説明

バイオセンサ型異常水質監視装置

【課題】 バイオセンサ内の微生物の活性を回復させるために供給する基質溶液の基質濃度の制御を容易且つ適切に行うこと。
【解決手段】 反応槽10において、微生物膜13に保持された微生物と混合水とが反応し、混合水中の溶存酸素量に応じた電流信号が溶存酸素電極11から出力変換部27を介して供給量制御手段28に出力される。手段28は、この電流信号の入力に基づきバルブ25及び定流量ポンプ26を制御し、活性調整用基質溶液保管容器23に貯溜されている活性調整用基質溶液を供給ライン7に対して送出する。これにより、活性調整用基質であるリン酸水素2カリウム(K2HPO4)の濃度が適正に制御され、微生物の数を安定化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物の呼吸活性をモニタリングし、呼吸活性の阻害を指標として試料水中の有害物質の混入を検出するバイオセンサ技術を利用した、バイオセンサ型異常水質監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浄水場の取水・下水の流入水等への有害物質の検出を行うために、微生物を利用したバイオセンサ型水質監視装置が従来から用いられている。このバイオセンサ型異常水質監視装置では、微生物が膜に固定化され、酸素電極と組み合わせることにより、微生物の呼吸による酸素消費量をモニタリングするようになっている。そして、有害物質が混入すると、微生物の呼吸が阻害され酸素消費量が減少するので、このときの酸素消費量の減少を検知することにより、有害物質の混入を検知することが可能となる。
【0003】
上記の微生物は、通常、特定の化学物質(基質)を栄養源として生息している。微生物を利用したバイオセンサにおいても、微生物に必要な基質成分をサンプル水と混合し、微生物膜の存在する反応槽に供給することにより、微生物の呼吸代謝を活性化するようにしている。そのために、例えば特許文献1に開示されている様な装置構成が採られる。この従来装置の構成では、基質成分を含んだ濃縮基質溶液を保管容器に貯留しておき、該溶液をポンプにより送液してサンプル水と混合し、微生物膜が配設されている反応槽内部へ導入することにより、微生物に基質成分が供給されるようになっている。
【0004】
また、本出願人は、既に、微生物として鉄酸化細菌を利用したバイオセンサを備えた異常水質監視装置の構成を提案している(特許文献2参照)。鉄酸化細菌は化学合成独立栄養細菌であり、第一鉄イオンを第二鉄イオンに参加する際に発生するエネルギーを利用して生息している。そのため、最も重要な基質成分は第一鉄イオン(Fe2+)である。本出願人は鉄酸化細菌としてThiobacillus ferrooxidans(以下、T. ferrooxidansと表示する)を使用したバイオセンサ型異常水質監視装置を実用化している。このバイオセンサでは微生物の培養液として、図8の図表に示す組成の培地を利用している。この培地は、第一鉄イオンの供給源として硫酸第一鉄・七水和物、その他、微生物の代謝に必要なリン酸塩、カルシウム、マグネシウム等の無機塩を含んでいる。
【0005】
図7は、従来のバイオセンサ型異常水質監視装置の構成を示す説明図である。この図において、第1のサンプル水供給ライン1から供給されるサンプル水3が散気水槽2に貯溜され、サンプル水3中に空気が吹き込まれて溶存酸素濃度が調整されるようになっている。溶存酸素濃度が調整されたサンプル水は、バルブ5及びポンプ6が取り付けられた第2のサンプル水供給ライン4と、サンプル水・基質溶液供給ライン7とを通って、フローセル9に配設されたバイオセンサ8に導入されるようになっている。
【0006】
バイオセンサ8は、サンプル水・基質溶液供給ライン7からサンプル水と基質溶液との混合水が導入される反応槽10と、反応槽10内の混合水に含まれる酸素の量に応じた電流信号を取り出すための溶存酸素電極11と、溶存酸素電極11の一方の端部に固定治具12を介して取り付けられた微生物膜13とを有している。そして、反応槽10内で微生物膜13が保持する微生物との反応を終えたサンプル水は排液排出ライン14を通って外部に排出されるようになっている。
【0007】
また、基質溶液保管容器15には、例えば図8の図表に示した基質成分を含み、更に濃度及びpHが調整された基質溶液が貯溜されている。この基質溶液は、バルブ17及びポンプ18が取り付けられた基質溶液供給ライン16を通ってサンプル水・基質溶液供給ライン7のサンプル水と合流するようになっており、微生物膜13に保持された微生物の栄養液として使用するためにバイオセンサ8に供給されるものである。このように、基質溶液保管容器15から基質溶液をバイオセンサ8に供給するのは次のような理由による。
【0008】
