説明

バイオマスガス化処理方法およびバイオマスガス化システム

【課題】乾燥機を設置する必要なく、ガス化炉から抽出される熱分解ガスに混入する水蒸気量を低減することが可能で、省スペース化やコストダウンを達成できるバイオマスガス化処理方法およびバイオマスガス化システムを提供する。
【解決手段】入口側3aから出口側3bに向かって流動する原料バイオマスを加熱し熱分解することで、出口側3bで熱分解ガスが生成されるガス化炉3と、ガス化炉3の入口側3aに設けられ、炉内水蒸気を抽出する抽出設備とを備えた。抽出設備は、ガス化炉3に熱を供給する熱風発生炉と接続されてこれに炉内水蒸気を導入する。ガス化炉3には、熱分解ガスが生成される出口側3bと炉内水蒸気が抽出される入口側3aとの間で炉内雰囲気が流動することを抑制するバッフル19が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥機を設置する必要なく、ガス化炉から抽出される熱分解ガスに混入する水蒸気量を低減することが可能で、省スペース化やコストダウンを達成できるバイオマスガス化処理方法およびバイオマスガス化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材チップや牛糞、鶏糞などの各種バイオマスを原料とし、燃焼熱源から供給される熱を利用してガス化炉で当該原料バイオマスを加熱処理して、燃料ガスとなる熱分解ガスを生成し、この熱分解ガスをガスエンジンに供給して発電を行うようにしたバイオマスガス化システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8には、バイオマスガス化システムaの従来構成が示されている。原料バイオマスは受入ホッパbに投入され、投入された原料バイオマスは、コンベアcを介して乾燥機dに投入される。乾燥機dは、原料バイオマスを乾燥処理する。乾燥処理された原料バイオマスは、次いで、ガス化炉eの入口側fに投入される。ガス化炉eとしては例えば、外熱式ロータリーキルンタイプが知られている。ガス化炉eは、原料バイオマスを入口側fから出口側gへと流動させながら、燃焼熱源である熱風発生炉hで生成された熱風により、原料バイオマスを加熱し熱分解させて、熱分解ガスを生成する。生成された熱分解ガスは、ガス改質塔iで改質処理された後、ろ過集じん機jを介してガス冷却塔kへ送られ、その後、ガスエンジンmへと送られて燃料として消費される。ガスエンジンmは、発電機nを駆動して発電を行って電気の取得を可能とするとともに、エンジン冷却水から温水が取得され、さらに、ガスエンジンmからの排ガス利用でボイラpにより蒸気が取得される。
【0004】
そして特に従来にあっては、上述したようにガス化炉eの前段に乾燥機dを設備するようにしていた。通常、バイオマスガス化システムaのガス化炉eでは、原料バイオマスは流動されつつ入口側fから出口側gへ向かって移送され、この移送の間に加熱処理される。ガス化炉eの入口側fでは、投入された原料バイオマスが堆く滞留し、このため比較的低温な状態にある。他方、ガス化炉eの出口側gでは、原料バイオマスの流動性が高まって高温な状態にある。従って、このような温度分布を呈するガス化炉e内では図9に示すように、出口側gで熱分解ガス(図中、破線で示す)が活発に生成される一方、ガス化炉eの入口側fでは、原料バイオマスは蒸される状態となって水蒸気(図中、実線で示す)が発生し、特に高含水率の原料バイオマスではきわめて大量の水蒸気が発生する。そして、この水蒸気が、出口側gで生成された熱分解ガスと混ざり合ってガス化炉eから抽出されてしまい、ガス化炉d後段のガス改質塔iで大量の水蒸気まで高温処理することとなって、多大なエネルギ損失を招いてしまうという不具合がある。
【0005】
そこで、ガス化炉eの前段に、原料バイオマスを乾燥させる乾燥機dを設置し、この乾燥機dで予め水分を除去して原料バイオマスの含水量を減少させ、これによりガス化炉eから抽出される熱分解ガス中の水蒸気量を減少させて、ガス化炉e後段に配置されるガス改質塔iでの処理ガス量を減少させるとともに、部分燃焼によるエネルギ損失(熱分解ガス消費)も低減するようにしていた。また、乾燥機dでの乾燥処理で発生した水蒸気分を含む排気については、乾燥機dに接続した吸引ファンqで系外に排出するようにしていた。
