説明

ハマナシ果実飲料の製造法

【課題】ビタミンCを豊富に含有するハマナシ果実を原料とし、保存料や酸化防止剤などの薬剤などを使用せずに生きた自然のままのハマナシ果実飲料の製造法を提供する。
【解決手段】本発明は、ハマナシ果実1を破砕し、その破砕物2に水3を加え撹拌するとともに、浮上した固形分4を取り除いて得た一次原料水5を容器に詰めて冷蔵保存し、該一次原料水を濾材を用いて絞って得た二次原料水6を容器に詰めて冷蔵保存し、該二次原料水6中の微細固形分を沈降分離させた後、上澄分を容器に詰めて熱殺菌し冷蔵保存することを特徴とし、保存料や酸化防止剤などの薬剤などを一切使用せず、しかも発酵させない生のまま製造できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンCを多量に含有するハマナシ果実を原料とし、該ビタミンCを壊すことなく、生きた自然のままのビタミンCを豊富に保有するハマナシ果実飲料の製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からビタミンCは免疫力増強、抗ウイルス、有害な活性酸素の捕捉、インターフェロン生産などに強力な効果があることから、ガン、心臓病、脳卒中などの成人病やインフルエンザなどの感染症その他の病気の予防や治療に有効であるが、人はビタミンCを合成できないため、人の口(食物)から摂取しなければならない。
【0003】
上記ビタミンCは、本発明者の父親(飯島常松)が、ビタミンCを多量に含有するハマナシ果実(2000〜2200mg/100g)の処理技術(特公平1−44688号)を開発し、その処理過程で得られるハマナシ果実飲料を飲むことにより有効に補給できることが判っている。
【0004】
上記特公平1−44688号により得られたハマナシ果実飲料は、ビタミンCを豊富に保有する点で優れていたが、完熟したハマナシ果実を使用したため発酵し易く、しかも常温で販売していたため顧客の手元でも発酵し、やや酢っぱさがあった。しかも、製品中のビタミンCの含有量は豊富であると言っても、78mg/100g程度であって、本来的に有しているハマナシ果実の含有量からみればまだまだ少いものであった。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するためのもので、その目的とするところはハマナシ果実からなる飲料を発酵させることなく製造し、酢っぱさが口に残らない、生きたままの「生」のビタミンCを豊富に保有するハマナシ果実飲料、特に、ビタミンCの含有量が少なくとも100mg/100g以上あるハマナシ果実飲料を提供する点にある。
【特許文献1】特公平1−44688号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、ハマナシ果実を破砕し水を加え撹拌するとともに、浮上した固形分を取り除いて得た一次原料水を容器に詰めて冷蔵保存し、該一次原料水を濾材を用いて絞って得た二次原料水を容器に詰めて冷蔵保存し、該二次原料水中の微細固形分を沈降分離させた後、上澄分を容器に詰めて熱殺菌し冷蔵保存することを特徴とし、保存料や酸化防止剤などの薬剤などを使用せず、しかも発酵させない生のまま製造できるように構成した。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記一次原料水の絞り工程が、粗目の濾材を用いて遠心分離した後、細目の濾材を用いて遠心分離することを特徴とし、舌にざらざらせず、飲み易い飲料となるように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るハマナシ果実飲料の製造法によれば、ハマナシ果実から保存料や酸化防止剤などの薬剤を使用せず、しかも発酵させない生のままのビタミンCを豊富に保有するハマナシ果実飲料が効率的に得られる。しかも、製造過程においてビタミンCが発酵しないように冷蔵保管を徹底することによりビタミンCが生のまま飲めるという優れた効果を奏するものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係るハマナシ果実飲料の製造法によれば、舌にざらざらせず、飲み易いハマナシ果実飲料が得られるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を添付図面に基づいて説明する。図1は一次原料水を得る工程を示す略示的説明図、図2は二次原料水を得る工程を示す略示的説明図、図3は最終工程を示す略示的説明図である。