すなわち、微生物は基質の存在しない状態では増殖することができないため、そのままでは微生物膜中の微生物は徐々に死滅していく。また、基質の濃度が一定濃度より低い状態では、増殖する微生物個体数と比較して死滅する微生物個体数の方が上回るため、徐々に微生物膜中の微生物個体数が減少し、バイオセンサ8のセンサ機能としての安定性が損なわれる。したがって、微生物を利用したバイオセンサ8の機能を良好な状態に維持するためには、使用している微生物の生育に必要な基質成分を、ある一定の必要量以上微生物膜に供給する必要がある。このような理由により、基質溶液保管容器15から基質溶液をバイオセンサ8に供給するようにしている。
【0009】
そして、洗浄液が貯溜された洗浄液保管容器19も設置されており、この洗浄液は、バルブ21及びポンプ22が取り付けられた洗浄液送出ライン20と、サンプル水・基質溶液供給ライン7とを通ってバイオセンサ8に送出されるようになっている。
【0010】
次に、図7の動作につき説明する。オペレータは、サンプル水の水質監視を開始する場合、まず、バルブ5を開放してポンプ6を起動する。これにより、散気水槽2に貯溜されているサンプル水3が第2のサンプル水供給ライン4及びサンプル水・基質溶液供給ライン7を介してバイオセンサ8に供給される。そして、反応槽10において、微生物膜13に保持された微生物とサンプル水とが反応し、その反応状態に基づき水質異常の有無が判別される。すなわち、サンプル水の水質に異常が無い場合、微生物膜13に保持された微生物の活性は阻害されないのでサンプル水中の溶存酸素は通常通りに消費され、溶存酸素電極11から検出される電流信号のレベルは低レベルである(この電流信号は、図示を省略した出力変換部で変換された後、表示部で表示される)。しかし、サンプル水に有害物質が含まれている場合、微生物の活性が阻害されるため溶存酸素の消費量が少なくなり、上記の電流信号は高レベルとなる。したがって、オペレータはこの電流信号のレベルの変動により水質が異常であることを知ることができる。
【0011】
微生物膜13に保持された微生物は、上記のようなサンプル水との反応を継続していくうちに、個体数が減少するなどして全体の活性が次第に失われ、センサ機能としての安定性が損なわれていく。そこで、オペレータはバルブ17を開放すると共にポンプ18を起動して、基質溶液保管容器15に貯溜されている基質溶液を基質溶液供給ライン16及びサンプル水・基質溶液供給ライン7を介してバイオセンサ8に適宜供給する。これにより、微生物膜13に保持された微生物の活性は再び元のレベルに戻り、センサ機能としての安定性が回復する。
【0012】
図9は、上記のような基質溶液の供給、及び電流信号のレベル変動の一例を示す特性図である。この図において、当初は微生物の活性が低下しており、電流値は1.0〔μA〕付近まで上昇していたが、ある時刻(7分頃)にオペレータが硫酸第一鉄を含む基質溶液を供給してやると、微生物が急速に活性化され電流値は0.1〔μA〕付近のレベルまで低下する。その後しばらくの間このレベルで安定状態を維持していたが、時刻15分頃にサンプル水中に有害物質が添加されたとすると、これにより微生物の活性が低下するため電流値は次第に上昇していく。そして、異常設定レベルを超えた時点(時刻21分頃)で、異常警報の発令や異常表示等が行われる。
【0013】
上記のような水質監視動作がある程度の時間継続されていくうちに、サンプル水・基質溶液供給ライン7や排液排出ライン14における汚れや不純物等が蓄積され、これをそのまま放置しておくと、円滑な水質監視動作ができなくなる。そこで、オペレータは、所定時間毎に、ポンプ6,18を停止させると共に、バルブ5,17を閉め、その後、バルブ21を開放してポンプ22を起動する。これにより、洗浄液保管容器19に貯溜された洗浄液が洗浄液送出ライン20から他の各ラインに送出され、洗浄が行われて汚れや不純物等が除去される。
【特許文献1】特開2002−243698号公報
【特許文献2】特開平11−37969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように、オペレータは、溶存酸素電極11の検出電流を監視し、微生物の活性が低下していると判断した場合には、基質溶液保管容器15から基質溶液をバイオセンサ8に対して供給することにより、微生物の活性を回復させることができる。しかし、この基質溶液の供給量を適切に制御することは必ずしも容易なことではない。
【0015】
すなわち、バイオセンサの運用を確実に安定化するためには基質を過剰に添加すれば良いが、基質が必要以上に過剰に含まれていると、微生物の増殖が進みすぎてしまい、有害物質が混入したときに呼吸を阻害されるのは一部の微生物のみとなる。そして、残余の微生物の呼吸により酸素がそれまでとほぼ同程度に消費されるために、酸素消費量の変化が現れにくくなる。その結果、有害物質に対する検出感度が低下し、低濃度の有害物質の混入を検知することが困難となる。
