ハニカム構造体の製造方法
【課題】原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の四角柱状のハニカム焼成体2の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を切断して三角セグメント3を作製し、三角セグメント3に、断面形状が三角形の筒状のアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材4を、それぞれの斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、中心軸に直交する断面において、三角セグメント3の直交する2つの辺が四角柱状のハニカム焼成体2に接するとともに、補助部材4の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と四角柱状の擬似四角セグメント5とを、接合材13で接合しながら組み合わせ、最外周から加圧してハニカムブロック体を作製し、ハニカムブロック体の外周部分を研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【解決手段】複数の四角柱状のハニカム焼成体2の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を切断して三角セグメント3を作製し、三角セグメント3に、断面形状が三角形の筒状のアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材4を、それぞれの斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、中心軸に直交する断面において、三角セグメント3の直交する2つの辺が四角柱状のハニカム焼成体2に接するとともに、補助部材4の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と四角柱状の擬似四角セグメント5とを、接合材13で接合しながら組み合わせ、最外周から加圧してハニカムブロック体を作製し、ハニカムブロック体の外周部分を研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関し、さらに詳しくは、原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミック製のハニカム構造体が採用されている。特に、近時では、ハニカム構造体は、両端面のセル開口部を交互に目封止して目封止ハニカム構造体とし、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質(PM:パティキュレートマター)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)として盛んに用いられている。そして、高温、腐食性ガス雰囲気下で使用されるハニカム構造体の材料として、耐熱性、化学的安定性に優れた、炭化珪素(SiC)、コージェライト、チタン酸アルミニウム(AT)等が好適に用いられている。
【0003】
これらの材料の中で、炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、体積の大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがある。また、捕集した粒子状物質を燃焼除去する際の熱衝撃により欠陥が生じることがある。更に、上記体積が大きいハニカム構造体を作製する場合、焼成時に内外温度差によるクラックが生じることがあるため、通常の何倍もの時間をかけて、ゆっくりと脱脂、焼成しなければならないという問題があった。そのため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体については、所定の大きさ以上のものを製造する場合、通常、複数の小さな四角柱状の目封止ハニカムセグメント(ハニカム構造体)を作製し、それらハニカムセグメントを接合して、一つの大きい接合体を作製し、その外周を粗加工、研削して円筒状等の所望の形状の目封止ハニカム構造体としている(特許文献1参照)。また、四角柱状のハニカムセグメントを接合して、一つの大きい四角柱状の接合体を作製する場合に、接合体の中心軸に直交する断面において「角」に相当する部分(角部)に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体が開示されている(特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291054号公報
【特許文献2】特開2000−7455号公報
【特許文献3】特開2009−50849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法で、所望の形状のハニカム構造体を作製する場合、通常、複数の四角柱状のハニカムセグメントを接合して、1つの大きな四角柱状の接合体(ハニカムブロック体)を作製した後に、略所望の形状にするために外周を研削して、所望の形状のハニカム構造体にする必要があった。尚、本明細書において、ハニカムブロック体の外周を研削するというときは、ハニカムブロック体の外周を削って所望の形状のハニカム構造体を作製する工程全体を意味し、ハニカムブロック体の粗加工、高精度に仕上げる加工等を全て含むものとする。ここで、ハニカム構造体としては、中心軸に直交する断面の形状が円形や楕円形の柱状のものが多く作製されている。この場合、四角柱状の接合体の外周を粗加工、研削して当該断面形状を円形等にするため、四角柱状の接合体の中心軸に直交する断面における「角(かど)」の位置(角部)に配置されたハニカムセグメントのほとんどを削って除去する必要があった。そのため、原料収率が低いという問題があった。
【0006】
また、特許文献2,3に記載のような、接合体の中心軸に直交する断面において「角」に相当する部分に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体を作製しようとすると、ハニカムセグメントを組み立てて接合体を作製するときに、接合体の外周側から内側に向かって加圧してハニカムセグメント同士を押圧しながら接着させる必要があるが、三角柱状のハニカムセグメントの部分に対しては加圧することが容易では無く、ハニカムセグメント同士の接着を十分に行うことが難しいという問題があった。また、側面側の三角セグメントを積み上げ設置することも容易ではなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体の製造方法を提供する。
【0009】
[1] 成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体を複数個形成し、複数の前記ハニカム成形体を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、複数の前記ハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の三角柱状の三角セグメントを作製し、前記三角セグメントに、中心軸に直交する断面の外周形状が前記三角セグメントの中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、前記擬似四角セグメントを構成する前記三角セグメントの直交する2つの辺が前記四角柱状のハニカム焼成体に接するとともに、前記擬似四角セグメントを構成する補助部材の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、前記四角柱状のハニカム焼成体及び前記四角柱状の擬似四角セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、前記補助部材付きハニカムブロック体の前記接合材を乾燥させ、その後、前記補助部材付きハニカムブロック体から前記補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成し、前記ハニカムブロック体の外周部分を、全ての前記三角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【0010】
[2] 前記三角セグメントに、前記補助部材を樹脂製粘着材によって貼り付ける[1]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0011】
[3] 前記三角セグメントを4個作製し、前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の四つの頂点部分に三角セグメントが配置された形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0012】
[4] 前記三角セグメントを8個作製し、前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部に前記ハニカム焼成体及び前記三角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、前記4つの角部に隣接する8箇所の位置に前記8個の三角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と三角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、三角セグメントに、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメントの中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメントを構成する三角セグメントの直交する2つの辺が四角柱状のハニカム焼成体に接するとともに、擬似四角セグメントを構成する補助部材の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させ、その後、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外してハニカムブロック体を作製し、ハニカムブロック体の外周部分を、全ての三角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るため、外周部分を研削するときに研削除去される部分を少なくすることができ、原料収率を向上させることができる。
【0014】
更に、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させた後に、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外すため、補助部材を取り外す際に、四角柱状のハニカム焼成体及び三角セグメントの接合がずれることを防止することができる。更に、補助部材が、筒状であり且つアルミニウム又はアルミニウム合金製であるため、補助部材が軽量且つ高強度となり、補助部材と三角セグメントとの接合を容易に行うことができる。また、補助部材が、筒状であり且つアルミニウム又はアルミニウム合金製であるため、補助部材の熱容量を小さくできるとともに熱伝導率も比較的高くすることができ、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させる際の昇温速度を速くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム成形体を模式的に示した斜視図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム焼成体を模式的に示した斜視図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体が、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸方向に平行に切断されて、2つの三角セグメントが形成された状態を模式的に示した斜視図である。
【図4】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、三角セグメントと、三角柱状の補助部材とを貼り付ける前の状態を模式的に示した斜視図である。
【図5】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、三角セグメントと、三角柱状の補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメントを形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図6】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体を模式的に示した斜視図である。
【図7】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。
【図8】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図9A】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図9B】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した斜視図である。
【図10】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において製造されるハニカム構造体を模式的に示した平面図である。
【図11】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図12】実施例1のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図13】実施例4のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図14】実施例8のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図15】実施例11のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図16】比較例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図17】比較例4のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図18】比較例8のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図19】比較例11のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図20】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程において作製される三角セグメントの接合面上の3箇所に樹脂製粘着材を配置させた状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0017】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態は、図1〜図10に示すように、成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面1aから他方の端面1bまで延びる複数のセル1cを区画形成する隔壁1dを有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体1を複数個形成し、複数のハニカム成形体1を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体2を形成し、複数のハニカム焼成体2の中の少なくとも1個のハニカム焼成体2を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体2の個数に対して2倍の個数の三角柱状の三角セグメント3を作製し、三角セグメント3に、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメント3の中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材4を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメント5を構成する三角セグメント3の直交する2つの辺が四角柱状のハニカム焼成体2に接するとともに、擬似四角セグメント5を構成する補助部材4の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製し、補助部材付きハニカムブロック体11の接合材13を乾燥させ、その後、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外してハニカムブロック体21を形成し、ハニカムブロック体21の外周部分を、全ての三角セグメント3の一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体100を得るものである。ここで、本明細書において、「三角柱状」というときは、底面が三角形の筒状を含むものとし、「四角柱状」というときは、底面が四角形の筒状を含むものとする。尚、図2に示すハニカム焼成体2には、目封止部が形成されている。
【0018】
ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム成形体1を模式的に示した斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム焼成体2を模式的に示した斜視図である。図3は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2が、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸方向に平行に切断されて、2つの三角セグメント3が形成された状態を模式的に示した斜視図である。図4は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、三角セグメント3と、三角柱状の補助部材4とを貼り付ける前の状態を模式的に示した斜視図である。図5は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、三角セグメント3と、三角柱状の補助部材4とを貼り付けて擬似四角セグメント5を形成した状態を模式的に示した斜視図である。図6は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体11を模式的に示した斜視図である。図7は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体11の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。図8は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。図9Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21を模式的に示した平面図である。図9Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21を模式的に示した斜視図である。図10は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において製造されるハニカム構造体100を模式的に示した平面図である。
【0019】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態によれば、三角セグメント3に、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメント3の中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材4を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメント5を構成する三角セグメント3の直交する2つの辺が四角柱状のハニカム焼成体2に接するとともに、擬似四角セグメント5を構成する補助部材4の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と四角柱状の擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製し、補助部材付きハニカムブロック体11の接合材13を乾燥させ、その後、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外してハニカムブロック体21を作製し、ハニカムブロック体21の外周部分を、全ての三角セグメント3の一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体100を得るため、外周部分を研削するときに研削除去される部分を少なくすることができ、原料収率を向上させることができる。これは、従来、四角柱状のハニカム焼成体を配置していた部分に、三角セグメントを配置させることにより、研削除去される量を削減したものである。また、1つの四角柱状のハニカム焼成体から2つの三角セグメントが作製されるため、ハニカム構造体を作製するのに必要な四角柱状のハニカム焼成体の本数を減らすことができる。
【0020】
更に、アルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材を使用するため、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を高温で乾燥させることができる。そして、高温乾燥により接合材強度が発現した状態で補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外すため、三角セグメントがハニカムブロック体から剥がれることなく取り外すことができる。更に、補助部材が、筒状であり且つアルミニウム又はアルミニウム合金製であるため、補助部材が軽量且つ高強度となり、補助部材と三角セグメントとの接合を容易に行うことができる。また、補助部材が、筒状であり且つアルミニウム又はアルミニウム合金製であるため、補助部材の熱容量を小さくできるとともに熱伝導率も比較的高くすることができ、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させる際の昇温速度を速くすることができる。以下、本実施形のハニカム構造体の製造方法について工程毎に説明する。
【0021】
(1)ハニカム成形体の作製:
まず、セラミック原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料とする。セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、チタニア、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料が好ましい。尚、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミックス原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。珪素−炭化珪素系複合材料とする場合、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末を混合したものをセラミック原料とする。セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して40〜90質量%であることが好ましい。
【0022】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して3〜15質量%であることが好ましい。
【0023】
水の含有量は、成形原料全体に対して7〜45質量%であることが好ましい。
【0024】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して5質量%以下であることが好ましい。
【0025】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル、炭素等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して15質量%以下であることが好ましい。
【0026】
次に、成形原料を成形して、中心軸に直交する断面の形状が長方形の、四角柱状のハニカム成形体1を形成する。ハニカム成形体の個数は、作製するハニカム構造体の形状、大きさに合わせて適宜決定することができる。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、14個のハニカム成形体を作製する。成形原料を成形する際には、まず、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。そして、坏土を押出成形して、図1に示すような、四角柱状のハニカム成形体1を形成する。ハニカム成形体1は、流体の流路となる一方の端面1aから他方の端面1bまで延びる複数のセル1cを区画形成する隔壁1dを有するものであり、中心軸に直交する(セルの延びる方向に直交する)断面が長方形の四角柱状である。ハニカム成形体1の中心軸に直交する断面の形状は正方形であることが好ましい。坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法は特に制限されず、押出成形等の従来公知の成形法を用いることができる。例えば、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
【0027】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を除去した後、残りの水分を外部加熱方式により除去することにより、ハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜95質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、90〜180℃が好ましい。乾燥時間は1〜10時間が好ましい。
【0028】
次に、ハニカム成形体の中心軸方向長さ(セルの延びる方向における長さ)が、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、両頭丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。また、複数のハニカム成形体は、全てが同じ形状、同じ大きさであることが好ましい。
【0029】
次に、ハニカム成形体について、一方の端面における所定のセルの開口部と、他方の端面における残余のセルの開口部に目封止部を形成することが好ましい。目封止部を形成したハニカム成形体は、一方の端面側に目封止部が形成された所定のセルと、他方の端面側に目封止部が形成された残余のセルとが、交互に並び、両端面に市松模様が形成されることが好ましい。ハニカム成形体に目封止部を形成した場合は、得られるハニカム構造体が目封止ハニカム構造体となる。
【0030】
ハニカム成形体に目封止部を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。ハニカム成形体の一方の端面にシートを貼り付けた後、当該シートの目封止部を形成しようとするセルに対応した位置に孔を開ける。そして、目封止部の構成材料をスラリー化した目封止用スラリーに、ハニカム成形体の当該シートを貼り付けた端面を浸漬し、シートに開けた孔を通じて、目封止部を形成しようとするセルの開口端部内に目封止用スラリーを充填する。そして、ハニカム成形体の他方の端面については、一方の端面において目封止部を形成しなかったセルについて、上記一方の端面に目封止を施した方法と同様の方法で目封止部を形成する(目封止スラリーを充填する)。目封止部の構成材料としては、ハニカム成形体の材料と同じものを用いることが好ましい。目封止部は、ハニカム成形体を焼成した後のハニカム焼成体に形成してもよい。目封止部をハニカム焼成体に形成する場合は、目封止部を固化させ、隔壁と密着させるため、目封止部を形成した後に、必要に応じて熱処理、焼成等を行うことが好ましい。
【0031】
(2)ハニカム焼成体の作製:
次に、各ハニカム成形体を焼成して、図2に示すハニカム焼成体2を得る。焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂(仮焼成)を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃を最高温度として、0.5〜20時間、最高温度を保持して行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料の場合には、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1300〜1500℃の最高温度で、1〜10時間、加熱保持することが好ましい。
【0032】
ハニカム焼成体の隔壁は、多孔質であることが好ましい。ハニカム焼成体の隔壁の開気孔率の下限値は30%であることが好ましく、35%であることが更に好ましい。ハニカム焼成体の隔壁の開気孔率の上限値は80%であることが好ましく、65%であることが更に好ましい。開気孔率をこのような範囲とすることにより、強度を維持しながら圧力損失を小さくできるという利点がある。開気孔率が30%未満であると、圧力損失が上昇することがある。開気孔率が80%を超えると、強度が低下するとともに、熱伝導率が低下することがある。開気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0033】
ハニカム焼成体の隔壁は、平均細孔径の下限値が5μmであることが好ましく、7μmであることが更に好ましい。また、平均細孔径の上限値が50μmであることが好ましく、35μmであることが更に好ましい。平均細孔径をこのような範囲とすることにより、粒子状物質(PM)を効果的に捕集できるという利点がある。平均細孔径が5μm未満であると、粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすくなることがある。平均細孔径が50μmを超えると、粒子状物質(PM)がフィルターに捕集されずに通過することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。例えば、島津製作所社製、「商品名:ポロシメータ 型式9810」を使用して測定することが出来る。
【0034】
ハニカム焼成体の隔壁の材質が炭化珪素である場合、炭化珪素粒子の平均粒径が5〜100μmであることが好ましい。このような平均粒径とすることより、フィルターを、好適な気孔率、気孔径に制御しやすいという利点がある。平均粒径が5μmより小さいと、気孔径が小さくなり過ぎ、100μmより大きいと気孔率が小さくなることがある。気孔径が小さ過ぎると粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすく、気孔率が小さすぎると圧力損失が上昇することがある。平均粒径は、JIS R 1629に準拠して測定した値である。
【0035】
ハニカム焼成体のセル形状(ハニカム焼成体の中心軸(セルが延びる方向)に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。目封止部を形成する場合は、八角形と四角形との組み合わせも好適な一例である。ハニカム焼成体の隔壁の厚さは、50〜2000μmであることが好ましい。隔壁の厚さが50μmより薄いと、得られるハニカム構造体の強度が低下することがあり、2000μmより厚いと、圧力損失が大きくなることがある。ハニカム焼成体のセル密度は、特に制限されないが、0.9〜311セル/cm2であることが好ましく、7.8〜62セル/cm2であることが更に好ましい。
【0036】
ハニカム焼成体の大きさ(縦×横×長さ(中心軸方向長さ))は、30mm×30mm×80mm〜50mm×50mm×400mmが好ましい。
【0037】
また、得られるハニカム焼成体の熱膨張係数が、1×10−6/℃以上であることが好ましく、2×10−6〜7×10−6/℃であることが更に好ましい。本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、このような熱膨張係数の大きなセグメントを有するハニカム構造体であっても、耐熱衝撃性の高いハニカム構造体とすることが可能である。
【0038】
(3)三角セグメントの作製:
次に、得られた複数のハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、図3に示すような、「切断された四角柱状のハニカム焼成体」の個数に対して2倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ三角柱状の三角セグメント3を作製する。ここで、「ハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断する」というときは、図3に示すように、ハニカム焼成体を切断するときの切断面が中心軸に平行であり(中心軸を含み)、ハニカム焼成体の中心軸に直交する断面において、四角形の断面の2つの対角線の中の一方の対角線に沿って切断することを意味する。また、「切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の、三角柱状の三角セグメントを作製する」というときは、四角柱状のハニカム焼成体を切断することにより、1つの四角柱状のハニカム焼成体から2つの三角柱状の三角セグメントを形成することを意味する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、2つの四角柱状のハニカム焼成体を切断して、4つの三角柱状の三角セグメントを作製している。また、「四角柱状のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断する」ため、1つの四角柱状のハニカム焼成体から得られた2つの三角セグメントの中心軸に直交する断面の面積は、同じということになる。すなわち、1つの四角柱状のハニカム焼成体を切断して得られる2つの三角セグメントは、同じ形状である。
【0039】
四角柱状のハニカム焼成体を切断して、1つのハニカム焼成体につき、2つの三角柱状の三角セグメントを形成するときには、ダイヤモンド等の砥粒を付着させた円形又は線状のカッター刃を有する切断機を用いて、ハニカム焼成体の切断を行うことが好ましい。
【0040】
(4)ハニカムブロック体の作製(ハニカムブロック体作製工程):
(4−1)擬似四角セグメントの作製;
次に、図4、図5に示すように、三角セグメント3に、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメント3の中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材4を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて、図5に示すような、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製する。三角セグメント3と補助部材4とを貼り付ける際の、それぞれの貼り付け面(対向する面)は、三角セグメント3の中心軸に直交する断面における斜辺3a(図7参照)に対応する側面3bと、補助部材4の中心軸に直交する断面における斜辺4a(図7参照)に対応する側面である。また、三角セグメント3及び補助部材4の「中心軸に直交する断面における斜辺」とは、直角三角形における斜辺を意味する。すなわち、直角三角形である、三角セグメント3及び補助部材4のそれぞれの「中心軸に直交する断面」における、3つの辺の中の、直角を形成する2つの辺以外の辺である。
【0041】
三角セグメント3と補助部材4との貼り付け方法は、特に限定されないが、製造工程において、三角セグメント3と補助部材4とが外れることがなく、且つ、擬似四角セグメントを、三角セグメント3と補助部材4とに分割するときには、容易に分割できることが好ましい。例えば、樹脂製粘着材を使用して三角セグメント3と補助部材4とを貼り付けることが好ましい。樹脂製粘着材を用いることにより、三角セグメント3の切断面(三角セグメント3の中心軸に直交する断面における斜辺、に対応する側面)の凹凸を埋めながら三角セグメント3と補助部材4とを貼り付けることができるため、三角セグメント3と補助部材4とを強固に貼り付けることができる。また、樹脂製粘着材は、補助部材付きハニカムブロック体を乾燥させる時に、揮発しないため、必要な接合強度を維持することができる。樹脂製粘着材としては、具体的には、油分を含浸させた合成ゴムを上げることができる。
【0042】
三角セグメントと補助部材とを接合させるときには、樹脂製粘着材を、三角セグメント及び補助部材の接合面に、2箇所以上配置させることが好ましく、2〜4箇所配置させることが更に好ましい(図20参照)。樹脂製粘着材51を3箇所以上配置させるときには、等間隔に配置させることが好ましい。また、三角セグメントのセルの延びる方向における端部から、当該端部に最も近い樹脂製粘着材までの距離は、15〜50mmが好ましい。また、樹脂製粘着材の一箇所の面積は、0.5〜2.0cm2であることが好ましく、0.8〜1.5cm2であることが更に好ましい。0.5cm2より小さいと、三角セグメントと補助部材とを接着させる力が低くなることがある。2.0cm2より大きいと、三角セグメントと補助部材とを剥がし難くなることがある。図20は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程において作製される三角セグメント3の接合面上の3箇所に樹脂製粘着材51を配置させた状態を示す斜視図である。
【0043】
また、例えば、図5に示すような紐5aで結ぶ方法を用いてもよい。紐5aで結ぶことによる貼り付けを行う場合、貼り付ける面に上記の樹脂製粘着材を塗布してもよい。紐5aによる貼り付けを行う場合、使用する「紐」としては、ゴム紐、木綿紐、合成紐又は糸等を挙げることができる。紐5aは、三角セグメント3と補助部材4とを図5に示すように接触させた状態で、2〜4箇所配置することが好ましい。紐5aの位置は、当該紐5aで結ぶことによって、三角セグメント3と補助部材4とが全体的に均等に押圧される位置であることが好ましい。紐5aは、太さが0.5〜1.5mmであることが好ましい。
【0044】
複数のハニカム焼成体を接合してハニカム構造体を形成するハニカム構造体の製造方法においては、通常、当該複数のハニカム焼成体を作製した後、これらのハニカム焼成体を組み立ててハニカムブロック体を形成するときに、ハニカム焼成体を作製した場所から、ハニカムブロック体を形成する場所にハニカム焼成体を搬送(移動)させることになる。このようなハニカム焼成体の搬送は、コンベア等を用いて自動化されていることが好ましい。そして、四角柱状のハニカム焼成体をコンベア等で移動させる場合、四角柱という形状に合った「搬送用の部材」に、ハニカム焼成体を載置した状態で移動させるのが、移動途中で落下したりすることを防止できる点で好ましい。また、複数のハニカム焼成体が、いずれも同一形状の四角柱状であることにより、搬送した後、ハニカム焼成体を組み立てるときに効率的に作業を行うことができる。また、組み立ての作業を自動化する場合にも、ハニカム焼成体が同一形状であると、ハニカム焼成体を組み立て装置により把持して組み立てることがより容易になる。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、複数の四角柱状のハニカム焼成体の一部を三角セグメントに加工し、四角柱状のハニカム焼成体とは異なる形状とするが、補助部材を貼り付けて擬似四角セグメントにして使用するため、搬送、組み立て時に、四角柱状のハニカム焼成体と同様に扱うことができ、効率的に、搬送及び組み立てを行うことができる。
【0045】
補助部材は、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメントの中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状(底面の外周形状が三角形の筒状)であり、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。補助部材は、このようにアルミニウム又はアルミニウム合金を筒状に形成したものであることにより、軽量にすることができるため、三角セグメントへの取り付けが容易であり、更に、擬似四角セグメントを運搬する際に、三角セグメントと補助部材との接合が外れることを防止することができる。また、補助部材付きハニカムブロック体を形成する際の、加圧時(ハニカム焼成体と擬似四角セグメントとを組み合わせて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する時)に、補助部材が外れたり、ずれたりすることを防止することができる。また、補助部材付きハニカムブロック体を乾燥する時に、補助部材が外れたり、ずれたりすることを防止することができる。また、補助部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金であるため、補助部材付きハニカムブロック体の乾燥時に、熱による変形を防止することができ、また、耐食性に優れたものである。また、アルミニウム及びアルミニウム合金は安価であるため、補助部材を安価に作製することができる。また、補助部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成される中空形状であることにより、熱容量が小さく且つ熱伝導率も比較的高いため、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させる際の昇温速度を速くすることができる。
