説明

ハイブリッド車両用空調システムの管理方法

蓄冷器(10)に貯蔵できる冷熱を発生するコンプレッサ(8)を備える空調システムのハイブリッド車両用管理方法であって、熱機関がその始動および停止を自動的に操作するコントローラ(34)を備え、熱機関(2)が運転状態にある時、前記蓄冷器(10)の蓄冷レベル(92)が最小閾値を超え、必要な駆動力が最大閾値を下回る時、熱機関の停止(82)を許可し、これら2つの閾値は対応し、前記熱機関(2)が停止状態にある時、前記蓄冷器(10)の蓄冷レベル(92)が最大閾値を下回り、必要な駆動力が最小閾値を上回る時、熱機関(2)の始動(84)を要求し、これら2つの閾値も対応し、車両(6)の駆動に必要な出力と、蓄冷器(10)の蓄冷レベルとを考慮に入れることを特徴とする管理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱機関と代替動力装置とを備える補充可能または補充不可能なハイブリッド自動車両用空調システムの管理方法、およびかかる方法を使用する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両は、一般に、車両駆動用として、一方は可逆的で、もう一方は可逆的でない2つの異なるエネルギー、すなわち典型的には電気エネルギーと燃料とを備蓄している。
【0003】
可逆的エネルギー貯蔵手段への出力の結合には、代替動力装置によって車両に駆動力を与えるために該手段に含まれるエネルギーを利用するか、または、特に減速時に、該貯蔵手段を満たすために、車両の運動エネルギーを利用することが可能である。
【0004】
燃料タンクのエネルギーは熱機関によって機械エネルギーに変換される。電気的代替エネルギーについては、少なくとも1つの電気機械によって機械エネルギーに変換される。
【0005】
運転者の要求や車両の走行条件によっては、特に電気機械を用いることによって、駆動輪に補完的な駆動トルクを与えたり、車両制動時にその駆動輪に制動トルクを供給しながら電気エネルギー貯蔵装置に充電したり、または汚染ガスを排出することなしに電気機械だけで走行したりすることができる。
【0006】
そうすることで、熱機関の動作を最適化し、熱機関による消費を減らすことができる。特に、例えば赤信号などで車両が停止するときや、出力要求が十分に低く、熱機関の低効率時に相当するときには、熱機関が停止されるようにする。この後者の場合には、車両の駆動のために電気機械のみを使用する。
【0007】
変形形態では、ハイブリッド車両は、圧縮空気など、代替動力装置として電気に代わる別のエネルギー源を備えることができる。
【0008】
こうしたハイブリッド車両は、車内の空気の冷却のための空調装置であって、熱機関によって駆動され、冷却液体の蒸発・液化サイクルを作り出すコンプレッサを備える空調装置を一般に装備する。
【0009】
そこで生じる問題は、熱機関が停止すると、コンプレッサが駆動しなくなり、空調装置に供給すべき冷熱を車両が作り出さなくなるということにある。暑い季節に停止が長引くと、車内の室温が上昇し、快適ではなくなりうる。
【0010】
フランス特許公開公報第2866831号に記載されている既知の空調システムは、熱機関の運転時に流体の循環によって冷却される蓄冷器を構成する冷熱貯蔵装置を備えている。車両の停止中は熱機関が止まるため、蓄冷器がその冷熱を放出し、それによって車内を冷却し続ける。
【0011】
車両の停止が長引き蓄冷器が空になることがある場合は、冷熱源を再び確保し、同じ快適さのレベルを保つだけのために熱機関を再始動せざるを得ない。わずかな出力を生ずる熱機関の動作は、最適化されず、高い消費率を含み、燃料消費量および汚染物質の排出量を減らす上で好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】フランス特許公開公報第2866831号
【発明の概要】
【0013】
本発明は、車両の燃料消費を減らすために、先行技術におけるこれらの欠点を回避すること、車両の走行状態に応じて熱機関の始動や停止の瞬間を決定し、蓄冷器の蓄冷状態の最適な管理を可能にする単純で効果的な解決策を提供することを特に目的とする。
【0014】
そこで、本発明は、車両駆動用の1つの熱機関と少なくとも1つの代替動力装置とを備えるハイブリッド車両の空調システムの管理方法であって、その空調システムが、熱機関によって駆動し、蓄冷器に貯蔵できる冷熱を発生させるコンプレッサと、その熱機関の始動、または代わりに代替動力装置を利用するためのその熱機関の停止を自動的に操作する熱機関のコントローラとを有する管理方法において、
