ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法
【課題】放電加工によって、多孔質隔壁の薄いハニカム構造体を得るための薄い(狭い)スリットを備えた口金を得ることが出来、放電加工中に破損せず変形もしない電極を、短時間で得られる手段を提供すること。
【解決手段】放電性材料からなり二の面を有する厚板状の電極基体を用意し、その電極基体の、流通セルに対応する位置に、複数の孔を開け、その孔に加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を、多孔質隔壁に対応する形状に加工をして、少なくとも何れかの面に、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるハニカム電極を得る、ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の提供による。
【解決手段】放電性材料からなり二の面を有する厚板状の電極基体を用意し、その電極基体の、流通セルに対応する位置に、複数の孔を開け、その孔に加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を、多孔質隔壁に対応する形状に加工をして、少なくとも何れかの面に、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるハニカム電極を得る、ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の提供による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体を成形するために用いられる、口金の加工に使用される電極を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム構造体は、一般に、外形が円柱形又は角柱形を呈する、セラミック製品である。このハニカム構造体は、多数の細孔を有するセラミックの多孔質体からなる隔壁によって区画された、複数のセルを有する(ハニカム構造を呈する)ものである。このようなハニカム構造体は、上記セルがガスの流路となって、フィルタや触媒担体として多用されている。
【0003】
ハニカム構造体は、専用のハニカム構造体成形口金(単に口金ともいう)を備えた押出成形機を用いて、押出成形によって製造することが出来る。この口金は、純金属や合金等からなる口金基体に、成形原料(坏土ともいう)を導入する裏孔(導入孔ともいう)と、その裏孔に連通するスリットと、が形成されてなるものである。スリットは、セルの断面形状に合わせた形状をなし、ハニカム構造体の隔壁の厚さに対応する幅を有している。裏孔は、スリットの幅より大きく、スリットが交差する位置に対応して設けられる。このような口金を用いた押出成形によれば、裏孔から導入された成形原料は、幅の狭いスリットへと移り、スリットの開口から押し出され、ハニカム構造の成形体(ハニカム成形体ともいう)として排出される。
【0004】
そして、上記口金は、電極を用いた放電加工(EDM加工)、切削加工、研削加工、電解加工等によって、スリット及び裏孔の形成されていない口金基体に、上記スリット及び裏孔を形成して、得られる。例えば、特許文献1、特許文献2では、断面形状が六角形のセルを有するハニカム構造体を得るための、口金を製造する過程が示されている。そこでは、スリットに合わせた薄い平板状の突起(リブともいう)を多数備えた、櫛歯状の電極(リブ電極ともいう)が使用されている。そして、スリットは、その電極における薄い平板状の突起からの放電によって、加工されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第1784822号公報
【特許文献2】特開2005−254345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年のハニカム構造体においては、セル密度を高め、隔壁を薄くすることが求められている。例えば、断面形状が六角形のセルを有するハニカム構造体では、1平方インチ当りのセルの数は400〜900個、(セルの)六角形の対向する2辺間の距離(対辺長ともいう)は0.50〜2.00mm、セルを形成する隔壁の厚さは1.5〜6ミル(1ミルは約0.0254mm)であることが、求められる。隔壁が薄くなれば、口金のスリットを狭く(薄く)しなければならないから、その口金の放電加工に用いる電極においても、リブを薄くする必要がある。そうなると、電極の破損が生じ易くなる。例えば放電加工時に電極の突起が折れれば、それが原因となって、得られた口金を用いて成形されたハニカム構造体のセルの形状が異常となり、ひいてはセラミック製品として歩留まりの低下につながる。
【0007】
このような問題意識の下で、対策が検討された結果、リブ電極ではなく、電極の形状を、口金の(全体の又は一部の)相補形状とすれば、リブ電極よりも、放電加工時に電極が折れ難くなるのではないか、との考えに至った。しかしながら、隔壁の薄いハニカム構造体を得るためには、口金のスリットを狭く(薄く)しなければならないことに変わりはない。電極の形状を口金の相補形状としたところで、スリットに対応する電極の部分は薄くなるから、放電加工時に電極が折れずとも変形することがある。従って、折れずしかも変形もないようにするために、更なる改善が求められることとなった。又、形状が口金全体の相補形状であってスリットに対応する薄い部分を有する電極を、例えばワイヤー放電加工で作製すると、大変な時間を要する。そのため、短時間で電極を作製する手段も、必要となった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、放電加工によって、隔壁の薄いハニカム構造体を得るための薄い(狭い)スリットを備えた口金を得ることが出来、放電加工中に破損せず変形もしない電極を、短時間で得られる手段を提供することを課題とする。研究が重ねられた結果、以下の手段によって、この課題が解決されることが見出され、本発明の完成に至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明によれば、多孔質隔壁(隔壁)によって区画された複数の流通セル(セル)を有するハニカム構造体を成形する口金の作製に用いられる、電極を製造する方法であって、放電性材料からなり二の面を有する厚板状の電極基体を用意し、その電極基体の、流通セルに対応する位置に、複数の孔を開け、その複数の孔のそれぞれに加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を、多孔質隔壁に対応する形状に加工をして、少なくとも何れかの面に、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるハニカム電極を得る、ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法が提供される。
【0010】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、(ハニカム構造体成形)口金の加工に使用される電極(ハニカム電極)を製造する方法である。製造される電極は、口金の加工に使用されるものであり、口金を製造するために用いられる。そして、その口金は、ハニカム構造体を成形するために用いられるものである。より厳密には、焼成前の、セラミックを主材料としてなる成形原料(坏土)を通して、ハニカム形状の成形体(ハニカム成形体)を得るために使用される。成形用口金である。しかし、ハニカム構造体成形用口金用電極という表現は冗長なので、本明細書において、成形口金と称することとする。又、ハニカム電極においても、隔壁(電極隔壁)、セル(電極セル)の語を用いるので、本明細書では、ハニカム構造体においては、多孔質隔壁、流通セルと表現している。
【0011】
ハニカム構造体の断面形状に対応した形状が、口金の形状に表れ、口金の形状に対応した形状が、(ハニカム構造体成形口金用)電極の形状に表れる。具体的には、口金のスリット(凹部)の形状は、ハニカム構造体の多孔質隔壁(凸部)の形状に対して、相補形状になる。又、(ハニカム構造体成形口金用)電極の電極隔壁(凸部)の形状は、口金のスリット(凹部)の形状に対して、相補形状になる。相補形状は、相互に補う形状である。相補形状とは、例えば、凹部と凸部のように、嵌め込んで(噛み込んで)一体になる形状をいう。但し、本明細書における相補形状は、必ずしも寸分の隙間なく噛み合うものに、限定されない。(放電)加工には、通常、加工代が必要となるので、その加工代分の隙間、ズレは許容される。
【0012】
そして、ハニカム構造体成形口金用電極の電極セルは、ハニカム構造体の流通セルと、相似形状になる。ハニカム構造体成形口金用電極の電極隔壁は、ハニカム構造体の多孔質隔壁と、厚さが異なる。そのため、全体としては、ハニカム構造体成形口金用電極の形状は、ハニカム構造体に対し、厳密に相似にはならないが、略似た形状となる。そこで、ハニカム構造体成形口金用電極を、ハニカム電極と、表現している。電極基体の孔側面を、(ハニカム構造体の)多孔質隔壁に対応する形状に、加工をした結果、電極基体には、(ハニカム構造体の)多孔質隔壁に対応する形状の、電極隔壁が形成される。そして、(ハニカム構造体の)多孔質隔壁によって区画された複数の流通セルを有するハニカム構造体に対応して、このハニカム電極は、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるものとなる。少なくとも何れかの面とは、(加工されても)二の面を有する厚板状の電極の、何れかの面である。厚板状であるから、厚さ方向にも面が存在し得るが、二の面とは、厚さ方向ではない2つの主面(表面と裏面)を指す。電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなる、とは、ハニカム構造体の断面形状(又は端面形状)に対応した形状の全部又は一部が(厚板状の電極の少なくとも何れかの面に)表れている、という意味である。又、ハニカム構造体の断面形状は、一般に外形が円柱体又は角柱体を呈する、ハニカム構造体の軸方向に垂直な断面の形状である。
【0013】