【0046】
補助部材の形状としては、中心軸方向における両端部が開口していてもよいし、中心軸方向における一方の端部又は両端部が、板状の底部によって閉じられた形状であってもよい。筒状の補助部材の壁の厚さ(壁厚)は、1〜5mmが好ましい。補助部材の壁厚が1mmより薄いと、強度が低下することがある。補助部材の壁厚が5mmより厚いと重くなることがある。
【0047】
補助部材は、一つの三角セグメントに1本だけ貼り付けてもよいし、短く形成して、長手方向に間隔を開けて(又は、間隔を開けずに)複数本貼り付けてもよい。補助部材を一つの三角セグメントに1本だけ貼り付ける場合、補助部材の中心軸方向の長さは、三角セグメントの中心軸方向の長さの90〜100%であることが好ましく、100%であることが更に好ましい。また、補助部材を一つの三角セグメントに複数本貼り付ける場合、2〜3本貼り付けることが好ましく、2本貼り付けることが更に好ましい。一つの三角セグメントに補助部材を2本貼り付ける場合、各補助部材の中心軸方向の長さは、三角セグメントの中心軸方向の長さの20〜40%であることが好ましい。また、補助部材を一つの三角セグメントに複数本貼り付ける場合、擬似四角セグメントを搬送用の部材を用いて搬送する際に、搬送用の部材で支持される部分に補助部材が配置されていることが好ましく、また、補助部材付きハニカムブロック体を作製する際に、押圧される位置に補助部材が配置されていることが好ましい。1本の補助部材は、一体的に形成されたものであってもよいし、複数の三角柱状(底面の外周形状が三角形の筒状)の部材を着脱可能に繋いで1本の補助部材としたものであってもよい。
【0048】
補助部材の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。アルミニウム合金としては、Al−Mg−Si系アルミニウム合金を挙げることができる。アルミニウム又はアルミニウム合金は、軽量であり、耐腐食性及び経済性に優れる点で好ましい。補助部材の嵩密度(g/cm3)(補助部材の質量/補助部材が中実であると仮定した場合の体積)は、三角セグメントの嵩密度に対して、50〜150%であることが好ましく、90〜110%であることが更に好ましく、100%(補助部材の嵩密度と三角セグメントの嵩密度とが同じ大きさ)であることが特に好ましい。補助部材の嵩密度が三角セグメントの嵩密度に対して、50%より小さい場合及び150%より大きい場合は、擬似四角セグメントの重心が偏るため、搬送時(特に中心軸を中心にして回転させるとき)に、補助部材と三角セグメントとがズレて、所定の搬送位置から外れたり、落下したり、積上げ設置位置(補助部材付きハニカムブロック体を形成する際の積上げ位置)がズレて不均一なハニカムブロック体が形成されたりすることがある。
【0049】
(4−2)補助部材付きハニカムブロック体の作製;
次に、図6、図7に示すように、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメント5を構成する三角セグメント3の直交する2つの辺3c,3dが四角柱状のハニカム焼成体2に接するとともに、擬似四角セグメント5を構成する補助部材4の直交する2つの辺4b,4cが最外周12を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせ、図8に示すように、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製する。補助部材付きハニカムブロック体をこのように形成することにより、補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成したときに、「中心軸に直交する断面において、全ての三角セグメントの斜辺が最外周を構成するとともに、全ての三角セグメントの斜辺以外の辺が四角柱状のハニカム焼成体に接する状態になるように三角セグメントが配置された状態で、四角柱状のハニカム焼成体と三角セグメントとが組み合わされて接合された」、ハニカムブロック体となる。そして、補助部材付きハニカムブロック体の中心軸に直交する断面の形状は、長方形であることが好ましい。また、補助部材付きハニカムブロック体の中心軸に直交する断面の形状は、作製するハニカム構造体が円筒形状である場合には、正方形であることが好ましく、作製するハニカム構造体が、底面が楕円形の筒形状又は底面がレーストラック形状の筒形状である場合には、縦の長さと横の長さとが異なる長方形であることが好ましい。
【0050】
ここで、「中心軸に直交する断面における、三角セグメント3の、直交する2つの辺3c、3d」とは、三角セグメント3の3つの辺の中で、直角に交わり、直角の頂点部分を形成する2つの辺のことである。また、「中心軸に直交する断面において、三角セグメント3の直交する2つの辺3c、3dが、四角柱状のハニカム焼成体2に接する」とは、図7に示すように、中心軸に直交する断面において、三角セグメント3の直交する2つの辺3c、3dが、2つのハニカム焼成体2それぞれの一の辺に、それぞれ接しており(対向しており)、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成したときに、三角セグメント3の直交する2つの辺3c、3dがハニカムブロック体の内部に配置され、最外周12を形成しないという状態であることを意味する。
【0051】
四角柱状のハニカム焼成体及び四角柱状の擬似四角セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせる際には、ハニカム焼成体及び擬似四角セグメントの、端面等の接合材を塗布したくない部位に、予めマスキングテープを貼付することが好ましい。そして、マスキングテープを貼付したハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせて、加圧した後に、端面と側面に「はみ出した」スラリー状の接合材をかき取り除去することが好ましい。ハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせる操作は、人間が手動で行ってもよいが、機械で行うことが好ましい。ここで、「ハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせる」ときの「接合しながら」は、スラリー状の接合材の粘性により、ゆるく接合された状態を意味し、この段階ではまだ強固には接合されていない。
【0052】
接合材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の充填材に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤、水等を加えて混練したスラリー等を挙げることができる。接合材を乾燥させたものが緩衝部14(図10参照)となる。
【0053】
四角柱状のハニカム焼成体2及び擬似四角セグメント5を、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせたものについて、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製する際には、図8に示すように、加圧治具31を用いて加圧することが好ましい。このとき、最外周を構成する全てのハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを加圧治具31によって加圧することが好ましい。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、補助部材付きハニカムブロック体11が、「四角柱状のセグメント(ハニカム焼成体2及び擬似四角セグメント5)」によって構成されるようになり、そのため、補助部材付きハニカムブロック体11全体の形状も四角柱状になる。そのため、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧するときに、補助部材付きハニカムブロック体11全体を均等に強く加圧することができ、より強く接合された補助部材付きハニカムブロック体11を作製することができる。これにより、接合状態の良好なハニカム構造体100を得ることができる。
【0054】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とがいずれも四角柱状であり、補助部材付きハニカムブロック体11の中心軸に直交する断面の形状を長方形とすることができるため、通常の、ハニカムセグメントを接合してハニカム構造体を製造する方法において使用される加圧治具を用いて、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを接合することができる。そのため、従来の、ハニカムセグメントを接合してハニカム構造体を製造する方法に使用する製造設備を用いて、補助部材付きハニカムブロック体11を作製することができるため、新しい設備を必要としない点で好ましい。加圧治具31としては、油圧、空圧又は電動シリンダにより、0.1〜0.6MPaの圧力を各セグメントへ伝達できる鋼製ブロックを用いることが好ましい。また、四角柱状のハニカム焼成体又は三角セグメントと接触する部位にはゴム等の弾性体を用いることが好ましい。
【0055】
(4−3)補助部材付きハニカムブロック体の乾燥;
次に、補助部材付きハニカムブロック体11の接合材13を乾燥させる。補助部材付きハニカムブロック体11を、80〜170℃で0.5〜2時間乾燥させて、接合材を硬化させることが好ましい。補助部材付きハニカムブロック体は、補助部材を有しているが、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料としているため、乾燥時の熱による変形等は生じない。
【0056】
(4−4)ハニカムブロック体の作製;
次に、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外して、図9A、図9Bに示すような、ハニカムブロック体21を形成する。三角セグメントと補助部材とを樹脂製粘着材によって接合している場合には、容易に剥がすことができる。また、三角セグメントと補助部材とを紐で接合している場合には、当該紐を切断して、抜き取ってから、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外すことが好ましい。図9A、図9Bに示すように、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカムブロック体21の中心軸に直交する断面において、全ての三角セグメント3が最外周を構成している。
【0057】
図9A、図9Bに示す、ハニカムブロック体21は、4個×4個の四角柱状のハニカム焼成体の接合体において、中心軸に直交する断面における角部(頂点部分)に位置する4つのハニカム焼成体が三角セグメントに置き換わった構造である。このような構造(ハニカムブロック体の構造)を「4×4構造」と称する。これは、三角セグメントを4個作製し、ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の四つの頂点部分に三角セグメントが配置されるように、ハニカム焼成体と三角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製したものである。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカムブロック体の構造は、「4×4構造」に限定されるものではなく、「n×n構造(n:3以上の整数)」であることが好ましく、「m×l構造(m:3以上の整数、l:mとは異なる3以上の整数)」であることも好ましい。nは、4以上が更に好ましい。nの上限は、特に限定されないが、10が好ましい。いずれの構造も、四隅(四つの角部)が三角セグメントに置き変わった構造である。ハニカムブロック体の構造としては、更に具体的には、「3×3構造」、「5×5構造」、「6×6構造」、「7×7構造」、「8×8構造」、「3×4構造」、「4×5構造」、「5×6構造」、「3×6構造」等を挙げることができる。尚、上記、「n×n構造(n:3以上の整数)」や、「m×l構造(m:3以上の整数、l:mとは異なる3以上の整数)」のハニカムブロック体を作製する際には、当該ハニカムブロック体を構成する三角セグメントの全てが、補助部材付きハニカムブロック体を形成した段階において、「補助部材が接合された擬似四角セグメント」を形成していることになる。
【0058】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体の製造過程で作製されるハニカムブロック体の形状は、中心軸に直交する断面が、長方形の4つの頂点部分が三角セグメントとなった形状に限定されない。例えば、図11に示すように、三角セグメント3を8個作製し、ハニカムブロック体22の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部にハニカム焼成体及び三角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、4つの角部に隣接する8箇所の位置に上記8個の三角セグメント3がそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体2と三角セグメント3とを組み合わせた形状になるようにして作製されたハニカムブロック体22であることも好ましい態様である。図11において、ハニカムブロック体22内に示される円形A(研削パターン)は、作製される円筒状のハニカム構造体の外周を示す。図11は、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【0059】
図11に示されるハニカムブロック体22は、「8個の三角セグメントが、全て四角柱状のハニカム焼成体であり、且つ、中心軸に直交する断面において、4つの頂点部分に四角柱状のハニカム焼成体が配置されている」と仮定すると、中心軸に直交する断面の形状が、ハニカム焼成体が「6個×6個」組み合わされて形成された長方形になる。このようなハニカムブロック体を「6×6構造(8)」と称する。「6×6構造(8)」の中の「(8)」は、三角セグメントを8個含むことを意味する。ハニカムブロック体22においては、中心軸に直交する断面において、それぞれの斜辺が直線上に並ぶように配置された隣接する2つの三角セグメント3,3の両方に接する、四角柱状のハニカム焼成体は、中心軸に直交する断面において、一の頂点2aが最外周12を構成しているものとする。そして、当該一の頂点2a(のみ)が最外周12を構成するハニカム焼成体は、ハニカムブロック体22の最外周を構成するハニカム焼成体であるとする。
【0060】
このように、「三角セグメントを8個含み、「それぞれの斜辺が直線上に並ぶように配置された隣接する2つの三角セグメント」が4セット(2個×4箇所(セット))形成された」ハニカムブロック体の構造は、「6×6構造(8)」に限定されるものではなく、「N×N構造(8)(N:5以上の整数)」であることが好ましく、「M×L構造(8)(M:5以上の整数、L:Mとは異なる6以上の整数)」であることも好ましい。いずれの構造も、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部にハニカム焼成体及び三角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、4つの角部に隣接する8箇所の位置に上記8個の三角セグメント3がそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体2と三角セグメント3とを組み合わせた構造である。このようなハニカムブロック体の構造としては、更に具体的には、「5×5構造(8)」、「7×7構造(8)」、「8×8構造(8)」、「9×9構造(8)」、「5×6構造(8)」、「6×7構造(8)」、「7×8構造(8)」、「5×7構造(8)」、「5×8構造(8)」等を挙げることができる。尚、上記、「N×N構造(8)(N:5以上の整数)」や、「M×L構造(8)(M:5以上の整数、L:Mとは異なる6以上の整数)」のハニカムブロック体を作製する際には、当該ハニカムブロック体を構成する三角セグメントの全てが、補助部材付きハニカムブロック体を形成した段階において、「補助部材が接合された擬似四角セグメント」を形成していることになる。
【0061】
(5)ハニカム構造体の作製:
次に、図9A、図9Bに示されるようなハニカムブロック体21の外周部分を研削して、図10に示すようなハニカム構造体100を得る。ハニカムブロック体21の外周部分を研削する場合、全ての三角セグメント3の一部を研削するようにする。全ての三角セグメントの一部を研削するとは、ハニカムブロック体を構成する三角セグメントは、全てその一部が研削されていることを意味し、ハニカムブロック体を構成する三角セグメントの中で、全く研削されない三角セグメントはなく、且つ、研削されてなくなってしまう三角セグメントもないということを意味する。また、ハニカムブロック体21の外周部分とは、ハニカムブロック体21の最外周を構成するセグメントのことである。また、ハニカム構造体100は、複数のハニカムセグメント15が接合された構造である。
【0062】
ハニカムブロック体21の外周部分を研削する方法は、特に限定されないが、ダイヤモンド砥粒等が埋め込まれた線状切断具を備えた切断機、切削機、研磨機等を用いて研削する方法が好ましい。
【0063】
緩衝部14(図10参照)の厚さは、下限値が0.3mmであることが好ましく、0.7mmであることが更に好ましい。上限値は、2.0mmであることが好ましく、1.5mmであることが更に好ましい。0.3mmより薄いと、ハニカム構造体に外部から力が加わったときに、セグメント(ハニカム焼成体及び三角セグメントに由来する各部分を「セグメント」と称する)同士が接触することがある。2.0mmより厚いと、排ガス処理用のフィルター等として用いた時に圧力損失が大きくなることがある。
【0064】
作製されるハニカム構造体の形状は、特に限定されず、円筒形、中心軸に直交する断面の形状が楕円形の筒状体、中心軸に直交する断面の形状がレーストラック形状の筒状体、その他の形状等を挙げることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、例えば、円筒形状の場合、底面の直径は、下限値が80mmであることが好ましく、140mmであることが更に好ましい。上限値は、400mmであることが好ましく、300mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、下限値が80mmであることが好ましく、150mmであることが更に好ましい。上限値が400mmであることが好ましく、300mmであることが更に好ましい。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
セラミックス原料として、SiC粉、金属Si粉を80:20の質量割合で混合し、これに、成形助材としてメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシメチルセルロース、造孔材として澱粉と吸水性樹脂をそれぞれ混合し、界面活性剤及び水を添加して混練し、真空土練機により円柱状の坏土を作製した。
【0067】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いてハニカム形状に成形し、高周波誘電加熱乾燥をした後、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥し、両端面を所定量切断して、隔壁の厚さが310μm、セル密度が46.5セル/cm2、底面が36mm×36mmの正方形で、長さが300mmの四角柱状のハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は14本(個)作製した。
