説明

ハザード制御装置

【課題】
ハザード制御装置に関し、車両の後退駐車時にドライバが駐車行為を完了または、途中で中断させた場合には、ハザードフラッシングを自動的に停止することを可能とし、ドライバの操作負担を低減しつつ、車両の電気負荷を適切に低減する。
【解決手段】
ハザードフラッシング実行中に、エンジンが稼動していると判定され、セレクトポジションが後退段にあり、且つ、後退段が継続されている後退継続期間TRHが後退駐車判定期間TRHthを超えた場合に車両1が後退駐車動作中であると判定する駐車動作中判定手段12と、後退駐車動作が終了されたか否かを判定する駐車動作終了判定手段13と、後退駐車動作が終了したと判定された場合にハザードフラッシングを自動的に停止させるフラッシング自動停止手段14とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に複数設けられた方向指示器を同時に点滅させるハザードフラッシングを制御するハザード制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗用車やトラック等の車両では、複数の方向指示器を同時に点滅させるハザードフラッシングを実行できるようになっている。なお、ハザードフラッシングの実行および停止は、ハザードフラッシャスイッチ(いわゆる、ハザードスイッチ)の操作によって切り換えることができるようになっている。
ところで近年、車両を後退させて駐車させる際、ハザードスイッチをオンにして、ハザードフラッシングを実行させることで、後続車両や後方にいる人の注意を喚起するドライバが比較的多く見うけられる。
【0003】
しかしながら、車両の駐車後、ドライバがハザードフラッシングの停止を忘れたまま車両から離れた場合、バッテリあがりなどの不具合が発生し得る。
そこで、ハザードフラッシングを自動的に制御する技術が提案されている。
例えば、以下の特許文献1には、車両に人が乗車しているか否か、また、ドアが施錠されているか否かなど、一定の条件の下でハザードフラッシングをタイマ制御し所定時間経過後に停止する技術が開示されている。この技術では、上記の条件が揃うとハザードフラッシングが所定時間後に自動的に停止されるため、ドライバがハザードスイッチをオフにし忘れてもバッテリあがりを防止することが可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−280008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、タイマが働くため実質的に駐車が終了しているにもかかわらず、ハザードフラッシングを実行させ続ける事態が想定される。また、車両の故障などの予期せぬ事態(例えば車両が道路上で故障したような場合)にあって、ドライバがハザードフラッシングを継続して実行し続けたい場合であっても、自動的にハザードフラッシングが停止してしまう場合もあり得る。
【0006】
また、特許文献1の技術では、駐車行為を途中で中断して再度走行するような場合に、ハザードフラッシングの停止を忘れたまま走行してしまう虞がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、ドライバが駐車行為を完了させた場合、または駐車行為を途中で中断した場合に、ハザードフラッシングを自動的に停止することを可能とし、ドライバの操作負担を低減しながら、車両の電気負荷を適切に低減することができるようにしたハザード制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のハザード制御装置(請求項1)は、車両に複数設けられた方向指示器を同時に点滅させるハザードフラッシングを制御するハザード制御装置において、ハザードスイッチがオンになると該ハザードフラッシングを実行し、該ハザードスイッチがオフになると該ハザードフラッシングを停止する手動制御手段と、該ハザードフラッシングの実行中に、該車両が後退しながら駐車を行なう後退駐車動作を行なっているか否かを判定する駐車動作中判定手段と、該駐車動作中判定手段により該車両が該後退駐車動作中にあると判定された後に、該後退駐車動作が終了されたか否かを判定する駐車動作終了判定手段と、該駐車動作終了判定手段により該後退駐車動作が終了したと判定された場合に、該手動制御手段によって実行されている該ハザードフラッシングを自動的に停止させるフラッシング自動停止手段と、該車両のシフトレバーのセレクトポジションを検出するセレクトポジション検出手段と、該車両のエンジンが稼動しているか停止しているかを判定するエンジン稼動状態判定手段とを備え、該駐車動作中判定手段は、該エンジン稼動状態判定手段により該エンジンが稼動していると判定され、該セレクトポジション検出手段で検出された該セレクトポジションが後退段にあり、且つ、該後退段が継続されている後退継続期間が後退駐車判定期間を超えた場合に該車両が該後退駐車動作中であると判定することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の本発明のハザード制御装置(請求項2)は、該駐車動作中判定手段は、該後退継続期間が該後退駐車判定期間を超える前に、該セレクトポジションが該後退段から前進段へ切り替えられる第1動作が行われるとともに、該第1動作に続いて該セレクトポジションが該前進段から該後退段に再度切り替えられる第2動作が行なわれ、且つ、該第1動作と該第2動作とに要した操作期間が切替判定期間以内であった場合に該後退駐車動作中であると判定することを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の本発明のハザード制御装置(請求項3)は、該駐車動作終了判定手段は、該駐車動作中判定手段により該後退駐車動作中と判定された後に、該エンジン稼動状態判定手段により該エンジンが停止していると判定された場合に該後退駐車動作が終了したと判定することを特徴としている。
また、請求項4記載の本発明のハザード制御装置(請求項4)は、該ハザード制御装置は、該車両の車速を検出する車速検出手段をさらに備え、該駐車動作終了判定手段は、該駐車動作中判定手段により該後退駐車動作中と判定された後に、該車速検出手段で検出された該車速が車速閾値以上であり、且つ、該車速が該車速閾値以上で維持された車速継続期間が車速継続判定期間以上であると判定された場合に該後退駐車動作が終了したと判定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハザード制御装置(請求項1)によれば、ハザードフラッシングの実施中に後退駐車動作が行われているかどうかを正確に判別し、駐車行為が完了した際や駐車行為を途中で中断した際など、車両の後退駐車動作が終了されたと判断した場合にハザードフラッシングを自動的に停止することが可能となり、ドライバの操作負担を低減しながら、車両の電気負荷を適切に低減することができる。
【0011】
また、本発明のハザード制御装置(請求項2)によれば、駐車時の切り返し行為等によって、後退段の後退継続期間が後退駐車判定期間を超える前にシフトレバーの切換が行なわれた場合でも、後退駐車動作中と判定できるよう基準を設けているので、車両が後退駐車動作中であるか否かをより正確に判定することが可能となる。
また、本発明のハザード制御装置(請求項3)によれば、後退駐車動作中と判定された後、車両のエンジンの停止によって駐車行為が完了したと判断することができるので、車両の後退駐車動作が終了したか否かを正確に判定することが可能となる。
【0012】
また、本発明のハザード制御装置(請求項4)によれば、後退駐車動作中と判定された後、車速が車速閾値以上であり、且つ、その状態が維持された期間である車速継続期間が車速継続判定期間以上となった時点で、駐車行為が途中で中断されたと判断することができるので、車両の後退駐車動作が終了したか否かをより正確に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るハザード制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るハザード制御装置による制御手順を模式的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態のハザード制御装置は、車両1に適用されている。図1に示すように、この車両1は、前輪2及び後輪3を有しており、後輪3の二輪がギヤボックス(図示略)を介してエンジン4と機械的に接続され、これらの後輪3がエンジン4によって駆動されるようになっている。
また、この車両1には、前方右側、前方左側、後方右側および後方左側にそれぞれ方向指示器5が設けられている。また、この車両1には、自動変速機(図示略)が設けられており、ドライバはシフトレバー(図示略)の操作により、任意に自動変速機の変速レンジを変更することができるようになっている。
【0015】
また、この車両1には、イグニッションスイッチ7,ハザードスイッチ8,車速センサ(車速検出手段)9およびシフトレバーポジションセンサ(セレクトポジション検出手段)10が設けられている。
これらのうち、イグニッションスイッチ7は、バッテリ(図示略)からエンジン4の点火プラグ(図示略)への給電をオンオフするスイッチであって、ドライバにより操作されるものである。
【0016】
ハザードスイッチ8は、ハザード制御実行部11によって複数の方向指示器5を同時に点滅させるハザードフラッシングの実行をオンオフするスイッチであって、ドライバにより操作されるものである。
