バイオ燃料電池およびセンサーに使用される酵素固定化
第四級アンモニウムで処理されたNationTMポリマー膜、および処理されたNationTMポリマーに組み込まれたデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードを開示する。デヒドロゲナーゼは、有機燃料の酸化を触媒し、アデニンジヌクレオチドを還元する。イオン導電性ポリマー膜が、還元アデニンジヌクレオチドを電気酸化する作用をするポリメチレングリーンレドックスポリマー膜に並置されている。バイオアノードを燃料電池に使用して、高電力密度を生じさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、燃料電池および電気を発生させる方法に関する。本発明は、特に、イオン伝導性ポリマーのような固定化物質に組み込まれた生物学的酵素を含有するアノード、およびそれを使用して電気を発生させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ燃料電池は、ポリマー電解質膜によって分離されたカソード(負極)とアノード(陽極)とから成るという点で、従来のポリマー電解質膜("PEM")燃料電池に類似している。バイオ燃料電池は、電気化学反応を触媒するのに使用される物質が、従来の燃料電池と異なる。貴金属を触媒として使用するのではなく、バイオ燃料電池は、反応を行なうのに酵素のような生物学的分子に依存する。初期のバイオ燃料電池技術は、全微生物の代謝経路を使用したが、この方法に伴う問題は、全微生物の低容量触媒活性および非実用的電力密度アウトプット(power density outputs)である[1]。酵素分離法は、容量活性および触媒能力を増加させることによって、バイオ燃料電池用途における進歩に拍車をかけた[1]。分離酵素燃料電池は、細胞膜インピーダンスに関係した電子移動の障害および燃料消費微生物増殖の欠乏を克服することによって、増加した電力密度アウトプットを生じる。
【0003】
酵素は、極めて有効な触媒であるが、燃料電池へのそれらの組み込みに関して課題があった。初期の酵素に基づく燃料電池は、電極表面に固定化するのではなく、溶液に酵素を含有させていた[1およびそれに記載されている文献;それらは本明細書に参照として組み入れられる]。溶液中の酵素は、数日間安定であるにすぎないが、固定化酵素は、数ヶ月間安定であることができる。酵素に基づくバイオ燃料電池の主要な障害の1つは、電極表面における膜に酵素を固定化することであり、それは、酵素の寿命を延ばし、機械的および化学的に安定な層を形成するが、電極表面に容量領域(capacitive region)を形成しない。大部分のH2/O2燃料電池において、触媒を電極表面に保持する結合剤はNafionTMである。NafionTMは、イオン導体として優れた特性を有するパーフッ素化イオン交換ポリマーである。しかし、NafionTMは酵素の寿命および活性を減少させる酸性膜を形成する故に、NafionTMはバイオ燃料電池電極の表面における酵素の固定化に成功していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の種々の要旨の1つは、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、(c)酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質、および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0005】
本発明の他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体透過性である酵素固定化物質、および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0006】
本発明の他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、(c)ミセル構造または逆ミセル構造を有する酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質、および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0007】
さらに他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、ミセル構造または逆ミセル構造を有し、燃料流体透過性である酵素固定化物質、および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0008】
他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0009】
さらに他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0010】
本発明の他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)ミセル構造または逆ミセル構造を有する酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0011】
他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、ミセル構造または逆ミセル構造を有し、燃料流体透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0012】
さらに他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0013】
他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、アルキルアンモニウム塩抽出パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成り、燃料流体透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0014】
本発明の他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素;(c)変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質;および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0015】
さらに他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素;(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成り、燃料流体透過性である酵素固定化物質;および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0016】
他の要旨は、本発明の前記要旨のいずれか1つのバイオ燃料電池を使用して電気を発生させる方法である。
【0017】
本発明の他の要旨は、酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である非天然コロイド固定化物質中に、固定化された酵素である。
【0018】
さらに他の要旨は、酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である非気泡性コロイド固定化物質中に、固定化された酵素である。
【0019】
他の要旨は、酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性であるミセルまたは逆ミセル固定化物質中に、固定化された酵素である。
【0020】
他の要旨は、酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー中に、固定化された酵素である。
【0021】
さらに他の要旨は、バイオアノードおよびカソードを含んで成るバイオ燃料電池であって、(a)バイオアノードが、カーボン布、ポリメチレングリーンのレドックスポリマーフィルム、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマー、およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り、(b)アルコールデヒドロゲナーゼが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル区画に組み込まれ、そして(c)ポリメチレングリーンのレドックスポリマーフィルムが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーおよびカーボン布に並置されている、バイオ燃料電池である。
【0022】
さらに他の要旨は、支持膜、レドックスポリマー、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーおよびデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードであって、(a)デヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーに組み込まれ、そして(b)レドックスポリマーが、支持膜および第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーに並置されている、バイオアノードである。
【0023】
他の要旨は、カーボン布支持膜、ポリメチレングリーンレドックスポリマー、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーおよびアルコールデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードであって、(a)デヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに組み込まれ、そして(b)レドックスポリマーが、カーボン布支持膜および第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに並置されている、バイオアノードである。
【0024】
さらに他の要旨は、変性および1つまたはそれ以上の酵素を含んで成るパーフッ素化イオン交換ポリマーであって、酵素が変性パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセルに組み込まれているパーフッ素化イオン交換ポリマーである。
【0025】
他の要旨は、電力発生方法であって、アノードに組み込まれているレドックス酵素の存在下に、アノードにおいて有機燃料を酸化し、カソードにおいて酸素を還元することを含んで成り、該方法において、(a)アノードが、イオン伝導性ポリマー、レドックスポリマー膜および支持膜を含んで成り、(a)レドックス酵素がイオン伝導性ポリマー内に固定化され、(b)アノードにおける酸化反応の間に補助因子が還元され、(c)レドックスポリマー膜が還元補助因子の酸化を触媒する、電気発生方法である。
【0026】
本発明の他の要旨は、電力発生方法であって、アノードにおいてアルコールを酸化し、カソードにおいて酸素を還元することを含んで成り、該方法において、(a)アノードが、ポリメチレングリーンポリマー、第四級アンモニウムブロミド処理NafionTMポリマー、炭素繊維支持膜およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り、(b)アルコールデヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウムブロミド処理NafionTMポリマーのミセル区画内に固定化され、(c)アノードにおけるアルコールの酸化の間に、NAD+がNADHに還元され、そして(d)ポリメチレングリーンポリマーにおいてNADHがNAD+に電気酸化される、電気発生方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の種々の要旨の1つは、増加した酵素安定性が好都合とされる用途における使用、特にバイオ燃料電子およびバイオセンサーにおける使用のための、固定化酵素である。固定化物質は、機械的および化学的安定性を与え、それによってこれまでに知られているより長い期間にわたって酵素を安定化するバリアを形成する。本発明の目的のために、酵素がその初期触媒活性の少なくとも約75%を、少なくとも約30日〜約365日間にわたって保持する場合に、酵素は「安定化されている」とする。本発明の他の要旨は、燃料電池であって、有機燃料(または、水素、アンモニアまたは炭化水素を含んで成る燃料流体)を使用して、酵素仲介レドックス(酸化/還元)反応によって電気を生じる燃料電池である。本発明の他の要旨は、バイオアノードおよびカソードを含んで成るバイオ燃料電池であって、バイオアノードが電解質によってカソードから分離しているバイオ燃料電池である。バイオアノードは、燃料流体透過性であり、酵素を固定化し、酵素を安定化する酵素固定化物質を含んで成る。固定化酵素の安定性は、バイオ燃料電池が、初期電流の少なくとも約75%を少なくとも約30日〜約365日間にわたって生じることを可能にする。
【0028】
A.酵素固定化
一般に、酵素は、酵素を固定化し安定化する固定化物質に固定化される。本発明の固定化物質に固定化された酵素は、種々の用途に使用できる。以下に記載する酵素および固定化物質を、本発明の用途に使用することができる。
【0029】
1.酵素
酵素を使用して所望の反応を触媒する。一般に、天然酵素、合成酵素、人工酵素および変性天然酵素を固定化することができる。さらに、自然または指向進化(directed evolution)によって設計された人工的酵素(engineered enzymes)も使用しうる。換言すれば、酵素特性を模倣した有機または無機分子を本発明の態様に使用することができる。
【0030】
例示できる酵素は、オキシドレダクターゼである。
【0031】
2.酵素固定化物質
酵素は、酵素固定化物質に固定化される。1つの態様において、酵素固定化物質は、酵素より小さい化合物透過性であり、酵素を固定化し、酵素を安定化する。固定化酵素は、その触媒活性を保持しながら、固定化物質の特定領域に物理的に拘束されている酵素である。担体結合、架橋および捕捉を包含する種々の酵素固定化法がある。担体結合は、水不溶性担体への酵素の結合である。架橋は、二官能性または多官能性試薬による酵素の分子間架橋である。捕捉は、半透性物質の格子への酵素の組み込みである。例えば、酵素を、半透性ゲルに組み込むか、または反応性ポリマー膜に閉じ込めることができる。酵素固定化の特定の方法は、必ずしも重要ではないが、固定化物質は、(1)燃料流体透過性であり、(2)酵素を固定化し、(3)酵素を安定化させる。
【0032】
固定化物質は、酵素より小さい化合物透過性である。換言すれば、固定化物質は、酵素より小さい化合物がその中を通りうるようにし、それによって、化合物は固定化物質上またはその中に固定化された酵素に接触することができる。固定化物質は、内部孔、管路(channel)、開口部またはそれらの組合せを有するように調製することができ、それらは固定化物質を通る化合物の移動を可能にし、しかも固定化物質内の実質的に同じ位置に酵素を拘束する。
【0033】
固定化物質は、該物質の実質的に特定の領域に酵素を拘束し、酵素がその触媒活性を保持することを可能にする。1つの態様において、好ましくは、酵素と実質的に同じ大きさおよび形のスペースに酵素を拘束し、酵素が実質的に全てのその触媒活性を保持する。固定化物質は、孔、管路、開口部またはそれらの組合せを有し、孔、管路、開口部およびそれらの組合せは、酵素が実質的にそのスペースから移動することを許さないが、酵素より小さい化合物が固定化物質を通って酵素に接触することは許す。抗、管路または開口部は、前記の必要条件を満たす物理的寸法を有し、固定化される特定酵素の大きさおよび形に依存する。
【0034】
1つの態様において、酵素を固定化物質の孔に配置し、燃料流体が輸送管路を通って固定化物質に流入したり流出したりするのが好ましい。孔および輸送管路の相対サイズは、孔は酵素を固定化するのに充分に大きいが、輸送管路は酵素がそれを通るには小さすぎるようにすることができる。他の態様において、輸送管路が少なくとも約10nmの直径を有するのが好ましい。さらに他の態様において、孔/輸送管路の直径の比率が、少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上である。さらに他の態様において、輸送管路が少なくとも約10nmの直径を有し、孔/輸送管路の直径の比率が少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上であるのが好ましい。
【0035】
さらに、固定化物質は酵素を安定化させる。固定化物質は、化学的および機械的バリアを与えて、酵素を変性から保護することによって酵素を安定化させる。換言すれば、固定化物質は、酵素環境を緩衝して、酵素変性を遅くする。さらに、固定化物質は、酵素を物理的に拘束し、その物理的拘束は、酵素に展開するスペースを与えない(折りたたまれた三次元構造からの展開は、酵素変性のメカニズムである)。1つの態様において、固定化物質は、酵素を安定化し、それによってその触媒活性を少なくとも約30日〜約365日間保持するのが好ましい。触媒活性の保持は、酵素がその触媒活性の少なくとも約75%を保持する日数によって規定される。酵素活性は、化学発光、電気化学、UV−Vis、放射化学または蛍光アッセイによって測定することができ、特性強度は、初期時に測定される。酵素は、強度が初期強度の少なくとも75%である場合に触媒活性を保持するとみなされる。一般に、蛍光アッセイを使用して、酵素活性を測定する。溶液中の遊離酵素は、その触媒活性を数時間〜数日で失う。従って、酵素の固定化は、安定性において有意な利益を与える。他の態様において、固定化酵素は、その初期触媒活性の少なくとも約75%を、少なくとも約30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365日間またはそれ以上にわたって保持するのが好ましく、好ましくは、その初期触媒活性の少なくとも約80%、85%、90%、95%またはそれ以上を、少なくとも約30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365日間またはそれ以上にわたって保持する。