【特許文献1】特開2004−352960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来にあっては乾燥機dを備えていて、そのために当該乾燥機dの設置スペースや設備費が必要で、バイオマスガス化システムaの設備規模の大型化やコストアップを招いているという課題があり、乾燥機dを備えることなく、ガス化炉eから抽出される熱分解ガスに混入する水蒸気量を低減できる方法や装置の案出が望まれていた。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、乾燥機を設置する必要なく、ガス化炉から抽出される熱分解ガスに混入する水蒸気量を低減することが可能で、省スペース化やコストダウンを達成できるバイオマスガス化処理方法およびバイオマスガス化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるバイオマスガス化処理方法は、入口側から出口側に向かって流動する原料バイオマスを加熱し熱分解することで、出口側で熱分解ガスが生成されるガス化炉の入口側から、炉内水蒸気を抽出するステップを備えることを特徴とする。
【0009】
抽出された炉内水蒸気は、前記ガス化炉に熱を供給する燃焼熱源に導入されることが好ましい。
【0010】
炉内水蒸気の抽出量は、前記原料バイオマスの含水量に応じて設定されることが望ましい。
【0011】
炉内水蒸気の抽出量は、前記ガス化炉で生成された熱分解ガスで運転されるガスエンジンによる発電量に応じて設定されることが望ましい。
【0012】
また、本発明にかかるバイオマスガス化システムは、入口側から出口側に向かって流動する原料バイオマスを加熱し熱分解することで、出口側で熱分解ガスが生成されるガス化炉と、該ガス化炉の入口側に設けられ、炉内水蒸気を抽出する抽出設備とを備えたことを特徴とする。
【0013】
前記抽出設備は、前記ガス化炉に熱を供給する燃焼熱源と接続されてこれに炉内水蒸気を導入することが好ましい。
【0014】
前記ガス化炉には、熱分解ガスが生成される出口側と炉内水蒸気が抽出される入口側との間で炉内雰囲気が流動することを抑制するバッフルが設けられることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるバイオマスガス化処理方法およびバイオマスガス化システムにあっては、乾燥機を設置する必要なく、ガス化炉から抽出される熱分解ガスに混入する水蒸気量を低減することができ、省スペース化やコストダウンを達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明にかかるバイオマスガス化処理方法およびバイオマスガス化システムの好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかるバイオマスガス化システム1は基本的には図1に示すように、原料バイオマスが投入される受入ホッパ2と、受入ホッパ2から払い出しされた原料バイオマスをガス化炉3へ搬送しその入口側3aへ投入する搬送系4と、入口側3aに投入された原料バイオマスを出口側3bに向かって流動させつつ、当該原料バイオマスを加熱し熱分解して熱分解ガスを生成する外熱式ロータリーキルンタイプのガス化炉3と、ガス化炉3に接続されるとともに、酸素発生器5から酸素が導入され、ガス化炉3から抽出された熱分解ガス中のタール分を除去するなど、熱分解ガスを改質処理するガス改質塔6と、ガス改質塔6に接続され、送り込まれる改質後の熱分解ガス中のダスト分などを除去するろ過集じん機7と、ろ過集じん機7に接続され、熱分解ガスを清浄化する目的で冷却するガス冷却塔8と、ガス冷却塔8に接続され、清浄化処理された熱分解ガスを燃料として運転されるガスエンジン9とから主に構成される。
【0017】
ガスエンジン9は発電機10を駆動し、これにより発電を行って電気の取得を可能とするとともに、ガスエンジン9の冷却系11により温水が取得され、またガスエンジン9の排ガスを利用したボイラ12で蒸気が取得される。
【0018】
他方、ガス化炉3には、循環系13を介して、燃焼熱源である熱風発生炉14が接続される。熱風発生炉14は、残さ搬出系15を介してガス化炉3から搬出される原料バイオマスの残さを燃焼するなどして熱風を生成し、この熱風が循環系13を介してガス化炉3に循環供給されて、原料バイオマスの加熱処理に利用される。
【0019】
ガス化炉3内での熱分解ガスの生成のための加熱処理は従来と同様であって、図2に示すように、ガス化炉3の入口側3aは、投入された原料バイオマスが堆く滞留して比較的低温であり、他方、出口側3bは原料バイオマスの流動性が高まり高温であって、従っていわば、入口側3aが100℃程度で、原料バイオマスが蒸される状態となって水蒸気(図中、実線で示す)が多量に発生する蒸発領域となり、出口側3bが700℃程度で、原料バイオマスから熱分解ガス(図中、破線で示す)が活発に生成される熱分解領域となる。
【0020】