車速センサ9は、各車輪2,3の回転速度に基づいて車両1の車速Vを検出するものである。
【0017】
シフトレバーポジションセンサ10は、シフトレバーが、パーキングP,リバース(後退段)R,ドライブ(前進段)D,サード(前進段)3rd,セカンド(前進段)2ndおよびファースト(前進段)1stのうちいずれのセレクトポジションにあるかを検出するものである。
また、これらのイグニッションスイッチ7,ハザードスイッチ8,車速センサ9およびシフトレバーポジションセンサ10は、いずれも後述するECU(Electronic Control Unit)6に対して通信可能に接続されている。
【0018】
そして、これらのイグニッションスイッチ7,ハザードスイッチ8,車速センサ9およびシフトレバーポジションセンサ10による検出結果はECU6へ出力されるようになっている。
また、この車両1には、ECU6が設けられている。このECU6は、マイクロコンピュータで構成された電子制御装置であり、マイクロプロセッサやメモリ等を集積したLSI(Large Scale Integration)デバイスとして提供されている。
【0019】
また、ECU6のメモリには、いずれもプログラムソフトウェアとして、ハザード制御実行部(手動制御手段)11,駐車動作中判定部(駐車動作中判定手段)12,駐車動作終了判定部(駐車動作終了判定手段)13,フラッシング自動停止部(フラッシング自動停止手段)14およびエンジン稼動状態判定部(エンジン稼動状態判定手段)15が記録されている。
【0020】
ハザード制御実行部11は、ハザードスイッチ8がオンになった場合にハザードフラッシングを実行し、一方、ハザードスイッチ8がオフになった場合にハザードフラッシングを停止するものである。なお、ハザード制御実行部11は、ハザードスイッチ8がオンになることによってハザードフラッシングを実行すると、その後、フラッシング自動停止部14によってハザードフラッシングが自動的に停止される場合を除き、ハザードスイッチ8がオフになるまで、ハザードフラッシングを継続して実行するようになっている。
【0021】
駐車動作中判定部12は、ハザード制御実行部11によるハザードフラッシングの実行中に、車両1が後退しながら駐車を行なう後退駐車動作を行なっているか否かを判定するものである。
具体的には、この駐車動作中判定部12は、シフトレバーポジションセンサ10によって検出されたシフトレバーのセレクトポジションがリバースRであるか否かを判定するようになっている。また、駐車動作中判定部12は、シフトレバーのセレクトポジションがリバースRに継続して止まっている期間、即ち、リバース継続期間(後退継続期間)TRHが、メモリに記録された後退駐車判定期間TRHth(例えば、TRHth=5秒)以上であるか否かを判定するようになっている。そして、この駐車動作中判定部12は、エンジン稼動状態判定部15によりエンジン4が稼動していると判定され、シフトレバーのセレクトポジションがリバースRであり、且つ、リバース継続期間TRHが後退駐車判定期間TRHth以上である場合に、車両1は後退駐車動作を行なっていると判定するようになっている。
【0022】
また、この駐車動作中判定部12は、リバース継続期間TRHが後退駐車判定期間TRHthを超える前に、シフトレバーのセレクトポジションがリバースRからドライブDへ切り替えられる動作(即ち、第1動作)の後に、ドライブDからリバースRに再度切り替えられる動作(即ち、第2動作)が行なわれたか否かを判定するようになっている。また、駐車動作中判定部12は、第1動作と第2動作とに要した期間(即ち、操作期間TSL)が切替判定期間TSLth(例えば、TSLth=10秒)以内であるか否かを判定するようになっている。そして、この駐車動作中判定部12は、第1動作と第2動作とが行なわれ、且つ、操作期間TSLが切替判定期間TSLth以内である場合に、車両1は後退駐車動作を行なっていると判定するようになっている。
【0023】
駐車動作終了判定部13は、駐車動作中判定部12により車両1が後退駐車動作を行なっていると判定された後に、この後退駐車動作が終了されたか否かを判定するものである。
具体的には、この駐車動作終了判定部13は、駐車動作中判定部12により後退駐車動作が行なわれていると判定された後に、後述するエンジン稼動状態判定部15によりエンジン4が停止していると判定された場合に、車両1の後退駐車動作が終了したと判定するようになっている。つまり、エンジン4の停止により駐車行為が完了されたと判断している。
【0024】