− 熱機関が運転状態にある第1走行状態では、蓄冷器の蓄冷レベルが最小閾値を上回り、必要な駆動力が最大閾値を下回るときには熱機関の停止を許可し、これら2つの閾値は変化則によって共有され、
− 熱機関が停止状態にある第2走行状態では、蓄冷器の蓄冷レベルが最大閾値を下回り、必要な駆動力が最小閾値を上回るときには熱機関の始動を要求し、これら2つの閾値はまた変化則によって共有され、
蓄冷器の蓄冷レベルと、車両の特定の駆動力を含む車両の走行状態とを同時に考慮に入れることを特徴とする管理方法を提案する。
【0015】
この熱機関の管理方法の利点は、こうして冷熱レベルと車両の駆動に必要な出力とを考慮に入れながら、熱機関の始動要求を最小限まで減らし、その熱機関の効率が低すぎるときには、代わりに代替動力装置を利用できるところにある。
【0016】
本発明による熱機関の管理方法は、互いに組み合わせることができる以下の特徴のいずれか1つまたは複数をさらに備えることができる。
【0017】
1つの実施形態によれば、走行状態に関して検討するパラメータは、車両の速度および車両の駆動輪の駆動トルクに関係する。
【0018】
1つの特徴的構成によれば、蓄冷器の所与の蓄冷レベルに対して、熱機関の停止許可または始動要求で同じ結果をもたらす走行状態は、大体においてほぼ一定の出力に対応する。
【0019】
1つの形態によれば、車両の速度および駆動トルクに関連する2つの軸を持つグラフで、同じ結果をもたらす動作ポイントからなる曲線は、速度軸またはトルク軸と交わるほぼ直線的な端部を有する。
【0020】
それらの曲線は、蓄冷器の蓄冷レベルが上がると、2つの軸のほぼ中間の方向に上向きに移動し、そのレベルが下がると、下向きに移動することができる。
【0021】
有利には、速度および駆動トルクを表す同一の走行状態に関して、熱機関の停止許可は、その機関の始動要求に必要な蓄冷器の蓄冷レベルよりも高い蓄冷レベルによって行われ、熱機関の始動を要求するゾーンと停止を許可するゾーンとの間にヒステリシスが作り出される。
【0022】
1つの実施形態によれば、蓄冷器が事実上空である場合には、車両の駆動に必要なトルクレベルに関係なく、熱機関の始動が自動的に要求される。
【0023】
本発明は、また、蓄冷器に貯蔵できる冷熱を発生させるために車両の駆動用熱機関によって駆動するコンプレッサを備える空調システムの管理方法を有するハイブリッド車両であって、熱機関は、その始動、または代わりに代替動力装置を利用することを可能にするその停止を自動的に操作するコントローラを備え、その管理方法は上述の特徴のいずれか1つをさらに含むハイブリッド車両も対象とする。
【0024】
1つの実施形態によれば、ハイブリッド車両は、蓄電池によって給電される電気機械を備える代替動力装置を有する。
【0025】
添付の図面を参照しながら例として以下に与えられた明細書を読むことにより、本発明はよりよく理解され、その他の特徴や利点もより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による方法を備えるハイブリッド車両の駆動装置および空調システムを示す図である。
【図2】第1の例において、熱機関の停止許可第1ゾーン及びこの熱機関の始動要求第2ゾーンについて、車両の速度および駆動輪のトルクとの関係で表したグラフである。
【図3】第1の例において、熱機関の停止許可第1ゾーン及びこの熱機関の始動要求第2ゾーンについて、車両の速度および駆動輪のトルクとの関係で表したグラフである。
【図4】第2の例について、熱機関の停止許可ゾーンとその熱機関の始動要求ゾーンを、変速機の入力軸の回転速度およびその入力軸に適用されるトルクの回転速度との関係で表したグラフである。
【図5】熱機関の停止および始動を管理するための決定チャートである。
【図6】時間に応じた動作サイクルについて、先行技術による管理方法と本発明による方法での蓄冷器の蓄冷状態を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明による方法は、複数の電気機械またはその他の種類の代替エネルギーを備えるハイブリッド車両にも適用可能であることに留意しつつ、1つの電気機械を備えるハイブリッド車両について説明する。
【0028】
図1は、駆動輪4を駆動できる熱機関2を備える車両6を模式的に示したものである。同じく車両6の駆動輪4を駆動できる第2の動力装置をなす電気機械12は、電流をインバータ16に送って、その電流の形成を実施する蓄電池14から給電を受ける。
【0029】
電気機械12は、特に車両の制動時にエネルギー回収のために電気エネルギーを発生させ、発生したエネルギーは蓄電池14に貯蔵される。蓄電池14は、さらに、車載可能な充電装置18が電源プラグ20によって配電網につながれることによって、充電される。
【0030】
