説明

ハイブリッド発電システム

【課題】簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性や信頼性に優れたハイブリッド発電システムを提供する。
【解決手段】燃料電池7と、太陽電池パネル31と、貯湯タンク1を備えるとともに、貯湯タンク1と、太陽電池パネル31を冷却するパネル熱交換器32と、燃料電池7の排熱を回収する熱回収用熱交換器4とを熱回収配管により順次環状に連接した熱回収経路と、熱回収経路にパネル熱交換器32を迂回するバイパス経路と、このバイパス経路への通水を切り換えるパネル切換手段34および36を設ける。これにより、貯湯タンク1の水を用いて太陽電池パネル31を冷却することで、夏期等においても太陽電池パネル31の表面温度の上昇を抑制することできるため、太陽光による発電効率の向上を図ることができる。また、太陽熱を回収し貯湯タンク1の水を加熱することで、家庭の給湯負荷に対して十分な熱量を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池と太陽電池を用いて発電を行うとともに、これらの排熱を回収利用して温水を生成するハイブリッド発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素と酸素の直接反応により電気エネルギーを生成する燃料電池は、発電効率が高く、大気汚染物質もほとんど排出しないため、クリーンな発電装置として期待されている。特に、燃料電池の発電時に発生する排熱も回収利用する燃料電池コージェネレーションシステムは、総合的なエネルギー効率が高く、省エネルギー機器としての普及が望まれている。そして、燃料電池の排熱を回収利用する方法としては、熱回収用の熱交換器を用いて、貯湯タンクの水を加熱し、温水として利用するのが一般的である。
【0003】
一方、太陽電池を用いて太陽光から光電変換により直接電気エネルギーを生成する太陽光発電システムも、二酸化炭素の排出がないクリーンな発電装置として、家庭用を中心に近年普及が進んでいる。
【0004】
このような太陽光発電システムと燃料電池コージェネレーションシステムの双方を家庭に設置し、省エネ性のより一層高いハイブリッド発電システムとして複合的に活用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、太陽光による発電は主に日中の電力供給に利用し、燃料電池は日中の太陽電池の補完および夜間の電力供給に加え、燃料電池の排熱を回収することによって得られた温水を給湯や風呂・暖房に利用することが多い。
【0005】
図7に示すように、従来のハイブリッド発電システムは、例えば、太陽電池パネル31、燃料電池7および熱回収用熱交換器4を収納する燃料電池ユニット21、貯湯タンク1を収納する貯湯ユニット22から構成される。太陽電池パネル31および燃料電池7の発電により得られる電力は、一般に、電力変換装置24において、昇圧や整流、直流から交流への変換が行われ、家庭用の電力として供される。
【0006】
また、ハイブリッド発電システムには、図7に示すように、貯湯タンク1と、貯湯循環ポンプ2と、熱回収用熱交換器4とを熱回収配管3で順次環状に連接することにより、熱回収経路が形成されている。一方、燃料電池7と、冷却水循環ポンプ5と、熱回収用熱交換器4とを冷却水配管6で順次環状に連接することにより、冷却水経路が形成されている。
【0007】
燃料電池7が発電時に発生する排熱は、冷却水に回収される。この冷却水は、冷却水循環ポンプ5により、熱回収用熱交換器4に搬送され、ここで貯湯タンク1からの水が加熱される。貯湯タンク1内の水は、貯湯循環ポンプ2により熱回収経路8を循環し、熱回収用熱交換器4で燃料電池7の冷却水などにより加熱されて、再び貯湯タンク1に貯えられる。
【0008】
なお、ハイブリッド発電システムは、貯湯タンク1への給水や貯湯タンク1から外部への給湯を行うために、給水入口管9、減圧弁10、第1給水管11および第2給水管12、出湯管13、混合弁14、給湯出口管15を備えている。貯湯タンク1への給水は、一般の上水管に接続された給水入口管9から、減圧弁10、第1給水管11を経由して行われる。また、貯湯タンク1からの給湯は、給水入口管9、減圧弁10、第2給水管12を経由して供給された水と、貯湯タンク1の上部から出湯管13を経由して出湯された湯と
