説明

ハーフゲージ編みする方法及びこれを用いて得られた製品

【課題】 本発明は、十分な品質を備えた、バランスの取れた編物の外観を有する繊維製品をハーフゲージ編みする方法及びこれを用いて得られた製品を提供する。
【解決手段】 シンカ(4)によって夫々が離された複数の針(1)を備えるよこ編み機を用いて、繊維製品をハーフゲージ編みする方法によると、使用する針(1)の間の2つのシンカ(4)のうちの1つを予め前記よこ編み機から取り外した後に、2本の針(1)のうち1本の針を使用して製品が編まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーフゲージ編みする方法及びこれを用いて得られた製品に関する。
【背景技術】
【0002】
よこ編み機で編む際に(換言すれば、公称ゲージよりも小さいゲージで動作する際に)、編み機は、特に、材料の消費及び編み時間を削減するために、又はより太い糸を使用するために、「ハーフゲージ」編みできることが知られている。
【0003】
円形編み機では、機械シリンダを変更する方法がよく用いられる。例えば、この方法はSantoni製造業者によって行われており、15”(38.1cm)の機械に、ゲージ22では1056本の0.5mm厚の針を備え、ゲージ24では1104本の0.41mm厚の針になり、ゲージ26では1248本の0.41mm厚の針になり、ゲージ28では1344本の0.41mm厚の針になり、ゲージ32では1488本の0.34mm厚の針になる。この方法は、シリンダ、リング、シンカ及びカッターの組立部品を用意しておかなければならず、更に、変更するためには技術者2名が3日間作業する必要があるため、非常に費用がかかる。
【0004】
他の従来の方法として、2本の針毎に1本の針を取り外す又は選択しない方法がある。例えば、ゲージ28用の1344本の0.41mm厚の針を備えた15”SantoniSM8編み機は、半数の針、すなわち、672本の針で編むように修正することが可能である。この方法は非常に速く、関連するコストが要らず、同等の製品の作成に関し材料の消費及び機械サイクル時間を節約することができる。しかし、製造された編物は、外観の質が低い。編目間の寸法差が大きいため、より低品質に見えるのである。
【特許文献1】特許第2958697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、十分な品質を備えた、換言すれば、バランスが取れた編物の外観を備えた製品のハーフゲージ編みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシンカによって夫々が離された複数の針を備えるよこ編み機を用いて、2本の針毎に1本の針を使用して繊維製品をハーフゲージ編みする方法において、使用する針の間の2つのシンカから1つを前記よこ編み機から取り外すことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る製品は、請求項1に記載の方法を用いて得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
2つのシンカのうち1つを取り外すことにより、糸をより良好に摺動させることができ、編目が形成されるときに、同等の編目及び編目間の寸法が得られる。
【0009】
本発明は、横糸の編目を操作するすべての編み機に適用可能であるが、特に円形編み機に有用である。
【0010】
本発明はまた、本発明に係る方法を用いて得られた製品に関する。特に円形編み機では、得られた製品を胴体を被うように設計されたシームレス製品(アンダーシャツ、へそが見える上着、ブラジャー等)、又は脚に着用するように設計されたシームレス製品(ストッキング、タイツ、ソックス等)を製造するために使用することができる。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して下記の例示的な実施の形態の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜3は、(簡略化のために、図面に示されているように)直線又は円形でもよいよこ編み機の一部を示す。従来、この編み機は、糸を集めるフック2及び可動アーム3を有する針1を備える。この場合、針は垂直であり、シンカ4によって離されている。
【0013】
通常の編成を示す図1において、編み機のすべての針1は、その関連するシンカ4a、4b、4c、4d、4eと共にA、B、C、D、E位置で動作し、その結果糸の編目6a、6b、6c、6d、6eが形成される。得られた編物の外観は標準であり、編目はバランスが取れている(この場合、ジャージニットである)。
【0014】
図2は、図1と同一の編み機に関し2本の針のうちの1本を備えた従来のハーフゲージ編みを示しており、位置A、C、Eにおける針のみが動作し、図1に示されるものとほぼ同一の形状の編目6a、6c、6eを形成する。しかし、2本の動作する針の間に2つのシンカが存在するため(例えば、位置A、Cにある針の間のシンカ4b及び4c)、編目間の距離5がこれら2つのシンカ間で大きくなる。従来のハーフゲージ編みの編目を示す図4を参照すると、2列の編目6間においてきわめて明らかである。
