説明

ハニカム構造体

【課題】従来に比べて、外周側からの応力に対して高い強度を有し、使用時にクラックが発生しないハニカム構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】無機粒子、および無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁によって区画された柱状のハニカムユニットからなるハニカム構造体であって、前記セル壁は、前記第1の端面側から見た場合、実質的に相互に直交する第1および第2の方向に沿って構成されており、当該ハニカム構造体は、第1の端面側から見た場合、実質的に相互に直交する2つの延伸方向に沿って延在する接着層を介して、4つのハニカムユニットが接合されて構成され、前記セル壁の第1の方向は、前記接着層の延伸方向に対して、22.5゜〜45゜の最小角度をなすように配置されていることを特徴とするハニカム構造体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスを処理するハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の排ガス中に含まれるHC、CO、NOxおよびSOx等を処理するために使用される排ガス処理装置には、ハニカム構造体が使用されている。このハニカム構造体は、例えば、長手方向に沿って、該ハニカム構造体の一方の端面から他方の端面まで延伸する複数のセル(貫通孔)を有し、これらのセルは、セル壁により相互に区画されている。
【0003】
ハニカム構造体のセル壁には、白金等の触媒が設置される。このような触媒担持体に排ガスを流通させた場合、セル壁に設置された触媒によって、排ガスに含まれるHC、CO、NOx、SOxの成分が触媒反応等によって、排ガスを処理することができる。
【0004】
このようなハニカム構造体としては、特許文献1のような、第1の形態の無機材料(例えばセラミック粒子)と、第2の形態の無機材料(例えば無機繊維と、粒径の大きな無機粒子と、無機バインダ)を含むハニカム構造体が示されている。
【0005】
また、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)として使用するハニカム構造体として、まず最初に、同一形状の柱状のハニカムユニットにおいて、側面同士を接着層を介して接合させることにより、ハニカムユニットを所定の数だけ結束させ、その後、この集合体の外周を所望の形状に切断加工することにより製作される(特許文献2)。あるいは、予め所定の形状のハニカムユニットを調製しておき、これらを接着層を介して組み合わせることにより、切断工程を経ずに、所望の形状のハニカム構造体が製作される(特許文献3)。例えば、特許文献3には、3種類の異なる形状を含む合計16個のハニカムユニットを組み合わせることにより、ハニカム構造体を製作する技術が示されている。
【特許文献1】国際公開第WO2005/063653号パンフレット
【特許文献2】特開2001−190916号公報
【特許文献3】特開2006−223983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のハニカム構造体は、強度的に弱いという問題がある。そこで特許文献1のハニカム構造体の接着層を特許文献2のような構造としても、セル壁は、接着層と平行になるように形成されており、外部からの比較的小さな応力でハニカム構造体が容易に破壊してしまうという問題がある。
【0007】
また、前述の特許文献3には、16個の部材を接合させて構成されるハニカム構造体において、外周方向からの応力に対する強度を高めるため、ハニカム構造体のいずれかの端面側から見た場合、相対する四隅の最小のハニカムユニットにおいてのみ、セルの配置方向を他のハニカムユニットのセルに比べて45゜回転するようにして、ハニカム構造体を構成することが提案されている。
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載のハニカム構造体の場合、ハニカム構造体の外周部に外部から加わる応力のうち、ハニカムユニットの結束方向(例えば、セルの長手方向に対する縦横方向)に対して45゜回転した方向の応力は、その大部分が前述の四隅の最小のハニカムユニットに直接印加されることになる。そのため、ハニカム構造体の当該部分は、外部からの比較的小さな応力でも容易に破損してしまい、このハニカム構造体においても、強度は未だ十分であるとは言い難い。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、従来に比べて、外周側からの応力に対して高い強度を有し、使用時にクラックが発生しないハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のハニカム構造体は、無機粒子および無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁によって区画された柱状のハニカムユニットからなるハニカム構造体であって、
前記セル壁は、前記第1の端面側から見た場合、実質的に相互に直交する第1および第2の方向に沿って構成されており、
当該ハニカム構造体は、前記第1の端面側から見た場合、実質的に相互に直交する2つの延伸方向に沿って延在する接着層を介して、4つのハニカムユニットが接合されて構成され、
前記セル壁の第1の方向は、前記接着層の延伸方向に対して、22.5゜〜45゜の最小角度をなすように配置されていることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記無機粒子は、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライトおよびムライトの群から選定された少なくとも一つの材料を含んでいても良い。