が、混合弁14で適温に混合され、給湯出口管15を介して外部に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−34161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の構成では、例えば、夏期等においては、太陽電池パネルの表面温度が上がるため、太陽電池素子の光から電気へのエネルギー変換効率が下がり、省エネ性が低下するという課題がある。また、燃料電池の排熱のみで温水の生成を行うため、燃料電池発電に対して太陽光発電の利用比率が高くなると、家庭の給湯負荷に対して十分な湯量が確保できない可能性があるという課題があった。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性や信頼性に優れたハイブリッド発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明のハイブリッド発電システムは、燃料電池と、太陽電池パネルと、貯湯タンクを備えるとともに、貯湯タンクと、太陽電池パネルを冷却するパネル熱交換器と、燃料電池の排熱を回収する熱回収用熱交換器とを熱回収配管により順次環状に連接した熱回収経路と、熱回収経路にパネル熱交換器を迂回するバイパス経路と、このバイパス経路への通水を切り換える切換手段を設けた構成を有する。
【0013】
これにより、貯湯タンクの水を用いて太陽電池パネルを冷却することで、夏期等においても、太陽電池パネルの表面温度の上昇を抑制することできるため、太陽光による発電効率の向上を図ることができる。また、太陽熱を回収し貯湯タンクの水を加熱することで、家庭の給湯負荷に対して十分な熱量を確保することができる。したがって、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性や信頼性に優れたハイブリッド発電システムを実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単な構成で、省エネ性や信頼性に優れたハイブリッド発電システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるハイブリッド発電システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態2におけるハイブリッド発電システムの構成図
【図3】本発明の実施の形態3におけるハイブリッド発電システムの構成図
【図4】本発明の実施の形態4におけるハイブリッド発電システムの構成図
【図5】本発明の実施の形態5におけるハイブリッド発電システムの構成図
【図6】本発明の実施の形態6におけるハイブリッド発電システムの構成図
【図7】従来の燃料電池コージェネレーションシステムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、燃料電池と、太陽電池パネルと、貯湯タンクを備えたハイブリッド発電システムであって、貯湯タンクと、太陽電池パネルを冷却するパネル熱交換器と、燃料電池の排熱を回収する熱回収用熱交換器とを熱回収配管により順次環状に連接した熱回収経路と、熱回収経路にパネル熱交換器を迂回するバイパス経路と、このバイパス経路への通水を切り換える切換手段を設けた構成を有する。これにより、貯湯タンクの水を用いて太陽電池パネルを冷却することで、夏期等においても、太陽電池パネルの表面温度の上昇を
抑制することできるため、太陽光による発電効率の向上を図ることができる。また、太陽熱を回収し貯湯タンクの水を加熱することで、家庭の給湯負荷に対して十分な熱量を確保することができる。したがって、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性や信頼性に優れたハイブリッド発電システムを実現できる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、太陽電池パネルの発電電力量を検出し、検出された発電電力量が所定値よりも小さいときは、パネル熱交換器をバイパスする経路に切り換えるものである。これにより、冬期や夜間、日照量が少ない時のように、太陽電池パネルの発電電力量が小さく、太陽熱を有効に回収利用できないと判断される場合は、熱回収経路を、パネル熱交換器をバイパスする燃料電池側の経路のみに切り換えることで、貯湯水の循環に必要なポンプ動力を抑制し、システムの消費電力を低減することができ、より一層の省エネ化を図ることができる。
【0018】
第3の発明は、第1の発明において、太陽電池パネルの表面温度を検出し、検出された表面温度が所定値よりも低いときは、パネル熱交換器をバイパスする経路に切り換えるものである。これにより、冬期や夜間、日照量が少ない時のように、太陽電池パネルの表面温度が低く、太陽熱を有効に回収利用できないと判断される場合は、熱回収経路を、パネル熱交換器をバイパスする燃料電池側の経路のみに切り換えることで、貯湯水の循環に必要なポンプ動力を抑制し、システムの消費電力を低減することができ、同様に一層の省エネ化を図ることができる。
【0019】
