説明

ハンドルスイッチ

【課題】二分割構造とされたスイッチケースの良好な組み付け性を維持したまま、ハンドルバーに取り付けた後のガタを抑えることを可能とするハンドルスイッチを提供する。
【解決手段】自動二輪車1のハンドルバーの外周に当接するクランプ面40C,41Cが形成された二分割構造の第1ケース40および第2ケース41を有し、クランプ面40C,41Cによってハンドルバーを挟み込んで第1ケース40および第2ケース41を互いに結合することでハンドルバーに固定するようにしたハンドルスイッチにおいて、記第1ケース40に形成されるクランプ面40Cおよび第2ケース41に形成されるクランプ面41Cの少なくとも一方に、第1ケース40および第2ケース41を結合する際の締め代となるリブ50U,50L,51U,51Lを形成する。リブの幅を、クランプ面40C,41Cの幅より小さく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルスイッチに係り、特に、自動二輪車等のハンドルバーに固定されるハンドルスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動二輪車等のハンドルバーを把持したままホーンやウインカ等を操作するため、複数の操作スイッチが設けられたスイッチケースをハンドルバーに固定するようにしたハンドルスイッチが知られている。このようなハンドルスイッチは、スイッチケースを二分割(二つ割り)構造とし、ハンドルバーの外周面を両側から挟み込んで2つのケースを結合することにより、ハンドルバーに締め付け固定されることが多い。
【0003】
特許文献1には、上記したような二分割構造のスイッチケースを有するハンドルスイッチにおいて、樹脂製のスイッチケースに設けられた位置決め突起をハンドルバーに設けられた位置決め孔に係合させてスイッチケースの位置決めを行い、さらに、この位置決め突起に金属製の心棒を通すことで、スイッチケースに大きな外力が加わった場合でもその位置がずれないようにした構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−271778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したようなスイッチケースをハンドルバーに固定する場合、スイッチケースとハンドルバーとの間にガタが生じないように、スイッチケース側のクランプ面に締め代を設ける構成が考えられる。この構成によれば、互いのスイッチケースをネジ等の締結部材で締め付けていくことで締め代が押しつぶされて両者間の隙間が埋まり、スイッチケースにガタが生じることを防ぐことができる。
【0006】
しかしながら、このような締め代は、小さすぎればガタの低減効果が少なく、また、大きすぎれば変形しにくくなってスイッチケースの組み立て性が低下する可能性がある。特許文献1に記載されたハンドルスイッチでは、ガタの低減効果と組み立て作業の容易さとを両立する適切な締め代の設定に関しては何ら検討されていなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、二分割構造とされたスイッチケースの良好な組み付け性を維持したまま、ハンドルバーに取り付けた後のガタを抑えることを可能とするハンドルスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、自動二輪車(1)のハンドルバー(14)の外周に当接するクランプ面(40C,41C)が形成された二分割構造の第1ケース(40)および第2ケース(41)を有し、前記クランプ面(40C,41C)によって前記ハンドルバー(14)を挟み込んで前記第1ケース(40)および第2ケース(41)を互いに結合することで前記ハンドルバー(14)に固定するようにしたハンドルスイッチ(30)において、前記第1ケース(40)に形成されるクランプ面(40C)および前記第2ケース(41)に形成されるクランプ面(41C)の少なくとも一方に、前記第1ケース(40)および第2ケース(41)を結合する際の締め代となるリブ(50U,50L,51U,51L)が形成されており、前記リブ(50U,50L,51U,51L)の幅(B)が、前記クランプ面(40C,41C)の幅(A)より小さく設定されている点に第1の特徴がある。
【0009】