【0012】
また前記無機バインダは、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、およびアタパルジャイトの群から選定された少なくとも一つの材料を含んでいても良い。
【0013】
また、前記ハニカムユニットは、さらに無機繊維を含んでいても良い。
【0014】
また前記無機繊維は、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウムおよびホウ酸アルミニウムの群から選定された少なくとも一つであっても良い。
【0015】
また当該ハニカム構造体は、前記第1の端面側から見た場合、円、楕円状または長円状の断面を有していても良い。
【0016】
また前記セル壁には、触媒が担持されていても良い。特に前記触媒は、貴金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含んでいても良い。例えば前記触媒は、白金、パラジウムおよびロジウムの群から選定された少なくとも一つの材料を含んでいても良い。あるいは前記触媒は、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウムの群から選定された少なくとも一つの元素を含んでいても良い。
【0017】
また、前記ゼオライトは、Cu、Fe、Ni、Zn、Mn、またはCoでイオン交換されていても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、従来に比べて、外周側からの応力に対して高い強度を有するハニカム構造体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面により本発明の形態を説明する。
【0020】
図1には、本発明に係るハニカム構造体100の一例を模式的に示す。また図2には、ハニカム構造体100の長手方向に垂直な断面(以下、単に「断面」とも称する)の拡大図を概略的に示す。さらに図3には、本発明のハニカム構造体100を構成する一つのハニカムユニット120Aの概略的な斜視図を示す。
【0021】
図1に示すように、本発明によるハニカム構造体100は、第1の端面105および第2の端面106を有し、4つのハニカムユニット120(120A〜120D)と、前記ハニカムユニット120同士の間に設置され、各ハニカムユニットを結束する接着層180とで構成される。
【0022】
なお、4つのハニカムユニット120A〜120Dは、実質的に同一の形状を有する。従って、以降の説明では、ハニカムユニット120Aを例に、ハニカムユニット120A〜120Dの特徴を説明する。
【0023】
図1、2に示すコート層190については、後述する。
【0024】
図3に示すように、ハニカムユニット120Aは、略扇形の断面を有する1/4円の断面形状の柱状の形状を有する。ハニカムユニット120Aは、セル壁140Aによって区画された多数のセル130A(貫通孔)が長手方向に沿って設けられている。なお、各セル130Aの長手方向に垂直な断面は、例えば略四角形状である。
【0025】
図1、2を参照すると、接着層180は、相互に直交する2方向に延在している。以降、これらの方向を、それぞれ、第1の延伸方向D1(図2のX方向)および第2の延伸方向D2(図2のY方向)と称する。
【0026】
また、図2の例では、ハニカム構造体100の第1の端面105側(または第2の端面106側)から見た場合、4つのハニカムユニット120A〜120D内の各セル壁140A〜140Dは、そのセル壁の厚さの中心線に対応する、実質的に直交する2方向の直線に沿って延伸するように、格子状に構成されている。以下、これらの方向を、「(セル壁の)第1の方向L1」および「(セル壁の)第2の方向L2」と称する。なお、「第1」および「第2」の呼称は、便宜的なものであり、2方向のうちのいずれか一方が、「第1」の方向であり、他方が「第2」の方向である。例えば、図2の例では、X軸(横軸)に対して、反時計回りに45゜回転した方向を第1の方向L1とし、X軸(横軸)に対して、時計回りに45゜回転した方向を第2の方向L2としている。
【0027】
また、図2の例では、各セル壁140Aは、その第1の方向L1(あるいは、第2の方向L2)が、接着層180の2つの延伸方向D1、D2に対して、45゜の「最小角度」をなすように、ハニカムユニット120A内に配列されている。
【0028】
ここで本願において、「最小角度」とは、一つの直線群と第3の直線がなす角度のうちの最も小さい角度を意味することに留意する必要がある。図4(a)、4(b)には、この「最小角度」の概念を示す。例えば、図4(a)の例のように、実質的に直交する2つの直線A、Bからなる直線群と、直線Aに対して、反時計周りに45゜回転した第3の直線Cとが存在する場合、直線Cと直線Aのなす角度は、45゜または135゜であり、直線Cと直線Bのなす角度は、45゜または135゜である。この場合、直線Cと直線群のなす角度のうちの最小の角度は、図4(a)のαまたはβに示す45゜となる。従って、直線Cと直線群のなす「最小角度」は、45゜となる。また図4(b)の例のように、第3の直線Cが直線Aに対して、反時計周りに22.5゜回転している場合、直線Cと直線Aのなす角度は、22.5゜または157.5゜であり、直線Cと直線Bのなす角度は、67.5゜または112.5゜である。従って、この場合、直線Cと直線群のなす角度のうちの最小の角度は、直線Cと直線Aとのなす角度のうちの小さい方の22.5゜となる。従って、直線Cと直線群のなす「最小角度」は、22.5゜となる。