また、この駐車動作終了判定部13は、駐車動作中判定部12により後退駐車動作が行なわれていると判定された後に、車速センサ9によって検出された車両1の車速Vが、車速閾値Vth(例えばVth=20km/h)以上であるか否かを判定するものである。また、駐車動作終了判定部13は、車速Vが閾値速度Vth以上で継続された期間(即ち、車速継続期間TVH)が、車速継続判定期間TVHth(例えば、TVHth=10秒)以上であるか否かを判定するものである。そして、この駐車動作終了判定部13は、車速Vが車速閾値Vth以上であり、且つ、車速継続期間TVHが車速継続判定期間TVHth以上である場合に、車両1の後退駐車動作が終了したと判定するようになっている。つまり、後退駐車動作中に所定値以上の車速で一定時間以上走行された時点で後退駐車動作中から通常走行に移行したと判断し、駐車行為が途中で中断された場合に対応できるようにしている。
【0025】
フラッシング自動停止部14は、駐車動作終了判定部13により車両1の後退駐車動作が終了したと判定された場合に、ハザード制御実行部11によって実行されているハザードフラッシングを自動的に停止させるものである。
エンジン稼動状態判定部15は、イグニッションスイッチ7がオフであるか否かを検出することにより、車両1のエンジン4が稼動しているか停止しているかを判定するものである。具体的には、イグニッションスイッチ7がオフである場合にエンジン4が停止中であると判定し、イグニッションスイッチ7がオフでない場合にエンジン4が運転中であると判定するようになっている。
【0026】
本発明の一実施形態に係るハザード制御装置は上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
図2を用いて、ハザード制御装置における制御手順を説明する。なお、この図2に示す一連の制御は、予め設定された所定の周期で繰り返し実行されている。
まず、ステップS1では、ハザードスイッチ8がオンであるか否かを、ハザード制御実行部11が判定する。
【0027】
ここで、ハザードスイッチ8がオンではない場合、つまり、オフである場合(ステップS1のNoルート)、ハザード制御実行部11はハザードフラッシングを実行しない(ステップS9)。
一方、ハザードスイッチ8がオンである場合(ステップS1のYesルート)には、ステップS2に進み、ハザード制御実行部11がハザードフラッシングを実行した後、ステップS3に進む。
【0028】
ステップS3では、イグニッションスイッチ7のオンオフに応じ、エンジン4が運転中であるか否かを、エンジン稼動状態判定部15が判定する。
ここで、イグニッションスイッチ7がオフである場合、即ち、エンジン4が停止中であるとエンジン稼動状態判定部15が判定した場合(ステップS3のNoルート)には、車両1が後退駐車動作中でないと、駐車動作中判定部12が判定する(ステップS7)。
【0029】
一方、イグニッションスイッチ7がオフでない場合、即ち、エンジン4が運転中であるとエンジン稼動状態判定部15が判定した場合(ステップS3のYesルート)には、ステップS4へ進む。
ステップS4では、シフトレバーポジションセンサ10によって検出されたシフトレバーのセレクトポジションがリバースRであるか否かを、駐車動作中判定部12が判定する。
【0030】
ここで、セレクトポジションがリバースR以外の場合(ステップS4のNoルート)には、車両1が後退駐車動作中でないと、駐車動作中判定部12が判定する(ステップS7)。
一方、セレクトポジションがリバースRの場合(ステップS4のYesルート)には、ステップS5へ進む。
【0031】
ステップS5では、シフトレバーのセレクトポジションがリバースRで止まっている期間、即ち、リバース継続期間TRHが、後退駐車判定期間TRHth以上であるか否かを、駐車動作中判定部12が判定する。なお、後退駐車判定期間TRHthの値は例えば5秒に設定されている。
ここで、リバース継続期間TRHが後退駐車判定期間TRHth以上である場合(ステップS5のYesルート)には、車両1が後退駐車動作中であると、駐車動作中判定部12が判定する(ステップS10)。
【0032】
一方、リバース継続期間TRHが後退駐車判定期間TRHth未満である場合(ステップS5のNoルート)には、ステップS6へ進む。
ステップS6では、シフトレバーポジションセンサ10で検出されたシフトレバーのセレクトポジションが、リバースRからドライブDへ切り替えられる動作(即ち、第1動作)の後に、ドライブDからリバースRに再度切り替えられる動作(即ち、第2動作)が行なわれたか否かを、駐車動作中判定部12が判定する。
【0033】
さらに、このステップS6において、第1動作と第2動作とに要した期間(即ち、操作期間TSL)が切替判定期間TSLth以内であるか否かを、駐車動作中判定部12が判定する。なお、切替判定期間TSLthの値は例えば10秒に設定されている。
そして、第1動作と第2動作とが行なわれ、且つ、操作期間TSLが切替判定期間TSLth以内である場合(ステップS6のYesルート)には、車両1が後退駐車動作中であると、駐車動作中判定部12が判定する(ステップS10)。