また、前記リブ(50U,50L,51U,51L)は、前記クランプ面(40C,41C)のうち、前記第1ケース(40)および第2ケース(41)の結合方向と略垂直をなす面に形成されておらず、前記結合方向に位置決め突起(46)が形成される点に第2の特徴がある。
【0010】
また、前記クランプ面(40C,41C)の曲率が、前記ハンドルバー(14)の外周面の曲率よりも小さく設定されている点に第3の特徴がある。
【0011】
また、前記リブ(50U,50L,51U,51L)は、前記クランプ面(40C,41C)の周方向に沿って延びる細長形状とされている点に第4の特徴がある。
【0012】
また、前記第1ケース(40)および第2ケース(41)は、前記第1ケース(40)および第2ケース(41)の結合方向と略垂直をなす分割面(42)で結合されており、前記リブ(50U,50L,51U,51L)は、前記分割面(42)から離れるにつれて高さが低くなる形状とされている点に第5の特徴がある。
【0013】
また、前記リブ(50U,50L,51U,51L)は、前記分割面(42)から離れるにつれて幅が狭くなる形状とされている点に第6の特徴がある。
【0014】
さらに、前記分割面(42)は、前記ハンドルバー(14)の軸中心に対して、乗員から離間する方向にオフセットして設けられている点に第7の特徴がある。
【発明の効果】
【0015】
第1の特徴によれば、第1ケースに形成されるクランプ面および第2ケースに形成されるクランプ面の少なくとも一方に、第1ケースおよび第2ケースを結合する際の締め代となるリブが形成されており、リブの幅がクランプ面の幅より小さく設定されているので、リブが幅狭形状とされることで、ハンドルバーとクランプ面との間の隙間をリブで埋めるために両ケースを締め付ける力を低減することが可能となり、ハンドルスイッチの組み付け性を下げることなく、スイッチケースのガタを防止することができる。また、金型を用いた樹脂等でスイッチケースを形成している場合、すでに金型が成形された後でも、片方の金型を削るだけで容易にリブを設け、また形状の変更を行うことが可能となる。
【0016】
第2の特徴によれば、リブは、クランプ面のうち、第1ケースおよび第2ケースの結合方向と略垂直をなす面に形成されておらず、結合方向に位置決め突起が形成されるので、両ケースの結合時に、結合方向では、リブのないクランプ面で広く締付け荷重を受けることができ、締付方向でない部分でリブが変形して締めしろを持つことができる。また、結合方向では、クランプ面とハンドルバーとが直接接触することとなり、ハンドルスイッチの位置決めを正確に行うことが可能となる。
【0017】
第3の特徴によれば、クランプ面の曲率が、ハンドルバーの外周面の曲率よりも小さく設定されているので、クランプ面にハンドルバーを係合させやすく、ハンドルスイッチの組み立て作業が容易となる。
【0018】
第4の特徴によれば、リブは、クランプ面の周方向に沿って延びる細長形状とされているので、連続的に形状および強度が変位する形状等を得ることが容易となる。また、金型を用いた樹脂等でスイッチケースが形成される場合でも、型抜きがしやすくリブ形状の微調整も容易となる。
【0019】
第5の特徴によれば、第1ケースおよび第2ケースは、第1ケースおよび第2ケースの結合方向と略垂直をなす分割面で結合されており、リブは、分割面から離れるにつれて高さが低くなる形状とされているので、ハンドルバーとクランプ面との隙間が分割面の近傍で最大となるように設定されている場合に、分割面から離れるに従って徐々に小さくなる隙間の形状に合わせたリブを得ることができ、効率のよい封止処理が可能となる。
【0020】
第6の特徴によれば、リブは、分割面から離れるにつれて幅が狭くなる形状とされているので、分割面から離れるに従って徐々に小さくなる隙間の形状に合わせたリブを得ることができる。
【0021】
第7の特徴によれば、分割面は、ハンドルバーの軸中心に対して、乗員から離間する方向にオフセットして設けられているので、第1ケースおよび第2ケースのうち、特にスイッチ数の多い乗員側のケースのクランプ面を大きく確保して、各スイッチの裏面側とハンドルバーとの干渉を避けると共に、乗員から分割面が見にくい構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るハンドルスイッチを適用した自動二輪車の一部拡大図である。