本実施形態にあっては、水蒸気が多量に発生する蒸発領域であるガス化炉3の入口側3aに、ガス化炉3から炉内水蒸気を抽出する抽出設備16が設けられる。抽出設備16は、抽出配管系17と、抽出配管系17に設けられ、ガス化炉3の炉内雰囲気を吸引する誘引送風機18とから構成される。本実施形態にあっては、抽出配管系17は、一端がガス化炉3の入口側3aに接続され、他端が熱風発生炉14に接続され、炉内水蒸気が当該熱風発生炉14に導入されるようになっている。抽出配管系17の他端は、ガス浄化処理装置などを介して、単に大気開放しても良い。しかしながら、熱風発生炉14に接続することにより、炉内水蒸気を抽出する際にこれに含まれる臭気や、炉内水蒸気の吸引に伴って吸引される僅かながらの熱分解ガスを、別途ガス浄化処理装置などを設置する必要なく、適切に処理することができる。
【0021】
抽出設備16による炉内水蒸気の抽出量は基本的には、原料バイオマスの含水量に応じて設定することが好ましい。含水量とは、直接水量を測定しても、あるいは含水比率を測定してこれに原料バイオマス量を掛け合わせて求めるようにしても良い。ガス化炉3に投入する前に予め原料バイオマスの含水量を求めておき、当該含水量に相当する水蒸気量が発生するものとして、発生量に見合う量だけの炉内雰囲気を吸引するように、誘引送風機18の運転が設定される。運転の設定内容としては、稼働時間や吸引強さなどを対象とすればよい。
【0022】
また、炉内水蒸気の抽出量は、ガスエンジン9による発電量に応じて設定するようにしても良い。すなわち、求められる発電量を得るためにガスエンジン9へ供給すべき熱分解ガス量から必要な原料バイオマス量を算出し、算出された原料バイオマス量から発生水蒸気量を割り出して、この発生水蒸気量に見合う量だけの炉内雰囲気を抽出するように誘引送風機18の運転を設定するようにしても良い。このようにすれば、ガスエンジン9での発電量が最も大きくなるように抽出設備16、ひいてはバイオマスガス化システム1を稼働することも可能となる。
【0023】
また、本実施形態にあっては、ガス化炉3内には、熱分解ガスが生成される出口側3bと炉内水蒸気が抽出される入口側3aとの間で炉内雰囲気が流動することを抑制するバッフル19が設けられる。バッフル19は好ましくは、蒸気領域と熱分解領域との境界辺りに設けることが好ましい。またバッフル19は、炉内雰囲気の流動を規制しつつ、入口側3aから出口側3bへ向かう原料バイオマスの流動を保証するように、ガス化炉3内で部分的に入口側3aと出口側3bとを連通する連通部20を備えることが好ましい。図3から図7には、バッフル19の各種例が示されている。
【0024】
図3に示したバッフル19は、例えば円形のプレート21と、プレート21の外周縁に、周方向に沿って互いに間隔を隔てて配置されかつ径方向外方へ向かって突出されて、ガス化炉3内面と接合される複数の突起22とから構成され、プレート21によりガス化炉3内を仕切りつつ、複数の突起22によりガス化炉3内面とプレート21との間にプレート21の周方向に沿って複数の連通部20を区画形成するようになっている。
【0025】
図4に示したバッフル19は、例えば円形のプレート23と、プレート23の外周縁にその周方向に沿って等間隔で4箇所設けられたスリーブ24と、各スリーブ24にスライド自在に挿通されて基端がガス化炉3内面に接合され、プレート23をガス化炉3にスライド可能に支持するロッド25とから構成され、図3のバッフル19とほぼ同様に、プレート23によりガス化炉3内を仕切りつつ、ガス化炉3内面とプレート23との間に環状の連通部20を区画形成するようになっている。特に、スリーブ24はロッド25に対してスライド自在で、これによりプレート23の熱膨張変形を吸収できるようになっている。
【0026】
図5に示したバッフル19は、ガス化炉3内面に当接される外形寸法の円形のプレート26が用いられ、このプレート26の周方向一箇所には、切り欠き部27が形成される。プレート26は、切り欠き部27がガス化炉3の底部から側部に位置するように配置されてガス化炉3内面に接合される。このバッフル19にあっても図3のバッフル19とほぼ同様に、プレート26によりガス化炉3内を仕切りつつ、切り欠き部27によって連通部20を区画形成するようになっている。図5に示したバッフル19はきわめてシンプルである点で優れる。
【0027】
