バイオセンサ及びその製造方法、並びにそれを備えたバイオ感知装置
本発明は、上/下/左/右の4面において、バイオ感知が可能なバイオセンサ及びその製造方法と、このようなバイオセンサが複数に層状で配列されたバイオ感知装置が開示される。具体的に、本発明に係るバイオセンサは、バイオ物質を含む流体が流れる流体通路が形成された支持手段と、該支持手段に形成された前記流体通路において、3次元的に露出するよう前記支持手段の上部に配置され、前記流体通路を介して流入する前記バイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知手段とを備える。また、本発明に係るバイオ感知装置は、複数のバイオセンサを流体通路の方向に配列し、各々のバイオセンサは、相異なる反応物質を利用した化学的な表面処理を介して相異なるバイオ物質を吸着する。このようなバイオセンサ及び感知装置を介して高いバイオ物質に対する高い感知度及び選択性を獲得することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサ(bio−sensor)に関し、さらに詳細には、3次元及び多層構造を有するバイオセンサ及びその製造方法、並びにそれを備えたバイオ感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、バイオセンサは、生化学的な反応を用いて生体内に存在する生化学的な物質の濃度を電気化学的、光学的、または熱的などのような物理的な変数に変換する測定器を意味する。このようなバイオセンサは、臨床学的に価値のある生化学的な物質の濃度を測定する分野に幅広く応用され、多様なバイオセンサのうち、酵素と測定しようとする生化学的な物質間の反応を電気化学的な方法で検出する電気化学的なバイオセンサが最も広く使用されている。特に、人体内に挿入されて長期間人体内の血糖、コレステロール(cholesterol)、乳酸塩(lactate)などの物質を連続的に定量測定するセンサシステムには、現在の技術的レベルからみると、酵素の電気化学的な反応を利用したバイオセンサが最も適したものであると評価されている。
【0003】
バイオセンサに幅広く使用される電気化学的な方法としては、バイオセンサに吸着されるバイオ物質によってバイオセンサの電場が変化し、このように変化した電場に対応して変化するバイオセンサの電流を測定してバイオ物質を感知する方法と、ナノメートル(nanometer、nm)サイズのギャップ(gap)を製造し、そのギャップの間にバイオ物質が吸着されることによって発生するバイオセンサの電流の変化量を測定する方法などがある。
【0004】
図1は、従来技術に係るバイオセンサの構造を説明するために示す斜視図である。
同図に示すように、従来技術に係るバイオセンサは、支持部10と、支持部10上の中央を横切るように形成され、流入するバイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知部13と、感知部13を覆って感知部13と交差するよう水平方向に感知部13の中央部13Aにバイオ物質をガイドする蓋15とを備える。
【0005】
支持部10の上には感知部13が形成され、感知部13を保護するように蓋15がその上部に位置づけられる。このような支持部10は、単結晶シリコンからなる基板11からなり、その上面には感知部13との電気的な絶縁のために絶縁層12が形成されている。また、基板11の背面にも別途の絶縁層14が形成されている。
【0006】
蓋15は、感知部13と交差する方向に、中央部にバイオ物質をガイドするための流体通路15Aが形成されている。このような流体通路15Aはバイオ物質が流れる通路として機能し、流入されるバイオ物質を感知部13の中央部13Aにガイドする。
【0007】
感知部13には、蓋15に形成された流体通路15Aを介して流入されるバイオ物質を感知するためにバイオ物質と反応する反応物質が表面処理されており、その構造は普遍的に「ダンベル」状を有する。すなわち、左/右側部13Bは大きな幅を有し、相対的に感知領域の中央部13Aは狭い幅を有するよう形成される。このような感知部13は前述したように、流体通路15Aと交差する方向に支持部10の上部に形成される。
【0008】
一方、感知部13の左/右側部13Bには各々電極16が形成され、このような電極16は、外部の装置と接続して感知部13を介して感知された感知信号を前記外部装置に伝達する。
【0009】
このような構造を有する従来技術に係るバイオセンサの動作特性を説明すると次の通りである。
【0010】
同図に示すように、感知したいバイオ物質が蓋15に水平方向に形成された流体通路15Aの一側部に流入すると、バイオ物質は流体通路15Aを介して水平方向に流入し、中央部13Aにおいて感知部13と交差してから他側部に排出される。このとき、バイオ物質が感知部13と交差する過程において、バイオ物質は感知部13の3面に吸着される。すなわち、感知部13の背面は支持部10の上面により覆われているため、バイオ物質は実質的に中央部13Aの上面及び左右側の面にのみ吸着される。このような吸着過程において、バイオ物質は感知部13に表面処理された反応物質と反応し、このような反応によって感知部13を介して流れる電流は変わるようになる。このような電流の変化を電極16を介して測定することによってバイオ物質が感知される。
【0011】
しかし、同図に示された従来技術に係るバイオセンサは、次のような問題がある。
第1に、従来技術に係るバイオセンサでは、感知部13が流体通路15Aを介して流入するバイオ物質と水平方向に交差するように形成されることで、実質的にバイオ物質と接触する面が3面に制限される。このために感知部13に吸着されるバイオ物質の量がその分だけ減少する問題が発生する。その理由は、感知部13の背面が支持部10の上面と接触して、実質的にバイオ物質が感知部13の背面とは接触しないためである。すなわち、感知部13の背面は感知機能を行なうことができない。さらに、バイオ物質は、流体通路15A内で中央部が底部に比べて流速が速いことから、その分だけバイオ物質が感知部13に吸着される確率はさらに小さくなる。
【0012】
第2に、従来技術に係るバイオセンサでは、流体通路15Aを介して流入するバイオ物質の流れ方向に対向する感知部13の面が他の面よりも面積(横の長さ×縦の長さ)が相対的に小さな左右側面となっているため、感知部13に吸着されるバイオ物質の量がその分だけ減少する問題が発生する。具体的に、流体通路15Aは、幅及び高さが数十から数百マイクロ(micro、μ)で製造される一方、感知部13の高さ(H)は数十ナノミリメータであり、幅(W)は数十ナノミリメータから数百ナノミリメータのサイズを有するよう製造されているため、バイオ物質が感知部13に吸着される確率はきわめて低い。
【0013】
第3に、従来技術に係るバイオセンサでは、感知部13が単一構造で形成されているため、感知したいバイオ物質が変更された場合、変更されたバイオ物質と反応する反応物質を再度感知部13に表面処理しなければならないためその工程が複雑になり、別途の表面処理のための時間が要求されることで全体の工程時間が増加してしまう問題が発生する。
【0014】
上記の通りに、従来技術に係るバイオセンサ構造のように2次元的な構造を有するバイオセンサにおいて発生する問題、すなわち低いバイオ物質の吸着率、バイオ物質によって別途に実施される選択的な表面処理の困難さなどを克服するためには、3次元構造を有するバイオセンサ及び多層構造のバイオセンサの開発が切実に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明は、前述した従来技術の問題を解決するために提案されたものであって、次のような目的がある。
第1に、本発明はバイオ物質の吸着率を向上させることのできるバイオセンサを提供することにその目的がある。
第2に、本発明は多様なバイオ物質を含んだ流体内において多様なバイオ物質を同時に感知することのできるバイオセンサを提供することに他の目的がある。
第3に、本発明は多様なバイオ物質を含んだ流体内において多様なバイオ物質を同時に感知することができるように、複数のバイオセンサを備えたバイオ感知装置を提供することに更なる目的がある。
第4に、本発明は前述したバイオセンサの製造方法を提供することに更なる目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的を達成するための一側面に係る本発明は、バイオ物質を含む流体が流れる流体通路の形成された支持手段と、該支持手段の前記流体通路において3次元的に露出するよう前記支持手段の上部に配置され、前記流体通路を介して流入する前記バイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知手段と、を備えたバイオセンサを提供する。
【0017】
また、前述した目的を達成するための他の側面に係る本発明は、バイオ物質を含む流体が流入して排出するよう流入口及び排出口が形成されたチャンバと、複数のバイオセンサ(バイオ物質を含む流体が流れる流体通路の形成された支持手段と、該支持手段の前記流体通路を横切るよう前記支持手段の上部に配置され、前記流体通路を介して流入される前記バイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知手段と、を備えた複数のバイオセンサ)を備えたバイオ感知装置を提供する。
【0018】
また、前述した目的を達成するための更なる側面に係る本発明は、基板の上面に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上に感知部用の物質を蒸着するステップと、前記基板の背面にエッチング障壁層を形成するステップと、前記基板の背面の一部が露出するよう前記エッチング障壁層をエッチングするステップと、前記エッチング障壁層をエッチングマスクで前記基板及び前記絶縁層をエッチングし、前記感知部用の物質のうちの一部が露出する流体通路を形成するステップと、前記感知部用の物質をエッチングして前記流体通路を横切る感知部を形成するステップと、を含むバイオセンサの製造方法を提供する。