【0068】
得られたハニカム成形体について、隣接するセルが互いに反対側の端部で封じられ、両端面が市松模様状を呈するように、各セルの端部に目封止部を形成した。目封止用の充填材には、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。目封止部の深さ(セルの延びる方向における深さ)は、6mmとした。目封止後、目封止ハニカム成形体を、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥した。
【0069】
その後、ハニカム成形体を、大気雰囲気にて脱臭装置付き大気炉に入れて、450℃まで約20時間かけて昇温し(特に、有機成分が分解する200〜300℃の範囲をゆっくりと昇温した)、その後450℃で5時間保持し、その後炉内で自然に5時間かけて100℃まで冷却して脱脂を行った(30時間脱脂)。その後、アルゴン不活性雰囲気にて約1450℃で24時間焼成(本焼成)して(昇温10時間、保持4時間、降温10時間)、SiC結晶粒子がSiで結合された、底面正方形の四角柱状のハニカム焼成体を得た。得られたハニカム焼成体は隔壁が多孔質であった。ハニカム焼成体の平均細孔径は13μmであり、気孔率は41%であった。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値であり、気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0070】
次に、14本のハニカム焼成体の中の2本(個)のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、2個のハニカム焼成体から4個の中心軸に直交する断面の面積が同じ三角柱状の三角セグメントを作製した。ハニカム焼成体の切断は、ダイヤモンド砥粒付き円形刃の切断機を用いて行った。
【0071】
4個の三角セグメントを作製した後、当該三角セグメントに、外形が当該三角セグメントの外形と同形状の「中空の三角柱状(底面の外形が三角形の筒状)」の補助部材を、それぞれの中心軸に直交する断面における斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製した。補助部材の材質は、アルミニウムとし、三角セグメントと補助部材との貼り付けは、樹脂製粘着材によって行った。樹脂性粘着材としては、鉱物油を含侵させた合成ゴムを用いた。また、補助部材の嵩密度(g/cm3)(補助部材の質量/補助部材が中実であると仮定した場合の体積)は、約0.45であった。また、補助部材の壁厚は、2mmであった。
【0072】
次に、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメントを構成する三角セグメントの、直交する2つの辺が、四角柱状のハニカム焼成体に接するとともに、擬似四角セグメントを構成する補助部材の、直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、図8に示すような加圧治具31を用いて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製した。補助部材付きハニカムブロック体は、中心軸に直交する断面において、4個×4個の四角柱状のハニカム焼成体による正方形における、四つの角部に擬似四角セグメントが配置された構造である。接合材としては、SiC系モルタル接着材を用いた。加圧治具31としては、具体的には、炭素鋼のブロック体であって、セグメント接触部に合成ゴムが取り付けられたものを用いた。
【0073】
次に、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させた。乾燥条件は、140℃で、3時間加熱することとした。
【0074】
次に、乾燥させた補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外して、図12に示すような「4×4構造」のハニカムブロック体41を作製した。図12は、実施例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体41を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0075】
次に、図12に示す円形の研削パターンBに沿って、ハニカムブロック体41の外周部分を研削して、円筒状のハニカム構造体を作製した。研削パターンBは、ハニカムブロック体の中心軸に直交する断面形状に内接する円形である。ここで、「ハニカムブロック体の断面形状に内接する円形」とは、ハニカムブロック体の外周の一部に内接すると共に、外周からはみ出さない円形であって、直径が最大の円形のことをいう。
【0076】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
(実施例2,3)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ハニカム構造体を作製した。
【0080】
(実施例4)
図13に示すように、ハニカムブロック体として、ブロック体構造が「3×6構造」で、研削パターンが「研削パターンC」の、ハニカムブロック体42を作製し、ハニカム構造体を、底面が楕円形の筒状とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。研削パターンCは、ハニカムブロック体の中心軸に直交する断面において、ハニカムブロック体に内接する楕円形であって、長径がハニカムブロック体の長軸方向(四角柱状のハニカム焼成体が6個並ぶ方向)長さと同じ長さであり、短径がハニカムブロック体の短軸方向(四角柱状のハニカム焼成体が3個並ぶ方向)長さと同じ長さの楕円形である。ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。図13は、実施例4のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体42を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0081】
(実施例5〜7)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例4と同様にして、ハニカム構造体を作製した。
【0082】
(実施例8)
図14に示すように、ハニカムブロック体として、ブロック体構造が「4×4構造(2)」で、研削パターンが「研削パターンD」の、ハニカムブロック体43を作製し、ハニカム構造体を、底面が楕円形の筒状とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。ブロック体構造における「4×4構造(2)」とは、図14に示すように、4個×4個の四角柱状のハニカム焼成体43aの接合体において、中心軸に直交する断面における、一の対角線上に位置する2つの角部(頂点部分)を構成するハニカム焼成体43aが三角セグメント43bに置き換わった構造である。また、「研削パターンD」は、ハニカムブロック体の中心軸に直交する断面において、ハニカムブロック体に内接する楕円形であって、長径がハニカムブロック体の他の対角線(四角柱状のハニカム焼成体が配置されている角部(頂点)間を結ぶ対角線)と平行な楕円形であり、且つ、2つの三角セグメントを横切る楕円形である。従って、得られたハニカム構造体には、2つの三角セグメントに由来する部分が存在する。ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。図14は、実施例8のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体43を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0083】
(実施例9,10)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例8と同様にして、ハニカム構造体を作製した。
【0084】
(実施例11)
図15に示すように、ハニカムブロック体として、ブロック体構造が「6×6構造(8)」で、研削パターンが「研削パターンE」の、ハニカムブロック体44を作製し、ハニカム構造体を、底面が円形の筒状とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。「研削パターンE」は、ハニカムブロック体の中心軸に直交する断面において、ハニカムブロック体の中心点(重心)を中心とし、所定の直径の円形である、実施例11において、研削パターンEにおける円形の直径(所定の直径)は190mmである。得られたハニカム構造体には、8つの三角セグメントに由来する部分が存在する。ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。図15は、実施例11のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体44を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0085】
(実施例12〜14)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例11と同様にして、ハニカム構造体を作製した。尚、実施例12において、研削パターンEにおける円形の直径は、150mmとした。また、実施例13において、研削パターンEにおける円形の直径は、240mmとした。また、実施例14において、研削パターンEにおける円形の直径は、280mmとした。
【0086】
(比較例1)
三角セグメントを作製せず、図16に示すハニカムブロック体45のように、実施例1において三角セグメントが配置されていた位置に四角柱状のハニカム焼成体45aを配置してハニカムブロック体を形成した以外は実施例1の場合と同様にして、ハニカム構造体を作製した。図16は、比較例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体45を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0087】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表2に示した。尚、三角セグメントを有さない状態のハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)は、単に「X×Y」(X,Yは整数)と示す。例えば、ブロック体構造「4×4」は、四角柱状のハニカム焼成体が「4個×4個」並んだ、中心軸に直交する断面の形状が正方形のハニカムブロック体を示す。また、ハニカムブロック体は、三角ブロックを有さないため、「研削パターン」は、全体が、四角柱状のハニカム焼成体上に形成される。
【0088】
(比較例2〜14)
比較例2〜14においては、三角セグメントを作製せず、三角セグメントが配置されていた位置に四角柱状のハニカム焼成体を配置してハニカムブロック体を形成した以外は、それぞれ、実施例2〜14の場合と同様にして、ハニカム構造体を作製した。例えば、比較例4では、図17に示すように、四角柱状のハニカム焼成体46aから構成されたハニカムブロック体46を形成する。また、比較例8では、図18に示すように、四角柱状のハニカム焼成体47aから構成されたハニカムブロック体47を形成する。また、比較例11では、図19に示すように、四角柱状のハニカム焼成体48aから構成されたハニカムブロック体48を形成する。図17は、比較例4のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体46を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図18は、比較例8のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体47を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図19は、比較例11のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体48を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0089】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)、補助部材の有無を表2に示した。
【0090】
表1,2より、実施例1〜14のハニカム構造体の製造方法は、三角セグメントを用いて、ハニカム構造体を作製しているため、ハニカム成形体の作製本数を少なくすることができ、原料収率を向上させることができることがわかる。
【0091】
(比較例15)
補助部材として、樹脂製の中実の三角柱状の部材(外形が三角セグメントと同じ形状)を使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。補助部材の嵩密度は、1.6g/cm3であった。補助部材の材質は、具体的には、ニトリルゴムとした。ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察した。結果を表3に示す。
【0092】
表3において、「加圧時の補助部材のずれ」は、「四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、加圧治具を用いて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製」した際に、補助部材が三角セグメントからずれたか否かを評価したものである。「無し」は、「ずれ」がなかったことを示し、「有り」は、「ずれ」があったことを示す。また、「補助部材取り外し時の接合ずれ」は、「補助部材付きハニカムブロック体から、補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成」した際に、四角柱状のハニカム焼成体及び三角セグメントの接合が、ずれたか否かを評価したものである。「無し」は、「ずれ」がなかったことを示し、「有り」は、「ずれ」があったことを示す。
【0093】
また、表3において、「補助部材の熱変形」は、補助部材付きハニカムブロック体を乾燥(接合材を乾燥)させたときに、補助部材が熱により変形したか否かを評価したものである。「無し」は、変形がなかったことを示し、「有り」は、変形があったことを示す。また、「乾燥時の補助部材ずれ」は、補助部材付きハニカムブロック体の接合材の乾燥中に、補助部材が三角セグメントからずれたか否かを評価したものである。「無し」は、「ずれ」がなかったことを示し、「有り」は、「ずれ」があったことを示す。また、「乾燥温度上昇速度」は、補助部材付きハニカムブロック体の接合材の乾燥において、接合材が十分に乾燥されたか否かを評価するものである。「OK」は、ハニカムブロック体外周温度が45分以内に100℃に到達することを示し、「NG」は、ハニカムブロック体外周温度が45分以内に100℃に到達しなかったことを示す。
【0094】
尚、実施例1について、ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察したところ、表3に示すように、いずれも良好な結果であった。
【0095】
【表3】
【0096】
(比較例16)
補助部材として、樹脂製の中空の三角柱状の部材(外形が三角セグメントと同じ形状)を使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。補助部材の嵩密度は、0.7g/cm3であった。ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察した。結果を表3に示す。
【0097】
(比較例17)
補助部材として、アルミニウム製の中実の三角柱状の部材(外形が三角セグメントと同じ形状)を使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。補助部材の嵩密度は、2.6g/cm3であった。ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察した。結果を表3に示す。
【0098】
(比較例18)
補助部材付きハニカムブロック体の接合材の乾燥前に、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外し、補助部材付きハニカムブロック体ではなくハニカムブロック体の接合材を乾燥させた以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察した。結果を表3に示す。
【0099】
表3より、補助部材が樹脂製であると(比較例15,16)、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥する際に、熱により変形することが分かる。また、補助部材が、中実のアルミニウム製であると(比較例17)、嵩密度が三角セグメントの3倍以上あるため、補助部材と三角セグメントとが、ずれ易くなっていることが分かる。また、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させる前に、補助部材を取り外すと(比較例18)、接合材が乾燥されていないため、四角柱状のハニカム焼成体及び三角セグメントの接合が、ずれることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして好適に利用することができるハニカム構造体を、製造するために利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1:ハニカム成形体、1a:一方の端面、1b:他方の端面、1c:セル、1d:隔壁、2:ハニカム焼成体、3:三角セグメント、3a:斜辺、3b:側面、3c,3d:直交する辺、4:補助部材、4a:斜辺、4b,4c:直交する辺、5:擬似四角セグメント、5a:紐、11:補助部材付きハニカムブロック体、12:最外周、13:接合材、14:緩衝部、15:セグメント、21,22:ハニカムブロック体、31:加圧治具、41,42,43,44,45,46,47,48:ハニカムブロック体、41a,43a,44a,45a,46a,46a,47a,48a:ハニカム焼成体、41b,43b,44b:三角セグメント、51:樹脂製粘着材、100:ハニカム構造体、A:円形、B,C,D,E:研削パターン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関し、さらに詳しくは、原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミック製のハニカム構造体が採用されている。特に、近時では、ハニカム構造体は、両端面のセル開口部を交互に目封止して目封止ハニカム構造体とし、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質(PM:パティキュレートマター)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)として盛んに用いられている。そして、高温、腐食性ガス雰囲気下で使用されるハニカム構造体の材料として、耐熱性、化学的安定性に優れた、炭化珪素(SiC)、コージェライト、チタン酸アルミニウム(AT)等が好適に用いられている。
【0003】
これらの材料の中で、炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、体積の大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがある。また、捕集した粒子状物質を燃焼除去する際の熱衝撃により欠陥が生じることがある。更に、上記体積が大きいハニカム構造体を作製する場合、焼成時に内外温度差によるクラックが生じることがあるため、通常の何倍もの時間をかけて、ゆっくりと脱脂、焼成しなければならないという問題があった。そのため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体については、所定の大きさ以上のものを製造する場合、通常、複数の小さな四角柱状の目封止ハニカムセグメント(ハニカム構造体)を作製し、それらハニカムセグメントを接合して、一つの大きい接合体を作製し、その外周を粗加工、研削して円筒状等の所望の形状の目封止ハニカム構造体としている(特許文献1参照)。また、四角柱状のハニカムセグメントを接合して、一つの大きい四角柱状の接合体を作製する場合に、接合体の中心軸に直交する断面において「角」に相当する部分(角部)に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体が開示されている(特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291054号公報