【0011】
まず、完熟前のやや赤みを呈した程度のハマナシ果実1を用意する。このハマナシ果実1はバラ科の落葉灌木(高さ1.5mにもなり、幹には刺が密生し、葉は羽状複葉、夏にバラに似た花が咲き、実を付ける)の扁円形の実を指す。該ハマナシ果実1は、外皮、果肉、種子及びヘタを含めて100g当たり2000〜2200mgのビタミンCが含まれている。比較のためにレモンに含まれるビタミンC量を挙げると、100g当たり32〜56mgである。
【0012】
前述の如く、用意されたハマナシ果実1は水洗してから、図1に示す如く、破砕機Aにて丸ごと破砕する。ハマナシ果実1を丸ごと破砕する理由は、ビタミンCは総ての部分に多量に含まれていること、及び、ハマナシ果実1はその外皮が厚い上に、種子は1個中に80〜130粒も詰まっており果肉が少なく、丸ごと原料とする方が効率的であることによる。
【0013】
前記破砕したハマナシ果実1の破砕物2は、その固形分、液分の総てを撹拌機Bを備えた容器Cに投入すると同時に、該ハマナシ果実1の重量のほぼ2倍の水3を加えて前記撹拌機Bを作動し撹拌する。この撹拌によってハマナシの外皮カスや種子の殻など軽量固形分4が浮上するため、これを網具Dにより取り除いて一次原料水5を得る。
【0014】
前記水3は、水道水をそのまま使用することは避け、重金属やアルカリ土類金属を極く微量でも含まないように精製された水、例えば、原素レーベン水(商標)を使用することが好ましい。これはビタミンCの酸化、分解を抑え、生のままのビタミンCを得るために有効である。
【0015】
前述の如く得た一次原料水5は、容器(瓶)Eに入れ、蓋E′で封止し、容器ごと冷蔵庫Fにて保存する。冷蔵庫Fの庫内温度は6〜10°C程度になっている。ここに冷蔵保存する理由は、一次原料水5には保存料や人工的に発酵規制するための薬剤を加えずに発酵を抑え、生のままを保つためである。
【0016】
前記冷蔵庫Fに容器に詰めた一次原料水5の保存時間は特に限定しないが、約12時間程度あればよい。該一次原料水5は、図2に示す如く、濾材Gを用いて絞ることによって二次原料水6が得られる。この絞り工程には遠心分離機Hを使うとよい。遠心分離機Hは2段階に分けて使用することが好ましい。すなわち、第1段階は粗目の濾材(42メッシュ程度=サラシを2枚重ねた程度)Gを用い、第2段階は細目の濾材(100メッシュ=ドリップコーヒー用フィルター程度)Gを用いて行う。このようにして得られた二次原料水6は容器Iに詰め、蓋I′で密閉して、容器ごと冷蔵庫Fにて保存する。
【0017】
前記二次原料水6には、未だ除去しきれない微細固形物が残っていると、その微細固形物は冷蔵庫Fでの保存中に、前記容器Iの底部に図3の如く沈殿物6′として沈降分離するから、その沈降分離を待って上澄分6″を汲み上げて容器Jに詰め、蓋J′をして熱殺菌機Kに収容し、容器ごと約40〜55分間熱殺菌する。熱殺菌後、冷蔵庫Fにて保存する。これにより本願ハマナシ果実飲料(製品)7が完成する。
【実施例1】
【0018】
北海道産の完熟前のハマナシ果実(赤みのもの、若干、青みが残っているものも含む)3.1kgを丸ごと破砕機にて破砕し、その破砕物を撹拌機を持つ容器に投入し、ほぼ2倍の水を加えて撹拌し、浮上した軽量固形分を取り除いて一次原料水を得、これを容器に詰め蓋をして冷蔵庫にて保存する。約3日後に冷蔵庫から取り出し、遠心分離機にて2回絞る。第1段階は42メッシュの濾布を用い、第2段階は100メッシュの濾布を用いて行う。これにより得た二次原料水を容器に詰め蓋をして冷蔵庫に保存する。24時間後、容器の底部に微細固形分が沈降分離する。その上澄分を容器に詰め蓋をして熱殺菌機にて50分間、熱殺菌後、冷蔵庫に保存して本願ハマナシ果実飲料を得た。このハマナシ果実飲料を検体として、東京都渋谷区所在の財団法人日本食品分析センターにて分析した結果は次表の通りである。
【0019】
[表]
(分析試験項目) (結果) (分析方法)
総アスコルビン酸(総ビタミンC) 153mg/100g 高速液体クロマドグラフ法清涼飲料水の成分規格 ヒ素 適
鉛 適
カドミウム 適
スズ 適
大腸菌群 適
一般細菌数(生菌数) 55/ml 標準寒天平板培養法