第4の発明は、第1の発明において、パネル熱交換器の入口および出口の水温を検出し、その検出された温度差が所定値よりも小さいときはパネル熱交換器をバイパスする経路に切り換えるものである。これにより、パネル熱交換器の入出口の水温を比較することで、容易に、太陽熱を有効に利用できるか否かを判断できる。万一、太陽熱を有効に利用できないと判断される場合は、熱回収経路を、パネル熱交換器をバイパスする燃料電池側の経路のみに切り換えることで、貯湯水の循環に必要なポンプ動力を抑制し、システムの消費電力を低減することができ、同様に一層の省エネ化を図ることができる。
【0020】
第5の発明は、第1の発明において、パネル熱交換器からの熱回収後の温水と貯湯タンクからの水とを所定温度に調整する混合弁を設け、熱回収用熱交換器に流入する水の温度を所定温度以下に制御するものである。これにより、燃料電池の冷却に必要な貯湯水の温度を確保することができ、太陽光発電と燃料電池発電の運転を容易に両立させることができるため、省エネかつ信頼性の向上を図ることができる。
【0021】
第6の発明は、燃料電池と、太陽電池パネルと、貯湯タンクを備えるとともに、貯湯タンクと、太陽電池パネルを冷却するパネル熱交換器と、燃料電池の排熱を回収する熱回収用熱交換器とを熱回収配管により順次環状に連接した熱回収経路と、熱回収経路に熱回収用熱交換器を迂回するバイパス経路と、このバイパス経路への通水を切り換える切換手段を設けた構成を有する。これにより、貯湯タンクの水を用いて太陽電池パネルを冷却することで、夏期等においても、太陽電池パネルの表面温度の上昇を抑制することできるため、太陽光による発電効率の向上を図ることができる。また、太陽熱を回収し貯湯タンクの水を加熱することで、家庭の給湯負荷に対して十分な熱量を確保することができる。さらに、燃料電池による発電が停止している場合は、熱回収用熱交換器への流入を回避し、貯湯水の放熱によるエネルギーロスや、貯湯水の循環に必要なポンプ動力を抑制することができる。したがって、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性や信頼性に優れたハイブリッド発電システムを実現できる。
【0022】
第7の発明は、第6の発明において、パネル熱交換器の出口水温を検出し、その温度が所定値よりも高いときは熱回収用熱交換器をバイパスする経路に切り換えるものである。
夏期の日中のように、外気温が高く日射量も多い場合は、パネル熱交換器により回収される熱量も大きくなり、パネル熱交換器の出口温度も高い温度を確保できる。一方で、貯湯水の温度が高くなると、燃料電池の冷却に必要な温度を確保することができなくなる。このように、燃料電池を十分冷却できないと判断される場合は、熱回収経路を、熱回収用熱交換器をバイパスする太陽電池パネル側の経路に切り換える。これにより、システムの安定運転を維持できるとともに、貯湯水の循環に必要なポンプ動力を抑制し、システムの消費電力を低減することができるため、より一層の省エネ化を図ることができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、先に説明した従来の構成と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるハイブリッド発電システムの構成図である。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態のハイブリッド発電システムは、太陽電池パネル31と、燃料電池7および熱回収用熱交換器4を収納する燃料電池ユニット21と、貯湯タンク1を収納する貯湯ユニット22と、電力変換装置24から構成されている。
【0026】
そして、貯湯タンク1と、貯湯循環ポンプ2と、太陽電池パネル31を冷却するパネル熱交換器32と、燃料電池7の発電時などの排熱を回収する熱回収用熱交換器4とを熱回収配管3により順次環状に連接した熱回収経路が形成されている。パネル熱交換器32は、例えば、太陽電池パネル31の背面に設けられ、太陽電池パネル31全体またはその一部を冷却できるように、太陽電池パネル31に貯湯水の流れる管路を密着させた構成を有する熱交換器である。また、燃料電池7と、冷却水循環ポンプ5と、熱回収用熱交換器4とを冷却水配管6で順次環状に連接することにより、冷却水経路が形成されている。
【0027】
一方、太陽電池パネル31および燃料電池7の発電により得られる電力は、電力変換装置24において、昇圧や整流、直流から交流への変換が行われ、家庭用の電力として供される。
【0028】
貯湯タンク1下部の水は、貯湯循環ポンプ2により熱回収経路を循環して、パネル熱交換器32で太陽電池パネル31の太陽熱で加熱され、さらに熱回収用熱交換器4で燃料電池7の排熱を吸収した冷却水などにより加熱され、温水となって貯湯タンク1の上部に戻る。燃料電池7で発電とともに発生する排熱は、冷却水経路中の冷却水に回収され、冷却水循環ポンプ5により熱回収用熱交換器4に搬送されて、貯湯タンク1からの水を加熱する。
