ハイブリッド駆動装置
【課題】車両の燃費を改善可能なハイブリッド駆動装置の提供。
【解決手段】ハイブリッド駆動装置は、排気ブレーキ44を搭載したディーゼルエンジン40と、そのディーゼルエンジン40とモーター32との間にあるクラッチ60を備える。排気ブレーキ44は、作動可能な状態と非作動の状態との間で切り替え可能であり、モーメンタリスイッチ46によって、非作動の状態から作動可能な状態へと切り替え可能に形成されている。このモーメンタリスイッチ46は、車両がオンになっているときに作動可能な状態にある排気ブレーキ44を、車両をオフにしたときに非作動の状態へと自動的に切り替えるように形成されている。
【解決手段】ハイブリッド駆動装置は、排気ブレーキ44を搭載したディーゼルエンジン40と、そのディーゼルエンジン40とモーター32との間にあるクラッチ60を備える。排気ブレーキ44は、作動可能な状態と非作動の状態との間で切り替え可能であり、モーメンタリスイッチ46によって、非作動の状態から作動可能な状態へと切り替え可能に形成されている。このモーメンタリスイッチ46は、車両がオンになっているときに作動可能な状態にある排気ブレーキ44を、車両をオフにしたときに非作動の状態へと自動的に切り替えるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ブレーキを含んだハイブリッド駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル車両は、排気ブレーキを備えていることがある。一般に、排気ブレーキとは、排気経路をエンジンから遮断することによってディーゼルエンジンを減速するメカニズムのことである。これにより、排気マニホールドおよびシリンダ内で排気ガスが圧縮される。一般的な排気ブレーキとして、排気流を制限するために閉鎖できる排気システムにおいて、バルブ(バタフライバルブ)を備えた形態のものがあった。排気ブレーキが作動可能(すなわち、排気ブレーキがオンになっているか、作動可能な状態にあるとき)であると、運転者がアクセルペダルを解放した(すなわち、車両を減速したい)ときに、排気ブレーキを形成するバルブが閉まる。バルブが閉状態にあると、シリンダからの排気流が制限されるため、排気ブレーキから排気システム上流に圧力が蓄積される。これによってピストンの上に圧力が加わり、上方へのピストンの移動に抵抗するため、車両のサービスブレーキに加え、エンジンおよび車両を減速する制動トルクが供給される。排気ブレーキが作動可能(すなわち、排気ブレーキがオンになっているか、作動可能な状態にある)な時に、アクセルペダルが踏み込まれると、排気ブレーキが車両のエンジン/車両を減速しないように、排気ブレーキを形成するバルブが開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−276585号公報
【特許文献2】特開2003−284204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に示すとおり、排気ブレーキは、エンジン制御ユニット(ECU)12に接続されたトグル式スイッチ(機械式にオン状態とオフ状態とを切り換えるタイプのスイッチ)(以下、排気ブレーキスイッチという)10によって操作される。エンジン14は同様にECU12に接続されている。この公知の排気ブレーキスイッチ10は、ユーザー(運転者)によって操作可能であり、排気ブレーキをオンにすると排気ブレーキは作動可能な状態になり、排気ブレーキをオフにすると排気ブレーキは非作動の状態となる。運転者が排気ブレーキスイッチ10をオンにすると、運転者がもう一度排気ブレーキスイッチ10を操作するまで、排気ブレーキスイッチ10はオンのままである。運転者が車両の作動中に排気ブレーキスイッチ10を操作して排気ブレーキを作動可能な状態に切り替え、その後、排気ブレーキを非作動状態に切り替えるために排気ブレーキスイッチ10を操作することなしに車両をオフにした(すなわち、イグニッションをオフにした)場合、車両を次回オンにした(始動させた)ときに、排気ブレーキは依然として作動可能な状態にある。この様子が図2に概略的に示されている。ここで、例えばハイブリッド車両であって、駆動および回生機能を有するハイブリッドモーターとエンジンとの間を接続/非接続状態に切り換えるクラッチを備える場合、排気ブレーキの作動状態では制動トルクを伝達するためにクラッチは接続状態となっている。そうすると、ハイブリッドモーターによる回生時においても制動トルク(エンジンのフリクショントルク)をひきずり続けることとなり回生量が少なくなる。したがって燃費効果に対して好ましくないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを含むトランスミッションと、トランスミッションに接続されたエンジンであって、車両の減速中に車両に対する制動効果を発生する作動可能な状態と、車両の減速中に制動効果を発生しない非作動の状態との間で切り替え可能な排気ブレーキを含むエンジンと、トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、を備えるハイブリッド駆動装置に係る。アクセルが車両を加速するために操作されているかどうかを示すアクセル信号を出力するために、アクセルにはアクセルセンサが接続されており、エンジンとハイブリッドモーターとの間にはクラッチが設けられている。クラッチは、ハイブリッドモーターにエンジンを接続する接続状態と、ハイブリッドモーターにエンジンを接続しない非接続状態との間で切り替わるように作動可能である。クラッチを接続状態と非接続状態との間で切り替えるためのクラッチ制御ユニットがクラッチに作動可能に接続されており、かつ操作することによって非作動の状態にある排気ブレーキが作動可能な状態に切り替わるように、モーメンタリスイッチが排気ブレーキに作動可能に接続されている。クラッチ制御ユニットは、車両の駆動中に排気ブレーキがオフ状態にあり、アクセルが作動から非作動に切り替わった場合、クラッチを接続状態から非接続状態へと切り替える。
【0006】
ハイブリッドモーターは、インバータによって制御された電気モーターであり、ハイブリッドバッテリがインバータに接続されており、ハイブリッドモーターによって充電される。クラッチおよびコントローラには、クラッチ制御ユニットを接続することができ、それによってクラッチ制御ユニットは、排気ブレーキがオフ状態にあるかどうか示す信号をコントローラから受け取る。ハイブリッド駆動装置は、車両が減速しているかどうかを示す入力信号をクラッチ制御ユニットに供給するセンサを備えてもよく、このクラッチ制御ユニットは、排気ブレーキがオフ状態であり、車両が減速していることを示す信号を受け取ると、クラッチを操作してエンジンとモーターとの接続を解除する。
【0007】
別の態様によれば、ハイブリッド駆動装置は、車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、エンジンと、エンジンとハイブリッドモーターとの間のクラッチと、を備える。クラッチは、i)クラッチがエンジンとハイブリッドモーターとを接続し、エンジンによって発生された動力がトランスミッションに伝えられる係合状態と、ii)車両減速中、ハイブリッドモーターからエンジンへの接続を切り、エンジンのエンジンフリクションを受けていないときにハイブリッドモーターが回生できる非係合状態と、の間で切り替えるように作動可能である。エンジンは、車両の減速中に車両に対して制動効果を発生させる作動可能な状態と、車両の減速中に車両に対して制動効果を発生させない非作動の状態との間で切り替え可能な排気ブレーキを備える。スイッチは、排気ブレーキを非作動の状態から作動可能な状態に切り替えるように作動可能であり、そのスイッチは、車両をオフにしたときに作動可能な状態から非作動の状態に自動的に切り替わるように構成されている。クラッチには、クラッチ制御ユニットが、係合状態と非係合状態との間でクラッチを切り替えるように作動可能に接続されており、このクラッチ制御ユニットは、排気ブレーキが非作動の状態にあり、かつ、エンジンまたはハイブリッドモーターが作動しているときに車両が減速した場合、クラッチを係合状態から非係合状態に自動的に切り替えるように構成されている。
【0008】
別の態様によれば、ハイブリッド駆動装置は、車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、出力シャフトを回転させ、車両のホイールを駆動するためにトランスミッションに接続されたエンジンであって、i)排気ブレーキが車両の減速中に車両に対する制動効果を発生させるが、車両の加速中には車両に対する制動効果を発生させない作動可能な状態と、ii)排気ブレーキが車両の減速および加速中に車両に対する制動効果を発生させない非作動の状態と、の間で切り替え可能な排気ブレーキを備えるエンジンと、トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、操作することによって作動可能な状態にある排気ブレーキを非作動の状態に切り替え、操作することによって非作動の状態にある排気ブレーキを作動可能な状態に切り替えるように排気ブレーキに作動可能に接続されたスイッチと、車両および/または車両の走行状態に関する情報を受け取り、かつ排気ブレーキに作動可能に接続されている制御ユニットであって、車両および/または走行状態に関して受け取った情報に基づいて、車両が作動している間に、スイッチを操作することなく、排気ブレーキを作動可能な状態から非作動の状態へと切り替える制御ユニットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トグル式排気ブレーキスイッチを搭載した公知の車両駆動装置の概略図である。
【図2】車両のイグニッションの状態と、図1に示す車両駆動装置の排気ブレーキスイッチの状態との関係を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の一実施形態によるハイブリッド駆動装置の概略図である。
【図4】イグニッションの状態と、図3に示すハイブリッド駆動装置の排気ブレーキの状態との関係を示すタイミングチャートである。
【図5】アクセルペダルの状態と、図3に示す、排気ブレーキが非作動の状態にあるときのハイブリッド駆動装置のハイブリッドモーターの状態との関係を示すタイミングチャートである。
【図6A】アクセルペダルの状態と、図3に示すハイブリッド駆動装置のハイブリッドモーターの状態と、クラッチの状態との関係を示すタイミングチャートであり、排気ブレーキが非作動の状態にあるときの関係を示している。
【図6B】アクセルペダルの状態と、図3に示すハイブリッド駆動装置のハイブリッドモーターの状態と、クラッチの状態との関係を示すタイミングチャートであり、排気ブレーキが作動可能な状態であるときの関係を示している。
【図7】排気ブレーキを、例えば非作動の状態に自動的にリセットするための1つの選択可能な方法を示すプログラムルーチンである。
【図8】排気ブレーキを、例えば非作動の状態に自動的にリセットするための別の方法を示すプログラムルーチンである。
【図9】排気ブレーキを、例えば非作動の状態に自動的にリセットするためのさらなる別の方法を示すプログラムルーチンである。
【図10】排気ブレーキを、例えば非作動の状態に自動的にリセットするためのさらに別の方法を示すプログラムルーチンである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によって開示されるハイブリッド駆動装置のさらなる特徴および詳細は、添付の図面を参照し考慮することにより、以下の詳細な説明に基づき一層明らかになるであろう。
図3は、車両用ハイブリッド駆動装置、さらに具体的には、ディーゼルエンジンのハイブリッド駆動装置を概略的に示している。以下に詳述するとおり、ハイブリッド駆動装置は、排気ブレーキ44を搭載している。
【0011】
