えた機台(3)上にエンジン(68)と脱穀装置(4)と操縦部(7)を搭載し、該機台(3)の前側に刈取装置(8)を油圧シリンダ(146)で昇降可能に設けたコンバインにおいて、コンバインの可動部の動きによって発電しその電力を蓄える蓄電装置(109)を設け、脱穀装置(4)の回転部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を前記蓄電装置(109)からの電力で駆動する構成としたことを特徴とするハイブリッド方式のコンバインとした。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、可動部である刈取装置(8)の位置エネルギーを該刈取装置(8)の下降時に電力に変換する発電機(207)と、該発電機(207)からの電力を蓄える蓄電装置(109)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド方式のコンバインとした。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、可動部である刈取装置(8)が走行時に前後に揺動するエネルギーによって発電するリニアジェネレータ(170)と、該リニアジェネレータ(170)からの電力を蓄える蓄電装置(109)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド方式のコンバインとした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によると、可動部の動きによって発電された電力をキャパシタ等の蓄電装置(109)に蓄え、その蓄えた電力で脱穀装置(4)の回転各部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を駆動するので、エンジン(68)の燃料消費量を低減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によると、刈取装置(8)の上昇は油圧シリンダ(146)で行うが、この刈取装置(8)の位置エネルギーを該刈取装置(8)が下降する際に発電機(207)で電力に変換して蓄電装置(109)に蓄え、その蓄えた電力で脱穀装置(4)の回転各部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を駆動するので、エンジン(68)の燃料消費量を更に低減することができる。
【0015】
また、重量の重い刈取装置(8)の位置エネルギーを、該刈取装置(8)が下降する際緒に電力に変換するので、動きが少なくても効果的に電力を蓄えられる。
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、コンバインが走行することで常に揺れている刈取装置(8)の揺れエネルギーを電力に変換するので、充電量を多く出来、電力不足によるコンバインの作業能率の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの要部説明用の側面図である。
【図4】コンバインの要部説明用の背面図である。
【図5】コンバインの要部説明用の側面図である。
【図6】コンバインの要部説明用の平面図である。
【図7】伝動ギヤケースを断面にして示す平面図である。
【図8】穀粒貯留装置付近の説明用正面図である。
【図9】パラレル動力取出装置を側面図である。
【図10】パラレル動力取出装置の断面図である。
【図11】ブロック回路図である。
【図12】コンバインの一部正面図である。
【図13】コンバインの一部左側面図である。
【図14】一部の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
まず、コンバインの機体構成について説明する。
図1、図2に示すように、コンバインの機体1は、左右のクローラ式の走行装置2の上側に枠組みされた機台3を設け、該機台3の左側部に脱穀装置4を搭載し、該脱穀装置4の右側に穀粒貯留装置5を搭載し、該穀粒貯留装置5の前側に原動部6を搭載し、該原動部6の上部から前方に亘って操縦部7を設け、該操縦部7と前記脱穀装置4との前側に刈取装置8を設けて構成する。
【0018】
前記走行装置2の構成について説明する。
機台3の前後左右の4箇所から下側へ支持脚(図示省略)を延出して設け、この支持脚の下端部に左右の転輪フレーム9,9を取り付ける。該転輪フレーム9,9には、多数の転輪10,10と後端部の緊張輪11,11とを軸支する。そして、機台3の前部に取り付けたミッションケース12によって駆動される左右の駆動スプロケット13,13と、前記転輪10,10と、緊張輪11,11とに亘ってクローラ14,14を巻き掛けて、走行装置2を構成する。尚、前記ミッションケース12には、後述するエンジン68の駆動力が、静油圧式無段変速装置104を介して入力される構成である。