【0029】
なお、貯湯タンク1への給水や貯湯タンク1から外部への給湯を行うために、給水入口管9、減圧弁10、第1給水管11および第2給水管12、出湯管13、混合弁14、給湯出口管15を備えている。そして、貯湯タンク1への給水は、一般の上水管に接続された給水入口管9から、減圧弁10、第1給水管11を経由して行われる。また、貯湯タンク1からの給湯は、給水入口管9、減圧弁10、第2給水管12を経由して供給された水と、貯湯タンク1の上部から出湯管13を経由して出湯された湯とが、混合弁14で適温に混合され、給湯出口管15を介して外部に供給される。
【0030】
ここで、本実施の形態のハイブリッド発電システムでは、熱回収経路の途中に、パネル熱交換器32を迂回するバイパス配管35が設けられ、さらに、パネル熱交換器32およびバイパス経路への通水を切り換えるパネル切換手段34およびバイパス切換手段36が設けられている。各々のパネル切換手段34およびバイパス切換手段36は、例えば、電
磁弁で構成され、通常発電時は、パネル切換手段34を開放し、バイパス切換手段36を閉塞した状態とする。また、電力変換装置24には、太陽電池パネル31の発電電力量を検出する電力計25が設けられている。
【0031】
太陽電池は、一般に、その表面温度が上昇すると発電効率が低下する。特に、夏期のように、日射量が多く外気温が高い場合において、発電効率が低下する傾向にある。夏期の昼間時は、冷房使用による電力負荷が大きいため、年間を通して、最も多くの電力量が必要となる。このような期間に、システムの発電効率が低下することは、省エネ性を確保するためには好ましくない。
【0032】
本実施の形態によれば、貯湯タンク1の水を用いて、パネル熱交換器32を介して太陽電池パネル31を冷却することで、太陽電池パネル31の表面温度の上昇を抑制し、太陽光による発電効率の向上を図ることができる。
【0033】
一方、本実施の形態によれば、パネル熱交換器32により、太陽電池パネル31の熱を回収し、貯湯タンク1の水を加熱することができる。すなわち、貯湯タンク1への貯湯のための熱源として、燃料電池7の排熱だけでなく、パネル熱交換器32を介して、太陽熱を活用することができる。これによれば、家庭の給湯負荷に対して十分な熱量を確保することが可能となる。よって、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性や信頼性に優れたハイブリッド発電システムを実現できる。
【0034】
さらに、電力計25により検出される太陽電池パネル31による発電電力量が所定値よりも小さいときは、パネル切換手段34を閉塞し、バイパス切換手段36を開放することで、貯湯水の経路をパネル熱交換器32のバイパス経路に切り換える。夜間や雨天・曇天時のような日照量が少ない時は、太陽光による発電量はきわめて小さくなる。このような太陽光による発電、ひいては太陽熱による貯湯を十分有効に利用できないと判断される場合は、熱回収経路をパネル熱交換器32をバイパスする経路に切換え、燃料電池7の排熱のみを利用する経路に切り換える。こうすることで、貯湯水の循環に必要な貯湯循環ポンプ2の動力を抑制することができる。すなわち、システムの消費電力を低減することができ、より一層の省エネ化を図ることができる。
【0035】
上記で説明したように、本実施の形態によれば、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性と信頼性に優れたハイブリッド発電システムを提供できる。
【0036】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2におけるハイブリッド発電システムの構成図である。
【0037】
図2に示すように、本実施の形態のハイブリッド発電システムは、太陽電池パネル31の表面温度を検出する表面温度検出手段26を備え、太陽電池パネル31の表面温度が所定値よりも低いときは、貯湯水経路をパネル熱交換器32をバイパスする経路に切り換えるように構成した点で、実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態のハイブリッド発電システムの構成とその作用は、実施の形態1で説明したものと略同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
