ハーネス
【課題】ノイズを低減することができ、組立性の良いツイストペア線を備えたハーネスを提供する。
【解決手段】ハーネス1は、コネクタ3と、コネクタ3に接続するための端子を端部に圧着した2組のツイストペア線21,22とを備える。ツイストペア線21,22は、コネクタ3への接続が容易となるように、夫々の端部から撚り戻してある。電線21a及び21b、並びに電線22a及び22bを、夫々コネクタ3における外側の上下の端子収容室32に接続することにより、2組のツイストペア線21,22夫々における端子間の間隔よりも、2組のツイストペア線21,22間で隣り合う端子間の間隔を広くしてある。
【解決手段】ハーネス1は、コネクタ3と、コネクタ3に接続するための端子を端部に圧着した2組のツイストペア線21,22とを備える。ツイストペア線21,22は、コネクタ3への接続が容易となるように、夫々の端部から撚り戻してある。電線21a及び21b、並びに電線22a及び22bを、夫々コネクタ3における外側の上下の端子収容室32に接続することにより、2組のツイストペア線21,22夫々における端子間の間隔よりも、2組のツイストペア線21,22間で隣り合う端子間の間隔を広くしてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間等で使用されるツイストペア線を備えるハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両の高性能化、高機能化に伴って、車両には種々の電子機器を制御するためのECU(Electronic Control Unit)が複数搭載されている。各ECU間、及び、車両外部とECUとの間の通信には、通信信号へのノイズの重畳を低減するために、一対の電線を撚り合わせたツイストペア線が用いられているが、コネクタへの接続部分で撚り戻しが必要であり、この撚り戻しに起因する不具合を解消するために様々な工夫がなされている。
【0003】
特許文献1には、2本の信号線が撚り合わされたツイストペア線を端子に接続し、端子を誘電体で絶縁して外導体シェルで覆い、コネクタ内に係止したハーネスが記載されている。特許文献1に記載のハーネスは、ツイストペア線の各電線を端子に接続するに際し、電線端部を撚り戻して撚り合わせを解いて端子に夫々接続し、撚り戻し部分全体を外導体シェルによって覆い、コネクタ内に収容して構成される。該構成によって、ツイストペア線特有の遮蔽性能が失われた撚り戻し部分においても、外導体シェルによって、撚り合わせ部分と同様に電磁波によるノイズの発生が抑制されるというものである。
【0004】
特許文献2には、ツイストペア線端部から撚り戻した部分のうち、コネクタの外部に露出する部分に、電線2本を近接させて直線状に保持する電線保持部材を設けたハーネスが記載されている。撚り戻し部分はインピーダンスが高くなってしまうが、電線2本を近接させて保持する電線保持部材を設けてあることにより、インピーダンスを低く抑えてインピーダンス整合を図り、反射によるノイズ発生を抑制することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−063360号公報
【特許文献2】特開2004−071404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のハーネスでは、コネクタ内に収容する誘電体及び外導体シェル等の部品を、コネクタ内に収容し接続する組み立て工数が増えるため、組立時に手間がかかってしまう。
【0007】
また特許文献2のハーネスでは、コネクタの外部に電線保持部材が設けられるため、電線保持部材の端部からツイストペア線を配索することになり、ハーネスの配索が制限されてしまう。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノイズを低減することができ、組立性の良いツイストペア線を備えたハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るハーネスは、コネクタと、該コネクタ接続用の端子を端部に圧着した2組のツイストペア線とを備え、前記端子夫々を前記コネクタに接続して形成したハーネスにおいて、前記2組のツイストペア線夫々における前記端子間の間隔よりも、前記2組のツイストペア線間で隣り合う前記端子間の間隔を広くしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、2組のツイストペア線の端部に圧着した端子夫々をコネクタに接続してハーネスを形成し、2組のツイストペア線夫々における端子間の間隔よりも、2組のツイストペア線間で隣り合う端子間の間隔を広くしてあるため、一方のツイストペア線から、他方のツイストペア線の各電線までの距離が大きくなり、ノイズを低減することができる。
【0011】
本発明に係るハーネスは、前記2組のツイストペア線夫々における前記端子の並び方向が同じ方向であることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、2組のツイストペア線夫々における端子の並び方向を同じ方向としているため、コネクタの外部でハーネスを曲げるような場合に、2組のツイストペア線夫々において各電線が同じ位置関係で曲げられるので、ハーネスの配索が容易になる。
【0013】