図6および図7に示したバッフル19は、ガス化炉3の軸心位置に入口側3aから出口側3bに向かって配置されたシャフト28と、このシャフト28に取り付けられ、ガス化炉3内面に当接されるスクリュー状の羽根29とから構成される。羽根29の枚数は任意に設定することができる。羽根29は、予めガス化炉3内面に接合してもよいが、熱膨張によりガス化炉3内面に当接されるように設定してもよい。羽根29によってシャフト28周りに、螺旋状の連通部20が区画形成されることになる。また一方で、このバッフル19にあっては図6に示すように、原料バイオマスが羽根29の高さ寸法以上、言い換えればシャフト28の配置高さ位置相当まで達することで、当該原料バイオマス自身によるマテリアルシールを形成することができ、これによりガス化炉3内を完全に仕切ることができる。当該バッフル19によれば、ガス化炉3内における原料バイオマスの円滑な流動を螺旋状の連通部20で確保しつつ、この連通部20に滞留する原料バイオマスを利用して炉内雰囲気の流動をほぼ完全に阻止でき、きわめて優れた性能を発揮する。
【0028】
いずれのバッフル19にあっても、原料バイオマスのガス化炉出口側3bへの流動を保証しつつ、炉内雰囲気が自由に流動してガス化炉入口側3aの水蒸気に熱分解ガスが混ざり合ってしまうことを抑制することができる。
【0029】
次に、本実施形態にかかるバイオマスガス化処理方法について説明する。まず、ガス化炉3に投入する原料バイオマスの含水量を測定し、これに基づき抽出設備16の誘引送風機18の運転を設定する。その後、原料バイオマスをガス化炉3に投入し、熱風発生炉14から熱風を循環供給して、熱分解ガスの生成処理を開始する。ガス化炉3の入口側3aに投入された原料バイオマスは、バッフル19の連通部20を介して順次出口側3bへと流動していき、これに伴って原料バイオマスが加熱され熱分解されて、出口側3bでは活発に熱分解ガスが生成される。この際、ガス化炉3の入口側3aで発生する炉内水蒸気は、抽出設備16によって抽出される。この抽出に際しては、バッフル19により、ガス化炉3の出口側3bで生成された熱分解ガスの入口側3aへの流動が抑制される。
【0030】
従って、ガス化炉3で生成された熱分解ガスは、水蒸気を殆ど伴うことなく、ガス化炉3外へ送り出され、ガス改質塔6、ろ過集じん機7、ガス冷却塔8を介してガスエンジン9へと送出され、ガスエンジン9の燃料として使用される。他方、抽出設備16から抽出された炉内水蒸気主体の炉内雰囲気は、熱風発生炉14に導入されて燃焼処理される。
【0031】
以上説明した本実施形態にかかるバイオマスガス化処理方法およびバイオマスガス化システムにあっては、ガス化炉3の入口側3aに抽出設備16を設けて、この抽出設備16によりガス化炉3の入口側3aから炉内水蒸気を抽出するようにしたので、熱分解ガスの生成過程でガス化炉3の入口側3aで発生する炉内水蒸気を、出口側3bで生成される熱分解ガスが混入しないようにして、効率よく抽出することができる。これにより、乾燥機を設置する必要なく、ガス化炉3から抽出される熱分解ガスに混入する水蒸気量を低減することができ、乾燥機を設置しない分だけ、省スペース化や設備コストの削減を達成することができる。
【0032】
このようにガス化炉3の炉内水蒸気だけを抽出することができるので、生成されたほぼ全量の熱分解ガスのみをガス化炉3後段のガス改質塔6等へ送り出すことができ、これにより乾燥機を設置した場合と遜色なく、ガス改質塔6での処理ガス量を減少させることができて、部分燃焼によるエネルギ損失を低減することができ、バイオマスガス化システム1の設備性能を向上させることができる。
【0033】
ガス化炉3の入口側3aから水蒸気を抽出する場合と、抽出しない場合とを比較検討するために、次の条件;
(1)原料バイオマスは、水分50%の木質チップとする
(2)原料バイオマスの炭化物発生率は、0.3kg/kg(乾燥)とする
(3)ガス化炉3出口での熱分解ガス温度は、ガス化炉3入口側から水蒸気を抽出しても、変化しないものとする
(4)熱風発生炉14の出口ガス温度は、950℃とする
(5)ガス化炉3入口側からの原料バイオマス由来の水蒸気は、100%抽出されるものとする
(6)ガス改質塔6の処理温度は、1100℃とする
(7)ガスエンジン9の発電効率は、30%一定とする
の下で数値解析を行ったところ、
(1)水蒸気の抽出により、ガス化炉出口ガス量が低減されるので、ガス改質塔6での酸素使用量を62%程度低減でき、従って酸素発生器5を小型化・低コスト化できる
(2)冷ガス効率が、13%程度向上する。発電量は、17%程度、蒸気量は、91%程度、温水量は、17%程度それぞれ向上し、全エネルギ回収量の合計では、17%程度向上する
(3)ガス発熱量は、39%程度高くなる
(4)水蒸気の抽出によりガス化炉3出口からの処理ガス量が減少するので、ガス改質塔6、酸素発生器5、ガス冷却塔8、ろ過集じん機7の設備価格を、半減することが可能となる
との結果が得られ、ガス化炉3の入口側3aから水蒸気を抽出する利点が確認された。
【0034】
また、抽出設備16を熱風発生炉14に接続して、抽出された炉内水蒸気を熱風発生炉14に導入するようにしたので、熱風発生炉14での燃焼作用で、臭気や熱分解ガスを含み得る炉内水蒸気を適切に処理することができる。