【0016】
図10は、バイオセンサの検出感度が微生物数に大きく影響されることを示す説明図であり、(a)は微生物数と有害物質(KCN)濃度との組合せがそれぞれ異なる特性曲線M1〜M4を示した特性図、(b)は特性曲線M1〜M4の各微生物数及び有害物質濃度の数値を示した図表である。
【0017】
図10(b)の数値から明らかなように、特性M1は微生物数が少なく(「少なく」とはM3,M4に比べて少ないの意味であり、「適切な数で」と言い換えてもよい)且つ有害物質濃度が高い場合、特性M2は微生物数が少なく且つ有害物質濃度が低い場合、特性M3は微生物数が多く且つ有害物質濃度が高い場合、特性M4は微生物数が多く且つ有害物質濃度が低い場合をそれぞれ示している。
【0018】
そして、図10(a)は、時刻20秒付近で有害物質であるKCN(シアン化カリウム)をサンプル水に添加した場合のバイオセンサの検出電流値の変化状態を示したものであるが、特性曲線M1,M2が示すように、微生物数が少ない場合には有害物質濃度の高い場合又は低い場合のいずれにおいても充分な検出感度を有している。これに対し、特性曲線M3,M4が示すように、微生物数が多い場合には有害物質濃度の高い場合又は低い場合のいずれにおいても検出感度は不充分なものとなっている。この結果から、微生物膜中の微生物数は、有害物質が添加された場合の応答性に極めて大きな影響を与える因子であることが分かる。
【0019】
上記のような有害物質に対する検出感度が低下する現象を回避するためには、微生物膜13全体としての活性を一定のレベルに維持することが必要であり、栄養液中の基質濃度を適切に設定する必要がある。そのため、一定数の微生物を固定化した微生物膜13の呼吸を、必要十分に活性化させるだけの濃度の基質を供給すれば良いが、サンプル水中に含まれている基質成分により微生物の活性が増加する場合がある。このような場合も、過剰の基質を添加したときと同様に微生物が過増殖な状態となり、有害物質の検出感度が低下する虞がある。
【0020】
逆に、基質濃度が低いと、サンプル水pHの変動や有害物質以外の微量呼吸阻害成分混入等の原水水質の影響、その他、洗浄工程における低栄養状態、栄養液の送液量の変動等の装置的な影響により、微生物が徐々に死滅する場合がある。このような場合は、徐々に微生物膜中の微生物個体数が減少することから、バイオセンサを運用するのに十分な活性が得られなくなり、安定な運転が困難となる。
【0021】
そこで、基質濃度を予め高濃度としておき、連続して長期間運用可能な状態にしておく方策が考えられるが、そのような方策を採ると、却って栄養液の長期安定保存、及び安定供給の観点からは不利になる場合がある。何故なら、通常、微生物は増殖に複数種類の化学物質を必要とするので、基質成分は複数種の化学物質を含むことになるが、複数種の化学物質が存在すると、含まれる化学物質同士が化学反応を起こし、析出物が発生する等の現象が発生する。この析出物のために、サンプル水及び基質溶液の混合水が流れる配管中に詰まり等が生じ安定した送液ができなくなる虞がある。そして、この化学反応は、基質濃度が高濃度になるほど発生し易くなるのである。
【0022】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、バイオセンサ内の微生物の活性を回復させるために供給する基質溶液の基質濃度の制御を容易且つ適切に行うことができるバイオセンサ型異常水質監視装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、微生物の栄養源となる複数の基質成分を含んだ基質溶液とサンプル水との混合水を導入し、この混合水に含まれる溶存酸素を消費する前記微生物を保持した微生物膜、及び前記溶存酸素の消費量に応じた電流信号を出力する溶存酸素電極を有するバイオセンサを備えており、前記電流信号が異常設定レベルを超えた場合に水質が異常であることを判別するバイオセンサ型異常水質監視装置において、前記微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分を含み、前記微生物を活性化させるための活性調整用基質溶液が貯溜された活性調整用基質溶液保管容器と、前記電流信号の出力に基づき、前記溶存酸素の消費量が一定以下に低下して前記微生物の活性が低下したと判別された場合に、前記貯溜された活性調整用基質溶液を前記バイオセンサに対して供給する活性調整用基質溶液供給手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記活性調整用基質溶液供給手段は定流量ポンプであり、前記微生物の活性低下の度合いに応じて、この定流量ポンプの作動時間を可変する、ことを特徴とする。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記活性調整用基質溶液供給手段は流量可変ポンプであり、前記微生物の活性低下の度合いに応じて、この流量可変ポンプの流量を可変する、ことを特徴とする。