本発明に係るハーネスは、前記ツイストペア線の電線を保持する湾曲した形状をなす溝を有する電線保持部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、ツイストペア線の電線を保持する湾曲した形状をなす溝を有する電線保持部材を備えるため、コネクタ外部でツイストペア線の電線が広がることを抑制しノイズを低減する。また、コネクタ外部で、ハーネスを湾曲するように案内することができ、ハーネスの配索が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノイズを低減することができ、組立性の良いツイストペア線を備えたハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るハーネスを使用する通信システムを模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るハーネスを模式的に示す外観図である。
【図3】図2のコネクタの側断面図である。
【図4】ツイストペア線とコネクタとの接続部分の斜視図である。
【図5】撚り戻し部分で生じるクロストークを説明するための模式図である。
【図6】ツイストペア線とコネクタとの接続部分の別の例を示す斜視図である。
【図7】ツイストペア線とコネクタとの接続部分の別の例を示す斜視図である。
【図8】電線保持部材を取り付ける前の状態を示すハーネス端部の斜視図である。
【図9】電線保持部材の取り付け手順を示すハーネス端部の斜視図である。
【図10】電線保持部材を取り付けた後の状態を示すハーネス端部の斜視図である。
【図11】実施例により雑音低減効果を調べた結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るハーネスの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態に係るハーネスを使用する通信システムを模式的に示すブロック図、図2は本発明の実施の形態に係るハーネスを模式的に示す外観図、図3は図2のコネクタの側断面図、図4はツイストペア線とコネクタとの接続部分の斜視図である。図1では、通信装置であるECU81及びECU82間をハーネス1により接続して通信システムを構成している。ハーネス1は、ECU81が備える送信部91a及び受信部91b夫々を、ECU82が備える受信部92b及び送信部92aに接続している。送信部91a,92a夫々は、イーサネット(登録商標)又はMOST(Media Oriented Systems Transport)等の通信プロトコルに従った信号を、ハーネス1を介して受信部92b,91bに送信する。
【0019】
ハーネス1は、ECU間を1本で接続するものでもよいし、途中に中継コネクタを設けて複数本で接続するものでもよい。いずれの場合も、図2に示すようにハーネス1は、少なくとも2組のツイストペア線21,22と、両端に取り付けたコネクタ3と、被覆材7とを備える。被覆材7は、樹脂製又は布製等の管状部材であり、ツイストペア線21,22を被覆して外部環境から保護する。ハーネス1は、2組のツイストペア線21,22以外に、図示しない他の信号線及び電源線等を有するものであってもよい。
【0020】
ツイストペア線21は、撚り合わせた電線21a,21bにより構成され、ツイストペア線22は、撚り合わせた電線22a,22bにより構成される。ツイストペア線21では、電線21a,21b夫々が螺旋状に撚り合わされるので、外部から受ける電磁波によって電線21a、21b内に発生するノイズ電流が、撚りの隣同士で逆向きになって打ち消し合う。このため、ツイストペア線21は外部の電磁波の影響を受けにくい。ツイストペア線22でも同様である。
【0021】
また、ツイストペア線21,22相互間のクロストーク雑音を低減するために、ツイストペア線21,22夫々の撚りピッチを相違させてある。例えば、ツイストペア線22の電線22aが、ツイストペア線21の電線21a,21bから受けるクロストーク雑音が撚りピッチの相違によって低減される。
【0022】
詳細には、電線22aに近接するツイストペア線21の電線は、撚りピッチの相違により、長手方向に沿って電線21aであったり、電線21bであったりする。電線21a,21b夫々には差動信号が伝送されており、電流の向きが異なるため、結局、電線22aはその全長において電線21a,21b夫々から受ける雑音が打ち消し合い、クロストーク雑音が低減される。
【0023】
コネクタ3は、図3に示すように、ハウジング31、弾性片33等を備える。コネクタ3とコネクタ4とが嵌合することにより、コネクタ3に接続された第1端子51と、コネクタ4に接続された第2端子52とが接続される。図3では、第1端子51はソケット(端子)であり、コネクタ3がソケット側コネクタである場合を示すが、コネクタ3は、ピン(端子)を収容するピン側コネクタ(例えば図3に示すコネクタ4)であってもよい。また、ハーネス1が端部に備えるコネクタ3を接続する相手側コネクタは、別のハーネスの端部のコネクタであっても良いし、ECU81,82の筐体に設けたコネクタ部であってもよい。
【0024】
ハウジング31は、図4に示すように上下2段×5列の端子収容室32を備える。端子収容室32は、細長い矩形状に仕切られた空間であり、一側に第1端子51を挿入する開口を有し、他側に第2端子52の先端を挿入する開口を有する。端子収容室32には、第1端子51を係止するための係止突起32cが設けられている。弾性片33は、ハウジング31の一端から立ち上がって他端側へ延伸するように形成してある。弾性片33には、コネクタ3をコネクタ4に係止するための係止突起33aが設けられている。また、弾性片33の先端は、弾性片33を押し下げるために、ハウジング31から離間したレバー部33bが形成してある。