熱機関2は、液化、次いで蒸発からなるサイクルであって、車両6の空調装置に供給する冷熱を発生させるサイクルに従って回路内を循環する流体を圧縮する空調コンプレッサ8も駆動する。空調コンプレッサ8は、その冷熱を蓄積して、のちに車両6の空調装置に放出する蓄冷器10に対する供給も行う。
【0031】
車両の動作に関する様々な情報を処理する計算機40を備え、制御策を定めるためのデータをメモリに蓄える管理システム30は、コンプレッサコントローラ32、熱機関コントローラ34および電気機械コントローラ36と接続されており、それらの動作を最適化する。
【0032】
とりわけ、管理システム30の制御策は、空調システムの状態、および運転者の要求によって異なる速度や加速などの車両の走行状態を表すパラメータの値に応じて熱機関の始動または停止の命令が変更されるように、熱機関コントローラ34に作用する。
【0033】
図2および図3は、車両の走行状態を表す様々なパラメータの中から2つを用いた第1の例について、車両の速度Vと駆動輪のトルクCを表す2つの軸を持つグラフである。この速度とこのトルクの積は、運転者の要求に従って車両6を移動させるために必要な動力装置出力を表すことが留意されよう。
【0034】
上の曲線50と下の曲線52は、蓄冷器10の所定の蓄冷レベルについて、熱機関の運転または停止の状態を変更するために管理システム30が熱機関コントローラ34に作用する限度を示している。
【0035】
各曲線50、曲線52は、トルクCと速度Vの積がほぼ一定となる中心部であって、一定の出力レベルに相当する中心部を有する。曲線50、曲線52は直線的な端部も有しており、速度軸Vまたはトルク軸Cとほぼ平行をなすそれらの端部は軸と直接交わる。
【0036】
上の曲線50は、熱機関2の始動要求に対応する上部域54を画定するものであり、下の曲線52は、その熱機関の停止許可の下部域56を画定する。互いにずれた形で対をなす2つの曲線52、曲線54の間には、熱機関の始動を強制するゾーンと熱機関の停止を許可するゾーンの間に、この方法の2つの動作モードの間の不安定性を避けるために必要なヒステリシスを画定する中間部域58がある。
【0037】
各対の曲線50、曲線52は、蓄冷器10の所定の蓄冷レベルについて有効である。曲線50、52は、蓄冷器の蓄冷レベルが上がると、2つの軸VとCのほぼ中間の方向に矢印Fに沿って上向きに移動し、そのレベルが下がると、矢印F’に沿って下向きに移動する。
【0038】
曲線50、52は、車両の駆動出力の閾値を示すものであるが、これらには、蓄冷器10の蓄冷レベルというもう1つの閾値が特定の対応関係によって、または変化則によって関連付けられる。
【0039】
空調システムの管理方法の動作は以下のとおりである。
【0040】
トルクCおよび速度Vに関する運転者からの要求に対応する図2の点Aにおける車両6の動作では、熱機関2は運転状態であり、車両を駆動するため、および蓄冷器10に再蓄冷を行いながら車内の空調を提供するコンプレッサ8を駆動するために必要な出力を同時に発生する。
【0041】
蓄冷器10の蓄冷レベルが上がると、曲線50、曲線52は、変化則に従って矢印Fに沿って上向きに移動する。熱機関2の停止を許可する下部斜線域56が動作点Aに達すると、その点はその下部域内に入り、管理システム30はコントローラ34に対してその熱機関の停止許可を出す。
【0042】
その場合、蓄冷器10の蓄冷は十分に高いレベルにあり、車両の駆動に必要な出力も十分に低いために、もはや蓄冷のための動作を熱機関2に課す必要はなく、また、蓄電池14から供給を受けた電気駆動12に移行するために熱機関を停止するのがよいかについては、その動作モードの方がエネルギーの節約になる場合においては、その熱機関のコントローラ34に選択させるのがよいと考える。
【0043】
その場合には、蓄冷器10から冷熱を取り出し、空調装置に供給する。
【0044】
トルクC‘および速度V’に関する運転者からの別の要求に対応する図3の点Bにおける車両6の動作では、熱機関2は停止状態にある。車両6の駆動は、蓄電池14からエネルギーを取り出す電気機械12によって行われ、空調装置に供給される冷熱は蓄冷器10から取り出される。
【0045】
蓄冷器10の蓄冷レベルが下がると、曲線50、曲線52は、変化則に従って矢印F’に沿って下向きに移動する。熱機関2の始動を要求する上部斜線域54が動作点Bに達すると、その点はその上部域内に入り、管理システム30は熱機関2のコントローラ34に対してその熱機関の始動命令を出す。
【0046】
その場合、熱機関2を再始動して、車両の駆動と蓄冷器10の再蓄冷を同時に行った方がエネルギー収支が好ましくなる程、蓄冷器10の蓄冷レベルは不足し、一方で車両の駆動に必要な出力は十分に高いものと判断する。