口金や電極には、ハニカム構造体の断面形状に対応した形状(相補形状又は略似た形状)の、全部が表れていてもよいが、一部が表れていてもよい。ハニカム構造体の断面形状に対応した形状の全部が少なくとも何れかの面に表れているハニカム電極(耳部を有するフルサイズのハニカム電極(後述する))を使用して、放電加工を行い、一度で、口金を完成させることは、可能である。又、ハニカム構造体の断面形状に対応した形状の一部が少なくとも何れかの面に表れているハニカム電極(耳部を有しない一部分サイズのハニカム電極(後述する))を、繰り返し使用して、放電加工を行い、口金を完成させることも、可能である。
【0014】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法において、ハニカム電極は口金の加工の際に放電を行うものである。そして、このハニカム電極自体も、放電を行う加工用電極を用いて、電極基体の孔側面を、多孔質隔壁に対応する形状に加工をすることによって、得られるものである。加工用電極もハニカム電極も、放電電極に相違ない。電極基体に開ける孔は、厚さ方向に垂直な断面の形状(孔の断面形状)が、四角形等の多角形であってもよいが、好ましくは円形である。この場合、開ける孔は、円孔となる。電極基体に孔を開ける手段は、限定されず、例えば機械加工(ドリル加工等)、放電加工等を用いることが出来る。
【0015】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法においては、複数の孔に対応して、複数の加工用電極が用いられ、それら複数の加工用電極が、支持部を通して一体化していることが好ましい。各加工用電極の形状が角柱形であれば、全体として櫛歯状を呈する電極となる。
【0016】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法においては、加工用電極の形状が、角柱形であることが好ましい。例えば、四角柱形、六角柱形等である。
【0017】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、電極セルの形状が、六角形である場合に、好適に用いられる。これは、ハニカム構造体の断面形状に対応した形状が、複数の六角形の電極セルが連続して形成された形状の場合である。本明細書において、電極セルの形状とは、厚板状のハニカム電極において何れかの面に表れた電極セルの形状を指すものとする。電極セルは、空間としては柱形状に見立てることが出来、電極セルの形状が(例えば)六角形というとき、電極セルは空間として六角柱形をなす。
【0018】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、電極セルの形状が、八角形及び四角形である場合に、好適に用いられる。これは、ハニカム構造体の断面形状に対応した形状が、複数の八角形の電極セル及び複数の四角形の電極セルが交互に連続して形成された形状の場合である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によれば、電極基体に開けた孔に加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を(ハニカム構造体の)多孔質隔壁に対応する形状に加工をして、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるハニカム電極を得るので、所望の形状を維持しつつ、個々に独立しているリブ電極を使用する場合に比して、電極隔壁を、より薄く(より細く)することが出来る。従って、本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法で製造される電極は、より薄い多孔質隔壁を得るための、より薄い(より狭い)スリットを備えた口金を得るために用いる電極として、好適である。本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によれば、得られるハニカム電極の電極隔壁の厚さは、0.01mmを実現する、従来のリブ電極では、その厚さは0.03mmが(薄さの)限界であった。
【0020】
ハニカム電極は口金を加工するためのものであるから、電極隔壁によって区画された複数の電極セルは、ハニカム電極の、少なくとも何れかの面に表れていればよい。換言すれば、電極セルは、ハニカム電極(電極基体)の二の面間を同じ形状で貫通していなくてもよく、電極セルが表れていない面においては、最初に開けた孔のままでもよい。この場合、ハニカム電極は、一の面のみに電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるものとなる。そのような態様のハニカム電極は、電極セルが同じ形状で貫通したハニカム電極に比して、強度が、より高くなる。本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、電極基体に開けた孔に加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を(ハニカム構造体の)多孔質隔壁に対応する形状に加工をするに際して、加工用電極の挿入の程度を調節することによって、一の面のみに電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなる(強度の優れた)ハニカム電極を、容易に得ることが出来る。更には、最初に開けた孔自体も、一部が貫通していればよく、同じ断面形状(例えば円形)で貫通していなくてもよい。例えば、最初に開けた孔が円孔であって、その一部のみが(例えば断面形状である円形の1/3程度のみが)貫通している態様であれば、強度は、より高くなる。これらの強度に優れたハニカム電極は、口金を得るための放電加工中に、破損し難く、変形し難い。
【0021】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、その好ましい態様において、複数の孔に対応して、複数の加工用電極が用いられ、それら複数の加工用電極が、支持部を通して一体化しているので、同時に、複数の孔に複数の加工用電極を挿入し、同時に、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電し、その電極基体の孔側面を多孔質隔壁に対応する形状に加工をすることが出来る。よって、本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の好ましい態様によれば、短時間で、電極を作製することが可能である。同一加工を条件とすれば、ワイヤー放電加工機(WEDM)を用いて行う場合に比して、加工時間ないし工数は20%で済む(80%削減出来る)。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ハニカム構造体の一例を、模式的に示す斜視図である。
【図2A】ハニカム構造体成形口金の一例を、模式的に示す断面図である。
【図2B】ハニカム構造体成形口金の一例を、模式的に示す一部拡大斜視図である。
【図2C】ハニカム構造体成形口金の一例を、模式的に示す平面図である。
【図3A】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によって製造されるハニカム構造体成形口金用電極の一の実施形態を示す図であり、一の面側から内部を透視して表した斜視図である。
【図3B】図3Aに示されるハニカム構造体成形口金用電極を、他の面側から内部を透視して表した斜視図である。
【図4】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によって製造されるハニカム構造体成形口金用電極の他の実施形態を示す図であり、内部を透視して表した斜視図である。
【図5A】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の一の実施形態を模式的に表す図であり、電極基体に複数の円孔を開けた様子を、電極基体の内部を透視して表した斜視図である。
【図5B】図5Aに示される複数の円孔を開けた電極基体を、内部を透視せずに表した斜視図である。
【図6】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の一の実施形態を模式的に表す図であり、複数の円孔に加工用電極を挿入しようとする様子を表した斜視図である。
【図7】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の一の実施形態を模式的に表す図であり、順を追って過程を示した平面図である。
【図8】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の他の実施形態を模式的に表す図であり、順を追って過程を示した平面図である。
【図9】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によって製造されるハニカム構造体成形口金用電極の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。
【0024】
以下の説明に用いる図は、模式図であり、構成要素(例えば電極セルや電極隔壁)の数は、各図において必ずしも一致しておらず、又、実用上の数より、少なくなっている。これは、各図が、発明概念ないし処理過程を理解し易いように描かれた図だからである。例えば、ハニカム電極に関係する電極セル等の数は、図3A、図3B、図4、図5A、図5B、及び図6においては12個、図7においては7個、図8においては16個、として描かれているが、実用上の電極セル等の数は、得ようとするハニカム構造体成形口金(例えば図2A〜図2Cに示される口金1)の仕様、更にはハニカム構造体(例えば図1に示されるハニカム構造体40)の仕様に合わせて、必要な数となることは、当然に理解されるべきである。
【0025】
本発明は、ハニカム構造体を成形するために用いられる、口金の加工に使用される電極を製造する方法であるから、先ず、ハニカム構造体、ハニカム構造体成形口金、及び製造対象であるハニカム構造体成形口金用電極について、説明する。
【0026】