【0029】
なお、図2では、ハニカム構造体100は、セル壁140Aの第1の方向L1(あるいは第2の方向L2)が接着層180の2つの延伸方向D1、D2に対して、45゜の最小角度をなすように構成されている。しかしながら、本発明において、セル壁140Aの第1の方向L1(あるいは第2の方向L2)と、接着層180の2つの延伸方向D1、D2のなす最小角度は、45゜に限られるものではない。この最小角度は、22.5゜〜45゜の範囲が望ましい。
【0030】
以下、このように構成された本発明のハニカム構造体100の特徴的効果を、従来のハニカム構造体200と比較して説明する。
【0031】
図5には、従来のハニカム構造体200の長手方向に垂直な断面を概略的に示す。従来のハニカム構造体200は、4個のハニカムユニット220A〜220Dを接着層280を介して結束させることにより構成される。接着層280は、直交する2つの方向、すなわち第1の延伸方向D1(図のX方向)および第2の延伸方向D2(図のY方向)に沿って延在している。従来のハニカム構造体200において、各ハニカムユニット220A〜220Dは、実質的に同一の形状を有する。従って、以降の説明では、ハニカムユニット220Aを例に、ハニカムユニット220A〜220Dの特徴を説明する。図5から明らかなように、従来のハニカム構造体200では、ハニカム構造体200の一方の端面側から見た場合、ハニカムユニット220Aのセル壁240Aの第1の方向L3(あるいは第2の方向L4)は、接着層280の2つの延伸方向D1(またはD2)と実質的に同一の方向に沿って構成されている。すなわち、セル壁の第1の配置方向L3は、接着層280の第1の延伸方向D1と等しく、セルの第2の配置方向L4は、接着層の第2の延伸方向D2と等しくなっている。
【0032】
このようなハニカム構造体200は、ハニカム構造体の外周面に加わる外部からの応力(圧縮応力)に対して、場所によって異なる強度特性を示すことになる。加えて、ハニカム構造体200の外周には、コート層290が設置されており、外部からの応力に対する強度を向上させている。
【0033】
図6は、ハニカム構造体200、100の外周面に加わる多方面からの応力を模式的に示した断面図である。例えば、ハニカム構造体200は、図6に示すような接着層280の延伸方向D1、D2からの応力(Pa)に対しては、接着層280が補強材として機能するため、高い強度を示す。しかしながら、ハニカム構造体200は、図6のPbに示すような、接着層280の延伸方向D1、D2に対して、45゜近傍からの応力に対しては、強度が低くなる。
【0034】
これは、セル壁240Aの第1および第2の方向(図5のL3、L4)は、それぞれ、実質的に方向D1およびD2と平行であるため、Pb方向からの応力を、Paのように接着層280は、緩和することができない(補強材として機能しない)ためである。
【0035】
ハニカム構造体は、1箇所でも弱い部分があると、そこが起点となって破壊されるため、従来のハニカム構造体200は、Pa方向からの応力が起点となって破壊に至る。
【0036】
このため、ハニカム構造体の強度を上げるためには、ハニカム構造体に加わる外部からの応力(圧縮応力)に対して、弱い部分をなくすこと(補強すること)が必要となる。
【0037】
本発明によるハニカム構造体100は、前述のように、セル壁140Aの第1の方向L1(あるいは第2の方向L2)が接着層180の2つの延伸方向D1、D2に対して、22.5゜〜45゜の最小角度をなすように構成されている。このような構成では、ハニカム構造体100は、以下の理由により、該ハニカム構造体の外周の各方向から加わる外部からの応力に対して、より均一な強度を示すようになる。
【0038】
図2、6において、まずハニカム構造体100が、接着層180の一つの延伸方向と平行な方向D1、D2の外部からの応力Paを受けた場合は、前述のように、接着層180の存在により、高い強度が得られる。次にハニカム構造体が、接着層180の延在方向D1、D2に対して45゜近傍の角度をなす方向の応力Pbを受けた場合は、ハニカムユニット120Aのセル壁140Aにより、高い強度が維持される。これは、図2において、セル壁140A〜140Dの第1または第2の方向L1、L2が外部からの応力方向Pbとほぼ一致するように構成されているからである。従って、本発明によるハニカム構造体100では、外周面の各方向の外部からの応力に対して、実質的に同等の強度を発揮し、全体として、従来のハニカム構造体200に比べて良好な強度を得ることができる。
【0039】
なお、前述のように、特許文献3に記載のハニカム構造体では、外部からの応力に対する強度を高めるため、ハニカム構造体の長手方向の端面側から見た場合、相対する四隅の最小のハニカムユニットにおいてのみ、セルの配置方向が他のハニカムユニットに比べて45゜回転するようにして、セル壁を構成している。
【0040】
この特許文献3に記載の従来のハニカム構造体の構造を本発明に利用した場合、ハニカム構造体の構成の際に、接着層を介して、少なくとも3種類の形状の、16個のハニカムユニットを相互に位置を合わせた状態で接合させる必要がある。これは、極めて困難な作業であり、実際には、ハニカムユニットの相互位置が僅かにずれてしまい、完成後のハニカム構造体の形状が所定の状態とは異なる場合がしばしば生じる。
【0041】
また、前述のように、四隅に最小のハニカムユニットを有するハニカム構造体は、排ガスの流れが不均一となる。ハニカム構造体をDPFとして用いた場合は、排ガスが壁を通過して流れる(ウオールフロー)ため、有効に使用することができる。しかし、ハニカム構造体を触媒担体として用いた場合は、ストレートフローであるため、有効に使用することができない。これに伴って排気ガス中の有害成分の処理、例えばHC、CO、NOx、SOx等の処理の効率が低下する場合がある。