【0019】
前述したように、既存ではバイオセンサの流体の流れ通路がバイオ物質を感知する感知部と交差している方向に形成されていたが、感知部の1面が支持部に覆われている2次元的な構造を有することから、実際にはバイオ物質が吸着される面が3面に制限される。
【0020】
これによって、本発明では、バイオ物質が吸着される面が4面になるよう3次元の構造を有するバイオセンサ及びその製造方法を提供する。その具現手段としては、支持部の中央部に流体の流れ通路を上下方向(または左右方向)に形成し、感知部の4面のうちの少なくともいずれか1面にも支持部に覆われないよう、前記流体の流れ通路の上部に前記流体の流れ通路を横切る方向に前記感知部を配置し、前記流体の流れ通路を介して流入されるバイオ物質が前記感知部の4面に吸着されるようにする。
【0021】
前記感知部には、バイオ物質と反応を起こす反応物質が表面処理されており、このとき、バイオ物質は核酸及びたんぱく質を含んでいる抗原に該当し、反応物質は前記抗原と反応する抗体を意味する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、次のような効果を得ることができる。
第1に、本発明によると、支持部の中央部に流体通路を上下方向(または左右方向)に形成し、感知部の4面のうちの少なくともいずれか一面が支持部に覆われないように前記流体通路の上部に前記流体通路を横切る方向に前記感知部を配置することによって、前記流体通路を介して流入するバイオ物質が前記感知部の全面、すなわち4面のすべてに吸着されるようにして、バイオ物質の感知特性をさらに向上させることができる。
【0023】
第2に、本発明によると、相異なる多様な反応物質が各々の感知部に表面処理されている複数のバイオセンサを1つのチャンバ内に直列に挿入固定させることで、多様なバイオ物質を含んだ流体の流れを介して多様なバイオ物質を同時に感知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来技術に係るバイオセンサ(bio−sensor)を説明するために示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るバイオセンサを説明するために示す斜視図である。
【図3】図2に示されたバイオセンサの動作特性を説明するために示す概念図である。
【図4】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図5】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図6】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図7】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図8】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図9】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図10】本発明の実施形態2に係るバイオセンサを説明するために示す概念図である。
【図11】本発明の実施形態3に係るバイオセンサを説明するために示す斜視図である。
【図12】図11に示されたバイオセンサ及び締結部材を説明するために示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術的な思想を容易に実施できる程度で詳説するために、本発明の最も好ましい実施形態を添付した図面を参照して説明する。また、明細書の全体にわたって同じ図面符号(または参照符号)で表示された部分は同じ要素を示す。
【0026】
[実施形態1]
図2は、本発明の実施形態1に係るバイオセンサを説明するために示す斜視図である。
同図に示すように、本発明の実施形態1に係るバイオセンサ100は、中央部が上下方向に貫通し、バイオ物質が流れる流体通路115Aの形成された支持部110と、支持部110の流体通路115Aを横切るように形成され、流体通路115Aを介して流入するバイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知部113とを備える。
【0027】
支持部110は、基板111と、基板111の背面に形成されたエッチング障壁層114と、基板111の上面に形成された絶縁層112とからなる。基板111、エッチング障壁層114、及び絶縁層112の中央部には、各々互いに対応するように流体通路115Aが形成される。
【0028】
基板111は、感知部113を安定的に支持できるように上部面が平坦な板状の構造を有し、例えば、単結晶シリコン、ガラスまたはプラスチックを使用し得る。
【0029】
エッチング障壁層114は、基板111に流体通路115Aを形成するためのエッチング工程時に流体通路115Aが形成される部位を除外した他の部位が損傷することを防止するためのハードマスク(hard mask)として機能し、好ましくは基板111を構成している物質及びエッチングの選択比の高い物質で形成することが好ましい。例えば、基板111が単結晶シリコンからなる場合、窒化膜系、例えばシリコン窒化膜(SiN)の物質で形成される。その以外に、エッチング障壁層114は、酸化膜系、例えばシリコン酸化膜SiO2の物質で形成する。
【0030】
絶縁層112は、基板111及び感知部113が電気的に短絡することを遮断するために酸化膜系の物質で形成することができ、好ましくはシリコン酸化膜で形成する。また、絶縁層112は、導電性のない窒化膜系、例えばシリコン窒化膜で形成することもできる。
【0031】
感知部113は、支持部110の流体通路115Aを介して流入されるバイオ物質を感知するためにバイオ物質と反応する反応物質が表面処理され、その構造は、一例として「ダンベル」状を有する。「ダンベル」状の感知部113で比較的小さな幅を有する中央部113Aは実際にバイオ物質を感知する役割を行ない、中央部に比べて相対的に大幅を有する左右側部113Bは、中央部113Aで感知された感知信号を電極116に伝達するチャネル(channel)の役割を行なう。このような感知部113は、流体通路115Aと交差する方向に支持部110上の中央に位置づけられる。
【0032】
一方、感知部113の左/右側部113Bには、各々電極116が形成され、このような電極116は外部の装置と連結して感知部113を介して感知された感知信号を前記した外部装置に伝達する。
【0033】
以下、本発明の実施形態1に係るバイオセンサ100の動作特性を図3を結びつけて説明すると次の通りである。同図は、図2に示されたバイオセンサ100を簡略化して図示したものである。
【0034】
図3に示すように、まず、表面処理を介して感知部113の表面に感知したいバイオ物質と反応する反応物質120を吸着させる。このように、表面に反応物質120が吸着された状態で、支持部110の上下方向に貫通する流体通路115Aの一方にバイオ物質を含む物質が流入されると、バイオ物質は、流体通路115Aを介して上下方向に流入して感知部113の中央部113Aと交差した後、他側部に排出される。このとき、バイオ物質130が感知部113と交差する過程において、バイオ物質130は、感知部113の4面(+Z軸方向、−Z軸方向、−X軸方向、+X軸方向)に吸着される。このような吸着過程において、バイオ物質は、感知部113に表面処理された反応物質120と化学反応し、このような反応によって感知部113を介して流れる電流は変わる。かかる電流の変化を、電極116を介して測定することによってバイオ物質が感知される。
【0035】
図2及び図3を介して説明したように、本発明の実施形態1に係るバイオセンサ100は、バイオ物質が4面に吸着されるようにバイオセンサを3次元構造に製造することによって、図1に示された従来技術に係る2次元構造を有するバイオセンサに比べてバイオ物質が吸着される面積を大きく増加させることができる。また、バイオ物質を含んでいる流体が感知部113の中央部113Aを通過させることによって、バイオ物質と感知部113との間の接触頻度数が増加し、バイオ物質の感知能力を向上させることができる。
【0036】
以下、図2に示された本発明の実施形態1に係るバイオセンサ100の製造方法を、図4ないし図9を結び付けて具体的に説明する。ここで、図4ないし図9は、バイオセンサ100の製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【0037】
まず、図4に示すように、基板111を備える。このとき、基板111は、半導体製造工程において幅広く使用される単結晶シリコン、ガラスまたはプラスチックを使用する。
【0038】
次に、基板111の上面に絶縁層112を蒸着する。このとき、絶縁層112は、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはPVD(Physical Vapor Deposition)方式により蒸着し得る。また、スピンコート(spin−coating)方式を用いて塗布し得る。ここで、絶縁層112は、基板111と後続する工程を介して形成される感知部113(図2参照)とを電気的に遮断させるために、酸化膜系または非伝導性の窒化膜系の断層膜、またはそれらが少なくとも2種類以上積層された構造を有する積層膜で形成され得る。
【0039】
