説明

ハロゲン抵抗性組成物

水処理製品を包装するための水溶性ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物が開示される。フィルムは酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマー、酸化可能な有機材料、キレート剤、フリーラジカルスカベンジャー及び第二の添加剤、例えば可塑剤、潤滑剤及び界面活性剤を含むことができる。結果得られるフィルムは、ハロゲン化した(例えば、塩素化した及び臭素化した)組成物、例えば水処理及び農業製品に対して長期間曝露された後に好ましい溶解特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
背景
2006年5月1日に出願した米国仮特許出願第60/795,378の35USC119(e)の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、反応性のハロゲン化した化学物質、例えば塩素化した又は臭素化した水処理製品を含んだ包装製品に使用できるハロゲン抵抗性のフィルム形成組成物に関する。より具体的には、本開示は、酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマー、酸化可能な有機材料、キレート剤及びフリーラジカルスカベンジャーを含んだ、ハロゲン抵抗性フィルムに関する。
【0003】
関係する技術の簡単な説明
水溶性フィルムを用いた単位用量包装したコンセプトの多くの用途のうちの1つは、水処理製品、特に有効な塩素及び臭素を含んだ製品を包装することである。この構成は、包装フィルムを開封及び処理する必要なく、含まれる化学物質(包装フィルムを含む)を水処理過程に導入できるようにすることにより水処理過程を促進する。例えば、スイミングプール消毒剤を含んだフィルムパッケージは、プールの水処理システム中のプールの水に直接添加しても良い。
水溶性フィルムの使用が、これらのタイプの反応性のハロゲン化した化学物質を用いる用途において便利であるのに対して、以前の水溶性フィルムはこれらの化学物質と接触させた際の適合性における制限を有する。例えば、有効な塩素及び臭素を含んだ塩素化した及び臭素化した化学物質と約1週間接触させることで、抵抗性のないフィルムを脱色し、そフィルムの溶解特性を損ない得る。特に、フィルムは温水でのみ溶解し(すなわち温水及び冷水で溶解することと対照的)又はさらに水中で全く溶けなくなる。
【0004】
概要
本開示の一側面は、酸安定性水溶性ポリビニルアルコール(“PVOH”)ポリマー、酸化可能な有機材料、キレート剤及びフリーラジカルスカベンジャーを含んだハロゲン抵抗性水溶性フィルム形成組成物を提供する。
本開示の他の側面は、酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマーと、酸化可能な有機材料、キレート剤、フリーラジカルスカベンジャー及びこれらの組み合わせから成る群より選択される添加剤の混合物を含んだ、ハロゲン抵抗性水溶性フィルムを提供する;ここで、活性成分としてナトリウムジクロロイソシアヌレートを56wt%含んだハロゲン化した組成物と接触させて、38℃の85%相対湿度下で28日間貯蔵したこの水溶性フィルムの50μmサンプルは、10℃の水中で測定した場合、15%以下の溶解時間の増加により特徴付けられる。
【0005】
本開示の他の側面は、スルホン酸(そのアルカリ金属塩を含む);カルボン酸(そのアルカリ金属塩を含む);アミン;アミド;カチオン性窒素;及びこれらの組み合わせから成る群より選択される安定化官能基を含むポリビニルアルコールを含んだ酸安定性水溶性ポリマー;ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、いかなる還元糖、例えばグルコース、フルクトース、マルトース及びグリセルアルデヒド及びこれらの組み合わせから成る群より選択される酸化可能な有機材料;ホスホン酸、ホスホネート、ポリホスフェート、ポリアミノカルボン酸及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるキレート剤;並びに、4-メトキシフェノール、ハイドロキノン、アスコルビン酸、ブチル化したヒドロキシアニソール、メルカプトプロピオン酸、N-アセチルシステイン、ジメチルチオウレア、ピロリジンジチオカルバメート、ヒドロキシルアミン、モノテルペンケトン及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるフリーラジカルスカベンジャーの混合物を含んだ、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物を提供し、ここでハロゲン抵抗性組成物はパッケージに形成されても良い、水溶性フィルムの形態であっても良い。
【0006】
本開示の他の側面は、本明細書で開示するハロゲン抵抗性フィルムから形成した水溶性フィルム包装中に含まれた反応性のハロゲン化した成分を含んだ、包装済の物品を提供する。
さらなる側面及び利点は、以下の詳細な説明を検討することで当業者にとって明らかであろう。組成物及び物品は種々の形態の態様が可能であるが、本明細書の以後の記載は、本開示が実例であるという理解の下で特定の態様を含み、本発明を本明細書に記載するこの特定の態様に限定することを意図しない。
【0007】
図面の簡単な説明
本開示の目的、特徴及び利点は図面と合わせて以下の説明を読むことで明らかとなるであろう。
【0008】
詳細な説明