【0042】
これに対して、本発明によるハニカム構造体200では、4つのハニカムユニット120A〜120Dを、接着層180を介して接合させる。従って、接合部材数が少なく、前述のような位置ずれの問題を有意に抑制することができる。また、完成後のハニカム構造体100において、各ハニカムユニット120A〜120Dのセル壁140A〜140Dの第1および第2の方向(L1、L2)は、実質的に同一である。従って、本発明のハニカム構造体では、排気ガスの流通が不均一になり、処理の効率が低下するという前述の問題が有意に軽減される。
【0043】
なお、前述の例では、長手方向に対して垂直な断面が略扇形であるハニカムユニット120A〜120Dを、接着層180を介して4個結束させることにより、直接所望の外周形状のハニカム構造体を構成する場合を例に、本発明のハニカム構造体について説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限られるものではない。図7には、本発明のハニカム構造体を構成するハニカムユニット121の別の例を模式的に示す。図7に示すような四角柱状のハニカムユニット121を、接着層を介して4個結束させ、その後、周囲を切断加工することにより、所望の外周形状のハニカム構造体を得ることも可能である。
【0044】
また図1に示したハニカム構造体100は、断面が略真円の円柱形状であるが、本発明のハニカム構造体は、円柱状に限定されることはなく、例えば、楕円柱状や長円柱状等、任意の形状のものであっても良い。
【0045】
前述のハニカム構造体100の構成は、本発明によるハニカム構造体を触媒担体として使用する場合を想定したものである。本発明によるハニカム構造体100を、例えば、排ガス中の所定の成分、例えばHC、CO、NOxまたはSOx等の処理用に使用する場合、セル壁140A〜140Dにこれらの成分の処理反応を促進させる、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の触媒を担持させても良い。また、ハニカム構造体100の基材の中に、触媒を織り込んでも良い。
【0046】
このような本発明によるハニカム構造体100は、例えば、車両用の排ガス処理装置に用いることができる。
【0047】
図8には、本発明によるハニカム構造体100が装着された排ガス処理装置70の一例を模式的に示す。図8に示すように、排ガス処理装置70は、主としてハニカム構造体100、ハニカム構造体100を収容する金属製ケーシング71、およびハニカム構造体100とケーシング71との間に配設され、ハニカム構造体100を適切な位置に保持する保持シール材72で構成される。また、排ガス処理装置70の一方の端部(導入部)には、エンジン等の内燃機関から排出された排ガスを導入するための導入管74が接続されており、排ガス処理装置70の他方の端部(排出部)には、排ガスを排出するための排出管75が接続されている。図8において矢印は、排ガスの流れを示している。
【0048】
エンジン等の内燃機関から排出された排ガスは、導入管74を通って、ケーシング71内に導入され、導入管74と面するハニカム構造体100の一方の端面(例えば第1の端面)から各セルに流入される。セル内に流入した排ガスは、同一のセルを通って、系外に排出される、この過程で、排ガス中の有害物質を浄化処理することができる。
【0049】
本発明において、ハニカムユニット120のセル密度は、15.5〜186個/cm(100〜1200cpsi)の範囲であることが好ましく、46.5〜170個/cm(200〜1000cpsi)の範囲であることがより好ましく、62.0〜155個/cm(300〜800cpsi)の範囲であることがさらに好ましい。
【0050】
ハニカムユニット120のセル壁140の厚さは、特に限定されないが、強度の点から望ましい下限は、0.1mmであり、望ましい上限は、0.4mmである。
【0051】
ハニカムユニット120の比表面積は、特に限られないが、25000m/L〜70000m/Lの範囲が望ましい。
【0052】
本発明のハニカム構造体100を構成するハニカムユニット120は、特に限定されるものではないが、無機粒子と、無機バインダとを含むことが好ましく、さらに無機繊維を含んでも良い。
【0053】
上記無機粒子としては、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライト、ムライト等からなる粒子が望ましい。これらの粒子は、単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0054】
前記無機粒子として、ゼオライトを使用する場合、Cu、Fe、Ni、Zn、MnまたはCoでイオン交換されているゼオライトを用いても良い。イオン交換されたゼオライトは、単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせても良く、同一種類で金属価数が異なるものを用いても良い。
【0055】
上記無機繊維としては、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカ−アルミナ、ガラス、チタン酸カリウムまたはホウ酸アルミニウム等からなるものが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維の中では、アルミナがより好ましい。
【0056】
なお、本明細書中において、無機繊維とは、平均アスペクト比(長さ/径)が5を超えるものをいう。また、上記無機繊維の望ましい平均アスペクト比は、10〜1000である。