【0019】
前記脱穀装置4の構成について説明する。
脱穀装置4は、側部にフィードチェン15を備え、内部に扱胴(図示省略)を回転自在に備えた上側の扱室と、揺動選別棚、唐箕、一番移送螺旋、二番移送螺旋等を備えた下側の選別室とから構成する。該脱穀装置4は、後述するエンジン68の駆動力によって駆動する構成である。尚、該脱穀装置4の後側には、脱穀後の排藁を切断して圃場に排出する排藁カッター16を搭載する。
【0020】
前記刈取装置8の構成について説明する。
刈取装置8は、機台3の前部に取り付けた懸架台(図示省略)の上部に縦支持フレーム17の上端部を、刈取入力プーリ200の回転軸201と同軸芯で上下回動自在に軸支し、該縦支持フレーム17の下端部に左右方向の刈取ギヤケース18の中間部を取り付ける。該刈取ギヤケース18の前部から前方に向けて分草パイプ19を延出させ、この分草パイプ19の前端部に植立穀稈を分草する分草板20を取り付ける。該分草板20の後側から後上がり傾斜姿勢に引起装置21を設け、該引起装置21の後側下部から後方に向けて、植立穀稈を掻き込む掻込装置と、刈取穀稈の株元側を挟持して後方へ搬送する株元搬送装置と、刈取穀稈の穂先側を係止して後方へ搬送する穂先搬送装置(いずれも図示省略)とを設ける。前記株元搬送装置の始端部下方には、刈刃装置22を分草パイプ19に支持させて設ける。該刈取装置8は、後述するエンジン68の駆動力によって駆動する構成である。
【0021】
そして、図1、図4に示すように、前記縦支持フレーム17を上昇回動側に駆動する油圧シリンダ146を設ける。
発電装置は、上面にラック部202を形成したラック杆203の先端部を、縦支持フレーム17の長手方向中間部背面に固定したステー204に上下回動自在に軸着し、該ラック杆203を摺動自在に保持する角パイプ状の保持部材205の下部を機台3側に上下回動自在に軸着し、ラック杆203のラック部202に噛み合うピニオンギヤ206を備えた発電機モータ207を前記保持部材205に一体的に取り付けて構成する。そして、前記保持部材205の上壁の一部を切り欠き、該切り欠き部からピニオンギヤ206を侵入させてラック部202に噛み合わせる。
【0022】
前記発電機207で発電した電力は、蓄電装置(キャパシタ)109へ蓄える。
前記操縦部7の構成について説明する。
操縦部7は、機台3の前端部右側に搭載したステップフレーム23の前部から、フロント操作ポスト24を立上げ、該フロント操作ポスト24の機体中央寄りの側の端部から後方へ向けてサイド操作パネル25を設けて構成する。前記フロント操作ポスト24の上部には、中央部にモニターパネル26を備え、該モニターパネル26の右側にハンドレスト27を備え、モニターパネル26の左側にスイッチパネル28を設けて門形に形成した操作装置29を取り付ける。前記ハンドレスト27の前側に、前後方向への傾倒操作によって刈取装置8を昇降させ、左右方向への傾倒操作によってミッションケース12内の左右のサイドクラッチを遮断する操向レバー30を立設する。
【0023】
また、前記サイド操作パネル25には、ミッションケース12に駆動入力する静油圧式無段変速装置104を変速操作する主変速レバー31と、ミッションケース12内の副変速装置を変速操作する副変速レバー32と、刈取装置8の駆動を入り切り操作する刈取クラッチレバー33と、脱穀装置4の駆動を入り切り操作する脱穀クラッチレバー34と、後述するエンジン68のスロットルを開閉操作するスロットルレバー35を設ける。36は、エンジンを覆うエンジンカバー37の上部に取り付けた座席である。
【0024】
次に、前記穀粒貯留装置5部の構成について説明する。
図5、図6、図8に示すように、穀粒貯留装置5は筐体に形成し、左右の底壁38,39を傾斜させ、該傾斜の谷部に機体前後方向の軸芯回りに回転する底部移送螺旋40を配置する。該底部移送螺旋40の軸の前端部は、穀粒貯留装置5の前壁41に取り付けたベアリング42で回転自在に軸受けし、更に前壁41から前方へ突出させ、該突出端部に従動側係合爪43を備えた従動側回転体43aを固定する。また、該底部移送螺旋40の軸の後端部は、穀粒貯留装置5の後壁44に形成した孔を通して後方へ延出させ、後壁44の後側面に取り付けた前側筒体45の内部に配置する。
【0025】
尚、前記底部移送螺旋40の上側には、貯留された穀粒による圧力を受ける断面へ字状に形成した屋根板(図示省略)を配置する。この屋根板の左右両端部と左右の底壁38,39との隙間から、穀粒が底部移送螺旋40側に流れ込んで搬送される構成である。
【0026】