【0026】
請求項4記載の発明は、前記活性調整用基質溶液保管容器は、前記微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分の濃度が通常濃度である第1の活性調整用基質溶液が貯溜された第1の活性調整用基質溶液保管容器と、前記微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分の濃度が低濃度である第2の活性調整用基質溶液が貯溜された第2の活性調整用基質溶液保管容器と、に分けられており、前記活性調整用基質溶液供給手段は、前記微生物の活性低下の度合いが小さな場合は、前記貯溜された第2の活性調整用基質溶液を前記バイオセンサに対して供給し、前記微生物の活性低下の度合いが通常の場合又は著しい場合は、前記貯溜された第1の活性調整用基質溶液を前記バイオセンサに対して供給するものである、ことを特徴とする。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4記載の発明において、前記微生物が鉄酸化細菌であり、前記微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分がリン酸水素2カリウムである、ことを特徴とする。
【0028】
請求項6記載の発明は、前記混合水及び前記活性調整用基質溶液の供給ラインを洗浄するための洗浄液が貯溜された洗浄液保管容器と、洗浄時に前記貯溜された洗浄液を前記供給ラインに向けて送出する洗浄液送出手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分を含み、微生物を活性化させるための活性調整用基質溶液が貯溜された活性調整用基質溶液保管容器と、電流信号の出力に基づき、溶存酸素の消費量が一定以下に低下して微生物の活性が低下したと判別された場合に、貯溜された活性調整用基質溶液をバイオセンサに対して供給する活性調整用基質溶液供給手段と、を備えた構成としたので、バイオセンサ内の微生物の活性を回復させるために供給する基質溶液の基質濃度の制御を容易且つ適切に行うことができるバイオセンサ型異常水質監視装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の各実施形態を図に基づき説明する。但し、図7の従来装置と同様の構成要素には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るバイオセンサ型異常水質監視装置の構成を示す説明図である。図1が図7と異なる点は、活性調整用基質溶液保管容器23が追加され、これに貯溜されている活性調整用基質溶液が、バルブ25及び活性調整用基質溶液供給手段としてのポンプ26(定流量ポンプ)が取り付けられた活性調整用基質溶液供給ライン24を通って、サンプル水・基質溶液供給ライン7に送られるようになっている点である。また、溶存酸素電極11から検出される電流信号は出力変換部27を介して供給量制御手段28に出力され、この供給量制御手段28がバルブ25及びポンプ26を制御するようになっている。
【0032】
ここで、上記のように、基質溶液保管容器15の他に、活性調整用基質溶液保管容器23を別個に加えた構成とした理由につき説明する。前述した通り、有害物質に対する検出感度が低下する現象を回避するためには、微生物膜13全体としての活性を一定のレベルに維持することが必要であり、栄養液中の基質濃度を適切に設定する必要がある。
【0033】
すなわち、サンプル水の水質条件がバイオセンサの微生物にとって増殖し易い環境にある場合、基質の供給量を制限する等の方法により、微生物との反応槽での濃度を低減させることとする。その結果、微生物の過度な増殖を抑制することが可能となり、有害物質に対する検出感度低下を防止することができる。逆に、サンプル水の水質条件がバイオセンサの微生物にとって生息に不適な環境である場合、基質の供給量を増加させる等の方法により、微生物との反応槽での濃度を増加させることとする。その結果、微生物の活性を向上することが可能となり、バイオセンサ出力の安定化に有効となる。
【0034】
また、基質成分の中には微生物の呼吸活性に直接的な影響を及ぼさない化学物質が含まれている。微生物が増殖していくためには全ての基質を供給していく必要があり、基質成分の供給量の調整を全成分について実施することも可能である。一方、バイオセンサの活性を直ちに向上させるために有効な方策は、呼吸代謝に必要な成分のみを常時供給してやることである。例えば、鉄酸化細菌T. ferrooxidansをバイオセンサ用の微生物として使用する場合の基質成分は図8の図表に記載されているが、基質成分呼吸活性を得るために必要な基質成分は硫酸第一鉄である。それ以外の成分については長期的な呼吸活性の維持には必要であるけれども、有害物質混入の監視を行うためだけであれば、呼吸代謝を活性化できる硫酸第一鉄のみを添加すればよい。