本明細書で使用するように、“ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物”の成分及び特性は、他に特定しない限り、組成物それ自身及びその組成物から形成されるフィルムの両方に適用できる。組成物は一般的に、酸安定性水溶性ポリマー、酸化可能な有機材料、キレート剤及びフリーラジカルスカベンジャーを含む。結果得られるフィルムは、反応性のハロゲン化した化合物に対する長期間の曝露後に有利な水溶性特性を有する。好ましくは、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は、冷水(例えば約5℃から約30℃、例えば約10℃)中で溶解できる。
他に特定しない限り、本明細書で開示する組成物濃度は、成分の合計質量に基づいた乾燥(すなわち、実質的に水を含まない)質量(wt%)で与えられる。濃度を決定するための乾燥質量は、酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマー、酸化可能な有機材料、キレート剤、フリーラジカルスカベンジャー及びいかなる任意の第二添加剤の質量も含むが、いかなるバルク溶媒(bulk solvent)(例えば水)の質量は除かれる。
【0009】
酸安定性水溶解性ポリビニルアルコールポリマー
本開示の好ましい水溶性フィルム形成ポリマーは、酢酸ビニルと酸安定性官能基を有するモノマー単位の加水分解したコポリマーであるPVOHコポリマー樹脂か、又は重合後に酸安定性官能基を有する試薬で修飾したPVOHポリマーである。酸安定性官能基は、PVOHポリマーが冷水中で溶解できるようにする機能を有し、これらは与えられた水溶性が、酸安定性官能基がその固有の形態にあるか又は誘導体の形態にあるか(例えば酸形態にあるか又はアルカリ金属塩形態にあるか)により実質的に影響されない特性を有する。酸安定性官能基のこの特性は、結果得られるPVOHポリマーが酸性環境に長期間曝露された後に水溶性を維持できるように貢献する。好ましい水溶性フィルム形成ポリマーは、冷水(例えば約5℃から約30℃、例えば約10℃)中で溶解性である。
PVOHポリマーは、ビニルアルコール単位に転換された酢酸ビニル単位のパーセンテージとして表現して、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも約94%の加水分解の程度を有する。
【0010】
酸安定性、水溶性PVOHポリマーは、好ましくは約0.005Pa・sec(5cP)から約0.04 Pa・sec(40cP)、より好ましくは約0.01 Pa・sec(10cP)から約0.02 Pa・sec(20cP)の範囲で、20℃での4%水溶液粘度を有する。
適切な酸安定性官能基は、スルホン酸(そのアルカリ金属塩を含む)、カルボン酸(そのアルカリ金属塩を含む)、アミノ基、アミド基及びカチオン性窒素基を含む。PVOHポリマーは、1より多い種類の酸安定性官能基を含んでも良い。好ましい酸安定性官能基はスルホン酸及びアルカリ金属スルホネートである。
酸安定性官能基は、酢酸ビニルと、1以上の酸安定性官能基を含んだビニルコモノマーを共重合することによりPVOHコポリマーに組み込まれても良い。適切なコモノマーの例は、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(SAMPS)、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニル酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、アリルアミン、N-ビニルホルムアミド、ビニルピリジン及びジメチルアミノエチルビニルエーテルを含む。
【0011】
代わりに、重合後のアセタール化又は他の反応、例えばエステル化又はエーテル化により、酸安定性官能基を既存のPVOH鎖中に入れ込んでも良い。アセタール化反応が好ましい。重合後にアセタール化を介してスルホン酸又はスルホネートの官能基を与える適切な試薬の例は、ベンズアルデヒド2-スルホン酸、ベンズアルデヒド-2,4-ジスルホン酸及びこれらのナトリウム塩を含む。
本明細書で使用するように、用語“安定化官能基で置換したポリビニルアルコール”は、上記2つの方法のいずれかを含む、PVOHポリマー鎖に対してさらなる官能基を与えるためのいかなる適切な方法の結果物であるポリマーを意味する。具体的には、この用語は、酢酸ビニルと適切なビニルコモノマーの共重合か、又はPVOHポリマー鎖の重合後の誘導体化、又はこれらの組み合わせにより製造されたポリマーを含む。
【0012】
いかに与えるかには関係なく、PVOHポリマー中の酸安定性官能基を含んだ化合物の好ましい添加レベルは、ポリマー鎖中のモノマー単位の合計数に対して、好ましくは約1モル%から約20モル%の範囲内、より好ましくは約2.5モル%から約10モル%の範囲内にある。添加の具体的なレベルは、酸安定性官能基(例えばスルホン酸、カルボン酸等)自身及びPVOHポリマー鎖に対して官能基を結合する分子構造によって決まる。具体的には、添加のレベルは、好ましくは基本のPVOHポリマーの構造及び機械的特性を維持する(比較的より低い添加のレベルでもたらされる)一方で、最終的なフィルムに冷水溶解性を与える(比較的より高い添加レベルでもたらされる)ために好ましく選択される。最終フィルムは、好ましくは酸安定性PVOHポリマーから形成した75μmのフィルムを10℃で測定した場合に、約30秒未満、より好ましくは約20秒未満の最初の崩壊時間(すなわち、いかなる長期の貯蔵及び/又はハロゲン化した組成物と接触する前)を有する程度に冷水中で溶解性である。例えば、添加の好ましいレベルは、酸安定性官能基を含む化合物がコモノマーとしてのSAMPSである場合には約4モル%、酸安定性官能基を含む化合物がアセタール化剤であるベンズアルデヒド2-スルホン酸ナトリウム塩である場合には約8モル%、及び酸安定性官能基を含む化合物がコモノマーとしてのイタコン酸である場合には約5モル%である。