例えば、酸化膜系の膜としては、HDP(High Density Plasma)、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、PETEOS(Plasma Enhanced Tetra Ethyle Ortho Silicate)、USG(Un−doped Silicate Glass)、FSG(Fluorinated Silicate Glass)、CDO(Carbon Doped Oxide)及びOSG(Organo Silicate Glass)膜などがある。また、窒化膜系の膜としてはシリコン窒化膜などがある。
【0040】
次に、絶縁層112上に感知部用の物質113(説明の便宜のために感知部を指示する図面符号と同じ図面符号を使用する)を蒸着する。このとき、感知部用の物質113としては、電気的に外部電場によって電気的な特性が変化する物質のすべてを使用し得る。例えば、結晶質シリコン、非晶質シリコン、ドープ(doped)シリコンなどを使用する。このとき、ドープシリコンは、p型またはn型不純物イオンを介してドーピング処理される。
【0041】
次に、図5に示すように、基板111を180°回転させて基板111の背面が上部に向かうよう基板111を位置づけてから、基板111の背面にエッチング障壁層114を蒸着する。このとき、エッチング障壁層114は、絶縁層112とのエッチング選択比を考慮して、絶縁層112が酸化膜系の膜で形成された場合は窒化膜系の膜で形成し、その反対に窒化膜系の膜で形成された場合は酸化膜系の膜で形成し得る。
【0042】
一方、示されていないが、エッチング障壁層114は、基板111の上面にも蒸着され得る。その理由は、後続するエッチング障壁層114のエッチング工程をウェットエッチング工程で進行する場合、基板111の上面に蒸着された絶縁層112がエッチング溶液によって損傷することを防止するためである。例えば、ウェットエッチング工程は、普遍的に基板111の全面がエッチング溶液を入れた器にすべてが浸るよう工程が進行することによって、基板111の背面のみならず、上面に蒸着された絶縁層112もエッチング溶液にさらされて損傷する。これを防止するために、後続するエッチング工程をウェットエッチング工程として採択した場合、基板111の上面にもエッチング障壁層114を形成する必要がある。これに対して、ドライエッチング工程の場合、エッチングガスを利用するため実質的に基板111にのみエッチング障壁層114が蒸着されても構わない。
【0043】
次に、エッチング障壁層114の上部に感光膜(図示せず)を塗布した後、フォトマスク(photomask)を利用した露光及び現像工程を実施することで感光膜パターン(図示せず)を形成する。
【0044】
次に、前記感光膜パターンをエッチングマスクとして利用したエッチング工程を実施してエッチング障壁層114をエッチングする。このとき、エッチング工程は、ドライエッチング工程で実施することが好ましく、ドライエッチング工程のとき、基板111とエッチング障壁層114との間のエッチング選択比を考慮したエッチング条件で工程を行い、選択的にエッチング障壁層114をエッチングする。これによって、エッチング障壁層114の中央部には基板111の背面のうちの一部が露出するホール115が形成される。
【0045】
次に、図7に示すように、前記感光膜パターンをエッチングマスクとして利用したエッチング工程を実施し、ホール115を介して露出する基板111及び絶縁層112を順次エッチングする。これによって、感知部用の物質113が露出する流体通路115Aが形成される。
【0046】
一方、同図に示すように、前記エッチング工程を進行する前に、前記感光膜パターンを除去した後、エッチング障壁層114をエッチングマスクとして用いて基板111及び絶縁層112を順次エッチングすることができる。この場合、エッチング工程はエッチング障壁層114と基板111との間のエッチング選択比を高くすることで、選択的に基板111及び絶縁層112のみをエッチングすることが好ましい。
【0047】
次に、図8に示すように、基板111を180゜回転させて基板111の上面が上部に向かうよう基板111を位置づけてから、感知部用の物質113上に感光膜の塗布、露光及び現像工程を順次に実施することで感光膜パターン(図示せず)を形成する。
【0048】
次に、前記感光膜パターンをエッチングマスクとして利用したエッチング工程を実施し、感知部用の物質113をエッチングする。これによって、感知部113が形成される。感知部113は、一例として「ダンベル」状を有する。すなわち、感知部113は、流体通路115Aを横切る中央部113Aが絶縁層112の上部と重畳する左/右側部113Bの幅よりも狭く形成される。
【0049】
次に、図9に示すように、感知部113が形成された全体の構造上に電極用物質116(説明の便宜のために電極を指示する図面符号と同じ図面符号を使用する)を蒸着する。このとき、電極用物質116は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)のような一群の金属電極のうちの選択されたいずれか1つの金属電極を使用するか、チタニウム窒化膜(TiN)、タンタル窒化膜(TaN)、タングステン窒化膜(WN)、ハフニウム窒化膜(HfN)、ジルコニウム窒化膜(ZrN)のような一群の窒化物電極のうちの選択されたいずれか1つの窒化物電極を使用し得る。また、ルテニウム/ルテニウム酸化膜(Ru/RuO2)、イリジウム/イリジウム酸化膜(Ir/IrO2)などのように金属電極及び酸化物電極の積層された構造に形成するか、ストロンチウムルテニウム酸化膜(SrRuO3)のように酸化物の電極に形成することができる。また、金属にシリコンが結合された金属シリサイド、例えばコバルトシリサイド(CoSi2)、チタニウムシリサイド(TiSi2)などに形成し得る。
【0050】
次に、エッチングマスクの形成工程及び前記エッチングマスクを利用したエッチング工程を実施し、電極用物質116をエッチングする。これによって、感知部113の左/右側部113B上に電極116が形成される。
【0051】
次に、流体通路115Aを介して感知したいバイオ物質と反応することのできる反応物質120(図3参照)を流し、感知部113の中央部113Aに吸着させる。
前記のような工程ステップを介してバイオセンサを完成する。
【0052】
[実施形態2]
図10は、本発明の実施形態2に係るバイオセンサを説明するために示す概念図である。
同図に示すように、本発明の実施形態2に係るバイオセンサは、実施形態1に係るバイオセンサと同じ方法で製造される。ただ、実施形態1では、1つの流体通路115Aに1つの感知部113が横切るよう製造されるが、実施形態2では、1つの流体通路210Aに複数の感知部211が横切るように製造される。これによって、流体通路115Aを介して流れるバイオ物質が吸着される全体感知部211の面積を増大させることで、本発明の実施形態1よりもさらに高いバイオ物質の感知特性を得ることができる。
【0053】
また、本発明の実施形態2では、複数の感知部211の表面に各々相異なる多様な反応物質が吸着されるよう製造することができる。これを介して、多様なバイオ物質を含む流体が流体通路115Aを介して流入する場合にも各々相異なる反応物質が吸着された感知部211を介して多様なバイオ物質を同時に感知することができる。
【0054】
一方、同図において説明のない「210」は支持部であり、「212」は電極、「211A」は感知部211の中央部であって、実際にバイオ物質が吸着される領域であり、「211B」は感知部211の中央部211Aを介して感知された感知信号を電極212に伝達する領域である。
【0055】
[実施形態3]
図11は、本発明の実施形態3に係る複数のバイオセンサを備えたバイオ感知装置を説明するために示す斜視図である。同図において、図2に示された図面符号と同じ図面符号は同じ構成要素を意味する。これによって、同じ構成要素に対する具体的な説明は省略する。
【0056】
同図に示すように、本発明の実施形態3に係るバイオセンサを備えたバイオ感知装置は、バイオ物質を含む流体が一側部に流入して他側部に排出するよう、互いに対向している方向に流入口300A及び排出口300Bを備えたチャンバ(chamber)300と、流体通路115A(図2参照)が流入口300A及び排出口300Bと互いに対向している方向に位置されるようチャンバ300内に直列に挿入固定された複数のバイオセンサ100と、流体通路115Aと対応している部位に貫通ホール400Aが穿孔されており、隣接のバイオセンサ100を互いに接着締結するための締結部材400とを備える。
【0057】
チャンバ300は長方形の構造を有し、長軸方向に一側部には流入口300Aが備えられ、他側部には排出口300Bが備えられている。流入口300Aと排出口300Bとの間には複数のバイオセンサ100が挿入固定されている。ここで、チャンバ300の構造は長方形の構造に限定されず、バイオセンサ100の形状に応じて三角形、正四角形、六角形、八角形または円形などのように様々な形態に変えられ得る。
【0058】
締結部材400は、バイオセンサ100と共にチャンバ300内に挿入固定されるように外周面がバイオセンサ100と同じ形態を有する。また、チャンバ300の流入口300A及び排出口300Bと対向している部位に貫通ホール400Aが穿孔されており、チャンバ300の挿入後に流入口300A及び排出口300Bと貫通ホール400Aとは同じ線上に位置づけられる。
【0059】
このような締結部材400として、隣接するバイオセンサ100を互いに容易かつ簡単に接着締結するために、接着機能を有する物質を単独で使用したり、前述した接着機能を有する物質が表面処理された構造体を使用し得る。このとき、前記構造体は半導体材料として形成され得る。また、接着機能のない構造体の使用もあり得る。
【0060】
締結部材400は、PDMS(Poly−Dimethyl Siloxane)のような軟らかい物質を使用し、素子の流動性及び安定性を高めることができる。
【0061】
