説明

ハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置

【課題】ビデオなどの歩行撮影において、歩行振動がカメラに伝わり、映像が揺れることを防止するための軽量、構造シンプル、安価な機構を提供する。
【解決手段】カメラに取り付け、その重心をカメラ下部に位置するためのバランスアーム機構と、極小径のボールを用いたボールジョイント構造による3軸ジンバル機構とよりなるハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置を提供する。さらにジンバル機構のボールに直結するグリップ部にビデオカメラ制御機能、チルト、パン、上下動などのカメラ姿勢制御機能を付加し、バランスアーム機構にカメラ姿勢の静的、動的姿勢調整機能を備え、それらを片手で保持するグリップ部のみで制御操作ができることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ、動画撮影機能つきディジタルカメラ等のムービーカメラによって移動撮影を行う際に用いて好適な撮影補助装置に関するもので、特に、撮影者がカメラを手で支えながら移動撮影を行った際の撮像を、ブレのない安定したものとする撮影補助装置およびそれを保持する片手のみで、カメラ機能制御、カメラ位置制御を行うことのできる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影者がビデオカメラを手持ちし、歩行による移動撮影においては、撮影者の挙動がカメラに直接伝わると、撮像にブレが生じ、好ましい映像を得ることは困難である。そこで、撮影者の挙動がカメラに伝わるのを緩和するための撮影補助装置が種々提案されている(特許文献1〜特許文献3)。
フィルムカメラやビデオカメラの安定化装置は、1986年に米国ギャレットブラウン氏により考案され、現在では、映画撮影、ビデオ撮影に広く使用されている。
【0003】
特許文献1および2には、ジンバル(水平保持吊り装置)装着型展開カメラ系を支持するためのバネ付加釣合アームを設けることが開示され、カメラ安定化の問題点を初めて解決した。これらは映画撮影、テレビ、ビデオ撮影において、撮影者がバネ付加釣合アームと取り付けるハーネスを付け、それにバランス機構を装着したカメラを取り付けたベアリングを用いた3軸ジンバル機構の取手を装着した形態で用いられている。このタイプは、安定した歩行撮影ができるが、その重量は数十キログラムに及ぶこと(撮影者の腰痛を引き起こすことが話題となっている)、システムが高価である理由から、需要は、主にプロフェッショナル用途に限定されている。
【0004】
昨今のビデオカメラの軽量化に伴い、簡易な手持ち(ハンドヘルド)タイプのカメラ安定化装置も考案されており、代表的なものとして、特許文献3があげられる。カメラを撮影者の歩行に伴う動きに対して、カメラシステムをアイソレートする機構は前者と同じであるが、バネ付加釣合アーム、取り付けるハーネスを使わず、ジンバル装置に直結したグリップを手持ちすることで、カメラシステム全体を支持することが特徴である。
【0005】
また、ジンバル構造も下記のように数種類あり、またグリップ部のタイプもジンバルの鉛直方向真下に位置するもの、ジンバルの垂直軸から外れた位置にカンチレバー式に位置するものなどあり、それらのいろいろな組み合わせが製品化されており、それぞれに長所、欠点を持っている。
【0006】
先行技術例を代表的な補助装置メーカである米国Tiffen社ほかの先行製品例で説明する。下記[a]はバネ付加釣合アーム+ハーネスタイプであり、[b]〜[e]はハンドヘルドタイプである。
[a]米国Tiffen社ステディカムウルトラ(これは主にプロ用装置で映画撮影に使われている。重いためハーネスに取り付けた振動を吸収するアームを装備している。)
[b]米国Tiffen社ステディカムマリーン(これは比較的小型ビデオカメラ用の手持ち撮影用新製品である。)
[c]米国Tiffen社ステディカムJR(これは比較的小型ビデオカメラ用の手持ち撮影用旧製品である。)
[d]独ザハトラー社アルテミスDV(これは比較的小型ビデオカメラ用の手持ち撮影用製品である。)
[e]米国Glidecam社のGlidecam2000Pro(これは比較的小型ビデオカメラ用の手持ち撮影補助装置である。)
【0007】
3軸ジンバル構造としては、以下の2種類が主に提案され、製品化されている。
・ボールベアリングジンバル(高価である。摩擦が小さい。先行製品例[a]、[b]や[e]で使用されている。)
・ボールジョイントジンバル(構造が単純であり、安価である。摩擦が大きい。先行製品例[c]、[d]で使用されている。)
【0008】
またグリップのジンバル軸との位置関係では、以下の2種類のタイプがある。
Z軸周りに制限なくパン回転できるタイプで、手持ちのグリップは、Z軸から外れて位置するタイプ。(先行製品例[e]で使用されている。)
・手持ちのグリップがジンバル3軸中心を通っているタイプ。(先行製品例[b]、[c]、[d]で使用されている。)
【0009】
いずれも、カメラ下部にバランスアーム・ウエイトを配置し、一体となったカメラとバランスアーム・ウエイトの重心位置の少し上部に3軸ジンバル構造を配置し、ヤジロベーの原理で、水平安定を保つことができる。また、撮影者が直接カメラを支えることなく、そのジンバルに接続されたグリップ部を支えることにより、撮影者の歩行による揺動のうち回転成分がカメラに伝わることを防止する機能を発揮し、安定した映像を撮影することができる。
【0010】
一体となったカメラとバランスアーム・ウエイトの重心位置と3軸ジンバル構造中心の距離を極力小さくすることが、安定した映像を撮影するための決め手であり、そのため摩擦の少ない3軸ジンバル構造を装備することおよびバランスウエイトを簡単、正確に位置微調整できるための機構がポイントとなる。
【0011】