【0013】
組成物中の酸安定性水溶性PVOHポリマーの濃度は、好ましくは少なくとも約50wt%、及びより好ましくは少なくとも約60wt%である。酸安定性水溶性PVOHポリマーの濃度は、好ましくは約80wt%以下、及びより好ましくは約75wt%以下である。代わりに、酸安定性水溶性PVOHポリマーの濃度は、好ましくは約60wt%から約75wt%の範囲にある。
【0014】
酸化可能な有機材料
酸安定性水溶性PVOHポリマーは存在する遊離ハロゲンでハロゲン化された材料(すなわち反応性のハロゲン化された材料)と接触することで酸化されやすいため、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は、PVOHポリマーと比べて容易かつ優先的に酸化される酸化可能な有機材料を含む。適切な酸化可能な有機材料は、ポリエステル、例えばポリエチレングリコール(PEG)、PEG誘導体(例えばメトキシポリエチレングリコール(“MPEG”))、ポリプロピレングリコール(“PPG”)、還元糖、例えばグルコース、フルクトース、マルトース及びグリセルアルデヒド並びにこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。好ましい酸化可能な有機材料は、ポリエチレングリコール、より好ましくは室温で固形であるポリエチレングリコール(例えば少なくとも約900ダルトンの分子量を有するPEG、少なくとも約750ダルトンの分子量を有するMPEG及びこれらの混合物)、及び特に好ましくは約3350ダルトンの分子量を有するPEGである。
酸化可能な有機材料の濃度は、好ましくは少なくとも約2wt%、より好ましくは少なくとも約3wt%である。酸化可能な有機材料の濃度は、好ましくは約20wt%以下、及びより好ましくは約10wt%以下である。酸化可能な有機材料濃度の意図される範囲は、約2wt%から約10wt%、例えば5wt%を含む。
【0015】
キレート剤
PVOHポリマーの酸化は痕跡量の金属イオンで触媒され得るため、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は遊離の金属イオンを結合しそれにより遊離金属イオンによる触媒を阻害するため、塩素安定性のキレート剤を含む。適切なキレート剤は、ホスホン酸、ホスホネート、ポリホスフェート、ポリアミノカルボン酸(例えばEDTA(エチレンジアミン4酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)及びNTA(ニトリロ3酢酸))及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好ましいキレート剤は、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ホスホン酸であり、これは名称DEQUEST2010(St. Louis, MissouriのSolutia, Incから入手可能)の下、60wt%水溶液として市場で入手可能である。
キレート剤の濃度は、好ましくは少なくとも約0.05wt%、及びより好ましくは少なくとも約0.07wt%である。キレート剤の濃度は、好ましくは約0.2wt%以下、より好ましくは約0.15wt%以下である。キレート剤の濃度の意図される範囲は、約0.05wt%から約0.2wt%、及び約0.07wt%から約0.15wt%、例えば約0.1wt%を含む。
【0016】
フリーラジカルスカベンジャー
いかなる特定の理論に限定されることを意図しないが、PVOH酸化のメカニズムは、PVOHヒドロキシル基から水素原子を取り去る塩素フリーラジカルを含んだ反応性フリーラジカルを必要とすると考えられる。カルボニル基は、ポリマー骨格に加えてポリマー鎖間の分子間架橋で前記のように形成されると考えられる。従って、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は任意にフリーラジカルスカベンジャーを含んで、フリーラジカルと優先的に反応させ、それによりこれらの反応の阻害をする。適切なフリーラジカルスカベンジャーは、4-メトキシフェノール(“MEHQ”)、ハイドロキノン、アスコルビン酸、ブチル化したヒドロキシアニソール(“BHA”)、チオール(例えばメルカプトプロピオン酸及びN-アセチルシステイン)、ジメチルチオウレア、ピロリジンジチオカルバメート、ヒドロキシルアミン、モノテルペンケトン及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好ましいフリーラジカルスカベンジャーはMEHQである。
フリーラジカルスカベンジャーの濃度は、好ましくは少なくとも約0.1wt%、及びより好ましくは少なくとも約1wt%である。フリーラジカルスカベンジャーの濃度は、好ましくは約5wt%以下、及びより好ましくは少なくとも約4wt%以下である。フリーラジカルスカベンジャーの濃度の意図される範囲は、約0.1wt%から約5wt%、及び約1wt%から約4wt%、例えば約3wt%である。
【0017】
添加剤
ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は、任意で第二の添加剤、例えば可塑剤、潤滑剤及び界面活性剤を含むことができる。容易に酸化可能なさらなる有機材料に相当する便利な界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えばTWEEN界面活性剤)及びエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー(例えばPLURONIC界面活性剤)である。1以上の第二の添加剤は、組成物から得られる構造(例えばフィルム)の水溶解性、及び好ましくは物理的な完全性にも著しく影響するものではないいかなる濃度でも含むことができる。水溶性フィルム、とりわけ水溶性包装フィルムの技術分野で典型的に知られ及び使用される濃度が、使用に際して意図される。