そして、機台3の右側後端部上に、下部引継筒体46を固定する。該下部引継筒体46は、L字形状に屈折した搬送通路を内部に備え、前記底部移送螺旋40と連結・分離自在な機体前後方向の軸芯を有する引継螺旋48を、ベベルギヤケースで回転自在に軸受けする。該下部引継筒体46の前端部と前記穀粒貯留装置5側の前側筒体45の後端部とを、下部縦軸47で機体外側方へ回動自在に軸支する。これによって、穀粒貯留装置5の下側の回動支点が形成される。
【0027】
また、前記下部引継筒体46の上部には、揚穀螺旋49を回転自在に内装した揚穀筒50を、該揚穀螺旋49の軸芯回りに縦軸回動自在に嵌合して設ける。前記揚穀螺旋49の下端部は、下部引継筒体46内のベベルギヤケースで軸受けし、該ベベルギヤケースを介して引継螺旋48及び底部移送螺旋40に連動させる。
【0028】
そして、機台3の後端から作業機支持フレーム51を立上げ、この作業機支持フレーム51の上端部に円筒状の内面を有する支持部52を設け、該支持部52によって揚穀筒50の上部を縦軸回転自在に姿勢保持する。前記作業機支持フレーム51には、排藁カッター16を機体外方へ回勤自在に支持する縦軸53を設ける。該作業機支持フレーム51の下部には前記揚穀筒50の下端部外周に設けた従動ギヤ54と噛み合う出力ギヤ55を備えた旋回用電動モータ56を取り付ける。
【0029】
前記支持部52には、回動支持ステー57を一体的に設け、穀粒貯留装置5の後壁44の上部に固定した上部縦軸58を該回動支持ステー57の孔に上側から押し込む。これによって、前記下部縦軸47と上部縦軸58とが同一軸芯上に配置され、穀粒貯留装置5の上下の回動支点が形成される。更に、前記支持部52には、平面視L字形状に形成した補強フレーム59の後端部を連結し、該補強フレーム59を前方へ延設して脱穀装置4の機体奥側の側面に沿わせて配置する。該補強フレーム59の前部は脱穀装置4側に固定し、前記作業機支持フレーム51と共に揚穀筒50および穀粒貯留装置5の支持剛性を高める。
【0030】
更に、該補強フレーム59の前端部には、穀粒貯留装置5を機体側へ位置固定するロック装置のフック60が係合する被係合部61を一体で設ける。該フック60を被係合部61から離脱させることによって、穀粒貯留装置5を機体外側方へ引き出せる状態となる。
【0031】
そして、前記揚穀筒50の上端部には、排出螺旋62を回転自在に内装した排出筒63を上部引継筒体64を介して上下回動自在に連通して設ける。該排出筒63の自由端部には、穀粒排出口65を形成する。また、前記揚穀簡50の上部と排出筒63の基部との間に、電動シリンダ66を設け、該電動シリンダ66の伸縮作動によって排出筒63が昇降回動する構成とする。67は、該電動シリンダ66の作動用の昇降用電動モータである。
上記底部移送螺旋40と揚穀螺旋49と排出螺旋62とから穀粒排出装置5aが構成されるのである。
【0032】
次に、原動部6の構成について説明する。
機台3の前部右側にエンジン68を搭載する。該エンジン68は、開閉自在のエンジンカバー37によって覆われる。
【0033】
図5、図6に示すように、該エンジンカバー37の内部における前記エンジン68と穀粒貯留装置5との間の空間部に、伝動ギヤケース(伝動切換装置)69を配置する。図7に示すように、該伝動ギヤケース69の外側面部には、入力プーリ70が固定された機体左右方向姿勢の第一入力軸(入力軸)71をベアリング72で回転自在に軸受けする。そして、該第一入力軸71と同一軸芯上に、該第一入力軸71から第一ワンウェイクラッチ73を介して駆動される第一出力軸75を設け、該第一出力軸75の端部に傘歯車状の第一出力ギヤ74を固定する。
【0034】
また、伝動ギヤケース69の機体奥側の内側両部には、機体左右方向姿勢の第二入力軸77をベアリング78で回転自在に軸受けする。そして、該第二入力軸77と同一軸芯上に、該第二入力軸77から第二ワンウェイクラッチ79を介して駆動される第二出力軸81を設け、該第二出力軸81の端部に傘歯車状の第二出力ギヤ80を固定する。そして、伝動ギヤケース69の機体奥側の内側面部に変速装置(増速伝動装置または減速伝動装置)82を備えた駆動用電動モータ83を横向き姿勢にして取り付け、該駆動用電動モータ83によって駆動される変速装置82の出力軸を前記第二入力軸77にスプライン勘合させて取り付ける。尚、底部搬送移送螺旋40の駆動に要する馬力は、一般的に10馬力程度であり、前記駆動用電動モータ83の出力も10馬力程度あるいはそれ以上のものを用いる。
【0035】
そして、前記伝動ギヤケース69の後側面部には、機体前後方向姿勢の出力軸84の後部をベアリング85で回転自在に軸受けし、該出力軸84の前端部を伝動ギヤケース69の前側面部にベアリング86で回転自在に軸受けする。該出力軸84の中間部には傘歯車状の入力ギヤ87を固定し、該出力軸84の伝動ギヤケース69から後方に突出する後端部には、放射方向の2箇所に駆動側係合爪88を備えた駆動側回転体89を固定する。これにより、上記出力軸84に設けた入力ギヤ87に対して、第一出力軸75に固定した第一出力ギヤ74と第二出力軸81に固定した第二出力ギヤ80との両方が噛み合う。以上の構成により、第一ワンウェイクラッチ73および第二ワンウェイクラッチ79の作動により、エンジン68からの駆動回転速度と駆動用電動モータ83からの駆動回転速度とのうちの、他側よりも高速回転となった側の回転によって、駆動側回転体89が駆動される。