また、カメラを2台使用して、立体ビデオ、3Dムービーなどと称されるステレオスコピックビデオ撮影装置を安定化することは、前述の先行製品例[a]の先行技術を使った製品に、既存のステレオスコピックカメラを搭載する方法でまれに行われた例はある。しかし、搭載カメラ重量がさらに重くなるため、一般には普及していない。カメラ軽量化により、ステレオスコピック歩行撮影ニーズは今後ますます大きくなると考えられ、カメラを含むシステム全体の軽量化が望まれている。
【0012】
【特許文献1】米国特許第4017168号
【特許文献2】米国特許第5360196号 (日本特表平8−503763号)
【特許文献3】米国特許第4208028号(日本特許第2798277号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これらの製品の普及状況を鑑みるに、現状では、十分な揺動防止効果を得るには、摩擦の大きいボールジョイントジンバルでは不十分であり、高価なベアリングを使った複雑なジンバル機構が不可欠となっており、価格も一般にカメラ本体よりも高くなっており、普及の妨げになっている。これから需要が大きくなる、小型ビデオカメラ、動画撮影機能つきディジタルカメラ用の軽量かつ高性能の防振機能を有する撮影補助装置として、低摩擦のボール・受け皿ジンバル機構および軽量、小型なバランスアーム・ウエイトが望まれている。
【0014】
また、従来技術の問題点として、歩行撮影時にカメラ、防振機能を有する撮影補助装置の操作が難いことも、普及を妨げる要因であった。例えば、主に使われているハンドヘルド用製品のほとんどのタイプは、普通はパン、チルト操作において両手で操作する必要がある。特に低摩擦のベアリングを使ったタイプでは、パン操作にもグリップ用に使用する手と異なる別の手で、ジンバル機構に支えられているカメラに対して、回転トルクをマニュアルで加えることが必要であり、せっかく安定装置により得たバランスを崩す要素となっており、操作に熟練を要することに繋がっている。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、以下を目的としている。
構造簡単なボールジョイント機構を使って、撮像にブレが生じない安定したハンディ移動撮影を行うことができることは勿論のこと、歩行撮影時のカメラ位置や方向制御を、グリップを持つ片手のみで行うことのできる、使い勝手に優れるビデオカメラ用の撮影補助装置を提供する。
【0016】
また、グリップを支えた手のみで、カメラ、ジンバル機構、バランスアーム・ウエイトに触れることなく、カメラ機能の制御(REC/STOP、ズーム制御など)、カメラ姿勢の制御(初期調整および撮影操作時の望む方向への正確なパン、チルト回転)などが行える機構をも提供する。
【0017】
さらに、カメラを安定させるための重心調整が簡単であり、1.5kg以下のカメラに対して小型軽量化が可能となる様々なバランスアーム・ウエイトを提供する。
【0018】
また、ステレオスコピックカメラの場合、ジンバル中心をカメラ重心よりも上に位置することが可能となる。そのためカメラ重量そのものをバランスウエイトとして利用することが可能となり、大幅な軽量化、小型化が可能となる安定装置を提供する。
【0019】
すなわち本発明は、ボールジョイント方式の3軸ジンバル構造の鉛直直下にグリップを配置するハンドヘルドタイプの高安定化、高制御性化、軽量小型化、低価格化に関連する改良技術を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置は、
1)ビデオカメラ(含む動画機能つきディジタルカメラ)本体に取り付けられたバランスアーム・ウエイト機構と、
2)ビデオカメラ本体および前記バランスアーム・ウエイト機構を手持ちにより支持するためのグリップ部と、
3)前記グリップ部の上部に位置し、前記バランスアーム・ウエイト機構もしくはビデオカメラ本体に結合された3軸ジンバル機構と、を備えた構成とされたことを特徴とする。
【0021】
本明細書において、ビデオカメラは動画機能つきディジタルカメラも含まれる意味で用いている。
ここで、バランスアーム・ウエイト機構は、ビデオカメラ本体に取り付けねじで固定される。取り付けねじで固定される以外に、ビデオカメラ本体とビデオカメラ安定化装置の一体化構造の重心位置を任意に調整する機能を持つ限り、いかなる材料、いかなる構造をとることが可能である。
また、バランスアーム・ウエイト機構の構造は、グリップ部との干渉を避けるため、ビデオカメラ本体の前方を迂回して下部に位置するバランスウエイトに結合するアーム構造体とバランスウエイトからなる。このアーム構造体は、強度、剛性の許す限り軽量化することが望ましい。また、バランスウエイトは何らかの手段で、水平面、垂直方向に手動もしくは電動による位置調整する機構を備えていることが必要である。
また今までに発明されたハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置においては、ジンバル中心とバランスアーム・ウエイトはカメラの下部に位置するもののみであるが、安定化の原理からは、カメラとバランスアーム・ウエイト一体物の重心は必ずジンバル中心の下に位置することが必須条件であるが、カメラとバランスアーム・ウエイト一体物重心およびジンバル中心がカメラ本体の下部に位置することは必ずしも必要ではない。
すなわちジンバル中心位置をカメラ本体の重心位置より、高く設置できる場合には、カメラ本体をバランスウエイトとして機能させることが可能となる。ジンバル中心をカメラの内部に配置することは、普通はできないが、カメラの形状によっては、カメラの左右にジンバル位置を設定することにより、カメラ本体をバランスウエイトとして機能させることができ、バランスアーム・ウエイトを軽量化できる場合がある。本発明で初めて、3軸ジンバル中心をカメラ最下部より、上に位置させる配置をも提案するものであり、バランスアーム・ウエイト構造の配置柔軟性を増し、ハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の軽量化を実現する。