【0057】
上記無機バインダとしては、無機ゾルや粘土系バインダ等を用いることができ、上記無機ゾルの具体例としては、例えば、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス等が挙げられる。また、粘土系バインダとしては、例えば、白土、カオリン、モンモリロナイト、セピオライト、アタパルジャイト等の複鎖構造型粘土等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
【0058】
これらのなかでは、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライトおよびアタパルジャイトからなる群から選択された少なくとも1種が含まれていることが望ましい。
【0059】
ハニカムユニット120に含まれる上記無機粒子の量について、好ましい下限は30重量%であり、より好ましい下限は40重量%であり、さらに望ましい下限は50重量%である。一方、好ましい上限は90重量%であり、より好ましい上限は80重量%であり、さらに好ましい上限は75重量%である。
【0060】
無機粒子の含有量が30重量%未満では、触媒作用に寄与する無機粒子の量が相対的に少なくなる。一方、90重量%を超えると強度向上に寄与する無機繊維の量が相対的に少なくなるため、ハニカムユニット120の強度が低下する可能性がある。
【0061】
ハニカムユニット120に含まれる上記無機繊維の合計量について、望ましい下限は3重量%であり、より望ましい下限は5重量%であり、さらに望ましい下限は8重量%である。一方、望ましい上限は50重量%であり、より望ましい上限は40重量%であり、さらに望ましい上限は30重量%である。
【0062】
無機繊維の含有量が3重量%未満ではハニカムユニット120の強度が低下することがあり、50重量%を超えると浄化性能に寄与する無機粒子の量が相対的に少なくなる。例えばハニカム構造体としての比表面積が小さく触媒成分を担持する際に触媒成分を高分散させることができなくなることや、単位体積当たりの触媒量が減少してしまうことがある。
【0063】
上記原料組成物中に含まれる無機バインダの量は、原料組成物に含まれる上記無機粒子と上記無機繊維と上記無機バインダとの固形分の総量に対して、固形分として、その望ましい下限は、5重量%であり、より望ましい下限は、10重量%であり、さらに望ましい下限は15重量%である。一方、望ましい上限は、50重量%であり、より望ましい上限は、40重量%であり、さらに望ましい上限は、35重量%である。
【0064】
上記無機バインダの量が固形分として5重量%未満では、製造したハニカムユニット120の強度が低くなることがあり、一方、上記無機バインダの量が固形分として50重量%を超えると上記原料組成物の成型性が悪くなる傾向にある。
【0065】
本発明のハニカム構造体100を構成する接着層180は、緻密質でも多孔質であっても良い。接着層180を構成する材料は、特に限られないが、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維および/または無機粒子とからなるものを使用することができる。
【0066】
接着層用の無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル等を含むものを使用することができ、これらは単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用しても良い。
【0067】
接着層180用の有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等を使用することができ、これらは単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用しても良い。
【0068】
接着層180用の無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバーを使用することができる。これらは、単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用しても良い。
【0069】
接着層180用の無機粒子としては、先にハニカムユニット120用の材料として示したものを使用することもできる。これらは、単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用しても良い。
【0070】
なお、接着層180は、前記成分を含むペーストを原料として調製し、これを所定の箇所に設置後、乾燥させることにより形成される。原料となるペーストには、必要に応じて、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加しても良い。
【0071】
また、前述のハニカム構造体100において、さらに外周面に、コート層190を設置しても良い。コート層190を設置することにより、ハニカム構造体100の外周面の強度がさらに向上する。
【0072】
コート層190の厚さは、特に限られないが、0.2〜3.0mmの範囲であることが好ましい。なおコート層190は、接着層180と同じ材料であっても異なる材料であっても良い。
(ハニカム構造体の製造方法)