【0036】
また、図5、図6に示すように、前記第一入力軸71に固定した入力プーリ70と、エンジン68の機体外側向きの出力軸90に固定した出力プーリ91とに亘って伝動ベルト92を巻き掛け、該伝動ベルト92に張力を付与するテンションプーリ93を設けて、テンション式の排出クラッチ95を構成する。該排出クラッチ95は、排出クラッチ作動用の電動モータ96(実体図省略)により入・切りするよう連繋する。
【0037】
また、図6に示すように、エンジン68の機体内側向きの出力軸97に第一出力プーリ98と第二出力プーリ99と第三出力プーリ100を固定する。そして、前記第一出力プーリ98と、エンジン68の機体奥側の後部に取り付けた発電機101の入力プーリ102と、エンジン68の機体奥側の上部に取り付けたセルモータ124の入力プーリ125とに亘って伝動ベルト103を巻き掛ける。
【0038】
また、前記第二出力プーリ99と脱穀装置4側の入力プーリとに亘ってテンション式の脱穀クラッチを備えた伝動ベルト(図示省略)を巻き掛け、前記第三出力プーリ100と前記ミッションケース12に駆動入力する静油圧式無段変速装置104の入力軸に設けた入力プーリ105とに亘って常時張りの伝動ベルト106を巻き掛ける。
【0039】
尚、前記伝動ギヤケース69と発電機101は、エンジンカバー37の内部、即ちエンジンルーム内において、エンジン68の冷却風通路内に配置される。
また、図6に示すように、前記伝動ギヤケース69に取り付けた駆動用電動モータ83の熱を放熱するために、該駆動用電動モータ83の外周部に多数のフィン83aを設けるとよい。エンジン68には、外側の防塵網120の内側に配置したラジエータ119と、エンジン68によって駆動される冷却ファン118が備えられている。この冷却ファン118の直径はエンジン68本体よりも小さいが、この冷却ファン118によってエンジンカバー37内に吸い込まれた風が、エンジンカバー37の内部において、エンジン68と伝動ギヤケース69および駆動用電動モータ83の周囲を吹き抜ける際に、これら伝動ギヤケース69および駆動用電動モータ83を冷却することとなる。
【0040】
上記の構成により、図5、図6に示すように、前記穀粒貯留装置5を機台3上の収穫作業位置に配置し、穀粒貯留装置5側のフック60を脱穀装置4側の被係合部61に係合させた状態で、前記底部移送螺旋40の軸芯と伝動ギヤケ-69の出力軸84の軸芯とが一致し、前記従動側回転体43aの従動側係合爪43が駆動側回転体89の駆動側係合爪88に噛み合う。
【0041】
また、図6、図8に示すように、前記機台3上における穀粒貯留装置5の右側の底壁39の下側の空間部107に受け台108を設け、該受け台108に、前記発電機モータ207によって発電された電力を蓄電すると共に前記駆動用電動モータ83へ駆動用の電力を供給する蓄電装置109を搭載する。この蓄電装置109は、コンデンサーのように、高圧の電力を短時間で充電および放電できる特性を有しているキャパシタが適しているが、充電機能を有した他の蓄電装置でも良い。該蓄電装置109は3個搭載し、後部の1個を燃料タンク110の後側に搭載し、中間部および前部の2個を燃料タンク110の前側に搭載する。
【0042】
図9と図10には、脱穀装置4の回転駆動部、つまり、扱室の扱胴や脱穀装置4の扱室の側部に併設する処理室の処理胴駆動軸や揺動棚の揺動駆動軸や一番移送螺旋と二番移送螺旋の駆動軸や扱室後部に設ける吸引ファン駆動軸等、に装着するパラレル動力取出装置156を示している。
【0043】
ブラケット136に軸受142,143で軸支したモータ軸131に、一個のサンギヤ132とプ三個のプラネタリーギヤ133と該プラネタリーギヤ133のキャリア135とリングギヤ134からなる遊星ギヤ機構を装着し、ブラケット136に取り付けた補助モータ141でモータ軸131を駆動するようにしている。また、キャリア135の外周にはエンジン68からの動力を伝動するエンジン側ベルト137を播き掛ける第一Vベルト溝144を形成し、リングギヤ134の外周には脱穀装置4の被駆動側へ動力を伝動する被駆動側ベルト138を播き掛ける第二Vベルト溝145を形成している。
【0044】
パラレル動力取出装置156のリングギヤ134は、エンジン側ベルト137のキャリア135を回す回転力と補助モータ141のサンギヤ132を回す回転力の調和によって一定回転数で回転する。すなわち、エンジン68の負荷が大きくてキャリア135の回転が低下すると補助モータ141がサンギヤ132を回す回転力が補ってリングギヤ134を一定回転数に維持するようになる。
