説明

バイオディーゼル燃料の製造方法、およびバイオディーゼル燃料の製造装置

【構成】 バイオディーゼル燃料の製造装置10は、塩基性のカルシウム化合物が収容された反応容器12を含み、原料油脂と原料アルコールとをエステル交換させてバイオディーゼル燃料を合成する。そして、酸性のイオン交換樹脂が収容された第1樹脂管52に対して、余剰アルコールが蒸発除去される前の反応生成物を供給することによってカルシウム分を除去する。また、イオン交換樹脂が収容された第2樹脂管54に対して、余剰アルコールが蒸発除去された後の反応生成物を供給することによって微量グリセリンを除去する。
【効果】 イオン交換樹脂による不純物の除去操作を2段階に分けて行うようにしたので、イオン交換樹脂の性質を十分に生かすことができ、効率的にバイオディーゼル燃料から不純物を除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はバイオディーゼル燃料の製造方法およびバイオディーゼル燃料の製造装置に関し、特にたとえば、塩基性のカルシウム化合物を固体触媒として用いる、バイオディーゼル燃料の製造方法およびバイオディーゼル燃料の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷の少ない軽油代替燃料として、バイオディーゼル燃料が注目されている。バイオディーゼル燃料(脂肪酸エステル)は、植物油や動物脂などの油脂と、メタノールやエタノール等の低級アルコールとのエステル交換反応によって得られることが知られており、現在の実用化技術としては、水酸化ナトリウム等の苛性アルカリを触媒として用いる方法が主流となっている。しかし、苛性アルカリを触媒とする製造方法では、生成したバイオディーゼル燃料にアルカリ成分が混入するため、水による生成燃料の洗浄操作が必須となり、製造工程が煩雑となってしまう。また、大量のアルカリ廃水が発生する上、副生するグリセリンにも高濃度のアルカリが含まれるため、これらを処理するために多大なコストが必要となってしまう。
【0003】
このような苛性アルカリを触媒とする製造方法の問題点を解消するため、固体触媒を用いるバイオディーゼル燃料の製造方法が各種提案されている。
【0004】
たとえば、本発明者らは、塩基性のカルシウム化合物を固体触媒として用いる方法に着目して検討を進め、特許文献1において、塩基強度(H_)が9.3以上の酸化カルシウムとグリセリンとを化合させて生成したカルシウムグリセロキシドが、高い反応効率でバイオディーゼル燃料を生成でき、かつ安定に存在できる優れた固体触媒であることを提示している。
【0005】
固体触媒を用いる製造方法では、反応生成物から余剰アルコールを蒸発留去し、副生するグリセリンを静置分離するという簡便な精製操作を行うだけで、バイオディーゼル燃料を得ることができるので、苛性アルカリを触媒とする製造方法と比較して、製造工程の簡略化や製造コストの低減などを図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−212772号公報 [B01J 31/12]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、カルシウム化合物を固体触媒として用いた場合、反応生成物への触媒成分の溶出を避けることはできず、製造したバイオディーゼル燃料には触媒成分が不純物として残存してしまう。特許文献1の技術では、カルシウムグリセロキシドを固体触媒として用いることによって、触媒成分の溶出を大幅に抑制できるようになったが、十分とは言えなかった。たとえば、バイオディーゼル燃料を自動車用途に使用する場合には、カルシウム濃度を5ppm未満にすべきとの品質規格(たとえば、欧州規格:EN14214)が定められているが、その規格を満足するには至っていない。
【0008】
また、エステル交換反応の際に副生するグリセリンは、比重差や極性差を利用する静置分離や遠心分離によってその大半を分離除去できる。しかし、バイオディーゼル燃料は若干の極性を有するため、水洗処理を行わない製法においては、数百ppm程度のグリセリンがバイオディーゼル燃料中に安定に分散してしまう。
【0009】
したがって、特許文献1の技術によって得られたバイオディーゼル燃料を自動車用途に使用するためには、残存する微量の不純物(カルシウム分およびグリセリン)を除去するための更なる精製処理が必要となる。残存する微量の不純物を除去する方法としては、イオン交換樹脂を用いるとよいことが知られているが、公知技術ではイオン交換樹脂の性質を十分に生かしているとは言えず、合成したバイオディーゼル燃料から不純物をより効率的に除去できる技術が望まれる。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、バイオディーゼル燃料の製造方法およびバイオディーゼル燃料の製造装置を提供することである。
【0011】