【0036】
他の態様において、固定化物質は、非天然コロイド物質である。さらに他の態様において、固定化物質は、リポソームのような非気泡性(acellular)コロイド物質である。非気泡性物質は、細胞から構成されず、細胞を含有しない。コロイド物質は、他の物質に分散された粒子から成る物質であり、該粒子は、一般的な光学顕微鏡で解像するには小さすぎるが、半透性膜を通過することはできない。他の態様において、コロイド物質は、原子または一般的な分子より実質的に大きいが、裸眼で見るには小さすぎる粒子から成る物質である。それらは、約10−7〜10−3センチメートルの大きさであってよく、種々の方法で連結または結合される。
【0037】
他の態様において、固定化物質は、ミセルまたは逆ミセル構造を有する。一般に、ミセルを構成する分子は両親媒性であり、それは、それらが極性親水性基、および非極性疎水性基を含有することを意味する。分子は、凝集してミセルを形成することができ、極性基は凝集物の表面および炭化水素上に存在し、非極性基は、凝集物の中に隔離されている。逆ミセルは、極性基および非極性基の逆配置を有する。極性基が互いに近接し、非極性基が互いに近接している限りは、凝集物を構成する両親媒性分子を種々の配置にすることができる。さらに、分子は、互いに向き合った非極性基、互いに離れた(pointing away)極性基を有する二分子層を形成することができる。または、二分子層において極性基が互いに向き合うことができ、非極性基が離れている二分子層を形成することもできる。
【0038】
一般に、ミセルまたは逆ミセル固定化物質は、ポリマー、セラミック、リポソームであってもよく、またはミセルまたは逆ミセル構造を形成する他の分子から形成することもできる。例示できるミセルまたは逆ミセル固定化物質は、以下のものである:パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)(NafionTMまたはFlemionTM)、変性パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(変性NafionTMまたは変性FlemionTM)、ポリスルホン、ミセルポリマー、ポリ(エチレンオキシド)に基づくブロックコポリマー、マイクロエマルジョンおよび/またはミセル重合から生成されるポリマー、およびアルキルメタクリレート、アルキルアクリレートおよびスチレンのコポリマー。他の例示できるミセルまたは逆ミセル固定化物質は、以下のものである:セラミック、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、脂質、リン脂質、ドデシル硫酸ナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、(4−[(2−ヒドロキシル−1−ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸モノナトリウム塩)、リノール酸、リノレン酸、コロイド、リポソームおよびミセル網状構造物。
【0039】
1つの態様において、好ましくは、ミセル固定化物質は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(変性NafionTMまたは変性FlemionTM)膜である。パーフッ素化イオン交換ポリマー膜は、アンモニウム(NH4+)イオンより大きい疎水性陽イオンで変性されている。疎水性陽イオンは、いくつかの仕方で機能する。第一に、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(NafionTMまたはFlemionTM)膜を製造するために、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)と疎水性陽イオンとを混合流延(mixture-casting)することによって、固定化物質を得、該固定化物質において、孔の大きさは、疎水性陽イオンの大きさに依存する。従って、疎水性陽イオンが大きいほど、孔の大きさは大きい。疎水性陽イオンのこの機能は、疎水性陽イオンの大きさを変化させることによって、特定酵素に適合するように孔の大きさを大きくしたり小さくしたりすることを可能にする。
【0040】
さらに、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜上の−SO3−基の対イオンとして、疎水性陽イオンと陽子とを交換することによって、疎水性陽イオンは、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜の特性を変化させる。対イオンにおけるこの変化は、疎水性陽イオンが陽子よりかなり高い−SO3−部位への親和性を有するので、pHにおける緩衝作用を与える。この膜の緩衝作用は、溶液のpHの変化に伴って、孔のpHを実質的に変化させずに維持する。さらに、膜は、膜に固定化された酵素を保護する機械的バリアを与える。緩衝作用および機械的バリアの両方が、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)に固定化された酵素の安定性に有利に作用する。
【0041】
下記の表は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜の緩衝作用を示す。数値は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜1g当りの使用可能な陽子交換部位の数を表し、陽子に使用可能な交換部位の数が減少すると共に、固定化酵素に対する膜の緩衝能力が増加する。膜の略語は、下記の膜を意味する:NH4Bは、アンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TMABrは、テトラメチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TEABrは、テトラエチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TPropABrは、テトラプロピルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TBABrは、テトラブチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TpentABrは、テトラペンチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜である。
【0042】
【表1】
【0043】
変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を調製するために、第一段階において、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)、特にNafionTMの懸濁液と、疎水性陽イオンの溶液とを流延して、膜を形成する。過剰の疎水性陽イオンおよびそれらの塩を最初の膜から抽出した後、膜を再流延する。再流延した際に、膜はパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜の−SO3−部位に関連した疎水性陽イオンを含有している。
【0044】
より安定かつ再現性のある第四級アンモニウム塩処理NafionTM膜を製造するために、過剰の臭化物塩を流延溶液から除去すべきである。この塩抽出膜は、過剰の臭化第四級アンモニウムおよびHBr塩を最初の膜から抽出した後に、混合流延膜を再流延することによって形成される。膜の塩抽出は、スルホン酸交換部位における第四級アンモニウム陽イオンの存在を維持するが、孔に捕捉されている場合があるかまたは平衡膜に空隙を生じうるコンプリケーション(complications)を過剰塩から除去する。塩抽出膜の化学的および物理的特性は、酵素固定化の前に、ボルタンメトリー、イオン交換力測定および蛍光顕微鏡検査法によって特性決定されている[3]。
【0045】
例示できる疎水性陽イオンは以下のものである:アンモニウムに基づく陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン、アルキルトリメチルアンモニウム陽イオン、アルキルトリエチルアンモニウム陽イオン、有機陽イオン、ホスホニウム陽イオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウム陽イオン、イミダゾリウム陽イオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリンに基づく金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+および[Fe(フェナントロリン)3]3+。
【0046】
1つの態様において、大きい疎水性陽イオンがアンモニウムに基づく陽イオンであるのが好ましい。特に、大きい疎水性陽イオンは第四級アンモニウム陽イオンである。他の態様において、第四級アンモニウム陽イオンが下記式1で示される:
【化1】
【0047】
式中、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外のものである。他の態様において、好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは水素以外のものである。さらに他の態様において、R1、R2、R3およびR4は、同じであり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。さらに他の態様において、好ましくは、R1、R2、R3およびR4はブチルである。
【0048】
図4〜6は、pH7.15燐酸塩緩衝液中のNAD+および燃料流体の溶液で処理した種々の変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜に固定化した酵素の蛍光顕微鏡写真を示す。蛍光を示す蛍光顕微鏡写真は、特定の変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜に固定化した酵素が、固定化後もなお触媒的に活性な酵素であることを示す。これは、特定の固定化物質が酵素の触媒活性を維持しながら酵素を固定化し安定化させるかどうかを決定する1つの方法である。
【0049】
第四級アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド)およびNafionTMの混合流延フィルムは、フィルムを通る小さい被検体の物質移動を増加させ、陰イオンに対する膜の選択性を減少させる[2]。これらの膜は、非変性Nafionに極めて類似した伝導性を有するが、膜における陽子に対する使用可能な交換部位の数を滴定することによって示されるように、陽子より臭化第四級アンモニウムに対してかなり高い選択性を有する。従って、これらのフィルムは類似した電気特性を有するが、極めて異なる酸/塩基特性を有する。処理膜は、広範囲の緩衝剤pHにおいて、中性pHを維持する。
【0050】
B.バイオ燃料電池
本発明の種々の要旨の1つは、前記の固定化酵素を使用するバイオ燃料電池である。バイオ燃料電池において、アノードで生じる反応は、電子の同時放出を伴う燃料流体の酸化である;電子は、電気的結合によって、カソードに向かい、カソードにおいて酸化剤が水に還元される。本発明のバイオ燃料電池は、バイオ燃料電池の外部の電気負荷(electrical load)にエネルギー源(電気)を与える。燃料流体の酸化を促進するために、バイオアノードは、電子導体、電子メディエータ(補助因子としても既知)用の電気触媒(例えば、レドックスポリマー)、および酵素を含有する。電子メディエータは、電子を受容するかまたは電子を供与することができる化合物である。
【0051】
最初に、電子メディエータの酸化形態を、燃料流体および酵素と反応させて、燃料流体の酸化形態、および電子メディエータの還元形態を生成する。次にまたは同時に、電子メディエータの還元形態を、電気触媒の酸化形態と反応させて、電子メディエータの酸化形態、および電気触媒の還元形態を生成する。次に、電気触媒の還元形態をアノードで酸化し、電子を生成して、電気を発生させる。バイオアノードにおけるレドックス反応は、燃料流体の酸化以外は、可逆性であることができ、従って、酵素、電子メディエータおよび電気触媒は消費されない。電子メディエータを添加して付加的反応物を与えた場合、レドックス反応を任意に不可逆性にすることができる。
【0052】
または、電子導体および酵素を使用することができ、その場合、非変性炭素基剤電極において、バイオアノードに接触する電子メディエータは、その酸化および還元形態の間で電子を移動させることができる。非変性炭素基剤電極において、電子メディエータがその酸化および還元形態の間で電子を移動させることができる場合、次の電気触媒と電子メディエータとの反応は必要ではなく、電子メディエータ自体が、アノードにおいて酸化して、電子、即ち電気を発生させる。
【0053】
本発明のバイオ燃料電池は、バイオアノードおよびカソードを有する。電子の放出がバイオアノードにおいて起こり、酸化剤の還元がカソードにおいて起こり、電気負荷はバイオアノードとカソードの間に配置する。
【0054】
1.バイオアノード
一般に、バイオアノードは、燃料流体の酸化を行なう成分を有し、そこで、電子が放出されて、外部電気負荷に向けられる。電気負荷は、電子を使用するデバイスである。外部電気負荷はカソードと接触し、該カソードにおいて酸化剤が還元される。電気的結合による、燃料流体からバイオアノード、電気負荷およびカソードへのこの電子の流れは、電気負荷にエネルギー源(電気)を与える。
【0055】
1つの態様において、バイオアノードは、電子導体、および酵素固定化物質に固定化された酵素を含んで成る。他の態様において、バイオアノードは、任意に、電子メディエータ用の電気触媒をさらに含んで成る。電子導体において可逆性レドックス反応を受けることができる電子メディエータにバイオアノードが接触している場合、電気触媒はバイオアノードに存在しなくてよい。バイオアノードの前記成分は互いに近接し、これは、それらが適切な手段によって物理的または化学的に結合していることを意味する。1つの態様において、成分を、それらの間の電気的結合によって溶液に配置することによって、物理的および化学的に結合させる。他の態様において、個々の成分を電子導体に被覆するかそうでなければ付着させることによって、成分を物理的に結合させるのが好ましい。成分は、例えば層において、別々に付着させるか、または1つの付着層に組み込むことができる。
【0056】
a.電子導体
電子導体は、電子を伝導する物質である。電子導体は、物質中に電子を伝導することができる限りは、性質において無機であっても有機であってもよい。電子導体は、炭素系物質、金属性導体、半導体、金属酸化物または変性導体であってよい。
【0057】
特に好適な電子導体は、炭素系物質である。例示的な炭素系物質は、以下のものである:カーボン布、カーボン紙、カーボンスクリーン印刷電極、カーボン紙(Toray)、カーボン紙(ELAT)、カーボンブラック(Vulcan XC-72, E-tek)、カーボンブラック、炭素粉末、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイヤモンド被覆導体、ガラス状カーボンおよびメソポーラスカーボン。さらに、他の例示的な炭素系物質は、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、離層精製フレークグラファイト(SuperiorTMグラファイト)、高性能グラファイトおよび炭素粉末(Formula BTTM 、SuperiorTMグラファイト)、高規則熱分解性グラファイト、熱分解グラファイトおよび多結晶質グラファイト。
【0058】
さらに他の態様において、電子導体を金属性導体から製造することができ、好適な電子導体を、金、白金、鉄、ニッケル、銅、銀、ステンレス鋼、水銀、タングステンおよび電極構成に好適な他の金属から製造することができる。さらに、金属性導体である電子導体を、コバルト、ダイヤモンドおよび他の好適な金属から製造したナノ粒子から構成することができる。他の金属性電子導体は、銀メッキニッケルスクリーン印刷電極であってよい。
【0059】
さらに、電子導体は、半導体であってもよい。好適な半導体は、シリコンおよびゲルマニウムから製造され、他の成分をドーピングすることができる。半導体は、燐、硼素、ガリウム、砒素、インジウムまたはアンチモン、またはそれらの組合せをドーピングすることができる。
【0060】
他の電子導体は、金属酸化物、金属硫化物、主族元素化合物、および電子導体で変性された物質であってよい。この種の例示的電子導体は、以下のものである:ナノポーラス酸化チタン、酸化錫被覆ガラス、酸化セリウム粒子、硫化モリブデン、窒化硼素ナノチューブ、炭素のような導電性物質で変性したエーロゲル、炭素のような導電性物質で変性したゾルゲル、ルテニウム炭素エーロゲル、および炭素のような導電性物質で変性したメソポーラスシリカ。