【0022】
また、本発明のビデオカメラ安定化装置は、上記のバランスアーム・ウエイト機構におけるバランスウエイトが、前記ビデオカメラ本体とは異なる第二のビデオカメラ本体そのものを含むことを特徴とする。
2台のビデオカメラ本体を用いて、一方をバランスウエイトとしても利用することで、ステレオ動画撮影のためのハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置として活用することが可能となる。場合によってはバランスアーム・ウエイトが全く無くても安定化できる可能性もあり、大幅な軽量化が可能となる。
【0023】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の3軸ジンバル機構は、ボールジョイント構造により構成されることが好ましい。
このボールジョイント構造は、例えば、自由雲台の構造のもの(カメラ安定装置への利用は特許文献3に開示されている)や、スフェリカルボールベアリング構造のものが好適に活用できる。また、後述する実施例で説明するものもボールジョイント構造の1例となる。
【0024】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の3軸ジンバル機構は、上部に位置する受け皿と下部に位置し、グリップ部に結合、支持される硬質材料からなるボールからなる分離したボールジョイント構造により構成されることが好ましい。
【0025】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の3軸ジンバル機構における、硬質材料からなるボールの直径は、0.2〜1.6mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0mmの範囲である。
【0026】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の3軸ジンバル機構のうち、上部に位置するジンバル受け皿部品が所定の摩擦係数以下の樹脂材料からなり、上に凸のくぼみを有することが好ましい。
ジンバル受け皿部品の材料は、低摩擦の樹脂、例えばテフロン(登録商標)などが好適に用いられる。
ここで、ジンバル受け皿部品の上に凹のくぼみの形状は、円錐を基本とするが、それに限定されるものではない。円錐の角度は、ジンバルボールを先端に固定したグリップ部に接触しないよう大きくとることが必要であり、またグリップ部を傾けることもしくは不意なカメラへの力により、ロール、チルトした場合、円錐面がボールをすべり落ちないよう大きくすることが望まれる。の角度33は、通常、5度から45度の範囲で選ばれる。
【0027】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の3軸ジンバル機構下部のグリップ部に、ボールジョイントのボールと受け皿間の摩擦を利用してカメラのパン位置をマニュアル制御するための回転機構を有することが好ましい。この回転機構は、電動回転するための装置を備えることが更に好ましい。
【0028】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の3軸ジンバル機構下部のグリップ部に装着し、グリップ部を手持ちする撮影者の手の水平面内並進揺動を伝達させないためのアームを配置することが好ましい。
【0029】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の3軸ジンバル機構下部のグリップ部に、歩行によるカメラの上下位置変動を減少させるためのバネ装置と衝撃吸収装置を備えていることが好ましい。
【0030】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の3軸ジンバル機構下部のグリップ部に、バランスアーム・ウエイト機構のバランスウエイトを電動で移動させる機構の制御・操作部を備えていることが好ましい。
【0031】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置のバランスアーム・ウエイト機構にバランスウエイト電動移動機構を備えていることが好ましい。
【0032】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置のバランスアーム・ウエイト機構において、カメラ姿勢3軸方向に配置され、ねじによるバランスウエイト位置のマニュアル調整機構を備えていることが好ましい。
【0033】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置のバランスアーム・ウエイト機構において、カメラ姿勢のチルト角度を変更し得る、マニュアルでX軸周りに回転できるバランスウエイトを備えていることが好ましい。
【0034】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置のバランスアーム機構とグリップ部下部に配置された磁石による電磁力をビデオカメラ安定化の復元力として利用することが好ましい。
【0035】
また、本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置のバランスアーム・ウエイト機構には、ジャイロ安定器が配設されることが好ましい。ジャイロ安定器がビデオカメラ本体の安定化を向上することに利用できるからである。
【発明の効果】
【0036】