この発明の他の目的は、バイオディーゼル燃料の不純物を効率的に除去できる、バイオディーゼル燃料の製造方法およびバイオディーゼル燃料の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0013】
第1の発明は、塩基性のカルシウム化合物を固体触媒として用いるバイオディーゼル燃料の製造方法において、(A)固体触媒を収容した反応容器に原料油脂と原料アルコールとを供給してエステル交換反応を行い、反応生成物を得るステップ、(B)エステル交換反応に利用されなかった余剰アルコールを反応生成物から蒸発除去するステップ、および(C)エステル交換反応によって副生するグリセリンを静置分離または遠心分離を利用して反応生成物から除去するステップを含み、ステップ(B)の前に、ステップ(A)で得た反応生成物に含まれる可溶性のカルシウム分を、第1イオン交換樹脂に固定化して除去することを特徴とする、バイオディーゼル燃料の製造方法である。
【0014】
第1の発明では、酸化カルシウムやカルシウムグリセロキシドのような塩基性のカルシウム化合物を固体触媒として用いて、バイオディーゼル燃料を合成する(ステップ(A))。そして、合成反応に利用されなかった余剰アルコールを蒸発除去し(ステップ(B))、副生グリセリンを比重差や極性差を利用して分離除去する(ステップ(C))と共に、イオン交換樹脂を用いて反応生成物から不純物を除去する。
【0015】
具体的には、余剰アルコールを反応生成物から蒸発除去するステップ(B)の前に、反応生成物に含まれる可溶性のカルシウム分を第1イオン交換樹脂に固定化して除去する操作を行う。第1イオン交換樹脂としては、酸性のイオン交換樹脂を用いるとよい。なお、ステップ(C)は、ステップ(B)の前に行ってもよいし、第1イオン交換樹脂によってカルシウム分を除去する操作の前に行ってもよい。
【0016】
イオン交換樹脂によるカルシウム分の除去は、イオン交換作用によって行われる。イオン交換作用を最大限に利用するためには、樹脂内部の官能基を利用できるように、処理液が樹脂内部まで浸透する必要がある。ここで、余剰アルコールを除去する前の反応生成物は、余剰アルコールと低粘度で極性の高い均一層を形成するので、イオン交換樹脂の内部へと浸透し易い状態になっている。したがって、余剰アルコールを蒸発除去する前に、第1イオン交換樹脂によるカルシウム分の除去操作を行うことにより、樹脂内部の官能基を十分に利用できるようになり、効率的にカルシウム分を除去できる。
【0017】
第1の発明によれば、イオン交換樹脂によるカルシウム分の除去を、余剰アルコールを蒸発除去する前に実施するので、効率的にカルシウム分を除去できる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明に従属し、ステップ(B)の後であってかつステップ(C)の後に、(D)ステップ(C)で反応生成物から除去されずに残存するグリセリンを、第2イオン交換樹脂によって除去するステップをさらに含む。
【0019】
第2の発明では、合成反応に利用されなかった余剰アルコールを蒸発除去する操作(ステップ(B))、および副生グリセリンを比重差や極性差を利用して分離除去する操作(ステップ(C))の後に、残存する微量のグリセリンを第2イオン交換樹脂によって除去する操作(ステップ(D))を行う。第2イオン交換樹脂の種類は、特に限定されないが、部材の管理や購入面のメリットを考慮して、第1イオン交換樹脂と同じイオン交換樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
イオン交換樹脂によるグリセリンの除去は、樹脂との親和性を利用して行われる。樹脂との親和性を最大限に利用するためには、イオン交換樹脂との親和性が高い物質が他に存在しないことが重要である。つまり、イオン交換樹脂に吸収される高極性の物質がグリセリンだけの場合には、グリセリンは効率良くイオン交換樹脂に吸収される。ここで、低級アルコールは、イオン交換樹脂との親和性が高い物質である。したがって、余剰アルコールを蒸発除去した後に、第2イオン交換樹脂による微量グリセリンの除去操作を行うことにより、効率良くグリセリンがイオン交換樹脂に吸収される。
【0021】
第2の発明によれば、イオン交換樹脂による不純物の除去操作を2段階に分けて行うようにしたので、イオン交換樹脂の性質を十分に生かすことができ、バイオディーゼル燃料からカルシウム分とグリセリンとを効率良く除去できる。
【0022】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、第1イオン交換樹脂は、プロトンが共役カチオンとなっているイオン交換樹脂を含む。
【0023】
第3の発明では、第1イオン交換樹脂として、プロトンが共役カチオンとなっている酸性のイオン交換樹脂を用いる。カルシウム分をイオン交換作用により除去する際には、プロトンが排出されるだけであるので、バイオディーゼル燃料の品質には影響がない。
【0024】