【0035】
また、ガス化炉3内にバッフル19を設けたので、熱分解ガスが生成される出口側3bと炉内水蒸気が抽出される入口側3aとの間で炉内雰囲気が流動することを抑制して、入口側3aで発生する水蒸気と出口側3bで生成された熱分解ガスとがガス化炉3内で互いに混ざり合ってしまうことを抑制できるとともに、特に入口側3aからの水蒸気の抽出作用で出口側3bの熱分解ガスが入口側3aへと流れ込むことを適切に防止できて、抽出設備16で効果的に水蒸気をガス化炉3から抽出できる一方、生成された熱分解ガスのほぼ全量をガス改質塔6、ひいてはガスエンジン9へと供給することができる。
【0036】
さらに、炉内水蒸気の抽出量を、原料バイオマスの含水量の応じて設定したり、ガスエンジン9による発電量に応じて設定するようにしたので、除去するに必要な水蒸気量分を適切にガス化炉3から抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかるバイオマスガス化処理方法およびバイオマスガス化システムの好適な一実施形態を示す概略系統図である。
【図2】図1に示したバイオマスガス化システムのガス化炉内の原料バイオマスの分布状態とガス化炉内の原料バイオマス温度との関係を説明するための説明図である。
【図3】図1に示したバイオマスガス化システムに適用されるバッフルの一例を示すガス化炉の正面断面図である。
【図4】図1に示したバイオマスガス化システムに適用されるバッフルの他の例を示すガス化炉の正面断面図である。
【図5】図1に示したバイオマスガス化システムに適用されるバッフルのさらに他の例を示すガス化炉の正面断面図である。
【図6】図1に示したバイオマスガス化システムに適用されるバッフルのさらに他の例を示すガス化炉の正面断面図である。
【図7】図6に示したバッフルの側面図である。
【図8】従来のバイオマスガス化システムを示す概略系統図である。
【図9】図8に示したバイオマスガス化システムのガス化炉内の状態を示すガス化炉の側断面図である。
【符号の説明】
【0038】
3 ガス化炉
3a ガス化炉の入口側
3b ガス化炉の出口側
9 ガスエンジン
14 熱風発生炉
16 抽出設備
19 バッフル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口側から出口側に向かって流動する原料バイオマスを加熱し熱分解することで、出口側で熱分解ガスが生成されるガス化炉の入口側から、炉内水蒸気を抽出するステップを備えることを特徴とするバイオマスガス化処理方法。
【請求項2】
抽出された炉内水蒸気は、前記ガス化炉に熱を供給する燃焼熱源に導入されることを特徴とする請求項1に記載のバイオマスガス化処理方法。
【請求項3】
炉内水蒸気の抽出量は、前記原料バイオマスの含水量に応じて設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマスガス化処理方法。
【請求項4】
炉内水蒸気の抽出量は、前記ガス化炉で生成された熱分解ガスで運転されるガスエンジンによる発電量に応じて設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマスガス化処理方法。
【請求項5】
入口側から出口側に向かって流動する原料バイオマスを加熱し熱分解することで、出口側で熱分解ガスが生成されるガス化炉と、該ガス化炉の入口側に設けられ、炉内水蒸気を抽出する抽出設備とを備えたことを特徴とするバイオマスガス化システム。
【請求項6】
前記抽出設備は、前記ガス化炉に熱を供給する燃焼熱源と接続されてこれに炉内水蒸気を導入することを特徴とする請求項5に記載のバイオマスガス化システム。
【請求項7】
前記ガス化炉には、熱分解ガスが生成される出口側と炉内水蒸気が抽出される入口側との間で炉内雰囲気が流動することを抑制するバッフルが設けられることを特徴とする請求項5または6に記載のバイオマスガス化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−328326(P2006−328326A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158146(P2005−158146)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構、バイオマス等未活性エネルギー実証試験事業委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(000211123)中外炉工業株式会社 (170)
【Fターム(参考)】