本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置によれば、ビデオカメラに取り付け、その重心をカメラ下部に位置するためのバランスアーム・ウエイト機構と、極小径(好ましくは0.5〜1.0mm径)のボールと分離された低摩擦樹脂からなる受け皿よりなる3軸ジンバル機構とよりなるビデオなどの歩行撮影において、歩行振動がカメラに伝わり、映像が揺れることを防止するための軽量、構造シンプル、安価な機構を提供することにより、ますます小型軽量化が進む手持ちビデオカメラによる歩行撮影を可能にすることができる。
【0037】
また、ジンバル機構のボールに直結するグリップ部にビデオカメラ制御機能、チルト、パン、上下動などのカメラ姿勢制御機能を付加し、バランスアーム・ウエイト機構にカメラ姿勢の静的、動的姿勢調整機能を備え、それらを片手で保持するグリップ部のみで制御ができる操作性も合わせて提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0039】
図1に本発明の基本となるビデオカメラ安定化装置の概略構成図を示す。本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の構成部品およびその機能は以下の通りである。
本発明のビデオカメラ安定化装置は、ビデオカメラ本体1と、バランスアーム51およびバランスウエイト52からなるバランスアーム・ウエイト機構5と、ビデオカメラ本体1とバランスアーム・ウエイト機構5を結合する取り付けねじ2と、3軸ジンバル機構を構成するジンバル受け皿部品3とグリップ部4で構成される。
【0040】
グリップ部4は、先端にジンバルボールが固定されている。また、グリップ部4の側面には図示しないビデオカメラ操作用スイッチが設けられており、カメラ操作制御やカメラ姿勢制御を行うことができる。
【0041】
また、バランスアーム51やバランスウエイト52を調整することで、ビデオカメラ本体1とバランスアーム・ウエイト機構5と取り付けねじ2と3軸ジンバル機構を構成するジンバル受け皿部品3の一体化構造の重心位置を任意に調整することができる。
【0042】
ビデオカメラ本体は、その本体底部の取り付けねじ位置がカメラ重心垂直軸に一致しないことも多いが、クイックシュー、水平位置調整機構を装備してそれらを一致させることも可能であり大きな問題ではない。逆に、カメラ安定化装置の観点からは、水平位置調整機構などは、ジンバル受け皿部品3でバランスさせるべき上部構造を重くすることになる。結果的に、バランスアーム・ウエイト機構5の重量増、ひいてはシステム全体の重量化に繋がることになるため、バランスアーム・ウエイトの調整が容易な構造であれば、かえってクイックシュー、水平位置調整機構は取り付けないほうが良い。
【0043】
その底部の取り付けねじ位置がカメラ重心垂直軸に一致する必要はなく、カメラ重心垂直軸直下に、ジンバル受け皿部品3を配置することにより、またバランスアーム・ウエイト機構5をカメラ底部の取り付けねじ位置とカメラ重心垂直軸のずれを補正するように設計することで、同じ効果を得ることができる。
【0044】
前述したように、バランスアーム・ウエイト機構5は、取り付けねじ2で固定されるほかは、ビデオカメラ本体1とバランスアーム・ウエイト機構5と取り付けねじ2と3軸ジンバル機構を構成するジンバル受け皿部品3の一体化構造の重心位置を任意に調整する機能を持つ限り、いかなる材料、いかなる構造をとることが可能である。
また、グリップ部4との干渉を避けるため、ビデオカメラ本体1の前方を迂回して下部に位置するバランスウエイト52とそれに結合するバランスアーム51構造体(強度、剛性の許す限り軽量化が望ましい)からなる。バランスウエイト52は、何らかの手段で、水平面、垂直方向に手動もしくは電動による位置調整する機構を備えていることが必要である。
【0045】
取り付けねじ2は、規格、市販の1/4インチねじを使用すればよい。
【0046】
ジンバル受け皿部品32は、低摩擦の樹脂(テフロン(登録商標)など)からなり、ジンバルボー31を受けるソケットとして機能するよう上に凹のくぼみを有しており、その取り付け位置は、取り付けねじ3の下部であってもよく、或いはバランスアーム・ウエイト機構5のビデオカメラ本体1の取り付け部材の一部であっても良い。
しかしその位置は、できる限りカメラ底面に近づけることが、ジンバル中心をカメラ底面に近づけることになり、バランスアーム・ウエイト機構5の軽量化、ひいては装置全体の軽量化に繋がることになる。
【0047】
また、ジンバル受け皿部品32の凹のくぼみの形状は、ジンバル特性に影響するのみならず、ジンバルを構成するボール31と受け皿32が分離している構造をとる本発明の形態において、ビデオカメラ本体1と本発明のビデオカメラ安定化装置の一体化構造の、グリップ部4からの落下防止に重要な役割を持つので十分な配慮が必要である。落下防止は、グリップ部4とビデオカメラ本体1と本発明のビデオカメラ安定化装置の一体化構造をしなやかなワイヤで結合することで対策することも可能である。ジンバル受け皿部品32の上に凹のくぼみの形状は、を基本とするが、それに限定されるものではない。
【0048】
ここで、凹のくぼみの形状の円錐の角度33は、ジンバルボールを先端に固定したグリップ部4に接触しないよう大きくとることが必要であり、またグリップ部を傾けることもしくは不意なカメラへの力により、ロール、チルトした場合、円錐面がボールをすべり落ちないよう大きくすることが望まれる。通常5度から45度の範囲で選ばれる。
【0049】
また、ジンバルボールを先端に固定したグリップ部4は、ジンバル稼動角度を大きくするため、ボール露出ができる限り大きい構造とすることが望ましい。
【0050】
また、グリップ部下部には、以下の機能を備えることが本発明の特徴である。
・カメラ機能の制御(カメラの赤外線によるREC/STOP、ズーム制御)
・バランスアーム・ウエイト機構の初期調整(電動によるバランスウエイト位置調整)
・撮影操作時の望む方向への正確なパン、チルト回転(手動および電動)
・上下動を吸収するバネと衝撃吸収機構