【0025】
コネクタ3が嵌合するコネクタ4は、ハウジング41を備える。ハウジング41は、コネクタ3と同様に、上下2段×5列の端子収容室42を備える。端子収容室42は、細長い矩形状に仕切られた空間であり、一側に第2端子52を挿入する開口を有し、他側に第2端子52の先端を突出させる開口を有する。端子収容室42には、第2端子52を係止するための係止突起42cが設けられている。また、ハウジング41は、コネクタ3が嵌合するコネクタ嵌合部43を有している。コネクタ嵌合部43は、コネクタ3の外形に沿う内壁面により形成されている。コネクタ嵌合部43には、コネクタ3の弾性片33が係合する係止突起43aが設けられている。
【0026】
コネクタ3に接続される第1端子51は、ツイストペア線21の電線21a,21bの端部を被覆とともに固定する圧着部51a、芯線を電気的に接続し固定する圧着部51b、コネクタ3の係止突起32cと係合する係止部51cを有する。コネクタ4に接続される第2端子52は、電線の端部を被覆とともに固定する圧着部52a、芯線を電気的に接続し固定する圧着部52b、コネクタ4の係止突起42cと係合する係止部52cを有する。
【0027】
第1端子51をコネクタ3の端子収容室32へ挿入し、係止部51cを係止突起32cに係合させる。また、第2端子52をコネクタ4の端子収容室42へ挿入し、係止部52cを係止突起42cに係合させることにより、第2端子52の先端部が、コネクタ嵌合部43に突き出た状態となる。コネクタ4のコネクタ嵌合部43にコネクタ3を嵌合させ、係止突起33aと係止突起43aとを係合させることにより、コネクタ3とコネクタ4とが結合され、第1端子51の先端に第2端子52の先端が嵌合して、電気的に接続される。
【0028】
ここで、第1端子51をコネクタ3の端子収容室32へ挿入する組立作業においては、複数の第1端子51を1つずつコネクタ3に挿入する組み立て方をすれば、作業が容易であり組立性が良いが、1つの第1端子51(例えば、電線21aの端子)をコネクタ3に挿入して接続した後、次の第1端子51(例えば、電線21bの端子)をコネクタ3に挿入するにあたり、図3に示すように電線を撚り戻して撚り合わせを解いた撚り戻し部分Uが必要になる。このような撚り戻し部分Uを無くしてしまうと、全ての第1端子51を同時にコネクタ3に挿入するように組立作業を行わねばならず、著しく作業性が悪くなってしまい、さらに、第1端子51を取り外す作業では、全ての第1端子51を同時にコネクタ3から取り外すことになり、取り外し作業も極めて困難である。
【0029】
したがって、本実施の形態に係るハーネス1は、容易に組み立てができるように、撚り戻し部分Uを設けてあることが好ましく、撚り戻し部分Uで生じるクロストーク雑音が低減化されるように、撚り戻し部分Uにおける電線及び端子を配設する。図4に示すコネクタ3は、上下2段で各段に5つの端子収容室52が設けられた10極コネクタである。ツイストペア線21の電線21a及び21b夫々の端部に圧着した2つの第1端子51と、ツイストペア線22の電線22a及び22b夫々の端部に圧着した2つの第1端子51との間の間隔がより広くなるように、各第1端子51をコネクタ3に接続する。具体的には、電線21a及び21b、並びに電線22a及び22bを、夫々コネクタ3における外側の上下の端子収容室32に接続し、ツイストペア線21及び22夫々における端子間の間隔よりも、ツイストペア線21及び22間の隣り合う端子間の間隔が広くなるように配置する。
【0030】
図5は撚り戻し部分Uで生じるクロストークを説明するための模式図である。図5では、コネクタ3に接続される電線21a,21b,22b夫々の中心線を実線で表している。電線21a,21bの中心線は実際には交わることはないが、クロストークについて説明する上で、撚り合わせられている部分のクロストークが非常に小さいものと仮定し、撚り戻し部分Uの開始点Pにおいて交わるものとする。
【0031】
電線22bは、撚り戻し部分Uにおける電線21a及び21bの夫々からクロストーク雑音Nを受けることになる。クロストーク雑音Nは、電線21bと電線22bとの間の距離をr、電線21a及び21bが囲む領域の面積をA、電線21a及び21bに流れる電流をI、比例定数をCとすると、近似的に次式のように表される。
N=C×(A/r)×I
【0032】
したがって、クロストーク雑音Nは、面積Aを小さく、距離rを大きくすることにより低減化することができる。面積Aを小さくするためには、電線21a及び21bの端子間の間隔を狭くすればよく、距離rを大きくするためには、電線21b及び22bの端子間を広くすればよいことになる。即ち、ツイストペア線21及び22夫々における端子間の間隔よりも、ツイストペア線21及び22間の隣り合う端子間の間隔が広くなるように配置することにより、クロストーク雑音を低減化することができる。
【0033】
以上のとおり、コネクタ3、及び第1端子51を端部に圧着した2組のツイストペア線21,22を備え、第1端子51夫々をコネクタ3に接続して形成したハーネスにおいて、2組のツイストペア線21,22夫々における第1端子51間の間隔よりも、2組のツイストペア線21,22間で隣り合う端子間の間隔を広くしてあることにより、クロストークを低減化することができる。さらに、2組のツイストペア線21,22夫々の端部から電線を撚り戻して撚り合わせを解いた撚り戻し部分Uをコネクタ3の外部に有しているので、ツイストペア線21,22の各電線を端部に圧着した第1端子51によりコネクタ3に接続する組立作業が良好となる。