【0018】
ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物
ハロゲン抵抗性フィルムは、好ましくは酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマー、酸化可能な有機材料、キレート剤、フリーラジカルスカベンジャー及びいかなる第二の添加剤の水性混合物(例えば溶液)を溶液キャスティングすることにより調製される。得られるフィルムはいかなる適切な厚さ、例えば約40μmから約50μmの範囲の厚さを有することができる。
フィルムから製造した包装を形成し、充填し及び密封する方法は、本技術分野で一般的に知られている。一の種類の包装方法の間、ハロゲン抵抗性フィルムを包装に成形し、包装を反応性ハロゲン含有組成物で充填してハロゲン含有組成物をフィルムと直接接触した状態にし、次いで包装をヒートシールする。例示の反応性ハロゲン含有組成物は、化合物、例えばトリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、及びこれらのナトリウム及びカリウム塩、ナトリウムヒポクロライト、カルシウムヒポクロライト、N,N-ジクロロヒダントイン、N,N-ジブロモヒダントイン並びにN-クロロ-N-ブロモ-5,5-ジメチルヒダントインを含んだ水処理製品を含む。一旦この形態になると、ハロゲン化した組成物を含んだフィルム包装は、その水溶性特性が大きく失われることなく、変わりやすい気候条件下で少なくとも数ヶ月の期間に亘り貯蔵できる。
【0019】
ポリビニルアルコールから製造された従来の水溶性フィルムは、反応性のハロゲン化した化合物用の包装を形成するために使用した場合に、例えばハロゲン化した化合物が長期間曝露した後にフィルムを脱色し及びフィルムの溶解性を制限し得る点で制限を有する。例えば、フリーの塩素及び臭素はPVOHを酸化して不溶性にし及びこれを脱色し得る。同様に、フィルムの水溶性が部分的に加水分解されたPVOHホモポリマーで得られる場合、ハロゲン化した包装含有物(例えば塩酸及び次亜塩素酸)により派生する酸性環境は、PVOHホモポリマーの加水分解のレベルを増加させ、これによりポリマーを熱水溶解性に限定する。いかなる特定の理論により制限されることを意図しないが、ハロゲン化した包装含有物中の反応性ラジカルの存在下においてヒドロキシル基から水素原子を引き抜くことにより誘発される分子間架橋の形成の結果、PVOHフィルムはより水不溶性になり得るとも考えられる。
【0020】
本明細書で記載する組成物は、水処理製品のような成分を包装するために使用できるフィルムなどの、ハロゲン抵抗性水溶性物品として有用である。1種の態様において、組成物から形成したフィルムは、水中での崩壊及び/又は溶解時間(すなわち、最初の状態と規定時間の間反応性のハロゲン化した化合物と接触させた後の最後の状態の間の、崩壊及び/又は溶解時間における相対的な変化)の比較的小さい増加により特徴付けられる。
組成物から形成した50μmのフィルムを、56wt%の活性成分としてのナトリウムジクロロイソシアヌレートを含んだ反応性のハロゲン化組成物と接触させて38℃かつ85%の相対湿度下で28日間貯蔵した後10℃の水で測定した場合、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は50%以下、より好ましくは15%以下、及び最も好ましくは10%以下の溶解時間における増加により好ましく特徴付けられる。同じ又は他の態様において、これらの条件で貯蔵され測定された50μmのフィルは、好ましくは約90秒以下、より好ましくは60秒以下、最も好ましくは約30秒以下、例えば約27秒の完全溶解時間を有する。
【0021】
組成物から形成した50μmのフィルムを、56wt%の活性成分としてのナトリウムジクロロイソシアヌレートを含んだ反応性のハロゲン化組成物と接触させて38℃かつ85%の相対湿度下で28日間貯蔵した後10℃の水で測定した場合、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は50%以下、より好ましくは30%以下の崩壊時間における増加により好ましく特徴付けられる。同じ又は他の態様において、これらの条件で貯蔵し測定した50μmのフィルムは、好ましくは約60秒以下、より好ましくは約30秒以下、及び最も好ましくは約15秒以下、例えば約14秒の完全崩壊時間を有する。
組成物から形成した50μmのフィルムを、56wt%の活性成分としてのナトリウムジクロロイソシアヌレートを含んだ反応性のハロゲン化組成物と接触させて38℃かつ10%の相対湿度下で28日間貯蔵した後10℃の水で測定した場合、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は50%以下、より好ましくは15%以下、及び最も好ましくは10%以下の溶解時間における増加により好ましく特徴付けられる。同じ又は他の態様において、これらの条件で貯蔵され測定された50μmのフィルムは、好ましくは約90秒以下、より好ましくは約60秒以下、及び最も好ましくは約30秒以下、例えば約29秒の完全溶解時間を有する。
【0022】