【図2】乗員側(車両後方側)から見たハンドルスイッチの斜視図である。
【図3】車両前方側から見たハンドルスイッチの斜視図である。
【図4】ハンドルスイッチの側面図である。
【図5】図4の一部拡大図である。
【図6】ハンドルスイッチの車体右側のクランプ孔を車体前方側から見た斜視図である。
【図7】ハンドルスイッチの車体右側のクランプ孔を車体後方側から見た斜視図である。
【図8】リブの断面形状を示す説明図である。
【図9】リブの側面形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るハンドルスイッチ30を適用した自動二輪車1の一部拡大図である。この図は、車体後方かつ上方からハンドル回りを俯瞰したものであり、シートに着座した運転者が見た状態とほぼ同じ状態を示す。
【0024】
前輪(不図示)を操舵する操向ハンドル12の車体前方側は、外装部品としてのカウリング2で覆われている。カウリング2の上端部には防風スクリーン3が取り付けられており、その下方には、回転計5、車速等を表示する左側液晶パネル6、距離計等を備える右側液晶パネル7を有するメータ装置4が配設されている。
【0025】
自動二輪車1の前輪は、左右一対のフロントフォーク10の下端に回転自在に軸支されており、フロントフォーク10の上部は、メインスイッチ9が取り付けられたトップブリッジ8によって連結固定されている。トップブリッジ8は、不図示のステアリングステムを介して自動二輪車1の車体フレーム(不図示)に回動可能に取り付けられており、操向ハンドル12は、フロントフォーク10の上端部に固定されている。トップブリッジ8と不図示のシートとの間には、燃料タンク11が配設されている。
【0026】
左右の操向ハンドル12に結合されるハンドルバー14(図2参照)には、筒状のゴム等で形成されるハンドルグリップ13がそれぞれ取り付けられている。右側のハンドルグリップ13の車体前方側には前輪ブレーキレバー16が配設されており、この前輪ブレーキレバー16の基部には、油圧ブレーキシステムの作動油を貯留するリザーブタンク15が取り付けられている。また、右側のハンドルグリップ13は、ハンドルバー14に対して回動可能な円筒状のホルダ(不図示)に支持されており、ハンドルグリップ13の回動操作によってスロットル装置を操作するように構成されている。
【0027】
右側の操向ハンドル12には、ハンドルグリップ13の車体中央側に隣接して、各種電装品の操作スイッチを備える右側ハンドルスイッチ17が取り付けられている。本実施形態に係る自動二輪車1は、アクチュエータで駆動する2つのクラッチを協働させることで、エンジンの回転動力を切断することなくシーケンシャル式変速機の自動変速を可能とするツインクラッチ式変速装置を備えており、右側ハンドルスイッチ17には、エンジンストップスイッチ18およびスタータスイッチ21のほか、変速操作に係るニュートラル/ドライブ切換スイッチ20および走行モード切換スイッチ19が設けられている。
【0028】
車体前方側に取り付けられた揺動押圧式(押圧力を解除すると初期位置に戻る)の走行モード切換スイッチ19は、右手の人差し指を用いて手前(乗員側)に引いて操作するものであり、1回操作する毎に、オートマチック走行モードおよびセミオートマチック走行モードからなる設定の相互切換が行われる。
【0029】
シーソー中立式(押圧力を解除すると中立位置に戻る)のニュートラル/ドライブ切換スイッチ20は、自動二輪車1の停車時に左方のD側または右方のN側を押すことで、自動変速機のニュートラル(N)と1速(D)との切換操作を行うものである。本実施形態では、オートマチック走行モードが選択されている間にさらにD側(図示左側)を押すと、通常のオートマチック走行モード(Dモード)より駆動力を重視したスポーツ走行モード(Sモード)に切り換わるように構成されている。
【0030】
他方、左側の操向ハンドル12には、ハンドルグリップ13の車体中央側に隣接して、複数の操作スイッチを備える左側ハンドルスイッチ30が取り付けられている。左側ハンドルスイッチ30には、ヘッドライト(前照灯)の光軸切換スイッチ32、ホーンスイッチ36、ウインカスイッチ35、ハザードランプスイッチ31、変速機の変速操作を行うシフトアップスイッチ33およびシフトダウンスイッチ34が設けられている。
【0031】