・グリップ部に外部結合し、システム全体をぶら下げるためのアーム構造による水平面の手ぶれ緩和機構
【実施例1】
【0051】
各部の構造機能について、好ましい実施例について以下に説明する。
図1に示す実施例1の構成は、いろいろな機能を付加できる各構成要素のうち、もっとも単純、簡素すなわち軽量な構成例を示している。具体的には、コの字型バランスアーム51の下部にバランスウエイト52をボルト・ナットにてX軸方向に並進移動可能に、また、Z軸周りに回転可能に取り付けられる。このバランスアーム51とバランスウエイト52の一体化したものバランスアーム・ウエイト機構5は、取り付けねじ2により、ビデオカメラ本体1に固定される。
本実施例1では、取り付けねじ2と同軸の円筒空間にジンバル受け皿部品32を配置してある。ボール31を先端に配置したグリップ部4、グリップ部下部に取り付けられるグリップ部支持部42をその受け皿32に位置させることにより、ビデオカメラ安定化装置を構成する。
【0052】
次に、図2はビデオカメラ本体の取り付けねじ、ジンバル受け皿部品32、ボールを先端に固定したグリップ部4の拡大図である。また、図3−1及び図3−2は、これらの構成要素の重心位置とジンバル中心すなわちボールジョイントを構成するボールの中心の位置関係を示している。
【0053】
本実施例1では、ビデオカメラ本体1とそれに連結されたバランスアーム・ウエイト機構5と連結に供する取り付けねじ2(3軸ジンバルを構成する受け皿を含む)は一体として結合されており、その重心位置がジンバル中心の直下に来るようバランスアーム・ウエイト機構5のバランスウエイト52を調整することにより、ジンバル受け皿部品32にグリップ部先端に取り付けられたボール31を挿入することにより、グリップ部4を保持するだけで、安定して、ビデオカメラ本体1とバランスアーム・ウエイト機構5と取り付けねじ2は一体となったものを安定に保持することができるようになる。
【0054】
バランスアーム・ウエイト機構5の重心調整は、バランスアーム51の長さを調整(Z軸位置)、バランスウェート52のX軸位置微調整(ロール回転姿勢調整)およびパン回転軸まわりの微調整(チルト回転姿勢調整)により行われる。
バランスアーム51の長さを調整することにより、垂直バランス、すなわち、ヤジロベー振り子の復元力の調整を行う。また、バランスウェート52の重さ、X軸位置およびパン回転は、水平バランス、すなわちロール、チルト回転の初期値調整に使うことができる。チルト回転初期姿勢は、水平が基本であるが、見上げた、見下げたカメラ姿勢を初期値とすることも調整しだいで可能である。
【0055】
ジンバル中心とカメラ一体構造の重心間の距離を小さく調整することにより、撮影者の歩行に伴うグリップ部の揺れのうち、ロール、パン、チルト回転に対してカメラに伝わらなくすることができる。撮影者の歩行に伴うグリップ部の揺れのうち、X、Y、Z軸方向の並進変位については、この構成では吸収することは困難である。しかし、映像に与える影響は並進変位より、回転が圧倒的に大きく、この構成のみで十分実用的な安定化装置を提供することが可能である。
【実施例2】
【0056】
撮影者の歩行に伴うグリップ部4の回転揺れの角速度が遅い場合、また早い場合でも長時間続く場合、前者の場合主に静摩擦、後者の場合動摩擦により、ビデオカメラ本体とビデオカメラ安定化装置からなる一体物に力が伝わり、その結果カメラの回転変位が生じることになる。変位した場合、カメラ一体物の重心がジンバル重心の下にあるため、復元する回転トルクが生じ、傾きを元に戻すことになる。すなわち外乱による回転の原因、復元原動力共にボールジョイントの静的、動的摩擦が関連している。安定した手持ち振動のアイソレーション、一旦回転してしまった後の姿勢復元性に対する、ボール径の影響を系統的に実験することにより、最適なボール径を限定することができた。
【0057】
図4に動的な挙動を評価するためのドロップテスト(減衰振動特性試験)の方法、ボール径依存性の結果を示す。使用したビデオカメラは、Sony製HDR−HC3ハイビジョンカメラで、重量約600g(テープ込み)でバランスアーム・ウエイトの重量は250gである。減衰振動の初期条件としてロール角15度から振動させ、減衰を計測した。
【0058】
バランスアーム・ウエイトの重心とジンバル重心距離を一定とした場合、すなわち復元モーメントが一定の条件の結果、ボール径が大きくなるにしたがって振動周期は長くなり、減衰も大きくなる傾向が見られた。通常摩擦力は見かけの接触面積に依らないとされているが、アスペリティ(真実接触面積)が、ボール径が大きくなるにしたがって大きくなることと考えられる。見掛けの動摩擦係数はボール径に正相関で変化した。
【0059】
因みに本条件でのドロップテストで、初めて垂直軸を横切る時間(τと定義)は2秒前後が最もビデオ画像の揺れが少なくなることが、実際の歩行撮影テストの結果明らかになった。すなわちτ=2秒に調整する場合、ボール径が大きくなるに従ってバランスウエイトをボトムヘビーに調整し、バランスアーム・ウエイトの重心とジンバル重心距離を大きくすることにより、復元モーメントを大きくしなければならないことを意味する。このことは逆に歩行振動(水平面内並進)の加速度が同じ場合、ボール径が大きいほど望ましくない回転モーメントが大きくなることを意味する。実際の回転に繋がるには、動摩擦ではなく、静摩擦が関係し、単純ではないが、ボール径が大きいほど歩行振動のアイソレーションには不利になると考えられる。
【0060】
また、ボール径が1.6mmの場合、傾いた状態で振動が停止してしまう状況となっている。ボール径が大きいほど、振り子振動の再現性もなくなる傾向にあり、アスペリティ(真実接触面積)の見掛けの接触面における分布が不均一となることを反映していると考えられる。現実にボール径が5mmを超えるステディカムJR、独ザハトラー社アルテミスDVでは、停止位置が不定、頻繁に垂直バランスを調整する必要があると報告されている。
【0061】