例えば、接着剤の機能を有する物質としては、分子を含む親水性(hydrophilic)を高める物質であって、APTES(Amino Propyl TriEthoxy Silane)、APTMS((3−Amino Propyl)TriMethoxy Silane)を含むシラン(silane)基を有する全ての化学物質を使用し得る。
【0062】
複数の単位バイオセンサ100は、図2及び図10に示すような単位バイオセンサであって、相異なる反応物質を表面処理することができ、これを介してバイオ感知装置を介して流入される多様なバイオ物質を同時に感知することができる。
【0063】
一方、図11に示すように、本発明の実施形態3に係るバイオセンサを備えたバイオ感知装置は、複数のバイオセンサ100から各々出力される感知信号を測定するための測定部500をさらに備える。ここで、感知信号とは、バイオ物質がバイオセンサ100の感知部113(図2参照)に吸着された反応物質120(図3参照)と化学反応し、このような反応に起因した感知部113を介して流れる電流の変化量を意味する。
【0064】
以下、本発明の実施形態3に係るバイオ感知装置の動作特性を説明すれば、次の通りである。
図11に示すように、多様なバイオ物質を含む流体(または1種類のバイオ物質を含む流体)がチャンバ300の流入口300Aを介して流入されると、流体は互いに交番に締結された複数の締結部材400の貫通ホール400Aとバイオセンサ100の流体通路115A(図2参照)とを経由して後端のチャンバ300の排出口300Bに排出される。このとき、複数のバイオセンサ100の各々の感知部113(図2参照)には、多様なバイオ物質と各々の化学反応を起こす反応物質とが表面処理されているため、流体通路115Aを介して流れる流体に含まれたバイオ物質は、自体と化学的な反応を起こす反応物質が表面処理されたバイオセンサ100の感知部113(図2参照)に吸着される。このような吸着(化学反応)の過程に起因して感知部113を介して流れる電流の量は変化し、かかる電流の変化量は測定部400を介して測定される。
【0065】
このように、本発明の実施形態3に係るバイオ感知装置は、相異なる多様な反応物質が各々の感知部113に表面処理されている複数のバイオセンサ100を1つのチャンバ300内で直列に挿入固定させることによって、多様なバイオ物質を含んだ流体の流れを介して多様なバイオ物質を同時に感知できる効果が得られる。
【0066】
一方、図12は、図11に示された本発明の実施形態3に係るバイオ感知装置において、バイオセンサ100と締結部材400とが互いに締結された状態を示す斜視図である。
【0067】
一方、前述したように、本発明の実施形態では、単一の半導体基板(Si基板、Ge基板など)に対してのみ説明されているが、これは一例であって、SOI(Silicon On Insulator)基板も可能である。SOI基板は、埋め立て酸化シリコン層を有しているため、別途の絶縁層を形成する必要がなく、素子をSOIの基板上に形成されたときに基板に対する素子の孤立を確実に行なうことができる。そのため、素子間の漏れ電流が少なくなり、動作特性を改善させ得る。このようなSOI基板の製造方法として、SOS(Silicon On Sapphire)法、またはSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)法などが挙げられる。
【0068】
前記で説明したように、本発明の技術的な思想は好ましい実施形態のように具体的に記述したが、前記した実施形態はその説明のためのものであって、その制限のためのものでないことを注意すべきである。また、本発明は、この技術分野の通常の専門家ならば本発明の技術思想の範囲内で多様な実施形態が可能であることを理解することができるである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサ(bio−sensor)に関し、さらに詳細には、3次元及び多層構造を有するバイオセンサ及びその製造方法、並びにそれを備えたバイオ感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、バイオセンサは、生化学的な反応を用いて生体内に存在する生化学的な物質の濃度を電気化学的、光学的、または熱的などのような物理的な変数に変換する測定器を意味する。このようなバイオセンサは、臨床学的に価値のある生化学的な物質の濃度を測定する分野に幅広く応用され、多様なバイオセンサのうち、酵素と測定しようとする生化学的な物質間の反応を電気化学的な方法で検出する電気化学的なバイオセンサが最も広く使用されている。特に、人体内に挿入されて長期間人体内の血糖、コレステロール(cholesterol)、乳酸塩(lactate)などの物質を連続的に定量測定するセンサシステムには、現在の技術的レベルからみると、酵素の電気化学的な反応を利用したバイオセンサが最も適したものであると評価されている。
【0003】
バイオセンサに幅広く使用される電気化学的な方法としては、バイオセンサに吸着されるバイオ物質によってバイオセンサの電場が変化し、このように変化した電場に対応して変化するバイオセンサの電流を測定してバイオ物質を感知する方法と、ナノメートル(nanometer、nm)サイズのギャップ(gap)を製造し、そのギャップの間にバイオ物質が吸着されることによって発生するバイオセンサの電流の変化量を測定する方法などがある。
【0004】
図1は、従来技術に係るバイオセンサの構造を説明するために示す斜視図である。
同図に示すように、従来技術に係るバイオセンサは、支持部10と、支持部10上の中央を横切るように形成され、流入するバイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知部13と、感知部13を覆って感知部13と交差するよう水平方向に感知部13の中央部13Aにバイオ物質をガイドする蓋15とを備える。
【0005】
支持部10の上には感知部13が形成され、感知部13を保護するように蓋15がその上部に位置づけられる。このような支持部10は、単結晶シリコンからなる基板11からなり、その上面には感知部13との電気的な絶縁のために絶縁層12が形成されている。また、基板11の背面にも別途の絶縁層14が形成されている。
【0006】
蓋15は、感知部13と交差する方向に、中央部にバイオ物質をガイドするための流体通路15Aが形成されている。このような流体通路15Aはバイオ物質が流れる通路として機能し、流入されるバイオ物質を感知部13の中央部13Aにガイドする。
【0007】
感知部13には、蓋15に形成された流体通路15Aを介して流入されるバイオ物質を感知するためにバイオ物質と反応する反応物質が表面処理されており、その構造は普遍的に「ダンベル」状を有する。すなわち、左/右側部13Bは大きな幅を有し、相対的に感知領域の中央部13Aは狭い幅を有するよう形成される。このような感知部13は前述したように、流体通路15Aと交差する方向に支持部10の上部に形成される。
【0008】
一方、感知部13の左/右側部13Bには各々電極16が形成され、このような電極16は、外部の装置と接続して感知部13を介して感知された感知信号を前記外部装置に伝達する。
【0009】
このような構造を有する従来技術に係るバイオセンサの動作特性を説明すると次の通りである。
【0010】
同図に示すように、感知したいバイオ物質が蓋15に水平方向に形成された流体通路15Aの一側部に流入すると、バイオ物質は流体通路15Aを介して水平方向に流入し、中央部13Aにおいて感知部13と交差してから他側部に排出される。このとき、バイオ物質が感知部13と交差する過程において、バイオ物質は感知部13の3面に吸着される。すなわち、感知部13の背面は支持部10の上面により覆われているため、バイオ物質は実質的に中央部13Aの上面及び左右側の面にのみ吸着される。このような吸着過程において、バイオ物質は感知部13に表面処理された反応物質と反応し、このような反応によって感知部13を介して流れる電流は変わるようになる。このような電流の変化を電極16を介して測定することによってバイオ物質が感知される。
【0011】
しかし、同図に示された従来技術に係るバイオセンサは、次のような問題がある。
第1に、従来技術に係るバイオセンサでは、感知部13が流体通路15Aを介して流入するバイオ物質と水平方向に交差するように形成されることで、実質的にバイオ物質と接触する面が3面に制限される。このために感知部13に吸着されるバイオ物質の量がその分だけ減少する問題が発生する。その理由は、感知部13の背面が支持部10の上面と接触して、実質的にバイオ物質が感知部13の背面とは接触しないためである。すなわち、感知部13の背面は感知機能を行なうことができない。さらに、バイオ物質は、流体通路15A内で中央部が底部に比べて流速が速いことから、その分だけバイオ物質が感知部13に吸着される確率はさらに小さくなる。
【0012】
第2に、従来技術に係るバイオセンサでは、流体通路15Aを介して流入するバイオ物質の流れ方向に対向する感知部13の面が他の面よりも面積(横の長さ×縦の長さ)が相対的に小さな左右側面となっているため、感知部13に吸着されるバイオ物質の量がその分だけ減少する問題が発生する。具体的に、流体通路15Aは、幅及び高さが数十から数百マイクロ(micro、μ)で製造される一方、感知部13の高さ(H)は数十ナノミリメータであり、幅(W)は数十ナノミリメータから数百ナノミリメータのサイズを有するよう製造されているため、バイオ物質が感知部13に吸着される確率はきわめて低い。
【0013】
第3に、従来技術に係るバイオセンサでは、感知部13が単一構造で形成されているため、感知したいバイオ物質が変更された場合、変更されたバイオ物質と反応する反応物質を再度感知部13に表面処理しなければならないためその工程が複雑になり、別途の表面処理のための時間が要求されることで全体の工程時間が増加してしまう問題が発生する。
