説明

ハンズフリー通話装置、及び該装置の音声補正方法

【課題】発音者の音声の特徴を得て、発音者を特定するハンズフリー通話装置、及び該装置の音声補正方法を提供する。
【解決手段】発音者の音声から発音者の音量特徴及び音質特徴を予め抽出するサンプリング部(44)と、抽出した音量特徴及び音質特徴から発音者に応じた補正条件を予め設定する一方、抽出した音量特徴及び音質特徴と通話者の音声とを比較して当該通話者を特定し、補正条件に基づいて当該通話者の補正音声を出力する補正部(48)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両内での使用に好適なハンズフリー通話装置、及び該装置の音声補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のハンズフリー通話装置は、発音者、例えば運転者の携帯電話機に電気的に接続されており、運転者は所有の携帯電話機をその手で持つことなく、外部との通話が可能に構成される。車両の運転中における携帯電話機の使用は法律で規制されているからである。
また、当該通話装置は、発音者の例えば耳にそのフックを引掛ける構造の他、車両内の適宜位置に設置する構造がある。
【0003】
この後者の構造では、通話装置が発音者から離れており、その音声を拾い難くなる。そのため、複数の増幅回路をハンズフリー通話装置に備えた技術を利用することも考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−51142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発音者の音声には固有の波形があり、通話装置がこの波形の特徴を得ることができれば、走行時の通話者を特定し、その音声を外部により鮮明に伝えられるはずである。
しかしながら、上述した従来の技術では、発音者の音声の特徴を得られ難いとの問題がある。発音者の音声を単に増幅するのみでは、この音声の大小の波形が総て最大値まで大きくなって抑揚がなくなるからである。
【0006】
このように、上記従来の技術では、発音者の音声の特徴を得る点については依然として課題が残されている。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、発音者の音声の特徴を得て、発音者を特定可能なハンズフリー通話装置、及び該装置の音声補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1の発明は、発音者の音声から発音者の音量特徴及び音質特徴を予め抽出するサンプリング部と、抽出した音量特徴及び音質特徴から発音者に応じた補正条件を予め設定する一方、抽出した音量特徴及び音質特徴と通話者の音声とを比較して当該通話者を特定し、補正条件に基づいて当該通話者の補正音声を出力する補正部とを具備する。
【0008】
第1の発明によれば、ハンズフリー通話装置はサンプリング部及び補正部を備えている。このサンプリング部は、発音者の音声からその音量特徴及び音質特徴を予め抽出可能であり、例えば車両に関するノイズの生じていない静かな環境下での音声と同様に、抑揚を有した音声の特徴を得ることができる。これは、従来の如く音声を単に増幅したのでは得られないものである。
【0009】
また、補正部は、この抽出した音量特徴及び音質特徴から発音者に応じた補正条件を予め設定しており、この補正条件も抑揚を有した音声の特徴から設定できる。
そして、この補正部は、実際の通話時にて、抽出した音量特徴及び音質特徴と通話者の音声とを比較しているため、通話者を確実に特定可能になる。さらに、当該補正部は、上述の予め設定した補正条件に基づき、この通話者の補正音声を出力しているので、外部、つまり、通話の相手側には、上記通話者の特徴を引き出した音声が伝わることになる。この結果、ハンズフリー通話装置の信頼性が大幅に向上する。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の構成において、音質特徴に対する補正条件は、発音者の音声の主帯域周波数に応じて設定されることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、音質特徴に対する補正条件を、例えば男性と女性との如く主帯域周波数の高低によって分類すれば、発音者に適したノイズ抑制を行える。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の構成において、補正部は、主帯域外をカットするフィルタを有することを特徴とする。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、フィルタによって主帯域外をカットすれば主帯域のみが残るため、通話の相手側には、上記通話者の音質特徴をより一層引き出した音声が伝わる。
