説明

バイアスコア不燃パネル

【課題】不燃性、難燃性のみならず、断熱性、保温性、遮音性を確保でき、かつ、堅牢性と軽量化を図ったドア、間仕切り、フラッシュパネル、壁体などとしての利用もでき、幅広い用途を有する不燃パネルを提供する。
【解決手段】保管および運搬に容積を取らない折り畳み可能なバイアスコア3を、主成分を水酸化マグネシウムとするガラス繊維ネットを内設させた無機素材から成る不燃ボード2でバイアスコア3をサンドイッチ状に挟んで構成した不燃パネル1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアスコアと水酸化マグネシウムを主成分とするボードから成る不燃性の建材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から不燃性建材については各種の構造が提案されてきた。それらの中でも水酸化マグネシウムは不燃性に優れた性状から不燃性建築材料として使用されていたが、主要材料成分が粒状あるいは粉末状であることから衝撃に対する脆さをもっているため繊維状補強材を使用するのが一般的であった。
【0003】
特開2008−133717においては、マグネシウム系無機質及び軽量チップを含むコア層の一面または両面にガラス繊維基布表面層を形成して軽量化を図ったセラミックボードおよび難燃性突き板が開示されている。しかし、セラミックボード自体の軽量化は図れても断熱性、保温性、遮音性など不十分なものであった。
【0004】
特開昭59−39391においては、水酸化マグネシウムにガラス繊維等の無機繊維物質や天然セルロース繊維、ナイロン繊維などの有機繊維を混合してプレスした難燃性合成建材を開示している。この合成建材においてはこれらの繊維状物質を混合することによって、補強性、軽量性、保釘力を付与している。しかし、この建材においては一定程度の耐衝撃性は得られるものの未だなお脆弱性を有しており、靭性に欠けるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−133717号公報
【特許文献2】特開昭59−39391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不燃性、難燃性のみならず、断熱性、保温性、遮音性を確保でき、かつ、堅牢性と軽量化を図ったドア、間仕切り、フラッシュパネル、壁材などとしての利用もでき幅広い用途を有する不燃パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
水酸化マグネシウムを主成分とした不燃ボードをバイアスコアの両面にサンドイッチ状に貼着して本発明の不燃パネルを構成した。不燃ボードにはガラス繊維ネットを内設させることが補強性をより強化することになり望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によればバイアスコアを開いた状態の両面に水酸化マグネシウムを主要成分とする無機不燃性ボードを貼着した構造であるので、コア部分に空気層が形成される。この空気層の存在により、断熱性、保温性および遮音性のあるパネル材とすることができる。
【0009】
芯材部分が紙製であり、バイアスコア構造にしてあるので、紙製シート材の厚みを変えることにより用途に応じた任意の厚さの不燃パネルの作成が容易であり、内部に多数の空気層を有することから堅牢性と軽量性も兼ね備えることができるパネルとなる。
【0010】
また、本発明のパネル材はコア層の表面層および裏面層の両面に水酸化マグネシウムを主成分とした不燃ボードによってサンドイッチ状構造のパネルとしたので、火災等の発生によりパネルが高温の加熱状態となったときには、不燃ボードの主成分である水酸化マグネシウム、Mg(OH)2は構成要素としてOH基を含むので、熱分解作用で水を放出することとなり、その際の気化熱による冷却効果を発揮してパネル全体を不燃化する。水酸化マグネシウムのボードにおける主成分としての含有量は不燃性効果と強度および成形性の観点から40重量%〜50重量%程度が好ましい。
【0011】
また、水酸化マグネシウムは本来人体に対する毒性は低く、安全な物質で、熱分解過程においても有害なガスを発生せず、極めて安全性の高い不燃剤でもある。
【0012】
ガラス繊維ネットは不燃ボード内に少なくとも一層埋設する必要があるが、不燃ボード内部の裏面側に近い方に一層、および表面側に近い方に一層の合計二層のガラス繊維ネット層を埋設形成することが対衝撃性の観点からより望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 本発明の断面図である。
【図2】 本発明を構成するバイアスコアの構造図である。
【図3】 本発明の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
本発明に係る不燃パネル1は、図1に断面図として示すように、上下2枚の不燃ボード2でバイアスコア3をサンドイッチ状に両側から挟むように貼り合わせた構成としている。
【0016】
図2はバイアスコア3の構造図を示し、パネル作成前の段階では薄い状態に折り畳むことができるので、保管および運搬にスペースを取らずに済む。
【0017】
バイアスコア部3には多数の長方形の空気層が形成されており、この空気層により断熱性および遮音性を確保することができ、不燃パネル1の軽量化も図ることができ、多数の空気層を構成する壁面部の存在が不燃パネル1へ強度を与えることとなる。
【0018】
バイアスコア3を広げて上下の端部に不燃ボード2をサンドイッチ状に貼着して図3に示す不燃パネル1(部分)を作成した。
不燃パネル1の厚さはバイアスコア3の厚みを変えることによってを調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
保管および運搬に容積を取らない折り畳み可能なバイアスコア3を、不燃ボード2でサンドイッチ状に挟んで構成したので断熱性および遮音性があり、かつ、不燃パネル1の厚みを増した場合でも堅牢性と軽量化を保つことができるので、ドア、間仕切り、フラッシュパネル、壁材、そのほかへの用途の広い不燃パネル1を提供できる。
【符合の説明】
【0020】
1 不燃パネル
2 不燃ボード
3 バイアスコア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアスコアを芯材として不燃ボードをサンドイッチ状に配置した構成を特徴とする不燃パネル。
【請求項2】
不燃ボードは水酸化マグネシウムを主成分としたことを特徴とする請求項1記載の不燃パネル。
【請求項3】
不燃ボードにガラス繊維ネットを内設したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の不燃パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−52398(P2012−52398A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207260(P2010−207260)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(503460149)
【Fターム(参考)】