第3の発明によれば、バイオディーゼル燃料の品質に影響を与えることなく、カルシウム分を除去できる。
【0025】
第4の発明は、塩基性のカルシウム化合物を固体触媒として用いてバイオディーゼル燃料を製造するバイオディーゼル燃料の製造装置であって、固体触媒を用いて原料油脂と原料アルコールとをエステル交換させる合成反応部、エステル交換反応に利用されなかった余剰アルコールを蒸発除去するアルコール除去部、エステル交換反応によって副生するグリセリンを静置分離または遠心分離を利用して除去するグリセリン除去部、第1イオン交換樹脂が収容され、アルコール除去部によって余剰アルコールが除去される前の反応生成物が供給される第1樹脂部、および第2イオン交換樹脂が収容され、アルコール除去部によって余剰アルコールが除去された後であってかつグリセリン除去部によってグリセリンが除去された後の反応生成物が供給される第2樹脂部を備える、バイオディーゼル燃料の製造装置である。
【0026】
第4の発明では、バイオディーゼル燃料の製造装置(10)は、合成反応部(12,14a,14b,16)を備え、塩基性のカルシウム化合物を固体触媒として用いて、原料油脂と原料アルコールとをエステル交換させてバイオディーゼル燃料を合成する。そして、合成反応に利用されなかった余剰アルコールをアルコール除去部(38,42)によって蒸発除去し、グリセリン除去部(38,46)によって副生グリセリンを比重差や極性差を利用して分離除去すると共に、イオン交換樹脂を用いて反応生成物から不純物を除去する。イオン交換樹脂による不純物の除去は、2段階に分けて行う。すなわち、バイオディーゼル燃料の製造装置は、第1イオン交換樹脂が収容される第1樹脂部(52)と第2イオン交換樹脂が収容される第2樹脂部(54)とを備える。
【0027】
第1樹脂部には、余剰アルコールが除去される前の反応生成物が供給される。アルコールを含む状態の反応生成物は、イオン交換樹脂の内部に浸透し易いので、イオン交換作用によって除去されるカルシウム分を効率的に除去できる。一方、第2樹脂部には、余剰アルコールが除去され、かつ静置分離または遠心分離によってグリセリンが除去された反応生成物が供給される。この反応生成物には、微量のグリセリンが残存しているが、アルコールは除かれているため、グリセリンは効率良くイオン交換樹脂に吸収される。
【0028】
第4の発明によれば、第1樹脂部および第2樹脂部を備えるようにし、イオン交換樹脂による不純物の除去操作を2段階に分けて行うようにしたので、イオン交換樹脂の性質を十分に生かすことができ、効率的にバイオディーゼル燃料から不純物を除去できる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、イオン交換樹脂によるカルシウム分の除去を、余剰アルコールを蒸発除去する前に実施するので、効率的にカルシウム分を除去できる。
【0030】
また、第2の発明によれば、イオン交換樹脂による不純物の除去操作を2段階に分けて行うので、イオン交換樹脂の性質を十分に生かすことができ、バイオディーゼル燃料からカルシウム分とグリセリンとを効率良く除去できる。
【0031】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の一実施例であるバイオディーゼル燃料の製造装置の構成を模式的に示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照して、この発明の一実施例であるバイオディーゼル燃料の製造装置(以下、単に「製造装置」という。)10は、固体触媒が収容された反応容器12を含み、反応容器12に供給された原料油脂と原料アルコールとをエステル交換反応させて、バイオディーゼル燃料を合成する。そして、合成反応に利用されなかった余剰アルコールを蒸発除去し、副生グリセリンを比重差や極性差を利用して分離除去すると共に、イオン交換樹脂を用いて、反応生成物から不純物を除去する。
【0034】
先ず、この発明に用いる固体触媒および原料について説明する。固体触媒としては、Hamett試薬による塩基強度(H_)、つまりHamett試薬の変色点を示す酸解離指数(pKa)が、9.3を超える塩基性のカルシウム化合物を用いる。具体的には、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、カルシウムグリセロキシド、カルシウムメトキシド、およびカルシウムエトキシド等のカルシウム化合物を用いることができる。この中でも、反応効率が高く、触媒溶出も抑制されるという点で、カルシウムグリセロキシドを用いることが好ましい。また、これらカルシウム化合物を、活性炭やシリカ等の適宜な担体と複合化したものを固体触媒として用いることもできる。さらに、原料との接触効率を高めるために、固体触媒と活性炭などの希釈用不活性固体とを混合して使用することもできる。
【0035】