【0034】
一方、第1動作および第2動作のうち少なくとも一方が行なわれていない場合、或いは、第1動作と第2動作との双方が行なわれていても操作期間TSLが切替判定期間TSLthよりも長かった場合(ステップS6のNoルート)には、車両1が後退駐車動作中でないと、駐車動作中判定部12が判定する(ステップS7)。
また、上述したステップS7で、車両1が後退駐車動作中でないと、駐車動作中判定部12が判定した場合(ステップS3,ステップS4およびステップS6のNoルート)には、ハザードスイッチ8がオフであるか否かを、ハザード制御実行部11が判定する(ステップS8)。
【0035】
ここで、ハザードスイッチ8がオフの場合(ステップS8のYesルート)には、ハザード制御実行部11はハザードフラッシングを停止し(ステップS9)、その後、ECU6の制御はリターンする。
一方、ハザードスイッチ8がオンである場合(ステップS8のNoルート)には、ハザード制御実行部11はハザードフラッシングを継続させ(ステップS9をスキップ)、ECU6の制御はリターンする。
【0036】
また、上述したステップS10で、車両1が後退駐車動作中であると、駐車動作中判定部12が判定した場合(ステップS5およびステップS6のYesルート)には、ステップS11へ進む。
ステップS11では、ハザードスイッチ8がオフであるか否かを、ハザード制御実行部11が判定する。
【0037】
ここで、ハザードスイッチ8がオフの場合(ステップS11のYesルート)、ハザード制御実行部11はハザードフラッシングを停止する(ステップS9)。つまり、車両1が後退駐車動作中であると駐車動作中判定部12が判定した場合であっても、ステップS11で、ハザードスイッチ8がオフであるとハザード制御実行部11が判定した場合(ステップS11のYesルート)には、このハザード制御実行部11はハザードフラッシングの実行を継続させない(ステップS9)。
【0038】
一方、ハザードスイッチ8がオンの場合(ステップS11のNoルート)には、ステップS12へ進む。
ステップS12では、上述したステップS3と同様、イグニッションスイッチ7のオンオフに応じ、エンジン4が運転中であるか否かを、エンジン稼動状態判定部15が判定する。
【0039】
ここで、エンジン4が停止中の場合(ステップS12のYesルート)には、ドライバが車両1の後退駐車行為を完了したと、駐車動作終了判定部13が判定する(ステップS13)。
一方、エンジン4が運転中の場合(ステップS12のNoルート)には、ステップS15へ進む。
【0040】
ステップS15では、車速Vが車速閾値Vth以上であるか否かを、駐車動作終了判定部13が判定する。なお、車速閾値Vthの値は例えば20km/hに設定されている。
ここで、車速Vが車速閾値Vth未満である場合(ステップS15のNoルート)には、ステップS11へ戻る。
一方、車速Vが車速閾値Vth以上である場合(ステップS15のYesルート)には、ステップS16へ進む。
【0041】
ステップS16では、車速Vが閾値速度Vth(20km/h)以上で継続された期間として定義される車速継続期間TVHが、車速継続判定期間TVHth以上であるか否かを、駐車動作終了判定部13が判定する。なお、車速継続判定期間TVHthの値は例えば10秒に設定されている。
ここで、車速継続期間TVHが車速継続判定期間TVHth未満である場合(ステップS15のNoルート)には、ステップS11へ戻る。
【0042】
一方、車速継続期間TVHが車速継続判定期間TVHth以上である場合(ステップS15のYesルート)には、ドライバが車両1の後退駐車行為を中断したと、駐車動作終了判定部13が判定する(ステップS17)。
ここで、駐車動作終了判定部13によって、ドライバが車両1の後退駐車行為を完了したと判定(ステップS13)、又は、ドライバが車両1の後退駐車行為を中断したと判定(ステップS17)された場合には、どちらの場合でも車両1の後退駐車動作が終了されたと、駐車動作終了判定部13が判定する(ステップS14)。
【0043】
また、ステップS14で、車両1の後退駐車動作が終了したと、駐車動作終了判定部13が判定した場合(ステップS12およびステップS16のYesルート)には、フラッシング自動停止部14がハザードフラッシングを自動的に停止する(ステップS9)。