【0034】
図6は、ツイストペア線とコネクタとの接続部分の別の例を示す斜視図である。図6に示す例では、電線21a及び21b、並びに電線22a及び22bを、夫々コネクタ3の下段の端子収容室32に、中央の端子収容室32を除いて接続したものである。これにより、ツイストペア線21及び22夫々における端子間の間隔よりも、ツイストペア線21及び22間の隣り合う端子間(図6では電線21bと22aの各端子間)の間隔が広くなるように配置することができる。
【0035】
また、図7は、ツイストペア線とコネクタとの接続部分の別の例を示す斜視図である。図7に示す例では、電線21a及び21bをコネクタ3における外側の上下の端子収容室32に接続する。電線22a及び22bをコネクタ3の下段の端子収容室32に、電線21a及び21bを接続した側と逆の外側に寄せて接続してある。これにより、ツイストペア線21及び22夫々における端子間の間隔よりも、ツイストペア線21及び22間の隣り合う端子間(図7では電線21bと22aの各端子間)の間隔が広くなるように配置することができる。
【0036】
図4及び図6に示した電線とコネクタとの接続関係は、2組のツイストペア線21,22夫々における第1端子51の並び方向が同じ方向であるものであり、コネクタ3の外部でハーネス1を曲げて配索するような場合に、2組のツイストペア線21,22夫々において各電線が同じ位置関係で曲げられるので、ハーネスの配索が容易になる。
【0037】
また、コネクタ3の外部でハーネス1を曲げて配索するような場合に、撚り戻し部分Uの各電線の位置関係が変化しないように、電線保持部材6を取り付ける構成としてもよい。図8は、電線保持部材6を取り付ける前の状態を示すハーネス1端部の斜視図、図9は、電線保持部材6の取り付け手順を示すハーネス1端部の斜視図、図10は、電線保持部材6を取り付けた後の状態を示すハーネス1端部の斜視図である。
【0038】
電線保持部材6は、樹脂製又は金属製の材料により形成された半割状のケース61,62がヒンジ部63で連結されて構成されている。ケース61,62は夫々、湾曲した形状をなす溝61a、62aを割面に有している。また、ケース61は孔を設けた係止部61bを有し、ケース62は係止突起62bを有する。図8に示すように、ケース61,62を開いた状態で、電線22a,22bの下側からケース61を挿し込み、図9に示すように電線22a,22bを近接させて、ケース61の溝61aに沿うように配置する。図10に示すように、ケース61,62を閉じることにより、溝61aと62aとが重なり、電線22a,22bを保持する。また、電線21a,21bについても同様に電線保持部材6を取り付ける。なお、ケース61,62は、係止部61bに設けた孔に係止突起62bが係合することにより、閉じた状態を維持する。
【0039】
このように、電線保持部材6は、湾曲した溝61a,62aにより、電線22a及び22b、並びに、電線21a及び21bを近接保持した状態で、湾曲した溝に沿うように配置するため、2組のツイストペア線21,22夫々において撚り戻された部分Uの電線が広がるのを抑制しクロストーク雑音を低減化できる。また、コネクタ3の外部で、ハーネス1を湾曲するように案内することができ、ハーネス1の配索が容易になる。
【0040】
(実施例)
本発明の実施例について説明する。図11は、実施例により雑音低減効果を調べた結果を示す図表である。コネクタ3には住友電装株式会社製TSシリーズ025型10極コネクタ(オス品番:6098-3869、メス品番:6098-3909)を使用する。実施例は、対比例Aと、本発明の実施例であるB〜Dとの4通りであり、ツイストペア線21,22を接続する端子収容室32を変化させることにより、ツイストペア線21と22との間の間隔をBからDに行くほど広くしたものである。雑音低減効果を調べるために、NEXT値(最大近端漏話減衰量)を、100MHzの信号について取得した。
【0041】
図11において、黒丸印はツイストペア線21を接続した箇所、白丸印はツイストペア線22を接続した箇所を表わしている。各実施例でのNEXT値は、対比例Aに対して、各実施例B〜Dで高い雑音の減衰効果を示しており、本発明による雑音低減効果が確認された。また、100BASE−T(TIA-EIA-568-B.2)のコネクタにおける100MHz信号のNEXT規格値は43dB以上であり、実施例DによるNEXT値45.3dBは、該規格値を満たすものである。
【0042】
開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 ハーネス
21、22 ツイストペア線
21a、21b、22a、22b 電線
3 コネクタ
51 第1端子(端子)
52 第2端子(端子)
6 電線保持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間等で使用されるツイストペア線を備えるハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両の高性能化、高機能化に伴って、車両には種々の電子機器を制御するためのECU(Electronic Control Unit)が複数搭載されている。各ECU間、及び、車両外部とECUとの間の通信には、通信信号へのノイズの重畳を低減するために、一対の電線を撚り合わせたツイストペア線が用いられているが、コネクタへの接続部分で撚り戻しが必要であり、この撚り戻しに起因する不具合を解消するために様々な工夫がなされている。