次に、本発明のハニカム構造体100の製造方法について説明する。まず、上述したセラミック粒子、無機繊維および無機バインダを主成分とする原料ペーストを用いて押出成形等を行い、ハニカムユニット成形体を作製する。原料ペーストには、これらのほかに有機バインダ、分散媒および成形助剤を成形性にあわせて適宜加えてもよい。有機バインダとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂等から選ばれる1種以上の有機バインダが挙げられる。有機バインダの配合量は、セラミック粒子、無機繊維、無機バインダの合計100重量部に対して、1〜10重量部が好ましい。分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(ベンゼンなど)およびアルコール(メタノールなど)などを挙げることができる。成形助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸およびポリアルコール等を挙げることができる。
【0073】
原料ペーストは、特に限定されるものではないが、混合・混練することが好ましく、例えば、ミキサーやアトライタなどを用いて混合してもよく、ニーダーなどで十分に混練してもよい。原料ペーストを成形する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、押出成形などによってセルを有する形状に成形することが好ましい(図3参照)。
【0074】
次に、得られたハニカムユニット成形体は、乾燥することが好ましい。乾燥に用いる乾燥機は、特に限定されるものではないが、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機および凍結乾燥機などが挙げられる。また、得られたハニカムユニット成形体は、脱脂することが好ましい。脱脂する条件は、特に限定されず、成形体に含まれる有機物の種類や量によって適宜選択するが、おおよそ400℃、2時間が好ましい。さらに、得られた成形体は、焼成することが好ましい。焼成条件としては、特に限定されるものではないが、600〜1200℃で2時間程度が好ましく、600〜1000℃で2時間程度がより好ましい。この理由は、焼成温度が600℃未満では焼結が進行しにくく、ハニカムユニット120としての強度が低くなり、1200℃を超えると焼結が進行しすぎて、ハニカムユニット120の単位体積あたりの比表面積が小さくなるためである。これらの工程を経て複数のセルを有するハニカムユニットを得ることができる。
【0075】
次に、ハニカムユニットの側面に、後に接着層180となる接着層用ペーストを均一な厚さで塗布した後、この接着層用ペーストを介して、順次他のハニカムユニット120を積層する。この工程を繰り返し、所望の寸法の(例えば、ハニカムユニット120が縦横2個ずつ配列された)ハニカム構造体100を作製する。なお前記接着層用ペーストには、前述の原料ペーストを使用しても良い。
【0076】
接着層用ペーストとしては、特に限定されるものではないが、例えば、無機バインダとセラミック粒子を混ぜたものや、無機バインダと無機繊維を混ぜたものや、無機バインダとセラミック粒子と無機繊維を混ぜたものなどを用いることができる。また、これらのシール材に有機バインダを加えたものとしてもよい。有機バインダとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどから選ばれる1種以上が挙げられる。
【0077】
ハニカムユニットを接合させる接着層180の厚さは、0.3〜2.0mmが好ましい。接着層の厚さが0.3mm未満では十分な接合強度が得られないおそれがあるためである。また、接着層180は、触媒担体として機能しない部分であるため、2.0mmを超えると、ハニカム構造体100の単位体積あたりの比表面積が低下し、触媒成分を担持した際に十分に高分散させることができなくなったり、ハニカム構造体100の単位体積当たりの触媒量が減少することにより、浄化性能が低下することがある。また、接着層の厚さが2.0mmを超えると、圧力損失が大きくなることがある。
【0078】
次にこのハニカム構造体を加熱して、接着層用ペーストを乾燥、固化させて、接着層を形成させるとともに、ハニカムユニット同士を固着させる。
【0079】
図3に示したような断面が扇形の形状の4つのハニカムユニット120からなる、図1に示すような円柱状のハニカム構造体100を作製することができる。
【0080】
さらに、ハニカム構造体100の外周面にコート層用ペーストを塗布して乾燥し、固化させて、コート層190を形成させても良い。コート層用ペーストは、特に限定されないが、接着層用のペーストと同じものであっても異なるものであっても良い。また、コート層用ペーストは、接着層用のペーストと同じ配合比としても良く、異なる配合比としても良い。コート層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.2mm〜3.0mmが望ましい。
【0081】
複数のハニカムユニット120を接着層180によって接合させた後(ただし、コート層を設けた場合は、コート層を形成させた後)、このハニカム構造体を加熱処理することが好ましい。これにより、接着層用のペーストおよびコート層用ペーストに有機バインダが含まれている場合、これらを脱脂除去することができる。脱脂条件は、含まれる有機物の種類や量により変化するが、おおよそ700℃、2時間が好ましい。
【0082】
ハニカム構造体100のセル壁140に触媒が担持される場合、触媒材料は、特に限定されないが、例えば白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が挙げられる。またアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移金属等を含んだ化合物を担持させても良い。白金触媒を設置する方法としては、例えば、触媒担持層が設置されたハニカムユニットをジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH3)2(NO2)2]HNO3)等に含浸させて、加熱する方法等が挙げられる。触媒は、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウムのうちの一つを含んでいても良い。