【0012】
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、発音者の音声を有限数格納する記憶部をさらに具備することを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、記憶部が発音者の音声を格納すれば発音者の確認が容易になるし、また、格納数が有限であるので、補正部は、有限の抽出した音量特徴及び音質特徴と通話者の音声との比較で済み、当該通話者の特定精度向上に寄与する。
【0013】
第5の発明は、第1から第3の発明の構成において、抽出した音量特徴及び音質特徴を有限数格納する記憶部をさらに具備することを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、記憶部が抽出した音量特徴及び音質特徴を有限で格納すれば、補正部は、有限の抽出した音量特徴及び音質特徴と通話者の音声との比較で済むことから、この点も当該通話者の特定精度向上に寄与する。
【0014】
第6の発明は、ハンズフリー通話装置の音声補正方法である。そして、車両に関するノイズの生じていない環境下にて、発音者の音声から発音者の音量特徴及び音質特徴を抽出するステップと、抽出した音量特徴及び音質特徴から発音者に応じた補正条件を設定するステップと、通話時に、抽出した音量特徴及び音質特徴と車両内における通話者の音声とを比較して通話者を特定するステップと、補正条件に基づいて通話者の補正音声を出力するステップとから構成される。
【0015】
第6の発明によれば、発音者の音量特徴及び音質特徴が、車両に関するノイズの生じていない環境下にて抽出されており、抑揚を有した音声の特徴を得ることができる。また、この補正条件も抑揚を有した音声の特徴から設定できる。
そして、実際の通話時には、抽出した音量特徴及び音質特徴と通話者の音声とが比較されており、通話者を確実に特定可能になる。さらに、上述の予め設定した補正条件に基づき、この通話者の補正音声が出力されるため、通話の相手側には、上記通話者の特徴を引き出した音声を伝わることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノイズの生じていない静かな環境下と同等の抑揚を有した音声の特徴を得ているため、発音者を確実に特定し、その特徴を引き出した音声を通話の相手側に伝えるハンズフリー通話装置、及び該装置の音声補正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例のハンズフリー通話装置を搭載した車内の説明図である。
【図2】図1のハンズフリー通話装置と外部との関係を説明する図である。
【図3】図1のハンズフリー通話装置の内部構成図である。
【図4】図1のハンズフリー通話装置による動作フロー図である。
【図5】図2の補正部による音質補正条件の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1は車両1の車室であり、同図の右手前側に運転者のシート4が示されている。この運転席の左側には助手席が設けられる。インストルメントパネル2はシート4から視て各座席の前方に配置され、フロントガラス6は同じくシート4から視てパネル2の前方に設けられ、各座席からは車両1の進行方向を見渡すことができる。
【0019】
この運転席において、計器類8はパネル2の正面に配置され、車両1の速度、走行距離やシフト位置等を表示する。ハンドル10は、パネル2の下方からシート4に向けて延びた軸12の先端に回転可能に取り付けられている。また、シフトレバー14は、この軸12の周壁から助手席側に向けて延びており、上下方向に移動可能である。
【0020】
エアーコンディショニング装置の吹き出し口16は、運転席から助手席に亘ってパネル2の正面に配置され、この装置の起動に伴い、空気が車室内に向けて送出される。
モニター18は、運転席と助手席との間であって当該パネル2の正面に設置されている。このモニター18は、ナビゲーション装置の起動に伴い、地図や操作メニュー等を表示可能である。
【0021】
センターコンソール20は、モニター18の下方からシート4に向けて突出しており、オーディオ装置のスロット22は、このモニター18の近傍に配置され、CDやMD等を挿入できる。
ここで、本実施例では、ハンズフリー通話装置24がコンソール20のうち、スロット22よりもシート4側の適宜位置に設けられている。