[ハニカム構造体]図1に例示されるハニカム構造体40は、外形が、2つの端面と周面とを有する円柱形を呈するセラミック製品である。ハニカム構造体40は、その内部に、多数の細孔を有するセラミックの多孔質隔壁41によって区画された、ガスの流路となる複数の流通セル42を有する。このハニカム構造体40では、軸方向に垂直な流通セル42の断面形状(図1に示されるように端面に現れる形状)は、六角形になっている。ハニカム構造体40の成形原料の主たるもの(骨材粒子)は、例えば、アルミナ、カオリン、タルク等のコージェライト化原料や、炭化珪素である。
【0027】
[ハニカム構造体成形口金]上記のようなハニカム構造体40を一例とするハニカム構造体は、ハニカム構造体成形口金を備えた押出成形機を用いて、押出成形によって得られる。図2A〜図2Cに例示される口金1(ハニカム構造体成形口金)は、一の面7及び他の面8を有する口金基体2で構成される。他の面8には、成形原料を導入する導入孔4が形成され、一の面7には、その導入孔4に連通するスリット5が形成されている。スリット5は、(例えば)ハニカム構造体40の流通セル42の形状に合わせて六角形であり、その幅は、(例えば)ハニカム構造体40の多孔質隔壁41の厚さに対応する幅となっている。導入孔4は、スリット5の幅より大きく、スリット5が交差する位置に設けられている。口金1(口金基体2)を構成する材料は、金属又は合金であり、例えば、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属や、これら金属を含む合金(SUS630等のステンレス合金等)、あるいは、炭化タングステン基超硬合金を挙げることが出来る。
【0028】
[ハニカム構造体成形口金用電極]そして、上記の口金1を一例とする口金は、導入孔及びスリットが形成されていない口金基体に、それら導入孔及びスリットを形成することによって、得られる。このとき、その導入孔及びスリットが形成されていない口金基体に六角形のスリットを形成するために使用されるのが、ハニカム構造体成形口金用電極である。図3A及び図3Bに示されるハニカム電極100(ハニカム構造体成形口金用電極)は、電極基体102で構成され、その一の面107には、電極隔壁141によって区画された複数の電極セル142が表れており、他の面108には、その電極セル142に連通する円孔145が形成されている。一の面107を見ると、図3Aに示されるように、(例えば)ハニカム構造体40の端面形状(図1を参照、軸方向に垂直な面の断面形状も同じ)に対応した形状が表れていることが、確認出来る。このハニカム電極100では、複数の電極セル142を区画する部分のみが、(換言すれば、電極セル142と電極セル142との間のみが、)電極隔壁141で構成される。一の電極セル142において、他の電極セル142に隣接しない部分は、電極隔壁141になっておらず、電極基体102そのものである。この外周側の、電極基体の未加工部分を、本明細書において、耳部ということがある。
【0029】
図4に示されるハニカム電極110(ハニカム構造体成形口金用電極)は、ハニカム電極100に準じて電極基体112で構成されるものであるが、ハニカム電極110では、一の面117及び他の面118の両方において、電極隔壁141によって区画された複数の電極セル142が表れている。即ち、ハニカム電極110は、一の面117及び他の面118の何れを見ても、(例えば)ハニカム構造体40の端面形状(断面形状)に対応した形状が表れているものである。上記ハニカム電極100と同様に、耳部を有するものであり、このハニカム電極110では、複数の電極セル142を区画する部分のみが、(換言すれば、電極セル142と電極セル142との間のみが、)電極隔壁141で構成されている。一の電極セル142において、他の電極セル142に隣接しない部分は、電極隔壁141になっておらず、電極基体112そのものである。
【0030】
図9に示されるハニカム電極910(ハニカム構造体成形口金用電極)は、ハニカム電極110と同様に、一の面及び他の面の両方において、複数の電極セル142が表れるものである。但し、ハニカム電極910は、耳部を有しない。このハニカム電極910は、複数の電極セル142を区画する部分のみならず、一の電極セル142が他の電極セル142に隣接しない部分も、電極隔壁141で構成されている。換言すれば、ハニカム電極910は、複数の電極セル142を区画する電極隔壁141のみで、構成されるものであり、それ以外の、電極基体に相当する部分は、ハニカム電極910に、存在しない。
【0031】
次に、本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法、及びハニカム構造体成形口金を製造する方法、並びにハニカム構造体を製造する方法について、説明する。
【0032】
[ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法]本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法については、最初に、上記ハニカム電極100を製造する場合を例にとって、図3A、図3B、図5A、図5B、図6、及び図7を参照しながら、説明する。
【0033】
先ず、放電性材料からなり、二の面を有する、孔加工のされていない、厚板状の電極基体を用意する。この電極基体は、加工されて、のちに電極基体102となるものであり、市販されている板状材料を、所望のサイズに切断して、得ることが出来る。電極基体として用いられる放電性材料としては、例えば、銅タングステン合金、銀タングステン合金、銅、カーボングラファイト等を用いることが出来る。より具体的には、Cu;50、W;50からなる銅タングステン合金(単位は質量%)であれば、ドリル等による穿孔加工が可能で、高導電率や高融点という特性から耐腐食性、耐摩耗性に優れており、放電特性が良く加工精度が高いという利点がある。
【0034】
次に、その電極基体に、一の面107Bと他の面108Bを貫通する複数の円孔145Bを開けて、電極基体102Bを得る(図5A、図5B、及び図7の(1)を参照)。この円孔145Bは、電極基体102Bに対し、例えばドリルによる穿孔加工を施して、開けることが出来る。尚、図5Aには、内部を透視した様子が描かれ、図5Bでは、内部を透視していない。既述の図3A、図3B、図4においても、(透視しなければ)外見上は、図5Bに示された態様に準じたものとなる。電極基体102Bにおいて、複数の円孔145Bは、(例えば)ハニカム構造体40の流通セル42に対応する位置に、開けられる。即ち、複数の円孔145Bを設けるべき位置は、最終的に得ようとするハニカム構造体の設計(流通セルのサイズ、流通セルのピッチ等)に基づいて、定められる。円孔とは、電極基体の面に表れた形状が円形である孔を意味する。この円孔は、空間として円柱に見立てることが出来、そうした場合に、複数の円孔145Bの中心軸どうしの間隔を0.80〜2.50mm程度とすることが出来る。又、中心軸に垂直な円の半径を0.40〜1.20mm程度とすることが出来る。
【0035】
次に、複数の円孔145Bのそれぞれにおいて、半分ぐらいの深さまで(具体的には例えば1〜10mm程度)、好ましくはカーボングラファイトからなる加工用電極161を挿入する(図6を参照)。この深さは、のちに得られる六角形の電極セル142の深さに相当するが、得られた電極で作製しようとする口金のスリット深さ以上の深さが、少なくとも必要である。個々の加工用電極161は、角柱形(具体的は、例えば四角柱形、六角柱形)を呈するものであり、複数の加工用電極161は、支持部162を通して一体化していて、全体としては櫛歯状の電極(櫛歯状電極160)になっている。そして、挿入した加工用電極161によって、円孔145Bの内側から、電極基体102Bの孔側面103に向けて放電して、その電極基体102Bの孔側面103を加工する(図7の(2)を参照)。孔側面103に対する放電加工は、円孔145Bの深さ方向の半分程度を(具体的には例えば1〜10mm程度を)、六角形の電極セル142(図3Aを参照)に変えようとするものである。この放電加工に際しては、加工用電極161を、図7の(2)中の矢印で示される方向に、平行移動させることが好ましい。この平行移動によって、加工用電極161が、対向する孔側面103に近づき、それぞれを平面に加工する。そして、この最初の放電加工の後に、孔側面103のうち、対向する一部分が平面104になる(図7の(3)を参照)。
【0036】
その後、加工用電極161を、一旦、取り出し、図7の(2)の状態から、角度を例えば左回転方向に60°変えて、再度、挿入する。そして、電極基体102Bの孔側面103に向けて放電して加工する(図7の(4)を参照)。次いで、同様に、加工用電極161を、一旦、取り出し、角度を更に左回転方向に60°(最初の位置から左回転方向に120°(又は−60°))変えて、再度、挿入する。そして、電極基体102Bの孔側面103に向けて放電して加工をする(図7の(6)を参照)。このような加工によって、その都度、孔側面103は平面104に変わり(図7の(5)、(7)を参照)、最終的に、円孔145Bの深さ方向の半分は、六角形の電極セル142になる。以上により、ハニカム電極100が得られる(図7の(7)、図3Aを参照)。尚、円孔145Bの深さ方向の残りの半分は、そのまま円孔145となる(図3Bを参照)。
【0037】
複数の円孔145Bの配置(ひいてはハニカム構造体の流通セルのサイズ、流通セルのピッチ等)によっては、同じ櫛歯状電極160を使用して、角度を変えることが出来るが、別の櫛歯状電極が必要になる場合もある。
【0038】
尚、既述のように、各図は模式図であり、図7においては、図3A、図3B、及び図6とは異なり、過程が理解し易いように、電極セルは、7個のみが表されている。図3A、図3B、及び図6においては、電極セルは、12個表されている。何れの数も、実用上、必ずしも適切な数ではない。ハニカム電極100の如く耳部を有するハニカム電極は、一度で、ハニカム構造体成形口金を作製しようとするもの(フルサイズのハニカム電極)であるから、電極セルの数は、実際には、得ようとするハニカム構造体成形口金の仕様(更にはハニカム構造体の仕様)に基づいて、決定される。一方、ハニカム電極910の如く耳部を有しないハニカム電極も、得ようとするハニカム構造体成形口金の仕様(更にはハニカム構造体の仕様)に基づいて、電極セルの数が決められるが、電極セルの数は、少なくてよい。耳部を有しないハニカム電極は、複数回に分けて、ハニカム構造体成形口金を作製し得るもの(一部分サイズのハニカム電極)だからである。