太陽電池パネル31の表面温度が比較的低い場合は、発電効率の顕著な低下は見られない。また、パネル熱交換器32による太陽熱の回収量も限定される。特に、冬期の外気温が低い場合は、貯湯タンク1からの貯湯水を放熱させ、かえって冷却させてしまう場合も想定される。本実施の形態では、太陽電池パネル31の表面温度が所定値よりも低い、例えば、冬期や夜間、日照量が少ない時のように、太陽光や太陽熱を有効に回収利用できないと判断される場合は、熱回収経路をパネル熱交換器32をバイパスする経路に切換え、
燃料電池7の排熱のみを利用する経路に切り換える。こうすることで、貯湯水の循環に必要な貯湯循環ポンプ2の動力を抑制することができる。したがって、システムの消費電力を低減することができ、より一層の省エネ化を図ることができる。
【0039】
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3におけるハイブリッド発電システムの構成図である。
【0040】
図3に示すように、本実施の形態のハイブリッド発電システムは、パネル熱交換器32の入口および出口の水温を検出する熱交入口温度検出手段27および熱交出口温度検出手段28を備え、これらで検出される温度の差が所定値よりも小さいときは、貯湯水経路をパネル熱交換器32をバイパスする経路に切り換えるように構成した点で、実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態のハイブリッド発電システムの構成とその作用は、実施の形態1で説明したものと略同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0041】
パネル熱交換器32の入出口の水温を比較することで、容易に、パネル熱交換器32により太陽熱を十分回収できたか否かを直接判断することができる。万一、太陽熱を有効に利用できないと判断される場合は、熱回収経路を、パネル熱交換器32をバイパスする燃料電池7側の経路のみに切り換えることで、貯湯水の循環に必要な貯湯循環ポンプ2の動力を抑制することができる。したがって、システムの消費電力を低減することができ、同様に一層の省エネ化を図ることができる。
【0042】
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4におけるハイブリッド発電システムの構成図である。
【0043】
図4に示すように、本実施の形態のハイブリッド発電システムは、熱回収用熱交換器4に流入する水温を検出する給水温度検出手段38を設けるとともに、パネル熱交換器32からの熱回収後の温水と貯湯タンク1からの水とを所定温度に調整する混合弁37を設け、熱回収用熱交換器4に流入する水の温度を所定温度以下に制御するように構成した点で、実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態のハイブリッド発電システムの構成とその作用は、実施の形態1で説明したものと略同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
燃料電池7において安定した発電性能を確保するためには、冷却水により燃料電池7を一定温度に保持することが必要である。本実施の形態によれば、混合弁37を用いて、パネル熱交換器32で加熱された温水に、貯湯タンク1からの水を混合させ、熱回収用熱交換器4に流入する水温を一定の温度に調整することができる。したがって、燃料電池7の冷却に必要な貯湯水の温度を確保することができ、太陽光発電と燃料電池発電の運転を容易に両立させることができるため、システムの省エネ性と信頼性の向上を図ることができる。
【0045】
(実施の形態5)
図5は、本発明の実施の形態5におけるハイブリッド発電システムの構成図である。
【0046】
図5に示すように、本実施の形態のハイブリッド発電システムは、太陽電池パネル31と、燃料電池7および熱回収用熱交換器4を収納する燃料電池ユニット21と、貯湯タンク1を収納する貯湯ユニット22と、電力変換装置24から構成されている。
【0047】
そして、貯湯タンク1と、貯湯循環ポンプ2と、太陽電池パネル31を冷却するパネル熱交換器32と、燃料電池7の発電時などの排熱を回収する熱回収用熱交換器4とを熱回収配管3により順次環状に連接した熱回収経路が形成されている。パネル熱交換器32は
、例えば、太陽電池パネル31の背面に設けられ、太陽電池パネル31全体またはその一部を冷却できるように、太陽電池パネル31に貯湯水の流れる管路を密着させた構成を有する熱交換器である。また、燃料電池7と、冷却水循環ポンプ5と、熱回収用熱交換器4とを冷却水配管6で順次環状に連接することにより、冷却水経路が形成されている。
【0048】
一方、太陽電池パネル31および燃料電池7の発電により得られる電力は、電力変換装置24において、昇圧や整流、直流から交流への変換が行われ、家庭用の電力として供される。
【0049】