また、固体触媒の粒子径および表面積などの物理的性質は、特に限定されない。ただし、流通式の反応管内で固体触媒を使用する場合には、反応管内に充填可能であり、かつ反応流体の良好な流動性を確保できる粒子径を有する必要がある。具体的には、目開きが1.0mmのメッシュ織物を通過せず、目開きが10.0mmのメッシュ織物を通過する粒子径を有する固体触媒を用いることが好ましい。これは、粒子径が10mmより大きい固体触媒では、反応流体との接触効率が悪くなるため、反応効率が低下して単位処理能力の悪化が顕著になるからである。また、粒子径が1mm未満の固体触媒では、ストリームの閉塞が問題になるからである。
【0036】
なお、上述の固体触媒の具体的な製造方法については、本発明者らが先に出願したWO2006/134845号公報、特開2008−212772号公報および特願2008−156208号公報に詳述しているので、参照されたい。
【0037】
また、原料油脂の種類は、特に限定されず、菜種油や大豆油などの植物油、牛脂や豚脂などの動物脂、これらの混合物、および使用済みの廃食油などの油脂を適宜用いることができる。ただし、利用する原料油脂によっては、その性状に応じて前処理を実施することが望ましい場合がある。
【0038】
たとえば、ジェトロファ等に由来する非食用の植物油は、食用の植物油よりも簡素な工程で製造され、固体触媒を被毒する遊離脂肪酸が多く含まれるので、これを予め除去しておくことが望ましい。遊離脂肪酸については、本発明者らが先に出願した特開2008−1856号公報で提示した方法を用いれば、容易に原料油脂から除去できるので参照されたい。また、使用済みの天ぷら油などの廃食油は、遊離脂肪酸に加えて食品由来の固体成分なども多く含むので、ろ過などによってこれら固体成分も予め除去しておくことが望ましい。また、動物脂は、常温で固体状であるため、使用する際には加温などして流動化させる必要がある。
【0039】
原料アルコールとしては、メタノールやエタノール等の低級アルコールを用いることができる。その中でも、コストや反応性を考慮すると、メタノールを用いることが好ましい。
【0040】
また、固体触媒の劣化を可能な限り低減させる観点からは、原料油脂や原料アルコールに溶解している炭酸ガスや水分を、予め除去しておくのが望ましい。たとえば、炭酸ガスについては、不活性ガスを用いた置換除去を用いるとよく、水分については、吸着除去を用いるとよい。
【0041】
原料油脂に対して原料アルコールを混合する比率は、100容量部の原料油脂に対して50−150容量部の原料アルコールを混合することが好ましい。原料アルコールが50容量部より少ないと、平衡反応率による制約および拡散阻害によって、反応速度が大きく低下してしまうからである。また、原料アルコールが150容量部を超えると、処理能力に見合わない大きな装置となってしまうからである。
【0042】
次に、図1を参照して、製造装置10の具体的な構成について説明する。反応容器12は、ステンレス等によって形成される流通式の反応管(カラム)であって、この内部に上述の固体触媒が充填される。反応容器12には、ステンレスパイプやゴムチューブ等の配管14a,14bを介して、混合槽16が接続される。配管14aには、循環ポンプ18が設けられており、この循環ポンプ18を駆動させることによって、混合槽16内の流体が配管14aを通って反応容器12に流入し、配管14bを通って混合槽16に戻る、循環流れが形成される。また、配管14aには、電磁バルブ等のバルブ20が設けられており、必要に応じて管路が開閉される。
【0043】
混合槽16としては、ガラス等によって形成される円筒状の容器などを用いることができ、この混合槽16には、油脂槽24およびアルコール槽26が接続される。各槽16,24,26を接続する配管には、送液ポンプ28,30およびバルブ32,34が設けられており、必要に応じて、所定量の油脂およびアルコールが、油脂槽24およびアルコール槽26から混合槽16に供給される。また、混合槽16には、攪拌翼が設けられており、合成反応を行う際には、混合槽16内に供給された原料油脂および原料アルコールが、攪拌翼によって混合されて反応容器12に供給される。また、反応容器12および混合槽16には、循環経路を循環する流体を加熱してその温度を制御するための加熱装置(ヒータ)36が設けられる。さらに、混合槽16には分離槽38が接続され、合成反応によって生成された反応生成物は、バルブ40を介して分離槽38に供給される。この際、反応容器12や配管14a,14bに残る反応生成物もできる限り取り出せるようにしておくとよく、これらも分離槽38に供給できるようにすることが好ましい。これにより、次の合成反応を効率良く行うことができる。
【0044】