【0035】
しかし、呼吸代謝を活性化させる基質成分の濃度が大きく変動すると、今度はバイオセンサの出力が不安定となり、安定な水質監視が困難となる。そこで、供給量を調節するための基質成分として、呼吸代謝に関与しない成分を選択し、該成分の供給量を制御する等の手法により、微生物との反応槽における該成分の濃度を調整することにする。この手法により、常時安定な呼吸活性を得ることができ、且つ微生物の増殖傾向を制御することが可能となり、バイオセンサの性能維持・安定運用を有効に行うことが可能となる。
【0036】
本実施形態では、上記の呼吸代謝に関与しない成分として、図8の図表中に記載されているリン酸水素2カリウムを選択して用いることとし、このリン酸水素2カリウムを活性調整用基質溶液として活性調整用基質溶液保管容器23に貯溜するようにしている。そして、バイオセンサ8へのリン酸水素2カリウムの供給量を制御し、反応槽10において微生物すなわち鉄酸化細菌T.ferrooxidansと反応するリン酸水素2カリウムの濃度を調整する。これにより、鉄酸化細菌T.ferrooxidansについて常時充分な活性を得ることができ、また、長期的な個体数の変動を抑制することが可能となる。
【0037】
ところで、リン酸水素2カリウムに含まれるリン酸イオン(PO43-)と硫酸第一鉄に含まれる第一鉄イオン(Fe2+)とは結合し易く、結合すると水に難溶性のリン酸鉄を形成する。この場合、pHを調整することにより、リン酸鉄が溶解状態になるように設定することは可能であるが、温度の上昇等の影響から配管等に僅かずつ析出が発生する虞がある。その場合、析出物の影響で弁の閉塞,封止不良、ポンプの送液不良等の悪影響が懸念される。しかし、リン酸イオンと第一鉄イオンを分離した状態で保管し、別々のラインで供給するようにすれば、析出物の発生を低減することが可能であり、送液を安定して行うことができる。そのため本実施形態では、上記のように、リン酸水素2カリウムが貯溜された活性調整用基質溶液保管容器23を、基質溶液保管容器15の他に別個に加えた構成としている。
【0038】
次に、本実施形態における基質溶液保管容器15に貯溜される基質溶液について説明する。本発明の発明者らは、この基質溶液保管容器15に貯溜される基質溶液の基質成分を確定するための実験を行っているので、これにつき説明する。
【0039】
図2は、この実験に用いられた3種類の基質溶液A,B,Cの各成分を記載した図表である。基質溶液Aは、図8の図表において示した培地組成と同一の成分であり、基質溶液Bは、基質溶液Aの成分中、リン酸水素2カリウム(K2HPO4)のみを除去したものであり、基質溶液Cは、このリン酸水素2カリウム(K2HPO4)の重量を基質溶液Aの場合の10分の1としたものである。そして、リン酸水素2カリウム以外の他の成分の重量は、基質溶液A,B,Cの何れにおいても同一である。また、硫酸第一鉄に含まれる第一鉄イオン(Fe2+)を供給することにより鉄酸化細菌T.ferrooxidansを活性化する際のpHの値は、図2の図表に示されているように、3又はその前後の値が好適である。
【0040】
図3は、図2の図表に示された3種類の基質溶液A,B,Cを用いて連続的に運転を行った場合におけるバイオセンサ8の電流値の変化状態を示した特性図である。ここでは、サンプル水100〔ml〕に対して各基質溶液を4〔ml〕混合して得られる3種類の混合水を反応槽10に供給している。時刻t1〜t2の期間、及び時刻t3〜t4の期間には硫酸等の洗浄液を送出して洗浄を行っているが、この期間中は鉄イオンが供給されていないので電流値が矩形状に増加しており、微生物である鉄酸化細菌T.ferrooxidansの活性が低下していることが顕著になっている。
【0041】
基質溶液A,B,Cのいずれにおいても含有する鉄イオンの濃度は同じであるため、時刻t1以前の初期には微生物の活性はほぼ同程度である。そして、時刻t1〜t2の第1回目の洗浄期間中に微生物の活性は大きく低下し、洗浄終了後の時刻t2以降には再び鉄イオンが供給されるので微生物の活性が回復する。この場合の回復時の活性のレベルは、リン酸水素2カリウムが除去されている基質溶液Bが最も低く(電流値のレベルが最も高い)、リン酸水素2カリウムを最も多く含む基質溶液Aが最高であり、リン酸水素2カリウムの量が基質溶液Aの10分の1である基質溶液CがA,Bの中間レベルとなっている。但し、基質溶液Aは時刻t2〜t3間においてなおも電流値が減少する傾向にあり微生物の活性レベルがやや一定していない状態といえる。
【0042】