図3において概略を示すとおり、このハイブリッド駆動装置は、モーター32に接続されたトランスミッション30を備えており、モーター32は、インバータ36を介してバッテリ34に接続されている。モーター32は、電気モーターおよびジェネレータの双方として作動するハイブリッドモーターであり、バッテリ34は再充電が可能なハイブリッドバッテリである。一例として開示された図示の実施形態において、トランスミッション30は、オートマチックトランスミッションである。モーター32は、駆動源として機能するディーゼルエンジン40にも接続されている。ディーゼルエンジン40はエンジン制御ユニット42に接続され、エンジン制御ユニット42により制御され、モーター32はモーター制御ユニット38に接続され、モーター制御ユニット38により制御され、バッテリ34はバッテリ制御ユニット35に接続され、バッテリ制御ユニット35により制御され、トランスミッション30はトランスミッション制御ユニット37に接続され、トランスミッション制御ユニット37により制御される。図3に示すとおり、エンジン制御ユニット42、モーター制御ユニット38、バッテリ制御ユニット35、トランスミッション制御ユニット37およびハイブリッド制御ユニット39は、相互に接続されており、互いに通信する。ここで、具体的にはモーター制御ユニット38が、インバータ36の中に入っている構成としてもよい。
【0012】
前の段落に記載されているディーゼルエンジンのハイブリッド駆動装置の特徴、それらの特徴が作動して互いに作用する方法、およびディーゼルエンジンのハイブリッド駆動装置の作動態様は公知であることから、ここでは詳しく記載しない。ディーゼルエンジンのハイブリッド駆動装置とかかる装置とを使用した車両の具体例は、三菱キャンター(登録商標)ハイブリッド車両と、コンテナ貨物車両で使用されるイートン・ハイブリッド・システムがある。
【0013】
モーター32およびディーゼルエンジン40は駆動源として機能し、トランスミッション30は、ディーゼルエンジン40および/またはモーター32によって発生されるトルクによって駆動される公知のギア機構(プラネタリギア機構)を備えており、モーター32またはディーゼルエンジン40から動力の少なくとも一部がトランスミッション30の回転出力シャフト31に配分され、最終的には、回転出力シャフト31に接続された車両のホイール33のうちの少なくともいくつかに配分されるようになっている。ハイブリッド駆動装置は、パラレルハイブリッドシステム、シリーズハイブリッドシステム、あるいは動力分割式ハイブリッドシステムであってよい。
【0014】
また、ここに開示されたハイブリッド駆動装置は、概略的に描かれたディーゼルエンジン40の排気装置50内に、概略的に示された排気ブレーキ44も備える。排気ブレーキ44は排気装置50内に配置され、排気流を制限または遮断するために閉位置へと作動可能なバルブを伴う既知の構造を採用することができる。排気ブレーキ44がオンになっているか、作動可能な状態にある場合、運転者がアクセルペダルを戻すとバルブが閉じて排気流を遮断し、運転者がアクセルペダルを踏んでいるか、あるいは加速するために踏み込んだ場合、バルブが開いて排気流を許容する。排気ブレーキ44がオフになっているか、非作動の状態にある場合、排気ブレーキ44を形成しているバルブが常に開いたままになっており、排気バルブの位置がアクセルの押し込み/戻し中に変わらないようになっている。
【0015】
エンジン制御ユニット42は、排気ブレーキ44を作動可能な状態と非作動の状態との間で切り替えるためのスイッチ46に接続されている。このスイッチ46は、モーメンタリスイッチ(以下、モーメンタリスイッチ46という)である。排気ブレーキ44は、モーメンタリスイッチ46を操作することによってオンになる。モーメンタリスイッチ46は、限られた継続時間だけ、すなわちスイッチ46が押されている、あるいは、操作されている間だけ電流を印加することを許容するバイアスタイプのスイッチである。この点に関して、モーメンタリスイッチ46は、操作されたとき、あるいは押されたときに、排気ブレーキ44が作動可能な状態または非作動の状態に切り替わる必要があることを示す信号を生成する信号生成器として機能する。
【0016】
モーメンタリスイッチ46は、運転者が比較的容易にアクセスできる車内に設けられるのが好ましい。排気ブレーキ44を非作動の状態から作動可能な状態へと切り替えるために、運転者は、モーメンタリスイッチ46を操作する。モーメンタリスイッチ46の操作により、信号がエンジン制御ユニット42に送られ、その後、排気ブレーキ44が作動可能な状態になる。運転者は、モーメンタリスイッチ46をもう1度操作することにより、別の信号がエンジン制御ユニット42に送られて、排気ブレーキ44が非作動の状態に変わり、それによって、排気ブレーキ44をオフにする(排気ブレーキを非作動の状態に切り替える)ことができる。
【0017】
排気ブレーキ44を操作するためのモーメンタリスイッチ46を備えるようにシステムを構成することはメリットが相当に大きい。モーメンタリスイッチ46を操作して排気ブレーキ44を作動可能な状態に変え、その後、モーメンタリスイッチ46をもう1度操作して、排気ブレーキ44を非作動の状態に切り替えることなしに車両をオフにすると、イグニッションスイッチが操作されるたびに、排気ブレーキ44が自動的に非作動の状態へとリセットされる。すなわち、排気ブレーキ44が作動可能な状態となるようにモーメンタリスイッチ46が操作され、その後、モーメンタリスイッチ46をもう1度操作して排気ブレーキ44を非作動の状態に切り替えることなく車両のエンジンまたはイグニッションスイッチをオフにすると、排気ブレーキ44が自動的にオフになるか、あるいは非作動の状態へと自動的にリセットされる。この様子が図4で示されている。図4に示すとおり、車両の作動中(イグニッションスイッチがオンになっているとき)にモーメンタリスイッチ46を操作して排気ブレーキ44をオンにするか、作動可能な状態に切り替えると、排気ブレーキ44が作動する。排気ブレーキ44が作動可能な状態にあるときにアクセルペダルが解放されると、エンジンブレーキがエンジン/車両速度を減少させる。車両をオフにする(イグニッションスイッチをオフにする)と、図4の矢印によって示されるとおり、排気ブレーキ44が自動的にオフにリセットされるか、あるいは非作動の状態へと切り替わる。車両を次回オンにした(イグニッションスイッチをオンにした)ときには、排気ブレーキ44が非作動の状態である。これは燃費改善に寄与するため、メリットが相当に大きい。
【0018】
車両をオフに(イグニッションスイッチをオフに)したときに排気ブレーキ44が作動可能な状態のままだと、車両を次回オンにしたときに、排気ブレーキ44が直ちに作動可能になる(すなわち、排気ブレーキ44が作動可能な状態になる)。しかしその状態では、排気ブレーキ44が必要でないか、あるいは使用を望まない可能性が非常に高いため、無用な燃費低減となる。とりわけ、燃費改善に特別に適応したハイブリッド車両の場合に、これは望ましくない結果である。そのため、モーメンタリスイッチ46を使用することにより、運転者が車両をオフにする前に排気ブレーキ44をオフにするのを忘れた場合に発生する問題を回避する。
【0019】
ここに開示される車両用ハイブリッド駆動装置は、移動中の車両の運動エネルギーを、貯蔵されるエネルギーに変換することによって車両を減速するエネルギー回生に利用される。減速/制動時に失われるエネルギーの一部を取り戻すために、モーター32が減速/制動時のジェネレータとして使用される。このエネルギーはバッテリ34に蓄積され、その後車両を加速する目的で使用される。
【0020】
このエネルギー回生を、上記した排気ブレーキ44およびモーメンタリスイッチ46と組み合わせて効果的に使用するために、ここに開示される車両用ハイブリッド駆動装置は、エンジン(ディーゼルエンジン40)とモーター32との間に配置され、作動可能に連結されたクラッチ60も備える。したがって、トランスミッション30は、ハイブリッドモーター32に対し、クラッチ60が接続されている端部の反対側にある端部に接続されている。
【0021】
排気ブレーキ44が非作動の状態にある場合、運転者が車両の減速を助ける排気制動を望まないか、あるいは必要としないことを表す。それは、車両が重い荷物を運んでいない、比較的平坦な道路を走行している、急な坂道を走行していない、あるいは、その他の理由のためである。このような状態では、車両が減速しているときに、エンジンからモーター32を分離させるか接続を切って、エンジンフリクションから駆動系統を自由にすることによってモーター回生を最大化できるのが望ましい。この措置は、クラッチ60によって可能である。排気ブレーキ44が非作動の状態であり、車両が減速している(すなわち、アクセルペダルが操作されていない)ときには、クラッチ60が切られた状態、あるいは接続解除された状態にあり、駆動系統がエンジンフリクションを受けないようにモーター32がディーゼルエンジン40から係合解除または接続解除されている。このようにして、モーター回生の機会が最大化される。その一方で、排気ブレーキ44が非作動の状態にあり、かつ車両が加速している(アクセルペダルが踏み込まれている)ときには、クラッチ60が係合または接続された状態にあり、クラッチ60がディーゼルエンジン40とモーター32とを係合または接続する。同様に、排気ブレーキ44が作動可能な状態にあるときには、クラッチ60が常に係合または接続された状態にあり、ディーゼルエンジン40およびモーター32がクラッチ60によって係合されている。係合状態(接続状態)と非係合状態(非接続状態)との間および、その逆の間でのクラッチ60の切り替えは、クラッチ制御ユニット62によって実行および制御されることができる。したがって、クラッチ制御ユニット62は、車両の駆動中に、排気ブレーキ44がオフ状態にあり、かつ、アクセルペダルが作動から非作動に切り替わった時、クラッチ60を接続状態から非接続状態へと切り替える。また、クラッチ制御ユニット62は、車両の駆動中に、非作動の状態にある排気ブレーキ44が作動可能な状態に切り替えられ、かつ、アクセルペダルが非作動から作動へと切り替わったことが検出された時、クラッチ60を非接続状態から接続状態へと切り替える。係合または非係合状態(接続または非接続状態)との間での変更を含め、クラッチ60を、エンジン制御ユニット42、モーター制御ユニット38、またはトランスミッション制御ユニット37によって制御することも可能である。
【0022】
上記クラッチ60の制御操作を実現する1つの方法は、図3に示すアクセルペダル64(アクセル)の作動を検知するセンサ66を設けることを必要とする。センサ66からのアクセル信号は、ハイブリッド制御ユニット39に送信可能なアクセルペダル位置情報(車両の加速または減速を特定する)を供給する。ハイブリッド制御ユニット39は、排気ブレーキ44の作動状態(すなわち、排気ブレーキ44が作動可能な状態または非作動の状態のどちらにあるか)に関する信号(例えばエンジン制御ユニット42から)を受け取ることもできる。ハイブリッド制御ユニット39は、受け取った信号/情報に基づいて、クラッチ60を係合すべきか係合解除すべきかを判定する時、トランスミッション制御ユニット37に問い合わせて、クラッチ60が係合できるか係合解除できるかを判定することができる。クラッチ60を係合または係合解除できることを示す応答を受け取った後、クラッチ60は、上記のとおり、モーター32をディーゼルエンジン40に対し係合または係合解除するように適切に制御することができる。この制御は、ハイブリッド制御ユニット39からの入力を受け取った後に、クラッチ制御ユニット62によって実行することができる。また、アクセル信号を受信するために、センサ66にエンジン制御ユニット42を接続し、さらに、クラッチ60を制御する目的でアクセルペダル64の作動に関する情報をクラッチ制御ユニット62に供給するために、エンジン制御ユニット42をクラッチ制御ユニット62に接続してもよい。
【0023】