【0014】
上記の通りに、従来技術に係るバイオセンサ構造のように2次元的な構造を有するバイオセンサにおいて発生する問題、すなわち低いバイオ物質の吸着率、バイオ物質によって別途に実施される選択的な表面処理の困難さなどを克服するためには、3次元構造を有するバイオセンサ及び多層構造のバイオセンサの開発が切実に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明は、前述した従来技術の問題を解決するために提案されたものであって、次のような目的がある。
第1に、本発明はバイオ物質の吸着率を向上させることのできるバイオセンサを提供することにその目的がある。
第2に、本発明は多様なバイオ物質を含んだ流体内において多様なバイオ物質を同時に感知することのできるバイオセンサを提供することに他の目的がある。
第3に、本発明は多様なバイオ物質を含んだ流体内において多様なバイオ物質を同時に感知することができるように、複数のバイオセンサを備えたバイオ感知装置を提供することに更なる目的がある。
第4に、本発明は前述したバイオセンサの製造方法を提供することに更なる目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的を達成するための一側面に係る本発明は、バイオ物質を含む流体が流れる流体通路の形成された支持手段と、該支持手段の前記流体通路において3次元的に露出するよう前記支持手段の上部に配置され、前記流体通路を介して流入する前記バイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知手段と、を備えたバイオセンサを提供する。
【0017】
また、前述した目的を達成するための他の側面に係る本発明は、バイオ物質を含む流体が流入して排出するよう流入口及び排出口が形成されたチャンバと、複数のバイオセンサ(バイオ物質を含む流体が流れる流体通路の形成された支持手段と、該支持手段の前記流体通路を横切るよう前記支持手段の上部に配置され、前記流体通路を介して流入される前記バイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知手段と、を備えた複数のバイオセンサ)を備えたバイオ感知装置を提供する。
【0018】
また、前述した目的を達成するための更なる側面に係る本発明は、基板の上面に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上に感知部用の物質を蒸着するステップと、前記基板の背面にエッチング障壁層を形成するステップと、前記基板の背面の一部が露出するよう前記エッチング障壁層をエッチングするステップと、前記エッチング障壁層をエッチングマスクで前記基板及び前記絶縁層をエッチングし、前記感知部用の物質のうちの一部が露出する流体通路を形成するステップと、前記感知部用の物質をエッチングして前記流体通路を横切る感知部を形成するステップと、を含むバイオセンサの製造方法を提供する。
【0019】
前述したように、既存ではバイオセンサの流体の流れ通路がバイオ物質を感知する感知部と交差している方向に形成されていたが、感知部の1面が支持部に覆われている2次元的な構造を有することから、実際にはバイオ物質が吸着される面が3面に制限される。
【0020】
これによって、本発明では、バイオ物質が吸着される面が4面になるよう3次元の構造を有するバイオセンサ及びその製造方法を提供する。その具現手段としては、支持部の中央部に流体の流れ通路を上下方向(または左右方向)に形成し、感知部の4面のうちの少なくともいずれか1面にも支持部に覆われないよう、前記流体の流れ通路の上部に前記流体の流れ通路を横切る方向に前記感知部を配置し、前記流体の流れ通路を介して流入されるバイオ物質が前記感知部の4面に吸着されるようにする。
【0021】
前記感知部には、バイオ物質と反応を起こす反応物質が表面処理されており、このとき、バイオ物質は核酸及びたんぱく質を含んでいる抗原に該当し、反応物質は前記抗原と反応する抗体を意味する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、次のような効果を得ることができる。
第1に、本発明によると、支持部の中央部に流体通路を上下方向(または左右方向)に形成し、感知部の4面のうちの少なくともいずれか一面が支持部に覆われないように前記流体通路の上部に前記流体通路を横切る方向に前記感知部を配置することによって、前記流体通路を介して流入するバイオ物質が前記感知部の全面、すなわち4面のすべてに吸着されるようにして、バイオ物質の感知特性をさらに向上させることができる。
【0023】
第2に、本発明によると、相異なる多様な反応物質が各々の感知部に表面処理されている複数のバイオセンサを1つのチャンバ内に直列に挿入固定させることで、多様なバイオ物質を含んだ流体の流れを介して多様なバイオ物質を同時に感知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来技術に係るバイオセンサ(bio−sensor)を説明するために示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るバイオセンサを説明するために示す斜視図である。
【図3】図2に示されたバイオセンサの動作特性を説明するために示す概念図である。
【図4】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図5】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図6】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図7】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図8】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図9】図2に示されたバイオセンサの製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【図10】本発明の実施形態2に係るバイオセンサを説明するために示す概念図である。
【図11】本発明の実施形態3に係るバイオセンサを説明するために示す斜視図である。
【図12】図11に示されたバイオセンサ及び締結部材を説明するために示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術的な思想を容易に実施できる程度で詳説するために、本発明の最も好ましい実施形態を添付した図面を参照して説明する。また、明細書の全体にわたって同じ図面符号(または参照符号)で表示された部分は同じ要素を示す。
【0026】
[実施形態1]
図2は、本発明の実施形態1に係るバイオセンサを説明するために示す斜視図である。
同図に示すように、本発明の実施形態1に係るバイオセンサ100は、中央部が上下方向に貫通し、バイオ物質が流れる流体通路115Aの形成された支持部110と、支持部110の流体通路115Aを横切るように形成され、流体通路115Aを介して流入するバイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知部113とを備える。
【0027】
支持部110は、基板111と、基板111の背面に形成されたエッチング障壁層114と、基板111の上面に形成された絶縁層112とからなる。基板111、エッチング障壁層114、及び絶縁層112の中央部には、各々互いに対応するように流体通路115Aが形成される。
【0028】
基板111は、感知部113を安定的に支持できるように上部面が平坦な板状の構造を有し、例えば、単結晶シリコン、ガラスまたはプラスチックを使用し得る。
【0029】
エッチング障壁層114は、基板111に流体通路115Aを形成するためのエッチング工程時に流体通路115Aが形成される部位を除外した他の部位が損傷することを防止するためのハードマスク(hard mask)として機能し、好ましくは基板111を構成している物質及びエッチングの選択比の高い物質で形成することが好ましい。例えば、基板111が単結晶シリコンからなる場合、窒化膜系、例えばシリコン窒化膜(SiN)の物質で形成される。その以外に、エッチング障壁層114は、酸化膜系、例えばシリコン酸化膜SiO2の物質で形成する。
【0030】
絶縁層112は、基板111及び感知部113が電気的に短絡することを遮断するために酸化膜系の物質で形成することができ、好ましくはシリコン酸化膜で形成する。また、絶縁層112は、導電性のない窒化膜系、例えばシリコン窒化膜で形成することもできる。
【0031】
感知部113は、支持部110の流体通路115Aを介して流入されるバイオ物質を感知するためにバイオ物質と反応する反応物質が表面処理され、その構造は、一例として「ダンベル」状を有する。「ダンベル」状の感知部113で比較的小さな幅を有する中央部113Aは実際にバイオ物質を感知する役割を行ない、中央部に比べて相対的に大幅を有する左右側部113Bは、中央部113Aで感知された感知信号を電極116に伝達するチャネル(channel)の役割を行なう。このような感知部113は、流体通路115Aと交差する方向に支持部110上の中央に位置づけられる。
【0032】
一方、感知部113の左/右側部113Bには、各々電極116が形成され、このような電極116は外部の装置と連結して感知部113を介して感知された感知信号を前記した外部装置に伝達する。
【0033】
以下、本発明の実施形態1に係るバイオセンサ100の動作特性を図3を結びつけて説明すると次の通りである。同図は、図2に示されたバイオセンサ100を簡略化して図示したものである。
【0034】