【0039】
以上、ハニカム電極100を製造する場合を例にして説明したが、本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法においては、ハニカム電極の電極セルの形状が、六角形ではなく、八角形及び四角形であってもよい。以下、ハニカム電極の電極セルの形状が、大きな八角形と小さな四角形である場合について、図8を参照しながら、説明する。この図8が、過程が理解し易いように描かれた模式図であり、図8において表された電極セルの数が、実用上、必ずしも適切な数ではないことは、いうまでもない。
【0040】
先ず、ハニカム電極100の場合と同様に、放電性材料からなり二の面を有する厚板状の電極基体を用意する。次に、その電極基体に、貫通孔である大きな円孔245Bと小さな円孔246Bを開けて、電極基体202Bを得る(図8の(1)を参照)。
【0041】
そして、複数の円孔245Bのそれぞれにおいて、半分ぐらいの深さまで(具体的には1〜10mm程度)、角柱形の加工用電極261を挿入し、同様に、複数の円孔246Bのそれぞれにおいて、半分ぐらいの深さまで(具体的には1〜10mm程度)、角柱形の加工用電極262を挿入する。複数の加工用電極261と複数の加工用電極262とが、支持部を通して一体化した櫛歯状電極を用いれば、これらの動作を一度に行うことが出来る。そして、挿入した加工用電極261によって、円孔245Bの内側から、電極基体202Bの孔側面203に向けて放電して、その電極基体202Bの孔側面203を加工する。同様に、挿入した加工用電極262によって、円孔246Bの内側から、電極基体202Bの孔側面205に向けて放電して、その電極基体202Bの孔側面205を加工する(図8の(2)を参照)。これらの放電加工に際しては、加工用電極261,262を、図8の(2)中の矢印で示される方向に、平行移動させることが好ましい。この平行移動によって、加工用電極261,262が、対向する孔側面203,205に近づき、それぞれを平面に加工する。そして、この最初の放電加工の後に、孔側面203,205のうち、対向する一部分が平面204,206になる(図8の(3)を参照)。そして、図8の(2)の状態から角度を90°変えて、同様に、加工用電極261,262を挿入し、電極基体202Bの孔側面203,205に向けて放電して加工する(図8の(4)を参照)。この2番目の放電加工の後に、円孔245Bの孔側面203において、四隅を除く面が平面204になる。そうすると、円孔245Bにおいて、深さ方向の半分は、深さ方向に垂直な断面が四角形に近い形状となる。又、円孔246Bの孔側面205は平面206になる。そうすると、円孔246Bにおいて、深さ方向の半分は、深さ方向に垂直な断面が四角形となる(図8の(5)を参照)。尚、上記の過程において、先ず、加工用電極261のみを使用して加工を行い、次いで加工用電極262を使用して加工する、というように、加工用電極を、順を追って使用してもよい。
【0042】
次いで、(厳密には加工によって既に円孔ではなくなっているが、元の大きな)複数の円孔245Bのみに、半分ぐらいの深さまで(具体的には1〜10mm程度)、(加工用電極261に比して小さな)加工用電極263を挿入し、上記四角形の四隅(角部分)に向けて放電する(図8の(6)を参照)。この放電加工に際しては、加工用電極263を、図8の(6)中の矢印で示される方向に、平行移動させることが好ましい。この平行移動によって、加工用電極263が、上記四角形の四隅(角部分)に近づき、そこを平面に加工する。そして、その四角形の四隅(角部分)に平面が出来て、最終的に、円孔245Bの深さ方向の半分が、八角形の電極セル242になり、円孔246Bの深さ方向の半分が、四角形の電極セル243になった、電極基体202からなるハニカム電極200が得られる(図8の(7)を参照)。尚、円孔245B,246Bにおいて、深さ方向の残りの半分は、そのまま円孔となる。
【0043】
既述のように、ハニカム電極における電極セルが表れた側の面には、ハニカム構造体の端面形状に対応した形状(の全部又は一部)が表れるのであるから、このようなハニカム電極200は、断面形状が大きな八角形の流通セルと断面形状が小さな四角形の流通セルとを有するハニカム構造体を得るに際し、成形口金を作製するために使用される。
【0044】
[ハニカム構造体成形口金を製造する方法]既述のハニカム電極100を一例とするハニカム電極を用いて、口金1(図2A〜図2Cを参照)を製造する場合を例にとって、説明する。
【0045】
先ず、例えば、市販されているステンレス合金(SUS630)製の、導入孔及びスリットが設けられていない、二の面を有する厚板状の、口金基体を用意する。この口金基体は、導入孔4及びスリット5を設けることによって、口金基体2となるものである。
【0046】
次に、その口金基体に、公知の手段(例えば、電解加工(ECM加工)、放電加工(EDM加工)、レーザ加工、ドリル等の機械加工等)によって、厚さ方向に開口する導入孔4を形成する。この導入孔4は、のちに形成される六角形をなすスリット5における交差部と連通するような位置に形成される(図2Cを参照)。こうして得られる口金1によれば、押出成形を行う際に、導入孔4に導入した成形原料を、スリット5全体に均一に広げることが出来、優れた成形性が実現される。
【0047】
そして、ハニカム電極100を使用して、口金基体の導入孔4を形成した面とは反対の面から放電加工を行い、スリット5を形成すれば、ハニカム電極100とは相補形状となる口金1が得られる(図7の(8)を参照)。この放電加工は、一般的なNC放電加工機、放電加工油を用いて、口金基体の導入孔4を形成した面とは反対の面にハニカム電極100を押し当てながら、行うことが出来る。
【0048】
尚、例えばハニカム電極100は耳部を有するものであるから、実際には、その電極セル及び電極隔壁の形態及び数等は、得ようとする口金1の仕様(スリットの形態及び数等)に基づいて、決定されることは、既述の通りである。
【0049】
[ハニカム構造体を製造する方法]先ず、例えば、アルミナ、カオリン、及びタルクを混合したコージェライト化原料を用い、バインダ(メチルセルロース等)、分散媒(水等)を、例えば、コージェライト化原料100質量部に対して、バインダ5質量部、分散媒20質量部を混合し、混練して坏土を得る。
【0050】
そして、得られた坏土を、口金1を取り付けた押出成形機によって押出成形すれば、導入孔4から導入された坏土(成形原料)が、スリット5へと移り、導入孔4とは反対側のスリット5の開口から押し出されて、ハニカム成形体が得られる。そして、そのハニカム成形体を焼成すれば、ハニカム構造体40を一例とするハニカム構造体を得ることが出来る。
【0051】
尚、ハニカム電極と口金との関係と同様に、一度で、ハニカム構造体(ハニカム成形体)を作製しようとする口金においては、スリットの形態及び数等は、得ようとするハニカム構造体(ハニカム成形体)の仕様(多孔質隔壁及び流通セルの形態及び数等)に基づいて、決定される。又、例えば、図2Cに示される形態の口金1を使用して、略角柱形の、複数のハニカム成形体(セグメント)を得て、それらを接合した後に、外形を円柱形に加工することによって、図1に示されるハニカム構造体40を得ることは、可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、フィルタや触媒担体として多用されるハニカム構造体を成形するために用いられる、口金の加工に使用される電極を製造する手段として、好適に利用される。
【符号の説明】
【0053】
1:口金(ハニカム構造体成形口金)、2:口金基体、4:導入孔、5:スリット、7:(口金の)一の面、8:(口金の)他の面、40:ハニカム構造体、41:多孔質隔壁、42:流通セル、100,110,200,910:ハニカム電極(ハニカム構造体成形口金用電極)、102,112:(ハニカム電極の)電極基体、102B:(ハニカム電極になる前の)電極基体、103:孔側面、104:平面、107:(ハニカム電極の)一の面、107B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)一の面、108:(ハニカム電極の)他の面、108B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)他の面、117:(ハニカム電極の)一の面、118:(ハニカム電極の)他の面、141:電極隔壁、142:電極セル、145:(ハニカム電極の)円孔、145B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)円孔、160:櫛歯状電極、161:加工用電極、162:支持部、202:(ハニカム電極の)電極基体、202B:(ハニカム電極になる前の)電極基体、203:孔側面、204:平面、205:孔側面、206:平面、242:電極セル、243:電極セル、245B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)円孔、246B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)円孔、261:加工用電極、262:加工用電極、263:加工用電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体を成形するために用いられる、口金の加工に使用される電極を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム構造体は、一般に、外形が円柱形又は角柱形を呈する、セラミック製品である。このハニカム構造体は、多数の細孔を有するセラミックの多孔質体からなる隔壁によって区画された、複数のセルを有する(ハニカム構造を呈する)ものである。このようなハニカム構造体は、上記セルがガスの流路となって、フィルタや触媒担体として多用されている。
【0003】
ハニカム構造体は、専用のハニカム構造体成形口金(単に口金ともいう)を備えた押出成形機を用いて、押出成形によって製造することが出来る。この口金は、純金属や合金等からなる口金基体に、成形原料(坏土ともいう)を導入する裏孔(導入孔ともいう)と、その裏孔に連通するスリットと、が形成されてなるものである。スリットは、セルの断面形状に合わせた形状をなし、ハニカム構造体の隔壁の厚さに対応する幅を有している。裏孔は、スリットの幅より大きく、スリットが交差する位置に対応して設けられる。このような口金を用いた押出成形によれば、裏孔から導入された成形原料は、幅の狭いスリットへと移り、スリットの開口から押し出され、ハニカム構造の成形体(ハニカム成形体ともいう)として排出される。