図5は、上記したものと一致するアクセルペダル64の作動とモーター32との関係を示す。図5の丸囲み部分は、上記クラッチ60の作動の結果を示す。排気ブレーキ44が非作動の状態にある場合に、アクセルペダル64がオフのとき(すなわち減速中)にクラッチ60がオフ(非係合状態)にされると、駆動系統がエンジンフリクションを受けておらず、かつ排気ブレーキ44を原因とするエネルギー損失がないので、回生量が増加または最大化される。図6Aおよび図6Bは、アクセルペダル64の状態(オン/踏み込みまたはオフ/解放)と、図3に示すハイブリッド駆動装置のモーター32の状態と、クラッチ60の状態(オン/係合またはオフ/非係合)との関係を示しており、図6Aは、排気ブレーキ44がオフ(非作動の状態)にあるときの関係、図6Bは、排気ブレーキ44がオン(作動可能な状態)にあるときの関係を示している。図6Aおよび6Bにおける丸囲み部分を比較すると、矢印によって特定される図6Bの網かけ領域は、排気ブレーキ44が非作動の状態にあり、かつ減速しているときにクラッチ60を操作して、ディーゼルエンジン40からモーター32を係合解除し、駆動系統がエンジンフリクションを受けないようにすることによって成し遂げられるさらなる回生を表す。
【0024】
前述のとおり、モーメンタリスイッチ46は、車両をオフにした後に排気ブレーキ44が作動可能な状態(オン)に維持されないようにすることによって燃費の改善を助ける。排気ブレーキ44の適切な作動および制御と関連付けられた燃費の改善は、他の方法で実現することもできる。
【0025】
例えば、比較的重い荷物を輸送する輸送車両であれば、少なくともいくつかの状態で排気ブレーキ44を使用することによるメリットがある。しかし、車両が荷物を配送した後(例えば、車両から荷物を降ろした時、あるいはトレーラを牽引していない時)は、その車両で排気ブレーキ44を作動させる必要がなくなる可能性がある。その状態では、排気ブレーキ44を自動的にオフにするか、排気ブレーキ44を自動的にリセットして、排気ブレーキ44が非作動の状態となるようにするのが望ましい。これは、車両の重量に関する信号またはフィードバックを供給する適切なセンサまたは複数のセンサ(図3で43と概略的に明示)を使用して達成することができ、かかるセンサ43の出力は、エンジン制御ユニット42へと送られる。この方法では、車両重量が重量閾値未満であると判定されると、エンジン制御ユニット42が、排気ブレーキ44を自動的にオフにするか、排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットして、排気ブレーキ44が非作動の状態となるようにする。こうして、車両重量が軽い状態で排気ブレーキ44をキャンセルすることにより、燃費の改善を助ける。
【0026】
この選択可能な方法による、制御ユニット(ハイブリッド制御ユニット39など)によって実行される制御ルーチンの一例が、図7に示されている。ステップS60で、排気ブレーキ44が作動可能な状態にある(すなわち、排気ブレーキ44がオンである)と制御ユニットが判定し、ステップS61へと移って、制御ユニットが、例えばセンサ43からの入力に基づいて、車両重量(推定車両重量)が所定の重量閾値よりも軽い、あるいは小さいか否かを推定する。「はい」の場合は、制御がステップS62に移り、排気ブレーキ44が非作動の状態へと自動的に切り替わる(すなわち、排気ブレーキ44がオフにリセットされるか、オフになる)。ステップS61で車両重量が所定の閾値よりも大きいと推定された場合には、ステップS63において、排気ブレーキ44が作動可能な状態に維持され(すなわち、オンの状態が保たれ)、ルーチンはステップS60に戻る。図7に示すルーチンは、ステップS61での結果によって排気ブレーキ44が非作動の状態に切り替わるまで継続される。
【0027】
別の方法としては、車両の加速/減速に基づいて排気ブレーキ44を非作動の状態に自動的に切り替える(排気ブレーキ44をオフにするか、あるいは排気ブレーキ44をオフ状態にリセットする)ことを伴う。たとえば、車両の加速/減速に関するフィードバックをエンジン制御ユニット42に供給する適切なセンサ(例えば、図3に示すセンサ66)を含めることにより、ハイブリッド制御ユニット39の指示または制御下にあるクラッチ制御ユニット62が、排気ブレーキ44を非作動の状態へと自動的に切り替えることができる。こうして、道路または車両の状態で必要ない場合に排気ブレーキ44をキャンセルすることにより、燃費の改善を助ける。例えば、車両の加速を、車両の重量または積載量を表すものとして使用してもよい。車両が供給された所定の駆動力の下でかなり速く加速できることが、例えば車両に搭載された適切なセンサからの入力信号によって示される場合には、車両の積荷が比較的軽いか、あるいはそれほど大きな重量を運んでいないことを表し、したがって、排気ブレーキ44をオフにできることを表す。このように、車両の加速が、供給される駆動力を考慮した所定の閾値を超えた場合(例えば、加速比が所定の加速比閾値よりも大きい場合)には、制御ユニットが、車両の積荷が軽く、排気ブレーキ44を自動的にオフにできると判断する。
【0028】
車両減速も、排気ブレーキ44をオフする理由となり得る車両状態または道路勾配を表すものとして使用してもよい。車両がかなり速く減速している(所定の減速比閾値よりも大きい)場合は、排気ブレーキ44が必要でない可能性があることを表す。この状態は、車両が上り坂を走行している場合に起こり得る。このように、車両減速が所定の減速比閾値よりも大きい場合には、制御ユニットが排気ブレーキ44を自動的にオフにすることができる。なお、車両減速比として、フットブレーキの操作量を考慮した、例えばフットブレーキによる減速比を差し引いたものを閾値と比較してもよい。
【0029】
加速/減速に基づいて制御ユニット(ハイブリッド制御ユニット39など)によって実行される制御ルーチンの一例が、図8に示されている。制御ルーチンは、排気ブレーキ44が作動可能な状態にある(すなわちオンになっている)ステップS70から始まり、ステップS71に進んで、アクセルペダル64がオフである(すなわち、操作されたり踏み込まれたりしていない)かどうかが判定される。アクセルペダル64がオフであると判定された場合、ルーチンはステップS74に進み、車両減速が所定の減速閾値または所定の減速比閾値よりも大きい(超えている)かどうかが判定される。「はい」の場合は、ステップS73で排気ブレーキ44がオフになるか、オフにリセットされて、排気ブレーキ44が自動的に非作動の状態へと切り替わる。
【0030】
ステップS71において、アクセルペダル64が作動状態にある(すなわちオンである)と判定された場合、ルーチンはステップS72に進み、車両加速が所定の加速閾値または所定の加速比閾値よりも大きいかどうかが判定される。「はい」の場合は、ステップS73で排気ブレーキ44が再びオフにリセットされて、排気ブレーキ44が自動的に非作動の状態へと切り替わる。ステップS72で車両の加速が加速閾値よりも小さいと判定された場合には、排気ブレーキ44がステップS75で作動可能な状態に維持され、ルーチンが繰り返される。同様に、ステップS74で車両減速が所定の加速比閾値よりも小さいと判定された場合には、排気ブレーキ44はステップS75で作動可能な状態で維持され、ルーチンが繰り返される。
【0031】
別の方法としては、道路の勾配に基づいて、排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットすること、または排気ブレーキ44を自動的に非作動の状態へと切り替えることを伴う。ここでは、ジャイロスコープまたは他の適切なセンサ(図3で45と概略的に明示)を使用して、エンジン制御ユニット42に信号を供給することができる。ジャイロスコープまたは他の適切なセンサ45からのフィードバックが比較的平坦または上りの路面を表す場合には、排気ブレーキ44が必要である可能性は低い。ジャイロスコープまたは他の適切なセンサ45からの信号をエンジン制御ユニット42に供給することにより、車両が走行している路面が比較的平坦または上りであることを信号が示している場合に、エンジン制御ユニット42が排気ブレーキ44を自動的に非作動の状態へと変えたり、排気ブレーキ44を自動的にリセットしたりすることができる。こうして、特定の道路勾配状態のときに排気ブレーキ44をキャンセルすることにより、燃費の改善を実現することができる。
【0032】
道路勾配に基づいて制御ユニット(ハイブリッド制御ユニット39など)によって実行される制御ルーチンの一例が、図9に示されている。ルーチンは、排気ブレーキ44が作動可能な状態にあるステップS80から始まり、ステップS81に進んで、道路勾配が上りと推定されるか、平坦と推定されるか、下り勾配閾値よりも小さいと推定されるか否かが判定される。ステップS81の答えが「はい」である場合、ルーチンはステップS82に進み、排気ブレーキ44がオフにリセットされるか、自動的に非作動の状態へと切り替わる。ステップS81における判定が「いいえ」である場合、排気ブレーキ44はステップS83で作動可能な状態に維持され、ルーチンが繰り返される。
【0033】
さらなる別の方法は、バッテリ状態に基づいて、排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットすること、または排気ブレーキ44を自動的に非作動の状態へと切り替えることを伴う。ここで、バッテリ34の充電状態が比較的低い場合には、減速中に発生するエネルギー回生を使用してバッテリ34を充電するのが好ましい。このような理由から、排気ブレーキ44を自動的に非作動の状態へと切り替えて(場合によっては排気ブレーキ44を減らして)、減速中のエネルギー回生を使用したバッテリ充電が優先されるようにするのが好ましい。
【0034】
この別の方法にかかる、制御ユニット(ハイブリッド制御ユニット39など)によって実行される制御ルーチンの一例が、図10に示されている。このルーチンは、排気ブレーキ44がオンであるステップS90から開始され、ステップS91に進んで、バッテリ34の充電状態が閾値量または充電状態閾値よりも少ないか否かを制御ユニットが判定する。バッテリ34の充電状態は、適切なバッテリ充電状態インジケータ(図3で47と概略的に明示)を備えることによって判定することができる。ステップS91の判定が「はい」である場合、ルーチンはステップS92に進み、排気ブレーキ44が自動的に非作動の状態に設定されるか、あるいは低減されて、バッテリ充電が優先される。一方、ステップS91でバッテリ34の充電状態が閾値未満でないと判定された場合には、排気ブレーキ44をステップS93で作動可能な状態に維持することができ、ルーチンが繰り返される。
【0035】
例として上記し、かつ図7〜図10に示した各種の選択可能な方法では、エンジン制御ユニット42が、車両に関する情報および/または車両の走行状態に関する情報(例えば、車両重量に関する情報、加速または減速を示すアクセルペダル64の作動または非作動に関する情報、道路勾配に関する情報、およびバッテリ34の充電状態に関する情報)を受け取る。エンジン制御ユニット42は、車両によって受け取られた情報に基づき、作動可能な状態から非作動の状態へと排気ブレーキ44を切り替える。このような非作動の状態への排気ブレーキ44の自動切り替えは、車両が作動している(イグニッションがオンである)ときに、モーメンタリスイッチ46を操作せずに行われる。すなわち、エンジン制御ユニット42は、イグニッション(車両)がオフになったからではなく、モーメンタリスイッチ46が操作されたからでもなく、車両に関する情報および/または車両の走行状態に関する情報に基づいて排気ブレーキ44を非作動の状態に切り替える。
【0036】
排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットしたり、排気ブレーキ44を非作動の状態に自動的に切り替えたりするための別の方法として、既に述べたトグル式スイッチを使用することが可能だが、この方法は、排気ブレーキ44がオンになったきに、車内において運転者が容易に視認できる位置で発光するフラッシュ・排気ブレーキ・ステータス・ライトを必要とする。このようにして、排気ブレーキ44がオンになっていることを運転者に知らせる。運転者が排気ブレーキ44をオンにしたくない場合には、この信号が、運転者に排気ブレーキ44をオフにするよう促すメカニズムを提供する。排気ブレーキ44が上記のとおりモーメンタリスイッチ46によって作動する場合には、類似のメカニズムまたは装置を使用することもできる。