【特許文献2】特開2000−7455号公報
【特許文献3】特開2009−50849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法で、所望の形状のハニカム構造体を作製する場合、通常、複数の四角柱状のハニカムセグメントを接合して、1つの大きな四角柱状の接合体(ハニカムブロック体)を作製した後に、略所望の形状にするために外周を研削して、所望の形状のハニカム構造体にする必要があった。尚、本明細書において、ハニカムブロック体の外周を研削するというときは、ハニカムブロック体の外周を削って所望の形状のハニカム構造体を作製する工程全体を意味し、ハニカムブロック体の粗加工、高精度に仕上げる加工等を全て含むものとする。ここで、ハニカム構造体としては、中心軸に直交する断面の形状が円形や楕円形の柱状のものが多く作製されている。この場合、四角柱状の接合体の外周を粗加工、研削して当該断面形状を円形等にするため、四角柱状の接合体の中心軸に直交する断面における「角(かど)」の位置(角部)に配置されたハニカムセグメントのほとんどを削って除去する必要があった。そのため、原料収率が低いという問題があった。
【0006】
また、特許文献2,3に記載のような、接合体の中心軸に直交する断面において「角」に相当する部分に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体を作製しようとすると、ハニカムセグメントを組み立てて接合体を作製するときに、接合体の外周側から内側に向かって加圧してハニカムセグメント同士を押圧しながら接着させる必要があるが、三角柱状のハニカムセグメントの部分に対しては加圧することが容易では無く、ハニカムセグメント同士の接着を十分に行うことが難しいという問題があった。また、側面側の三角セグメントを積み上げ設置することも容易ではなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体の製造方法を提供する。
【0009】
[1] 成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体を複数個形成し、複数の前記ハニカム成形体を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、複数の前記ハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の三角柱状の三角セグメントを作製し、前記三角セグメントに、中心軸に直交する断面の外周形状が前記三角セグメントの中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、前記擬似四角セグメントを構成する前記三角セグメントの直交する2つの辺が前記四角柱状のハニカム焼成体に接するとともに、前記擬似四角セグメントを構成する補助部材の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、前記四角柱状のハニカム焼成体及び前記四角柱状の擬似四角セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、前記補助部材付きハニカムブロック体の前記接合材を乾燥させ、その後、前記補助部材付きハニカムブロック体から前記補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成し、前記ハニカムブロック体の外周部分を、全ての前記三角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【0010】
[2] 前記三角セグメントに、前記補助部材を樹脂製粘着材によって貼り付ける[1]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0011】
[3] 前記三角セグメントを4個作製し、前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の四つの頂点部分に三角セグメントが配置された形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0012】
[4] 前記三角セグメントを8個作製し、前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部に前記ハニカム焼成体及び前記三角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、前記4つの角部に隣接する8箇所の位置に前記8個の三角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と三角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、三角セグメントに、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメントの中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメントを構成する三角セグメントの直交する2つの辺が四角柱状のハニカム焼成体に接するとともに、擬似四角セグメントを構成する補助部材の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させ、その後、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外してハニカムブロック体を作製し、ハニカムブロック体の外周部分を、全ての三角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るため、外周部分を研削するときに研削除去される部分を少なくすることができ、原料収率を向上させることができる。
【0014】
更に、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させた後に、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外すため、補助部材を取り外す際に、四角柱状のハニカム焼成体及び三角セグメントの接合がずれることを防止することができる。更に、補助部材が、筒状であり且つアルミニウム又はアルミニウム合金製であるため、補助部材が軽量且つ高強度となり、補助部材と三角セグメントとの接合を容易に行うことができる。また、補助部材が、筒状であり且つアルミニウム又はアルミニウム合金製であるため、補助部材の熱容量を小さくできるとともに熱伝導率も比較的高くすることができ、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させる際の昇温速度を速くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム成形体を模式的に示した斜視図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム焼成体を模式的に示した斜視図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体が、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸方向に平行に切断されて、2つの三角セグメントが形成された状態を模式的に示した斜視図である。
【図4】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、三角セグメントと、三角柱状の補助部材とを貼り付ける前の状態を模式的に示した斜視図である。
【図5】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、三角セグメントと、三角柱状の補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメントを形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図6】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体を模式的に示した斜視図である。
【図7】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。
【図8】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図9A】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図9B】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した斜視図である。
【図10】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において製造されるハニカム構造体を模式的に示した平面図である。
【図11】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図12】実施例1のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図13】実施例4のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図14】実施例8のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図15】実施例11のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図16】比較例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図17】比較例4のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図18】比較例8のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図19】比較例11のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図20】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程において作製される三角セグメントの接合面上の3箇所に樹脂製粘着材を配置させた状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0017】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態は、図1〜図10に示すように、成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面1aから他方の端面1bまで延びる複数のセル1cを区画形成する隔壁1dを有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体1を複数個形成し、複数のハニカム成形体1を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体2を形成し、複数のハニカム焼成体2の中の少なくとも1個のハニカム焼成体2を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体2の個数に対して2倍の個数の三角柱状の三角セグメント3を作製し、三角セグメント3に、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメント3の中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材4を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメント5を構成する三角セグメント3の直交する2つの辺が四角柱状のハニカム焼成体2に接するとともに、擬似四角セグメント5を構成する補助部材4の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製し、補助部材付きハニカムブロック体11の接合材13を乾燥させ、その後、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外してハニカムブロック体21を形成し、ハニカムブロック体21の外周部分を、全ての三角セグメント3の一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体100を得るものである。ここで、本明細書において、「三角柱状」というときは、底面が三角形の筒状を含むものとし、「四角柱状」というときは、底面が四角形の筒状を含むものとする。尚、図2に示すハニカム焼成体2には、目封止部が形成されている。
【0018】
ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム成形体1を模式的に示した斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム焼成体2を模式的に示した斜視図である。図3は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2が、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸方向に平行に切断されて、2つの三角セグメント3が形成された状態を模式的に示した斜視図である。図4は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、三角セグメント3と、三角柱状の補助部材4とを貼り付ける前の状態を模式的に示した斜視図である。図5は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、三角セグメント3と、三角柱状の補助部材4とを貼り付けて擬似四角セグメント5を形成した状態を模式的に示した斜視図である。図6は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体11を模式的に示した斜視図である。図7は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体11の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。図8は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。図9Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21を模式的に示した平面図である。図9Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21を模式的に示した斜視図である。図10は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において製造されるハニカム構造体100を模式的に示した平面図である。
【0019】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態によれば、三角セグメント3に、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメント3の中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材4を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメント5を構成する三角セグメント3の直交する2つの辺が四角柱状のハニカム焼成体2に接するとともに、擬似四角セグメント5を構成する補助部材4の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と四角柱状の擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製し、補助部材付きハニカムブロック体11の接合材13を乾燥させ、その後、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外してハニカムブロック体21を作製し、ハニカムブロック体21の外周部分を、全ての三角セグメント3の一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体100を得るため、外周部分を研削するときに研削除去される部分を少なくすることができ、原料収率を向上させることができる。これは、従来、四角柱状のハニカム焼成体を配置していた部分に、三角セグメントを配置させることにより、研削除去される量を削減したものである。また、1つの四角柱状のハニカム焼成体から2つの三角セグメントが作製されるため、ハニカム構造体を作製するのに必要な四角柱状のハニカム焼成体の本数を減らすことができる。
【0020】
更に、アルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材を使用するため、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を高温で乾燥させることができる。そして、高温乾燥により接合材強度が発現した状態で補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外すため、三角セグメントがハニカムブロック体から剥がれることなく取り外すことができる。更に、補助部材が、筒状であり且つアルミニウム又はアルミニウム合金製であるため、補助部材が軽量且つ高強度となり、補助部材と三角セグメントとの接合を容易に行うことができる。また、補助部材が、筒状であり且つアルミニウム又はアルミニウム合金製であるため、補助部材の熱容量を小さくできるとともに熱伝導率も比較的高くすることができ、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させる際の昇温速度を速くすることができる。以下、本実施形のハニカム構造体の製造方法について工程毎に説明する。
【0021】
(1)ハニカム成形体の作製:
まず、セラミック原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料とする。セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、チタニア、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料が好ましい。尚、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミックス原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。珪素−炭化珪素系複合材料とする場合、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末を混合したものをセラミック原料とする。セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して40〜90質量%であることが好ましい。
【0022】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して3〜15質量%であることが好ましい。
【0023】
水の含有量は、成形原料全体に対して7〜45質量%であることが好ましい。
【0024】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して5質量%以下であることが好ましい。
【0025】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル、炭素等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して15質量%以下であることが好ましい。
【0026】