【0003】
特許文献1には、2本の信号線が撚り合わされたツイストペア線を端子に接続し、端子を誘電体で絶縁して外導体シェルで覆い、コネクタ内に係止したハーネスが記載されている。特許文献1に記載のハーネスは、ツイストペア線の各電線を端子に接続するに際し、電線端部を撚り戻して撚り合わせを解いて端子に夫々接続し、撚り戻し部分全体を外導体シェルによって覆い、コネクタ内に収容して構成される。該構成によって、ツイストペア線特有の遮蔽性能が失われた撚り戻し部分においても、外導体シェルによって、撚り合わせ部分と同様に電磁波によるノイズの発生が抑制されるというものである。
【0004】
特許文献2には、ツイストペア線端部から撚り戻した部分のうち、コネクタの外部に露出する部分に、電線2本を近接させて直線状に保持する電線保持部材を設けたハーネスが記載されている。撚り戻し部分はインピーダンスが高くなってしまうが、電線2本を近接させて保持する電線保持部材を設けてあることにより、インピーダンスを低く抑えてインピーダンス整合を図り、反射によるノイズ発生を抑制することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−063360号公報
【特許文献2】特開2004−071404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のハーネスでは、コネクタ内に収容する誘電体及び外導体シェル等の部品を、コネクタ内に収容し接続する組み立て工数が増えるため、組立時に手間がかかってしまう。
【0007】
また特許文献2のハーネスでは、コネクタの外部に電線保持部材が設けられるため、電線保持部材の端部からツイストペア線を配索することになり、ハーネスの配索が制限されてしまう。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノイズを低減することができ、組立性の良いツイストペア線を備えたハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るハーネスは、コネクタと、該コネクタ接続用の端子を端部に圧着した2組のツイストペア線とを備え、前記端子夫々を前記コネクタに接続して形成したハーネスにおいて、前記2組のツイストペア線夫々における前記端子間の間隔よりも、前記2組のツイストペア線間で隣り合う前記端子間の間隔を広くしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、2組のツイストペア線の端部に圧着した端子夫々をコネクタに接続してハーネスを形成し、2組のツイストペア線夫々における端子間の間隔よりも、2組のツイストペア線間で隣り合う端子間の間隔を広くしてあるため、一方のツイストペア線から、他方のツイストペア線の各電線までの距離が大きくなり、ノイズを低減することができる。
【0011】
本発明に係るハーネスは、前記2組のツイストペア線夫々における前記端子の並び方向が同じ方向であることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、2組のツイストペア線夫々における端子の並び方向を同じ方向としているため、コネクタの外部でハーネスを曲げるような場合に、2組のツイストペア線夫々において各電線が同じ位置関係で曲げられるので、ハーネスの配索が容易になる。
【0013】
本発明に係るハーネスは、前記ツイストペア線の電線を保持する湾曲した形状をなす溝を有する電線保持部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、ツイストペア線の電線を保持する湾曲した形状をなす溝を有する電線保持部材を備えるため、コネクタ外部でツイストペア線の電線が広がることを抑制しノイズを低減する。また、コネクタ外部で、ハーネスを湾曲するように案内することができ、ハーネスの配索が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノイズを低減することができ、組立性の良いツイストペア線を備えたハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るハーネスを使用する通信システムを模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るハーネスを模式的に示す外観図である。
【図3】図2のコネクタの側断面図である。
【図4】ツイストペア線とコネクタとの接続部分の斜視図である。
【図5】撚り戻し部分で生じるクロストークを説明するための模式図である。
【図6】ツイストペア線とコネクタとの接続部分の別の例を示す斜視図である。
【図7】ツイストペア線とコネクタとの接続部分の別の例を示す斜視図である。
【図8】電線保持部材を取り付ける前の状態を示すハーネス端部の斜視図である。
【図9】電線保持部材の取り付け手順を示すハーネス端部の斜視図である。
【図10】電線保持部材を取り付けた後の状態を示すハーネス端部の斜視図である。