【0037】
排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットしたり、排気ブレーキ44を自動的にオフにしたりするための上記した選択可能な方法はすべて、上記したクラッチ60およびクラッチ制御ユニット62と共に使用することができる。上記したものおよび図7〜図10に示す選択可能な方法は、個々に使用することも、すべて一緒に使用することも、あるいは2つ以上の任意の組合せで使用することもできる。
【0038】
上記の詳細な説明においては、一例として車両用のハイブリッド駆動装置の実施形態としての特徴および態様が記載されている。ただし本発明は、記載どおりの実施形態および変形例に限定されない。添付の特許請求の範囲に定める本発明の思想と範囲から逸脱しない限り、各種変更、修正および均等物が当業者によって使用されてもよい。このようなすべての変更、修正および均等物は、特許請求の範囲に収まる限り、特許請求の範囲によって包含されることは明確である。
【符号の説明】
【0039】
図面中、30はトランスミッション、31は回転出力シャフト(出力シャフト)、32はモーター(ハイブリッドモーター)、33はホイール、34はバッテリ(ハイブリッドバッテリ)、35はバッテリ制御ユニット(制御ユニット)、36はインバータ、37はトランスミッション制御ユニット(制御ユニット)、38はモーター制御ユニット(制御ユニット)、39はハイブリッド制御ユニット(制御ユニット)、40はディーゼルエンジン、42はエンジン制御ユニット(制御ユニット)、44は排気ブレーキ、46はモーメンタリスイッチ(スイッチ)、60はクラッチ、62はクラッチ制御ユニット(制御ユニット)、64はアクセルペダル(アクセル)、66はセンサ(アクセルセンサ)を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ブレーキを含んだハイブリッド駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル車両は、排気ブレーキを備えていることがある。一般に、排気ブレーキとは、排気経路をエンジンから遮断することによってディーゼルエンジンを減速するメカニズムのことである。これにより、排気マニホールドおよびシリンダ内で排気ガスが圧縮される。一般的な排気ブレーキとして、排気流を制限するために閉鎖できる排気システムにおいて、バルブ(バタフライバルブ)を備えた形態のものがあった。排気ブレーキが作動可能(すなわち、排気ブレーキがオンになっているか、作動可能な状態にあるとき)であると、運転者がアクセルペダルを解放した(すなわち、車両を減速したい)ときに、排気ブレーキを形成するバルブが閉まる。バルブが閉状態にあると、シリンダからの排気流が制限されるため、排気ブレーキから排気システム上流に圧力が蓄積される。これによってピストンの上に圧力が加わり、上方へのピストンの移動に抵抗するため、車両のサービスブレーキに加え、エンジンおよび車両を減速する制動トルクが供給される。排気ブレーキが作動可能(すなわち、排気ブレーキがオンになっているか、作動可能な状態にある)な時に、アクセルペダルが踏み込まれると、排気ブレーキが車両のエンジン/車両を減速しないように、排気ブレーキを形成するバルブが開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−276585号公報
【特許文献2】特開2003−284204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に示すとおり、排気ブレーキは、エンジン制御ユニット(ECU)12に接続されたトグル式スイッチ(機械式にオン状態とオフ状態とを切り換えるタイプのスイッチ)(以下、排気ブレーキスイッチという)10によって操作される。エンジン14は同様にECU12に接続されている。この公知の排気ブレーキスイッチ10は、ユーザー(運転者)によって操作可能であり、排気ブレーキをオンにすると排気ブレーキは作動可能な状態になり、排気ブレーキをオフにすると排気ブレーキは非作動の状態となる。運転者が排気ブレーキスイッチ10をオンにすると、運転者がもう一度排気ブレーキスイッチ10を操作するまで、排気ブレーキスイッチ10はオンのままである。運転者が車両の作動中に排気ブレーキスイッチ10を操作して排気ブレーキを作動可能な状態に切り替え、その後、排気ブレーキを非作動状態に切り替えるために排気ブレーキスイッチ10を操作することなしに車両をオフにした(すなわち、イグニッションをオフにした)場合、車両を次回オンにした(始動させた)ときに、排気ブレーキは依然として作動可能な状態にある。この様子が図2に概略的に示されている。ここで、例えばハイブリッド車両であって、駆動および回生機能を有するハイブリッドモーターとエンジンとの間を接続/非接続状態に切り換えるクラッチを備える場合、排気ブレーキの作動状態では制動トルクを伝達するためにクラッチは接続状態となっている。そうすると、ハイブリッドモーターによる回生時においても制動トルク(エンジンのフリクショントルク)をひきずり続けることとなり回生量が少なくなる。したがって燃費効果に対して好ましくないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを含むトランスミッションと、トランスミッションに接続されたエンジンであって、車両の減速中に車両に対する制動効果を発生する作動可能な状態と、車両の減速中に制動効果を発生しない非作動の状態との間で切り替え可能な排気ブレーキを含むエンジンと、トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、を備えるハイブリッド駆動装置に係る。アクセルが車両を加速するために操作されているかどうかを示すアクセル信号を出力するために、アクセルにはアクセルセンサが接続されており、エンジンとハイブリッドモーターとの間にはクラッチが設けられている。クラッチは、ハイブリッドモーターにエンジンを接続する接続状態と、ハイブリッドモーターにエンジンを接続しない非接続状態との間で切り替わるように作動可能である。クラッチを接続状態と非接続状態との間で切り替えるためのクラッチ制御ユニットがクラッチに作動可能に接続されており、かつ操作することによって非作動の状態にある排気ブレーキが作動可能な状態に切り替わるように、モーメンタリスイッチが排気ブレーキに作動可能に接続されている。クラッチ制御ユニットは、車両の駆動中に排気ブレーキがオフ状態にあり、アクセルが作動から非作動に切り替わった場合、クラッチを接続状態から非接続状態へと切り替える。
【0006】
ハイブリッドモーターは、インバータによって制御された電気モーターであり、ハイブリッドバッテリがインバータに接続されており、ハイブリッドモーターによって充電される。クラッチおよびコントローラには、クラッチ制御ユニットを接続することができ、それによってクラッチ制御ユニットは、排気ブレーキがオフ状態にあるかどうか示す信号をコントローラから受け取る。ハイブリッド駆動装置は、車両が減速しているかどうかを示す入力信号をクラッチ制御ユニットに供給するセンサを備えてもよく、このクラッチ制御ユニットは、排気ブレーキがオフ状態であり、車両が減速していることを示す信号を受け取ると、クラッチを操作してエンジンとモーターとの接続を解除する。
【0007】
別の態様によれば、ハイブリッド駆動装置は、車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、エンジンと、エンジンとハイブリッドモーターとの間のクラッチと、を備える。クラッチは、i)クラッチがエンジンとハイブリッドモーターとを接続し、エンジンによって発生された動力がトランスミッションに伝えられる係合状態と、ii)車両減速中、ハイブリッドモーターからエンジンへの接続を切り、エンジンのエンジンフリクションを受けていないときにハイブリッドモーターが回生できる非係合状態と、の間で切り替えるように作動可能である。エンジンは、車両の減速中に車両に対して制動効果を発生させる作動可能な状態と、車両の減速中に車両に対して制動効果を発生させない非作動の状態との間で切り替え可能な排気ブレーキを備える。スイッチは、排気ブレーキを非作動の状態から作動可能な状態に切り替えるように作動可能であり、そのスイッチは、車両をオフにしたときに作動可能な状態から非作動の状態に自動的に切り替わるように構成されている。クラッチには、クラッチ制御ユニットが、係合状態と非係合状態との間でクラッチを切り替えるように作動可能に接続されており、このクラッチ制御ユニットは、排気ブレーキが非作動の状態にあり、かつ、エンジンまたはハイブリッドモーターが作動しているときに車両が減速した場合、クラッチを係合状態から非係合状態に自動的に切り替えるように構成されている。
【0008】
別の態様によれば、ハイブリッド駆動装置は、車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、出力シャフトを回転させ、車両のホイールを駆動するためにトランスミッションに接続されたエンジンであって、i)排気ブレーキが車両の減速中に車両に対する制動効果を発生させるが、車両の加速中には車両に対する制動効果を発生させない作動可能な状態と、ii)排気ブレーキが車両の減速および加速中に車両に対する制動効果を発生させない非作動の状態と、の間で切り替え可能な排気ブレーキを備えるエンジンと、トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、操作することによって作動可能な状態にある排気ブレーキを非作動の状態に切り替え、操作することによって非作動の状態にある排気ブレーキを作動可能な状態に切り替えるように排気ブレーキに作動可能に接続されたスイッチと、車両および/または車両の走行状態に関する情報を受け取り、かつ排気ブレーキに作動可能に接続されている制御ユニットであって、車両および/または走行状態に関して受け取った情報に基づいて、車両が作動している間に、スイッチを操作することなく、排気ブレーキを作動可能な状態から非作動の状態へと切り替える制御ユニットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トグル式排気ブレーキスイッチを搭載した公知の車両駆動装置の概略図である。
【図2】車両のイグニッションの状態と、図1に示す車両駆動装置の排気ブレーキスイッチの状態との関係を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の一実施形態によるハイブリッド駆動装置の概略図である。
【図4】イグニッションの状態と、図3に示すハイブリッド駆動装置の排気ブレーキの状態との関係を示すタイミングチャートである。
【図5】アクセルペダルの状態と、図3に示す、排気ブレーキが非作動の状態にあるときのハイブリッド駆動装置のハイブリッドモーターの状態との関係を示すタイミングチャートである。
【図6A】アクセルペダルの状態と、図3に示すハイブリッド駆動装置のハイブリッドモーターの状態と、クラッチの状態との関係を示すタイミングチャートであり、排気ブレーキが非作動の状態にあるときの関係を示している。
【図6B】アクセルペダルの状態と、図3に示すハイブリッド駆動装置のハイブリッドモーターの状態と、クラッチの状態との関係を示すタイミングチャートであり、排気ブレーキが作動可能な状態であるときの関係を示している。
【図7】排気ブレーキを、例えば非作動の状態に自動的にリセットするための1つの選択可能な方法を示すプログラムルーチンである。
【図8】排気ブレーキを、例えば非作動の状態に自動的にリセットするための別の方法を示すプログラムルーチンである。
【図9】排気ブレーキを、例えば非作動の状態に自動的にリセットするためのさらなる別の方法を示すプログラムルーチンである。
【図10】排気ブレーキを、例えば非作動の状態に自動的にリセットするためのさらに別の方法を示すプログラムルーチンである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によって開示されるハイブリッド駆動装置のさらなる特徴および詳細は、添付の図面を参照し考慮することにより、以下の詳細な説明に基づき一層明らかになるであろう。