次に、図5にドロップテストと同じ条件で、グリップ部を傾けた場合の一体物の回転追従性のボール径依存性を示す。ボール径が大きくなるほど、大きな角度まで、グリップ部の傾斜に追従する傾向が見られる。これは静摩擦係数が見かけ上ボール径に正相関していることを意味し、カメラ安定化装置性能からみて、ロール、パンの片手グリップによる制御性が増すことを意味している。現実には、τ=2秒の設定では、最大で、20秒で360度程度のパン回転が可能であり、通常のビデオ撮影のパンとしてはグリップの回転のみによって、すなわちグリップ支持とは別の手で、カメラ一体物に触れることなく、必要十分な回転速度が、得られることが確認された。
【0062】
図6にカメラ安定化装置総合性能(動的バランス特性と静的制御性)のボール径依存性を模式的に示す。動的バランス特性はτ=2秒に調整するに必要な復元モーメントの逆数、静的制御性はパン、チルト追従性とし、その積をカメラ安定化装置性能(任意単位)とした。0.7mmあたりで最大となり、それより大きい場合バランス位置不安定により、小さい場合パン、チルト操作性、および屋外撮影における風の影響を受けやすくなることから総合性能は低下する。
このことは、許容範囲はボール径が0.2〜1.6mm、好適範囲はボール径0.5〜1mmにあることを初めて明らかにした。
【0063】
上記のドロップテスト結果は、実際のビデオ撮影における効果として定量的に表示することはできないが、定性的には実感とよく一致することが確認された。
【実施例3】
【0064】
バランスアーム・ウエイト構造物の具体的な構成実施例を、図7を用いて説明する。
図7―1は、上述の実施例1、2で用いた構成例である。本実施例3のバランスアーム・ウエイトの材料は帯状の鋼材であるが、バランスアーム部分は、重量が軽く、剛性の高い材料、形状を選ぶことができる。
バランスアーム部分の長さは、長いほどバランスウエイト重量を軽減できるが、バランスアームそのものの重量増とのバランス、システム全体の寸法から最適な長さ、材料が選ばれる。グラファイト強化樹脂、アルミ合金などは好適な材料の候補である。バランスウエイトは比重の高い材料が好適であり、鋼材、銅合金、鉛、タングステン合金などが候補となる。
【0065】
図7―2は、実施例1のバランスアーム・ウエイトをX軸周りに回転可能なウエイトを追加した構成例である。この構成により、チルト初期値をマニュアルで容易に変更することができる。すなわち回転可能なウエイトを前に重心が移動するように回転すると、下に向いたチルト初期値に設定することができ、逆にウエイトを後ろに重心が移動するように回転すると、上に向いたチルト初期値に設定することができる。その角度保持したままで、歩行移動、パン回転が可能であることは実施例1、2の構成と同じである。
【0066】
図7―3は、バランスアーム・ウエイトをX、Y、Z軸方向ともボルト・ナットで構成し、それらのナット位置を回転により併進させることにより、一体物の重心位置の位置調整を3軸独立に、互いに干渉することなく、迅速に微調整することができる。この3軸ボルト・ナットによるバランスウエイトは、図のように垂直のバランスアーム直下に位置する必要はなく、重心位置に近づくよう偏心させることによってさらにシステム全体重量を軽減することが可能となる。偏心の方向、変位は搭載するカメラの重心と、取り付けねじ位置との関係で、静的バランス計算により、または試行錯誤的に最適値を見つけることができる。
【0067】
図7―4は、バランスウエイトをバランスアームに対してX、Y、Z軸方向に移動することのできる機構を備えた実施例である。電動機構であり、後述のグリップ部に配した制御機構により遠隔制御できることが望ましい。これらの遠隔操作による移動は、初期バランス設定時に使用することもでき、また歩行撮影時にチルト角度を変更したい時にも、撮影を中断することなく、連続的に行うことが可能となる。
【0068】
図7―5は、電動ジャイロ安定器をバランスアームにバランスアーム下部に配置した実施例である。ジンバルによる受動的な姿勢復元のみならず、能動的な姿勢安定性を追加することができ、より安定した姿勢制御が可能となる。またジンバルによる受動的な姿勢復元力をより、小さく調整できることにもつながり、加速度下の撮影、例えば、車、飛行機などの乗り物の加速、減速時にも安定した撮影が可能となる。
【0069】
図7―6は、もっとも軽量化が可能な構成実施例である。重心位置調整は、ボルト・ナットで構成するバランスウエイトのパン軸周りの回転およびナット位置の調整による水平面内の並進変位の組み合わせで可能となる。
【0070】
図8(1)〜(2)は、2台のカメラによるステレオビデオ撮影用のカメラ安定化装置の構成実施例である。いずれもカメラ自重をバランスウエイトとして利用していることが特徴である。まったくバランスウエイトを使わない構成も可能であり、軽量、小型化が可能となる。この構成で、一方のカメラをバランスウエイトと交換することによって、通常の1台用のカメラ安定化装置として使用することができる。
また、カメラ一台であっても、その重心位置付近にジンバル機構、グリップ機構を装着しうるかつ外部に繋がった空間をあらかじめ設けることにより、その自重をバランスウエイトとして利用する究極の軽量カメラ安定化装置を実現することができる。この構成は特に、近年動画機能を搭載することが一般的となってきたディジタルカメラにも適応することができる。
【実施例4】
【0071】
図9−1〜図9−4にグリップ部の構造、構成、機能に関する実施例を示す。
図9―1は、グリップ下部に磁石を、その真下のバランスアームに固定された磁石の対によって構成されるアクティブ復元力の追加実施例を示す。磁石は、電磁石でも、永久磁石でもよいが、電力供給不要故、永久磁石が望ましい。磁極の構成は、互いに吸着する組み合わせがよい。この構成により、ジンバルによる受動的な姿勢復元のみならず、能動的な姿勢安定性を追加することができ、より安定した姿勢制御が可能となる。またジンバルによる受動的な姿勢復元力をより、小さく調整できることにもつながり、加速度下の撮影、例えば、車、飛行機などの乗り物の加速、減速時にも安定した撮影が可能となる。