【0004】
そして、上記口金は、電極を用いた放電加工(EDM加工)、切削加工、研削加工、電解加工等によって、スリット及び裏孔の形成されていない口金基体に、上記スリット及び裏孔を形成して、得られる。例えば、特許文献1、特許文献2では、断面形状が六角形のセルを有するハニカム構造体を得るための、口金を製造する過程が示されている。そこでは、スリットに合わせた薄い平板状の突起(リブともいう)を多数備えた、櫛歯状の電極(リブ電極ともいう)が使用されている。そして、スリットは、その電極における薄い平板状の突起からの放電によって、加工されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第1784822号公報
【特許文献2】特開2005−254345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年のハニカム構造体においては、セル密度を高め、隔壁を薄くすることが求められている。例えば、断面形状が六角形のセルを有するハニカム構造体では、1平方インチ当りのセルの数は400〜900個、(セルの)六角形の対向する2辺間の距離(対辺長ともいう)は0.50〜2.00mm、セルを形成する隔壁の厚さは1.5〜6ミル(1ミルは約0.0254mm)であることが、求められる。隔壁が薄くなれば、口金のスリットを狭く(薄く)しなければならないから、その口金の放電加工に用いる電極においても、リブを薄くする必要がある。そうなると、電極の破損が生じ易くなる。例えば放電加工時に電極の突起が折れれば、それが原因となって、得られた口金を用いて成形されたハニカム構造体のセルの形状が異常となり、ひいてはセラミック製品として歩留まりの低下につながる。
【0007】
このような問題意識の下で、対策が検討された結果、リブ電極ではなく、電極の形状を、口金の(全体の又は一部の)相補形状とすれば、リブ電極よりも、放電加工時に電極が折れ難くなるのではないか、との考えに至った。しかしながら、隔壁の薄いハニカム構造体を得るためには、口金のスリットを狭く(薄く)しなければならないことに変わりはない。電極の形状を口金の相補形状としたところで、スリットに対応する電極の部分は薄くなるから、放電加工時に電極が折れずとも変形することがある。従って、折れずしかも変形もないようにするために、更なる改善が求められることとなった。又、形状が口金全体の相補形状であってスリットに対応する薄い部分を有する電極を、例えばワイヤー放電加工で作製すると、大変な時間を要する。そのため、短時間で電極を作製する手段も、必要となった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、放電加工によって、隔壁の薄いハニカム構造体を得るための薄い(狭い)スリットを備えた口金を得ることが出来、放電加工中に破損せず変形もしない電極を、短時間で得られる手段を提供することを課題とする。研究が重ねられた結果、以下の手段によって、この課題が解決されることが見出され、本発明の完成に至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明によれば、多孔質隔壁(隔壁)によって区画された複数の流通セル(セル)を有するハニカム構造体を成形する口金の作製に用いられる、電極を製造する方法であって、放電性材料からなり二の面を有する厚板状の電極基体を用意し、その電極基体の、流通セルに対応する位置に、複数の孔を開け、その複数の孔のそれぞれに加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を、多孔質隔壁に対応する形状に加工をして、少なくとも何れかの面に、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるハニカム電極を得る、ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法が提供される。
【0010】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、(ハニカム構造体成形)口金の加工に使用される電極(ハニカム電極)を製造する方法である。製造される電極は、口金の加工に使用されるものであり、口金を製造するために用いられる。そして、その口金は、ハニカム構造体を成形するために用いられるものである。より厳密には、焼成前の、セラミックを主材料としてなる成形原料(坏土)を通して、ハニカム形状の成形体(ハニカム成形体)を得るために使用される。成形用口金である。しかし、ハニカム構造体成形用口金用電極という表現は冗長なので、本明細書において、成形口金と称することとする。又、ハニカム電極においても、隔壁(電極隔壁)、セル(電極セル)の語を用いるので、本明細書では、ハニカム構造体においては、多孔質隔壁、流通セルと表現している。
【0011】
ハニカム構造体の断面形状に対応した形状が、口金の形状に表れ、口金の形状に対応した形状が、(ハニカム構造体成形口金用)電極の形状に表れる。具体的には、口金のスリット(凹部)の形状は、ハニカム構造体の多孔質隔壁(凸部)の形状に対して、相補形状になる。又、(ハニカム構造体成形口金用)電極の電極隔壁(凸部)の形状は、口金のスリット(凹部)の形状に対して、相補形状になる。相補形状は、相互に補う形状である。相補形状とは、例えば、凹部と凸部のように、嵌め込んで(噛み込んで)一体になる形状をいう。但し、本明細書における相補形状は、必ずしも寸分の隙間なく噛み合うものに、限定されない。(放電)加工には、通常、加工代が必要となるので、その加工代分の隙間、ズレは許容される。
【0012】
そして、ハニカム構造体成形口金用電極の電極セルは、ハニカム構造体の流通セルと、相似形状になる。ハニカム構造体成形口金用電極の電極隔壁は、ハニカム構造体の多孔質隔壁と、厚さが異なる。そのため、全体としては、ハニカム構造体成形口金用電極の形状は、ハニカム構造体に対し、厳密に相似にはならないが、略似た形状となる。そこで、ハニカム構造体成形口金用電極を、ハニカム電極と、表現している。電極基体の孔側面を、(ハニカム構造体の)多孔質隔壁に対応する形状に、加工をした結果、電極基体には、(ハニカム構造体の)多孔質隔壁に対応する形状の、電極隔壁が形成される。そして、(ハニカム構造体の)多孔質隔壁によって区画された複数の流通セルを有するハニカム構造体に対応して、このハニカム電極は、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるものとなる。少なくとも何れかの面とは、(加工されても)二の面を有する厚板状の電極の、何れかの面である。厚板状であるから、厚さ方向にも面が存在し得るが、二の面とは、厚さ方向ではない2つの主面(表面と裏面)を指す。電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなる、とは、ハニカム構造体の断面形状(又は端面形状)に対応した形状の全部又は一部が(厚板状の電極の少なくとも何れかの面に)表れている、という意味である。又、ハニカム構造体の断面形状は、一般に外形が円柱体又は角柱体を呈する、ハニカム構造体の軸方向に垂直な断面の形状である。
【0013】
口金や電極には、ハニカム構造体の断面形状に対応した形状(相補形状又は略似た形状)の、全部が表れていてもよいが、一部が表れていてもよい。ハニカム構造体の断面形状に対応した形状の全部が少なくとも何れかの面に表れているハニカム電極(耳部を有するフルサイズのハニカム電極(後述する))を使用して、放電加工を行い、一度で、口金を完成させることは、可能である。又、ハニカム構造体の断面形状に対応した形状の一部が少なくとも何れかの面に表れているハニカム電極(耳部を有しない一部分サイズのハニカム電極(後述する))を、繰り返し使用して、放電加工を行い、口金を完成させることも、可能である。
【0014】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法において、ハニカム電極は口金の加工の際に放電を行うものである。そして、このハニカム電極自体も、放電を行う加工用電極を用いて、電極基体の孔側面を、多孔質隔壁に対応する形状に加工をすることによって、得られるものである。加工用電極もハニカム電極も、放電電極に相違ない。電極基体に開ける孔は、厚さ方向に垂直な断面の形状(孔の断面形状)が、四角形等の多角形であってもよいが、好ましくは円形である。この場合、開ける孔は、円孔となる。電極基体に孔を開ける手段は、限定されず、例えば機械加工(ドリル加工等)、放電加工等を用いることが出来る。
【0015】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法においては、複数の孔に対応して、複数の加工用電極が用いられ、それら複数の加工用電極が、支持部を通して一体化していることが好ましい。各加工用電極の形状が角柱形であれば、全体として櫛歯状を呈する電極となる。
【0016】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法においては、加工用電極の形状が、角柱形であることが好ましい。例えば、四角柱形、六角柱形等である。
【0017】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、電極セルの形状が、六角形である場合に、好適に用いられる。これは、ハニカム構造体の断面形状に対応した形状が、複数の六角形の電極セルが連続して形成された形状の場合である。本明細書において、電極セルの形状とは、厚板状のハニカム電極において何れかの面に表れた電極セルの形状を指すものとする。電極セルは、空間としては柱形状に見立てることが出来、電極セルの形状が(例えば)六角形というとき、電極セルは空間として六角柱形をなす。