図2は、乗員側(車両後方側)から見た左側ハンドルスイッチ30の斜視図である。また、図3は車両前方側から見た同斜視図である。左側ハンドルスイッチ30は、操向ハンドル12から延出するハンドルバー14を前後から挟み込んで、二分割式のスイッチケースを互いに結合することによりハンドルバー14に固定されている。スイッチケースには、ハンドルバー14を挟み込むクランプ孔43が形成されている。
【0032】
揺動押圧式のホーンスイッチ36は、ハンドルバー14とほぼ同じ高さに配設されており、その上部には、シーソー切換式の光軸切換スイッチ32が配設されている。光軸切換スイッチ32の車幅方向右側には、操作子を突没させることでオンオフ状態を切り換えるハザードランプスイッチ31が配設されている。ホーンスイッチ36の下方には、左右に傾動操作することで方向指示器を作動させるウインカスイッチ35が配設されている。
【0033】
光軸切換スイッチ32は、揺動軸を中心に揺動するシーソー式であり、車体前方側に揺動させると前照灯が上向き(ハイビーム)となり、車体後方側に揺動させると下向き(ロービーム)に切り替わる。そして、ロービームの位置からさらに乗員側に押圧することで、ハイビームによるパッシング点灯ができるように構成されている。また、ホーンスイッチ36は、その車幅方向外側寄りの端部に揺動軸を備え、車体内方寄りの操作面を車体前方側に押すことで揺動するように構成されている。
【0034】
射出成形された樹脂等により形成される箱状のスイッチケースは、二分割(二つ割り)構造とされ、車体前方側に位置する「第1ケース」としての前側ケース半体40と、車体後方側(乗員側)に位置する「第2ケース」としての後側ケース半体41とからなる。両ケース半体40,41は、前側ケース半体40の前方側から挿入される2本の締結ネジ45によって互いに結合され、この結合に伴って、両ケース半体40,41が分割面42で結合されると共に、ハンドルスイッチ30がハンドルバー14に固定されることとなる。
【0035】
ハンドルバー14は、両ケース半体40,41に渡って形成されるクランプ孔43の内周面で保持される。この内周面は、前側ケース半体40に設けられるクランプ面40Cと、後側ケース半体41に設けられるクランプ面41Cとからなる。そして、両クランプ面40C,41Cの表面には、両ケース半体40,41を結合する際の締め代として機能する突起状のリブが設けられている。
【0036】
具体的には、前側ケース半体40のクランプ面40Cには、上側リブ50Uおよび下側リブ50Lが設けられており、一方、後側ケース半体41のクランプ面41Cには、上側リブ51Uおよび下側リブ51Lが設けられている。このようなリブ構造は、車幅方向外側に位置するクランプ面や右側ハンドルスイッチ17にも同様に適用できる。なお、車幅方向内側のクランプ孔43の下方には、各スイッチに接続される配線を束ねたハーネスの取出口44が設けられている。
【0037】
図4は、ハンドルスイッチ30の側面図である。また、図5は図4の一部拡大図である。この両図は、車幅方向内側から見た状態を示している。また、図5では、分割面42を基準としたハンドルスイッチ30単体の前後上下方向の矢印に加えて、車両に取り付けた際の車両の前後上下方向も示している。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。両ケース半体40,41の分割面42は、ハンドルスイッチ30単体の前後方向と平行なケース結合方向に対して垂直をなす方向に設けられている。また、分割面42は、シフトアップスイッチ33のみを支持する前側ケース半体40寄りにオフセットして設けられている。ハンドルスイッチ30は、車両の前後方向に対して、ケース結合方向を前下がりに傾けた状態でハンドルバー14に取り付けられる。
【0038】
前側ケース半体40には、車体後方に向かって突出する円柱状の位置決め突起46が設けられている。位置決め突起46は、クランプ面40Cより内側に配設されており、ハンドルスイッチ30をハンドルバー14に取り付ける際は、この位置決め突起46をハンドルバー14に形成される位置決め孔(不図示)に係合させた状態で締結ネジ45を締め込むこととなる。
【0039】