【0061】
他の態様において、電子導体は、2つ以上の成分を有し、第一成分はカーボン布であってよく、第二成分は前記の電子導体であってよい。第二電子導体をカーボン布に付着させ、その2つの結合体が電子導体を構成する。
【0062】
他の態様において、下記のセクションB.1.cに記載のように、電子導体を、非圧縮(GATTMエキスパンデッド(expanded)、Superior Graphite Co.)グラファイトワームから構成する。
【0063】
b.電子メディエータ
電子メディエータは、電子を受容または供与することができる化合物である。換言すれば、電子メディエータは、電子を受容して還元形態を形成することができる酸化形態を有し、還元形態は電子を供与して酸化形態を形成することができる。電子メディエータは、固定化物質に拡散することができ、そして/または固定化物質に組み込むことができる化合物である。
【0064】
1つの態様において、電子メディエータの拡散係数を最大化する。換言すれば、電子メディエータの還元形態の物質移動をできる限り速くする。電子メディエータの速い物質移動は、それが使用されるバイオ燃料電池の、より大きい回路電位差および電力密度を可能にする。
【0065】
例示できる電子メディエータは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)またはピロロキノリンキノン(PQQ)またはそれぞれの等価物である。他の例示できる電子メディエータは、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンおよびフェリシアン化カリウムである。
【0066】
1つの態様において、電子メディエータは、電子導体において、単独でレドックス反応を受けることができない。この態様において、バイオアノードが、電子導体における電子の放出を促進する電子メディエータ用の電気触媒を含んで成る。
【0067】
他の態様において、標準還元電位差0.0V±0.5Vを有する可逆性レドックスカップル(couple)を、電子メディエータとして使用する。従って、電子導体表面に可逆性電気化学を与える電子メディエータを使用することができる。電子メディエータは、電子メディエータに依存する天然酵素、電子メディエータに依存して変性された酵素、または電子メディエータに依存する合成酵素に結合する。電子導体表面に可逆性電気化学を与える電子メディエータの例は、ピロロキノリンキノン(PQQ)、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンおよびフェリシアン化カリウムである。1つの態様において、バイオアノードと共に使用される電子メディエータがPQQであるのが好ましい。電子導体表面に可逆性電気化学を与える電子メディエータの能力により、この種の電子メディエータのレドックス反応を触媒する電気触媒を必要としない。
【0068】
c.電子メディエータ用の電気触媒
一般に、電気触媒は、電子導体における電子の放出を促進する物質である。換言すれば、電気触媒は、電子メディエータの還元または酸化の反応速度を増加させ、それによって、電子メディエータの還元または酸化が、より低い還元電位差において生じうる。電気触媒は、アノードにおいて可逆的に酸化して、電子、即ち電気を発生させることができる。電気触媒が電子導体に近接している場合、電気触媒および電子導体は互いに電気的接触しているが、必ずしも互いに物理的接触していない。1つの態様において、電子導体は、電子メディエータ用の電気触媒と結びついているかまたは近接している。
【0069】
一般に、電気触媒は、アジン、導電性ポリマーまたは電気活性ポリマーであってよい。例示できる電気触媒は以下のものである:メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントテルピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属リガンド、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオール、[Re(フェン−ジオン)(CO)3Cl]、[Re(フェン−ジオン)3](PF6)2、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ボリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b']ジチオフェン)、ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)およびポリ(ニュートラルレッド)。
【0070】
他の態様において、好ましくは、電子導体が非圧縮グラファイトワームから成り、それは、組み立ての前に、電子メディエータ用の電気触媒(またはレドックスポリマー)、特にメチレングリーンで処理され、液圧プレスのような従来手段によって所望の形にプレスされる。電子導体のプレス条件は、充分な厚みの軟質材料を生じるように最適化された。電子導体の圧縮後に、メチレングリーンの溶液中でサイクリックボルタンメトリーによってメチレングリーンを重合させた。電子導体を洗浄し、乾燥した後、最終物質をカーボン布に付着させた。
【0071】
d.酵素
酵素は、燃料流体の酸化を触媒するのに必要である。一般に、前記の酵素を使用することができる。バイオアノードに使用される例示できる酵素は、オキシドレダクターゼである。1つの態様において、オキシドレダクターゼが、供与体のCH−OH基またはCH−NH基に作用するのが好ましい。
【0072】
他の態様において、酵素がデヒドロゲナーゼであるのが好ましい。他の態様において、酵素が以下のものである:アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼまたはピルビン酸デヒドロゲナーゼ。さらに他の態様において、酵素がアルコールデヒドロゲナーゼであるのがより好ましい。さらに他の態様において、酵素がPQQ依存性デヒドロゲナーゼである。
【0073】
e.酵素固定化物質
酵素固定化物質がバイオ燃料電池に使用される。1つの態様において、酵素固定化物質は、燃料流体透過性であり、酵素を固定化し、安定化させる。前記の酵素固定化物質は、それらが燃料流体透過性である場合に、バイオ燃料電池の態様に使用することができる。固定化物質は、燃料流体透過性であり、それによって、燃料の酸化反応を固定化酵素によって触媒することができる。換言すれば、固定化物質は、それを通る燃料流体の移動を可能にし、それによって、燃料が固定化物質上またはその中に固定化された酵素に接触することができる。固定化物質は、内部孔、管路、開口部またはそれらの組合せを有するように調製することができ、それらは固定化物質を通る燃料流体の移動を可能にし、しかも固定化物質内の実質的に同じスペースに酵素を拘束する。
【0074】
他の態様において、酵素を固定化物質の孔に配置し、燃料流体が輸送管路を通って固定化物質に流入したり流出したりするのが好ましい。孔および輸送管路の相対サイズは、孔は酵素を固定化するのに充分に大きいが、輸送管路は酵素がそれを通るには小さすぎるようにすることができる。他の態様において、輸送管路が少なくとも約10nmの直径を有するのが好ましい。さらに他の態様において、孔/輸送管路の直径の比率は、少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上である。さらに他の態様において、輸送管路が少なくとも約10nmの直径を有し、孔/輸送管路の直径の比率が少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上であるのが好ましい。
【0075】
f.バイオアノード態様
他の態様において、バイオアノードが、電子メディエータ用の電気触媒を電子導体に吸着、重合または共有結合させることによって変性された電子導体から成るのが好ましい。この態様は、電子導体の表面積を増加させるという利点を有する。構成の前に、電子導体の表面に電気触媒を吸着させ、次に、電気触媒を化学または電気化学重合させることによる電子導体の処理は、非処理電子導体と比較して、より高い触媒活性を与える。
【0076】
他の態様において、バイオアノードが、構成の前にメチレングリーンで処理され、液圧プレスで所望の形にプレスされた非圧縮グラファイトワームから成る電子導体から成るのがより好ましい。電子導体をプレスした後、メチレングリーンの溶液中でのサイクリックボルタンメトリーによって、メチレングリーンを重合させた。電子導体を洗浄し、乾燥した後、最終物質をカーボン布に付着させて、電子導体を完成させた。次に、TBAB変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはTBAB変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を製造するために、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)で変性したパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を、前記および実施例に記載のように調製した。再流延の後に、酵素を溶液に添加した。固定化酵素を含有するこのTBAB変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはTBAB変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を、電子導体にピペットで移し、そして/または塗り、乾燥させた。
【0077】
1つの態様において、バイオアノードおよびカソードを、膜電極アセンブリ(MEA)に構成するのが好ましい。この態様において、カソードは、一般的なカソード、例えば白金添加(片面または二面添加)ガス拡散電極、または下記のようなバイオカソードであってよい。一般に、カソードを下に配置し、一枚のパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜をカソードの上に配置し、バイオアノードを膜の上に配置した。全体を、液圧プレスの発熱体の間に配置した;圧力を加え、それによってプレスの上および下プレートが接触し始め、次に、プレスを加熱し、最後に、より大きい圧力を加えた。または、下記以外は前記と同様にして、MEAを組み立てることもできる:バイオアノードと一枚のパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜との間、およびカソードと一枚のパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜との間に、数滴の液体パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜または変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜を適用し、加熱せずに前記のようにプレスした。
【0078】
他の態様において、電子メディエータを酵素に物理的に結合させることができる。物理的結合は、電子メディエータと酵素との共有結合またはイオン結合であってよい。さらに他の態様において、電子メディエータが電子導体において可逆性電気化学である場合、電子メディエータは酵素に物理的に結合することができ、電子メディエータは電子導体にも物理的に結合することができる。
【0079】
さらに他の態様において、電子メディエータを固定化物質に固定する。さらに他の態様において、酸化NAD+を、陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(陽イオン変性NafionTM)膜に固定化するのが好ましい。燃料流体を電池に添加した後、NAD+をNADHに還元し、NADHは陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(陽イオン変性NafionTM)膜に拡散することができる。
【0080】
他の態様において、本発明は、デヒドロゲナーゼ酵素を、塩抽出テトラブチルアンモニウム/パーフッ素化イオン交換ポリマー膜(例えば、NafionTM膜またはFlemionTM膜[旭硝子株式会社、東京])に固定化することを含む。塩抽出ポリマー懸濁液は中性であり、緩衝酵素溶液をこの懸濁液に添加することができる。混合物をアノードに流延して、変性電極を形成することができ、酵素を電極表面の近くに固定化する。
【0081】
他の態様において、本発明は、ポリマーのミセルに中性pHを生じる変性、および変性パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセルに組み込まれている1つまたはそれ以上の酵素を含んで成るパーフッ素化イオン交換ポリマーに関する。好ましいパーフッ素化イオン交換ポリマーは、NafionTMポリマーである。好ましい酵素は、有機燃料の酸化および補助因子の還元を触媒するデヒドロゲナーゼのようなレドックス酵素である。補助因子は、NAD+、NADP+およびFADを包含する。
【0082】
1つの態様において、本発明は、バイオアノードおよびカソードを含んで成る燃料電池であって、バイオアノードが、レドックスポリマーフィルム、変性イオン交換ポリマー膜およびデヒドロゲナーゼを含んで成る燃料電池に関する。デヒドロゲナーゼは、変性イオン交換ポリマー膜のミセル区画に組み込まれる。好ましくは、変性イオン交換ポリマー膜は、塩抽出第四級アンモニウムで処理されたパーフッ素化イオン交換ポリマーである。商業的に入手可能なパーフッ素化イオン交換ポリマーは、NafionTM(DuPont)およびFlemionTM(旭硝子株式会社)を包含する。好ましくは、パーフッ素化イオン交換ポリマーは、NafionTMポリマーまたはFlemionTMポリマーである。好ましい第四級アンモニウム塩は、テトラブチルアンモニウムブロミドを包含する。好ましいレドックスポリマーフィルムは、ポリメチレングリーンである。バイオアノードは、2つ以上の異なるデヒドロゲナーゼ、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼを含んで成ってもよい。
【0083】
2.燃料流体
燃料流体は、電子メディエータと固定化酵素との酸化反応において消費される。燃料流体サイズは、固定化物質への拡散係数を大きくするのに充分に小さい。例示できる燃料流体は以下のものである:水素、アンモニア、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール)、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物(例えば、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−ホスフェート、ラクテート、ラクテート−6−ホスフェート、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボースおよびマンノース)、グリセレート、補酵素A、アセチルCo−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリル−アルコール、シンナミル−アルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2および水素。
【0084】
他の態様において、好ましくは、燃料流体はアルコールであり、より好ましくはメタノールおよびエタノール、特にエタノールである。
【0085】
3.カソード
カソードは、一般的なカソードまたはバイオカソードである。一般的なカソードにおいて、カソードは白金に基づき、空気にさらされ、酸化剤を還元する。一般的なカソードを使用する場合、それは、塩橋によってアノードから離される。塩橋は種々の形態をとることができ、イオンがアノードとカソードの間を移動することを可能にする物質である。1つの態様において、塩橋がポリマー電解質膜(PEM)であるのが好ましい。
【0086】
1つの態様において、燃料電子は、前記のバイオアノードおよびバイオカソードを含んで成ってよく、該バイオカソードは、第二レドックスポリマーフィルム、第二変性イオン交換ポリマー膜およびO2−レダクターゼを含んで成る。第二変性イオン交換ポリマー膜は塩抽出第四級アンモニウム処理NafionTMポリマーであってよく、第二レドックスポリマーフィルムはポリ(N−ビニル−イミダゾール)であってよく、O2−レダクダーゼはラッカーゼであってよい。バイオ燃料電池がバイオアノードおよびバイオカソードの両方を含んで成るこの態様によれば、アノードをカソードから分離するために「塩橋」、即ちPEMを必要としない。この態様は、生物学的宿主、例えばヒトに、移植可能な電源として特に有用である。
【0087】
4.電気発生方法
本発明の種々の要旨の1つは、電力を発生させる方法であって、有機燃料(または水素、アンモニアまたは炭化水素を含んで成る燃料流体)を酸化する本発明のバイオアノードを、酸素または過酸化物のような酸化剤を還元するカソードと共に使用する方法である。さらに、本発明の他の要旨は、前記のバイオアノードおよびカソードを使用して電気を発生させる方法であって、電気負荷をバイオアノードとカソードの間に配置し、バイオアノード、電気負荷およびカソードが導電性物質によって連結している方法である。燃料流体はバイオアノードにおいて酸化され、酸化剤はカソードにおいて還元される。電気負荷は、電気を使用するデバイスである。1つの態様において、バイオアノードは、燃料流体および電子メディエータを含有する溶液に接触し、カソードは、緩衝溶液に接触する。バイオアノードに接触する溶液を、塩橋またはPEMによって、カソードに接触する溶液から分離する。
【0088】