【図11】実施例により雑音低減効果を調べた結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るハーネスの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態に係るハーネスを使用する通信システムを模式的に示すブロック図、図2は本発明の実施の形態に係るハーネスを模式的に示す外観図、図3は図2のコネクタの側断面図、図4はツイストペア線とコネクタとの接続部分の斜視図である。図1では、通信装置であるECU81及びECU82間をハーネス1により接続して通信システムを構成している。ハーネス1は、ECU81が備える送信部91a及び受信部91b夫々を、ECU82が備える受信部92b及び送信部92aに接続している。送信部91a,92a夫々は、イーサネット(登録商標)又はMOST(Media Oriented Systems Transport)等の通信プロトコルに従った信号を、ハーネス1を介して受信部92b,91bに送信する。
【0019】
ハーネス1は、ECU間を1本で接続するものでもよいし、途中に中継コネクタを設けて複数本で接続するものでもよい。いずれの場合も、図2に示すようにハーネス1は、少なくとも2組のツイストペア線21,22と、両端に取り付けたコネクタ3と、被覆材7とを備える。被覆材7は、樹脂製又は布製等の管状部材であり、ツイストペア線21,22を被覆して外部環境から保護する。ハーネス1は、2組のツイストペア線21,22以外に、図示しない他の信号線及び電源線等を有するものであってもよい。
【0020】
ツイストペア線21は、撚り合わせた電線21a,21bにより構成され、ツイストペア線22は、撚り合わせた電線22a,22bにより構成される。ツイストペア線21では、電線21a,21b夫々が螺旋状に撚り合わされるので、外部から受ける電磁波によって電線21a、21b内に発生するノイズ電流が、撚りの隣同士で逆向きになって打ち消し合う。このため、ツイストペア線21は外部の電磁波の影響を受けにくい。ツイストペア線22でも同様である。
【0021】
また、ツイストペア線21,22相互間のクロストーク雑音を低減するために、ツイストペア線21,22夫々の撚りピッチを相違させてある。例えば、ツイストペア線22の電線22aが、ツイストペア線21の電線21a,21bから受けるクロストーク雑音が撚りピッチの相違によって低減される。
【0022】
詳細には、電線22aに近接するツイストペア線21の電線は、撚りピッチの相違により、長手方向に沿って電線21aであったり、電線21bであったりする。電線21a,21b夫々には差動信号が伝送されており、電流の向きが異なるため、結局、電線22aはその全長において電線21a,21b夫々から受ける雑音が打ち消し合い、クロストーク雑音が低減される。
【0023】
コネクタ3は、図3に示すように、ハウジング31、弾性片33等を備える。コネクタ3とコネクタ4とが嵌合することにより、コネクタ3に接続された第1端子51と、コネクタ4に接続された第2端子52とが接続される。図3では、第1端子51はソケット(端子)であり、コネクタ3がソケット側コネクタである場合を示すが、コネクタ3は、ピン(端子)を収容するピン側コネクタ(例えば図3に示すコネクタ4)であってもよい。また、ハーネス1が端部に備えるコネクタ3を接続する相手側コネクタは、別のハーネスの端部のコネクタであっても良いし、ECU81,82の筐体に設けたコネクタ部であってもよい。
【0024】
ハウジング31は、図4に示すように上下2段×5列の端子収容室32を備える。端子収容室32は、細長い矩形状に仕切られた空間であり、一側に第1端子51を挿入する開口を有し、他側に第2端子52の先端を挿入する開口を有する。端子収容室32には、第1端子51を係止するための係止突起32cが設けられている。弾性片33は、ハウジング31の一端から立ち上がって他端側へ延伸するように形成してある。弾性片33には、コネクタ3をコネクタ4に係止するための係止突起33aが設けられている。また、弾性片33の先端は、弾性片33を押し下げるために、ハウジング31から離間したレバー部33bが形成してある。
【0025】
コネクタ3が嵌合するコネクタ4は、ハウジング41を備える。ハウジング41は、コネクタ3と同様に、上下2段×5列の端子収容室42を備える。端子収容室42は、細長い矩形状に仕切られた空間であり、一側に第2端子52を挿入する開口を有し、他側に第2端子52の先端を突出させる開口を有する。端子収容室42には、第2端子52を係止するための係止突起42cが設けられている。また、ハウジング41は、コネクタ3が嵌合するコネクタ嵌合部43を有している。コネクタ嵌合部43は、コネクタ3の外形に沿う内壁面により形成されている。コネクタ嵌合部43には、コネクタ3の弾性片33が係合する係止突起43aが設けられている。
【0026】
コネクタ3に接続される第1端子51は、ツイストペア線21の電線21a,21bの端部を被覆とともに固定する圧着部51a、芯線を電気的に接続し固定する圧着部51b、コネクタ3の係止突起32cと係合する係止部51cを有する。コネクタ4に接続される第2端子52は、電線の端部を被覆とともに固定する圧着部52a、芯線を電気的に接続し固定する圧着部52b、コネクタ4の係止突起42cと係合する係止部52cを有する。
【0027】