組成物から形成した50μmのフィルムを、56wt%の活性成分としてのナトリウムジクロロイソシアヌレートを含んだ反応性のハロゲン化組成物と接触させて38℃かつ10%の相対湿度下で28日間貯蔵した後10℃の水で測定した場合、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は50%以下、より好ましくは15%以下、及び最も好ましくは10%以下の崩壊時間における増加により好ましく特徴付けられる。同じ又は他の態様において、これら条件で貯蔵され測定された50μmのフィルムは、約60秒以下、より好ましくは約30秒以下、及び最も好ましくは約15秒以下、例えば約12秒の完全崩壊時間を有する。
組成物から形成した50μmのフィルムを、56wt%の活性成分としてのナトリウムジクロロイソシアヌレートを含んだ反応性のハロゲン化組成物と接触させて23℃かつ50%の相対湿度下で28日間貯蔵した後10℃の水で測定した場合、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は50%以下、より好ましくは30%以下の溶解時間における増加により好ましく特徴付けられる。同じ又は他の態様において、これらの条件で貯蔵され測定された50μmのフィルムは、好ましくは約90秒以下、より好ましくは約60秒以下、及び最も好ましくは約35秒以下、例えば約34秒の完全溶解時間を有する。
【0023】
組成物から形成した50μmのフィルムを、56wt%の活性成分としてのナトリウムジクロロイソシアヌレートを含んだ反応性のハロゲン化組成物と接触させて23℃かつ50%の相対湿度下で28日間貯蔵した後10℃の水で測定した場合、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物は50%以下、より好ましくは15%以下、及び最も好ましくは10%以下の崩壊時間における増加により好ましく特徴付けられる。同じ又は他の態様において、これらの条件で貯蔵され測定された50μmのフィルムは、好ましくは約60秒以下、より好ましくは約30秒以下、及び最も好ましくは約15秒以下、例えば約9秒の完全崩壊時間を有する。
本明細書で記載するハロゲン抵抗性フィルム形成組成物の種々の態様は、任意に1以上の利点を与えることができる。例えば、本明細書で記載する組成物は、成形して水処理製品を充填するために便利なフィルムを与えることができる。適切な水処理製品は、スイミングプール及び温泉を消毒するハロゲン、特に塩素及び臭素を含んだ化合物を含む。一旦ハロゲン化した組成物を含んだ包装に成形すれば、フィルムは長期間かつ変わりやすい天候条件下でその水溶解特性を保持するようにできる。
【0024】
フィルム水溶性の決定方法
以下の試験手順は、図1〜3を参照しながら、フィルム試験サンプルの水溶解性を特徴付ける客観的方法を記載する。この方法は、ハロゲン化した組成物と長期間接触させる前及び後のフィルム試験サンプルの崩壊及び溶解時間の決定に関係する。本明細書で使用するものとして、用語“崩壊時間における増加”及び“溶解時間における増加”は、いくらかの規定した貯蔵期間(例えば、ハロゲン化した組成物と接触した試験フィルムを特定の気候条件下で28日間)後の崩壊/溶解時間と、貯蔵及びハロゲン化した組成物と接触させる前の崩壊/溶解時間を比較した場合の、崩壊/溶解時間における相対的な変化を指す。
【0025】
装置及び材料
600mlビーカー 12
マグネチックスターラー 14(Labline Model No. 1250又は同等品)
マグネチックスターラーロッド 16(5cm)
温度計(0℃から100℃±1℃)
テンプレート、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)
タイマー(最大300秒、秒近くで正確なもの)
ポラロイド35mmスライドマウント 20(又は同等品)
MonoSol35mmスライドマウントホルダー 25(又は同等品、図1参照)
蒸留水
【0026】
試験手順
1.ステンレス鋼テンプレート(すなわち3.8cm×3.2cm被検査物)を用いて既知の厚さ(例えば50μm)のフィルムサンプルから3つの試験被検査物を切り取る。フィルムウェブから切り取る場合、被検査物はウェブの横方向に沿って均等の間隔に並んだウェブの領域から切り取られるべきである。
2.各被検査物を別々の35mmスライドマウント20に固定する。
3.ビーカー12を500mlの蒸留水で満たす。温度計で水温を測り、必要な場合加熱又は冷却して一定温度(例えば10℃/50F)を維持する。
4.水柱の高さをマークする。ホルダー25の土台27上にマグネチックスターラー14を設置する。マグチックスターラー14上にビーカー12を設置し、ビーカー12にマグネチックスターラーロッド16を加え、スターラー14のスイッチを入れ、水柱の高さの約1/5である渦が発生するまで攪拌スピードを調整する。渦の深さをマークする。
5.35mmスライドマウント20をMonoSol35mmスライドマウントホルダー25(図1)のわに口クランプ26に、スライドマウント20の長い方の末端21が図2に図示するように水表面と水平になるように固定する。ホルダー25の深さ調節器28は下げた場合にクランプ26の末端が水の表面よりも0.6cm下になるようにセットすべきである。図3に図示するようにフィルム表面が水の流れに対して垂直となるように、スライドマウント20の短い側の一末端23をビーカーの壁に近づけ、反対側がスターラーロッド16の中心のちょうど上に配置する。
6.1回の動きにおいて、固定したスライドとクランプを水の中に落としてタイマーをスタートさせる。フィルムが離れたとき、崩壊時間を記録する。全ての目に見えるフィルムがスライドマウントから放出された時、溶解していないフィルム断片に注視して溶液の監視を継続しながら、スライドを水から引き上げる。全てのフィルム断片が最早見えなくなり溶液が透明になったとき、溶解時間を記録する。
【0027】