図3は、車両用ハイブリッド駆動装置、さらに具体的には、ディーゼルエンジンのハイブリッド駆動装置を概略的に示している。以下に詳述するとおり、ハイブリッド駆動装置は、排気ブレーキ44を搭載している。
【0011】
図3において概略を示すとおり、このハイブリッド駆動装置は、モーター32に接続されたトランスミッション30を備えており、モーター32は、インバータ36を介してバッテリ34に接続されている。モーター32は、電気モーターおよびジェネレータの双方として作動するハイブリッドモーターであり、バッテリ34は再充電が可能なハイブリッドバッテリである。一例として開示された図示の実施形態において、トランスミッション30は、オートマチックトランスミッションである。モーター32は、駆動源として機能するディーゼルエンジン40にも接続されている。ディーゼルエンジン40はエンジン制御ユニット42に接続され、エンジン制御ユニット42により制御され、モーター32はモーター制御ユニット38に接続され、モーター制御ユニット38により制御され、バッテリ34はバッテリ制御ユニット35に接続され、バッテリ制御ユニット35により制御され、トランスミッション30はトランスミッション制御ユニット37に接続され、トランスミッション制御ユニット37により制御される。図3に示すとおり、エンジン制御ユニット42、モーター制御ユニット38、バッテリ制御ユニット35、トランスミッション制御ユニット37およびハイブリッド制御ユニット39は、相互に接続されており、互いに通信する。ここで、具体的にはモーター制御ユニット38が、インバータ36の中に入っている構成としてもよい。
【0012】
前の段落に記載されているディーゼルエンジンのハイブリッド駆動装置の特徴、それらの特徴が作動して互いに作用する方法、およびディーゼルエンジンのハイブリッド駆動装置の作動態様は公知であることから、ここでは詳しく記載しない。ディーゼルエンジンのハイブリッド駆動装置とかかる装置とを使用した車両の具体例は、三菱キャンター(登録商標)ハイブリッド車両と、コンテナ貨物車両で使用されるイートン・ハイブリッド・システムがある。
【0013】
モーター32およびディーゼルエンジン40は駆動源として機能し、トランスミッション30は、ディーゼルエンジン40および/またはモーター32によって発生されるトルクによって駆動される公知のギア機構(プラネタリギア機構)を備えており、モーター32またはディーゼルエンジン40から動力の少なくとも一部がトランスミッション30の回転出力シャフト31に配分され、最終的には、回転出力シャフト31に接続された車両のホイール33のうちの少なくともいくつかに配分されるようになっている。ハイブリッド駆動装置は、パラレルハイブリッドシステム、シリーズハイブリッドシステム、あるいは動力分割式ハイブリッドシステムであってよい。
【0014】
また、ここに開示されたハイブリッド駆動装置は、概略的に描かれたディーゼルエンジン40の排気装置50内に、概略的に示された排気ブレーキ44も備える。排気ブレーキ44は排気装置50内に配置され、排気流を制限または遮断するために閉位置へと作動可能なバルブを伴う既知の構造を採用することができる。排気ブレーキ44がオンになっているか、作動可能な状態にある場合、運転者がアクセルペダルを戻すとバルブが閉じて排気流を遮断し、運転者がアクセルペダルを踏んでいるか、あるいは加速するために踏み込んだ場合、バルブが開いて排気流を許容する。排気ブレーキ44がオフになっているか、非作動の状態にある場合、排気ブレーキ44を形成しているバルブが常に開いたままになっており、排気バルブの位置がアクセルの押し込み/戻し中に変わらないようになっている。
【0015】
エンジン制御ユニット42は、排気ブレーキ44を作動可能な状態と非作動の状態との間で切り替えるためのスイッチ46に接続されている。このスイッチ46は、モーメンタリスイッチ(以下、モーメンタリスイッチ46という)である。排気ブレーキ44は、モーメンタリスイッチ46を操作することによってオンになる。モーメンタリスイッチ46は、限られた継続時間だけ、すなわちスイッチ46が押されている、あるいは、操作されている間だけ電流を印加することを許容するバイアスタイプのスイッチである。この点に関して、モーメンタリスイッチ46は、操作されたとき、あるいは押されたときに、排気ブレーキ44が作動可能な状態または非作動の状態に切り替わる必要があることを示す信号を生成する信号生成器として機能する。
【0016】
モーメンタリスイッチ46は、運転者が比較的容易にアクセスできる車内に設けられるのが好ましい。排気ブレーキ44を非作動の状態から作動可能な状態へと切り替えるために、運転者は、モーメンタリスイッチ46を操作する。モーメンタリスイッチ46の操作により、信号がエンジン制御ユニット42に送られ、その後、排気ブレーキ44が作動可能な状態になる。運転者は、モーメンタリスイッチ46をもう1度操作することにより、別の信号がエンジン制御ユニット42に送られて、排気ブレーキ44が非作動の状態に変わり、それによって、排気ブレーキ44をオフにする(排気ブレーキを非作動の状態に切り替える)ことができる。
【0017】
排気ブレーキ44を操作するためのモーメンタリスイッチ46を備えるようにシステムを構成することはメリットが相当に大きい。モーメンタリスイッチ46を操作して排気ブレーキ44を作動可能な状態に変え、その後、モーメンタリスイッチ46をもう1度操作して、排気ブレーキ44を非作動の状態に切り替えることなしに車両をオフにすると、イグニッションスイッチが操作されるたびに、排気ブレーキ44が自動的に非作動の状態へとリセットされる。すなわち、排気ブレーキ44が作動可能な状態となるようにモーメンタリスイッチ46が操作され、その後、モーメンタリスイッチ46をもう1度操作して排気ブレーキ44を非作動の状態に切り替えることなく車両のエンジンまたはイグニッションスイッチをオフにすると、排気ブレーキ44が自動的にオフになるか、あるいは非作動の状態へと自動的にリセットされる。この様子が図4で示されている。図4に示すとおり、車両の作動中(イグニッションスイッチがオンになっているとき)にモーメンタリスイッチ46を操作して排気ブレーキ44をオンにするか、作動可能な状態に切り替えると、排気ブレーキ44が作動する。排気ブレーキ44が作動可能な状態にあるときにアクセルペダルが解放されると、エンジンブレーキがエンジン/車両速度を減少させる。車両をオフにする(イグニッションスイッチをオフにする)と、図4の矢印によって示されるとおり、排気ブレーキ44が自動的にオフにリセットされるか、あるいは非作動の状態へと切り替わる。車両を次回オンにした(イグニッションスイッチをオンにした)ときには、排気ブレーキ44が非作動の状態である。これは燃費改善に寄与するため、メリットが相当に大きい。
【0018】
車両をオフに(イグニッションスイッチをオフに)したときに排気ブレーキ44が作動可能な状態のままだと、車両を次回オンにしたときに、排気ブレーキ44が直ちに作動可能になる(すなわち、排気ブレーキ44が作動可能な状態になる)。しかしその状態では、排気ブレーキ44が必要でないか、あるいは使用を望まない可能性が非常に高いため、無用な燃費低減となる。とりわけ、燃費改善に特別に適応したハイブリッド車両の場合に、これは望ましくない結果である。そのため、モーメンタリスイッチ46を使用することにより、運転者が車両をオフにする前に排気ブレーキ44をオフにするのを忘れた場合に発生する問題を回避する。
【0019】
ここに開示される車両用ハイブリッド駆動装置は、移動中の車両の運動エネルギーを、貯蔵されるエネルギーに変換することによって車両を減速するエネルギー回生に利用される。減速/制動時に失われるエネルギーの一部を取り戻すために、モーター32が減速/制動時のジェネレータとして使用される。このエネルギーはバッテリ34に蓄積され、その後車両を加速する目的で使用される。
【0020】
このエネルギー回生を、上記した排気ブレーキ44およびモーメンタリスイッチ46と組み合わせて効果的に使用するために、ここに開示される車両用ハイブリッド駆動装置は、エンジン(ディーゼルエンジン40)とモーター32との間に配置され、作動可能に連結されたクラッチ60も備える。したがって、トランスミッション30は、ハイブリッドモーター32に対し、クラッチ60が接続されている端部の反対側にある端部に接続されている。
【0021】
排気ブレーキ44が非作動の状態にある場合、運転者が車両の減速を助ける排気制動を望まないか、あるいは必要としないことを表す。それは、車両が重い荷物を運んでいない、比較的平坦な道路を走行している、急な坂道を走行していない、あるいは、その他の理由のためである。このような状態では、車両が減速しているときに、エンジンからモーター32を分離させるか接続を切って、エンジンフリクションから駆動系統を自由にすることによってモーター回生を最大化できるのが望ましい。この措置は、クラッチ60によって可能である。排気ブレーキ44が非作動の状態であり、車両が減速している(すなわち、アクセルペダルが操作されていない)ときには、クラッチ60が切られた状態、あるいは接続解除された状態にあり、駆動系統がエンジンフリクションを受けないようにモーター32がディーゼルエンジン40から係合解除または接続解除されている。このようにして、モーター回生の機会が最大化される。その一方で、排気ブレーキ44が非作動の状態にあり、かつ車両が加速している(アクセルペダルが踏み込まれている)ときには、クラッチ60が係合または接続された状態にあり、クラッチ60がディーゼルエンジン40とモーター32とを係合または接続する。同様に、排気ブレーキ44が作動可能な状態にあるときには、クラッチ60が常に係合または接続された状態にあり、ディーゼルエンジン40およびモーター32がクラッチ60によって係合されている。係合状態(接続状態)と非係合状態(非接続状態)との間および、その逆の間でのクラッチ60の切り替えは、クラッチ制御ユニット62によって実行および制御されることができる。したがって、クラッチ制御ユニット62は、車両の駆動中に、排気ブレーキ44がオフ状態にあり、かつ、アクセルペダルが作動から非作動に切り替わった時、クラッチ60を接続状態から非接続状態へと切り替える。また、クラッチ制御ユニット62は、車両の駆動中に、非作動の状態にある排気ブレーキ44が作動可能な状態に切り替えられ、かつ、アクセルペダルが非作動から作動へと切り替わったことが検出された時、クラッチ60を非接続状態から接続状態へと切り替える。係合または非係合状態(接続または非接続状態)との間での変更を含め、クラッチ60を、エンジン制御ユニット42、モーター制御ユニット38、またはトランスミッション制御ユニット37によって制御することも可能である。
【0022】
上記クラッチ60の制御操作を実現する1つの方法は、図3に示すアクセルペダル64(アクセル)の作動を検知するセンサ66を設けることを必要とする。センサ66からのアクセル信号は、ハイブリッド制御ユニット39に送信可能なアクセルペダル位置情報(車両の加速または減速を特定する)を供給する。ハイブリッド制御ユニット39は、排気ブレーキ44の作動状態(すなわち、排気ブレーキ44が作動可能な状態または非作動の状態のどちらにあるか)に関する信号(例えばエンジン制御ユニット42から)を受け取ることもできる。ハイブリッド制御ユニット39は、受け取った信号/情報に基づいて、クラッチ60を係合すべきか係合解除すべきかを判定する時、トランスミッション制御ユニット37に問い合わせて、クラッチ60が係合できるか係合解除できるかを判定することができる。クラッチ60を係合または係合解除できることを示す応答を受け取った後、クラッチ60は、上記のとおり、モーター32をディーゼルエンジン40に対し係合または係合解除するように適切に制御することができる。この制御は、ハイブリッド制御ユニット39からの入力を受け取った後に、クラッチ制御ユニット62によって実行することができる。また、アクセル信号を受信するために、センサ66にエンジン制御ユニット42を接続し、さらに、クラッチ60を制御する目的でアクセルペダル64の作動に関する情報をクラッチ制御ユニット62に供給するために、エンジン制御ユニット42をクラッチ制御ユニット62に接続してもよい。