【0015】
本発明による編成を示す図3では、図1及び2の編み機を、2つのシンカのうち1つ(動作していない位置B、Dにある針1に対応するシンカ4b及び4d)を排除することによって変形しており、シンカ4a、4c、4eだけ残っている。従って、針1によって編目6を形成する間、編目は過度に密接したシンカに邪魔されず、編目間の距離5及び編目6の寸法を比較できるほどより広くでき、本発明によるハーフゲージ編みの編目を示す図5を参照すると、得られた編物の外観はバランスが取れている。
【0016】
次に、特定の例示的な実施の形態を説明する。
SantoniSM8の15”円形編み機には、本来すべての針を用いて編むために、ゲージ28用の1344本の0.41mm厚の針を備えている。チューブは、すべての編成の給糸において、4.3kgで測定して82cm幅に予め固定された(例えば、蒸気によって安定化された)延長ベースに、二端ポリアミド66糸、110dtex34テクスチャードストランドを用いて編まれた。結果として、5gの張力で引き込まれた糸の長さは、1シリンダ回転当たり4.50mである。800列を基にこのように編まれたチューブを使用して、基準パラメータを規定する。すなわち、編物の標準の外観、糸の消費、編み時間、1回転当たりの引き込まれる糸の長さ、平らなときのチューブの幅、6kgの力における量、及び1m当たりの重量である。これらのパラメータを、下記の表1の対応する列に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
ハーフゲージ編みのチューブは、編み機の機械的設定を変更することなく、2本の針のうちの1本を使用して、従って672本の針を使用して編まれた。表1に対応するパラメータを記載する。
【0019】
最後に、編み機は、2つのシンカのうち1つを取り外すことによって修正される。シンカのリングを取り囲み、シンカを針シリンダの中心へ向けて押すために使用される円形ばねは、2つのシンカのうち1つがないことを補うために変更され、通常使用されるものよりもわずかに小さいばねを用いる。例えば、15”(38.1cm)の機械には14”(35.5cm)の機械ばねを使用する。表1にパラメータを示す。
【0020】
表1に記載の3つの編成モードを比較すると、本発明による編物の固定された平らなチューブの幅が他の2つのモードのものより狭く、1m2 当たりの重量が他の2つのモードの重量の中間にあることを示す。このように、得られた編物の外観によって示されるように、単に針の数を減らすことによって得られた編物よりもよりバランスが取れていることが確認される。
【0021】
従来のハーフゲージ編みの製品と同じ方法において、本発明による編成は、編物の厚さを減少させるが、1m2 当たりの測定重量の割合で使用される糸の厚さを増加することによって補うことができる。
【0022】
例えば、本発明に係る変形された編み機の準備には、技術者1人が約8時間作業する必要がある。従って、これは、機械シリンダを完全に変える方法よりも、かなり速い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の編み機を用いて通常の編成により形成された編目の概略図である。
【図2】図1と同一の編み機を用いて従来のハーフゲージ編みにより形成された編目の概略図である。
【図3】図1の編み機を変形した編み機を用いて本発明に係るハーフゲージ編みにより形成された編目の概略図である。
【図4】従来のハーフゲージ編みの編目を示す図である。
【図5】本発明によるハーフゲージ編みの編目を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 針
2 フック
3 可動アーム
4,4a,4b,4c,4d,4e シンカ
5 編目間の距離
6,6a,6b,6c,6d,6e 編目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンカ(4)によって夫々が離された複数の針(1)を備えるよこ編み機を用いて、2本の針毎に1本の針(1)を使用して繊維製品をハーフゲージ編みする方法において、
使用する針(1)の間の2つのシンカ(4)から1つを前記よこ編み機から取り外すことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法を用いて得られることを特徴とする編まれた製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−16746(P2006−16746A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190010(P2005−190010)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(504208658)サラ リー コーポレーション (8)
【氏名又は名称原語表記】SARA LEE CORPORATION
【Fターム(参考)】