【0083】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
【実施例1】
【0084】
まず、ゼオライト2250重量部、アルミナ繊維(平均繊維長100μm、平均繊維径6μm)680重量部、アルミナゾル2600重量部(固形分30wt%)、メチルセルロース320重量部に、可塑剤および潤滑剤(ユニルーブ)を混合、混練して混合組成物を得た。次に、この混合組成物を押出成形機により押出成形を行い、断面扇形状(1/4円(半径69mm)の断面形状)のハニカムユニット成形体を得た。このハニカムユニット120では、ハニカムユニットの端面から見た場合、セル壁の第1および第2の方向は、実質的に直交しており、セル壁の第1および第2の方向(L1、L2)は、断面扇形を形成する直線(断面1/4円の半径)に対して、45゜傾いていた。従って、各セル壁は、完成後のハニカム構造体においてセル壁の第1の方向L1(あるいは第2の方向L2)が、接着層の2つの延伸方向に対して45゜の「最小角度」をなすように構成されていた。
【0085】
次に、マイクロ波乾燥機および熱風乾燥機を用いてこれらの成形体を十分乾燥させ、400℃で2時間保持して脱脂した。その後、700℃で2時間保持して焼成を行い、ハニカムユニット120(1辺69mmの2つの辺と円弧からなる断面扇形の柱状体)を得た。セル壁140の厚さは、0.2mmであり、セル密度は、93個/cmであった。
【0086】
次に、アルミナ粒子(平均粒径2μm)26質量%、アルミナ繊維37質量%、アルミナゾル31.5質量%(固形分30wt%)、カルボキシメチルセルロース0.5質量%、および水5質量%を混合して、接着層用ペーストを調製した。この接着層用ペーストを各ハニカムユニット120の側面に塗布し、縦横2列合計4つのハニカムユニットを接合させ、ハニカム集合体を得た。接着層用ペーストは、完成後の接着層の厚さが1mmとなるように、ハニカムユニット120に均一に塗布した後、120℃で加熱して固化した。
【0087】
次に、コート層用ペースト(接着層用ペーストと同じもの)をハニカム集合体の外周部に塗布し、加熱、固化することにより、厚さ0.5mmのコート層190を形成した。
【0088】
このような工程により、実施例1に係るハニカム構造体100を得た。
【実施例2】
【0089】
実施例1の場合と同様の方法により、ハニカム構造体100を作製した。ただし、この実施例2では、完成後のハニカム構造体100においてセル壁140の第1の方向L1(あるいは第2の方向L2)が、接着層180の2つの延伸方向に対して40゜の「最小角度」をなすように、各ハニカムユニットを作製した。
【実施例3】
【0090】
実施例1の場合と同様の方法により、ハニカム構造体100を作製した。ただし、この実施例3では、完成後のハニカム構造体100においてセル壁140の第1の方向L1(あるいは第2の方向L2)が、接着層180の2つの延伸方向に対して22.5゜の「最小角度」をなすように、各ハニカムユニットを作製した。
【比較例1】
【0091】
実施例1の場合と同様の方法により、ハニカム構造体100を作製した。ただし、この比較例1では、完成後のハニカム構造体100においてセル壁140の第1の方向L1(あるいは第2の方向L2)が、接着層180の2つの延伸方向に対して10゜の「最小角度」をなすように、各ハニカムユニットを作製した。
【比較例2】
【0092】
実施例1の場合と同様の方法により、ハニカム構造体100を作製した。ただし、この比較例2では、完成後のハニカム構造体100においてセル壁140の第1の方向L1が、接着層180のそれぞれの延伸方向と一致するように、各ハニカムユニットを作製した。従って、セル壁140の第1の方向L1(あるいは第2の方向L2)が、接着層180の2つの延伸方向に対してなす「最小角度」は、0゜である。
[アイソスタティック強度測定]
前述のように製作した実施例1〜3および比較例1、2に係るハニカム構造体100を用いて、アイソスタティック強度を測定した。ここで、アイソスタティック強度とは、ハニカム構造体に等方的な静水圧荷重を負荷した際に破壊が生じるときの圧縮破壊荷重であり、社団法人自動車技術協会発行の自動車規格であるJASO規格M505−87に規定されている。
【0093】
アイソスタティック強度は、以下のように測定した。ハニカム構造体の両方の開口面に、金属板(アルミニウム板:厚さ15mm)を設置する。次に、このハニカム構造体と金属板を、ウレタンゴムシート(厚さ2mm)に包み、密閉する。次に、この密閉体を水が入った容器中に完全に浸漬させる。この状態で、水圧を上昇させて行き、ハニカム構造体に破壊が生じる水圧を測定する。
【0094】
各ハニカム構造体100において得られた結果をまとめて、表1に示す。また、図9には、実施例および比較例に係るハニカム構造体100におけるセル壁140の第1の配列方向L1が接着層の延伸方向となす「最小角度」(セル壁140と接着層180のなす角)とアイソスタティック強度との関係を示す。
【0095】
【表1】

図9は、実施例および比較例に係るハニカム構造体100のアイソスタティック強度と「最小角度」との関係を示したグラフである。
【0096】