【0047】
両軸の原点Oは、蓄冷器10が事実上空である場合の曲線50、曲線52の移動位置に相当する。その場合には、車両の駆動に必要なトルクレベルがいかなるものであるかにかかわらず、熱機関2の始動を要求する上部斜線域54に強制的に移行することになり、蓄冷器10を再蓄冷するためにその熱機関を再始動しなければならない。
【0048】
図4は、車両の走行状態を表す他の2つのパラメータを用いた第2の例について、車両の変速機の入力軸の回転速度Nとその入力軸にかかるトルクCapを示す2つの軸を持つグラフである。この回転速度NとこのトルクCapの積も、運転者の要求に従って車両6を移動させるために必要な動力装置出力を表すことが留意されるだろう。
【0049】
上述の例と同様、上の曲線60と下の曲線62も、蓄冷器10の決まった蓄冷レベルについて、熱機関の運転または停止の状態を変更するために管理システム30が熱機関のコントローラ34に作用する限度を示している。
【0050】
各対の曲線60、曲線62は、蓄冷器10の所定の蓄冷レベルについて有効であり、変化則に従って移動する。曲線60、曲線62も同様に、蓄冷器10の蓄冷レベルが上がると、2つの軸N、Capのほぼ中間の方向に矢印Fに沿って上向きに移動し、そのレベルが下がると、矢印F’に沿って下向きに移動する。
【0051】
この例では、上の曲線60と下の曲線62の全体形状は、点Oを中心とした全体として円弧の外観を有することがわかるだろう。
【0052】
図5に示す決定チャートは、管理システム30によって実施され、車両の速度Vと駆動輪のトルクCの値を用いる。
【0053】
決定チャートは、熱機関のコントローラに関連した最適化機能70を含んでおり、まず車両の空調装置72が有効かどうかをチェックする。YESであれば、次に熱機関74が運転中かどうかをチェックする。
【0054】
熱機関が運転中86の場合は、図2に示す状況にある。管理システムは蓄冷器76の蓄冷レベルをチェックし、さらに駆動輪のトルクCおよび車両の速度Vの値78をチェックして、それらを変化則に従ってその動作点について作成された曲線の位置80と比較する。
【0055】
この比較の結果によっては熱機関の停止許可82がもたらされ、その停止許可82は最適化機能70に伝達された後、その機関のコントローラに与えられる。
【0056】
熱機関が停止中88の場合は、図3に示す状況にある。管理システムは蓄冷器76の蓄冷レベルをチェックし、さらに駆動輪のトルクC’および車両の速度V’の値78をチェックして、それらをその動作点について作成された曲線の位置80と比較する。
【0057】
この比較の結果によっては、熱機関の始動要求84が与えられ、その始動要求84は最適化機能70に伝達され、その機関のコントローラに与えられる。
【0058】
本発明による方法により、間断なく動作し続ける車両空調装置と同じ快適さを保ちながら、熱機関または電気機械のエネルギー源選択を最適化し、再生不能エネルギーの消費量および汚染物質の排出量を減らすことができる。
【0059】
実際、車両の駆動に必要な出力が相応に高いときを、十分に低い蓄冷器の再蓄冷のために最大限利用する一方で、そのときの駆動をそのような動作ケースで効率のよい熱機関によって行う。
【0060】
次いで、そうして作り出される高いレベルの蓄冷を、車両の駆動に必要な出力が相応に低いときにその蓄冷器から冷熱を取り出すことにより、熱機関を再始動するのを避けるために利用し、その際に車両の駆動は電気エネルギーによって行うことで、そのような動作ケースで熱機関を効率悪く動作させることが避けられる。
【0061】
図6は、先行技術による管理方法による蓄冷器の蓄冷レベル90と、本発明による方法による蓄冷状態92を、動作サイクルの時間の経過とともに示したグラフである。
【0062】
車両の速度は曲線94によって示され、これには時間t1、t2およびt3における3回の始動が順次含まれるが、それぞれの間には休止時間があり、その間も空調装置を有効に保つことを望む。
【0063】
先行技術による管理方法では、蓄冷器の蓄冷レベル90が0まで落ちるのを待って時間t2に再蓄冷を行う。したがって、この時間t2は、この例ではたまたま車両の再始動94に対応しているが、曲線96に示されるように熱機関の再始動に対応するものである。
【0064】
次いで、熱機関は、車両の駆動に必要な出力とは関係なく、蓄冷器の蓄冷90が最大となる時間t4まで運転状態96が続く。そこに至って初めて、熱機関を止め、代わりに電気動力装置を車両の駆動に利用する。
【0065】
本発明による管理方法では、蓄冷器の蓄冷レベル92が十分に低いときの瞬間t1に、車両の駆動用として十分に高い出力要求を利用して熱機関を始動し、同時に蓄冷器の再蓄冷を行う。時間t2およびt3にも同様に車両の始動を行う。