分離槽38は、ガラス等によって形成される円筒状の容器であって、反応生成物から不純物を除去するために用いられる。具体的には、分離槽38には、真空ポンプ42および冷却管44が設けられる。合成反応に使用されなかった未反応の余剰アルコールは、蒸発分離されて冷却管44に導入され、冷却管44で冷却されてアルコール槽26に戻される。また、分離槽38には、グリセリンを排出するためのバルブ46が設けられる。合成反応によって副生したグリセリンの大部分は、このバルブ46から排出されてグリセリン槽48に貯留される。つまり、分離槽38は、余剰アルコールを蒸発除去するための蒸留槽として機能すると共に、比重差や極性差によってバイオディーゼル燃料からグリセリンを分離除去するための静置槽としても機能する。もちろん、製造装置10には、蒸留槽および静置槽を別々に設けるようにすることもできる。
【0045】
また、分離槽38には、ステンレスパイプやゴムチューブ等の配管50を介して、第1樹脂管52が接続される。第1樹脂管52は、ガラス等によって形成される流通式の反応管(カラム)であって、その入口側および出口側の双方が分離槽38に接続される。この第1樹脂管52には、第1イオン交換樹脂が収容される。
【0046】
第1イオン交換樹脂は、詳細は後述するように、主としてバイオディーゼル燃料に含まれるカルシウム分を除去するための樹脂である。第1イオン交換樹脂としては、酸性のイオン交換樹脂を用いるとよく、特に、共役するカチオンがプロトンとなっているイオン交換樹脂を用いることが好ましい。ソーダカチオンが共役しているイオン交換樹脂を使用すると、カルシウム分が除去される代わりにソーダ分が排出されてしまうからである。第1樹脂管52への第1イオン交換樹脂の収容量は、バイオディーゼル燃料に混入するカルシウム分の濃度に応じて適宜設定するとよい。
【0047】
また、配管50には分岐部が設けられており、分離槽38には、配管50を介して第2樹脂管54が接続される。第2樹脂管54は、第1樹脂管52と同様の反応管(カラム)であって、入口側が分離槽38に接続され、出口側がBDF槽56に接続される。この第2樹脂管54には、第2イオン交換樹脂が収容される。
【0048】
第2イオン交換樹脂は、詳細は後述するように、主としてバイオディーゼル燃料に含まれるグリセリンを除去するための樹脂である。第2イオン交換樹脂の種類は、特に限定されないが、部材の管理や購入面のメリットを考慮すると、第1イオン交換樹脂と同じ樹脂を用いると有利である。なお、第2樹脂管54への第2イオン交換樹脂の収容量は、バイオディーゼル燃料に混入するグリセリンの静置分離後の濃度に応じて適宜設定される。
【0049】
また、配管50には、電磁バルブ等のバルブ58,60,62および送液ポンプ64が設けられており、必要に応じて管路が開閉されて、分離槽38内の反応生成物が第1樹脂管52または第2樹脂管54に適宜供給される。また、図示は省略するが、分離槽38、第1樹脂管52および第2樹脂管54には、内部流体を加熱してその温度を制御するための加熱装置(ヒータ)が設けられる。
【0050】
このような構成の製造装置10を用いてバイオディーゼル燃料を製造する方法を以下に説明する。
【0051】
バイオディーゼル燃料の合成反応を行う際には、先ず、バルブ28,30が開状態にされ、送液ポンプ32,34が駆動されて、油脂槽24およびアルコール槽26から所定量の原料油脂および原料アルコールが混合槽16に供給される。混合槽16では、供給された原料油脂および原料アルコールが攪拌翼によって混合される。続いて、バルブ20が開状態にされ、循環ポンプ18が駆動されることにより、原料混合液(反応流体)は、反応容器12、配管14a,14bおよび混合槽16によって形成される反応系を循環し、合成反応(エステル交換反応)が行われる。つまり、循環流れの回分反応方式による合成反応が行われる。
【0052】
この合成反応の際には、反応流体は、加熱装置36によって55−65℃程度に加熱される。また、合成反応を行う時間は、達成すべきバイオディーゼル燃料の品質により適宜設定されるが、たとえば0.5−3時間程度であり、製造コストの観点からは、2時間以内で合成反応を完了できることが好ましい。
【0053】
合成反応を終了すると、得られた反応生成物から不純物を除去してバイオディーゼル燃料を精製する。この実施例では、上述のように、反応に利用されなかった余剰アルコールを蒸発除去し、副生グリセリンを比重差や極性差を利用して分離除去すると共に、バイオディーゼル燃料の純度をより高めるために、イオン交換樹脂を用いてバイオディーゼル燃料を精製する。
【0054】
本発明者らは、より効率的にイオン交換樹脂によって反応生成物から不純物を除去できる方法を鋭意検討した結果、以下に示す興味深い事実を見出した。すなわち、カルシウム分およびグリセリンは共に、イオン交換樹脂によって除去可能である。しかし、その除去機構は異なり、カルシウム分はイオン交換作用によって除去され、グリセリンは樹脂との親和性によって除去されるというものである。
【0055】