他の態様において、電力発生方法が、バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)バイオアノードが、電子導体、電子メディエータ用の電気触媒、および燃料流体透過性であり、酵素を安定化させる酵素固定化物質に固定化された酵素、を含んで成り、(b)電子メディエータの酸化形態が、バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に還元され、そして(c)電子メディエータの還元形態が電気触媒によって酸化され、次にまたは同時に、電気触媒がバイオアノードにおいて酸化される。
【0089】
さらに他の態様において、電力発生方法が、バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)バイオアノードが、電子導体、および燃料流体透過性であり、酵素を安定化させる酵素固定化物質に固定化された酵素を含んで成り、電子導体において可逆的電気化学でありうる電子メディエータが、バイオアノードに接触する溶液に存在し、(b)電子メディエータの酸化形態が、バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に還元され、そして(c)電子メディエータがバイオアノードにおいて酸化される。
【0090】
さらに他の態様において、電力発生方法が、バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)バイオアノードが、電子導体、電子メディエータ用の電気触媒、およびミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質に固定化された酵素、を含んで成り、(b)電子メディエータの酸化形態が、バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に還元され、そして(c)電子メディエータの還元形態が電気触媒によって酸化され、次に、電気触媒がバイオアノードにおいて酸化される。
【0091】
さらに他の態様において、電力発生方法が、バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)バイオアノードが、電子導体、およびミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質に固定化された酵素を含んで成り、電子導体において可逆的電気化学でありうる電子メディエータが、バイオアノードに接触する溶液に存在し、(b)電子メディエータの酸化形態が、バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に還元され、そして(c)電子メディエータがバイオアノードにおいて酸化される。
【0092】
さらに他の態様において、本発明は、電力を発生させる方法であって、アノードに組み込まれたレドックス酵素の存在下にアノードにおいて有機燃料を酸化し;そして、カソードにおいて酸素を還元する;ことを含んで成る方法に関する。好ましい電力発生方法は、アノードにおいてアルコールを酸化し、カソードにおいて酸素を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)アノードが、ポリメチレングリーンポリマー、臭化第四級アンモニウム処理NafionTMポリマー、炭素繊維支持膜およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り;(b)アルコールデヒドロゲナーゼが、臭化第四級アンモニウム処理NafionTMポリマーのミセル区画に固定化され、(c)NAD+が、アノードにおけるアルコールの酸化の間にNADHに還元され、そして(d)NADHが、ポリメチレングリーンポリマーにおいてNAD+に電気酸化される。
【0093】
本発明によって、ポリ(メチレングリーン)変性アノードの表面に流延されたデヒドロゲナーゼ酵素固定化イオン伝導膜を使用して、バイオ燃料電池を構成した。本発明の1つの態様において、アルコールデヒドロゲナーゼおよびNAD+の存在下に、アルコール燃料をアルデヒドに酸化する。NADH生成物は、燃料電池用のレドックス媒介物質である。白金および炭素電極におけるNADH酸化は、低い反応速度を有し、大きい過電圧において起こるので[4]、ポリマーに基づく電気触媒を使用して、NAD+を再生し、NADHから電極に電子を移動させた。電気触媒は、好ましくはポリ(メチレングリーン)である[5]。
【0094】
アルコールデヒドロゲナーゼに加えてアルデヒドデヒドロゲナーゼを組み込んでいるこれらのバイオアノードを使用したエタノール/O2バイオ燃料電池は、ポリマー層におけるアルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼの比率に依存して、電力密度1.16mW/cm2〜2.04mW/cm2、および開放回路電圧0.6V〜0.82Vを生じる。これらのバイオアノードを使用したメタノール/O2バイオ燃料電池は、電力密度1.55mW/cm2、および開放回路電圧0.71Vを生じる。
【0095】
本発明の1つの態様において、ほぼ中性pHを有する変性イオン伝導性ポリマーにレドックス酵素を組み込むことは、バイオ燃料電池の電力密度の増加、およびバイオアノードの寿命の増加を可能にする。
【0096】
C.酵素センサー
他の態様において、本発明の固定化酵素を、センサーとして使用することができる。酵素センサーは、測定すべき化学種(被検体)が検出前にセンサーにおいて酵素触媒反応を受けるセンサーである。被検体と酵素(被検体はその酵素の基質であるべきである)との反応は、二次化学種を生じ、二次化学種の濃度は、被検体の濃度に比例するかまたは同じである。次に、二次化学種の濃度を、変換器によって、例えば電極または光ファイバーによって、電気化学的または分光分析的に検出する。
【0097】
酵素センサーの酵素は、一般に、試験流体に接触させるのに好適な膜に含有される。この場合、酵素は、センサーの膜の一部として含有させるか、またはセンサープロパー(proper)に、例えば電極の層の一部として、組み込むことができる。従って、センサーの外部への拡散後に、被検体が酵素に接触し、酵素/被検体反応が起こり、次に、二次化学種がセンサーの検出器部分に拡散する。ミセルまたは逆ミセル固定化物質中の固定化酵素は、好適な有孔性を有し、それによって、被検体が、試験流体から酵素に制御的に拡散することができ、それと同時に、酵素を保持して、酵素が試験流体に浸出されるのを防止する。
【0098】
1つの態様において、ガラス状カーボン電極をメチレングリーンで変性し、前記のように重合させた。それに加えて、アルコールデヒドロゲナーゼを固定化したテトラブチルアンモニウムブロミド変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜で、ガラス状カーボン電極を被覆した。酵素センサーはエタノールを検出した。
【0099】
D.固定化酵素の使用
一般に、本発明の固定化酵素は、種々の用途に使用できる。酵素を固定化するかまたは安定化することが好都合である用途は、特に関心が持たれるものである。
【0100】
他の態様において、固定化酵素を、バイオリアクターおよびバイオプロセスに使用する。ミセルまたは逆ミセル固定化物質のような固定化物質に固定化した酵素は、触媒作用による基質の化学反応を誘発する作用をする。本発明の基質は、固定化酵素が化学反応を触媒しうるあらゆる基質である。従って、基質を含有する供給流れが固定化酵素に接触し、該固定化酵素において基質が反応して生成物を形成する。さらに、基質は、固定化物質を通る際に、生成物から物理的に分離し、該固定化物質において、未反応基質が保持され、分離収集用のハウジングの出口端(exit end)を通る。
【0101】
バイオリアクターを使用する方法は、ワンパス(one-pass)、連続供給システムまたは再循環システムとして配置することができ、未反応基質は供給流れに戻され、生成物は、固定化酵素を通った後に別に収集される。保持される種および透過性の種は、一般に大きさによって、物理的に分離され、より小さい生成物は固定化物質を通り、より大きい基質は固定化物質を通るのを妨げられる。
【0102】
さらに他の態様において、本発明の固定化酵素をバイオアッセイに使用する。バイオアッセイ手順は、被験物質と適切な試薬、例えば酵素基質との反応、またはそれらの逆反応、ならびに、試薬(または試薬と反応した他の物質、指示薬)の特徴、例えば、色、放射能または他の物理的特徴の測定による、反応した試薬の量の直接的または間接的定量測定を含む。被験溶液を固定化酵素に接触させ、それによって反応が生じて、固定化錯体が生成される。放射性標識基質を導入し、非占有部位において反応させる。錯体における放射能を測定することによって、試料中の酵素の量を測定できる。
【0103】
さらに他の態様において、固定化酵素を酵素療法に使用する。酵素療法は、患者への酵素の投与から成り、投与された酵素は、患者自身の欠陥または欠失酵素が触媒することができない体内の反応を触媒する。固定化酵素は、増加した安定性の故に、この適用に有利であり、投与された酵素がより長く活性を維持することを可能にし、従って、より少ない治療頻度およびより少ない酵素用量にすることができる。
【0104】
他の態様において、本発明の固定化酵素をイムノアッセイに使用する。1つのそのようなアッセイは、定量的酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)であり、該アッセイにおいて、濾紙、多孔性膜、プラスチックパドルまたは他の固体表面において、色を視覚的に検出することができる。このアッセイは、定量アッセイ、および色に加えて他の検出可能なシグナルの使用に、容易に適合させることができる。
【0105】
他の態様において、固定化酵素をバイオ模擬物質として使用する。バイオ模擬物質において、生物学的系または天然系を模擬する合成系を調製する。例えば、細胞系またはより大きい生物学的系、例えば心血管系または内分泌系を模擬するために、生物模擬系は特定物質と選択的に反応し、そして生物模擬系から物質を放出しうる必要がある。選択的に反応し、物質を放出する1つの方法は、半透性膜に固定化された固定化酵素を使用することである。この方法において、例えば、半透性膜は細胞膜を模擬し、酵素仲介反応は、天然系において起こる多くの酵素仲介反応を模擬する。
【0106】
他の態様において、クレブスサイクル(またはクエン酸サイクル)を模擬する系において、固定化酵素を使用する。クレブスサイクルは、酢酸またはアセチル−CoAの二酸化炭素および水への酸化を含む。クレブスサイクルのバイオ模擬物質は、細胞のエネルギー産生サイクルに作用する因子についての情報を提供する。さらに、クレブスサイクルおよびそのバイオ模擬物質の研究は、バイオ模擬物質を使用してエネルギー産生を最大化するのに重要な側面の理解を助ける。
【0107】
定義
本明細書に使用される「燃料電池」は、電気短絡を防止するために分離されたアノードおよびカソードを有する。好ましくは、アノードおよびカソードは、ポリマー電解質膜によって分離される。バイオ燃料電池は、燃料流体、および燃料流体の酸化を触媒する酵素を使用する。1つの態様において、「バイオ燃料電池」は、エネルギー源としての有機燃料、および有機燃料の酸化を触媒するレドックス酵素を使用する。「燃料電池」および「バイオ燃料電池」という用語は、本発明の開示において互換的に使用される。1つの態様において、本発明の燃料電池は、電気供給を必要とする用途、例えば、器具、玩具、内部医療デバイス、および電動(電気)乗物に使用しうるが、これらに限定されない。他の態様において、本発明の燃料電池を生体に埋め込むことができ、その場合、有機燃料は生体から誘導され、燃料電池は生体に埋め込まれたデバイスに電力を供給する。
【0108】
本明細書に使用される「有機燃料」という用語は、ネルギーを蓄えたあらゆる炭素に基づく化合物を意味する。有機燃料は、核酸、炭水化物(例えばグルコース)、アルコール、脂肪酸および他の炭化水素、ケトン、アルデヒド、アミノ酸およびタンパク質を包含するがそれらに限定されない。有機燃料は、有機体中の生物学的化合物であってもよい。好ましい燃料は、メタノール、エタノール、ブタノールおよびイソプロパノールを包含するアルコール、および炭水化物、特にグルコースまたはそのポリマーである。好ましいアルコールは、エタノールおよびメタノールである。
【0109】
本発明はバイオアノードにも関する。バイオアノードは、燃料流体の酸化を触媒する酵素を含んで成るアノードである。1つの態様において、「バイオアノード」は、有機燃料の酸化を触媒するレドックス酵素を含んで成るアノードを意味する。アノードは、電気回路または電位差のための電子源を与える。他の態様において、好ましいバイオアノードは、イオン交換ポリマー膜に並置されたレドックスポリマー膜に並置された、支持膜または構造物、例えば、炭素繊維布または炭素フェルトのシートを含んで成る。1つの態様において、「バイオカソード」という用語は、酸素の還元を触媒するラッカーゼのようなレドックス酵素を含んで成る。
【0110】
本明細書において使用される「レドックスポリマー」、「レドックスポリマーフィルム」または「レドックスポリマー膜」という用語は、化合物から電子を受容するかまたは供与することができ、それによって、化合物をそれぞれ酸化または還元し、電気回路への移動に使用できる遊離電子を発生させる。好ましいレドックスポリマーは、文献5(Zouら、1996)に記載のように、ポリメチレングリーンである。レドックスポリマーによる電気触媒作用の基質である好ましい化合物は、還元アデニンジヌクレオチド、例えば、NADH、FADH2およびNADPHを包含する。バイオカソードに有用なレドックスポリマーフィルムは、ポリ(N−ビニル−イミダゾール)およびその誘導体を包含する。
【0111】
本明細書に使用される「支持膜」という用語は、電流を通すことができ、バイオ燃料電池電極のポリマー膜を支持するのに使用される硬質または半硬質不活性物質を意味する。支持膜は、あらゆる導電性物質、例えば、ステンレス鋼、ステンレス鋼メッシュ、カーボン、カーボンナノチューブ、白金または半導体物質を含んで成ってよい。好ましい支持膜はカーボンフェルトのシートである。「カーボンフェルト」、「カーボン布」および「カーボン布支持膜」という用語は、互換的に使用される。
【0112】
本明細書に使用される「イオン交換ポリマー」または「イオン交換ポリマー膜」という用語は、それを通るイオンの伝導を可能にしうるポリマーを意味する。好ましいイオン交換ポリマーは、パーフッ素化イオン交換ポリマー、例えばNafionTM(DuPont, Wilmington, DE)である。本発明は、スルホン酸交換部位において第四級アンモニウムイオンを含有する変性を有するパーフッ素化イオン交換ポリマーにも関する。その変性は、イオン交換ポリマーのミセルに中性pHを生じる。本発明によれば、1つまたはそれ以上のレドックス酵素が、塩抽出第四級アンモニウム処理パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル(または「ミセル区画」)に組み込まれているかまたは捕捉されている。
【0113】
1つの態様において、「酵素」または「レドックス酵素」という用語は、化学反応において触媒として作用するタンパク質を意味する。好ましい酵素は、燃料の酸化および「補助因子」の同時還元を触媒する「デヒドロゲナーゼ」を包含する。好ましい補助因子は、アデニンジヌクレオチド、例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP+)およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を包含する。デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼおよびピルビン酸デヒドロゲナーゼを包含する。バイオカソードに有用なレドックス酵素は、O2レダクターゼ、例えばラッカーゼを包含する。
【0114】
本明細書に使用される「炭化水素」および「ヒドロカルビル」という用語は、炭素および水素のみから成る有機化合物または基を意味する。これらの成分は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール成分を包含する。これらの成分は、他の脂肪族または環式炭化水素基、例えば、アルカリール、アルケナリールおよびアルキナリールで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール成分も包含する。特に指定しなければ、これらの成分は1〜20個の炭素原子を有するのが好ましい。
【0115】
本明細書に記載される「置換ヒドロカルビル」成分は、炭素以外の少なくとも1個の原子で置換されたヒドロカルビル成分であり、炭素鎖原子が、窒素、酸素、珪素、燐、硼素、硫黄またはハロゲン原子のようなヘテロ原子で置換されている成分を包含する。これらの置換基は、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルを包含する。
【0116】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素および水素以外の原子を意味する。
【0117】