【0066】
熱機関のこの管理方法は簡単に実施することができ、既存の監視用計算機に、とりわけ、車両の空調管理用またはエンジンの制御用の計算機に経済的に組み込むことができる。
【0067】
変形形態として、この管理方法を、たとえば圧縮空気のような、その他の代替エネルギー源を備えるハイブリッド車両に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動用の1つの熱機関(2)と少なくとも1つの代替動力装置(12)とを備えるハイブリッド車両の空調システムの管理方法であって、前記空調システムが、前記熱機関(2)によって駆動されて、蓄冷器(10)に貯蔵できる冷熱を発生させるコンプレッサ(8)と、前記熱機関の始動、または代わりに代替動力装置を利用するための前記熱機関の停止を自動的に操作する前記熱機関のコントローラ(34)とを有する管理方法において、
− 前記熱機関(2)が運転状態にある第1走行状態では、前記蓄冷器(10)の蓄冷レベル(92)が最小閾値を超え、必要な駆動力が最大閾値を下回る時、熱機関の停止(82)を許可し、これら2つの閾値は変化則によって共有され、
− 前記熱機関(2)が停止状態にある第2走行状態では、前記蓄冷器(10)の蓄冷レベル(92)が最大閾値を下回り、必要な駆動力が最小閾値を上回る時、熱機関(2)の始動(84)を要求し、これら2つの閾値は変化則によって共有され、
前記蓄冷器の蓄冷レベル(92)と、前記車両の特定の駆動力を含む前記車両の走行状態とを同時に考慮に入れることを特徴とする管理方法。
【請求項2】
前記走行状態に関して検討するパラメータが、前記車両の速度(V)および前記車両の駆動輪の駆動トルク(C)に関係することを特徴とする、請求項1に記載の管理方法。
【請求項3】
前記蓄冷器(10)の所与の蓄冷レベルに対して、前記熱機関(2)の前記停止許可または前記始動要求で同じ結果を生じる前記走行状態が、大体においてほぼ一定の出力に対応することを特徴とする、請求項2に記載の管理方法。
【請求項4】
前記車両の速度(V)および駆動トルク(C)に関連する2つの軸を持つグラフで、いずれも同じ結果をもたらす動作ポイントからなる曲線(52、54)が、前記速度軸または前記トルク軸と交わるほぼ直線的な端部を有することを特徴とする、請求項3に記載の管理方法。
【請求項5】
前記曲線(52、54)が、前記蓄冷器(10)の蓄冷レベルが上がると、前記2つの軸(V、C)のほぼ中間の方向に上向きに移動し、そのレベルが下がると、下向きに移動することを特徴とする、請求項4に記載の管理方法。
【請求項6】
速度(V)および駆動トルク(C)を表す同一の走行状態に関して、前記熱機関(2)の前記停止許可が、熱機関の始動要求に必要な蓄冷器(10)の蓄冷レベルよりも高い蓄冷レベルによって行われ、熱機関の始動要求ゾーンと停止許可ゾーンとの間にヒステリシスが作られることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項7】
前記蓄冷器(10)が事実上空である場合には、前記車両の駆動に必要なトルクレベルに関係なく、前記熱機関(2)の始動が自動的に要求されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
蓄冷器(10)に貯蔵できる冷熱を発生させるために車両の駆動用熱機関(2)によって駆動されるコンプレッサ(8)を備える空調システムの管理方法を有するハイブリッド車両であって、前記熱機関が、その始動、または代わりに代替動力装置を利用することを可能にするその停止を自動的に操作するコントローラ(34)を備え、前記管理方法が請求項1ないし7のいずれか一項によって実施されることを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項9】
蓄電池(14)によって給電される電気機械(12)を備える代替動力装置を有することを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−533464(P2012−533464A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520066(P2012−520066)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051433
【国際公開番号】WO2011/007079
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(507274799)プジョー シトロエン オートモビル エス アー (72)
【Fターム(参考)】