【0018】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、電極セルの形状が、八角形及び四角形である場合に、好適に用いられる。これは、ハニカム構造体の断面形状に対応した形状が、複数の八角形の電極セル及び複数の四角形の電極セルが交互に連続して形成された形状の場合である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によれば、電極基体に開けた孔に加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を(ハニカム構造体の)多孔質隔壁に対応する形状に加工をして、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるハニカム電極を得るので、所望の形状を維持しつつ、個々に独立しているリブ電極を使用する場合に比して、電極隔壁を、より薄く(より細く)することが出来る。従って、本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法で製造される電極は、より薄い多孔質隔壁を得るための、より薄い(より狭い)スリットを備えた口金を得るために用いる電極として、好適である。本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によれば、得られるハニカム電極の電極隔壁の厚さは、0.01mmを実現する、従来のリブ電極では、その厚さは0.03mmが(薄さの)限界であった。
【0020】
ハニカム電極は口金を加工するためのものであるから、電極隔壁によって区画された複数の電極セルは、ハニカム電極の、少なくとも何れかの面に表れていればよい。換言すれば、電極セルは、ハニカム電極(電極基体)の二の面間を同じ形状で貫通していなくてもよく、電極セルが表れていない面においては、最初に開けた孔のままでもよい。この場合、ハニカム電極は、一の面のみに電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるものとなる。そのような態様のハニカム電極は、電極セルが同じ形状で貫通したハニカム電極に比して、強度が、より高くなる。本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、電極基体に開けた孔に加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を(ハニカム構造体の)多孔質隔壁に対応する形状に加工をするに際して、加工用電極の挿入の程度を調節することによって、一の面のみに電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなる(強度の優れた)ハニカム電極を、容易に得ることが出来る。更には、最初に開けた孔自体も、一部が貫通していればよく、同じ断面形状(例えば円形)で貫通していなくてもよい。例えば、最初に開けた孔が円孔であって、その一部のみが(例えば断面形状である円形の1/3程度のみが)貫通している態様であれば、強度は、より高くなる。これらの強度に優れたハニカム電極は、口金を得るための放電加工中に、破損し難く、変形し難い。
【0021】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、その好ましい態様において、複数の孔に対応して、複数の加工用電極が用いられ、それら複数の加工用電極が、支持部を通して一体化しているので、同時に、複数の孔に複数の加工用電極を挿入し、同時に、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電し、その電極基体の孔側面を多孔質隔壁に対応する形状に加工をすることが出来る。よって、本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の好ましい態様によれば、短時間で、電極を作製することが可能である。同一加工を条件とすれば、ワイヤー放電加工機(WEDM)を用いて行う場合に比して、加工時間ないし工数は20%で済む(80%削減出来る)。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ハニカム構造体の一例を、模式的に示す斜視図である。
【図2A】ハニカム構造体成形口金の一例を、模式的に示す断面図である。
【図2B】ハニカム構造体成形口金の一例を、模式的に示す一部拡大斜視図である。
【図2C】ハニカム構造体成形口金の一例を、模式的に示す平面図である。
【図3A】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によって製造されるハニカム構造体成形口金用電極の一の実施形態を示す図であり、一の面側から内部を透視して表した斜視図である。
【図3B】図3Aに示されるハニカム構造体成形口金用電極を、他の面側から内部を透視して表した斜視図である。
【図4】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によって製造されるハニカム構造体成形口金用電極の他の実施形態を示す図であり、内部を透視して表した斜視図である。
【図5A】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の一の実施形態を模式的に表す図であり、電極基体に複数の円孔を開けた様子を、電極基体の内部を透視して表した斜視図である。
【図5B】図5Aに示される複数の円孔を開けた電極基体を、内部を透視せずに表した斜視図である。
【図6】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の一の実施形態を模式的に表す図であり、複数の円孔に加工用電極を挿入しようとする様子を表した斜視図である。
【図7】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の一の実施形態を模式的に表す図であり、順を追って過程を示した平面図である。
【図8】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法の他の実施形態を模式的に表す図であり、順を追って過程を示した平面図である。
【図9】本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法によって製造されるハニカム構造体成形口金用電極の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。
【0024】
以下の説明に用いる図は、模式図であり、構成要素(例えば電極セルや電極隔壁)の数は、各図において必ずしも一致しておらず、又、実用上の数より、少なくなっている。これは、各図が、発明概念ないし処理過程を理解し易いように描かれた図だからである。例えば、ハニカム電極に関係する電極セル等の数は、図3A、図3B、図4、図5A、図5B、及び図6においては12個、図7においては7個、図8においては16個、として描かれているが、実用上の電極セル等の数は、得ようとするハニカム構造体成形口金(例えば図2A〜図2Cに示される口金1)の仕様、更にはハニカム構造体(例えば図1に示されるハニカム構造体40)の仕様に合わせて、必要な数となることは、当然に理解されるべきである。
【0025】
本発明は、ハニカム構造体を成形するために用いられる、口金の加工に使用される電極を製造する方法であるから、先ず、ハニカム構造体、ハニカム構造体成形口金、及び製造対象であるハニカム構造体成形口金用電極について、説明する。
【0026】
[ハニカム構造体]図1に例示されるハニカム構造体40は、外形が、2つの端面と周面とを有する円柱形を呈するセラミック製品である。ハニカム構造体40は、その内部に、多数の細孔を有するセラミックの多孔質隔壁41によって区画された、ガスの流路となる複数の流通セル42を有する。このハニカム構造体40では、軸方向に垂直な流通セル42の断面形状(図1に示されるように端面に現れる形状)は、六角形になっている。ハニカム構造体40の成形原料の主たるもの(骨材粒子)は、例えば、アルミナ、カオリン、タルク等のコージェライト化原料や、炭化珪素である。
【0027】
[ハニカム構造体成形口金]上記のようなハニカム構造体40を一例とするハニカム構造体は、ハニカム構造体成形口金を備えた押出成形機を用いて、押出成形によって得られる。図2A〜図2Cに例示される口金1(ハニカム構造体成形口金)は、一の面7及び他の面8を有する口金基体2で構成される。他の面8には、成形原料を導入する導入孔4が形成され、一の面7には、その導入孔4に連通するスリット5が形成されている。スリット5は、(例えば)ハニカム構造体40の流通セル42の形状に合わせて六角形であり、その幅は、(例えば)ハニカム構造体40の多孔質隔壁41の厚さに対応する幅となっている。導入孔4は、スリット5の幅より大きく、スリット5が交差する位置に設けられている。口金1(口金基体2)を構成する材料は、金属又は合金であり、例えば、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属や、これら金属を含む合金(SUS630等のステンレス合金等)、あるいは、炭化タングステン基超硬合金を挙げることが出来る。
【0028】
[ハニカム構造体成形口金用電極]そして、上記の口金1を一例とする口金は、導入孔及びスリットが形成されていない口金基体に、それら導入孔及びスリットを形成することによって、得られる。このとき、その導入孔及びスリットが形成されていない口金基体に六角形のスリットを形成するために使用されるのが、ハニカム構造体成形口金用電極である。図3A及び図3Bに示されるハニカム電極100(ハニカム構造体成形口金用電極)は、電極基体102で構成され、その一の面107には、電極隔壁141によって区画された複数の電極セル142が表れており、他の面108には、その電極セル142に連通する円孔145が形成されている。一の面107を見ると、図3Aに示されるように、(例えば)ハニカム構造体40の端面形状(図1を参照、軸方向に垂直な面の断面形状も同じ)に対応した形状が表れていることが、確認出来る。このハニカム電極100では、複数の電極セル142を区画する部分のみが、(換言すれば、電極セル142と電極セル142との間のみが、)電極隔壁141で構成される。一の電極セル142において、他の電極セル142に隣接しない部分は、電極隔壁141になっておらず、電極基体102そのものである。この外周側の、電極基体の未加工部分を、本明細書において、耳部ということがある。