この試験手順から得られる結果は以下を含む:完全なフィルム試験サンプルの同定、フィルム特性(例えば、化学成分、膜厚等)、フィルムの貯蔵条件(例えば時間、温度、相対湿度、包装内容物等)、試験を行った貯蔵履歴におけるポイント(例えば最初の試験、貯蔵28日後の試験等)、及びサンプルを試験した時の水温。試験は、3つのサンプルを試験して平均することを指定するが、正確さや精密さを増加させるため各試験条件のセットに対してこれ以上の回数の繰り返しを行っても良く、統計分析を取り込んでも良い(すなわち平均よりも優れる)。
フィルム組成物を調製して長期間ハロゲン化した組成物に曝露した後に水溶性を維持するフィルム組成物の能力を測定するために試験を行った以下の実施例は、説明目的で提供され、本発明の範囲を制限することを意図しない。フィルムは種々の成分をブレンドし次いで通常の溶液キャスティング法を行って約40μmから50μmの膜厚を有するフィルムを作成することにより調製し、キャスティングを行った後は調整しなかった。次いでフィルムを包装に成形した。
【0028】
実施例1
50μmのフィルムを溶液キャスティングにより調製し、フィルムは酸安定性水溶性ポリビニルアルコールコポリマー、酸化可能な有機材料、キレート剤、フリーラジカルスカベンジャー及び溶解性に関係しない第二の添加剤を含んでいた。具体的なコポリマーは、0.0116Pa・s(11.6cP)の20℃での4%溶液粘度、4.0モル%のSAMPSの添加レベル及び95.5%の加水分解の程度を有するPVOH-SAMPSコポリマーであった。フィルムから製造した包装に50gの56wt%−活性ナトリウムジクロロイソシアヌレートプール消毒剤を充填し、密封し、次いで種々の気候条件(すなわち温度及び相対湿度;表1を参照されたい)下で28日間貯蔵した。28日後かつ全ての試験環境の下で、フィルムはその元の色を維持した。
比較例1
通常の水溶性フィルムの50μmフィルム被検査物を、0.023Pa・s(23cP)の20℃での4%溶液粘度及び88%の加水分解の程度を有するPVOHホモポリマーを用いた溶液キャスティングで調製した。フィルムから製造した包装に50gの56wt%−活性ナトリウムジクロロイソシアヌレートプール消毒剤を充填し、密封し、次いで種々の気候条件(すなわち温度及び相対湿度;表1を参照されたい)下で28日間貯蔵した。28日後かつ全ての試験環境の下で、フィルムは黄褐色になった。
【0029】
比較例2
他の従来の40μm水溶性フィルムを、酸安定性水溶性ポリビニルアルコールコポリマー、水溶性添加剤及び還元ヒドロキシカルボン酸を用いた溶液キャスティングにより調製した。具体的なコポリマーは、0.0116Pa・s(11.6cP)の20℃での4%溶液粘度、4.0モル%のSAMPSの添加レベル及び95.5%の加水分解の程度を有するPVOH-SAMPSコポリマーであった。トリクロロイソシアヌル酸(N.Jonas&Co., Bensalem, PAから品名MAXI-CHLORの下で3"直径錠剤の形態で入手可能)をフィルムで梱包し、密封し、次いで種々の気候条件(すなわち温度及び相対湿度;表1を参照されたい)下で28日間貯蔵した。28日後かつ全ての試験環境下で、フィルムは元の色を保持していたが本質的に不溶化された。
各サンプルに関する成分、量及び溶解特性が表1に示される。水溶性の各記載事項に関して、最初の数字は10℃の水中における崩壊時間であり、二番目の数字は10℃の水中における溶解時間であり、これらは上記の方法により決定された。最初の溶解性の記載事項はハロゲン化した組成物に対する曝露前のフィルムを表す。貯蔵及び曝露の28日後の溶解性の記載事項に関して、結果は貯蔵温度(℃)及び相対湿度(%)に応じて列挙した。記載事項“Insol.”は、サンプルがそれぞれ300秒以内に崩壊しないか又は溶解しない事を示す。比較例2及びハロゲン化した組成物に対する長期間の曝露後の場合、フィルムは冷水中において崩壊できる能力を維持していたにも関わらず、フィルムの小さな不溶性の断片が300秒後に残った。
【0030】
【表1】

【0031】
前記は理解を明確にするためのみに与えられ、不必要な制限がこれらから理解されるべきではなく、本発明の範囲にある変形は当業者にとって明らかであろう。
明細書全体を通して、組成物が成分又は材料を含むものとして記載される場合、他に記載しない限り、組成物は列挙した成分又は材料のいかなる組み合わせから実質的になり又はこれらからなる事が意図される。当業者により前記開示の検討において理解されるであろうように、成分の組み合わせは均一及び/又は不均一な混合物を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、フィルム試験サンプルの水崩壊時間及び水溶解時間を決定するために使用した試験器具の透視図である。
【図2】図2は、フィルム試験サンプルの水溶性を決定方法を説明するための試験器具及び試験配置の透視図である。
【図3】図3は、図2の試験配置の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマー;
酸化可能な有機材料;
キレート剤;及び
フリーラジカルスカベンジャーの混合物を含む、ハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項2】
フリーラジカルスカベンジャーが4-メトキシフェノール、ハイドロキノン、アスコルビン酸、ブチル化したヒドロキシアニソール、メルカプトプロピオン酸、N-アセチルシステイン、ジメチルチオウレア、ピロリジンジチオカルバメート、ヒドロキシルアミン、モノテルペンケトン及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項3】
フリーラジカルスカベンジャーが約0.1wt%から約5wt%の範囲で存在する、請求項1又は2に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項4】