次に、成形原料を成形して、中心軸に直交する断面の形状が長方形の、四角柱状のハニカム成形体1を形成する。ハニカム成形体の個数は、作製するハニカム構造体の形状、大きさに合わせて適宜決定することができる。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、14個のハニカム成形体を作製する。成形原料を成形する際には、まず、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。そして、坏土を押出成形して、図1に示すような、四角柱状のハニカム成形体1を形成する。ハニカム成形体1は、流体の流路となる一方の端面1aから他方の端面1bまで延びる複数のセル1cを区画形成する隔壁1dを有するものであり、中心軸に直交する(セルの延びる方向に直交する)断面が長方形の四角柱状である。ハニカム成形体1の中心軸に直交する断面の形状は正方形であることが好ましい。坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法は特に制限されず、押出成形等の従来公知の成形法を用いることができる。例えば、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
【0027】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を除去した後、残りの水分を外部加熱方式により除去することにより、ハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜95質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、90〜180℃が好ましい。乾燥時間は1〜10時間が好ましい。
【0028】
次に、ハニカム成形体の中心軸方向長さ(セルの延びる方向における長さ)が、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、両頭丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。また、複数のハニカム成形体は、全てが同じ形状、同じ大きさであることが好ましい。
【0029】
次に、ハニカム成形体について、一方の端面における所定のセルの開口部と、他方の端面における残余のセルの開口部に目封止部を形成することが好ましい。目封止部を形成したハニカム成形体は、一方の端面側に目封止部が形成された所定のセルと、他方の端面側に目封止部が形成された残余のセルとが、交互に並び、両端面に市松模様が形成されることが好ましい。ハニカム成形体に目封止部を形成した場合は、得られるハニカム構造体が目封止ハニカム構造体となる。
【0030】
ハニカム成形体に目封止部を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。ハニカム成形体の一方の端面にシートを貼り付けた後、当該シートの目封止部を形成しようとするセルに対応した位置に孔を開ける。そして、目封止部の構成材料をスラリー化した目封止用スラリーに、ハニカム成形体の当該シートを貼り付けた端面を浸漬し、シートに開けた孔を通じて、目封止部を形成しようとするセルの開口端部内に目封止用スラリーを充填する。そして、ハニカム成形体の他方の端面については、一方の端面において目封止部を形成しなかったセルについて、上記一方の端面に目封止を施した方法と同様の方法で目封止部を形成する(目封止スラリーを充填する)。目封止部の構成材料としては、ハニカム成形体の材料と同じものを用いることが好ましい。目封止部は、ハニカム成形体を焼成した後のハニカム焼成体に形成してもよい。目封止部をハニカム焼成体に形成する場合は、目封止部を固化させ、隔壁と密着させるため、目封止部を形成した後に、必要に応じて熱処理、焼成等を行うことが好ましい。
【0031】
(2)ハニカム焼成体の作製:
次に、各ハニカム成形体を焼成して、図2に示すハニカム焼成体2を得る。焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂(仮焼成)を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃を最高温度として、0.5〜20時間、最高温度を保持して行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料の場合には、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1300〜1500℃の最高温度で、1〜10時間、加熱保持することが好ましい。
【0032】
ハニカム焼成体の隔壁は、多孔質であることが好ましい。ハニカム焼成体の隔壁の開気孔率の下限値は30%であることが好ましく、35%であることが更に好ましい。ハニカム焼成体の隔壁の開気孔率の上限値は80%であることが好ましく、65%であることが更に好ましい。開気孔率をこのような範囲とすることにより、強度を維持しながら圧力損失を小さくできるという利点がある。開気孔率が30%未満であると、圧力損失が上昇することがある。開気孔率が80%を超えると、強度が低下するとともに、熱伝導率が低下することがある。開気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0033】
ハニカム焼成体の隔壁は、平均細孔径の下限値が5μmであることが好ましく、7μmであることが更に好ましい。また、平均細孔径の上限値が50μmであることが好ましく、35μmであることが更に好ましい。平均細孔径をこのような範囲とすることにより、粒子状物質(PM)を効果的に捕集できるという利点がある。平均細孔径が5μm未満であると、粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすくなることがある。平均細孔径が50μmを超えると、粒子状物質(PM)がフィルターに捕集されずに通過することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。例えば、島津製作所社製、「商品名:ポロシメータ 型式9810」を使用して測定することが出来る。
【0034】
ハニカム焼成体の隔壁の材質が炭化珪素である場合、炭化珪素粒子の平均粒径が5〜100μmであることが好ましい。このような平均粒径とすることより、フィルターを、好適な気孔率、気孔径に制御しやすいという利点がある。平均粒径が5μmより小さいと、気孔径が小さくなり過ぎ、100μmより大きいと気孔率が小さくなることがある。気孔径が小さ過ぎると粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすく、気孔率が小さすぎると圧力損失が上昇することがある。平均粒径は、JIS R 1629に準拠して測定した値である。
【0035】
ハニカム焼成体のセル形状(ハニカム焼成体の中心軸(セルが延びる方向)に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。目封止部を形成する場合は、八角形と四角形との組み合わせも好適な一例である。ハニカム焼成体の隔壁の厚さは、50〜2000μmであることが好ましい。隔壁の厚さが50μmより薄いと、得られるハニカム構造体の強度が低下することがあり、2000μmより厚いと、圧力損失が大きくなることがある。ハニカム焼成体のセル密度は、特に制限されないが、0.9〜311セル/cm2であることが好ましく、7.8〜62セル/cm2であることが更に好ましい。
【0036】
ハニカム焼成体の大きさ(縦×横×長さ(中心軸方向長さ))は、30mm×30mm×80mm〜50mm×50mm×400mmが好ましい。
【0037】
また、得られるハニカム焼成体の熱膨張係数が、1×10−6/℃以上であることが好ましく、2×10−6〜7×10−6/℃であることが更に好ましい。本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、このような熱膨張係数の大きなセグメントを有するハニカム構造体であっても、耐熱衝撃性の高いハニカム構造体とすることが可能である。
【0038】
(3)三角セグメントの作製:
次に、得られた複数のハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、図3に示すような、「切断された四角柱状のハニカム焼成体」の個数に対して2倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ三角柱状の三角セグメント3を作製する。ここで、「ハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断する」というときは、図3に示すように、ハニカム焼成体を切断するときの切断面が中心軸に平行であり(中心軸を含み)、ハニカム焼成体の中心軸に直交する断面において、四角形の断面の2つの対角線の中の一方の対角線に沿って切断することを意味する。また、「切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の、三角柱状の三角セグメントを作製する」というときは、四角柱状のハニカム焼成体を切断することにより、1つの四角柱状のハニカム焼成体から2つの三角柱状の三角セグメントを形成することを意味する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、2つの四角柱状のハニカム焼成体を切断して、4つの三角柱状の三角セグメントを作製している。また、「四角柱状のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断する」ため、1つの四角柱状のハニカム焼成体から得られた2つの三角セグメントの中心軸に直交する断面の面積は、同じということになる。すなわち、1つの四角柱状のハニカム焼成体を切断して得られる2つの三角セグメントは、同じ形状である。
【0039】
四角柱状のハニカム焼成体を切断して、1つのハニカム焼成体につき、2つの三角柱状の三角セグメントを形成するときには、ダイヤモンド等の砥粒を付着させた円形又は線状のカッター刃を有する切断機を用いて、ハニカム焼成体の切断を行うことが好ましい。
【0040】
(4)ハニカムブロック体の作製(ハニカムブロック体作製工程):
(4−1)擬似四角セグメントの作製;
次に、図4、図5に示すように、三角セグメント3に、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメント3の中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材4を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて、図5に示すような、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製する。三角セグメント3と補助部材4とを貼り付ける際の、それぞれの貼り付け面(対向する面)は、三角セグメント3の中心軸に直交する断面における斜辺3a(図7参照)に対応する側面3bと、補助部材4の中心軸に直交する断面における斜辺4a(図7参照)に対応する側面である。また、三角セグメント3及び補助部材4の「中心軸に直交する断面における斜辺」とは、直角三角形における斜辺を意味する。すなわち、直角三角形である、三角セグメント3及び補助部材4のそれぞれの「中心軸に直交する断面」における、3つの辺の中の、直角を形成する2つの辺以外の辺である。
【0041】
三角セグメント3と補助部材4との貼り付け方法は、特に限定されないが、製造工程において、三角セグメント3と補助部材4とが外れることがなく、且つ、擬似四角セグメントを、三角セグメント3と補助部材4とに分割するときには、容易に分割できることが好ましい。例えば、樹脂製粘着材を使用して三角セグメント3と補助部材4とを貼り付けることが好ましい。樹脂製粘着材を用いることにより、三角セグメント3の切断面(三角セグメント3の中心軸に直交する断面における斜辺、に対応する側面)の凹凸を埋めながら三角セグメント3と補助部材4とを貼り付けることができるため、三角セグメント3と補助部材4とを強固に貼り付けることができる。また、樹脂製粘着材は、補助部材付きハニカムブロック体を乾燥させる時に、揮発しないため、必要な接合強度を維持することができる。樹脂製粘着材としては、具体的には、油分を含浸させた合成ゴムを上げることができる。
【0042】
三角セグメントと補助部材とを接合させるときには、樹脂製粘着材を、三角セグメント及び補助部材の接合面に、2箇所以上配置させることが好ましく、2〜4箇所配置させることが更に好ましい(図20参照)。樹脂製粘着材51を3箇所以上配置させるときには、等間隔に配置させることが好ましい。また、三角セグメントのセルの延びる方向における端部から、当該端部に最も近い樹脂製粘着材までの距離は、15〜50mmが好ましい。また、樹脂製粘着材の一箇所の面積は、0.5〜2.0cm2であることが好ましく、0.8〜1.5cm2であることが更に好ましい。0.5cm2より小さいと、三角セグメントと補助部材とを接着させる力が低くなることがある。2.0cm2より大きいと、三角セグメントと補助部材とを剥がし難くなることがある。図20は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程において作製される三角セグメント3の接合面上の3箇所に樹脂製粘着材51を配置させた状態を示す斜視図である。
【0043】
また、例えば、図5に示すような紐5aで結ぶ方法を用いてもよい。紐5aで結ぶことによる貼り付けを行う場合、貼り付ける面に上記の樹脂製粘着材を塗布してもよい。紐5aによる貼り付けを行う場合、使用する「紐」としては、ゴム紐、木綿紐、合成紐又は糸等を挙げることができる。紐5aは、三角セグメント3と補助部材4とを図5に示すように接触させた状態で、2〜4箇所配置することが好ましい。紐5aの位置は、当該紐5aで結ぶことによって、三角セグメント3と補助部材4とが全体的に均等に押圧される位置であることが好ましい。紐5aは、太さが0.5〜1.5mmであることが好ましい。
【0044】
複数のハニカム焼成体を接合してハニカム構造体を形成するハニカム構造体の製造方法においては、通常、当該複数のハニカム焼成体を作製した後、これらのハニカム焼成体を組み立ててハニカムブロック体を形成するときに、ハニカム焼成体を作製した場所から、ハニカムブロック体を形成する場所にハニカム焼成体を搬送(移動)させることになる。このようなハニカム焼成体の搬送は、コンベア等を用いて自動化されていることが好ましい。そして、四角柱状のハニカム焼成体をコンベア等で移動させる場合、四角柱という形状に合った「搬送用の部材」に、ハニカム焼成体を載置した状態で移動させるのが、移動途中で落下したりすることを防止できる点で好ましい。また、複数のハニカム焼成体が、いずれも同一形状の四角柱状であることにより、搬送した後、ハニカム焼成体を組み立てるときに効率的に作業を行うことができる。また、組み立ての作業を自動化する場合にも、ハニカム焼成体が同一形状であると、ハニカム焼成体を組み立て装置により把持して組み立てることがより容易になる。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、複数の四角柱状のハニカム焼成体の一部を三角セグメントに加工し、四角柱状のハニカム焼成体とは異なる形状とするが、補助部材を貼り付けて擬似四角セグメントにして使用するため、搬送、組み立て時に、四角柱状のハニカム焼成体と同様に扱うことができ、効率的に、搬送及び組み立てを行うことができる。
【0045】
補助部材は、中心軸に直交する断面の外周形状が三角セグメントの中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状(底面の外周形状が三角形の筒状)であり、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。補助部材は、このようにアルミニウム又はアルミニウム合金を筒状に形成したものであることにより、軽量にすることができるため、三角セグメントへの取り付けが容易であり、更に、擬似四角セグメントを運搬する際に、三角セグメントと補助部材との接合が外れることを防止することができる。また、補助部材付きハニカムブロック体を形成する際の、加圧時(ハニカム焼成体と擬似四角セグメントとを組み合わせて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する時)に、補助部材が外れたり、ずれたりすることを防止することができる。また、補助部材付きハニカムブロック体を乾燥する時に、補助部材が外れたり、ずれたりすることを防止することができる。また、補助部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金であるため、補助部材付きハニカムブロック体の乾燥時に、熱による変形を防止することができ、また、耐食性に優れたものである。また、アルミニウム及びアルミニウム合金は安価であるため、補助部材を安価に作製することができる。また、補助部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成される中空形状であることにより、熱容量が小さく且つ熱伝導率も比較的高いため、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させる際の昇温速度を速くすることができる。
【0046】
補助部材の形状としては、中心軸方向における両端部が開口していてもよいし、中心軸方向における一方の端部又は両端部が、板状の底部によって閉じられた形状であってもよい。筒状の補助部材の壁の厚さ(壁厚)は、1〜5mmが好ましい。補助部材の壁厚が1mmより薄いと、強度が低下することがある。補助部材の壁厚が5mmより厚いと重くなることがある。
【0047】
補助部材は、一つの三角セグメントに1本だけ貼り付けてもよいし、短く形成して、長手方向に間隔を開けて(又は、間隔を開けずに)複数本貼り付けてもよい。補助部材を一つの三角セグメントに1本だけ貼り付ける場合、補助部材の中心軸方向の長さは、三角セグメントの中心軸方向の長さの90〜100%であることが好ましく、100%であることが更に好ましい。また、補助部材を一つの三角セグメントに複数本貼り付ける場合、2〜3本貼り付けることが好ましく、2本貼り付けることが更に好ましい。一つの三角セグメントに補助部材を2本貼り付ける場合、各補助部材の中心軸方向の長さは、三角セグメントの中心軸方向の長さの20〜40%であることが好ましい。また、補助部材を一つの三角セグメントに複数本貼り付ける場合、擬似四角セグメントを搬送用の部材を用いて搬送する際に、搬送用の部材で支持される部分に補助部材が配置されていることが好ましく、また、補助部材付きハニカムブロック体を作製する際に、押圧される位置に補助部材が配置されていることが好ましい。1本の補助部材は、一体的に形成されたものであってもよいし、複数の三角柱状(底面の外周形状が三角形の筒状)の部材を着脱可能に繋いで1本の補助部材としたものであってもよい。
【0048】
補助部材の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。アルミニウム合金としては、Al−Mg−Si系アルミニウム合金を挙げることができる。アルミニウム又はアルミニウム合金は、軽量であり、耐腐食性及び経済性に優れる点で好ましい。補助部材の嵩密度(g/cm3)(補助部材の質量/補助部材が中実であると仮定した場合の体積)は、三角セグメントの嵩密度に対して、50〜150%であることが好ましく、90〜110%であることが更に好ましく、100%(補助部材の嵩密度と三角セグメントの嵩密度とが同じ大きさ)であることが特に好ましい。補助部材の嵩密度が三角セグメントの嵩密度に対して、50%より小さい場合及び150%より大きい場合は、擬似四角セグメントの重心が偏るため、搬送時(特に中心軸を中心にして回転させるとき)に、補助部材と三角セグメントとがズレて、所定の搬送位置から外れたり、落下したり、積上げ設置位置(補助部材付きハニカムブロック体を形成する際の積上げ位置)がズレて不均一なハニカムブロック体が形成されたりすることがある。
【0049】
(4−2)補助部材付きハニカムブロック体の作製;