図3に示すように、まず、表面処理を介して感知部113の表面に感知したいバイオ物質と反応する反応物質120を吸着させる。このように、表面に反応物質120が吸着された状態で、支持部110の上下方向に貫通する流体通路115Aの一方にバイオ物質を含む物質が流入されると、バイオ物質は、流体通路115Aを介して上下方向に流入して感知部113の中央部113Aと交差した後、他側部に排出される。このとき、バイオ物質130が感知部113と交差する過程において、バイオ物質130は、感知部113の4面(+Z軸方向、−Z軸方向、−X軸方向、+X軸方向)に吸着される。このような吸着過程において、バイオ物質は、感知部113に表面処理された反応物質120と化学反応し、このような反応によって感知部113を介して流れる電流は変わる。かかる電流の変化を、電極116を介して測定することによってバイオ物質が感知される。
【0035】
図2及び図3を介して説明したように、本発明の実施形態1に係るバイオセンサ100は、バイオ物質が4面に吸着されるようにバイオセンサを3次元構造に製造することによって、図1に示された従来技術に係る2次元構造を有するバイオセンサに比べてバイオ物質が吸着される面積を大きく増加させることができる。また、バイオ物質を含んでいる流体が感知部113の中央部113Aを通過させることによって、バイオ物質と感知部113との間の接触頻度数が増加し、バイオ物質の感知能力を向上させることができる。
【0036】
以下、図2に示された本発明の実施形態1に係るバイオセンサ100の製造方法を、図4ないし図9を結び付けて具体的に説明する。ここで、図4ないし図9は、バイオセンサ100の製造方法を説明するために示す工程斜視図である。
【0037】
まず、図4に示すように、基板111を備える。このとき、基板111は、半導体製造工程において幅広く使用される単結晶シリコン、ガラスまたはプラスチックを使用する。
【0038】
次に、基板111の上面に絶縁層112を蒸着する。このとき、絶縁層112は、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはPVD(Physical Vapor Deposition)方式により蒸着し得る。また、スピンコート(spin−coating)方式を用いて塗布し得る。ここで、絶縁層112は、基板111と後続する工程を介して形成される感知部113(図2参照)とを電気的に遮断させるために、酸化膜系または非伝導性の窒化膜系の断層膜、またはそれらが少なくとも2種類以上積層された構造を有する積層膜で形成され得る。
【0039】
例えば、酸化膜系の膜としては、HDP(High Density Plasma)、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、PETEOS(Plasma Enhanced Tetra Ethyle Ortho Silicate)、USG(Un−doped Silicate Glass)、FSG(Fluorinated Silicate Glass)、CDO(Carbon Doped Oxide)及びOSG(Organo Silicate Glass)膜などがある。また、窒化膜系の膜としてはシリコン窒化膜などがある。
【0040】
次に、絶縁層112上に感知部用の物質113(説明の便宜のために感知部を指示する図面符号と同じ図面符号を使用する)を蒸着する。このとき、感知部用の物質113としては、電気的に外部電場によって電気的な特性が変化する物質のすべてを使用し得る。例えば、結晶質シリコン、非晶質シリコン、ドープ(doped)シリコンなどを使用する。このとき、ドープシリコンは、p型またはn型不純物イオンを介してドーピング処理される。
【0041】
次に、図5に示すように、基板111を180°回転させて基板111の背面が上部に向かうよう基板111を位置づけてから、基板111の背面にエッチング障壁層114を蒸着する。このとき、エッチング障壁層114は、絶縁層112とのエッチング選択比を考慮して、絶縁層112が酸化膜系の膜で形成された場合は窒化膜系の膜で形成し、その反対に窒化膜系の膜で形成された場合は酸化膜系の膜で形成し得る。
【0042】
一方、示されていないが、エッチング障壁層114は、基板111の上面にも蒸着され得る。その理由は、後続するエッチング障壁層114のエッチング工程をウェットエッチング工程で進行する場合、基板111の上面に蒸着された絶縁層112がエッチング溶液によって損傷することを防止するためである。例えば、ウェットエッチング工程は、普遍的に基板111の全面がエッチング溶液を入れた器にすべてが浸るよう工程が進行することによって、基板111の背面のみならず、上面に蒸着された絶縁層112もエッチング溶液にさらされて損傷する。これを防止するために、後続するエッチング工程をウェットエッチング工程として採択した場合、基板111の上面にもエッチング障壁層114を形成する必要がある。これに対して、ドライエッチング工程の場合、エッチングガスを利用するため実質的に基板111にのみエッチング障壁層114が蒸着されても構わない。
【0043】
次に、エッチング障壁層114の上部に感光膜(図示せず)を塗布した後、フォトマスク(photomask)を利用した露光及び現像工程を実施することで感光膜パターン(図示せず)を形成する。
【0044】
次に、前記感光膜パターンをエッチングマスクとして利用したエッチング工程を実施してエッチング障壁層114をエッチングする。このとき、エッチング工程は、ドライエッチング工程で実施することが好ましく、ドライエッチング工程のとき、基板111とエッチング障壁層114との間のエッチング選択比を考慮したエッチング条件で工程を行い、選択的にエッチング障壁層114をエッチングする。これによって、エッチング障壁層114の中央部には基板111の背面のうちの一部が露出するホール115が形成される。
【0045】
次に、図7に示すように、前記感光膜パターンをエッチングマスクとして利用したエッチング工程を実施し、ホール115を介して露出する基板111及び絶縁層112を順次エッチングする。これによって、感知部用の物質113が露出する流体通路115Aが形成される。
【0046】
一方、同図に示すように、前記エッチング工程を進行する前に、前記感光膜パターンを除去した後、エッチング障壁層114をエッチングマスクとして用いて基板111及び絶縁層112を順次エッチングすることができる。この場合、エッチング工程はエッチング障壁層114と基板111との間のエッチング選択比を高くすることで、選択的に基板111及び絶縁層112のみをエッチングすることが好ましい。
【0047】
次に、図8に示すように、基板111を180゜回転させて基板111の上面が上部に向かうよう基板111を位置づけてから、感知部用の物質113上に感光膜の塗布、露光及び現像工程を順次に実施することで感光膜パターン(図示せず)を形成する。
【0048】
次に、前記感光膜パターンをエッチングマスクとして利用したエッチング工程を実施し、感知部用の物質113をエッチングする。これによって、感知部113が形成される。感知部113は、一例として「ダンベル」状を有する。すなわち、感知部113は、流体通路115Aを横切る中央部113Aが絶縁層112の上部と重畳する左/右側部113Bの幅よりも狭く形成される。
【0049】
次に、図9に示すように、感知部113が形成された全体の構造上に電極用物質116(説明の便宜のために電極を指示する図面符号と同じ図面符号を使用する)を蒸着する。このとき、電極用物質116は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)のような一群の金属電極のうちの選択されたいずれか1つの金属電極を使用するか、チタニウム窒化膜(TiN)、タンタル窒化膜(TaN)、タングステン窒化膜(WN)、ハフニウム窒化膜(HfN)、ジルコニウム窒化膜(ZrN)のような一群の窒化物電極のうちの選択されたいずれか1つの窒化物電極を使用し得る。また、ルテニウム/ルテニウム酸化膜(Ru/RuO2)、イリジウム/イリジウム酸化膜(Ir/IrO2)などのように金属電極及び酸化物電極の積層された構造に形成するか、ストロンチウムルテニウム酸化膜(SrRuO3)のように酸化物の電極に形成することができる。また、金属にシリコンが結合された金属シリサイド、例えばコバルトシリサイド(CoSi2)、チタニウムシリサイド(TiSi2)などに形成し得る。
【0050】
次に、エッチングマスクの形成工程及び前記エッチングマスクを利用したエッチング工程を実施し、電極用物質116をエッチングする。これによって、感知部113の左/右側部113B上に電極116が形成される。
【0051】
次に、流体通路115Aを介して感知したいバイオ物質と反応することのできる反応物質120(図3参照)を流し、感知部113の中央部113Aに吸着させる。
前記のような工程ステップを介してバイオセンサを完成する。
【0052】
[実施形態2]
図10は、本発明の実施形態2に係るバイオセンサを説明するために示す概念図である。
同図に示すように、本発明の実施形態2に係るバイオセンサは、実施形態1に係るバイオセンサと同じ方法で製造される。ただ、実施形態1では、1つの流体通路115Aに1つの感知部113が横切るよう製造されるが、実施形態2では、1つの流体通路210Aに複数の感知部211が横切るように製造される。これによって、流体通路115Aを介して流れるバイオ物質が吸着される全体感知部211の面積を増大させることで、本発明の実施形態1よりもさらに高いバイオ物質の感知特性を得ることができる。
【0053】
また、本発明の実施形態2では、複数の感知部211の表面に各々相異なる多様な反応物質が吸着されるよう製造することができる。これを介して、多様なバイオ物質を含む流体が流体通路115Aを介して流入する場合にも各々相異なる反応物質が吸着された感知部211を介して多様なバイオ物質を同時に感知することができる。