この様に、本実施形態に係るハザード制御装置では、ハザードフラッシングの実施中に後退駐車動作が行われているかどうかを正確に判別し、駐車行為が完了した際や駐車行為を途中で中断した際など、車両の後退駐車動作が終了されたと判断した場合にハザードフラッシングを自動的に停止することが可能となり、ドライバの操作負担を低減しながら、車両の電気負荷を適切に低減することができる。つまり、ドライバが車両1の後退駐車の際に、ハザードスイッチ8を手動でオンとし、ハザードフラッシングを実行した場合でも、車両1の後退駐車動作が完了・中断した場合には、ドライバがハザードスイッチ8をオフにしなくても、ハザードフラッシングを自動的に停止することが可能となる。これにより、車両1の後退駐車動作終了後、ドライバの操作負担を低減しながら、バッテリあがりを防止したり、方向指示器5のバルブ(図示略)の寿命を延ばしたりすることが可能となる。
また、ハザードフラッシングの自動停止は、後退駐車動作が終了されたと判定されたときに実行されるので、後退駐車以外の他の状況でハザードフラッシングを実行している場合にドライバの意に反してハザードフラッシングが停止してしまう様な事態を防ぐことができる。つまり、車両1の後退駐車の際のハザードフラッシングと他の状況でのハザードフラシングとを区別してハザードフラッシングの自動停止を後退駐車時のみ確実に実行し、他の状況で実行しない構成としている。それゆえ、例えば、車両1に故障が発生し道路上から動かせないような状況になった場合に、ハザードフラッシングを実行したまま、エンジンを停止するようなことがあってもハザードフラッシングが自動的に停止してしまう事態は生じえない。また、シフトレバーポジションセンサ10で検出されたシフトレバーのセレクトポジションが、リバースRからドライブDへ切り替えられる動作(即ち、第1動作)の後に、ドライブDからリバースRに再度切り替えられる動作(即ち、第2動作)によって、リバース継続期間TRHが後退駐車判定期間TRHthを超える前にシフトレバーの切換が行なわれた場合でも、駐車動作中判定部12によって車両1が後退駐車動作中であると判定できるため、車両が後退駐車動作中であるか否かをより正確に判定することが可能となる。
【0044】
また、駐車動作中判定部12によって車両1が後退駐車動作中であるとされた後、イグニッションスイッチ7のオンオフに応じ、車両1のエンジン4が運転中であるか否かをエンジン稼動状態判定部15が判定するため、ドライバが後退駐車動作を中断或いは終了したか否かを正確に判定することが可能となる。
また、駐車動作中判定部12によって車両1が後退駐車動作中であるとされた後、車速Vが車速閾値Vth(20km/h)以上であり、且つ、その状態が維持された期間である車速継続期間TVHが車速継続判定期間TVHth以上となった時点で、後退駐車行為が途中で中断されたと判断することができるので、車両1の後退駐車動作が終了したか否かをより正確に判定することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の実施形態では、エンジン稼動状態判定部15によるエンジン4の停止判定は、イグニッションスイッチ7がオフであるか否かにより行なうものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、エンジン4の回転数がゼロである場合に、エンジン4が停止していると判定するようにしても良い。
【0046】
また、上述の実施形態では、後退駐車判定期間TRHthの値を5秒としたが、この値に限るものではない。つまり、後退駐車判定期間TRHthは車両1が後退駐車動作を行なっているか否かを判定するために設けられた値であるため、かかる内容を判定可能な値であればよい。
また、上述の実施形態では、切替判定期間TSLthの値を10秒としたが、この値に限るものではない。つまり、切替判定期間TSLthは車両1が後退駐車動作を行なっているか否かを判定するために設けられた値であるため、かかる内容を判定可能な値であればよい。
【0047】
また、上述の実施形態では、車速閾値Vthの値を20km/hとしたが、この値に限るものではない。つまり、車速閾値Vthは車両1が後退駐車動作を中断或いは終了したか否かを判定するために設けられた値であるため、かかる内容を判定可能な値であればよい。
また、上述の実施形態では、車速継続判定期間TVHthの値を10秒としたが、この値に限るものではない。つまり、車速継続判定期間TVHthは車両1が後退駐車動作を中断或いは終了したか否かを判定するために設けられた値であるため、かかる内容を判定可能な値であればよい。
【0048】
また、上述の実施形態において、第1動作は、シフトレバーのセレクトポジションが、リバースRからドライブDへ切り替えられる動作として定義されていたが、リバースRから、サード3rd,セカンド2ndまたはファースト1stへ切り替えられる動作として定義してもよい。つまり、この第1動作は、シフトレバーのセレクトポジションが、後退段から前進段へと切り替えられる動作として定義されていればよい。
【0049】