【0022】
当該通話装置24は、その操作パネルやマイク等の周辺を残してコンソール20に埋設され、発音者の音声を検出することができる。そして、この通話装置24は、図2に示された発音者所有の携帯電話機26を経由して他の携帯電話機60との通話が可能である。
具体的には、本実施例の通話装置24は、近距離用の無線回線を介して発音者所有の携帯電話機26に接続可能に構成されている。なお、この無線回線に替えてケーブルで接続されていても良い。
【0023】
一方、この携帯電話機26は、携帯電話用の通信網などの公衆回線を介して相手側の携帯電話機60に接続されている。これにより、上記発音者の音声はマイク40から通話装置24、携帯電話機26、携帯電話機60を経て相手側に伝わり、この相手側の音声は、携帯電話機60、携帯電話機26、通話装置24を経てスピーカ38から上記発音者に伝わる。
【0024】
より詳しくは、図3に示される如く、本実施例の通話装置24はアンテナ30を有し、このアンテナ30は通信部32に接続されている。当該通信部32は携帯電話機26との間で無線による通話信号を送受し、アンテナ30を介して受信した信号は復調され、通信部32から信号処理部34に向けて出力される。
【0025】
この信号処理部34は通信に必要な信号処理を実行しており、この処理結果をスピーカ用D/A36に向けて出力すると、スピーカ38が鳴動し、相手側の音声が車室に出力される。
これに対し、車室の発音者の音声は、マイク40に拾われてマイク用A/D42から信号処理部34に入力される。この信号処理部34では、車室の環境ノイズの抑制処理や、スピーカ38からマイク40に回り込んだエコー成分の除去処理も行われており、当該処理結果を通信部32に向けて出力すると、変調された信号がアンテナ30から送信される。
【0026】
ところで、本実施例の通話装置24は、制御部(サンプリング部)44、記憶部46、及び補正部48をさらに備えている。
詳しくは、この制御部44は、車室の発音者の音声から当該発音者の音声特徴を予め抽出可能に構成されており、図示しないホストCPUからのモード信号に応じて、信号処理部34に入力された発音者の音声の例えば声紋から当該発音者の音量特徴及び音質特徴を抽出する。
【0027】
この発音者の音声自体、及び抽出された音量特徴や音質特徴は、記憶部46に向けて出力され、その容量の範囲内で格納される。つまり、発音者の音声、抽出した音量特徴や音質特徴は有限数だけ格納される。
本実施例の補正部48は、発音者の音声の伝達方向で視て信号処理部34の下流側に配置され、この抽出された音量特徴や音質特徴に応じた補正条件を予め設定可能に構成されている。なお、上記記憶部46は、この補正条件も格納可能である。
【0028】
また、この補正部48は、その後の通話者、つまり、この車両1の運転者である携帯電話機26の所有者を特定することができる。
詳しくは、本実施例では、補正部48が、予め抽出された発音者の音量特徴及び音質特徴と、実際に相手側との通話を行う通話者の音声とを比較して当該通話者を特定している。
【0029】
さらに、当該補正部48は、発音者毎に設定された補正条件に基づいて当該通話者の補正音声を通信部32に向けて出力している。
なお、上述した制御部44は、発音者の他、その後の通話者の音声特徴をも抽出し、そして、補正部48が、予め抽出された発音者の音量特徴及び音質特徴と、この通話者の音声特徴とを比較して当該通話者を特定しても良い。
【0030】
図4を参照すると、通話装置24による発音者の音声を相手側に出力するまでの動作フロー図が示されている。以下、上記の如く構成されたハンズフリー通話装置24の本発明に係る作用について説明する。
同図のステップS401では、携帯電話機26を例えば鞄に収納した発音者が車両1に乗車し、通話装置24が、車両1のエンジンスタート前、例えば車両1のイグニッションキーのオン作動に伴って起動する。
【0031】
次に、ステップS402では、マイク40が乗車した発音者の音声を取り込む。ここで、この音声は、車両1の停車時など、車両1のロードノイズや風切音のような車両に関するノイズの生じていない静かな環境下にて、特定のフレーズ、例えば「もしもし」、「乗車します」、若しくは「はい、営業1課です」など、短い音声フレーズをマイク40に向かって喋ってもらう。
【0032】
ステップS403では、上記ホストCPUにて、発音者が登録されているか否かを判別し、仮に当該発音者が車両1に未だ登録されていない場合、すなわちYESと判定した場合にはステップS404に進む。
このステップS404では、このホストCPUが制御部44に録音モードの信号を出力する。