本明細書において単独かまたは他の基の一部として使用される「ヘテロシクロ」または「複素環式」という用語は、少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、各環に好ましくは5個または6個の原子を有し、任意に置換され、完全飽和または不飽和、単環式または二環式、芳香族または非芳香族基を意味する。ヘテロシクロ基は、環に、1個または2個の酸素原子、1個または2個の硫黄原子、および/または1〜4個の窒素原子を有するのが好ましく、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りに結合しうる。例示できるへテロシクロは、複素芳香族炭化水素、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニルまたはイソキノリニル等を包含する。例示できる置換基は、1個またはそれ以上の下記の基を包含する:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテル。
【実施例】
【0118】
下記の実施例は本発明を例示するものである。
実施例1
固定化酵素
NafionTMおよび臭化第四級アンモニウムの混合流延膜の製造用の流延溶液を、本明細書に参照として組み入れられる文献2に記載のように調製した。混合流延溶液1mLを秤量ボートに入れ、乾燥させた。以前の試験は、膜に導入した全ての臭化物イオンが、水に膜を浸漬した際に、膜から放出されたことを示している[2]。従って、18MWの水7.0mLを秤量ボートに添加し、一晩浸漬した。水を除去し、フィルムを18MWの水で充分に濯ぎ、乾燥させた。次に、塩抽出フィルムを低級脂肪族アルコール1.0mLに再懸濁した。
【0119】
酵素/TBABの比率2:1(一般に、1.0μM酵素1200μL/600μL)の酵素/NafionTM 流延溶液および0.03g NAD+を、電極の被覆に備えて渦巻き状にした。溶液をピペットで電極に移し、カーボンフェルト電極に浸み込ませ、乾燥させた。
【0120】
溶液流延の手順
下記の臭化第四級アンモニウムを使用した:アンモニウムブロミド(Fisher)、テトラメチルアンモニウムブロミド(Aldrich)、テトラエチルアンモニウムブロミド(Fisher)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(Aldrich)、テトラブチルアンモ二ウムブロミド(Eastman)、およびテトラペンチルアンモニウムブロミド(Aldrich)。
【0121】
臭化第四級アンモニウムと5wt%NafionTM懸濁液(Solution Technologies, Inc.)とを共に流延することによって、臭化第四級アンモニウムを組み込んだNafionTM膜を形成した。臭化第四級アンモニウムを5wt%懸濁液に添加することによって、混合流延溶液を調製した。臭化第四級アンモニウムの濃度が、NafionTM懸濁液中のスルホン酸部位の濃度より高くなるように、全ての混合流延溶液を調製した。最適化の後、最も安定かつ再現性のある膜は、交換部位の濃度の3倍の臭化第四級アンモニウム濃度を有することが決定された。
【0122】
流延溶液1mLを秤量ボートに入れ、乾燥させた。以前の試験は、膜に導入した全ての臭化物イオンが、水に膜を浸漬した際に、膜から放出されたことを示している。従って、18MWの水7.0mLを秤量ボートに添加し、一晩浸漬した。水を除去し、フィルムを18MWの水で充分に濯ぎ、乾燥させた。次に、フィルムをメタノール1.0mLに再懸濁した。
【0123】
図4〜6は、pH7.15燐酸塩緩衝液中のNAD+および燃料流体の溶液で処理した種々の変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜に固定化した酵素の蛍光顕微鏡写真を示す。蛍光を示す蛍光顕微鏡写真は、特定の変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜に固定化した酵素が、固定化後もなお触媒的に活性な酵素であることを示す。これは、特定の固定化物質が、酵素の触媒活性を維持しながら酵素を固定化し安定化させるかどうかを決定する1つの方法である。下記の表は、準備した酵素および膜、ならびに酵素が固定化後に触媒活性を保持したかどうかを示す。表に「有り」と記されている場合、膜に固定化後に酵素がその触媒活性を保持し、「無し」と記されている場合、膜に固定化後に酵素がその触媒活性を保持していない。
【表2】
【0124】
実施例2
物理的電池装置
本発明のバイオアノードを、図1に示す直径2.6cm、高さ14.8cmおよび長さ7.6cmの注文製造「U」字形円筒形ガラス管系から成る物理試験電池において試験した。約50mLの溶液を、NafionTM膜(Aldrich)の両側に含有させた。試験電池のカソード側は、外部源(AirGas)によって泡立たせて添加した溶解酸素で飽和したpH7.15燐酸塩緩衝液を含有していた。カソード物質は、Vulcan XC-72(E-Tek)上に20%白金を有するELAT電極である。試験電池のアノード側に、1.0mM NAD+および1.0mM燃料(エタノールまたはメタノール)を含有するpH7.15緩衝液を充填した。酵素を含んで成る本発明のバイオアノードをアノードとして使用した。データ収集前に、電池全体を2〜6時間平衡させた。PCコンピューターに接続したCH Instruments 810 potentiostatを使用して、試験電池について全てのデータを収集し分析した。バイオ燃料電池の各タイプを三重に試験し、記録された全ての不確定要素は、1つの標準偏差に対応する。
【0125】
実施例3
エタノール用バイオアノード
エタノール用バイオアノードを図2に示すように設計した。これらのバイオアノードは、塩抽出テトラブチルアンモニウム(「TBAB」)/NafionTM膜に固定化したNAD+およびアルコールデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼの混合物を有する。膜を、ポリ(メチレングリーン)変性カーボン布電極に流延する。これらのバイオアノードは30日より長く機能することができ、この機能は、燃料電池の初期発電量の20%より以上の発電量によって決定される。
【0126】
TBAB/NafionTM膜に固定化したアルコールデヒドロゲナーゼを使用した生物アノードは、20℃および緩衝液pH7.15において、0.60〜0.62Vの開放回路電位差を示した。エタノールを基剤とするバイオ燃料電池の平均最大電力密度は、1.16±0.05mW/cm2である。エタノール/O2燃料電池についての典型的な電力曲線を図3に示す。図3で試験したバイオアノードは、TBAB/NafionTM膜に固定化された1.2x10−9モルのアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を有する。酵素に関する至適pHは8.6〜9.0である[7]が、ポリ(メチレングリーン)電気触媒は中性pHに[5]おいてNADHの酸化に関して最も高い触媒有効性を有するので、pH7.15燐酸塩緩衝液を選択した。この電力曲線は、2日後に取った。最大電力が最初の7日間で6.1%減少した。
【0127】
TBAB/NafionTM膜に固定化したアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼとの混合物を使用したバイオアノードを製造し、試験した。このバイオアノードは、TBAB/NafionTM膜に固定化したアルコールデヒドロゲナーゼ1.2x10−9モルおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ1.2x10−9モルを使用した。アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼを使用したエタノール/O2燃料電池の開放回路電位差は、0.82Vである。アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの等モル量の混合物を使用したエタノールを基剤とする燃料電池の最大電力密度は、2.04mW/cm2である。
【0128】
これらのアルコール/O2バイオ燃料電池を文献のバイオ燃料電池と比較するために、メタノール/O2バイオ燃料電池を製造し、試験した。メタノールバイオアノードは、TBAB/NafionTM膜に固定化されたアルコールデヒドロゲナーゼ1.2x10−9モル、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ1.2x10−9モルおよび蟻酸デヒドロゲナーゼ1.2x10−9モルを有していた。アルコールデヒドロゲナーゼはメタノールをホルムアルデヒドに酸化し、次に、そのホルムアルデヒドがホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼによってホルメートに酸化される。最後に、ホルメートが、蟻酸デヒドロゲナーゼによって二酸化炭素に酸化され、それによって、反応した燃料1モル当たりNADH3モルが生成される。
【0129】
現在の技術のメタノールを基剤とするバイオ燃料電池は、20℃および緩衝液pH7.15において、0.64〜0.71Vの開放回路電位差を有する。メタノールを基剤とするバイオ燃料電池の平均最大電力密度は、1.55±0.19mW/cm2である。Whitesidesおよび共同研究者によって開発された現在の技術のメタノール/O2バイオ燃料電池は、開放回路電位差0.8V、および電池の最大発電量0.67mW/cm2を有していた[8]。文献1に記載のメタノールバイオ燃料電池は、固定化酵素を有さず、従って、燃料電池の寿命は長くて数日に限られる。TBAB/NafionTM膜に基づく本発明のメタノールバイオ燃料電池は、性能の低下を生じずに5日間より以上にわたって試験された。
【0130】
他の多くのメタノールバイオ燃料電池が文献に示されているが[9〜11]、報告されている最も高い開放回路電位差は0.3Vである。これは、低レドックス媒介物質および低触媒活性の組み合わせるによるものである。ポリ(メチレングリーン)レドックス媒介物質は、水性レドックス媒介物質または吸着レドックス媒介物質より高い安定性を示し、NADHの酸化過電圧を400mV減少させ[5]、TBAB/NafionTM膜は、酵素固定化に理想的な環境を与える。
【0131】
実施例4
試薬および電極製造
メチレングリーン(Sigma)、硝酸ナトリウム(Fisher)、硼酸ナトリウム(Fisher)、NafionTM1100懸濁液(Aldrich)およびNafionTM117 (Aldrich)を購入し、入手した状態で使用した。使用した酵素は、アルコールデヒドロゲナーゼ(E.C. 1.1.1.1、初期活性300〜500単位/mg)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(E.C. 1.2.1.5、初期活性2〜10単位/mg)、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(E.C. 1.2.1.2、初期活性1〜6単位/mg)、および蟻酸デヒドロゲナーゼ(E.C. 1.2.1.46、初期活性5〜15単位/mg)を包含する。酵素は、Sigma(St. Louis, MO)およびRoche Applied Science(Indianapolis, IN)から購入し、0℃で保存し、入手した状態で使用した。さらに、NAD+およびNADHをSigmaから購入し、入手した状態で使用した。
【0132】
バイオアノードは、メチレングリーンと電気重合させた1cmx1cmの正方形のカーボンフェルト(Alfa Aesar)で構成する。10mM四硼酸ナトリウム中に0.4mMメチレングリーンおよび0.1M硝酸ナトリウムを含有する溶液において、スキャン速度0.05V/秒で、12のスイープセグメント(sweep segments)について、−0.3ボルト〜1.3ボルトでCH Instruments 810または620 potentiostat(Austin, TX)を使用して、サイクリックボルタンメトリーを行なうことによって、ポリ(メチレングリーン)の薄膜を形成した。電極を濯ぎ、次に、さらに変性する前に一晩乾燥させた。
【0133】
実施例5〜7
種々の燃料流体用のバイオアノード
指定の酵素および燃料流体を使用した以外は、実施例3で使用したのと同じ手順。
【表3】
【0134】
実施例8
ポリメチレングリーンで処理したグラファイトワーム
メチレングリーン(Sigma)、硝酸ナトリウム(Fisher)、硼酸ナトリウム(Fisher)を購入し、入手した状態で使用した。GATエキスパンデッドグラファイトワーム、ラボコード:3-96-16(Superior Graphite Co.)、防水性でないカーボン布(E-Tek)およびカーボンテープ(Spi Supplies)を、入手した状態で使用した。
【0135】
1mM濃度のメチレングリーン、硝酸ナトリウムおよび硼酸ナトリウムを添加することによって、18MΩ水中に、メチレングリーン含有緩衝液を調製した。使用前に、溶質を充分に溶解させた。次に、適量のメチレングリーン緩衝溶液を充填した大きい容器に、所望量のGATエキスパンデッドグラファイトワームを入れた。グラファイトおよびメチレングリーン緩衝溶液を、30分間充分に混合して、グラファイト表面へのメチレングリーンの完全な吸着を確実にした。
【0136】
グラファイトと緩衝溶液との混合物を、溶液中のグラファイトの低密度に基づいて分離させた。次に、過剰の緩衝剤をグラファイトから流し出し、次に、グラファイトを18MΩ水で洗浄した。各洗浄後に、溶液を分離させ、過剰量を流し出し、追加の洗浄を行なった。洗浄溶液が透明になり、過剰のメチレングリーンを含有していないと思われるようになるまで、この工程を繰り返した。最終洗浄液を流し出し、前処理されたグラファイト物質を、さらに使用する前に、完全に乾燥させた。
【0137】
得られた物質は、ルース(loose)グラファイト粉末に類似し、使用可能な電極形態に加工する必要があった。あらゆる所望の寸法または形に最終電極を加工することにおいて、かなりの順応性があった。選択されたパラメータは、2.5cmx2.5cm電極を調製することであった。これは、所望寸法の注文製造プレキシグラス鋳型に、前処理グラファイト物質を充填することによって行なわれた。油圧ジャッキを使用して、該物質を変化する圧力に加圧した。一般に3000psiを使用した。
【0138】
3000psi未満のウォームの加圧はいずれも、機械的に不安定な電子導体を生じた。一般に、電子導体は3000〜4000psiに加圧される。これは、炭素繊維にそれを付着させるような付加的支持なしに、使用するのに充分な機械的安定性であった。さらに、これらの加圧条件は、液体に半透性の電子導体を生じた。より高い圧力は、あまりに緻密すぎて液体が電子導体に容易に吸収されない電子導体を生じた。
【0139】
得られた電極は粗く、さらなる安定性のために支持物質に付着させることできた。使用した支持物質はカーボン布であった。両面カーボンテープの層をカーボン布の一方の面に付着させ、その上に、前処理プレスグラファイトワームを配置した。
【0140】
この時点で、レドックス種の安定性および寿命を向上させるためにレドックス種の重合を行なった。重合は、化学的または電気化学的手段によって行なうことができる。この場合、1mMメチレングリーン、1mM硝酸ナトリウムおよび1mM硼酸ナトリウムを含有する溶液に、構成した電極を入れることによって、レドックス種を電気化学的に重合させた。その系を、使用電極として作用する構成電極、白金対電極(counter electrode)およびAg/AgCl基準(reference)を有するCH Instruments 810 potentiostatに連結した。14のスイープセグメントについて、電位差を−0.3Vから1.3Vそして−0.3Vで走査した。これは、電極上に安定なメチレングリーンポリマーを生じた。
【0141】
実施例9
バイオカソード
第四級アンモニウム添加NafionTMフィルム中の固定化オキシダーゼ、特にラッカーゼ酵素は、固定化デヒドロゲナーゼ酵素に類似している。一系列の第四級アンモニウム塩を使用して、酵素を固定化した際にどの塩が至適酵素活性を与えるかを決定する。酵素は一般に、酸化剤として酸素を使用する。酵素活性は、種々のpH範囲を有する種々の緩衝剤中の飽和酸素環境において、電気化学的(サイクリックボルタンメトリー)に測定されるが、大部分の電極物質における過酸化物の低電気化学により、レドックス媒介物質が必要である。試験されるレドックス媒介物質は、[Fe(ビピリジン)3]2+、[Os(ビピリジン)3]2+、[Ru(ビピリジン)3]2+、および物理的に安定であり、可逆性電気化学を有し、標準還元電位差0.8V〜2.0Vを有するあらゆる他のレドックスカップルを包含する。このレドックス媒介物質は、膜と共に混合流延するか、最終流延の前に膜に塩抽出するか、または流延後に膜に抽出することができる。
【0142】
実施例10
膜電極アセンブリ(MEA)
膜電極アセンブリ(MEA)工程を、バイオアノードの構成から開始した。バイオアノードは、前記の炭素、グラファイトまたは金属電極材料のいずれからでも構成することができる。全般的MEA工程は変わらない。
【0143】
メチレングリーン前処理非圧縮グラファイトワームを使用する場合、前記のように電極を製造した。電極を液圧下に所望の規格値にプレスし、メチレングリーンと電気重合させ、変性NafionTM/酵素/補酵素ポリマーで被覆し、乾燥させた後に、MEAに使用する準備ができた。電極は、一般に両面において、NafionTM/酵素/補酵素ポリマーで被覆された。
【0144】
MEAの製造方法は、先ず、カプトン(DuPont)を清浄化し、敷くことを含んでいた。カプトンは、MEAが加熱プレスに付着するを防止し、MEAを清浄に維持する。白金添加(片面または両面添加)ガス拡散電極(Etek)を、カプトンの上に置き、その上に、ガス拡散電極より約2.5倍大きく切ったNafionTM117、112または111を置いた。次に、前もって製造したバイオアノードを、NafionTM膜の上に置いた。アセンブリを結合させるために、バイオアノードの上に別のカプトンを置く前に、アセンブリを少し湿らせた。
【0145】