時刻t3〜t4の期間に第2回目の洗浄が行われると、前回の洗浄と同様に、微生物の活性は大きく低下し、また鉄イオンの供給が開始される時刻t4以降に微生物の活性が回復する。この場合の時刻t4以降の回復時のレベルは、基質溶液A,Cについては時刻t3のレベルとほぼ同じであるが、基質溶液Bについては洗浄により微生物がダメージを受けるために時刻t3のレベルよりも増加している。洗浄により微生物が受けるこのようなダメージは洗浄作業の度に繰り返され、基質溶液Bの場合は次第に微生物数が減少していく結果となる。
【0043】
したがって、基質溶液保管容器15に貯溜される基質溶液として、基質溶液Bは不適であると言える。そして、基質溶液Aは時刻t2〜t3の期間において微生物の活性が一定していないのに対し、基質溶液Cはほぼ一定している。これらのことから、基質溶液Cが最適であると言え、本実施形態ではこの基質溶液Cを基質溶液保管容器15に貯溜することとしている。
【0044】
図3に示した基質溶液A,B,Cの各電流値の変化状態から、微生物である鉄酸化細菌T.ferrooxidansの増殖傾向を制御するには、基質溶液中のいくつかの基質成分のうちリン酸水素2カリウムの濃度を調整してやれば良いことが分かる。つまり、微生物膜13の活性が過剰になった場合にはリン酸水素2カリウムの濃度を低減して微生物の増殖を抑制し、逆に、微生物膜13の活性が悪化した場合にはリン酸水素2カリウムの濃度を高めることにより微生物の増殖を促進するようにすれば、微生物膜13中の微生物数を一定レベルに維持することが可能になる。活性調整用基質溶液保管容器23に貯溜する活性調整用基質溶液としてリン酸水素2カリウムを選択したのは、実はこのような理由によるものである。
【0045】
次に、以上のように構成される図1の動作につき説明する。オペレータは、バルブ5を開放してポンプ6を起動すると共に、バルブ17を開放してポンプ18を起動する。これにより、散気水槽2に貯溜されているサンプル水3と、基質溶液保管容器15に貯溜されている基質溶液(図2の図表中の基質溶液C)との混合水がサンプル水・基質溶液供給ライン7を介してバイオセンサ8に供給される。
【0046】
そして、反応槽10において、微生物膜13に保持された微生物と混合水とが反応し、混合水中の溶存酸素量に応じた電流信号が溶存酸素電極11から出力変換部27を介して供給量制御手段28に出力される。供給量制御手段28は、この電流信号の入力に基づきバルブ25及び定流量ポンプ26を制御し、活性調整用基質溶液保管容器23に貯溜されている活性調整用基質溶液をサンプル水・基質溶液供給ライン7に対して送出する。これにより、活性調整用基質であるリン酸水素2カリウム(K2HPO4)の濃度が適正に制御され、微生物膜13が保持する微生物の数を安定化させることができる。
【0047】
図4は、このときの活性調整用基質の濃度制御についての説明図であり、(a)はバイオセンサ8の電流値変化についての特性図、(b)は保管容器23からの活性調整用基質の供給タイミングを示したタイムチャート、(c)は活性調整用基質の濃度変化についての特性図である。
【0048】
当初は、図4(a)に示されるように、溶存酸素電極11からの検出電流値は目標電流値をややオーバーしている程度である。したがって、活性調整用基質溶液保管容器23からサンプル水・基質溶液供給ライン7に送出する活性調整用基質溶液の量もそれほど多くする必要はない。それ故、供給量制御手段28は、図4(b)に示されるように、時刻t1,t2,t3,t4の断続したタイミングで短時間だけ活性調整用基質溶液を供給する。このときの混合水中における活性調整用基質の濃度は、図4(c)に示されるように、それほど高くはならない。
【0049】
その後、図4(a)に示されるように、検出電流値は目標電流値を下回る状態になるが、この状態では活性調整用基質溶液保管容器23から活性調整用基質溶液を供給する必要はない。したがって、図4(b)に示されるように、時刻t4で最後の供給が行われた後、しばらくの期間は供給が行われない。そして、この供給が行われていない期間では、当然のことながら図4(c)における活性調整用基質の濃度はほぼゼロとなる。
【0050】
更にしばらくすると、図4(a)における検出電流値は再び目標電流値をオーバーした状態になり、供給量制御手段28は、時刻t5で活性調整用基質溶液の短時間供給を再開し、時刻t6で少し長めの供給を行う。しかし、それでも検出電流値のレベルは上昇し続けているので、供給量制御手段28は、時刻t7〜t8の長い時間に亘って連続した供給を行うようにする。これにより、図4(a)に示されるように、検出電流値の上昇傾向に歯止めがかかり、今度は緩やかに下降する。したがって、供給量制御手段28は、時刻t8で連続供給を停止した後、時刻t9でそれほど長くない時間だけ供給を行う。このときの活性調整用基質の濃度は、図4(c)に示されるように、高いレベルとなっている。
【0051】