混合物が水溶性フィルムの形態である、請求項1から3のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項5】
組成物から形成し、活性成分としてナトリウムジクロロイソシアヌレートを56wt%含んだ反応性のハロゲン化した組成物と接触させて38℃の85%相対湿度下で28日間貯蔵し、次いで10℃の水中で測定した50μmのフィルムの、50%以下の溶解時間における増加により特徴付けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項6】
溶解時間における増加が15%以下である、請求項5に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項7】
組成物から形成し、活性成分としてナトリウムジクロロイソシアヌレートを56wt%含んだ反応性のハロゲン化した組成物と接触させて38℃の85%相対湿度下で28日間貯蔵し、次いで10℃の水中で測定した50μmのフィルムの、50%以下の崩壊時間における増加により特徴付けられる、請求項1から6のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項8】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマーが、スルホン酸(そのアルカリ金属塩を含む);カルボン酸(そのアルカリ金属塩を含む);アミン;アミド;カチオン性窒素;及びこれらの組み合わせから成る群より選択される安定化官能基で置換したポリビニルアルコールを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項9】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマー中の安定化官能基を含んだ化合物の添加のレベルが、約1モル%から約20モル%の範囲にある、請求項8に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項10】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマー中の安定化官能基を含んだ化合物の添加のレベルが、約2.5モル%から約10モル%の範囲にある、請求項9に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項11】
酸化可能な有機材料が、ポリエチレングリコール、その誘導体、ポリプロピレングリコール、還元糖、グルコース、フルクトース、マルトース及びグリセルアルデヒド及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1から10のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項12】
酸化可能な有機材料が、少なくとも約750ダルトンの分子量及び室温で固体のコンシステンシーを有するポリエチレングリコール及び/又はその誘導体を含む、請求項11に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項13】
キレート剤が、ホスホン酸、ホスホネート、ポリホスフェート、ポリアミノカルボン酸及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1から12のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項14】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマーが約60wt%から約75wt%の範囲で存在し;
酸化可能な有機材料が約2wt%から約20wt%の範囲で存在し;
キレート剤が約0.05wt%から約0.2wt%の範囲で存在する請求項1から13のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項15】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマーが、約0.005Pa・sec(5cP)から約0.04 Pa・sec(40cP)の範囲で20℃での4%溶液粘度を有する、請求項1から14のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項16】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマーが、約0.01 Pa・sec(10cP)から約0.02 Pa・sec(20cP)の範囲で20℃での4%溶液粘度を有する、請求項15に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項17】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマーの加水分解の程度が、ビニルアルコール単位に転換された酢酸ビニル単位のパーセンテージで表して、少なくとも約90%である、請求項1から16のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項18】
可塑剤、潤滑剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群より選択される第二の添加剤を更に含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項19】
酸安定性水溶性ポリビニルアルコールポリマー;