同様に、上述の実施形態において、第2動作は、第1動作の後に、シフトレバーのセレクトポジションが、ドライブDから再度リバースRへ切り替えられる動作として定義されていたが、サード3rd,セカンド2ndまたはファースト1stからリバースRへ切り替えられる動作として定義してもよい。つまり、この第2動作は、第1動作の後に、シフトレバーのセレクトポジションが、前進段から後退段へと再び切り替えられる動作として定義されていればよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、自動変速機の場合を例にとって説明したが、マニュアルトランスミッションであってもよい。
また、上述の実施形態では、後輪3がエンジン4によって駆動される場合、つまり、車両1の駆動方式が後輪駆動である場合を例にとって説明したが、これに限定するものではない。例えば、前輪駆動であっても全輪駆動であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
2 前輪
3 後輪
4 エンジン
5 方向指示器
6 ECU
7 イグニッションスイッチ
8 ハザードスイッチ
9 車速センサ(車速検出手段)
10 シフトレバーポジションセンサ(セレクトポジション検出手段)
11 ハザード制御実行部(手動制御手段)
12 駐車動作中判定部(駐車動作中判定手段)
13 駐車動作終了判定部(駐車動作終了判定手段)
14 フラッシング自動停止部(フラッシング自動停止手段)
15 エンジン稼動状態判定部(エンジン稼動状態判定手段)
RH リバース継続期間(後退継続期間)
RHth 後退駐車判定期間
SL 操作期間
SLth 切替判定期間
V 車速
th 車速閾値
VH 車速継続期間
VHth 車速継続判定期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に複数設けられた方向指示器を同時に点滅させるハザードフラッシングを制御するハザード制御装置において、
ハザードスイッチがオンになると該ハザードフラッシングを実行し、該ハザードスイッチがオフになると該ハザードフラッシングを停止する手動制御手段と、
該ハザードフラッシングの実行中に、該車両が後退しながら駐車を行なう後退駐車動作を行なっているか否かを判定する駐車動作中判定手段と、
該駐車動作中判定手段により該車両が該後退駐車動作中にあると判定された後に、該後退駐車動作が終了されたか否かを判定する駐車動作終了判定手段と、
該駐車動作終了判定手段により該後退駐車動作が終了したと判定された場合に、該手動制御手段によって実行されている該ハザードフラッシングを自動的に停止させるフラッシング自動停止手段と、
該車両のシフトレバーのセレクトポジションを検出するセレクトポジション検出手段と、
該車両のエンジンが稼動しているか停止しているかを判定するエンジン稼動状態判定手段とを備え、
該駐車動作中判定手段は、
該エンジン稼動状態判定手段により該エンジンが稼動していると判定され、該セレクトポジション検出手段で検出された該セレクトポジションが後退段にあり、且つ、該後退段が継続されている後退継続期間が後退駐車判定期間を超えた場合に該車両が該後退駐車動作中であると判定する
ことを特徴とする、ハザード制御装置。
【請求項2】
該駐車動作中判定手段は、
該後退継続期間が該後退駐車判定期間を超える前に、該セレクトポジションが該後退段から前進段へ切り替えられる第1動作が行われるとともに、該第1動作に続いて該セレクトポジションが該前進段から該後退段に再度切り替えられる第2動作が行なわれ、且つ、該第1動作と該第2動作とに要した操作期間が切替判定期間以内であった場合に該後退駐車動作中であると判定する
ことを特徴とする、請求項1記載のハザード制御装置。
【請求項3】
該駐車動作終了判定手段は、
該駐車動作中判定手段により該後退駐車動作中と判定された後に、該エンジン稼動状態判定手段により該エンジンが停止していると判定された場合に該後退駐車動作が終了したと判定する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のハザード制御装置。
【請求項4】
該ハザード制御装置は、
該車両の車速を検出する車速検出手段をさらに備え、
該駐車動作終了判定手段は、
該駐車動作中判定手段により該後退駐車動作中と判定された後に、該車速検出手段で検出された該車速が車速閾値以上であり、且つ、該車速が該車速閾値以上で維持された車速継続期間が車速継続判定期間以上であると判定された場合に該後退駐車動作が終了したと判定する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のハザード制御装置。

【図1】
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【図2】
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