【0054】
一方、同図において説明のない「210」は支持部であり、「212」は電極、「211A」は感知部211の中央部であって、実際にバイオ物質が吸着される領域であり、「211B」は感知部211の中央部211Aを介して感知された感知信号を電極212に伝達する領域である。
【0055】
[実施形態3]
図11は、本発明の実施形態3に係る複数のバイオセンサを備えたバイオ感知装置を説明するために示す斜視図である。同図において、図2に示された図面符号と同じ図面符号は同じ構成要素を意味する。これによって、同じ構成要素に対する具体的な説明は省略する。
【0056】
同図に示すように、本発明の実施形態3に係るバイオセンサを備えたバイオ感知装置は、バイオ物質を含む流体が一側部に流入して他側部に排出するよう、互いに対向している方向に流入口300A及び排出口300Bを備えたチャンバ(chamber)300と、流体通路115A(図2参照)が流入口300A及び排出口300Bと互いに対向している方向に位置されるようチャンバ300内に直列に挿入固定された複数のバイオセンサ100と、流体通路115Aと対応している部位に貫通ホール400Aが穿孔されており、隣接のバイオセンサ100を互いに接着締結するための締結部材400とを備える。
【0057】
チャンバ300は長方形の構造を有し、長軸方向に一側部には流入口300Aが備えられ、他側部には排出口300Bが備えられている。流入口300Aと排出口300Bとの間には複数のバイオセンサ100が挿入固定されている。ここで、チャンバ300の構造は長方形の構造に限定されず、バイオセンサ100の形状に応じて三角形、正四角形、六角形、八角形または円形などのように様々な形態に変えられ得る。
【0058】
締結部材400は、バイオセンサ100と共にチャンバ300内に挿入固定されるように外周面がバイオセンサ100と同じ形態を有する。また、チャンバ300の流入口300A及び排出口300Bと対向している部位に貫通ホール400Aが穿孔されており、チャンバ300の挿入後に流入口300A及び排出口300Bと貫通ホール400Aとは同じ線上に位置づけられる。
【0059】
このような締結部材400として、隣接するバイオセンサ100を互いに容易かつ簡単に接着締結するために、接着機能を有する物質を単独で使用したり、前述した接着機能を有する物質が表面処理された構造体を使用し得る。このとき、前記構造体は半導体材料として形成され得る。また、接着機能のない構造体の使用もあり得る。
【0060】
締結部材400は、PDMS(Poly−Dimethyl Siloxane)のような軟らかい物質を使用し、素子の流動性及び安定性を高めることができる。
【0061】
例えば、接着剤の機能を有する物質としては、分子を含む親水性(hydrophilic)を高める物質であって、APTES(Amino Propyl TriEthoxy Silane)、APTMS((3−Amino Propyl)TriMethoxy Silane)を含むシラン(silane)基を有する全ての化学物質を使用し得る。
【0062】
複数の単位バイオセンサ100は、図2及び図10に示すような単位バイオセンサであって、相異なる反応物質を表面処理することができ、これを介してバイオ感知装置を介して流入される多様なバイオ物質を同時に感知することができる。
【0063】
一方、図11に示すように、本発明の実施形態3に係るバイオセンサを備えたバイオ感知装置は、複数のバイオセンサ100から各々出力される感知信号を測定するための測定部500をさらに備える。ここで、感知信号とは、バイオ物質がバイオセンサ100の感知部113(図2参照)に吸着された反応物質120(図3参照)と化学反応し、このような反応に起因した感知部113を介して流れる電流の変化量を意味する。
【0064】
以下、本発明の実施形態3に係るバイオ感知装置の動作特性を説明すれば、次の通りである。
図11に示すように、多様なバイオ物質を含む流体(または1種類のバイオ物質を含む流体)がチャンバ300の流入口300Aを介して流入されると、流体は互いに交番に締結された複数の締結部材400の貫通ホール400Aとバイオセンサ100の流体通路115A(図2参照)とを経由して後端のチャンバ300の排出口300Bに排出される。このとき、複数のバイオセンサ100の各々の感知部113(図2参照)には、多様なバイオ物質と各々の化学反応を起こす反応物質とが表面処理されているため、流体通路115Aを介して流れる流体に含まれたバイオ物質は、自体と化学的な反応を起こす反応物質が表面処理されたバイオセンサ100の感知部113(図2参照)に吸着される。このような吸着(化学反応)の過程に起因して感知部113を介して流れる電流の量は変化し、かかる電流の変化量は測定部400を介して測定される。
【0065】
このように、本発明の実施形態3に係るバイオ感知装置は、相異なる多様な反応物質が各々の感知部113に表面処理されている複数のバイオセンサ100を1つのチャンバ300内で直列に挿入固定させることによって、多様なバイオ物質を含んだ流体の流れを介して多様なバイオ物質を同時に感知できる効果が得られる。
【0066】
一方、図12は、図11に示された本発明の実施形態3に係るバイオ感知装置において、バイオセンサ100と締結部材400とが互いに締結された状態を示す斜視図である。
【0067】
一方、前述したように、本発明の実施形態では、単一の半導体基板(Si基板、Ge基板など)に対してのみ説明されているが、これは一例であって、SOI(Silicon On Insulator)基板も可能である。SOI基板は、埋め立て酸化シリコン層を有しているため、別途の絶縁層を形成する必要がなく、素子をSOIの基板上に形成されたときに基板に対する素子の孤立を確実に行なうことができる。そのため、素子間の漏れ電流が少なくなり、動作特性を改善させ得る。このようなSOI基板の製造方法として、SOS(Silicon On Sapphire)法、またはSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)法などが挙げられる。
【0068】
前記で説明したように、本発明の技術的な思想は好ましい実施形態のように具体的に記述したが、前記した実施形態はその説明のためのものであって、その制限のためのものでないことを注意すべきである。また、本発明は、この技術分野の通常の専門家ならば本発明の技術思想の範囲内で多様な実施形態が可能であることを理解することができるである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ物質を含む流体が流れる流体通路の形成された支持手段と、
該支持手段の前記流体通路において3次元的に露出するよう前記支持手段の上部に配置され、前記流体通路を介して流入する前記バイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知手段と、
を備えたバイオセンサ。
【請求項2】
前記支持手段が、
基板と、
該基板と前記感知手段との間に形成された絶縁層と、
を備えた請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項3】
前記基板が、単結晶シリコン、ガラス、及びプラスチックのうちの選択されたいずれか1つからなる請求項2に記載のバイオセンサ。
【請求項4】
前記支持手段が、SOI(Silicon On Insulator)基板からなる請求項2に記載のバイオセンサ。
【請求項5】
前記支持手段が、前記感知手段の形成される上部面が平坦な板状を有する請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項6】
前記感知手段が、前記流体通路と重畳する部位が重畳しない部位よりも小さな幅を有する請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項7】
前記感知手段が、電気的に外部電場により電気的な特性が変化する物質からなる請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項8】
前記感知手段が、結晶質シリコン、非晶質シリコン、及びドープシリコンのうちの選択されたいずれか1つからなる請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項9】
前記感知手段が、複数が前記流体通路を横切るように配置された請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項10】
前記支持手段には、前記流体通路が複数で形成された請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項11】
前記複数の流体通路には、各々少なくとも1つの前記感知手段が横切るように配置された請求項10に記載のバイオセンサ。
【請求項12】
前記感知手段と外部装置とを接続するための複数の電極をさらに備えた請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項13】
前記電極が、前記流体通路と重畳しないように前記感知手段上に形成された請求項12に記載のバイオセンサ。
【請求項14】
バイオ物質を含む流体が流入して排出するよう流入口及び排出口が形成されたチャンバと、
請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の構成を有し、前記チャンバ内に挿入固定された複数のバイオセンサと、
を備えたバイオ感知装置。
【請求項15】
前記複数のバイオセンサのうち隣接するもの同士が互いに締結する締結手段をさらに備えた請求項14に記載のバイオ感知装置。
【請求項16】