【0045】
また、パラレル動力取出装置156は、前記中継ギヤケース151の入力軸や脱穀装置4の後部に装着する排藁カッター16の入力軸や一番揚穀螺旋158の放出口159を開口する穀粒貯留装置5内に乾燥用空気を送り込む籾乾燥ブロア160の駆動軸に装着しても良い。
【0046】
なお、パラレル動力取出装置156は、前記で例示した全ての駆動軸部に装着しても良いが、負荷変動の多い駆動軸部のみに装着しても良い。
図12,13,14に示す実施例は、刈取装置8が走行時に前後に揺れる動きを電力に変換する実施例である。機台3の右前端部に、永久磁石のN極とS極との間でコイルを往復直線運動させて発電するリニアジェネレータ170を、ガイドロッド172と圧縮ばね173でスライド台171に前後方向へ摺動するように設け、ガイドロッド172の先端取付具174をプレートリンク175,176と取付クリップ177で刈取装置8の刈取ギヤケース18に取り付けている。
【0047】
この構成で、コンバインを走行すると、刈取装置8が前後に揺れ、この揺れをリニアジェネレータ170が電力に変換して蓄電装置109に蓄えるのである。
次に、図11に示すブロック回路図について説明する。
【0048】
コントローラ(制御装置)111に対して、その入力側に、操向レバー30の前後傾動操作角度を検出する刈取昇降操作量検出用ポテンショメータ212と、エンジン駆動式排出スイッチ112と、モータ駆動式排出スイッチ113と、駆動源自動切換式排出スイッチ114と、発電機101で発電された電力を発電機モータ207側へ安定化して供給する発電調整機116と、発電機モータ207で発電された電力が発電調整機209と充電器210を介して充電される蓄電装置109と、出力軸84の回転速度を検出する出力回転数検出センサ122と、エンジン68の出力軸97又は出力軸90の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ127と、エンジン回転速度設定ダイヤル129を接続する。また、コントローラ111に対して、その出力側には、前記排出クラッチ95の作動用の電動モータ96と、モータ駆動回路117と、セルモータ駆動回路123と、モニター121と、エンジン停止回路126と、スロットル開閉調節モータ128と、発電機モータ駆動回路211を接続する。
【0049】
前記第一モータ駆動回路117に駆動用電動モータ83を接続し、第一モータ駆動回路117を介して駆動用電動モータ83を駆動する構成とする。また、前記セルモータ駆動回路123にセルモータ124を接続し、セルモータ駆動回路123を介してセルモータ124を駆動する構成とする。また、第二モータ駆動回路139に補助モータ141を接続し、この第二モータ駆動回路139を介して補助モータ141を駆動する構成とする。
【0050】
この構成により、エンジン68によって発電機101を駆動すると、発電機101によって発電される発電電力の電圧と電流量と周波数とがエンジン回転数の変動によって変化するが、これらを発電調整機116によって安定した直流電流に変換してから、コントローラ111を介して発電機モータ駆動回路211に送ることができる。
【0051】
また、発電機207で発電された電力は、発電調整機209で安定した直流電流に整流された後、充電器210によって蓄電装置109に充電される。該蓄電装置109に蓄電された電力によって、コントローラ111から第一モータ駆動回路117を介して駆動用電動モータ83が駆動され、第二モータ駆動回路139を介して補助モータ141が駆動される。
【0052】
また、コントローラ111には、その入力側に接続された蓄電装置109の電圧を検出する電圧検出手段を備えている。
以上の構成により、エンジン68を始動すると、該エンジン68の駆動力によって発電機101が駆動される。
【0053】
例えば圃場での一辺を刈り終えて旋回する場合に、操向レバー30を上昇側へ操作すると、油圧シリンダ146が伸びて、刈取装置8が上昇する。
そして、旋回が終了し、操向レバー30を下降側へ操作すると、刈取装置8は、その自重によってラック杆203を押し下げながら下降する。
【0054】
この刈取装置8が降下する際に、ラック杆203の押し下げ摺動により、該ラック杆203のラック部202に噛み合うピニオンギヤ206が回転駆動され、入出力軸208が強制的に回転駆動されて、発電機207による発電が行なわれる。このようにして発電された電力は、発電調整機209で整流された後、充電器210によって蓄電装置109に充電される。
【0055】
そして、エンジン68の駆動力によって走行装置2と刈取装置8と脱穀装置4と排藁カッター16を駆動しながら圃場での刈取脱穀作業を行うと、収穫された穀粒が穀粒貯留装置5に貯留される。これによって穀粒貯留装置5が満杯になると、機体1を圃場脇に待機中の運搬車に近付けて停車させ、この運搬車の荷台上への穀粒排出作業を行う。