貯湯タンク1下部の水は、貯湯循環ポンプ2により熱回収経路を循環して、パネル熱交換器32で太陽電池パネル31の太陽熱で加熱され、さらに熱回収用熱交換器4で燃料電池7の排熱を吸収した冷却水などにより加熱され、温水となって貯湯タンク1の上部に戻る。燃料電池7で発電とともに発生する排熱は、冷却水経路中の冷却水に回収され、冷却水循環ポンプ5により熱回収用熱交換器4に搬送されて、貯湯タンク1からの水を加熱する。
【0050】
なお、貯湯タンク1への給水や貯湯タンク1から外部への給湯を行うために、給水入口管9、減圧弁10、第1給水管11および第2給水管12、出湯管13、混合弁14、給湯出口管15を備えている。そして、貯湯タンク1への給水は、一般の上水管に接続された給水入口管9から、減圧弁10、第1給水管11を経由して行われる。また、貯湯タンク1からの給湯は、給水入口管9、減圧弁10、第2給水管12を経由して供給された水と、貯湯タンク1の上部から出湯管13を経由して出湯された湯とが、混合弁14で適温に混合され、給湯出口管15を介して外部に供給される。
【0051】
ここで、本実施の形態のハイブリッド発電システムでは、熱回収経路の途中に、熱回収用熱交換器4を迂回するバイパス経路41が設けられ、さらに、熱回収用熱交換器4およびバイパス経路41への通水を切り換える熱交換器切換手段42およびバイパス切換手段43が設けられている。各々の熱交換器切換手段42およびバイパス切換手段43は、例えば、電磁弁で構成され、通常発電時は、熱交換器切換手段42を開放し、バイパス切換手段43を閉塞した状態とする。また、パネル熱交換器32の出口側には、貯湯水の温度を検出する熱交出口温度検出手段44が設けられている。
【0052】
太陽電池は、一般に、その表面温度が上昇すると発電効率が低下する。特に、夏期のように、日射量が多く外気温が高い場合において、発電効率が低下する傾向にある。夏期の昼間時は、冷房使用による電力負荷が大きいため、年間を通して、最も多くの電力量が必要となる。このような期間に、システムの発電効率が低下することは、省エネ性を確保するためには好ましくない。
【0053】
本実施の形態によれば、貯湯タンク1の水を用いて、パネル熱交換器32を介して太陽電池パネル31を冷却することで、太陽電池パネル31の表面温度の上昇を抑制し、太陽光による発電効率の向上を図ることができる。
【0054】
一方、本実施の形態によれば、パネル熱交換器32により、太陽電池パネル31の熱を回収し、貯湯タンク1の水を加熱することができる。すなわち、貯湯タンク1への貯湯のための熱源として、燃料電池7の排熱だけでなく、パネル熱交換器32を介して、太陽熱を活用することができる。これによれば、家庭の給湯負荷に対して十分な熱量を確保することが可能となる。よって、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性や信頼性に優れたハイブリッド発電システムを実現できる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、燃料電池7による発電が停止している場合において、熱
回収用熱交換器4への高温の貯湯水の流入を回避することができる。これによれば、常温の熱回収用熱交換器4を高温の貯湯水が流れるときに起こるような放熱ロスを回避することができる。また、貯湯水の循環に必要なポンプ動力を抑制することができる。
【0056】
さらに、パネル熱交換器32の出口水温を検出し、その温度が所定値よりも高いときは熱回収用熱交換器4をバイパスする経路41に切り換えるものである。夏期の日中のように、外気温が高く日射量も多い場合は、パネル熱交換器32により回収される熱量も大きくなり、パネル熱交換器32の出口温度も高い温度を確保できる。一方で、貯湯水の温度が高くなると、燃料電池7の冷却に必要な温度を確保することができなくなる。このように、燃料電池7を十分冷却できないと判断される場合は、熱回収経路を、熱回収用熱交換器4をバイパスする経路に切り換える。これにより、システムの安定運転を維持できるとともに、貯湯水の循環に必要なポンプ動力を抑制し、システムの消費電力を低減することができるため、より一層の省エネ化を図ることができる。
【0057】
上記で説明したように、本実施の形態によれば、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性と信頼性に優れたハイブリッド発電システムを提供できる。
【0058】
(実施の形態6)
図6は、本発明の実施の形態6におけるハイブリッド発電システムの構成図である。
【0059】
図6に示すように、本実施の形態のハイブリッド発電システムは、太陽電池パネル31と、燃料電池7および熱回収用熱交換器4を収納する燃料電池ユニット21と、貯湯タンク1を収納する貯湯ユニット22と、電力変換装置24から構成されている。