このように、図1の構成では、基質溶液保管容器15とは別個に活性調整用基質溶液保管容器23を別個に設けているので、微生物膜13の微生物数を一定レベルに容易に維持することができる。つまり、図7の従来構成では、基質溶液保管容器15からの基質溶液の供給量を制御することにより微生物数の調整を行うようにしていたが、これでは微生物の呼吸代謝を直接活性化させる硫酸第一鉄の量が大きく変動するためバイオセンサ8の検出感度が不安定になる。これに対し、図1の構成では、基質溶液保管容器15からの基質溶液の供給量は一定とし、微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分を含んだ活性調整用基質溶液の供給量を制御するようにしているので、微生物膜13の微生物数を一定化するのが容易になる。そして、この活性調整用基質溶液は活性調整用基質溶液保管容器23に基質溶液保管容器15の溶液とは別個に保管されているので、析出物等の発生が低減され、安定した送液を行うことができる。
【0052】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るバイオセンサ型異常水質監視装置の構成を示す説明図である。図5が図1と異なる点は、活性調整用基質溶液供給手段としての定流量ポンプ26が流量可変ポンプ26Aに置き換えられている点である。すなわち、図1の構成では、定流量ポンプ26による活性調整用基質溶液の供給時間の長さを変化させることによりリン酸水素2カリウムの濃度を適正に制御していたが、この図5の構成では、流量可変ポンプ26Aの回転数つまり流量を変化させることによりリン酸水素2カリウムの濃度を適正に制御している。したがって、この実施形態によれば、微生物膜13が保持する微生物数の調整をより迅速且つ適正に行うことが可能になる。
【0053】
図6は、本発明の第3の実施形態に係るバイオセンサ型異常水質監視装置の構成を示す説明図である。図6が図1と異なる点は、第2の活性調整用基質溶液保管容器29が追加され、これに貯溜されている活性調整用基質溶液が、バルブ31及びポンプ32(定流量ポンプ)が取り付けられた第2の活性調整用基質溶液供給ライン30を通って、サンプル水・基質溶液供給ライン7に送られるようになっている点である。また、符号23,24の構成要素は、図1又は図5のものと同じものであるが、上記の要素29,30との区別を分かりやすくするために、「第1の…」という表現にしている。この第2の活性調整用基質溶液保管容器29に貯溜されている第2の活性調整用基質溶液は、第1の活性調整用基質溶液保管容器23に貯溜されている第1の活性調整用基質溶液よりも低濃度のものとなっている。
【0054】
そして、供給量制御手段28は、溶存酸素電極11から出力変換部27を介して入力する電流信号に基づきバルブ25,31及びポンプ26,32を制御し、微生物の活性低下の度合いが小さな場合は第2の活性調整用基質溶液保管容器29から低濃度の第2の活性調整用基質溶液をバイオセンサ8に供給し、一方、微生物の活性低下の度合いが通常の場合又は著しい場合は第1の活性調整用基質溶液保管容器23から第1の活性調整用基質溶液をバイオセンサ8に供給する。したがって、この実施形態によれば、微生物膜13が保持する微生物数の調整を一層きめ細かく且つ正確に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバイオセンサ型異常水質監視装置の構成を示す説明図。
【図2】図1における基質溶液保管容器15に貯溜される基質溶液の基質成分を確定するための実験に用いられた3種類の基質溶液A,B,Cの各成分を記載した図表。
【図3】図2の図表に示された3種類の基質溶液A,B,Cを用いて連続的に運転を行った場合におけるバイオセンサ8の電流値の変化状態を示した特性図。
【図4】図1における活性調整用基質溶液保管容器23から活性調整用基質溶液を供給したときの活性調整用基質の濃度制御についての説明図であり、(a)はバイオセンサ8の電流値変化についての特性図、(b)は保管容器23からの活性調整用基質の供給タイミングを示したタイムチャート、(c)は活性調整用基質の濃度変化についての特性図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るバイオセンサ型異常水質監視装置の構成を示す説明図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るバイオセンサ型異常水質監視装置の構成を示す説明図。
【図7】従来のバイオセンサ型異常水質監視装置の構成を示す説明図。
【図8】図7におけるバイオセンサ8が微生物の培養液として用いている培地の組成を示す図表。
【図9】図7におけるバイオセンサ8の電流信号のレベル変動の一例を示す特性図。