表1および図9の結果から、セル壁の第1の方向が接着層180の2つの延伸方向L1となす「最小角度」が、22.5゜〜45゜のハニカム構造体100(実施例1〜3)では、「最小角度」が0゜〜10゜のハニカム構造体(比較例1、2)に比べて、アイソスタティック強度が有意に向上していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図2】図1のハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の概略的な拡大図である。
【図3】図1のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示した斜視図である。
【図4】直線群と第3の直線とのなす「最小角度」の定義を示した図である。
【図5】従来のハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の概略的な拡大図である。
【図6】ハニカム構造体の外周面に加わる各方向からの応力を模式的に示した図である。
【図7】図1のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの別の例を模式的に示した斜視図である。
【図8】本発明のハニカム構造体が設置された排ガス処理装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図9】実施例、比較例に係るハニカム構造体のセルと接着層のなす角と、アイソスタティック強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
70 排気ガス処理装置
71 ケーシング
72 保持シール材
74 導入管
75 排出管
100 ハニカム構造体
120(120A〜120D) ハニカムユニット
121 別のハニカムユニット
130(130A〜130D) セル
140(140A〜134D) セル壁
180 接着層
190,290 コート層
200 従来のハニカム構造体
220(220A〜220D) ハニカムユニット
280 接着層
L1、L2 セル壁の方向
D1、D2 接着層の延伸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子、および無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁によって区画された柱状のハニカムユニットからなるハニカム構造体であって、
前記セル壁は、前記第1の端面側から見た場合、実質的に相互に直交する第1および第2の方向に沿って構成されており、
当該ハニカム構造体は、前記第1の端面側から見た場合、実質的に相互に直交する2つの延伸方向に沿って延在する接着層を介して、4つのハニカムユニットが接合されて構成され、
前記セル壁の第1の方向は、前記接着層の延伸方向に対して、22.5゜〜45゜の最小角度をなすように配置されていることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記無機粒子は、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライトおよびムライトの群から選定された少なくとも一つの材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記無機バインダは、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、およびアタパルジャイトの群から選定された少なくとも一つの材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記ハニカムユニットは、さらに無機繊維を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記無機繊維は、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウムおよびホウ酸アルミニウムの群から選定された少なくとも一つであることを特徴とする請求項4に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
当該ハニカム構造体は、前記第1の端面側から見た場合、円、楕円状または長円状の断面を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記セル壁には、触媒が担持されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記触媒は、貴金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記触媒は、白金、パラジウムおよびロジウムの群から選定された少なくとも一つの材料を含むことを特徴とする請求項8に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記触媒は、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウムの群から選定された少なくとも一つの元素を含むことを特徴とする請求項8に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記ゼオライトは、Cu、Fe、Ni、Zn、Mn、またはCoでイオン交換されていることを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−255030(P2009−255030A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266829(P2008−266829)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】