【0056】
この穀粒排出作業は、蓄電装置109の充電量が不十分な場合や、駆動用電動モータ83の駆動回路が故障した場合等には、操縦者の判断によってエンジン駆動式排出スイッチ112を入り操作し、電動モータ96の作動によって排出クラッチ95を入り作動させて行う。即ち、この場合には、排出クラッチ95の入り作動によって入力プーリ70が回転し、第一入力軸71から第一ワンウェイクラッチ73を介して第一出力ギヤ74が駆動され、これに噛み合う入力ギヤ87が駆動される。駆動用電動モータ83は停止したままである。この際、入力ギヤ87を介して第二出力ギヤ80が駆動されてしまうが、第二ワンウェイクラッチ79が空転するため、駆動用電動モータ83側の第二入力軸77が強制的に回転させられることはない。これによって、駆動用電動モータ83および変速装置82の破損や故障の防止、および耐久性の向上を図ることができる。そして、上記入力ギヤ87の駆動によって出力軸84が回転し、駆動側回転体89の駆動側係合爪88からこれに係合する従動側係合爪43を介して従動側回転体43aが駆動され、底部移送螺旋40が駆動されて、穀粒貯留装置5内の貯留穀粒が排出される。
【0057】
また、蓄電装置109の充電量が十分な場合には、操縦者の判断によってモータ駆動式排出スイッチ113を入り操作し、駆動用電動モータ83を駆動して行う。即ち、この場合には、コントローラ111からスロットル開閉調節モータ128へ減速出力がなされ、エンジン68の回転速度がアイドリング状態(通常700rpm〜100rpm前後に設定される)まで自動的に減速し、このアイドリング状態が維持される。エンジン回転速度設定ダイヤル129で減速目標回転速度を任意に設定した場合には、この設定された回転速度まで自動的に減速し、この設定された回転速度に維持される。
【0058】
そして、駆動用電動モータ83の回転によって変速装置82から第二入力軸77が駆動され、該第二入力軸77から第二ワンウェイクラッチ79を介して第二出力軸81及び第二出力ギヤ80が駆動され、これに噛み合う入力ギヤ87が駆動される。排出クラッチ95は切り操作されたままであり、エンジン駆動力は入力されない。この際、入力ギヤ87を介して第一出力ギヤ74が駆動されてしまうが、第一ワンウェイクラッチ73が空転するため、入力プーリ70側の第一入力軸71が強制的に回転させられることはない。これによって、入力プーリ70に巻き掛けた伝動ベルト92の摩耗を防止して耐久性を向上させることができる。そして、上記入力ギヤ87の駆動によって出力軸84が回転し、駆動側回転体89の駆動側係合爪88からこれに係合する従動側係合爪43を介して従動側回転体43aが駆動され、底部移送螺旋40が駆動されて、穀粒貯留装置5内の貯留穀粒が排出される。
【0059】
これによって、収穫作業を行う圃場が住宅地の近くにあっても、少なくとも穀粒排出作業時には、エンジン68をアイドリング状態として排出作業を行うことができ、排気ガス量の低減およびエンジン騒音の低減によって、作業環境および周辺の住環境を保全することができる。
【0060】
尚、このように駆動用電動モータ83の駆動力によって穀粒排出作業が行われる場合、伝動ギヤケース69の出力軸84の回転数が設定された回転数域に維持されるように、出力回転数検出センサ122の検出結果に応じてコントローラ111から第一モータ駆動回路117への出力が制御される。この出力軸84の設定された回転数域は、エンジン68が定格回転で駆動している状態で排出クラッチ95を接続した場合に駆動される出力軸84の回転数に略等しく設定する。
【0061】
そして、排出作業の終了または中断によってモータ駆動式排出スイッチ113を切り操作すると、駆動用電動モータ83が停止すると共に、コントローラ111からスロットル開閉調節モータ128へ増速出力がなされ、エンジン68の回転速度が定格回転速度(通常2500rpm〜2700rpm前後に設定される)の上下に設定される定格回転速度域まで増速し、この定格回転状態が維持される。即ち、エンジン回転速度センサ127によって検出されるエンジン68の回転速度が定格回転速度域に収まるようにスルットル開閉調節モータ128への出力が制御される。
【0062】
これによって、操縦者がエンジン68をわざわざ増速操作する必要がなく、以後の走行や刈取作業に迅速に移行することができ、収穫作業の能率を高めることができる。エンジン回転速度設定ダイヤル129で増速目標回転速度を任意に設定した場合には、この設定された回転速度まで自動的に増速し、この設定された回転速度に維持される。
【0063】