イオン交換作用を最大限に利用するためには、樹脂内部の官能基を利用できるように、処理液が樹脂内部まで浸透する必要がある。一般的に、バイオディーゼル燃料の合成反応では、平衡反応率による制約を緩和するために、量論比以上の原料アルコールを添加するので、合成反応後も余剰のアルコールが残る。バイオディーゼル燃料はアルコールに溶解するので、合成反応後のバイオディーゼル燃料は、余剰アルコールと低粘度で極性の高い均一層を形成する。この特徴は、イオン交換樹脂の内部へと浸透することに極めて有利である。アルコールを含有しないバイオディーゼル燃料をイオン交換樹脂と接触させても、イオン交換樹脂が膨潤し難い上に、高い粘性のために樹脂内部まで浸透できないため、利用できる官能基が限定され、イオン交換を効率的に行えないからである。つまり、イオン交換作用によるカルシウム分の除去は、アルコールを含有する状態であれば、効率的に行うことができる。
【0056】
一方、イオン交換樹脂との親和性を最大限に利用するためには、樹脂との親和性が高い物質が他に存在しないことが重要である。つまり、イオン交換樹脂に吸収される高極性の物質がグリセリンだけの場合には、グリセリンは効率良くイオン交換樹脂に吸収される。ここで、低級アルコールは、イオン交換樹脂との親和性が高い物質である。すなわち、アルコールを含有するバイオディーゼル燃料をイオン交換樹脂と接触させると、アルコールがイオン交換樹脂に吸収されるので、グリセリンは樹脂を通過するだけとなり、樹脂への吸収を効率的に行えない。つまり、樹脂との親和性によるグリセリンの除去は、アルコールを含有しない状態であれば、効率的に行うことができる。
【0057】
上述のように、カルシウム分とグリセリンとでは、イオン交換樹脂によって除去される機構が異なり、アルコールが存在する場合と存在しない場合とで、除去される効率が大きく異なる。そこで、この実施例では、イオン交換樹脂による不純物の除去操作を2段階に分けて行うことにした。すなわち、イオン交換樹脂によるカルシウム分の除去は、余剰アルコールを蒸発除去する前に行い、イオン交換樹脂によるグリセリンの除去は、余剰アルコールを蒸発除去した後に行う。
【0058】
以下、バイオディーゼル燃料の精製方法を具体的に説明する。上述の合成反応を終了すると、バルブ40を開状態にして、反応生成物の全量を混合槽16から分離槽38に移動させる。そして、最初に、第1イオン交換樹脂によるカルシウム分の除去を行う。すなわち、バルブ58および60を開状態にして送液ポンプ64を起動し、反応生成物を第1樹脂管52に対して適宜の給液速度で供給する。この際、第1イオン交換樹脂への反応生成物の浸透を促すために、加温状態にしておくことが好ましい。このように、余剰アルコールを含んだ状態で反応生成物を第1イオン交換樹脂と接触させることによって、反応生成物は第1イオン交換樹脂の内部へと浸透し易くなるので、イオン交換作用によるカルシウム分の除去を効率的に行うことができる。一方、反応生成物に含まれるグリセリンについては、その一部は第1イオン交換樹脂に吸収されるが、大部分はそのまま第1樹脂管52を通過する。
【0059】
第1樹脂管52を通過した反応生成物は、分離槽38に戻され、続いて余剰メタノールの蒸発除去が行われる。すなわち、送液ポンプ64を停止した後、真空ポンプ42を駆動して分離槽38内を減圧加熱状態にし、余剰アルコールを蒸発分離する。分離された余剰アルコールは、冷却管44で冷却されて、アルコール槽26に戻され再利用される。
【0060】
次に、比重差および極性差を利用して、グリセリンを除去する。すなわち、分離槽38内を静置状態にして、反応生成物をバイオディーゼル燃料(脂肪酸エステル)からなる軽液とグリセリンからなる重液との2相に分離させ、分離させたグリセリンをバルブ46から排出する。排出したグリセリンは、グリセリン槽48に貯留する。この操作により、反応生成物に含まれるグリセリンの大部分は除去される。ただし、分離槽38に遠心分離機能を持たせることによって、静置分離に代えて、遠心分離によってグリセリンを除去することもできる。なお、グリセリン槽48に貯留されるグリセリンは、適宜の精製処理を行うことにより、化学工業原料などに利用可能である。
【0061】
比重差および極性差を利用するグリセリンの除去を終了すると、最後に、残存する微量グリセリンを第2イオン交換樹脂によって除去する操作を行う。すなわち、バルブ58および62を開状態にして送液ポンプ64を起動し、反応生成物を第2樹脂管54に対して適宜の給液速度で供給する。このときには、反応生成物はアルコールを含まないので、第2イオン交換樹脂に吸収される高極性の物質はグリセリンだけとなり、グリセリンは効率良くイオン交換樹脂に吸収される。
【0062】
第2樹脂管54を通過した反応生成物、つまり不純物が除去されたバイオディーゼル燃料は、BDF槽56に貯留され、一連のバイオディーゼル燃料の製造が終了する。
【0063】
表1には、酸性のイオン交換樹脂を用いて、バイオディーゼル燃料からカルシウム分およびグリセリンを除去する実験を行った結果を示す。実験条件は以下の通りである。
【0064】
この実験には、3種類のバイオディーゼル燃料を用いた。すなわち、30ppmのカルシウム分と0.1%のグリセリンを含有する燃料A、200ppmのカルシウム分と0.15%のグリセリンを含有する燃料B、および燃料Bに20容量%のメタノールを混合した燃料Cである。また、イオン交換樹脂としては、ローム&ハース社製のアンバーリスト−15ドライを用いた。このイオン交換樹脂は、スルホン基が酸性の官能基として含まれ、共役カチオンとしてプロトンがキャッピングされている強酸性のイオン交換樹脂である。