図4を参照して、通常、スイッチケースを二分割構造とする場合は、ハンドルバーに対するスイッチケースの係合を容易にするため、クランプ面の曲率Rがハンドルバーの外周面の曲率より小さくなる(クランプ面の曲率半径の方が大きくなる)ように設定される、すなわち、クランプ面の方が半径の大きい円弧となるように形成される。さらに、スイッチケースの分割方向が前後方向である場合には、締結ネジの締め付け時に摩擦力が生じるように、前後方向のクランプ孔内幅Wがハンドルバーの外形より小さく設定される。
【0040】
そして、このような寸法設定を適用することでクランプ孔の上下方向でハンドルバーとの間の隙間が生じ、この隙間がスイッチケースのガタの原因となる。本発明に係るリブ構造は、このような課題に対処し、組み付け性を考慮して上記したような寸法設定を適用した場合でもスイッチケースのガタを防ぐことを可能とする。
【0041】
クランプ面40C,41Cに設けられる複数のリブは、ハンドルバー14を挟み込んで両ケース半体40,41を結合する際に、締結ネジ45を締め付ける力によってハンドルバー14の外周面に押されて変形することにより、ハンドルバー14の外周面とクランプ面40C,41Cとの間の隙間を埋める機能を有する。この機能を容易に実現するため、本実施形態に係る各リブは、クランプ面40C,41Cの幅(ハンドルバー14の軸線方向に沿った方向の寸法)より幅狭の形状とされている。
【0042】
図6は、ハンドルスイッチ30の車体右側のクランプ孔43を車体前方側から見た斜視図である。また、図7は、同クランプ孔43を車体後方側から見た斜視図である。本実施形態においては、各リブの幅(幅方向寸法)Bを、各クランプ面の幅(幅方向寸法)Aより小さくした点に特徴がある。これにより、締結ネジ45の締め付け時にリブを容易に変形させることができ、組み立て作業の容易さを維持しながらスイッチケース30のガタを防ぐことができる。
【0043】
なお、本実施形態では、前側ケース半体および後側ケース半体は金型に射出成形された樹脂等により形成されており、図中ハッチングで示す各クランプ面40C,41Cの幅Aは、スイッチケースの板厚に相当する。
【0044】
また、各リブは、前記したクランプ孔43の上下方向でハンドルバー14との間に形成される隙間を埋めるように配設されており、各リブは、ハンドルスイッチ30の前後方向には設けられていない。換言すれば、各リブは、各クランプ面40C,41Cのうち両ケース40,41の結合方向に略垂直をなす面には形成されないということとなる。これにより、位置決め突起46の周囲ではクランプ面40Cがハンドルバー14に直接接触して位置決めが正確に行われると共に、締結ネジ45の容易な締め付けが実現される。
【0045】
本実施形態に係る各リブは、両ケース半体40,41と一体成型されており、ハンドルスイッチ30の上下方向における突出量が最も大きく、周方向に移行するに従って徐々に高さが低くなる細長いくさび型とされている。このような形状によれば、クランプ孔43の上下位置から周方向に移行するに従って徐々に小さくなる隙間の形状に合わせたリブを得ることができ、効率のよい結合処理が可能となる。
【0046】
図8は、リブの断面形状を示す説明図である。また、図9はリブの側面形状を示す説明図である。上記実施形態に示したリブ50U,50L,51U,51Lは、図8(a)に示すような階段形状の断面形状60と、図9(a)に示すような直線的に高さが低くなる側面形状70とを有するものであったが、断面形状にあっては、図8(b)に示すような半円型の断面形状61や図8(c)に示すような三角型の断面形状62としたり、また、側面形状にあっては、図9(b)に示すような高さ一定の側面形状71や図9(c)に示すような高さが曲線的に低くなる側面形状72とするなど、種々の変形が可能である。
【0047】
上記したように、本発明に係るハンドルスイッチによれば、前側ケース半体40および後側ケース半体41の二分割構造とされるスイッチケースを、ハンドルバー14を挟み込んで互いに結合することでハンドルバー14に固定するハンドルスイッチにおいて、前側ケース半体40のクランプ面40Cおよび後側ケース41のクランプ面41Cに、クランプ面40C,41Cの幅Aより狭い幅Bを有するリブ50U,50L,51U,51Lを形成したので、ハンドルバーとクランプ面との間の隙間をリブで埋めるために両ケースを締め付ける力を低減することが可能となり、ハンドルスイッチの組み付け性を下げることなく、スイッチケースのガタを防止することができる。
【0048】