注1.「高速液体クロマドグラフ法」はヒドラジンで誘導体化した後測定した。
注2.「清涼飲料水の成分規格」は食品、添加物等の企画基準(昭和34年厚生省告示第370号)の第1食品D条清涼飲料水によった。
【0020】
上記分析試験結果表によると、本願ハマナシ果実飲料にはビタミンCの含有量の高いことが知れる(153mg/100g)。また、清涼飲料水の成分規格として、ヒ素等の含有量は「適」であり、一般細菌数(生菌数)も55/mlと極めて小さいことが判る。
【実施例2】
【0021】
上記実施例1で得た「本願ハマナシ果実飲料」を、糖尿病、蚊ぶん症と医師により診断されており、風邪で1週間寝たきりの人(35歳・男性)に、1日3回、食後毎回200ccを飲んで貰って、風邪、蚊ぶん症、糖尿病との関係を聴いた処、次の結果を得た。
(1)風邪は次の日に快癒し、仕事に出た。
(2)蚊ぶん症の現象は約30日でほぼなくなった。
(3)糖尿病は、約40日には必要量のインスリンが分泌されていた。
【実施例3】
【0022】
上記実施例1で得た「本願ハマナシ果実飲料」を、白血病で通院していて、これ以上悪くなったら入院が必要であることを医者から宣告されていた人(40歳・女性)に、1日3回、食後毎回300ccを飲んで貰い、約30日後に、病状の具合を聴いた処、すっかり健康になったとの回答を得た。
【実施例4】
【0023】
上記実施例1で得た「本願ハマナシ果実飲料」を、「緑内障」で視野が狭く、カラーテレビを見ても「白黒」にしか見えないと言っていた人(50歳・女性)に、1日3回、食後毎回200cc飲んで貰い、約10日後に、病状の具合を聴いた処、カラーテレビが本来の「カラー」で見えるようになったと喜んでいた。
【実施例5】
【0024】
上記実施例1で得た「本願ハマナシ果実飲料」を、「脳溢血」で左半身不随(言語障害はない)で入院していた人(62歳・女性)に、1日3回(食後)1回に200ccを飲んで貰った処、次の経過を経て快癒した。
(1)次の日に、動かなかった方の手が少し動くようになった。
(2)1カ月後、手も足も動くようになった。
(3)6カ月後、左半身不随は快癒した。
【産業上の利用可能性】
【0025】
上述の如く、本発明は、生きた「生」のビタミンCで、100cc中に153mgものビタミンCを含有する本願ハマナシ果実飲料は、その飲む量(一日当たり)を研究することにより、現在にあって難病(上記実施例2〜5を含む)に対して大きな効果が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一次原料水を得る工程を示す略示的説明図である。
【図2】二次原料水を得る工程を示す略示的説明図である。
【図3】最終工程を示す略示的説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ハマナシ果実
2 破砕物
3 水
4 軽量固形分
5 一次原料水
6 二次原料水
6′ 沈殿物
6″ 上澄分
7 本願ハマナシ果実飲料(製品)
A 破砕機
B 撹拌機
C 容器
D 網具
E 容器
E′ 蓋
F 冷蔵庫
G 濾材
H 遠心分離機
I 容器
I′ 蓋
J 容器
J′ 蓋
K 熱殺菌機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
完熟前のハマナシ果実を破砕し水を加え撹拌するとともに、浮上した固形分を取り除いて得た一次原料水を容器に詰めて冷蔵保存し、該一次原料水を濾材を用いて絞って得た二次原料水を容器に詰めて冷蔵保存し、該二次原料水中の微細固形分を沈降分離させた後、上澄分を容器に詰めて熱殺菌し冷蔵保存することを特徴とするハマナシ果実飲料の製造法。
【請求項2】
前記一次原料水の絞り工程が、粗目の濾材を用いて遠心分離した後、細目の濾材を用いて遠心分離することを特徴とする請求項1に記載のハマナシ果実飲料の製造法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−6178(P2006−6178A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187015(P2004−187015)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(504244520)
【Fターム(参考)】