【0065】
燃料A−Cのそれぞれを、50cmのイオン交換樹脂を充填したガラス製のカラム(内径25mm、長さ300mm)に対して、セラミックポンプを用いて100cm/minの流速で1スルー流れで給液した。そして、給液を開始してから2時間後、4時間後、および8時間後に、カラムを通過した各燃料A−Cをサンプリングし、不純物濃度を測定した。カルシウム分については原子吸光分光光度計によって測定し、グリセリンについてはガスクロマトグラフによって測定した。なお、燃料A−Cを給液する前には、充填したイオン交換樹脂の4容量倍のメタノールを用いてカラム内を通液洗浄した。また、燃料A−Cを給液中のカラム内の温度は、カラムに装着したリボンヒータによって40℃に保った。
【0066】
【表1】

【0067】
表1に示すように、30ppmのカルシウム分を含む燃料Aについては、給液して2時間後のサンプルでは、ほぼ完全にカルシウム分が除去されたが、給液して8時間後のサンプルでは、9ppmのカルシウム分が残存した。また、200ppmのカルシウム分を含む燃料Bについては、半分以上のカルシウム分が残存した。ところが、燃料Bに20容量%のメタノールを加えた燃料Cについては、給液を開始して8時間後でも、ほぼ完全にカルシウム分が除去された。これは、メタノールを混合したことによって、粘性が低下する上、イオン交換樹脂が膨潤して燃料Cの浸透が促進されたためである。したがって、イオン交換樹脂によるカルシウム分の除去は、アルコールを含有する状態、つまり余剰アルコールを蒸発除去する前に実施することが適切であると言える。
【0068】
一方、グリセリンについては、カルシウム分と逆の結果になった。つまり、メタノールを加えた燃料Cについては、半分に近いグリセリンが残存したが、メタノールを加えない燃料AおよびBについては、品質規格(0.01%未満)を満たす値までグリセリンが除去された。これは、イオン交換樹脂と低級アルコールとの親和性が高いことによるものである。すなわち、メタノールを加えない燃料AおよびBでは、イオン交換樹脂に吸収される高極性の物質はグリセリンだけであるので、グリセリンは効率良くイオン交換樹脂に吸収される。一方、メタノールを加えた燃料Cでは、メタノールもイオン交換樹脂に吸収され、樹脂が十分に膨潤した後は、グリセリンが樹脂内部に浸透しても、吸収されずにメタノールと共に通過するだけとなる。したがって、イオン交換樹脂によるグリセリンの除去は、アルコールを含有しない状態、つまり余剰アルコールを蒸発除去した後に実施することが適切であると言える。
【0069】
表2には、上述の燃料Cを用いて、各種の酸性イオン交換樹脂の評価実験を行った結果を示す。実験条件は、上述の表1の場合と同様であり、燃料Cの給液を開始してから4時間後にサンプリングした試料の不純物濃度を測定した。
【0070】
この実験では、3種類のイオン交換樹脂を用いた。すなわち、スルホン基が酸性の官能基として含まれ、共役カチオンとしてプロトンがキャッピングされている強酸性のイオン交換樹脂である樹脂D、スルホン基が酸性の官能基として含まれ、共役カチオンとしてソーダカチオンがキャッピングされている強酸性のイオン交換樹脂である樹脂E、およびカルボキシル基が酸性の官能基として含まれ、共役カチオンとしてプロトンがキャッピングされている弱酸性のイオン交換樹脂である樹脂Fである。
【0071】
【表2】

【0072】
表2に示すように、プロトンでキャッピングされた強酸性の樹脂Dおよび弱酸性の樹脂Fについては共に、カルシウム分をほぼ完全に除去できた。一方、ソーダカチオンでキャッピングされた樹脂Eについては、カルシウム分を除去できるものの、100ppm程度のソーダカチオンが検出された。これより、イオン交換樹脂へのカルシウム分の固定化は、イオン交換作用によることが分かる。
【0073】
また、ソーダカチオンでキャッピングされた樹脂Eを用いると、カルシウム分とソーダ分とが入れ換わるだけであるため、バイオディーゼル燃料の精製には、プロトンでキャッピングされた酸性のイオン交換樹脂を用いることが好ましい。プロトンでキャッピングされた酸性のイオン交換樹脂を用いれば、プロトンが排出されるだけであるので、バイオディーゼル燃料の品質に影響を与えることなく、カルシウム分を除去できる。
【0074】
この実施例によれば、第1樹脂管52および第2樹脂管54を備えるようにし、イオン交換樹脂による不純物の除去操作を2段階に分けて行うようにしたので、イオン交換樹脂の性質を十分に生かすことができ、効率的にバイオディーゼル燃料から不純物を除去できる。つまり、第1イオン交換樹脂によるカルシウム分の除去は、余剰アルコールを蒸発除去する前に実施するので、イオン交換作用に基づくカルシウム分の除去を効率的に行うことができる。また、第2イオン交換樹脂による微量グリセリンの除去は、余剰アルコールを蒸発除去した後に実施するので、親和性(吸収)に基づくグリセリンの除去を効率的に行うことができる。