次に、図6、図7に示すように、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメント5を構成する三角セグメント3の直交する2つの辺3c,3dが四角柱状のハニカム焼成体2に接するとともに、擬似四角セグメント5を構成する補助部材4の直交する2つの辺4b,4cが最外周12を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせ、図8に示すように、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製する。補助部材付きハニカムブロック体をこのように形成することにより、補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成したときに、「中心軸に直交する断面において、全ての三角セグメントの斜辺が最外周を構成するとともに、全ての三角セグメントの斜辺以外の辺が四角柱状のハニカム焼成体に接する状態になるように三角セグメントが配置された状態で、四角柱状のハニカム焼成体と三角セグメントとが組み合わされて接合された」、ハニカムブロック体となる。そして、補助部材付きハニカムブロック体の中心軸に直交する断面の形状は、長方形であることが好ましい。また、補助部材付きハニカムブロック体の中心軸に直交する断面の形状は、作製するハニカム構造体が円筒形状である場合には、正方形であることが好ましく、作製するハニカム構造体が、底面が楕円形の筒形状又は底面がレーストラック形状の筒形状である場合には、縦の長さと横の長さとが異なる長方形であることが好ましい。
【0050】
ここで、「中心軸に直交する断面における、三角セグメント3の、直交する2つの辺3c、3d」とは、三角セグメント3の3つの辺の中で、直角に交わり、直角の頂点部分を形成する2つの辺のことである。また、「中心軸に直交する断面において、三角セグメント3の直交する2つの辺3c、3dが、四角柱状のハニカム焼成体2に接する」とは、図7に示すように、中心軸に直交する断面において、三角セグメント3の直交する2つの辺3c、3dが、2つのハニカム焼成体2それぞれの一の辺に、それぞれ接しており(対向しており)、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成したときに、三角セグメント3の直交する2つの辺3c、3dがハニカムブロック体の内部に配置され、最外周12を形成しないという状態であることを意味する。
【0051】
四角柱状のハニカム焼成体及び四角柱状の擬似四角セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせる際には、ハニカム焼成体及び擬似四角セグメントの、端面等の接合材を塗布したくない部位に、予めマスキングテープを貼付することが好ましい。そして、マスキングテープを貼付したハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせて、加圧した後に、端面と側面に「はみ出した」スラリー状の接合材をかき取り除去することが好ましい。ハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせる操作は、人間が手動で行ってもよいが、機械で行うことが好ましい。ここで、「ハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせる」ときの「接合しながら」は、スラリー状の接合材の粘性により、ゆるく接合された状態を意味し、この段階ではまだ強固には接合されていない。
【0052】
接合材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の充填材に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤、水等を加えて混練したスラリー等を挙げることができる。接合材を乾燥させたものが緩衝部14(図10参照)となる。
【0053】
四角柱状のハニカム焼成体2及び擬似四角セグメント5を、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせたものについて、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製する際には、図8に示すように、加圧治具31を用いて加圧することが好ましい。このとき、最外周を構成する全てのハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを加圧治具31によって加圧することが好ましい。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、補助部材付きハニカムブロック体11が、「四角柱状のセグメント(ハニカム焼成体2及び擬似四角セグメント5)」によって構成されるようになり、そのため、補助部材付きハニカムブロック体11全体の形状も四角柱状になる。そのため、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧するときに、補助部材付きハニカムブロック体11全体を均等に強く加圧することができ、より強く接合された補助部材付きハニカムブロック体11を作製することができる。これにより、接合状態の良好なハニカム構造体100を得ることができる。
【0054】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とがいずれも四角柱状であり、補助部材付きハニカムブロック体11の中心軸に直交する断面の形状を長方形とすることができるため、通常の、ハニカムセグメントを接合してハニカム構造体を製造する方法において使用される加圧治具を用いて、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを接合することができる。そのため、従来の、ハニカムセグメントを接合してハニカム構造体を製造する方法に使用する製造設備を用いて、補助部材付きハニカムブロック体11を作製することができるため、新しい設備を必要としない点で好ましい。加圧治具31としては、油圧、空圧又は電動シリンダにより、0.1〜0.6MPaの圧力を各セグメントへ伝達できる鋼製ブロックを用いることが好ましい。また、四角柱状のハニカム焼成体又は三角セグメントと接触する部位にはゴム等の弾性体を用いることが好ましい。
【0055】
(4−3)補助部材付きハニカムブロック体の乾燥;
次に、補助部材付きハニカムブロック体11の接合材13を乾燥させる。補助部材付きハニカムブロック体11を、80〜170℃で0.5〜2時間乾燥させて、接合材を硬化させることが好ましい。補助部材付きハニカムブロック体は、補助部材を有しているが、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料としているため、乾燥時の熱による変形等は生じない。
【0056】
(4−4)ハニカムブロック体の作製;
次に、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外して、図9A、図9Bに示すような、ハニカムブロック体21を形成する。三角セグメントと補助部材とを樹脂製粘着材によって接合している場合には、容易に剥がすことができる。また、三角セグメントと補助部材とを紐で接合している場合には、当該紐を切断して、抜き取ってから、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外すことが好ましい。図9A、図9Bに示すように、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカムブロック体21の中心軸に直交する断面において、全ての三角セグメント3が最外周を構成している。
【0057】
図9A、図9Bに示す、ハニカムブロック体21は、4個×4個の四角柱状のハニカム焼成体の接合体において、中心軸に直交する断面における角部(頂点部分)に位置する4つのハニカム焼成体が三角セグメントに置き換わった構造である。このような構造(ハニカムブロック体の構造)を「4×4構造」と称する。これは、三角セグメントを4個作製し、ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の四つの頂点部分に三角セグメントが配置されるように、ハニカム焼成体と三角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製したものである。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカムブロック体の構造は、「4×4構造」に限定されるものではなく、「n×n構造(n:3以上の整数)」であることが好ましく、「m×l構造(m:3以上の整数、l:mとは異なる3以上の整数)」であることも好ましい。nは、4以上が更に好ましい。nの上限は、特に限定されないが、10が好ましい。いずれの構造も、四隅(四つの角部)が三角セグメントに置き変わった構造である。ハニカムブロック体の構造としては、更に具体的には、「3×3構造」、「5×5構造」、「6×6構造」、「7×7構造」、「8×8構造」、「3×4構造」、「4×5構造」、「5×6構造」、「3×6構造」等を挙げることができる。尚、上記、「n×n構造(n:3以上の整数)」や、「m×l構造(m:3以上の整数、l:mとは異なる3以上の整数)」のハニカムブロック体を作製する際には、当該ハニカムブロック体を構成する三角セグメントの全てが、補助部材付きハニカムブロック体を形成した段階において、「補助部材が接合された擬似四角セグメント」を形成していることになる。
【0058】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体の製造過程で作製されるハニカムブロック体の形状は、中心軸に直交する断面が、長方形の4つの頂点部分が三角セグメントとなった形状に限定されない。例えば、図11に示すように、三角セグメント3を8個作製し、ハニカムブロック体22の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部にハニカム焼成体及び三角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、4つの角部に隣接する8箇所の位置に上記8個の三角セグメント3がそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体2と三角セグメント3とを組み合わせた形状になるようにして作製されたハニカムブロック体22であることも好ましい態様である。図11において、ハニカムブロック体22内に示される円形A(研削パターン)は、作製される円筒状のハニカム構造体の外周を示す。図11は、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【0059】
図11に示されるハニカムブロック体22は、「8個の三角セグメントが、全て四角柱状のハニカム焼成体であり、且つ、中心軸に直交する断面において、4つの頂点部分に四角柱状のハニカム焼成体が配置されている」と仮定すると、中心軸に直交する断面の形状が、ハニカム焼成体が「6個×6個」組み合わされて形成された長方形になる。このようなハニカムブロック体を「6×6構造(8)」と称する。「6×6構造(8)」の中の「(8)」は、三角セグメントを8個含むことを意味する。ハニカムブロック体22においては、中心軸に直交する断面において、それぞれの斜辺が直線上に並ぶように配置された隣接する2つの三角セグメント3,3の両方に接する、四角柱状のハニカム焼成体は、中心軸に直交する断面において、一の頂点2aが最外周12を構成しているものとする。そして、当該一の頂点2a(のみ)が最外周12を構成するハニカム焼成体は、ハニカムブロック体22の最外周を構成するハニカム焼成体であるとする。
【0060】
このように、「三角セグメントを8個含み、「それぞれの斜辺が直線上に並ぶように配置された隣接する2つの三角セグメント」が4セット(2個×4箇所(セット))形成された」ハニカムブロック体の構造は、「6×6構造(8)」に限定されるものではなく、「N×N構造(8)(N:5以上の整数)」であることが好ましく、「M×L構造(8)(M:5以上の整数、L:Mとは異なる6以上の整数)」であることも好ましい。いずれの構造も、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部にハニカム焼成体及び三角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、4つの角部に隣接する8箇所の位置に上記8個の三角セグメント3がそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体2と三角セグメント3とを組み合わせた構造である。このようなハニカムブロック体の構造としては、更に具体的には、「5×5構造(8)」、「7×7構造(8)」、「8×8構造(8)」、「9×9構造(8)」、「5×6構造(8)」、「6×7構造(8)」、「7×8構造(8)」、「5×7構造(8)」、「5×8構造(8)」等を挙げることができる。尚、上記、「N×N構造(8)(N:5以上の整数)」や、「M×L構造(8)(M:5以上の整数、L:Mとは異なる6以上の整数)」のハニカムブロック体を作製する際には、当該ハニカムブロック体を構成する三角セグメントの全てが、補助部材付きハニカムブロック体を形成した段階において、「補助部材が接合された擬似四角セグメント」を形成していることになる。
【0061】
(5)ハニカム構造体の作製:
次に、図9A、図9Bに示されるようなハニカムブロック体21の外周部分を研削して、図10に示すようなハニカム構造体100を得る。ハニカムブロック体21の外周部分を研削する場合、全ての三角セグメント3の一部を研削するようにする。全ての三角セグメントの一部を研削するとは、ハニカムブロック体を構成する三角セグメントは、全てその一部が研削されていることを意味し、ハニカムブロック体を構成する三角セグメントの中で、全く研削されない三角セグメントはなく、且つ、研削されてなくなってしまう三角セグメントもないということを意味する。また、ハニカムブロック体21の外周部分とは、ハニカムブロック体21の最外周を構成するセグメントのことである。また、ハニカム構造体100は、複数のハニカムセグメント15が接合された構造である。
【0062】
ハニカムブロック体21の外周部分を研削する方法は、特に限定されないが、ダイヤモンド砥粒等が埋め込まれた線状切断具を備えた切断機、切削機、研磨機等を用いて研削する方法が好ましい。
【0063】
緩衝部14(図10参照)の厚さは、下限値が0.3mmであることが好ましく、0.7mmであることが更に好ましい。上限値は、2.0mmであることが好ましく、1.5mmであることが更に好ましい。0.3mmより薄いと、ハニカム構造体に外部から力が加わったときに、セグメント(ハニカム焼成体及び三角セグメントに由来する各部分を「セグメント」と称する)同士が接触することがある。2.0mmより厚いと、排ガス処理用のフィルター等として用いた時に圧力損失が大きくなることがある。
【0064】
作製されるハニカム構造体の形状は、特に限定されず、円筒形、中心軸に直交する断面の形状が楕円形の筒状体、中心軸に直交する断面の形状がレーストラック形状の筒状体、その他の形状等を挙げることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、例えば、円筒形状の場合、底面の直径は、下限値が80mmであることが好ましく、140mmであることが更に好ましい。上限値は、400mmであることが好ましく、300mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、下限値が80mmであることが好ましく、150mmであることが更に好ましい。上限値が400mmであることが好ましく、300mmであることが更に好ましい。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
セラミックス原料として、SiC粉、金属Si粉を80:20の質量割合で混合し、これに、成形助材としてメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシメチルセルロース、造孔材として澱粉と吸水性樹脂をそれぞれ混合し、界面活性剤及び水を添加して混練し、真空土練機により円柱状の坏土を作製した。
【0067】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いてハニカム形状に成形し、高周波誘電加熱乾燥をした後、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥し、両端面を所定量切断して、隔壁の厚さが310μm、セル密度が46.5セル/cm2、底面が36mm×36mmの正方形で、長さが300mmの四角柱状のハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は14本(個)作製した。
【0068】
得られたハニカム成形体について、隣接するセルが互いに反対側の端部で封じられ、両端面が市松模様状を呈するように、各セルの端部に目封止部を形成した。目封止用の充填材には、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。目封止部の深さ(セルの延びる方向における深さ)は、6mmとした。目封止後、目封止ハニカム成形体を、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥した。
【0069】
その後、ハニカム成形体を、大気雰囲気にて脱臭装置付き大気炉に入れて、450℃まで約20時間かけて昇温し(特に、有機成分が分解する200〜300℃の範囲をゆっくりと昇温した)、その後450℃で5時間保持し、その後炉内で自然に5時間かけて100℃まで冷却して脱脂を行った(30時間脱脂)。その後、アルゴン不活性雰囲気にて約1450℃で24時間焼成(本焼成)して(昇温10時間、保持4時間、降温10時間)、SiC結晶粒子がSiで結合された、底面正方形の四角柱状のハニカム焼成体を得た。得られたハニカム焼成体は隔壁が多孔質であった。ハニカム焼成体の平均細孔径は13μmであり、気孔率は41%であった。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値であり、気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0070】
次に、14本のハニカム焼成体の中の2本(個)のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、2個のハニカム焼成体から4個の中心軸に直交する断面の面積が同じ三角柱状の三角セグメントを作製した。ハニカム焼成体の切断は、ダイヤモンド砥粒付き円形刃の切断機を用いて行った。
【0071】
4個の三角セグメントを作製した後、当該三角セグメントに、外形が当該三角セグメントの外形と同形状の「中空の三角柱状(底面の外形が三角形の筒状)」の補助部材を、それぞれの中心軸に直交する断面における斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製した。補助部材の材質は、アルミニウムとし、三角セグメントと補助部材との貼り付けは、樹脂製粘着材によって行った。樹脂性粘着材としては、鉱物油を含侵させた合成ゴムを用いた。また、補助部材の嵩密度(g/cm3)(補助部材の質量/補助部材が中実であると仮定した場合の体積)は、約0.45であった。また、補助部材の壁厚は、2mmであった。
【0072】
次に、中心軸に直交する断面において、擬似四角セグメントを構成する三角セグメントの、直交する2つの辺が、四角柱状のハニカム焼成体に接するとともに、擬似四角セグメントを構成する補助部材の、直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、図8に示すような加圧治具31を用いて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製した。補助部材付きハニカムブロック体は、中心軸に直交する断面において、4個×4個の四角柱状のハニカム焼成体による正方形における、四つの角部に擬似四角セグメントが配置された構造である。接合材としては、SiC系モルタル接着材を用いた。加圧治具31としては、具体的には、炭素鋼のブロック体であって、セグメント接触部に合成ゴムが取り付けられたものを用いた。
【0073】
次に、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させた。乾燥条件は、140℃で、3時間加熱することとした。
【0074】
次に、乾燥させた補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外して、図12に示すような「4×4構造」のハニカムブロック体41を作製した。図12は、実施例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体41を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0075】