また、駆動源自動切換式排出スイッチ114を入り操作すると、コントローラ111による蓄電装置109の電圧チェックにより、蓄電装置109の電圧が設定電圧よりも高いと判定された場合には、上述のモータ駆動式排出スイッチ113を入り操作した場合と同様に、エンジン68の回転速度がアイドリング状態に減速され、電動モータ96は作動せず排出クラッチ95が遮断状態に維持されたまま、駆動用電動モータ83が駆動されて穀粒排出作業が行われる。
【0064】
一方、蓄電装置109の電圧が設定電圧よりも低いと判定された場合には、上述のエンジン駆動式排出スイッチ112を入り操作した場合と同様に、駆動用電動モータ83が停止したまま、電動モータ96の作動によって排出クラッチ95が接続作動して穀粒排出作業が行われる。この場合には、エンジン68の回転速度は定格回転速度に維持される。これによって、操縦者が蓄電装置109の充電状態を気にすることなく排出作業を行うことができ、作業能率が高まる。
【0065】
そして、駆動用電動モータ83の駆動力によって排出作業が行われている際に、蓄電装置109の電圧が設定電圧よりも低下したことが電圧検出手段によって検出されると、スロットル開閉調節モータ128への出力によってエンジン68の回転速度が定格回転速度まで増達し、駆動用電動モータ83の駆動状態を維持したまま、又はこの駆動用電動モータ83を停止させてから、電動モータ96が作動して排出クラッチ95を接続し、エンジン68の駆動力によって穀粒排出装置5aが駆動される。
【0066】
これによって、穀粒排出作業中に蓄電装置109の電圧が低下した場合でも、この穀粒排出作業を中断することなく継続でき、作業能率を向上させることができる。また、穀粒排出装置5aが、駆動用モータ83とエンジン68とのいずれの駆動力によって駆動されているかが、モニター121に、バーグラフ又は円グラフ等によってグラフィック表示される。
【0067】
また、駆動用電動モータ83の駆動力によって排出作業が行われている際に、出力回転数検出センサ122によって、伝動ギヤケース69の出力軸84の回転数が設定された回転数域から外れて低下したことが検出された場合には、コントローラ111から電動モータ96へ出力がなされ、排出クラッチ95が入り作動すると共に、この排出クラッチ95の入り作動がモニター121にグラフィック表示される。
【0068】
これによって、エンジン68の駆動力で入力プーリ70が回転し、第一入力軸71から第一ワンウェイクラッチ73を介して第一出力ギヤ74が駆動され、これに噛み合う入力ギヤ87が駆動される。駆動用電動モータ83は駆動を続けており、駆動用電動モータ83によって駆動される第二出力ギヤ80の回転数と、エンジン68の駆動力で駆動される第一出力ギヤ74とが一致しなくても、第一ワンウェイクラッチ73または第二ワンウェイクラッチ79が空転するため、駆動用電動モータ83の駆動力とエンジン68の駆動力とがぶつかることはない。
【0069】
従って、穀粒排出作業開始時の多大な駆動負荷または蓄電装置109の電圧低下によって駆動用電動モータ83の出力回転が低下した場合に、エンジン68の駆動力によって伝動ギヤケース69の出力軸84の駆動をアシストすることとなる。このアシストにより、出力軸84の回転数が設定された回転数域内に維持されるように、電動モータ96への出力によって排出クラッチ95の接続作動または遮断作動を制御する構成とする。尚、上記モニター121の表示により、排出クラッチ95が自動的に接続されたことを操縦者が認識でき、蓄電装置109のチェック等の対策を早期に行うことにより、穀粒排出作業の能率を維持し、収穫作業全体の能率を高めることができる。
【0070】
また、モータ駆動式排出スイッチ113を入り操作した場合、または蓄電装置109の電圧が十分な状態において駆動源自動切換式排出スイッチ114を入り操作した場合に、上述のようにして、エンジン68の駆動力によって駆動用電動モータ83による出力軸84の駆動をアシストするように構成してもよい。
【0071】
また、エンジン68が駆動している状態で、モータ駆動式排出スイッチ113を入り操作した場合に、コントローラ111からエンジン停止回路126に出力がなされ、エンジン68が自動的に停止する構成としてもよい。このように、モータ駆動式排出スイッチ113を入り操作すると、エンジン69が自動的に停止すると共に、駆動用電動モータ83が作動して穀粒排出装置5aが駆動される。
【0072】
このように、穀粒排出装置5aの駆動を起動操作した場合にエンジン68が自動的に停止するので、操縦者がエンジン68をわざわざ停止操作する必要がなく、操作性が向上すると共に、収穫作業全体の能率を高めることができる。
【0073】