【0072】
図9−2は、グリップ下部に固定接続した、コの字型をした保持金具の追加実施例を示す。この構成により、移動撮影時のカメラを支持する手の水平方向(X,Y平面)の好ましくない並進運動をジンバル中心に対して回転運動として変換して伝達することになり、ジンバル機構では取りえない並進振動に対して、カメラシステムを安定化することができる。カメラ姿勢の制御は、グリップと同様に行うことは可能である。またこの構成のもうひとつの効果は、ローアングル撮影に便利に使える点である。
【0073】
図9−3は、グリップ部に対して機能付加した実施例を示す。グリップ部41は回転可能な上部47と手で持つグリップ部48に展開されている。グリップ部48には正逆回転可能な電動モータが内蔵され、回転軸はグリップ上部47に直結している。モータ回転はグリップ上部413に固定したジンバルボール31に伝達され、ジンバルの摩擦により、カメラをパン回転することができる。これにより、マニュアルパン制御に加えて、電動パン制御が可能となる。マニュアルパン制御は、360度回転可能であるが、撮影者自身の回転が補助的に必要である。現実には、バランスアーム51がグリップを支持する手と触れることがパンの回転範囲に限定される場合があるが、この電動パン回転によりその制約は無くなる。また、風が強い場合、早足で移動する場合、パン回転モーメントが生じる場合があるが、それも打ち消すことが可能となる。カメラとカメラ安定化装置を、垂直投影した2次元シルエットが、の3軸ジンバルの鉛直軸に対して、左右、上下バランスが取れるよう、軽量な材料で作られた抵抗板を配置することにより、風による、バランス不安定性を軽減することができる。
【0074】
図9−4は、グリップ部に対して機能付加した他の実施例を示す。
撮影者の歩行に伴う好ましくない、振動のうち、回転に対しては、ジンバル機構により、カメラへの伝達をアイソレートすることができ、様々な実施例において、具体的な方法を開示した。また並進振動については、図9−2において、アイソレートできる可能性を示した。残る振動は、上下(Z軸)並進に係るものである。図9−4に示すようにグリップ部41は、上下移動が可能な上部411と手で持つグリップ部412に展開されている。上部411の直下部には、スプリング43が配置され、カメラ、バランスアーム・ウエイト一体化したものの全重量を支える。撮影者の上下動はグリップ下部442、412に伝わるが、スプリング43により、振動を吸収した形で、グリップ下部411に伝わり、その振動をカメラに対して、少しアイソレートすることができる。
【0075】
しかし、スプリングのみでは減衰振動が遅く、好ましくない上下動が続くことになる。それを吸収するのが、44に配置したショックアブソーバである。ショックアブソーバはその種類を問わず、通常のオイルダンパー方式のものも利用できるし、ウレタンジェルのようなショック吸収機能を持つ材料も利用することができる。人間の通常の歩行周期は1秒弱であるが、その周波数において、有効な衝撃吸収特性を実現することは、既知の力学的な検討によって可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置は、ビデオカメラ、動画撮影機能つきディジタルカメラ等のムービーカメラによって移動撮影を行う際に用いる装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】ハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置の概略構成図
【図2】カメラ取り付けねじ、ジンバル受け皿、ボールを先端に固定したグリップ部の拡大図
【図3−1】各構成部の重心位置とジンバル中心の位置関係図1
【図3−2】各構成部の重心位置とジンバル中心の位置関係図2
【図4】動的な挙動を評価するためのドロップテスト(動摩擦による減衰振動特性試験)の方法、ボール径依存性の結果を示すグラフ
【図5】グリップ部を傾けた場合のカメラ、バランスアーム・ウエイト一体物の回転追従性のボール径依存性を示すグラフ
【図6】カメラ安定化装置の総合性能(動的バランス特性と静的制御性)のボール径依存性を示すグラフ
【図7−1】バランスアーム・ウエイト構成例1
【図7−2】バランスアーム・ウエイト構成例2
【図7−3】バランスアーム・ウエイト構成例3
【図7−4】バランスアーム・ウエイト構成例4
【図7−5】バランスアーム・ウエイト構成例5
【図7−6】バランスアーム・ウエイト構成例6
【図8】2台のカメラによるステレオビデオ撮影用のカメラ安定化装置の構成例
【図9−1】グリップ部の構成例1
【図9−2】グリップ部の構成例2
【図9−3】グリップ部の構成例3
【図9−4】グリップ部の構成例4
【符号の説明】
【0078】
1 ビデオカメラ本体
13 モニタ
2 取り付けねじ
3 ジンバル機構(ジンバルボール31とジンバル受け皿32で構成)
31 ジンバルボール
32 ジンバル受け皿部品
33 ジンバル受け皿角度
34 ジンバル中心
35 カメラ重心
36 カメラ・バランスアーム・ウエイト一体化物の重心
37 バランスアーム・ウエイト一体化物の重心
38 復元振り子長(35と36の間の距離)
4 グリップ部全体
41 ジンバルボールを先端に固定するためのグリップ上部
411 グリップ上部(上下動可)
412 グリップ下部(スプリング43および衝撃吸収部材44が内蔵)
413 グリップ上部(Z軸周り回転可)
414 グリップ下部(スプリング43および衝撃吸収部材44が内蔵)
42 マニュアルパン用グリップ下部
43 スプリング
44 衝撃吸収部材
45 コの字型グリップ部保持金具
46 カメラ操作用スイッチREC/STOPなど)
47 カメラ操作用スイッチ(ズームなど)