【0029】
図4に示されるハニカム電極110(ハニカム構造体成形口金用電極)は、ハニカム電極100に準じて電極基体112で構成されるものであるが、ハニカム電極110では、一の面117及び他の面118の両方において、電極隔壁141によって区画された複数の電極セル142が表れている。即ち、ハニカム電極110は、一の面117及び他の面118の何れを見ても、(例えば)ハニカム構造体40の端面形状(断面形状)に対応した形状が表れているものである。上記ハニカム電極100と同様に、耳部を有するものであり、このハニカム電極110では、複数の電極セル142を区画する部分のみが、(換言すれば、電極セル142と電極セル142との間のみが、)電極隔壁141で構成されている。一の電極セル142において、他の電極セル142に隣接しない部分は、電極隔壁141になっておらず、電極基体112そのものである。
【0030】
図9に示されるハニカム電極910(ハニカム構造体成形口金用電極)は、ハニカム電極110と同様に、一の面及び他の面の両方において、複数の電極セル142が表れるものである。但し、ハニカム電極910は、耳部を有しない。このハニカム電極910は、複数の電極セル142を区画する部分のみならず、一の電極セル142が他の電極セル142に隣接しない部分も、電極隔壁141で構成されている。換言すれば、ハニカム電極910は、複数の電極セル142を区画する電極隔壁141のみで、構成されるものであり、それ以外の、電極基体に相当する部分は、ハニカム電極910に、存在しない。
【0031】
次に、本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法、及びハニカム構造体成形口金を製造する方法、並びにハニカム構造体を製造する方法について、説明する。
【0032】
[ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法]本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法については、最初に、上記ハニカム電極100を製造する場合を例にとって、図3A、図3B、図5A、図5B、図6、及び図7を参照しながら、説明する。
【0033】
先ず、放電性材料からなり、二の面を有する、孔加工のされていない、厚板状の電極基体を用意する。この電極基体は、加工されて、のちに電極基体102となるものであり、市販されている板状材料を、所望のサイズに切断して、得ることが出来る。電極基体として用いられる放電性材料としては、例えば、銅タングステン合金、銀タングステン合金、銅、カーボングラファイト等を用いることが出来る。より具体的には、Cu;50、W;50からなる銅タングステン合金(単位は質量%)であれば、ドリル等による穿孔加工が可能で、高導電率や高融点という特性から耐腐食性、耐摩耗性に優れており、放電特性が良く加工精度が高いという利点がある。
【0034】
次に、その電極基体に、一の面107Bと他の面108Bを貫通する複数の円孔145Bを開けて、電極基体102Bを得る(図5A、図5B、及び図7の(1)を参照)。この円孔145Bは、電極基体102Bに対し、例えばドリルによる穿孔加工を施して、開けることが出来る。尚、図5Aには、内部を透視した様子が描かれ、図5Bでは、内部を透視していない。既述の図3A、図3B、図4においても、(透視しなければ)外見上は、図5Bに示された態様に準じたものとなる。電極基体102Bにおいて、複数の円孔145Bは、(例えば)ハニカム構造体40の流通セル42に対応する位置に、開けられる。即ち、複数の円孔145Bを設けるべき位置は、最終的に得ようとするハニカム構造体の設計(流通セルのサイズ、流通セルのピッチ等)に基づいて、定められる。円孔とは、電極基体の面に表れた形状が円形である孔を意味する。この円孔は、空間として円柱に見立てることが出来、そうした場合に、複数の円孔145Bの中心軸どうしの間隔を0.80〜2.50mm程度とすることが出来る。又、中心軸に垂直な円の半径を0.40〜1.20mm程度とすることが出来る。
【0035】
次に、複数の円孔145Bのそれぞれにおいて、半分ぐらいの深さまで(具体的には例えば1〜10mm程度)、好ましくはカーボングラファイトからなる加工用電極161を挿入する(図6を参照)。この深さは、のちに得られる六角形の電極セル142の深さに相当するが、得られた電極で作製しようとする口金のスリット深さ以上の深さが、少なくとも必要である。個々の加工用電極161は、角柱形(具体的は、例えば四角柱形、六角柱形)を呈するものであり、複数の加工用電極161は、支持部162を通して一体化していて、全体としては櫛歯状の電極(櫛歯状電極160)になっている。そして、挿入した加工用電極161によって、円孔145Bの内側から、電極基体102Bの孔側面103に向けて放電して、その電極基体102Bの孔側面103を加工する(図7の(2)を参照)。孔側面103に対する放電加工は、円孔145Bの深さ方向の半分程度を(具体的には例えば1〜10mm程度を)、六角形の電極セル142(図3Aを参照)に変えようとするものである。この放電加工に際しては、加工用電極161を、図7の(2)中の矢印で示される方向に、平行移動させることが好ましい。この平行移動によって、加工用電極161が、対向する孔側面103に近づき、それぞれを平面に加工する。そして、この最初の放電加工の後に、孔側面103のうち、対向する一部分が平面104になる(図7の(3)を参照)。
【0036】
その後、加工用電極161を、一旦、取り出し、図7の(2)の状態から、角度を例えば左回転方向に60°変えて、再度、挿入する。そして、電極基体102Bの孔側面103に向けて放電して加工する(図7の(4)を参照)。次いで、同様に、加工用電極161を、一旦、取り出し、角度を更に左回転方向に60°(最初の位置から左回転方向に120°(又は−60°))変えて、再度、挿入する。そして、電極基体102Bの孔側面103に向けて放電して加工をする(図7の(6)を参照)。このような加工によって、その都度、孔側面103は平面104に変わり(図7の(5)、(7)を参照)、最終的に、円孔145Bの深さ方向の半分は、六角形の電極セル142になる。以上により、ハニカム電極100が得られる(図7の(7)、図3Aを参照)。尚、円孔145Bの深さ方向の残りの半分は、そのまま円孔145となる(図3Bを参照)。
【0037】
複数の円孔145Bの配置(ひいてはハニカム構造体の流通セルのサイズ、流通セルのピッチ等)によっては、同じ櫛歯状電極160を使用して、角度を変えることが出来るが、別の櫛歯状電極が必要になる場合もある。
【0038】
尚、既述のように、各図は模式図であり、図7においては、図3A、図3B、及び図6とは異なり、過程が理解し易いように、電極セルは、7個のみが表されている。図3A、図3B、及び図6においては、電極セルは、12個表されている。何れの数も、実用上、必ずしも適切な数ではない。ハニカム電極100の如く耳部を有するハニカム電極は、一度で、ハニカム構造体成形口金を作製しようとするもの(フルサイズのハニカム電極)であるから、電極セルの数は、実際には、得ようとするハニカム構造体成形口金の仕様(更にはハニカム構造体の仕様)に基づいて、決定される。一方、ハニカム電極910の如く耳部を有しないハニカム電極も、得ようとするハニカム構造体成形口金の仕様(更にはハニカム構造体の仕様)に基づいて、電極セルの数が決められるが、電極セルの数は、少なくてよい。耳部を有しないハニカム電極は、複数回に分けて、ハニカム構造体成形口金を作製し得るもの(一部分サイズのハニカム電極)だからである。
【0039】
以上、ハニカム電極100を製造する場合を例にして説明したが、本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法においては、ハニカム電極の電極セルの形状が、六角形ではなく、八角形及び四角形であってもよい。以下、ハニカム電極の電極セルの形状が、大きな八角形と小さな四角形である場合について、図8を参照しながら、説明する。この図8が、過程が理解し易いように描かれた模式図であり、図8において表された電極セルの数が、実用上、必ずしも適切な数ではないことは、いうまでもない。
【0040】
先ず、ハニカム電極100の場合と同様に、放電性材料からなり二の面を有する厚板状の電極基体を用意する。次に、その電極基体に、貫通孔である大きな円孔245Bと小さな円孔246Bを開けて、電極基体202Bを得る(図8の(1)を参照)。
【0041】
そして、複数の円孔245Bのそれぞれにおいて、半分ぐらいの深さまで(具体的には1〜10mm程度)、角柱形の加工用電極261を挿入し、同様に、複数の円孔246Bのそれぞれにおいて、半分ぐらいの深さまで(具体的には1〜10mm程度)、角柱形の加工用電極262を挿入する。複数の加工用電極261と複数の加工用電極262とが、支持部を通して一体化した櫛歯状電極を用いれば、これらの動作を一度に行うことが出来る。そして、挿入した加工用電極261によって、円孔245Bの内側から、電極基体202Bの孔側面203に向けて放電して、その電極基体202Bの孔側面203を加工する。同様に、挿入した加工用電極262によって、円孔246Bの内側から、電極基体202Bの孔側面205に向けて放電して、その電極基体202Bの孔側面205を加工する(図8の(2)を参照)。これらの放電加工に際しては、加工用電極261,262を、図8の(2)中の矢印で示される方向に、平行移動させることが好ましい。この平行移動によって、加工用電極261,262が、対向する孔側面203,205に近づき、それぞれを平面に加工する。そして、この最初の放電加工の後に、孔側面203,205のうち、対向する一部分が平面204,206になる(図8の(3)を参照)。そして、図8の(2)の状態から角度を90°変えて、同様に、加工用電極261,262を挿入し、電極基体202Bの孔側面203,205に向けて放電して加工する(図8の(4)を参照)。この2番目の放電加工の後に、円孔245Bの孔側面203において、四隅を除く面が平面204になる。そうすると、円孔245Bにおいて、深さ方向の半分は、深さ方向に垂直な断面が四角形に近い形状となる。又、円孔246Bの孔側面205は平面206になる。そうすると、円孔246Bにおいて、深さ方向の半分は、深さ方向に垂直な断面が四角形となる(図8の(5)を参照)。尚、上記の過程において、先ず、加工用電極261のみを使用して加工を行い、次いで加工用電極262を使用して加工する、というように、加工用電極を、順を追って使用してもよい。