前記締結手段が、外周面が前記バイオセンサの外周面と同じ形態に形成された請求項15に記載のバイオ感知装置。
【請求項17】
前記締結手段が、前記流入口及び前記排出口と対向する部位に貫通ホールが形成された請求項15に記載のバイオ感知装置。
【請求項18】
前記締結手段が、接着機能を有する物質からなるか、表面に前記接着機能を有する物質が表面処理された構造体からなる請求項15に記載のバイオ感知装置。
【請求項19】
前記流入口及び前記排出口が、互いに対向する方向に形成された請求項14に記載のバイオ感知装置。
【請求項20】
前記流入口及び前記排出口が、前記バイオセンサの前記流体通路と対向する方向に形成された請求項14に記載のバイオ感知装置。
【請求項21】
前記複数のバイオセンサ各々の前記感知部には、相異なる反応物質が表面処理された請求項14に記載のバイオ感知装置。
【請求項22】
基板の上面に絶縁層を形成するステップと、
前記絶縁層上に感知部用の物質を蒸着するステップと、
前記基板の背面にエッチング障壁層を形成するステップと、
前記基板の背面の一部が露出するよう前記エッチング障壁層をエッチングするステップと、
前記エッチング障壁層をエッチングマスクとして前記基板及び前記絶縁層をエッチングし、前記感知部用の物質のうちの一部が露出する流体通路を形成するステップと、
前記感知部用の物質をエッチングして前記流体通路を横切る感知部を形成するステップと、
を含むバイオセンサの製造方法。
【請求項23】
前記感知部を形成するステップの後、前記流体通路と対応しない前記感知部上に電極を形成するステップをさらに含む請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項24】
前記電極を形成するステップの後、前記流体通路を介して反応物質を流し、前記感知部に前記反応物質を吸着させるステップをさらに含む請求項23に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項25】
前記基板が、単結晶シリコン、ガラス、及びプラスチックのうちの選択されたいずれか1つで形成される請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項26】
前記感知部が、前記流体通路と重畳する部位が重畳しない部位よりも小さな幅を有するよう形成される請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項27】
前記感知部が、電気的に外部電場によって電気的な特性が変化する物質で形成される請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項28】
前記感知部が、結晶質シリコン、非晶質シリコン、及びドープシリコンのうちの選択されたいずれか1つで形成される請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項1】
バイオ物質を含む流体が流れる流体通路の形成された支持手段と、
該支持手段の前記流体通路において3次元的に露出するよう前記支持手段の上部に配置され、前記流体通路を介して流入する前記バイオ物質と反応する反応物質が表面処理された感知手段と、
を備えたバイオセンサ。
【請求項2】
前記支持手段が、
基板と、
該基板と前記感知手段との間に形成された絶縁層と、
を備えた請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項3】
前記基板が、単結晶シリコン、ガラス、及びプラスチックのうちの選択されたいずれか1つからなる請求項2に記載のバイオセンサ。
【請求項4】
前記支持手段が、SOI(Silicon On Insulator)基板からなる請求項2に記載のバイオセンサ。
【請求項5】
前記支持手段が、前記感知手段の形成される上部面が平坦な板状を有する請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項6】
前記感知手段が、前記流体通路と重畳する部位が重畳しない部位よりも小さな幅を有する請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項7】
前記感知手段が、電気的に外部電場により電気的な特性が変化する物質からなる請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項8】
前記感知手段が、結晶質シリコン、非晶質シリコン、及びドープシリコンのうちの選択されたいずれか1つからなる請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項9】
前記感知手段が、複数が前記流体通路を横切るように配置された請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項10】
前記支持手段には、前記流体通路が複数で形成された請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項11】
前記複数の流体通路には、各々少なくとも1つの前記感知手段が横切るように配置された請求項10に記載のバイオセンサ。
【請求項12】
前記感知手段と外部装置とを接続するための複数の電極をさらに備えた請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項13】
前記電極が、前記流体通路と重畳しないように前記感知手段上に形成された請求項12に記載のバイオセンサ。
【請求項14】
バイオ物質を含む流体が流入して排出するよう流入口及び排出口が形成されたチャンバと、
請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の構成を有し、前記チャンバ内に挿入固定された複数のバイオセンサと、
を備えたバイオ感知装置。
【請求項15】
前記複数のバイオセンサのうち隣接するもの同士が互いに締結する締結手段をさらに備えた請求項14に記載のバイオ感知装置。
【請求項16】
前記締結手段が、外周面が前記バイオセンサの外周面と同じ形態に形成された請求項15に記載のバイオ感知装置。
【請求項17】
前記締結手段が、前記流入口及び前記排出口と対向する部位に貫通ホールが形成された請求項15に記載のバイオ感知装置。
【請求項18】
前記締結手段が、接着機能を有する物質からなるか、表面に前記接着機能を有する物質が表面処理された構造体からなる請求項15に記載のバイオ感知装置。
【請求項19】
前記流入口及び前記排出口が、互いに対向する方向に形成された請求項14に記載のバイオ感知装置。
【請求項20】
前記流入口及び前記排出口が、前記バイオセンサの前記流体通路と対向する方向に形成された請求項14に記載のバイオ感知装置。
【請求項21】
前記複数のバイオセンサ各々の前記感知部には、相異なる反応物質が表面処理された請求項14に記載のバイオ感知装置。
【請求項22】
基板の上面に絶縁層を形成するステップと、
前記絶縁層上に感知部用の物質を蒸着するステップと、
前記基板の背面にエッチング障壁層を形成するステップと、
前記基板の背面の一部が露出するよう前記エッチング障壁層をエッチングするステップと、
前記エッチング障壁層をエッチングマスクとして前記基板及び前記絶縁層をエッチングし、前記感知部用の物質のうちの一部が露出する流体通路を形成するステップと、
前記感知部用の物質をエッチングして前記流体通路を横切る感知部を形成するステップと、
を含むバイオセンサの製造方法。
【請求項23】
前記感知部を形成するステップの後、前記流体通路と対応しない前記感知部上に電極を形成するステップをさらに含む請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項24】
前記電極を形成するステップの後、前記流体通路を介して反応物質を流し、前記感知部に前記反応物質を吸着させるステップをさらに含む請求項23に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項25】
前記基板が、単結晶シリコン、ガラス、及びプラスチックのうちの選択されたいずれか1つで形成される請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項26】
前記感知部が、前記流体通路と重畳する部位が重畳しない部位よりも小さな幅を有するよう形成される請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項27】
前記感知部が、電気的に外部電場によって電気的な特性が変化する物質で形成される請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【請求項28】
前記感知部が、結晶質シリコン、非晶質シリコン、及びドープシリコンのうちの選択されたいずれか1つで形成される請求項22に記載のバイオセンサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−505112(P2010−505112A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530249(P2009−530249)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004191
【国際公開番号】WO2008/038906
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004191
【国際公開番号】WO2008/038906
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】
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