【0033】
制御部44は、当該モードを受け取ると、マイク40で取り込んだ上述の短い音声フレーズから発音者の音量特徴及び音質特徴を抽出する。これにより、発音者の地声の程度や、性別も認識できる。
同時に、補正部48は、この抽出した音量特徴及び音質特徴から発音者に応じた音量補正条件並びに音質補正条件を設定する。
【0034】
具体的には、この音量補正条件は、発音者に適した音量に調整するためのものであり、例えば、発音者が小声であった場合には増幅量を大きくする一方、大声であった場合には聴き取り易くなるように増幅量を絞っている。
また、音質補正条件は、発音者に適したノイズ抑制を行うためのものである。より詳しくは、一般にノイズは、図5に斜線で示されるように、低めの周波数域に存在している。
【0035】
ここで、男性の主帯域周波数は約120Hzであるのに対し、女性の主帯域周波数は約220Hzであると云われており、男性の音声(同図(a))は、女性の音声(同図(b))に比して上記ノイズと重なり合う領域が多くなることが分かる。
そこで、本実施例の補正部48は、発音者の音声の主帯域周波数に応じて音質補正条件を設定しており、主帯域周波数を残し、この帯域外をカットするフィルタを用いている。
【0036】
つまり、例えば、発音者が男性であった場合にはノイズのカット量を減らし、図5(a)のノイズ分を単にカットすることによって当該男性の特徴も表出され難くなってしまうのを回避する。
一方、例えば、発音者が女性であって場合には、上記男性に比してノイズのカット量を増やしている。これは、同図(b)に示されるように、主帯域周波数が高い場合には、ノイズ分を単にカットしても当該女性の特徴は表出され得るからである。
【0037】
続いて、ステップS405では、記憶部46が発音者の音声、その音声特徴、及び補正条件を格納してステップS406に進む、
このステップS406では、携帯電話機26と車両1の外部とが公衆回線を介して通話状態に至ったか否かを判別し、通話状態に至るまで通話装置24は待機状態になる。
【0038】
その後、携帯電話機26と車両1の外部とが通話状態に至った場合、すなわちYESと判定した場合にはステップS402に戻り、マイク40が車室の通話者の音声を取り込む。
続いて、ステップS403では、この通話者が登録されているか否かを判別し、当該通話者が車両1に既に登録されていた場合には、ホストCPUが制御部44に通常モードの信号を出力してステップS407に進む。
【0039】
このステップS407では、補正部48がマイク40で取り込んだ通話者の音声を受け取る。なお、当該通話者の特定をより確実に行うべく、制御部44が、登録された総ての発音者の音声データを記憶部46から取り出して補正部48に向けて出力しても良い。
そして、補正部48は、予め抽出された発音者の音量特徴及び音質特徴と、その後の通話者の音声とを比較して当該通話者を特定してステップS408に進む。
【0040】
このステップS408では、補正部48が、設定した補正条件に基づいて当該通話者の補正音声を通信部32に向けて出力する。
より詳しくは、当該通話者の音量を上述した音量補正条件に応じて補正しており、この通話者が小声の発音者であった場合には増幅量を大きくするし、大声の発音者であった場合には聴き取り易くなるように増幅量を絞る。
【0041】
さらに、当該通話者の音質もまた、上述の音質補正条件に応じて補正し、この通話者が男性の発音者であった場合にはノイズのカット量を減らし、女性の発音者であった場合にはノイズのカット量を増やす。
次いで、ステップS409では、通信部32が補正部48からの信号を変調してアンテナ30に向けて出力し、一連のルーチンを抜ける。
【0042】
以上のように、本実施例によれば、ハンズフリー通話装置24は制御部44及び補正部48を備えている。この制御部44は、発音者の音声からその音量特徴及び音質特徴を予め抽出可能であり、例えば車両1に関するノイズの生じていない静かな環境下での音声と同様に、抑揚を有した音声の特徴を得ることができる。これは、従来の如く音声を単に増幅したのでは得られないものである。
【0043】
また、補正部48は、この抽出した音量特徴及び音質特徴から発音者に応じた補正条件を予め設定しており、この補正条件も抑揚を有した音声の特徴から設定できる。
そして、この補正部48は、実際の通話時にて、抽出した音量特徴及び音質特徴と車両1の通話者の音声とを比較しているため、通話者を確実に特定可能になる。さらに、当該補正部48は、上述の予め設定した補正条件に基づき、この通話者の補正音声を通信部32に出力しているので、外部、つまり、通話の相手側には、上記通話者の特徴を引き出した音声が伝わることになる。