酸化可能な有機材料、キレート剤、フリーラジカルスカベンジャー及びこれらの組み合わせから成る群より選択された添加剤の混合物を含んだ水溶性フィルムを含むハロゲン抵抗性組成物であって、
水溶性フィルムが、活性成分としてナトリウムジクロロイソシアヌレートを56wt%含んだ反応性のハロゲン化した組成物と接触させて、38℃の85%相対湿度下で28日間貯蔵し次いで10℃の水中で測定した50μmフィルムの、15%以下の溶解時間における増加により特徴付けられる組成物。
【請求項20】
溶解時間における増加が10%以下である、請求項19に記載のハロゲン抵抗性組成物。
【請求項21】
水溶性フィルムが、活性成分としてナトリウムジクロロイソシアヌレートを56wt%含んだ反応性のハロゲン化した組成物と接触させて、38℃の85%相対湿度下で28日間貯蔵し次いで10℃の水中で測定した50μmフィルムの、50%以下の崩壊時間における増加により特徴付けられる、請求項19又は20に記載のハロゲン抵抗性組成物。
【請求項22】
スルホン酸(そのアルカリ金属塩を含む);カルボン酸(そのアルカリ金属塩を含む);アミン;アミド;カチオン性窒素;及びこれらの組み合わせから成る群より選択される安定化官能基で置換されたポリビニルアルコールを含む酸安定性水溶性ポリマー;
ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グルコース、フルクトース、マルトース及びグリセルアルデヒドを含む還元糖並びにこれらの組み合わせから成る群より選択される酸化可能な有機材料;
ホスホン酸、ホスホネート、ポリホスフェート、ポリアミノカルボン酸及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるキレート剤;
4-メトキシフェノール、ハイドロキノン、アスコルビン酸、ブチル化したヒドロキシアニソール、メルカプトプロピオン酸、N-アセチルシステイン、ジメチルイオウレア、ピロリジンジチオカルバメート、ヒドロキシルアミン、モノテルペンケトン及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるフリーラジカルスカベンジャー、の混合物を含むハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項23】
酸安定性水溶性ポリマーが約60wt%から約75wt%の範囲で存在し;
酸化可能な有機材料が約2wt%から約20wt%の範囲で存在し;
キレート剤が約0.05wt%から約0.2wt%の範囲で存在し;及び
フリーラジカルスカベンジャーが約0.1wt%から約5wt%の範囲で存在する請求項22に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項24】
酸安定性水溶性ポリマーが、酢酸ビニルと、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるコモノマーとの加水分解されたコポリマーを含み;
酸化可能な有機材料が約3350ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールを含み;
キレート剤が1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ホスホン酸を含み;及び
フリーラジカルスカベンジャーが4-メトキシフェノールを含む請求項22又は23に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項25】
酸安定性水溶性ポリマーが、重合後にベンズアルデヒド-2-スルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせを用いたアセタール化により修飾したポリビニルアルコールポリマーを含み;
酸化可能な有機材料が約3350ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールを含み;
キレート剤が1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ホスホン酸を含み;及び
フリーラジカルスカベンジャーが4-メトキシフェノールを含む請求項22又は23に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項26】
混合物が水溶性フィルムの形態である、請求項22から25のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項27】
水溶性フィルムが包装の形態である、請求項26に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか1項に記載のハロゲン抵抗性フィルム形成組成物から形成した水溶性フィルム包装中に含まれ及びこれと接触した反応性のハロゲン化した成分を含む、あらかじめ包装した消毒物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−535492(P2009−535492A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509951(P2009−509951)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/067311
【国際公開番号】WO2007/130817
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(508122415)モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー (8)
【Fターム(参考)】