【0023】
図5は、上記したものと一致するアクセルペダル64の作動とモーター32との関係を示す。図5の丸囲み部分は、上記クラッチ60の作動の結果を示す。排気ブレーキ44が非作動の状態にある場合に、アクセルペダル64がオフのとき(すなわち減速中)にクラッチ60がオフ(非係合状態)にされると、駆動系統がエンジンフリクションを受けておらず、かつ排気ブレーキ44を原因とするエネルギー損失がないので、回生量が増加または最大化される。図6Aおよび図6Bは、アクセルペダル64の状態(オン/踏み込みまたはオフ/解放)と、図3に示すハイブリッド駆動装置のモーター32の状態と、クラッチ60の状態(オン/係合またはオフ/非係合)との関係を示しており、図6Aは、排気ブレーキ44がオフ(非作動の状態)にあるときの関係、図6Bは、排気ブレーキ44がオン(作動可能な状態)にあるときの関係を示している。図6Aおよび6Bにおける丸囲み部分を比較すると、矢印によって特定される図6Bの網かけ領域は、排気ブレーキ44が非作動の状態にあり、かつ減速しているときにクラッチ60を操作して、ディーゼルエンジン40からモーター32を係合解除し、駆動系統がエンジンフリクションを受けないようにすることによって成し遂げられるさらなる回生を表す。
【0024】
前述のとおり、モーメンタリスイッチ46は、車両をオフにした後に排気ブレーキ44が作動可能な状態(オン)に維持されないようにすることによって燃費の改善を助ける。排気ブレーキ44の適切な作動および制御と関連付けられた燃費の改善は、他の方法で実現することもできる。
【0025】
例えば、比較的重い荷物を輸送する輸送車両であれば、少なくともいくつかの状態で排気ブレーキ44を使用することによるメリットがある。しかし、車両が荷物を配送した後(例えば、車両から荷物を降ろした時、あるいはトレーラを牽引していない時)は、その車両で排気ブレーキ44を作動させる必要がなくなる可能性がある。その状態では、排気ブレーキ44を自動的にオフにするか、排気ブレーキ44を自動的にリセットして、排気ブレーキ44が非作動の状態となるようにするのが望ましい。これは、車両の重量に関する信号またはフィードバックを供給する適切なセンサまたは複数のセンサ(図3で43と概略的に明示)を使用して達成することができ、かかるセンサ43の出力は、エンジン制御ユニット42へと送られる。この方法では、車両重量が重量閾値未満であると判定されると、エンジン制御ユニット42が、排気ブレーキ44を自動的にオフにするか、排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットして、排気ブレーキ44が非作動の状態となるようにする。こうして、車両重量が軽い状態で排気ブレーキ44をキャンセルすることにより、燃費の改善を助ける。
【0026】
この選択可能な方法による、制御ユニット(ハイブリッド制御ユニット39など)によって実行される制御ルーチンの一例が、図7に示されている。ステップS60で、排気ブレーキ44が作動可能な状態にある(すなわち、排気ブレーキ44がオンである)と制御ユニットが判定し、ステップS61へと移って、制御ユニットが、例えばセンサ43からの入力に基づいて、車両重量(推定車両重量)が所定の重量閾値よりも軽い、あるいは小さいか否かを推定する。「はい」の場合は、制御がステップS62に移り、排気ブレーキ44が非作動の状態へと自動的に切り替わる(すなわち、排気ブレーキ44がオフにリセットされるか、オフになる)。ステップS61で車両重量が所定の閾値よりも大きいと推定された場合には、ステップS63において、排気ブレーキ44が作動可能な状態に維持され(すなわち、オンの状態が保たれ)、ルーチンはステップS60に戻る。図7に示すルーチンは、ステップS61での結果によって排気ブレーキ44が非作動の状態に切り替わるまで継続される。
【0027】
別の方法としては、車両の加速/減速に基づいて排気ブレーキ44を非作動の状態に自動的に切り替える(排気ブレーキ44をオフにするか、あるいは排気ブレーキ44をオフ状態にリセットする)ことを伴う。たとえば、車両の加速/減速に関するフィードバックをエンジン制御ユニット42に供給する適切なセンサ(例えば、図3に示すセンサ66)を含めることにより、ハイブリッド制御ユニット39の指示または制御下にあるクラッチ制御ユニット62が、排気ブレーキ44を非作動の状態へと自動的に切り替えることができる。こうして、道路または車両の状態で必要ない場合に排気ブレーキ44をキャンセルすることにより、燃費の改善を助ける。例えば、車両の加速を、車両の重量または積載量を表すものとして使用してもよい。車両が供給された所定の駆動力の下でかなり速く加速できることが、例えば車両に搭載された適切なセンサからの入力信号によって示される場合には、車両の積荷が比較的軽いか、あるいはそれほど大きな重量を運んでいないことを表し、したがって、排気ブレーキ44をオフにできることを表す。このように、車両の加速が、供給される駆動力を考慮した所定の閾値を超えた場合(例えば、加速比が所定の加速比閾値よりも大きい場合)には、制御ユニットが、車両の積荷が軽く、排気ブレーキ44を自動的にオフにできると判断する。
【0028】
車両減速も、排気ブレーキ44をオフする理由となり得る車両状態または道路勾配を表すものとして使用してもよい。車両がかなり速く減速している(所定の減速比閾値よりも大きい)場合は、排気ブレーキ44が必要でない可能性があることを表す。この状態は、車両が上り坂を走行している場合に起こり得る。このように、車両減速が所定の減速比閾値よりも大きい場合には、制御ユニットが排気ブレーキ44を自動的にオフにすることができる。なお、車両減速比として、フットブレーキの操作量を考慮した、例えばフットブレーキによる減速比を差し引いたものを閾値と比較してもよい。
【0029】
加速/減速に基づいて制御ユニット(ハイブリッド制御ユニット39など)によって実行される制御ルーチンの一例が、図8に示されている。制御ルーチンは、排気ブレーキ44が作動可能な状態にある(すなわちオンになっている)ステップS70から始まり、ステップS71に進んで、アクセルペダル64がオフである(すなわち、操作されたり踏み込まれたりしていない)かどうかが判定される。アクセルペダル64がオフであると判定された場合、ルーチンはステップS74に進み、車両減速が所定の減速閾値または所定の減速比閾値よりも大きい(超えている)かどうかが判定される。「はい」の場合は、ステップS73で排気ブレーキ44がオフになるか、オフにリセットされて、排気ブレーキ44が自動的に非作動の状態へと切り替わる。
【0030】
ステップS71において、アクセルペダル64が作動状態にある(すなわちオンである)と判定された場合、ルーチンはステップS72に進み、車両加速が所定の加速閾値または所定の加速比閾値よりも大きいかどうかが判定される。「はい」の場合は、ステップS73で排気ブレーキ44が再びオフにリセットされて、排気ブレーキ44が自動的に非作動の状態へと切り替わる。ステップS72で車両の加速が加速閾値よりも小さいと判定された場合には、排気ブレーキ44がステップS75で作動可能な状態に維持され、ルーチンが繰り返される。同様に、ステップS74で車両減速が所定の加速比閾値よりも小さいと判定された場合には、排気ブレーキ44はステップS75で作動可能な状態で維持され、ルーチンが繰り返される。
【0031】
別の方法としては、道路の勾配に基づいて、排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットすること、または排気ブレーキ44を自動的に非作動の状態へと切り替えることを伴う。ここでは、ジャイロスコープまたは他の適切なセンサ(図3で45と概略的に明示)を使用して、エンジン制御ユニット42に信号を供給することができる。ジャイロスコープまたは他の適切なセンサ45からのフィードバックが比較的平坦または上りの路面を表す場合には、排気ブレーキ44が必要である可能性は低い。ジャイロスコープまたは他の適切なセンサ45からの信号をエンジン制御ユニット42に供給することにより、車両が走行している路面が比較的平坦または上りであることを信号が示している場合に、エンジン制御ユニット42が排気ブレーキ44を自動的に非作動の状態へと変えたり、排気ブレーキ44を自動的にリセットしたりすることができる。こうして、特定の道路勾配状態のときに排気ブレーキ44をキャンセルすることにより、燃費の改善を実現することができる。
【0032】
道路勾配に基づいて制御ユニット(ハイブリッド制御ユニット39など)によって実行される制御ルーチンの一例が、図9に示されている。ルーチンは、排気ブレーキ44が作動可能な状態にあるステップS80から始まり、ステップS81に進んで、道路勾配が上りと推定されるか、平坦と推定されるか、下り勾配閾値よりも小さいと推定されるか否かが判定される。ステップS81の答えが「はい」である場合、ルーチンはステップS82に進み、排気ブレーキ44がオフにリセットされるか、自動的に非作動の状態へと切り替わる。ステップS81における判定が「いいえ」である場合、排気ブレーキ44はステップS83で作動可能な状態に維持され、ルーチンが繰り返される。
【0033】
さらなる別の方法は、バッテリ状態に基づいて、排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットすること、または排気ブレーキ44を自動的に非作動の状態へと切り替えることを伴う。ここで、バッテリ34の充電状態が比較的低い場合には、減速中に発生するエネルギー回生を使用してバッテリ34を充電するのが好ましい。このような理由から、排気ブレーキ44を自動的に非作動の状態へと切り替えて(場合によっては排気ブレーキ44を減らして)、減速中のエネルギー回生を使用したバッテリ充電が優先されるようにするのが好ましい。
【0034】
この別の方法にかかる、制御ユニット(ハイブリッド制御ユニット39など)によって実行される制御ルーチンの一例が、図10に示されている。このルーチンは、排気ブレーキ44がオンであるステップS90から開始され、ステップS91に進んで、バッテリ34の充電状態が閾値量または充電状態閾値よりも少ないか否かを制御ユニットが判定する。バッテリ34の充電状態は、適切なバッテリ充電状態インジケータ(図3で47と概略的に明示)を備えることによって判定することができる。ステップS91の判定が「はい」である場合、ルーチンはステップS92に進み、排気ブレーキ44が自動的に非作動の状態に設定されるか、あるいは低減されて、バッテリ充電が優先される。一方、ステップS91でバッテリ34の充電状態が閾値未満でないと判定された場合には、排気ブレーキ44をステップS93で作動可能な状態に維持することができ、ルーチンが繰り返される。
【0035】
例として上記し、かつ図7〜図10に示した各種の選択可能な方法では、エンジン制御ユニット42が、車両に関する情報および/または車両の走行状態に関する情報(例えば、車両重量に関する情報、加速または減速を示すアクセルペダル64の作動または非作動に関する情報、道路勾配に関する情報、およびバッテリ34の充電状態に関する情報)を受け取る。エンジン制御ユニット42は、車両によって受け取られた情報に基づき、作動可能な状態から非作動の状態へと排気ブレーキ44を切り替える。このような非作動の状態への排気ブレーキ44の自動切り替えは、車両が作動している(イグニッションがオンである)ときに、モーメンタリスイッチ46を操作せずに行われる。すなわち、エンジン制御ユニット42は、イグニッション(車両)がオフになったからではなく、モーメンタリスイッチ46が操作されたからでもなく、車両に関する情報および/または車両の走行状態に関する情報に基づいて排気ブレーキ44を非作動の状態に切り替える。
【0036】