【0044】
この結果、発音者を車両1側に登録しておけば、この車両1に乗車した発音者は、車両1の停車時などの静かな環境下で、特定の短い音声フレーズをマイク40に向かって予め喋ると、ハンズフリー通話装置24に対して何等の操作を行うことなく、この通話装置24が、その後の通話者の特徴を引き出した音声を出力するため、通話装置24の利便性が向上するし、その信頼性も大幅に向上する。
【0045】
また、音質補正条件を、例えば男性と女性との如く主帯域周波数の高低によって分類すれば、発音者に適したノイズ抑制を行える。
さらに、フィルタによって主帯域外をカットすれば主帯域のみが残るため、通話の相手側には、上記通話者の音質特徴をより一層引き出した音声が伝わる。
さらにまた、音量補正条件は音声の音量に応じて設定され、例えば、小声の場合には増幅量を大きくするし、大声の場合には聴き取り易くなるように絞ると、発音者に適した音量に調整可能になる。
【0046】
また、記憶部46が発音者の音声を格納すれば発音者の確認が容易になるし、しかも、その格納数が有限であるので、補正部48は、有限の抽出した音量特徴及び音質特徴とその後の通話者の音声との比較で済み、当該通話者の特定精度向上に寄与する。
さらに、記憶部46が抽出した音量特徴及び音質特徴を有限で格納すれば、補正部48は、有限の抽出した音量特徴及び音質特徴とその後の通話者の音声との比較で済むことから、この点も当該通話者の特定精度向上に寄与する。
【0047】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、制御部44と補正部46とが別個に設けられているが、必ずしもこの形態に限定されるものではなく、これら制御部と補正部とは同一回路に設けられていても良い。
【0048】
また、本発明のハンズフリー通話装置は、センターコンソール20の他、インストルメントパネル2上や、フロントピラーに設置されていても良い。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、発音者の音声の特徴を得て、発音者を特定できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0049】
1 車両
24 ハンズフリー通話装置
44 制御部(サンプリング部)
46 記憶部
48 補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発音者の音声から該発音者の音量特徴及び音質特徴を予め抽出するサンプリング部と、
前記抽出した音量特徴及び音質特徴から該発音者に応じた補正条件を予め設定する一方、前記抽出した音量特徴及び音質特徴と通話者の音声とを比較して当該通話者を特定し、前記補正条件に基づいて当該通話者の補正音声を出力する補正部と
を具備することを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハンズフリー通話装置であって、
前記音質特徴に対する補正条件は、前記発音者の音声の主帯域周波数に応じて設定されることを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハンズフリー通話装置であって、
前記補正部は、前記主帯域外をカットするフィルタを有することを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のハンズフリー通話装置であって、
前記発音者の音声を有限数格納する記憶部をさらに具備することを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載のハンズフリー通話装置であって、
前記抽出した音量特徴及び音質特徴を有限数格納する記憶部をさらに具備することを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項6】
車両に関するノイズの生じていない環境下にて、発音者の音声から該発音者の音量特徴及び音質特徴を抽出するステップと、
前記抽出した音量特徴及び音質特徴から該発音者に応じた補正条件を設定するステップと、
通話時に、前記抽出した音量特徴及び音質特徴と該車両内における通話者の音声とを比較して当該通話者を特定するステップと、
前記補正条件に基づいて当該通話者の補正音声を出力するステップと
から構成されるハンズフリー通話装置の音声補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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