【0042】
次いで、(厳密には加工によって既に円孔ではなくなっているが、元の大きな)複数の円孔245Bのみに、半分ぐらいの深さまで(具体的には1〜10mm程度)、(加工用電極261に比して小さな)加工用電極263を挿入し、上記四角形の四隅(角部分)に向けて放電する(図8の(6)を参照)。この放電加工に際しては、加工用電極263を、図8の(6)中の矢印で示される方向に、平行移動させることが好ましい。この平行移動によって、加工用電極263が、上記四角形の四隅(角部分)に近づき、そこを平面に加工する。そして、その四角形の四隅(角部分)に平面が出来て、最終的に、円孔245Bの深さ方向の半分が、八角形の電極セル242になり、円孔246Bの深さ方向の半分が、四角形の電極セル243になった、電極基体202からなるハニカム電極200が得られる(図8の(7)を参照)。尚、円孔245B,246Bにおいて、深さ方向の残りの半分は、そのまま円孔となる。
【0043】
既述のように、ハニカム電極における電極セルが表れた側の面には、ハニカム構造体の端面形状に対応した形状(の全部又は一部)が表れるのであるから、このようなハニカム電極200は、断面形状が大きな八角形の流通セルと断面形状が小さな四角形の流通セルとを有するハニカム構造体を得るに際し、成形口金を作製するために使用される。
【0044】
[ハニカム構造体成形口金を製造する方法]既述のハニカム電極100を一例とするハニカム電極を用いて、口金1(図2A〜図2Cを参照)を製造する場合を例にとって、説明する。
【0045】
先ず、例えば、市販されているステンレス合金(SUS630)製の、導入孔及びスリットが設けられていない、二の面を有する厚板状の、口金基体を用意する。この口金基体は、導入孔4及びスリット5を設けることによって、口金基体2となるものである。
【0046】
次に、その口金基体に、公知の手段(例えば、電解加工(ECM加工)、放電加工(EDM加工)、レーザ加工、ドリル等の機械加工等)によって、厚さ方向に開口する導入孔4を形成する。この導入孔4は、のちに形成される六角形をなすスリット5における交差部と連通するような位置に形成される(図2Cを参照)。こうして得られる口金1によれば、押出成形を行う際に、導入孔4に導入した成形原料を、スリット5全体に均一に広げることが出来、優れた成形性が実現される。
【0047】
そして、ハニカム電極100を使用して、口金基体の導入孔4を形成した面とは反対の面から放電加工を行い、スリット5を形成すれば、ハニカム電極100とは相補形状となる口金1が得られる(図7の(8)を参照)。この放電加工は、一般的なNC放電加工機、放電加工油を用いて、口金基体の導入孔4を形成した面とは反対の面にハニカム電極100を押し当てながら、行うことが出来る。
【0048】
尚、例えばハニカム電極100は耳部を有するものであるから、実際には、その電極セル及び電極隔壁の形態及び数等は、得ようとする口金1の仕様(スリットの形態及び数等)に基づいて、決定されることは、既述の通りである。
【0049】
[ハニカム構造体を製造する方法]先ず、例えば、アルミナ、カオリン、及びタルクを混合したコージェライト化原料を用い、バインダ(メチルセルロース等)、分散媒(水等)を、例えば、コージェライト化原料100質量部に対して、バインダ5質量部、分散媒20質量部を混合し、混練して坏土を得る。
【0050】
そして、得られた坏土を、口金1を取り付けた押出成形機によって押出成形すれば、導入孔4から導入された坏土(成形原料)が、スリット5へと移り、導入孔4とは反対側のスリット5の開口から押し出されて、ハニカム成形体が得られる。そして、そのハニカム成形体を焼成すれば、ハニカム構造体40を一例とするハニカム構造体を得ることが出来る。
【0051】
尚、ハニカム電極と口金との関係と同様に、一度で、ハニカム構造体(ハニカム成形体)を作製しようとする口金においては、スリットの形態及び数等は、得ようとするハニカム構造体(ハニカム成形体)の仕様(多孔質隔壁及び流通セルの形態及び数等)に基づいて、決定される。又、例えば、図2Cに示される形態の口金1を使用して、略角柱形の、複数のハニカム成形体(セグメント)を得て、それらを接合した後に、外形を円柱形に加工することによって、図1に示されるハニカム構造体40を得ることは、可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るハニカム構造体成形口金用電極の製造方法は、フィルタや触媒担体として多用されるハニカム構造体を成形するために用いられる、口金の加工に使用される電極を製造する手段として、好適に利用される。
【符号の説明】
【0053】
1:口金(ハニカム構造体成形口金)、2:口金基体、4:導入孔、5:スリット、7:(口金の)一の面、8:(口金の)他の面、40:ハニカム構造体、41:多孔質隔壁、42:流通セル、100,110,200,910:ハニカム電極(ハニカム構造体成形口金用電極)、102,112:(ハニカム電極の)電極基体、102B:(ハニカム電極になる前の)電極基体、103:孔側面、104:平面、107:(ハニカム電極の)一の面、107B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)一の面、108:(ハニカム電極の)他の面、108B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)他の面、117:(ハニカム電極の)一の面、118:(ハニカム電極の)他の面、141:電極隔壁、142:電極セル、145:(ハニカム電極の)円孔、145B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)円孔、160:櫛歯状電極、161:加工用電極、162:支持部、202:(ハニカム電極の)電極基体、202B:(ハニカム電極になる前の)電極基体、203:孔側面、204:平面、205:孔側面、206:平面、242:電極セル、243:電極セル、245B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)円孔、246B:(ハニカム電極になる前の電極基体の)円孔、261:加工用電極、262:加工用電極、263:加工用電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質隔壁によって区画された複数の流通セルを有するハニカム構造体を成形する口金の作製に用いられる、電極を製造する方法であって、
放電性材料からなり二の面を有する厚板状の電極基体を用意し、
その電極基体の、前記流通セルに対応する位置に、複数の孔を開け、
その複数の孔のそれぞれに加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を、前記多孔質隔壁に対応する形状に加工をして、
少なくとも何れかの面に、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるハニカム電極を得る、ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項2】
前記複数の孔に対応して、複数の前記加工用電極が用いられ、それら複数の加工用電極が、支持部を通して一体化している請求項1に記載のハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項3】
前記加工用電極の形状が、角柱形である請求項1又は2に記載のハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項4】
前記電極セルの形状が、六角形である請求項1〜3の何れか一項に記載のハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項5】
前記電極セルの形状が、八角形及び四角形である請求項1〜3の何れか一項に記載のハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項1】
多孔質隔壁によって区画された複数の流通セルを有するハニカム構造体を成形する口金の作製に用いられる、電極を製造する方法であって、
放電性材料からなり二の面を有する厚板状の電極基体を用意し、
その電極基体の、前記流通セルに対応する位置に、複数の孔を開け、
その複数の孔のそれぞれに加工用電極を挿入し、孔の内側から電極基体の孔側面に向けて放電して、その電極基体の孔側面を、前記多孔質隔壁に対応する形状に加工をして、
少なくとも何れかの面に、電極隔壁によって区画された複数の電極セルが表れてなるハニカム電極を得る、ハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項2】
前記複数の孔に対応して、複数の前記加工用電極が用いられ、それら複数の加工用電極が、支持部を通して一体化している請求項1に記載のハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項3】
前記加工用電極の形状が、角柱形である請求項1又は2に記載のハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項4】
前記電極セルの形状が、六角形である請求項1〜3の何れか一項に記載のハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【請求項5】
前記電極セルの形状が、八角形及び四角形である請求項1〜3の何れか一項に記載のハニカム構造体成形口金用電極の製造方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−125881(P2012−125881A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279792(P2010−279792)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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