排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットしたり、排気ブレーキ44を非作動の状態に自動的に切り替えたりするための別の方法として、既に述べたトグル式スイッチを使用することが可能だが、この方法は、排気ブレーキ44がオンになったきに、車内において運転者が容易に視認できる位置で発光するフラッシュ・排気ブレーキ・ステータス・ライトを必要とする。このようにして、排気ブレーキ44がオンになっていることを運転者に知らせる。運転者が排気ブレーキ44をオンにしたくない場合には、この信号が、運転者に排気ブレーキ44をオフにするよう促すメカニズムを提供する。排気ブレーキ44が上記のとおりモーメンタリスイッチ46によって作動する場合には、類似のメカニズムまたは装置を使用することもできる。
【0037】
排気ブレーキ44を自動的にオフにリセットしたり、排気ブレーキ44を自動的にオフにしたりするための上記した選択可能な方法はすべて、上記したクラッチ60およびクラッチ制御ユニット62と共に使用することができる。上記したものおよび図7〜図10に示す選択可能な方法は、個々に使用することも、すべて一緒に使用することも、あるいは2つ以上の任意の組合せで使用することもできる。
【0038】
上記の詳細な説明においては、一例として車両用のハイブリッド駆動装置の実施形態としての特徴および態様が記載されている。ただし本発明は、記載どおりの実施形態および変形例に限定されない。添付の特許請求の範囲に定める本発明の思想と範囲から逸脱しない限り、各種変更、修正および均等物が当業者によって使用されてもよい。このようなすべての変更、修正および均等物は、特許請求の範囲に収まる限り、特許請求の範囲によって包含されることは明確である。
【符号の説明】
【0039】
図面中、30はトランスミッション、31は回転出力シャフト(出力シャフト)、32はモーター(ハイブリッドモーター)、33はホイール、34はバッテリ(ハイブリッドバッテリ)、35はバッテリ制御ユニット(制御ユニット)、36はインバータ、37はトランスミッション制御ユニット(制御ユニット)、38はモーター制御ユニット(制御ユニット)、39はハイブリッド制御ユニット(制御ユニット)、40はディーゼルエンジン、42はエンジン制御ユニット(制御ユニット)、44は排気ブレーキ、46はモーメンタリスイッチ(スイッチ)、60はクラッチ、62はクラッチ制御ユニット(制御ユニット)、64はアクセルペダル(アクセル)、66はセンサ(アクセルセンサ)を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、
前記トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、
前記車両の減速中に前記車両に対して制動効果を発生させる作動可能な状態と、前記車両の減速中に前記制動効果を発生させない非作動の状態との間で切り替え可能な排気ブレーキを有するエンジンと、
前記エンジンと前記ハイブリッドモーターとの間に設けられたクラッチであって、前記エンジンを前記ハイブリッドモーターに接続する接続状態と、前記エンジンを前記ハイブリッドモーターに接続しない非接続状態との間で切り替わるように作動可能な前記クラッチと、
前記接続状態と前記非接続状態との間で前記クラッチを切り替えるように前記クラッチに作動可能に接続されたクラッチ制御ユニットと、
アクセルが前記車両を加速するために操作されているかどうかを示すアクセル信号を出力するために前記アクセルに接続されたアクセルセンサと、
操作することにより、前記非作動の状態にある前記排気ブレーキが前記作動可能な状態へと切り替わるように前記排気ブレーキに作動可能に接続されたモーメンタリスイッチと、
を備え、
前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の駆動中に、前記排気ブレーキがオフ状態にあり、かつ、前記アクセルが作動から非作動に切り替わった時、前記クラッチを前記接続状態から前記非接続状態へと切り替えるハイブリッド駆動装置。
【請求項2】
前記ハイブリッドモーターはインバータによって制御される電気モーターであり、前記インバータにはハイブリッドバッテリが接続されており、前記ハイブリッドモーターによって充電される請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項3】
前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の駆動中に、前記非作動の状態にある前記排気ブレーキが前記作動可能な状態に切り替えられ、かつ、前記アクセルセンサによって前記アクセルが非作動から作動へと切り替わったことが検出された時、前記クラッチを前記非接続状態から前記接続状態へと切り替える請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項4】
前記エンジンの作動を制御するために、前記エンジンに接続されたエンジン制御ユニットをさらに備える請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項5】
前記エンジンの作動を制御するために前記エンジンに接続されたエンジン制御ユニットをさらに備え、前記エンジン制御ユニットは、前記アクセル信号を受信するために前記アクセルセンサに接続されており、前記エンジン制御ユニットは、前記クラッチを制御する目的で前記アクセルの作動に関する情報を前記クラッチ制御ユニットに供給するために前記クラッチ制御ユニットに接続されている請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項6】
車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、
前記トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、
エンジンと、
前記エンジンと前記ハイブリッドモーターとの間にあるクラッチであって、i)前記エンジンによって発生された駆動力が前記トランスミッションに伝えられるように前記エンジンと前記ハイブリッドモーターとを接続する係合状態と、ii)車両減速中、前記エンジンのエンジンフリクションを受けないときに前記ハイブリッドモーターが回生できるように前記ハイブリッドモーターから前記エンジンを接続解除する非係合状態と、
の間で切り替わるように作動可能な前記クラッチと、
を備え、
前記エンジンは、前記車両の減速中に前記車両に対して制動効果を発生する作動可能な状態と、前記車両の減速中に前記車両に対して前記制動効果を発生しない非作動の状態との間で切り替え可能な排気ブレーキを含み、
前記排気ブレーキを前記非作動の状態から前記作動可能な状態に切り替えるように作動可能なスイッチであって、前記車両がオンになっているときに前記作動可能な状態にある前記排気ブレーキを、前記車両をオフにしたときに前記非作動の状態に自動的に切り替えるように形成されている前記スイッチと、
前記係合状態と前記非係合状態との間で前記クラッチを切り替えるように前記クラッチに作動可能に接続されたクラッチ制御ユニットと、
前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の減速時に、前記排気ブレーキが前記非作動の状態にあり、かつ前記エンジンまたはハイブリッドモーターが作動しているときに、前記クラッチを前記係合状態から非係合状態へと自動的に切り替えるハイブリッド駆動装置。
【請求項7】
前記ハイブリッドモーターがインバータによって制御される電気モーターであり、ハイブリッドバッテリが前記インバータに接続されており、前記ハイブリッドモーターによって充電される請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項8】
前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の駆動中に、前記非作動の状態にある前記排気ブレーキが前記作動可能な状態に切り替えられ、かつ、前記車両が加速し始めた場合、前記クラッチを前記非係合状態から前記係合状態へと切り替える請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項9】
前記エンジンの作動を制御するために、前記エンジンに接続されたエンジン制御ユニットをさらに備える請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項10】
前記車両が加速しているか否かを示す信号を供給し、前記エンジン制御ユニットが前記信号を受け取るために接続されているアクセルセンサをさらに備え、前記エンジン制御ユニットは、前記クラッチを制御する目的で前記車両の加速に関する情報を前記クラッチ制御ユニットに供給するために、前記クラッチ制御ユニットに接続されている請求項9記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項11】
車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、
前記出力シャフトを回転させ、前記車両のホイールを駆動するために前記トランスミッションに接続されたエンジンであって、i)前記車両の減速中に前記車両に対して制動効果を発生させるが、前記車両の加速中には前記車両に制動効果を発生させない作動可能な状態と、ii)前記車両の減速および加速中に前記車両に対して制動効果を発生させない非作動の状態と、の間で切り替え可能な排気ブレーキを備える前記エンジンと、
前記トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、
前記排気ブレーキに作動可能に接続され、操作することによって前記作動可能な状態にある前記排気ブレーキを前記非作動の状態に切り替え、操作することによって前記非作動の状態にある前記排気ブレーキを前記作動可能な状態に切り替えるスイッチと、
前記車両および/または前記車両の走行状態に関する情報を受け取り、かつ前記排気ブレーキに作動可能に接続されている制御ユニットであって、受け取った前記車両および/または前記車両の走行状態に関する前記車両の情報に基づいて、前記車両の作動している間に、前記車両の前記スイッチを操作することなく、前記排気ブレーキを前記作動可能な状態から前記非作動の状態へと切り替える前記制御ユニットと、
を備えるハイブリッド駆動装置。
【請求項12】
前記制御ユニットによって受け取られた前記情報は、前記車両の重量を特定する情報を含む請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項13】
前記制御ユニットに接続され、前記車両の加速または減速を特定する情報を供給するセンサをさらに備え、前記制御ユニットによって受け取られた前記情報は、前記車両の加速または減速を特定する前記情報を含む請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項14】
前記ハイブリッドモーターに接続されたバッテリをさらに備え、前記制御ユニットによって受け取られた前記情報が、前記バッテリの充電状態を特定する情報を含む請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項15】
前記制御ユニットに接続され、前記車両が走行している道路の勾配を特定する情報を供給するセンサをさらに備え、前記制御ユニットによって受け取られた情報は、前記車両が走行している前記道路の前記勾配を特定する前記情報を含む請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項16】
前記エンジンと前記ハイブリッドモーターとの間に設けられるクラッチであって、前記エンジンを前記ハイブリッドモーターに接続する接続状態と、前記エンジンを前記ハイブリッドモーターに接続しない非接続状態との間で切り替わるように作動可能な前記クラッチをさらに備える請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項17】
前記制御ユニットはエンジン制御ユニットであり、前記接続状態と前記非接続状態との間で前記クラッチを切り替えるために前記クラッチに作動可能に接続されたクラッチ制御ユニットをさらに備える請求項16記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項18】