なお、ハンドルスイッチやスイッチケースの形状や構造、ハンドルスイッチに設けられるスイッチの種類や個数、スイッチケースに設けられるクランプ孔およびクランプ面の形状、クランプ面に設けられるリブの個数や形状、クランプ面の幅とリブの幅との比率、スイッチケースの位置決め突起の形状や配置等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係るハンドルスイッチは、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…自動二輪車、8…トップブリッジ、10…フロントフォーク、12…操向ハンドル、13…ハンドルグリップ、14…ハンドルバー、17…右側ハンドルスイッチ、30…左側ハンドルスイッチ(ハンドルスイッチ)、40…前側ケース半体(第1ケース)、41…後側ケース半体(第2ケース)、40C,41C…クランプ面、42…分割面、43…クランプ孔、45…締結ネジ、46…位置決め突起、50U,50L,51U,51L…リブ、60,61,62…リブの断面形状、70,71,72…リブの側面形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車(1)のハンドルバー(14)の外周に当接するクランプ面(40C,41C)が形成された二分割構造の第1ケース(40)および第2ケース(41)を有し、前記クランプ面(40C,41C)によって前記ハンドルバー(14)を挟み込んで前記第1ケース(40)および第2ケース(41)を互いに結合することで前記ハンドルバー(14)に固定するようにしたハンドルスイッチ(30)において、
前記第1ケース(40)に形成されるクランプ面(40C)および前記第2ケース(41)に形成されるクランプ面(41C)の少なくとも一方に、前記第1ケース(40)および第2ケース(41)を結合する際の締め代となるリブ(50U,50L,51U,51L)が形成されており、
前記リブ(50U,50L,51U,51L)の幅(B)が、前記クランプ面(40C,41C)の幅(A)より小さく設定されていることを特徴とするハンドルスイッチ。
【請求項2】
前記リブ(50U,50L,51U,51L)は、前記クランプ面(40C,41C)のうち、前記第1ケース(40)および第2ケース(41)の結合方向と略垂直をなす面に形成されておらず、前記結合方向に位置決め突起(46)が形成されることを特徴とする請求項1に記載のハンドルスイッチ。
【請求項3】
前記クランプ面(40C,41C)の曲率が、前記ハンドルバー(14)の外周面の曲率よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のハンドルスイッチ。
【請求項4】
前記リブ(50U,50L,51U,51L)は、前記クランプ面(40C,41C)の周方向に沿って延びる細長形状とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のハンドルスイッチ。
【請求項5】
前記第1ケース(40)および第2ケース(41)は、前記第1ケース(40)および第2ケース(41)の結合方向と略垂直をなす分割面(42)で結合されており、
前記リブ(50U,50L,51U,51L)は、前記分割面(42)から離れるにつれて高さが低くなる形状とされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のハンドルスイッチ。
【請求項6】
前記リブ(50U,50L,51U,51L)は、前記分割面(42)から離れるにつれて幅が狭くなる形状とされていることを特徴とする請求項5に記載のハンドルスイッチ。
【請求項7】
前記分割面(42)は、前記ハンドルバー(14)の軸中心に対して、乗員から離間する方向にオフセットして設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載のハンドルスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−95143(P2013−95143A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236383(P2011−236383)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】