【0075】
なお、上述の実施例では、第1樹脂管52および第2樹脂管54に対して1スルー流れで反応生成物を供給して不純物を除去するようにしたが、これに限定されず、循環流れで供給することもできるし、撹拌槽型の回分方式で供給することもできる。
【0076】
また、上述の実施例では、比重差および極性差を利用する静置分離または遠心分離によってグリセリンの大部分を除去する操作を、余剰アルコールを蒸発除去する操作の後に行った。これは、グリセリン槽48に貯留したグリセリンの精製を容易にするためであるが、これに限定されない。このグリセリンの大部分を除去する操作は、余剰アルコールを蒸発除去する操作の前に行ってもよいし、第1イオン交換樹脂によってカルシウム分を除去する操作の前に行ってもよい。ただし、第2イオン交換樹脂によってグリセリンを除去する操作の前に行う必要がある。
【0077】
さらに、上述の実施例では、反応容器12として流通式の反応管を用い、循環流れの回分反応方式によって合成反応を行ったが、これに限定されない。たとえば、1スルー流れの連続反応方式を採用することもできるし、撹拌槽型の回分反応方式を採用することもできる。ただし、上述の反応条件で1スルー流れの連続反応方式を採用すると、反応容器12の容量が大きくなりすぎてしまい、設備コストが悪化する。また、撹拌槽型の回分反応方式を採用すると、ろ過などによって、懸濁する固体触媒粒子を反応生成物や洗浄用アルコールから取り出す固液分離操作が必要となる。このため、装置の小型化、製造コストの低減、および操作の容易さ等を考慮すると、循環流れの回分反応方式を採用することが好ましい。
【符号の説明】
【0078】
10 …バイオディーゼル燃料の製造装置
12 …反応容器
16 …混合槽
38 …分離槽
52 …第1樹脂管
54 …第2樹脂管
18,28,30,42,64 …ポンプ
20,32,34,40,46,58,60,62 …バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性のカルシウム化合物を固体触媒として用いるバイオディーゼル燃料の製造方法において、
(A)前記固体触媒を収容した反応容器に原料油脂と原料アルコールとを供給してエステル交換反応を行い、反応生成物を得るステップ、
(B)前記エステル交換反応に利用されなかった余剰アルコールを反応生成物から蒸発除去するステップ、および
(C)前記エステル交換反応によって副生するグリセリンを静置分離または遠心分離を利用して反応生成物から除去するステップを含み、
前記ステップ(B)の前に、前記ステップ(A)で得た反応生成物に含まれる可溶性のカルシウム分を、第1イオン交換樹脂に固定化して除去することを特徴とする、バイオディーゼル燃料の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(B)の後であってかつ前記ステップ(C)の後に、(D)前記ステップ(C)で反応生成物から除去されずに残存するグリセリンを、第2イオン交換樹脂によって除去するステップをさらに含む、請求項1記載のバイオディーゼル燃料の製造方法。
【請求項3】
前記第1イオン交換樹脂は、プロトンが共役カチオンとなっているイオン交換樹脂を含む、請求項1または2記載のバイオディーゼル燃料の製造方法。
【請求項4】
塩基性のカルシウム化合物を固体触媒として用いてバイオディーゼル燃料を製造するバイオディーゼル燃料の製造装置であって、
前記固体触媒を用いて原料油脂と原料アルコールとをエステル交換させる合成反応部、
前記エステル交換反応に利用されなかった余剰アルコールを蒸発除去するアルコール除去部、
前記エステル交換反応によって副生するグリセリンを静置分離または遠心分離を利用して除去するグリセリン除去部、
第1イオン交換樹脂が収容され、前記アルコール除去部によって余剰アルコールが除去される前の反応生成物が供給される第1樹脂部、および
第2イオン交換樹脂が収容され、前記アルコール除去部によって余剰アルコールが除去された後であってかつ前記グリセリン除去部によってグリセリンが除去された後の反応生成物が供給される第2樹脂部を備える、バイオディーゼル燃料の製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−26394(P2011−26394A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171697(P2009−171697)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(391053696)JOHNAN株式会社 (16)
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)
【Fターム(参考)】