前記排気ブレーキに作動可能に接続され、操作することによって前記非作動の状態にある前記排気ブレーキが前記作動可能な状態に切り替わるモーメンタリスイッチをさらに備え、前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の駆動中に、前記排気ブレーキが前記非作動の状態にあり、かつ、前記アクセルが作動から非作動に切り替わった時、前記クラッチを前記接続状態から前記非接続状態へと切り替える請求項17記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項1】
車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、
前記トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、
前記車両の減速中に前記車両に対して制動効果を発生させる作動可能な状態と、前記車両の減速中に前記制動効果を発生させない非作動の状態との間で切り替え可能な排気ブレーキを有するエンジンと、
前記エンジンと前記ハイブリッドモーターとの間に設けられたクラッチであって、前記エンジンを前記ハイブリッドモーターに接続する接続状態と、前記エンジンを前記ハイブリッドモーターに接続しない非接続状態との間で切り替わるように作動可能な前記クラッチと、
前記接続状態と前記非接続状態との間で前記クラッチを切り替えるように前記クラッチに作動可能に接続されたクラッチ制御ユニットと、
アクセルが前記車両を加速するために操作されているかどうかを示すアクセル信号を出力するために前記アクセルに接続されたアクセルセンサと、
操作することにより、前記非作動の状態にある前記排気ブレーキが前記作動可能な状態へと切り替わるように前記排気ブレーキに作動可能に接続されたモーメンタリスイッチと、
を備え、
前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の駆動中に、前記排気ブレーキがオフ状態にあり、かつ、前記アクセルが作動から非作動に切り替わった時、前記クラッチを前記接続状態から前記非接続状態へと切り替えるハイブリッド駆動装置。
【請求項2】
前記ハイブリッドモーターはインバータによって制御される電気モーターであり、前記インバータにはハイブリッドバッテリが接続されており、前記ハイブリッドモーターによって充電される請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項3】
前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の駆動中に、前記非作動の状態にある前記排気ブレーキが前記作動可能な状態に切り替えられ、かつ、前記アクセルセンサによって前記アクセルが非作動から作動へと切り替わったことが検出された時、前記クラッチを前記非接続状態から前記接続状態へと切り替える請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項4】
前記エンジンの作動を制御するために、前記エンジンに接続されたエンジン制御ユニットをさらに備える請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項5】
前記エンジンの作動を制御するために前記エンジンに接続されたエンジン制御ユニットをさらに備え、前記エンジン制御ユニットは、前記アクセル信号を受信するために前記アクセルセンサに接続されており、前記エンジン制御ユニットは、前記クラッチを制御する目的で前記アクセルの作動に関する情報を前記クラッチ制御ユニットに供給するために前記クラッチ制御ユニットに接続されている請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項6】
車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、
前記トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、
エンジンと、
前記エンジンと前記ハイブリッドモーターとの間にあるクラッチであって、i)前記エンジンによって発生された駆動力が前記トランスミッションに伝えられるように前記エンジンと前記ハイブリッドモーターとを接続する係合状態と、ii)車両減速中、前記エンジンのエンジンフリクションを受けないときに前記ハイブリッドモーターが回生できるように前記ハイブリッドモーターから前記エンジンを接続解除する非係合状態と、
の間で切り替わるように作動可能な前記クラッチと、
を備え、
前記エンジンは、前記車両の減速中に前記車両に対して制動効果を発生する作動可能な状態と、前記車両の減速中に前記車両に対して前記制動効果を発生しない非作動の状態との間で切り替え可能な排気ブレーキを含み、
前記排気ブレーキを前記非作動の状態から前記作動可能な状態に切り替えるように作動可能なスイッチであって、前記車両がオンになっているときに前記作動可能な状態にある前記排気ブレーキを、前記車両をオフにしたときに前記非作動の状態に自動的に切り替えるように形成されている前記スイッチと、
前記係合状態と前記非係合状態との間で前記クラッチを切り替えるように前記クラッチに作動可能に接続されたクラッチ制御ユニットと、
前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の減速時に、前記排気ブレーキが前記非作動の状態にあり、かつ前記エンジンまたはハイブリッドモーターが作動しているときに、前記クラッチを前記係合状態から非係合状態へと自動的に切り替えるハイブリッド駆動装置。
【請求項7】
前記ハイブリッドモーターがインバータによって制御される電気モーターであり、ハイブリッドバッテリが前記インバータに接続されており、前記ハイブリッドモーターによって充電される請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項8】
前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の駆動中に、前記非作動の状態にある前記排気ブレーキが前記作動可能な状態に切り替えられ、かつ、前記車両が加速し始めた場合、前記クラッチを前記非係合状態から前記係合状態へと切り替える請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項9】
前記エンジンの作動を制御するために、前記エンジンに接続されたエンジン制御ユニットをさらに備える請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項10】
前記車両が加速しているか否かを示す信号を供給し、前記エンジン制御ユニットが前記信号を受け取るために接続されているアクセルセンサをさらに備え、前記エンジン制御ユニットは、前記クラッチを制御する目的で前記車両の加速に関する情報を前記クラッチ制御ユニットに供給するために、前記クラッチ制御ユニットに接続されている請求項9記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項11】
車両のホイールに接続された回転可能な出力シャフトを備えるトランスミッションと、
前記出力シャフトを回転させ、前記車両のホイールを駆動するために前記トランスミッションに接続されたエンジンであって、i)前記車両の減速中に前記車両に対して制動効果を発生させるが、前記車両の加速中には前記車両に制動効果を発生させない作動可能な状態と、ii)前記車両の減速および加速中に前記車両に対して制動効果を発生させない非作動の状態と、の間で切り替え可能な排気ブレーキを備える前記エンジンと、
前記トランスミッションに接続され、モーターおよびジェネレータの双方として作動可能なハイブリッドモーターと、
前記排気ブレーキに作動可能に接続され、操作することによって前記作動可能な状態にある前記排気ブレーキを前記非作動の状態に切り替え、操作することによって前記非作動の状態にある前記排気ブレーキを前記作動可能な状態に切り替えるスイッチと、
前記車両および/または前記車両の走行状態に関する情報を受け取り、かつ前記排気ブレーキに作動可能に接続されている制御ユニットであって、受け取った前記車両および/または前記車両の走行状態に関する前記車両の情報に基づいて、前記車両の作動している間に、前記車両の前記スイッチを操作することなく、前記排気ブレーキを前記作動可能な状態から前記非作動の状態へと切り替える前記制御ユニットと、
を備えるハイブリッド駆動装置。
【請求項12】
前記制御ユニットによって受け取られた前記情報は、前記車両の重量を特定する情報を含む請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項13】
前記制御ユニットに接続され、前記車両の加速または減速を特定する情報を供給するセンサをさらに備え、前記制御ユニットによって受け取られた前記情報は、前記車両の加速または減速を特定する前記情報を含む請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項14】
前記ハイブリッドモーターに接続されたバッテリをさらに備え、前記制御ユニットによって受け取られた前記情報が、前記バッテリの充電状態を特定する情報を含む請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項15】
前記制御ユニットに接続され、前記車両が走行している道路の勾配を特定する情報を供給するセンサをさらに備え、前記制御ユニットによって受け取られた情報は、前記車両が走行している前記道路の前記勾配を特定する前記情報を含む請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項16】
前記エンジンと前記ハイブリッドモーターとの間に設けられるクラッチであって、前記エンジンを前記ハイブリッドモーターに接続する接続状態と、前記エンジンを前記ハイブリッドモーターに接続しない非接続状態との間で切り替わるように作動可能な前記クラッチをさらに備える請求項11記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項17】
前記制御ユニットはエンジン制御ユニットであり、前記接続状態と前記非接続状態との間で前記クラッチを切り替えるために前記クラッチに作動可能に接続されたクラッチ制御ユニットをさらに備える請求項16記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項18】
前記排気ブレーキに作動可能に接続され、操作することによって前記非作動の状態にある前記排気ブレーキが前記作動可能な状態に切り替わるモーメンタリスイッチをさらに備え、前記クラッチ制御ユニットは、前記車両の駆動中に、前記排気ブレーキが前記非作動の状態にあり、かつ、前記アクセルが作動から非作動に切り替わった時、前記クラッチを前記接続状態から前記非接続状態へと切り替える請求項17記載のハイブリッド駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−52861(P2013−52861A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185712(P2012−185712)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(512221393)アイシン テクニカル センター オブ アメリカ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(512221393)アイシン テクニカル センター オブ アメリカ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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