次に、図12に示す円形の研削パターンBに沿って、ハニカムブロック体41の外周部分を研削して、円筒状のハニカム構造体を作製した。研削パターンBは、ハニカムブロック体の中心軸に直交する断面形状に内接する円形である。ここで、「ハニカムブロック体の断面形状に内接する円形」とは、ハニカムブロック体の外周の一部に内接すると共に、外周からはみ出さない円形であって、直径が最大の円形のことをいう。
【0076】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
(実施例2,3)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ハニカム構造体を作製した。
【0080】
(実施例4)
図13に示すように、ハニカムブロック体として、ブロック体構造が「3×6構造」で、研削パターンが「研削パターンC」の、ハニカムブロック体42を作製し、ハニカム構造体を、底面が楕円形の筒状とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。研削パターンCは、ハニカムブロック体の中心軸に直交する断面において、ハニカムブロック体に内接する楕円形であって、長径がハニカムブロック体の長軸方向(四角柱状のハニカム焼成体が6個並ぶ方向)長さと同じ長さであり、短径がハニカムブロック体の短軸方向(四角柱状のハニカム焼成体が3個並ぶ方向)長さと同じ長さの楕円形である。ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。図13は、実施例4のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体42を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0081】
(実施例5〜7)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例4と同様にして、ハニカム構造体を作製した。
【0082】
(実施例8)
図14に示すように、ハニカムブロック体として、ブロック体構造が「4×4構造(2)」で、研削パターンが「研削パターンD」の、ハニカムブロック体43を作製し、ハニカム構造体を、底面が楕円形の筒状とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。ブロック体構造における「4×4構造(2)」とは、図14に示すように、4個×4個の四角柱状のハニカム焼成体43aの接合体において、中心軸に直交する断面における、一の対角線上に位置する2つの角部(頂点部分)を構成するハニカム焼成体43aが三角セグメント43bに置き換わった構造である。また、「研削パターンD」は、ハニカムブロック体の中心軸に直交する断面において、ハニカムブロック体に内接する楕円形であって、長径がハニカムブロック体の他の対角線(四角柱状のハニカム焼成体が配置されている角部(頂点)間を結ぶ対角線)と平行な楕円形であり、且つ、2つの三角セグメントを横切る楕円形である。従って、得られたハニカム構造体には、2つの三角セグメントに由来する部分が存在する。ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。図14は、実施例8のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体43を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0083】
(実施例9,10)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例8と同様にして、ハニカム構造体を作製した。
【0084】
(実施例11)
図15に示すように、ハニカムブロック体として、ブロック体構造が「6×6構造(8)」で、研削パターンが「研削パターンE」の、ハニカムブロック体44を作製し、ハニカム構造体を、底面が円形の筒状とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。「研削パターンE」は、ハニカムブロック体の中心軸に直交する断面において、ハニカムブロック体の中心点(重心)を中心とし、所定の直径の円形である、実施例11において、研削パターンEにおける円形の直径(所定の直径)は190mmである。得られたハニカム構造体には、8つの三角セグメントに由来する部分が存在する。ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。図15は、実施例11のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体44を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0085】
(実施例12〜14)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例11と同様にして、ハニカム構造体を作製した。尚、実施例12において、研削パターンEにおける円形の直径は、150mmとした。また、実施例13において、研削パターンEにおける円形の直径は、240mmとした。また、実施例14において、研削パターンEにおける円形の直径は、280mmとした。
【0086】
(比較例1)
三角セグメントを作製せず、図16に示すハニカムブロック体45のように、実施例1において三角セグメントが配置されていた位置に四角柱状のハニカム焼成体45aを配置してハニカムブロック体を形成した以外は実施例1の場合と同様にして、ハニカム構造体を作製した。図16は、比較例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体45を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0087】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表2に示した。尚、三角セグメントを有さない状態のハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)は、単に「X×Y」(X,Yは整数)と示す。例えば、ブロック体構造「4×4」は、四角柱状のハニカム焼成体が「4個×4個」並んだ、中心軸に直交する断面の形状が正方形のハニカムブロック体を示す。また、ハニカムブロック体は、三角ブロックを有さないため、「研削パターン」は、全体が、四角柱状のハニカム焼成体上に形成される。
【0088】
(比較例2〜14)
比較例2〜14においては、三角セグメントを作製せず、三角セグメントが配置されていた位置に四角柱状のハニカム焼成体を配置してハニカムブロック体を形成した以外は、それぞれ、実施例2〜14の場合と同様にして、ハニカム構造体を作製した。例えば、比較例4では、図17に示すように、四角柱状のハニカム焼成体46aから構成されたハニカムブロック体46を形成する。また、比較例8では、図18に示すように、四角柱状のハニカム焼成体47aから構成されたハニカムブロック体47を形成する。また、比較例11では、図19に示すように、四角柱状のハニカム焼成体48aから構成されたハニカムブロック体48を形成する。図17は、比較例4のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体46を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図18は、比較例8のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体47を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図19は、比較例11のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体48を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0089】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)、研削パターン、及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)、補助部材の有無を表2に示した。
【0090】
表1,2より、実施例1〜14のハニカム構造体の製造方法は、三角セグメントを用いて、ハニカム構造体を作製しているため、ハニカム成形体の作製本数を少なくすることができ、原料収率を向上させることができることがわかる。
【0091】
(比較例15)
補助部材として、樹脂製の中実の三角柱状の部材(外形が三角セグメントと同じ形状)を使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。補助部材の嵩密度は、1.6g/cm3であった。補助部材の材質は、具体的には、ニトリルゴムとした。ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察した。結果を表3に示す。
【0092】
表3において、「加圧時の補助部材のずれ」は、「四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、加圧治具を用いて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製」した際に、補助部材が三角セグメントからずれたか否かを評価したものである。「無し」は、「ずれ」がなかったことを示し、「有り」は、「ずれ」があったことを示す。また、「補助部材取り外し時の接合ずれ」は、「補助部材付きハニカムブロック体から、補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成」した際に、四角柱状のハニカム焼成体及び三角セグメントの接合が、ずれたか否かを評価したものである。「無し」は、「ずれ」がなかったことを示し、「有り」は、「ずれ」があったことを示す。
【0093】
また、表3において、「補助部材の熱変形」は、補助部材付きハニカムブロック体を乾燥(接合材を乾燥)させたときに、補助部材が熱により変形したか否かを評価したものである。「無し」は、変形がなかったことを示し、「有り」は、変形があったことを示す。また、「乾燥時の補助部材ずれ」は、補助部材付きハニカムブロック体の接合材の乾燥中に、補助部材が三角セグメントからずれたか否かを評価したものである。「無し」は、「ずれ」がなかったことを示し、「有り」は、「ずれ」があったことを示す。また、「乾燥温度上昇速度」は、補助部材付きハニカムブロック体の接合材の乾燥において、接合材が十分に乾燥されたか否かを評価するものである。「OK」は、ハニカムブロック体外周温度が45分以内に100℃に到達することを示し、「NG」は、ハニカムブロック体外周温度が45分以内に100℃に到達しなかったことを示す。
【0094】
尚、実施例1について、ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察したところ、表3に示すように、いずれも良好な結果であった。
【0095】
【表3】
【0096】
(比較例16)
補助部材として、樹脂製の中空の三角柱状の部材(外形が三角セグメントと同じ形状)を使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。補助部材の嵩密度は、0.7g/cm3であった。ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察した。結果を表3に示す。
【0097】
(比較例17)
補助部材として、アルミニウム製の中実の三角柱状の部材(外形が三角セグメントと同じ形状)を使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。補助部材の嵩密度は、2.6g/cm3であった。ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察した。結果を表3に示す。
【0098】
(比較例18)
補助部材付きハニカムブロック体の接合材の乾燥前に、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外し、補助部材付きハニカムブロック体ではなくハニカムブロック体の接合材を乾燥させた以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。ハニカム構造体の製造過程における、「加圧時の補助部材のずれ」、「補助部材取り外し時の接合ずれ」、「補助部材の熱変形」、「乾燥時の補助部材ずれ」及び「乾燥温度上昇速度」を観察した。結果を表3に示す。
【0099】
表3より、補助部材が樹脂製であると(比較例15,16)、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥する際に、熱により変形することが分かる。また、補助部材が、中実のアルミニウム製であると(比較例17)、嵩密度が三角セグメントの3倍以上あるため、補助部材と三角セグメントとが、ずれ易くなっていることが分かる。また、補助部材付きハニカムブロック体の接合材を乾燥させる前に、補助部材を取り外すと(比較例18)、接合材が乾燥されていないため、四角柱状のハニカム焼成体及び三角セグメントの接合が、ずれることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして好適に利用することができるハニカム構造体を、製造するために利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1:ハニカム成形体、1a:一方の端面、1b:他方の端面、1c:セル、1d:隔壁、2:ハニカム焼成体、3:三角セグメント、3a:斜辺、3b:側面、3c,3d:直交する辺、4:補助部材、4a:斜辺、4b,4c:直交する辺、5:擬似四角セグメント、5a:紐、11:補助部材付きハニカムブロック体、12:最外周、13:接合材、14:緩衝部、15:セグメント、21,22:ハニカムブロック体、31:加圧治具、41,42,43,44,45,46,47,48:ハニカムブロック体、41a,43a,44a,45a,46a,46a,47a,48a:ハニカム焼成体、41b,43b,44b:三角セグメント、51:樹脂製粘着材、100:ハニカム構造体、A:円形、B,C,D,E:研削パターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体を複数個形成し、
複数の前記ハニカム成形体を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、
複数の前記ハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の三角柱状の三角セグメントを作製し、
前記三角セグメントに、中心軸に直交する断面の外周形状が前記三角セグメントの中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、
中心軸に直交する断面において、前記擬似四角セグメントを構成する前記三角セグメントの直交する2つの辺が前記四角柱状のハニカム焼成体に接するとともに、前記擬似四角セグメントを構成する補助部材の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、前記四角柱状のハニカム焼成体及び前記四角柱状の擬似四角セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、
前記補助部材付きハニカムブロック体の前記接合材を乾燥させ、その後、前記補助部材付きハニカムブロック体から前記補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成し、
前記ハニカムブロック体の外周部分を、全ての前記三角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記三角セグメントに、前記補助部材を樹脂製粘着材によって貼り付ける請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記三角セグメントを4個作製し、
前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の四つの頂点部分に三角セグメントが配置された形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記三角セグメントを8個作製し、
前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部に前記ハニカム焼成体及び前記三角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、前記4つの角部に隣接する8箇所の位置に前記8個の三角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と三角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項1】
成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体を複数個形成し、
複数の前記ハニカム成形体を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、
複数の前記ハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面における一の対角線に沿って中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の三角柱状の三角セグメントを作製し、
前記三角セグメントに、中心軸に直交する断面の外周形状が前記三角セグメントの中心軸に直交する断面の外周形状と同形状の筒状であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の補助部材を、それぞれの中心軸に直交する断面の斜辺が対向するようにして貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、
中心軸に直交する断面において、前記擬似四角セグメントを構成する前記三角セグメントの直交する2つの辺が前記四角柱状のハニカム焼成体に接するとともに、前記擬似四角セグメントを構成する補助部材の直交する2つの辺が最外周を構成するようにして、前記四角柱状のハニカム焼成体及び前記四角柱状の擬似四角セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、
前記補助部材付きハニカムブロック体の前記接合材を乾燥させ、その後、前記補助部材付きハニカムブロック体から前記補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成し、
前記ハニカムブロック体の外周部分を、全ての前記三角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記三角セグメントに、前記補助部材を樹脂製粘着材によって貼り付ける請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記三角セグメントを4個作製し、
前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の四つの頂点部分に三角セグメントが配置された形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記三角セグメントを8個作製し、
前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部に前記ハニカム焼成体及び前記三角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、前記4つの角部に隣接する8箇所の位置に前記8個の三角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と三角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−213497(P2011−213497A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80350(P2010−80350)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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