【図10】図7におけるバイオセンサ8の検出感度が微生物数に大きく影響されることを示す説明図であり、(a)は微生物数と有害物質(KCN)濃度との組合せがそれぞれ異なる特性曲線M1〜M4を示した特性図、(b)は特性曲線M1〜M4の各微生物数及び有害物質濃度の数値を示した図表である。
【符号の説明】
【0056】
1 第1のサンプル水供給ライン
2 散気水槽
3 サンプル水
4 第2のサンプル水供給ライン
5 バルブ
6 ポンプ
7 サンプル水・基質溶液供給ライン
8 バイオセンサ
9 フローセル
10 反応槽
11 溶存酸素電極
12 固定治具
13 微生物膜
14 排液排出ライン
15 基質溶液保管容器
16 基質溶液供給ライン
17 バルブ
18 ポンプ
19 洗浄液保管容器
20 洗浄液送出ライン
21 バルブ
22 ポンプ
23 活性調整用基質溶液保管容器
24 活性調整用基質溶液供給ライン
25 バルブ
26 定流量ポンプ
26A 流量可変ポンプ
27 出力変換部
28 供給量制御手段
29 第2の活性調整用基質溶液保管容器
30 第2の活性調整用基質溶液供給ライン
31 バルブ
32 ポンプ
M1〜M4 特性曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物の栄養源となる複数の基質成分を含んだ基質溶液とサンプル水との混合水を導入し、この混合水に含まれる溶存酸素を消費する前記微生物を保持した微生物膜、及び前記溶存酸素の消費量に応じた電流信号を出力する溶存酸素電極を有するバイオセンサを備えており、前記電流信号が異常設定レベルを超えた場合に水質が異常であることを判別するバイオセンサ型異常水質監視装置において、
前記微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分を含み、前記微生物を活性化させるための活性調整用基質溶液が貯溜された活性調整用基質溶液保管容器と、
前記電流信号の出力に基づき、前記溶存酸素の消費量が一定以下に低下して前記微生物の活性が低下したと判別された場合に、前記貯溜された活性調整用基質溶液を前記バイオセンサに対して供給する活性調整用基質溶液供給手段と、
を備えたことを特徴とするバイオセンサ型異常水質監視装置。
【請求項2】
前記活性調整用基質溶液供給手段は定流量ポンプであり、前記微生物の活性低下の度合いに応じて、この定流量ポンプの作動時間を可変する、
ことを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ型異常水質監視装置。
【請求項3】
前記活性調整用基質溶液供給手段は流量可変ポンプであり、前記微生物の活性低下の度合いに応じて、この流量可変ポンプの流量を可変する、
ことを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ型異常水質監視装置。
【請求項4】
前記活性調整用基質溶液保管容器は、前記微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分の濃度が通常濃度である第1の活性調整用基質溶液が貯溜された第1の活性調整用基質溶液保管容器と、前記微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分の濃度が低濃度である第2の活性調整用基質溶液が貯溜された第2の活性調整用基質溶液保管容器と、に分けられており、
前記活性調整用基質溶液供給手段は、前記微生物の活性低下の度合いが小さな場合は、前記貯溜された第2の活性調整用基質溶液を前記バイオセンサに対して供給し、前記微生物の活性低下の度合いが通常の場合又は著しい場合は、前記貯溜された第1の活性調整用基質溶液を前記バイオセンサに対して供給するものである、
ことを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ型異常水質監視装置。
【請求項5】
前記微生物が鉄酸化細菌であり、前記微生物の呼吸代謝に関与しない基質成分がリン酸水素2カリウムである、
ことを特徴とする請求項1乃至4記載のバイオセンサ型異常水質監視装置。
【請求項6】
前記混合水及び前記活性調整用基質溶液の供給ラインを洗浄するための洗浄液が貯溜された洗浄液保管容器と、
洗浄時に前記貯溜された洗浄液を前記供給ラインに向けて送出する洗浄液送出手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5記載のバイオセンサ型異常水質監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−349551(P2006−349551A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177451(P2005−177451)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】