48 バランスウエイト移動用スイッチ
49 正逆転電動モータ
5 バランスアーム・バランスウエイト一体物
51 バランスアーム
52 バランスウエイト
53 バランスアーム・バランスウエイト固定用金具
54 電動ジャイロ安定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ビデオカメラ(含む動画機能つきディジタルカメラ)本体に取り付けられたバランスアーム・ウエイト機構と、
2)ビデオカメラ本体および前記バランスアーム・ウエイト機構を手持ちにより支持するためのグリップ部と、
3)前記グリップ部の上部に位置し、前記バランスアーム・ウエイト機構もしくはビデオカメラ本体に結合された3軸ジンバル機構と、
を備えた構成とされたことを特徴とするハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項2】
前記バランスアーム・ウエイト機構におけるバランスウエイトが、前記ビデオカメラ本体とは異なる第二のビデオカメラ本体そのものを含むことを特徴とするハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項3】
前記3軸ジンバル機構が、ボールジョイント構造により構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項4】
前記3軸ジンバル機構が、上部に位置する受け皿と下部に位置する硬質材料からなるボールにより構成されるボールジョイント構造であって、当該ボールを頂点とするグリップ部により支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項5】
前記3軸ジンバル機構における、硬質材料からなる前記ボールの直径が0.2〜1.6mmであることを特徴とする請求項4に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項6】
前記3軸ジンバル機構のうち、上部に位置する前記受け皿が所定の摩擦係数以下の材料からなり、上に凸のくぼみを有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項7】
前記3軸ジンバル機構下部の前記グリップ部に、ボールジョイントの前記ボールと前記受け皿間の摩擦を利用してカメラのパン位置をマニュアル制御するための回転機構を有することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項8】
前記回転機構が電動回転するための装置を備えていることを特徴とする請求項7に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項9】
前記3軸ジンバル機構下部の前記グリップ部に装着し、前記グリップ部を手持ちする撮影者の手の水平面内並進揺動を伝達させないためのアームを配置することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項10】
前記3軸ジンバル機構下部の前記グリップ部に、歩行によるカメラの上下位置変動を減少させるためのバネ装置と衝撃吸収装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項11】
前記3軸ジンバル機構下部の前記グリップ部に、前記バランスアーム・ウエイト機構のバランスウエイトを電動で移動させる機構の制御・操作部を備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項12】
前記バランスアーム・ウエイト機構にバランスウエイト電動移動機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項13】
前記バランスアーム・ウエイト機構において、カメラ姿勢3軸方向に配置され、ねじによるバランスウエイト位置のマニュアル調整機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項14】
前記バランスアーム・ウエイト機構において、カメラ姿勢のチルト角度を変更し得る、マニュアルでX軸周りに回転できるバランスウエイトを備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項15】
前記バランスアーム・ウエイト機構と前記グリップ部下部に配置された磁石による電磁力をビデオカメラ安定化の復元力として利用することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。
【請求項16】
前記バランスアーム・ウエイト機構に、ジャイロ安定器が配設されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドヘルド用ビデオカメラ安定化装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図7−2】
image rotate

【図7−3】
image rotate

【図7−4】
image rotate

【図7−5】
image rotate

【図7−6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9−1】
image rotate

【図9−2】
image rotate

【図9−3】
image rotate

【図9−4】
image rotate


【公開番号】特開2008−131539(P2008−131539A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316699(P2006−316699)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(307007362)
【Fターム(参考)】