次に、MEAアセンブリを、液圧プレスの発熱体の間に配置した。プレスの上部および下部定盤がちょうど接触しはじめるのに充分なだけの圧力を加えた。熱を加え、定盤を120〜135℃に加熱した。それらがその温度に達したら、圧力を所望の規格、一般に3000〜4000psiに加える。MEAアセンブリをプレスに配置する前に、定盤を予熱することができる。手順は、必ずしもこれらの工程に正確に従う必要はなく、手順に変更を加えて、首尾よく行なうこともできる。
【0146】
3〜5分間加圧下においた後、MEAを取り出し、カプトンから分離する前に冷却させた。
【0147】
熱プレスせずにMEAを形成することができる。数滴の液体NafionTMまたは塩変性NafionTMを、アノードとNafionTM117、112または111の間、およびカソードとNafionTM117、112または111の間の両方に添加する以外は同様にMEAを構成した。次に、液体NafionTMが乾燥するまで、このアセンブリを加熱せずにプレスした。
【0148】
さらに、アノードを下記のように前もって製造することもできる。レドックスポリマーが必要な場合、所望の電極物質をレドックスポリマーに電気重合させるかまたは化学的に重合させた。この時に、酵素を配置せずにMEAアセンブリに電極を配置し、前記のように熱プレスした。プレスし冷却した後、酵素を、完成MEAのアノード側に流延した。
【0149】
9個のバイオ燃料電池MEAを製造し、そのうちの7個が適切に作用した。バイオ燃料電池MEAによって生じた開放回路電位差は0.36〜0.599Vであり、電力密度は0.15〜1.49mW/cm2であった。
【0150】
実施例11
PQQ依存性酵素
非変性電極において酸化することができる補酵素の例は、ピロロキノリンキノン(PQQ)である。PQQは、細菌アルコールデヒドロゲナーゼにおけるレドックス補助因子として見出された。PQQは、非変性炭素基剤電極において、その酸化形態と還元形態の間の、有効なpH依存性および可逆性の電子移動を示すo−キノン成分を含有する。PQQ依存性デヒドロゲナーゼ酵素の使用は、バイオ燃料電池およびセンサーに使用される電気触媒を除去することを可能にする。これは、電極構成を簡単にし、コストを低減し、そして、より小さい分子サイズ故に、膜を通るPQQのより高い流動率(flux)によって、遅い物質移動による電力損失をより少なくする。
【0151】
実施例12
酵素センサー
化学的または電気化学的手段によって重合させたメチレングリーンで、ガラス状カーボン電極を変性した。実施例1に記載した手順を使用して、アルコールデヒドロゲナーゼを、テトラブチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜に固定化し、固定化した酵素を変性ガラス状カーボン電極に重ね、乾燥させた。変性ガラス状カーボン電極を乾燥させた後、pH7.15の燐酸塩緩衝液1.5mLに入れ、平衡させた。平衡させた後、電流測定検出を電位差−0.4Vで行なった。基線示度を確定した後、燐酸塩緩衝液中の8mMエタノール溶液1mLを、溶液に注入した。図10は、電流測定センサーについての電流対時間のグラフを示す。
【0152】
関連文献の記載
本明細書を通して引用した文献を、その番号によってここに列挙し、それらは本明細書に参照として組み入れられる。ここに記載した文献の考察は、文献の著者によってなされた主張を要約するものにすぎず、いずれかの文献が先行技術を構成することを認めるものではない。出願人は引用文献の正確性および妥当性に意義を申し立てる権利を留保する:
1.G.T.R. Palmore; G.M. Whitesides, "Microbial and Enzymatic Biofuel Cells", ACS Symposium Series 566 (1994) 271-290。
2.M. Schrenk; R. Villigram; N. Torrence; S. Brancato; S.D. Minteer, "Effect of Mixture Casting NafionTM with Quaternary Ammonium Bromide Salts on the Ion-Exchange Capacity and Mass Transport in the Membranes」, Journal of Membrane Science 205 (2002) 3-10。
3.T.J. Thomas; K.E. Ponnusamy; N.M. Chang; K. Galmore; S.D. Minteer, "Effects of Annealing on Mixture-Cast Membranes of NafionTM and Quaternary Ammonium Bromide Salts", Journal of Membrane Science, Vol. 213, (2003) 55-56。
4.W.J. Blaedel; R.A. Jenkins, "Study of the Electrochemical Oxidation of Reduced Nicotinamide Adenine Dinucleotide", Analytical Chemistry 47 (1975) 1337-1338。
5.D. Zhou; H.Q. Fang; H. Chen; H. Ju; Y. Wang, "The Electrochemical Polymerization of Methylene Green and its Electrocatalysis for the Oxidation of NADH", Analytica Chimica Acta 329 (1996) 41-48。
6.D.W. Green; H.W. Sun; B.V. Plapp, "Inversion of the Substrate Specificity of Yeast Alcohol Dehydrogenase", Journal of Biological Chemistry 268 (1993) 7792-7798。
7.Worthington, V. "Worthington Enzyme Manual" (1988) 16。
8.G.T.R. Palmore; H. Bertschy; S.H. Bergens; G.M. Whitesides, "A Methanol/Dioxygen Biofuel Cell that Uses NAD+-Dependent Dehydrogenases as Catalysts: Application of an Electro-Enzymic Method to Regenerate Nicotinamide Adenine Dinucleotide at Low Overpotentials", Journal of Electroanalytical Chemistry 443 (1998) 155-161。
9.E.V. Plotkin, I.J. Higgins; H.A.O. Hill, "Methanol Dehydrogenase Bioelectrochemical Cell and Alcohol Detector"、Biotechnology Letters 3 (1981) 187-192。
10.G. Davis; H.A.O. Hill; W. J. Aston; I.J. Higgins; A.P.F. Turner, "Bioelectrochemical Fuel-Cell and Sensor Based on a Quinoprotein, Alcohol-Dehydrogenase", Enzyme and Microbial Technology 5 (1983) 383-388。
11.P.L. Yue; K. Lowther, "Enzymatic Oxidation of C1 Compounds in a Biochemical Fuel Cell", Chemical Engineering Journal. 33B (1986) 69-77。
【0153】
前記を考慮して、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることが理解される。
【0154】
本発明の範囲を逸脱せずに、種々の変更を前記の方法に加えることができるので、先の記載に含まれ、添付の図面に示されている全ての内容は、例示するものであって、限定するものではないと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】バイオ燃料電池の概略図(一定比率でない)である。
【図2】エタノールのアルデヒドへの酸化が、NAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によって触媒される。NADHが、ポリ(メチレングリーン)変性電極において電気分解される。
【図3】室温における、開放回路電圧0.60Vでの、エタノール/O2バイオ燃料電池の典型的電力曲線である。
【図4】pH7.15燐酸塩緩衝剤中のNAD+およびエタノールで処理した変性NafionTM膜に固定化したアルコールデヒドロゲナーゼにおける、NADHの形成の一系列の蛍光顕微鏡写真である。図中、(a)は未変性NafionTM膜であり、(b)はテトラメチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜であり、(c)はテトラエチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜であり、(d)はテトラプロピルアンモニウムブロミド/NafionTM膜であり、(e)はテトラブチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜であり、そして(f)はテトラペンチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜である。
【図5】pH7.15燐酸塩緩衝液中のNAD+およびエタノール溶液で処理されたテトラブチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜に固定化された、アニールされたアルコールデヒドロゲナーゼの蛍光顕微鏡写真である。
【図6】pH7.15燐酸塩緩衝液中のNAD+およびアセトアルデヒド溶液で処理されたテトラペンチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜に固定化された、アルデヒドデヒドロゲナーゼの蛍光顕微鏡写真である。
【図7】NafionTM膜に固定化されたラッカーゼを使用したバイオカソードの概略図である。
【図8】テトラブチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜について、燃料を比較したサイクリックボルタモグラム(cyclic voltammogram)である。
【図9】裸ガラス状カーボン電極における、ピロロキノリンキノン(PQQ)のサイクリックボルタモグラムである。
【図10】エタノールセンサーについての電流対時間曲線を示すグラフである。
【図11】バイオ燃料電池用の膜電極アセンブリ(MEA)の概略図である。
【図12】開放回路電圧0.599Vを与える室温で作動するエタノール/O2膜電極アセンブリ(MEA)バイオ燃料電池の、典型的電力曲線である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、燃料電池および電気を発生させる方法に関する。本発明は、特に、イオン伝導性ポリマーのような固定化物質に組み込まれた生物学的酵素を含有するアノード、およびそれを使用して電気を発生させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ燃料電池は、ポリマー電解質膜によって分離されたカソード(負極)とアノード(陽極)とから成るという点で、従来のポリマー電解質膜("PEM")燃料電池に類似している。バイオ燃料電池は、電気化学反応を触媒するのに使用される物質が、従来の燃料電池と異なる。貴金属を触媒として使用するのではなく、バイオ燃料電池は、反応を行なうのに酵素のような生物学的分子に依存する。初期のバイオ燃料電池技術は、全微生物の代謝経路を使用したが、この方法に伴う問題は、全微生物の低容量触媒活性および非実用的電力密度アウトプット(power density outputs)である[1]。酵素分離法は、容量活性および触媒能力を増加させることによって、バイオ燃料電池用途における進歩に拍車をかけた[1]。分離酵素燃料電池は、細胞膜インピーダンスに関係した電子移動の障害および燃料消費微生物増殖の欠乏を克服することによって、増加した電力密度アウトプットを生じる。
【0003】
酵素は、極めて有効な触媒であるが、燃料電池へのそれらの組み込みに関して課題があった。初期の酵素に基づく燃料電池は、電極表面に固定化するのではなく、溶液に酵素を含有させていた[1およびそれに記載されている文献;それらは本明細書に参照として組み入れられる]。溶液中の酵素は、数日間安定であるにすぎないが、固定化酵素は、数ヶ月間安定であることができる。酵素に基づくバイオ燃料電池の主要な障害の1つは、電極表面における膜に酵素を固定化することであり、それは、酵素の寿命を延ばし、機械的および化学的に安定な層を形成するが、電極表面に容量領域(capacitive region)を形成しない。大部分のH2/O2燃料電池において、触媒を電極表面に保持する結合剤はNafionTMである。NafionTMは、イオン導体として優れた特性を有するパーフッ素化イオン交換ポリマーである。しかし、NafionTMは酵素の寿命および活性を減少させる酸性膜を形成する故に、NafionTMはバイオ燃料電池電極の表面における酵素の固定化に成功していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の種々の要旨の1つは、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、(c)酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質、および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0005】
本発明の他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体透過性である酵素固定化物質、および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0006】
本発明の他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、(c)ミセル構造または逆ミセル構造を有する酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質、および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0007】
さらに他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、ミセル構造または逆ミセル構造を有し、燃料流体透過性である酵素固定化物質、および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0008】
他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0009】
さらに他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0010】
本発明の他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)ミセル構造または逆ミセル構造を有する酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0011】
他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、ミセル構造または逆ミセル構造を有し、燃料流体透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0012】
さらに他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0013】
他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、アルキルアンモニウム塩抽出パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成り、燃料流体透過性である酵素固定化物質を有するバイオアノード。
【0014】
本発明の他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子メディエータ;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素;(c)変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質;および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0015】
さらに他の要旨は、下記のものを含んで成る電気発生用のバイオ燃料電池である:燃料流体;電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに、(a)電子導体、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素;(c)電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成り、燃料流体透過性である酵素固定化物質;および(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒を有するバイオアノード。