第1端子51をコネクタ3の端子収容室32へ挿入し、係止部51cを係止突起32cに係合させる。また、第2端子52をコネクタ4の端子収容室42へ挿入し、係止部52cを係止突起42cに係合させることにより、第2端子52の先端部が、コネクタ嵌合部43に突き出た状態となる。コネクタ4のコネクタ嵌合部43にコネクタ3を嵌合させ、係止突起33aと係止突起43aとを係合させることにより、コネクタ3とコネクタ4とが結合され、第1端子51の先端に第2端子52の先端が嵌合して、電気的に接続される。
【0028】
ここで、第1端子51をコネクタ3の端子収容室32へ挿入する組立作業においては、複数の第1端子51を1つずつコネクタ3に挿入する組み立て方をすれば、作業が容易であり組立性が良いが、1つの第1端子51(例えば、電線21aの端子)をコネクタ3に挿入して接続した後、次の第1端子51(例えば、電線21bの端子)をコネクタ3に挿入するにあたり、図3に示すように電線を撚り戻して撚り合わせを解いた撚り戻し部分Uが必要になる。このような撚り戻し部分Uを無くしてしまうと、全ての第1端子51を同時にコネクタ3に挿入するように組立作業を行わねばならず、著しく作業性が悪くなってしまい、さらに、第1端子51を取り外す作業では、全ての第1端子51を同時にコネクタ3から取り外すことになり、取り外し作業も極めて困難である。
【0029】
したがって、本実施の形態に係るハーネス1は、容易に組み立てができるように、撚り戻し部分Uを設けてあることが好ましく、撚り戻し部分Uで生じるクロストーク雑音が低減化されるように、撚り戻し部分Uにおける電線及び端子を配設する。図4に示すコネクタ3は、上下2段で各段に5つの端子収容室52が設けられた10極コネクタである。ツイストペア線21の電線21a及び21b夫々の端部に圧着した2つの第1端子51と、ツイストペア線22の電線22a及び22b夫々の端部に圧着した2つの第1端子51との間の間隔がより広くなるように、各第1端子51をコネクタ3に接続する。具体的には、電線21a及び21b、並びに電線22a及び22bを、夫々コネクタ3における外側の上下の端子収容室32に接続し、ツイストペア線21及び22夫々における端子間の間隔よりも、ツイストペア線21及び22間の隣り合う端子間の間隔が広くなるように配置する。
【0030】
図5は撚り戻し部分Uで生じるクロストークを説明するための模式図である。図5では、コネクタ3に接続される電線21a,21b,22b夫々の中心線を実線で表している。電線21a,21bの中心線は実際には交わることはないが、クロストークについて説明する上で、撚り合わせられている部分のクロストークが非常に小さいものと仮定し、撚り戻し部分Uの開始点Pにおいて交わるものとする。
【0031】
電線22bは、撚り戻し部分Uにおける電線21a及び21bの夫々からクロストーク雑音Nを受けることになる。クロストーク雑音Nは、電線21bと電線22bとの間の距離をr、電線21a及び21bが囲む領域の面積をA、電線21a及び21bに流れる電流をI、比例定数をCとすると、近似的に次式のように表される。
N=C×(A/r)×I
【0032】
したがって、クロストーク雑音Nは、面積Aを小さく、距離rを大きくすることにより低減化することができる。面積Aを小さくするためには、電線21a及び21bの端子間の間隔を狭くすればよく、距離rを大きくするためには、電線21b及び22bの端子間を広くすればよいことになる。即ち、ツイストペア線21及び22夫々における端子間の間隔よりも、ツイストペア線21及び22間の隣り合う端子間の間隔が広くなるように配置することにより、クロストーク雑音を低減化することができる。
【0033】
以上のとおり、コネクタ3、及び第1端子51を端部に圧着した2組のツイストペア線21,22を備え、第1端子51夫々をコネクタ3に接続して形成したハーネスにおいて、2組のツイストペア線21,22夫々における第1端子51間の間隔よりも、2組のツイストペア線21,22間で隣り合う端子間の間隔を広くしてあることにより、クロストークを低減化することができる。さらに、2組のツイストペア線21,22夫々の端部から電線を撚り戻して撚り合わせを解いた撚り戻し部分Uをコネクタ3の外部に有しているので、ツイストペア線21,22の各電線を端部に圧着した第1端子51によりコネクタ3に接続する組立作業が良好となる。
【0034】
図6は、ツイストペア線とコネクタとの接続部分の別の例を示す斜視図である。図6に示す例では、電線21a及び21b、並びに電線22a及び22bを、夫々コネクタ3の下段の端子収容室32に、中央の端子収容室32を除いて接続したものである。これにより、ツイストペア線21及び22夫々における端子間の間隔よりも、ツイストペア線21及び22間の隣り合う端子間(図6では電線21bと22aの各端子間)の間隔が広くなるように配置することができる。
【0035】
また、図7は、ツイストペア線とコネクタとの接続部分の別の例を示す斜視図である。図7に示す例では、電線21a及び21bをコネクタ3における外側の上下の端子収容室32に接続する。電線22a及び22bをコネクタ3の下段の端子収容室32に、電線21a及び21bを接続した側と逆の外側に寄せて接続してある。これにより、ツイストペア線21及び22夫々における端子間の間隔よりも、ツイストペア線21及び22間の隣り合う端子間(図7では電線21bと22aの各端子間)の間隔が広くなるように配置することができる。
【0036】
図4及び図6に示した電線とコネクタとの接続関係は、2組のツイストペア線21,22夫々における第1端子51の並び方向が同じ方向であるものであり、コネクタ3の外部でハーネス1を曲げて配索するような場合に、2組のツイストペア線21,22夫々において各電線が同じ位置関係で曲げられるので、ハーネスの配索が容易になる。