また、モータ駆動式排出スイッチ113を切り操作することによって、電動モータ83の駆動力による穀粒排出装置5aの駆動を停止操作した場合に、コントローラ111からエンジン停止回路126に停止出力カット信号が出力されると共に、セルモータ駆動回路123へ駆動出力がなされ、セルモータ124が作動してエンジン68が始動する。即ち、穀粒排出作業が終了した場合、又は穀粒排出作業を中断した場合に、エンジン68が自動的に始動するので、操縦者がエンジン68をわざわざ始動操作する必要がなく、以後の走行や刈取作業に迅速に移行することができ、収穫作業の能率を高めることができる。
【0074】
以上のように、例えば圃場の一辺を刈り終えた場合には、刈取装置8を上昇させて旋回するが、この上昇位置にある刈取装置8の位置エネルギーを発電機207によって電力に変換して蓄電装置109に蓄電することができる。これによって、蓄電装置109からの電力で電動モータ83を作動させて穀粒排出装置5aを駆動することができ、例えば住宅地の狭間の圃場での収穫作業において、エンジン68の出力を消費することなく、電動モータ83によって穀粒排出装置5aを駆動して穀粒排出作業を行えるため、エンジン68の燃料消費量を節減できるうえに、エンジン68による騒音の低減、及び排気ガスの減少による雰囲気の清浄化によって、住環境の保全に寄与することができる。
【0075】
また、圃場での旋回が終了し、上昇位置にある刈取装置8を自重で下降させる際に、この刈取装置8の下降動作によって発電機207を駆動して発電を行なうため、刈取装置8の有する位置エネルギーを有効に利用でき、エンジン68の燃料消費量を節減することができる。
【符号の説明】
【0076】
2 走行装置
3 機台
4 脱穀装置
7 操縦部
8 刈取装置
68 エンジン
109 蓄電装置(キャパシタ)
141 補助モータ
146 油圧シリンダ
156 パラレル動力取出装置
170 リニアジェネレータ
207 発電機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)を備えた機台(3)上にエンジン(68)と脱穀装置(4)と操縦部(7)を搭載し、該機台(3)の前側に刈取装置(8)を油圧シリンダ(146)で昇降可能に設けたコンバインにおいて、コンバインの可動部の動きによって発電しその電力を蓄える蓄電装置(109)を設け、脱穀装置(4)の回転部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を前記蓄電装置(109)からの電力で駆動する構成としたことを特徴とするハイブリッド方式のコンバイン。
【請求項2】
可動部である刈取装置(8)の位置エネルギーを該刈取装置(8)の下降時に電力に変換する発電機(207)と、該発電機(207)からの電力を蓄える蓄電装置(109)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド方式のコンバイン。
【請求項3】
可動部である刈取装置(8)が走行時に前後に揺動するエネルギーによって発電するリニアジェネレータ(170)と、該リニアジェネレータ(170)からの電力を蓄える蓄電装置(109)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド方式のコンバイン。
【請求項1】
走行装置(2)を備えた機台(3)上にエンジン(68)と脱穀装置(4)と操縦部(7)を搭載し、該機台(3)の前側に刈取装置(8)を油圧シリンダ(146)で昇降可能に設けたコンバインにおいて、コンバインの可動部の動きによって発電しその電力を蓄える蓄電装置(109)を設け、脱穀装置(4)の回転部に適宜設けるパラレル動力取出装置(156)の補助モータ(141)を前記蓄電装置(109)からの電力で駆動する構成としたことを特徴とするハイブリッド方式のコンバイン。
【請求項2】
可動部である刈取装置(8)の位置エネルギーを該刈取装置(8)の下降時に電力に変換する発電機(207)と、該発電機(207)からの電力を蓄える蓄電装置(109)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド方式のコンバイン。
【請求項3】
可動部である刈取装置(8)が走行時に前後に揺動するエネルギーによって発電するリニアジェネレータ(170)と、該リニアジェネレータ(170)からの電力を蓄える蓄電装置(109)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド方式のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−193796(P2010−193796A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42668(P2009−42668)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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