【0016】
他の要旨は、本発明の前記要旨のいずれか1つのバイオ燃料電池を使用して電気を発生させる方法である。
【0017】
本発明の他の要旨は、酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である非天然コロイド固定化物質中に、固定化された酵素である。
【0018】
さらに他の要旨は、酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である非気泡性コロイド固定化物質中に、固定化された酵素である。
【0019】
他の要旨は、酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性であるミセルまたは逆ミセル固定化物質中に、固定化された酵素である。
【0020】
他の要旨は、酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー中に、固定化された酵素である。
【0021】
さらに他の要旨は、バイオアノードおよびカソードを含んで成るバイオ燃料電池であって、(a)バイオアノードが、カーボン布、ポリメチレングリーンのレドックスポリマーフィルム、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマー、およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り、(b)アルコールデヒドロゲナーゼが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル区画に組み込まれ、そして(c)ポリメチレングリーンのレドックスポリマーフィルムが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーおよびカーボン布に並置されている、バイオ燃料電池である。
【0022】
さらに他の要旨は、支持膜、レドックスポリマー、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーおよびデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードであって、(a)デヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーに組み込まれ、そして(b)レドックスポリマーが、支持膜および第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーに並置されている、バイオアノードである。
【0023】
他の要旨は、カーボン布支持膜、ポリメチレングリーンレドックスポリマー、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーおよびアルコールデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードであって、(a)デヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに組み込まれ、そして(b)レドックスポリマーが、カーボン布支持膜および第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに並置されている、バイオアノードである。
【0024】
さらに他の要旨は、変性および1つまたはそれ以上の酵素を含んで成るパーフッ素化イオン交換ポリマーであって、酵素が変性パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセルに組み込まれているパーフッ素化イオン交換ポリマーである。
【0025】
他の要旨は、電力発生方法であって、アノードに組み込まれているレドックス酵素の存在下に、アノードにおいて有機燃料を酸化し、カソードにおいて酸素を還元することを含んで成り、該方法において、(a)アノードが、イオン伝導性ポリマー、レドックスポリマー膜および支持膜を含んで成り、(a)レドックス酵素がイオン伝導性ポリマー内に固定化され、(b)アノードにおける酸化反応の間に補助因子が還元され、(c)レドックスポリマー膜が還元補助因子の酸化を触媒する、電気発生方法である。
【0026】
本発明の他の要旨は、電力発生方法であって、アノードにおいてアルコールを酸化し、カソードにおいて酸素を還元することを含んで成り、該方法において、(a)アノードが、ポリメチレングリーンポリマー、第四級アンモニウムブロミド処理NafionTMポリマー、炭素繊維支持膜およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り、(b)アルコールデヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウムブロミド処理NafionTMポリマーのミセル区画内に固定化され、(c)アノードにおけるアルコールの酸化の間に、NAD+がNADHに還元され、そして(d)ポリメチレングリーンポリマーにおいてNADHがNAD+に電気酸化される、電気発生方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の種々の要旨の1つは、増加した酵素安定性が好都合とされる用途における使用、特にバイオ燃料電子およびバイオセンサーにおける使用のための、固定化酵素である。固定化物質は、機械的および化学的安定性を与え、それによってこれまでに知られているより長い期間にわたって酵素を安定化するバリアを形成する。本発明の目的のために、酵素がその初期触媒活性の少なくとも約75%を、少なくとも約30日〜約365日間にわたって保持する場合に、酵素は「安定化されている」とする。本発明の他の要旨は、燃料電池であって、有機燃料(または、水素、アンモニアまたは炭化水素を含んで成る燃料流体)を使用して、酵素仲介レドックス(酸化/還元)反応によって電気を生じる燃料電池である。本発明の他の要旨は、バイオアノードおよびカソードを含んで成るバイオ燃料電池であって、バイオアノードが電解質によってカソードから分離しているバイオ燃料電池である。バイオアノードは、燃料流体透過性であり、酵素を固定化し、酵素を安定化する酵素固定化物質を含んで成る。固定化酵素の安定性は、バイオ燃料電池が、初期電流の少なくとも約75%を少なくとも約30日〜約365日間にわたって生じることを可能にする。
【0028】
A.酵素固定化
一般に、酵素は、酵素を固定化し安定化する固定化物質に固定化される。本発明の固定化物質に固定化された酵素は、種々の用途に使用できる。以下に記載する酵素および固定化物質を、本発明の用途に使用することができる。
【0029】
1.酵素
酵素を使用して所望の反応を触媒する。一般に、天然酵素、合成酵素、人工酵素および変性天然酵素を固定化することができる。さらに、自然または指向進化(directed evolution)によって設計された人工的酵素(engineered enzymes)も使用しうる。換言すれば、酵素特性を模倣した有機または無機分子を本発明の態様に使用することができる。
【0030】
例示できる酵素は、オキシドレダクターゼである。
【0031】
2.酵素固定化物質
酵素は、酵素固定化物質に固定化される。1つの態様において、酵素固定化物質は、酵素より小さい化合物透過性であり、酵素を固定化し、酵素を安定化する。固定化酵素は、その触媒活性を保持しながら、固定化物質の特定領域に物理的に拘束されている酵素である。担体結合、架橋および捕捉を包含する種々の酵素固定化法がある。担体結合は、水不溶性担体への酵素の結合である。架橋は、二官能性または多官能性試薬による酵素の分子間架橋である。捕捉は、半透性物質の格子への酵素の組み込みである。例えば、酵素を、半透性ゲルに組み込むか、または反応性ポリマー膜に閉じ込めることができる。酵素固定化の特定の方法は、必ずしも重要ではないが、固定化物質は、(1)燃料流体透過性であり、(2)酵素を固定化し、(3)酵素を安定化させる。
【0032】
固定化物質は、酵素より小さい化合物透過性である。換言すれば、固定化物質は、酵素より小さい化合物がその中を通りうるようにし、それによって、化合物は固定化物質上またはその中に固定化された酵素に接触することができる。固定化物質は、内部孔、管路(channel)、開口部またはそれらの組合せを有するように調製することができ、それらは固定化物質を通る化合物の移動を可能にし、しかも固定化物質内の実質的に同じ位置に酵素を拘束する。
【0033】
固定化物質は、該物質の実質的に特定の領域に酵素を拘束し、酵素がその触媒活性を保持することを可能にする。1つの態様において、好ましくは、酵素と実質的に同じ大きさおよび形のスペースに酵素を拘束し、酵素が実質的に全てのその触媒活性を保持する。固定化物質は、孔、管路、開口部またはそれらの組合せを有し、孔、管路、開口部およびそれらの組合せは、酵素が実質的にそのスペースから移動することを許さないが、酵素より小さい化合物が固定化物質を通って酵素に接触することは許す。抗、管路または開口部は、前記の必要条件を満たす物理的寸法を有し、固定化される特定酵素の大きさおよび形に依存する。
【0034】
1つの態様において、酵素を固定化物質の孔に配置し、燃料流体が輸送管路を通って固定化物質に流入したり流出したりするのが好ましい。孔および輸送管路の相対サイズは、孔は酵素を固定化するのに充分に大きいが、輸送管路は酵素がそれを通るには小さすぎるようにすることができる。他の態様において、輸送管路が少なくとも約10nmの直径を有するのが好ましい。さらに他の態様において、孔/輸送管路の直径の比率が、少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上である。さらに他の態様において、輸送管路が少なくとも約10nmの直径を有し、孔/輸送管路の直径の比率が少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上であるのが好ましい。
【0035】
さらに、固定化物質は酵素を安定化させる。固定化物質は、化学的および機械的バリアを与えて、酵素を変性から保護することによって酵素を安定化させる。換言すれば、固定化物質は、酵素環境を緩衝して、酵素変性を遅くする。さらに、固定化物質は、酵素を物理的に拘束し、その物理的拘束は、酵素に展開するスペースを与えない(折りたたまれた三次元構造からの展開は、酵素変性のメカニズムである)。1つの態様において、固定化物質は、酵素を安定化し、それによってその触媒活性を少なくとも約30日〜約365日間保持するのが好ましい。触媒活性の保持は、酵素がその触媒活性の少なくとも約75%を保持する日数によって規定される。酵素活性は、化学発光、電気化学、UV−Vis、放射化学または蛍光アッセイによって測定することができ、特性強度は、初期時に測定される。酵素は、強度が初期強度の少なくとも75%である場合に触媒活性を保持するとみなされる。一般に、蛍光アッセイを使用して、酵素活性を測定する。溶液中の遊離酵素は、その触媒活性を数時間〜数日で失う。従って、酵素の固定化は、安定性において有意な利益を与える。他の態様において、固定化酵素は、その初期触媒活性の少なくとも約75%を、少なくとも約30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365日間またはそれ以上にわたって保持するのが好ましく、好ましくは、その初期触媒活性の少なくとも約80%、85%、90%、95%またはそれ以上を、少なくとも約30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365日間またはそれ以上にわたって保持する。
【0036】
他の態様において、固定化物質は、非天然コロイド物質である。さらに他の態様において、固定化物質は、リポソームのような非気泡性(acellular)コロイド物質である。非気泡性物質は、細胞から構成されず、細胞を含有しない。コロイド物質は、他の物質に分散された粒子から成る物質であり、該粒子は、一般的な光学顕微鏡で解像するには小さすぎるが、半透性膜を通過することはできない。他の態様において、コロイド物質は、原子または一般的な分子より実質的に大きいが、裸眼で見るには小さすぎる粒子から成る物質である。それらは、約10−7〜10−3センチメートルの大きさであってよく、種々の方法で連結または結合される。
【0037】
他の態様において、固定化物質は、ミセルまたは逆ミセル構造を有する。一般に、ミセルを構成する分子は両親媒性であり、それは、それらが極性親水性基、および非極性疎水性基を含有することを意味する。分子は、凝集してミセルを形成することができ、極性基は凝集物の表面および炭化水素上に存在し、非極性基は、凝集物の中に隔離されている。逆ミセルは、極性基および非極性基の逆配置を有する。極性基が互いに近接し、非極性基が互いに近接している限りは、凝集物を構成する両親媒性分子を種々の配置にすることができる。さらに、分子は、互いに向き合った非極性基、互いに離れた(pointing away)極性基を有する二分子層を形成することができる。または、二分子層において極性基が互いに向き合うことができ、非極性基が離れている二分子層を形成することもできる。
【0038】
一般に、ミセルまたは逆ミセル固定化物質は、ポリマー、セラミック、リポソームであってもよく、またはミセルまたは逆ミセル構造を形成する他の分子から形成することもできる。例示できるミセルまたは逆ミセル固定化物質は、以下のものである:パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)(NafionTMまたはFlemionTM)、変性パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(変性NafionTMまたは変性FlemionTM)、ポリスルホン、ミセルポリマー、ポリ(エチレンオキシド)に基づくブロックコポリマー、マイクロエマルジョンおよび/またはミセル重合から生成されるポリマー、およびアルキルメタクリレート、アルキルアクリレートおよびスチレンのコポリマー。他の例示できるミセルまたは逆ミセル固定化物質は、以下のものである:セラミック、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、脂質、リン脂質、ドデシル硫酸ナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、(4−[(2−ヒドロキシル−1−ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸モノナトリウム塩)、リノール酸、リノレン酸、コロイド、リポソームおよびミセル網状構造物。
【0039】
1つの態様において、好ましくは、ミセル固定化物質は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(変性NafionTMまたは変性FlemionTM)膜である。パーフッ素化イオン交換ポリマー膜は、アンモニウム(NH4+)イオンより大きい疎水性陽イオンで変性されている。疎水性陽イオンは、いくつかの仕方で機能する。第一に、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(NafionTMまたはFlemionTM)膜を製造するために、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)と疎水性陽イオンとを混合流延(mixture-casting)することによって、固定化物質を得、該固定化物質において、孔の大きさは、疎水性陽イオンの大きさに依存する。従って、疎水性陽イオンが大きいほど、孔の大きさは大きい。疎水性陽イオンのこの機能は、疎水性陽イオンの大きさを変化させることによって、特定酵素に適合するように孔の大きさを大きくしたり小さくしたりすることを可能にする。
【0040】
さらに、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜上の−SO3−基の対イオンとして、疎水性陽イオンと陽子とを交換することによって、疎水性陽イオンは、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜の特性を変化させる。対イオンにおけるこの変化は、疎水性陽イオンが陽子よりかなり高い−SO3−部位への親和性を有するので、pHにおける緩衝作用を与える。この膜の緩衝作用は、溶液のpHの変化に伴って、孔のpHを実質的に変化させずに維持する。さらに、膜は、膜に固定化された酵素を保護する機械的バリアを与える。緩衝作用および機械的バリアの両方が、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)に固定化された酵素の安定性に有利に作用する。
【0041】
下記の表は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜の緩衝作用を示す。数値は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜1g当りの使用可能な陽子交換部位の数を表し、陽子に使用可能な交換部位の数が減少すると共に、固定化酵素に対する膜の緩衝能力が増加する。膜の略語は、下記の膜を意味する:NH4Bは、アンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TMABrは、テトラメチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TEABrは、テトラエチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TPropABrは、テトラプロピルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TBABrは、テトラブチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜であり;TpentABrは、テトラペンチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜である。