【0037】
また、コネクタ3の外部でハーネス1を曲げて配索するような場合に、撚り戻し部分Uの各電線の位置関係が変化しないように、電線保持部材6を取り付ける構成としてもよい。図8は、電線保持部材6を取り付ける前の状態を示すハーネス1端部の斜視図、図9は、電線保持部材6の取り付け手順を示すハーネス1端部の斜視図、図10は、電線保持部材6を取り付けた後の状態を示すハーネス1端部の斜視図である。
【0038】
電線保持部材6は、樹脂製又は金属製の材料により形成された半割状のケース61,62がヒンジ部63で連結されて構成されている。ケース61,62は夫々、湾曲した形状をなす溝61a、62aを割面に有している。また、ケース61は孔を設けた係止部61bを有し、ケース62は係止突起62bを有する。図8に示すように、ケース61,62を開いた状態で、電線22a,22bの下側からケース61を挿し込み、図9に示すように電線22a,22bを近接させて、ケース61の溝61aに沿うように配置する。図10に示すように、ケース61,62を閉じることにより、溝61aと62aとが重なり、電線22a,22bを保持する。また、電線21a,21bについても同様に電線保持部材6を取り付ける。なお、ケース61,62は、係止部61bに設けた孔に係止突起62bが係合することにより、閉じた状態を維持する。
【0039】
このように、電線保持部材6は、湾曲した溝61a,62aにより、電線22a及び22b、並びに、電線21a及び21bを近接保持した状態で、湾曲した溝に沿うように配置するため、2組のツイストペア線21,22夫々において撚り戻された部分Uの電線が広がるのを抑制しクロストーク雑音を低減化できる。また、コネクタ3の外部で、ハーネス1を湾曲するように案内することができ、ハーネス1の配索が容易になる。
【0040】
(実施例)
本発明の実施例について説明する。図11は、実施例により雑音低減効果を調べた結果を示す図表である。コネクタ3には住友電装株式会社製TSシリーズ025型10極コネクタ(オス品番:6098-3869、メス品番:6098-3909)を使用する。実施例は、対比例Aと、本発明の実施例であるB〜Dとの4通りであり、ツイストペア線21,22を接続する端子収容室32を変化させることにより、ツイストペア線21と22との間の間隔をBからDに行くほど広くしたものである。雑音低減効果を調べるために、NEXT値(最大近端漏話減衰量)を、100MHzの信号について取得した。
【0041】
図11において、黒丸印はツイストペア線21を接続した箇所、白丸印はツイストペア線22を接続した箇所を表わしている。各実施例でのNEXT値は、対比例Aに対して、各実施例B〜Dで高い雑音の減衰効果を示しており、本発明による雑音低減効果が確認された。また、100BASE−T(TIA-EIA-568-B.2)のコネクタにおける100MHz信号のNEXT規格値は43dB以上であり、実施例DによるNEXT値45.3dBは、該規格値を満たすものである。
【0042】
開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 ハーネス
21、22 ツイストペア線
21a、21b、22a、22b 電線
3 コネクタ
51 第1端子(端子)
52 第2端子(端子)
6 電線保持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、該コネクタ接続用の端子を端部に圧着した2組のツイストペア線とを備え、前記端子夫々を前記コネクタに接続して形成したハーネスにおいて、
前記2組のツイストペア線夫々における前記端子間の間隔よりも、前記2組のツイストペア線間で隣り合う前記端子間の間隔を広くしてあることを特徴とするハーネス。
【請求項2】
前記2組のツイストペア線夫々における前記端子の並び方向が同じ方向であることを特徴とする請求項1に記載のハーネス。
【請求項3】
前記ツイストペア線の電線を保持する湾曲した形状をなす溝を有する電線保持部材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のハーネス。
【請求項1】
コネクタと、該コネクタ接続用の端子を端部に圧着した2組のツイストペア線とを備え、前記端子夫々を前記コネクタに接続して形成したハーネスにおいて、
前記2組のツイストペア線夫々における前記端子間の間隔よりも、前記2組のツイストペア線間で隣り合う前記端子間の間隔を広くしてあることを特徴とするハーネス。
【請求項2】
前記2組のツイストペア線夫々における前記端子の並び方向が同じ方向であることを特徴とする請求項1に記載のハーネス。
【請求項3】
前記ツイストペア線の電線を保持する湾曲した形状をなす溝を有する電線保持部材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のハーネス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−69509(P2013−69509A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206439(P2011−206439)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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