【0060】
そして、貯湯タンク1と、貯湯循環ポンプ2と、太陽電池パネル31を冷却するパネル熱交換器32と、燃料電池7の発電時などの排熱を回収する熱回収用熱交換器4とを熱回収配管により順次環状に連接した熱回収経路が形成されている。パネル熱交換器32は、例えば、太陽電池パネル31の背面に設けられ、太陽電池パネル31全体またはその一部を冷却できるように、太陽電池パネル31に貯湯水の流れる管路を密着させた構成を有する熱交換器である。また、燃料電池7と、冷却水循環ポンプ5と、熱回収用熱交換器4とを冷却水配管で順次環状に連接することにより、冷却水経路が形成されている。
【0061】
一方、太陽電池パネル31および燃料電池7の発電により得られる電力は、電力変換装置24において、昇圧や整流、直流から交流への変換が行われ、家庭用の電力として供される。
【0062】
貯湯タンク1下部の水は、貯湯循環ポンプ2により熱回収経路を循環して、パネル熱交換器32で太陽電池パネル31の太陽熱で加熱され、さらに熱回収用熱交換器4で燃料電池7の排熱を吸収した冷却水などにより加熱され、温水となって貯湯タンク1の上部に戻る。燃料電池7で発電とともに発生する排熱は、冷却水経路中の冷却水に回収され、冷却水循環ポンプ5により熱回収用熱交換器4に搬送されて、貯湯タンク1からの水を加熱する。
【0063】
なお、貯湯タンク1への給水や貯湯タンク1から外部への給湯を行うために、給水入口管9、減圧弁10、第1給水管11および第2給水管12、出湯管13、混合弁14、給湯出口管15を備えている。そして、貯湯タンク1への給水は、一般の上水管に接続された給水入口管9から、減圧弁10、第1給水管11を経由して行われる。また、貯湯タンク1からの給湯は、給水入口管9、減圧弁10、第2給水管12を経由して供給された水と、貯湯タンク1の上部から出湯管13を経由して出湯された湯とが、混合弁14で適温に混合され、給湯出口管15を介して外部に供給される。
【0064】
ここで、本実施の形態のハイブリッド発電システムでは、熱回収経路の途中に、パネル熱交換器32を迂回するバイパス経路と、熱回収用熱交換器4を迂回するバイパス経路41が設けられている。さらに、パネル熱交換器32およびバイパス経路への通水を切り換えるパネル切換手段34およびバイパス切換手段36、熱回収用熱交換器4およびバイパス経路41への通水を切り換える熱交換器切換手段42およびバイパス切換手段43が設けられている。各々のパネル切換手段34、バイパス切換手段36、熱交換器切換手段42およびバイパス切換手段43は、例えば、電磁弁で構成され、通常時は、パネル切換手段34および熱交換器切換手段42を開放し、バイパス切換手段36および43を閉塞した状態とする。また、パネル熱交換器32の出口側には、貯湯水の温度を検出する熱交出口温度検出手段44が設けられている。さらに、熱回収用熱交換器4の入口側には、流入する水温を検出する給水温度検出手段38が設けられるとともに、パネル熱交換器32からの熱回収後の温水と貯湯タンク1からの水とを所定温度に調整する混合弁37が設けられている。
【0065】
太陽電池は、一般に、その表面温度が上昇すると発電効率が低下する。特に、夏期のように、日射量が多く外気温が高い場合において、発電効率が低下する傾向にある。夏期の昼間時は、冷房使用による電力負荷が大きいため、年間を通して、最も多くの電力量が必要となる。このような期間に、システムの発電効率が低下することは、省エネ性を確保するためには好ましくない。本実施の形態によれば、貯湯タンク1の水を用いて、パネル熱交換器32を介して太陽電池パネル31を冷却することで、太陽電池パネル31の表面温度の上昇を抑制し、太陽光による発電効率の向上を図ることができる。
【0066】
一方、本実施の形態によれば、パネル熱交換器32により、太陽電池パネル31の熱を回収し、貯湯タンク1の水を加熱することができる。すなわち、貯湯タンク1への貯湯のための熱源として、燃料電池7の排熱だけでなく、パネル熱交換器32を介して、太陽熱を活用することができる。これによれば、家庭の給湯負荷に対して十分な熱量を確保することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、パネル熱交換器32の出口水温を検出し、その温度が所定値よりも高いときは熱回収用熱交換器4をバイパスする経路41に切り換えることができる。夏期の日中のように、外気温が高く日射量も多い場合は、パネル熱交換器32により回収される熱量も大きくなり、パネル熱交換器32の出口温度も高い温度を確保できる。一方で、貯湯水の温度が高くなると、燃料電池7の冷却に必要な温度を確保することができなくなる。このように、燃料電池7を十分冷却できないと判断される場合は、熱回収経路を、熱回収用熱交換器4をバイパスする経路に切り換える。これにより、貯湯水の循環に必要なポンプ動力を抑制し、システムの消費電力を低減することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態によれば、混合弁37を用いて、パネル熱交換器32で加熱された温水に、貯湯タンク1からの水を混合させ、熱回収用熱交換器4に流入する水温を一定の温度に調整することができる。これによれば、パネル熱交換器32の出口水温が高い場合においても、燃料電池7の冷却に必要な貯湯水の温度を確保することができ、太陽光発電と燃料電池発電の運転を容易に両立させることができるため、システムの省エネ性と信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
上記で説明したように、本実施の形態によれば、簡単な構成で発電効率が高く、省エネ性と信頼性に優れたハイブリッド発電システムを提供できる。
【0070】
なお、本実施の形態では、各熱交換器をバイパスする経路を切り換える手段として、例えば、電磁弁方式のパネル切換手段34、バイパス切換手段36、熱交換器切換手段42
を設けるものとしたが、混合弁37が複数流路の流体を混合する機能だけではなく、流路を切り換える機能を有する場合は、これらを省略し、混合弁37のみで代用する構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、簡単な構成で効率の向上が図られ、高い省エネ性が要望されるハイブリッド発電システムなどの技術分野に有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 貯湯タンク
2 貯湯循環ポンプ
3 熱回収配管
4 熱回収用熱交換器
5 冷却水循環ポンプ
6 冷却水配管
7 燃料電池
9 給水入口管
10 減圧弁
11 第1給水管
12 第2給水管
13 出湯管
14、37 混合弁
15 給湯出口管
21 燃料電池ユニット
22 貯湯ユニット
25 電力計
31 太陽電池パネル
32 パネル熱交換器
34 パネル切換手段
35 バイパス配管
36、43 バイパス切換手段
42 熱交換器切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、太陽電池パネルと、貯湯タンクを備えるとともに、
前記貯湯タンクと、前記太陽電池パネルを冷却するパネル熱交換器と、前記燃料電池の排熱を回収する熱回収用熱交換器とを熱回収配管により順次環状に連接した熱回収経路と、前記熱回収経路に前記パネル熱交換器を迂回するバイパス経路と、
このバイパス経路への通水を切り換える切換手段を設けたハイブリッド発電システム。
【請求項2】
太陽電池パネルの発電電力量を検出し、検出された発電電力量が所定値よりも小さいときはパネル熱交換器をバイパスするバイパス経路に切換手段を切り換える請求項1に記載のハイブリッド発電システム。
【請求項3】
太陽電池パネルの表面温度を検出し、検出された表面温度が所定値よりも低いときはパネル熱交換器をバイパスするバイパス経路に切換手段を切り換える請求項1に記載のハイブリッド発電システム。
【請求項4】
パネル熱交換器の入口および出口の水温を検出し、その検出された温度差が所定値よりも小さいときはパネル熱交換器をバイパスするバイパス経路に切換手段を切り換える請求項1に記載のハイブリッド発電システム。
【請求項5】
パネル熱交換器からの熱回収後の温水と貯湯タンクからの水とを所定温度に調整する混合弁をさらに設け、熱回収用熱交換器に流入する水の温度を所定温度以下に制御する請求項1に記載のハイブリッド発電システム。
【請求項6】
燃料電池と、太陽電池パネルと、貯湯タンクを備えるとともに、
前記貯湯タンクと、前記太陽電池パネルを冷却するパネル熱交換器と、前記燃料電池の排熱を回収する熱回収用熱交換器とを熱回収配管により順次環状に連接した熱回収経路と、前記熱回収経路に前記熱回収用熱交換器を迂回するバイパス経路と、
このバイパス経路への通水を切り換える切換手段を設けたハイブリッド発電システム。
【請求項7】
パネル熱交換器の出口の水温を検出し、その検出された温度が所定値よりも高いときは熱回収用熱交換器をバイパスするバイパス経路に切り換える請求項6に記載のハイブリッド発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−156040(P2012−156040A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14947(P2011−14947)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】