【0042】
【表1】
【0043】
変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を調製するために、第一段階において、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)、特にNafionTMの懸濁液と、疎水性陽イオンの溶液とを流延して、膜を形成する。過剰の疎水性陽イオンおよびそれらの塩を最初の膜から抽出した後、膜を再流延する。再流延した際に、膜はパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜の−SO3−部位に関連した疎水性陽イオンを含有している。
【0044】
より安定かつ再現性のある第四級アンモニウム塩処理NafionTM膜を製造するために、過剰の臭化物塩を流延溶液から除去すべきである。この塩抽出膜は、過剰の臭化第四級アンモニウムおよびHBr塩を最初の膜から抽出した後に、混合流延膜を再流延することによって形成される。膜の塩抽出は、スルホン酸交換部位における第四級アンモニウム陽イオンの存在を維持するが、孔に捕捉されている場合があるかまたは平衡膜に空隙を生じうるコンプリケーション(complications)を過剰塩から除去する。塩抽出膜の化学的および物理的特性は、酵素固定化の前に、ボルタンメトリー、イオン交換力測定および蛍光顕微鏡検査法によって特性決定されている[3]。
【0045】
例示できる疎水性陽イオンは以下のものである:アンモニウムに基づく陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン、アルキルトリメチルアンモニウム陽イオン、アルキルトリエチルアンモニウム陽イオン、有機陽イオン、ホスホニウム陽イオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウム陽イオン、イミダゾリウム陽イオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリンに基づく金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+および[Fe(フェナントロリン)3]3+。
【0046】
1つの態様において、大きい疎水性陽イオンがアンモニウムに基づく陽イオンであるのが好ましい。特に、大きい疎水性陽イオンは第四級アンモニウム陽イオンである。他の態様において、第四級アンモニウム陽イオンが下記式1で示される:
【化1】
【0047】
式中、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外のものである。他の態様において、好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは水素以外のものである。さらに他の態様において、R1、R2、R3およびR4は、同じであり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。さらに他の態様において、好ましくは、R1、R2、R3およびR4はブチルである。
【0048】
図4〜6は、pH7.15燐酸塩緩衝液中のNAD+および燃料流体の溶液で処理した種々の変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜に固定化した酵素の蛍光顕微鏡写真を示す。蛍光を示す蛍光顕微鏡写真は、特定の変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜に固定化した酵素が、固定化後もなお触媒的に活性な酵素であることを示す。これは、特定の固定化物質が酵素の触媒活性を維持しながら酵素を固定化し安定化させるかどうかを決定する1つの方法である。
【0049】
第四級アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド)およびNafionTMの混合流延フィルムは、フィルムを通る小さい被検体の物質移動を増加させ、陰イオンに対する膜の選択性を減少させる[2]。これらの膜は、非変性Nafionに極めて類似した伝導性を有するが、膜における陽子に対する使用可能な交換部位の数を滴定することによって示されるように、陽子より臭化第四級アンモニウムに対してかなり高い選択性を有する。従って、これらのフィルムは類似した電気特性を有するが、極めて異なる酸/塩基特性を有する。処理膜は、広範囲の緩衝剤pHにおいて、中性pHを維持する。
【0050】
B.バイオ燃料電池
本発明の種々の要旨の1つは、前記の固定化酵素を使用するバイオ燃料電池である。バイオ燃料電池において、アノードで生じる反応は、電子の同時放出を伴う燃料流体の酸化である;電子は、電気的結合によって、カソードに向かい、カソードにおいて酸化剤が水に還元される。本発明のバイオ燃料電池は、バイオ燃料電池の外部の電気負荷(electrical load)にエネルギー源(電気)を与える。燃料流体の酸化を促進するために、バイオアノードは、電子導体、電子メディエータ(補助因子としても既知)用の電気触媒(例えば、レドックスポリマー)、および酵素を含有する。電子メディエータは、電子を受容するかまたは電子を供与することができる化合物である。
【0051】
最初に、電子メディエータの酸化形態を、燃料流体および酵素と反応させて、燃料流体の酸化形態、および電子メディエータの還元形態を生成する。次にまたは同時に、電子メディエータの還元形態を、電気触媒の酸化形態と反応させて、電子メディエータの酸化形態、および電気触媒の還元形態を生成する。次に、電気触媒の還元形態をアノードで酸化し、電子を生成して、電気を発生させる。バイオアノードにおけるレドックス反応は、燃料流体の酸化以外は、可逆性であることができ、従って、酵素、電子メディエータおよび電気触媒は消費されない。電子メディエータを添加して付加的反応物を与えた場合、レドックス反応を任意に不可逆性にすることができる。
【0052】
または、電子導体および酵素を使用することができ、その場合、非変性炭素基剤電極において、バイオアノードに接触する電子メディエータは、その酸化および還元形態の間で電子を移動させることができる。非変性炭素基剤電極において、電子メディエータがその酸化および還元形態の間で電子を移動させることができる場合、次の電気触媒と電子メディエータとの反応は必要ではなく、電子メディエータ自体が、アノードにおいて酸化して、電子、即ち電気を発生させる。
【0053】
本発明のバイオ燃料電池は、バイオアノードおよびカソードを有する。電子の放出がバイオアノードにおいて起こり、酸化剤の還元がカソードにおいて起こり、電気負荷はバイオアノードとカソードの間に配置する。
【0054】
1.バイオアノード
一般に、バイオアノードは、燃料流体の酸化を行なう成分を有し、そこで、電子が放出されて、外部電気負荷に向けられる。電気負荷は、電子を使用するデバイスである。外部電気負荷はカソードと接触し、該カソードにおいて酸化剤が還元される。電気的結合による、燃料流体からバイオアノード、電気負荷およびカソードへのこの電子の流れは、電気負荷にエネルギー源(電気)を与える。
【0055】
1つの態様において、バイオアノードは、電子導体、および酵素固定化物質に固定化された酵素を含んで成る。他の態様において、バイオアノードは、任意に、電子メディエータ用の電気触媒をさらに含んで成る。電子導体において可逆性レドックス反応を受けることができる電子メディエータにバイオアノードが接触している場合、電気触媒はバイオアノードに存在しなくてよい。バイオアノードの前記成分は互いに近接し、これは、それらが適切な手段によって物理的または化学的に結合していることを意味する。1つの態様において、成分を、それらの間の電気的結合によって溶液に配置することによって、物理的および化学的に結合させる。他の態様において、個々の成分を電子導体に被覆するかそうでなければ付着させることによって、成分を物理的に結合させるのが好ましい。成分は、例えば層において、別々に付着させるか、または1つの付着層に組み込むことができる。
【0056】
a.電子導体
電子導体は、電子を伝導する物質である。電子導体は、物質中に電子を伝導することができる限りは、性質において無機であっても有機であってもよい。電子導体は、炭素系物質、金属性導体、半導体、金属酸化物または変性導体であってよい。
【0057】
特に好適な電子導体は、炭素系物質である。例示的な炭素系物質は、以下のものである:カーボン布、カーボン紙、カーボンスクリーン印刷電極、カーボン紙(Toray)、カーボン紙(ELAT)、カーボンブラック(Vulcan XC-72, E-tek)、カーボンブラック、炭素粉末、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイヤモンド被覆導体、ガラス状カーボンおよびメソポーラスカーボン。さらに、他の例示的な炭素系物質は、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、離層精製フレークグラファイト(SuperiorTMグラファイト)、高性能グラファイトおよび炭素粉末(Formula BTTM 、SuperiorTMグラファイト)、高規則熱分解性グラファイト、熱分解グラファイトおよび多結晶質グラファイト。
【0058】
さらに他の態様において、電子導体を金属性導体から製造することができ、好適な電子導体を、金、白金、鉄、ニッケル、銅、銀、ステンレス鋼、水銀、タングステンおよび電極構成に好適な他の金属から製造することができる。さらに、金属性導体である電子導体を、コバルト、ダイヤモンドおよび他の好適な金属から製造したナノ粒子から構成することができる。他の金属性電子導体は、銀メッキニッケルスクリーン印刷電極であってよい。
【0059】
さらに、電子導体は、半導体であってもよい。好適な半導体は、シリコンおよびゲルマニウムから製造され、他の成分をドーピングすることができる。半導体は、燐、硼素、ガリウム、砒素、インジウムまたはアンチモン、またはそれらの組合せをドーピングすることができる。
【0060】
他の電子導体は、金属酸化物、金属硫化物、主族元素化合物、および電子導体で変性された物質であってよい。この種の例示的電子導体は、以下のものである:ナノポーラス酸化チタン、酸化錫被覆ガラス、酸化セリウム粒子、硫化モリブデン、窒化硼素ナノチューブ、炭素のような導電性物質で変性したエーロゲル、炭素のような導電性物質で変性したゾルゲル、ルテニウム炭素エーロゲル、および炭素のような導電性物質で変性したメソポーラスシリカ。
【0061】
他の態様において、電子導体は、2つ以上の成分を有し、第一成分はカーボン布であってよく、第二成分は前記の電子導体であってよい。第二電子導体をカーボン布に付着させ、その2つの結合体が電子導体を構成する。
【0062】
他の態様において、下記のセクションB.1.cに記載のように、電子導体を、非圧縮(GATTMエキスパンデッド(expanded)、Superior Graphite Co.)グラファイトワームから構成する。
【0063】
b.電子メディエータ
電子メディエータは、電子を受容または供与することができる化合物である。換言すれば、電子メディエータは、電子を受容して還元形態を形成することができる酸化形態を有し、還元形態は電子を供与して酸化形態を形成することができる。電子メディエータは、固定化物質に拡散することができ、そして/または固定化物質に組み込むことができる化合物である。
【0064】
1つの態様において、電子メディエータの拡散係数を最大化する。換言すれば、電子メディエータの還元形態の物質移動をできる限り速くする。電子メディエータの速い物質移動は、それが使用されるバイオ燃料電池の、より大きい回路電位差および電力密度を可能にする。
【0065】
例示できる電子メディエータは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)またはピロロキノリンキノン(PQQ)またはそれぞれの等価物である。他の例示できる電子メディエータは、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンおよびフェリシアン化カリウムである。
【0066】
1つの態様において、電子メディエータは、電子導体において、単独でレドックス反応を受けることができない。この態様において、バイオアノードが、電子導体における電子の放出を促進する電子メディエータ用の電気触媒を含んで成る。
【0067】
他の態様において、標準還元電位差0.0V±0.5Vを有する可逆性レドックスカップル(couple)を、電子メディエータとして使用する。従って、電子導体表面に可逆性電気化学を与える電子メディエータを使用することができる。電子メディエータは、電子メディエータに依存する天然酵素、電子メディエータに依存して変性された酵素、または電子メディエータに依存する合成酵素に結合する。電子導体表面に可逆性電気化学を与える電子メディエータの例は、ピロロキノリンキノン(PQQ)、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンおよびフェリシアン化カリウムである。1つの態様において、バイオアノードと共に使用される電子メディエータがPQQであるのが好ましい。電子導体表面に可逆性電気化学を与える電子メディエータの能力により、この種の電子メディエータのレドックス反応を触媒する電気触媒を必要としない。
【0068】
c.電子メディエータ用の電気触媒
一般に、電気触媒は、電子導体における電子の放出を促進する物質である。換言すれば、電気触媒は、電子メディエータの還元または酸化の反応速度を増加させ、それによって、電子メディエータの還元または酸化が、より低い還元電位差において生じうる。電気触媒は、アノードにおいて可逆的に酸化して、電子、即ち電気を発生させることができる。電気触媒が電子導体に近接している場合、電気触媒および電子導体は互いに電気的接触しているが、必ずしも互いに物理的接触していない。1つの態様において、電子導体は、電子メディエータ用の電気触媒と結びついているかまたは近接している。
【0069】
一般に、電気触媒は、アジン、導電性ポリマーまたは電気活性ポリマーであってよい。例示できる電気触媒は以下のものである:メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントテルピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属リガンド、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオール、[Re(フェン−ジオン)(CO)3Cl]、[Re(フェン−ジオン)3](PF6)2、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ボリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b']ジチオフェン)、ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)およびポリ(ニュートラルレッド)。
【0070】
他の態様において、好ましくは、電子導体が非圧縮グラファイトワームから成り、それは、組み立ての前に、電子メディエータ用の電気触媒(またはレドックスポリマー)、特にメチレングリーンで処理され、液圧プレスのような従来手段によって所望の形にプレスされる。電子導体のプレス条件は、充分な厚みの軟質材料を生じるように最適化された。電子導体の圧縮後に、メチレングリーンの溶液中でサイクリックボルタンメトリーによってメチレングリーンを重合させた。電子導体を洗浄し、乾燥した後、最終物質をカーボン布に付着させた。
【0071】
d.酵素
酵素は、燃料流体の酸化を触媒するのに必要である。一般に、前記の酵素を使用することができる。バイオアノードに使用される例示できる酵素は、オキシドレダクターゼである。1つの態様において、オキシドレダクターゼが、供与体のCH−OH基またはCH−NH基に作用するのが好ましい。
【0072】
他の態様において、酵素がデヒドロゲナーゼであるのが好ましい。他の態様において、酵素が以下のものである:アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼまたはピルビン酸デヒドロゲナーゼ。さらに他の態様において、酵素がアルコールデヒドロゲナーゼであるのがより好ましい。さらに他の態様において、酵素がPQQ依存性デヒドロゲナーゼである。
【0073】
e.酵素固定化物質
酵素固定化物質がバイオ燃料電池に使用される。1つの態様において、酵素固定化物質は、燃料流体透過性であり、酵素を固定化し、安定化させる。前記の酵素固定化物質は、それらが燃料流体透過性である場合に、バイオ燃料電池の態様に使用することができる。固定化物質は、燃料流体透過性であり、それによって、燃料の酸化反応を固定化酵素によって触媒することができる。換言すれば、固定化物質は、それを通る燃料流体の移動を可能にし、それによって、燃料が固定化物質上またはその中に固定化された酵素に接触することができる。固定化物質は、内部孔、管路、開口部またはそれらの組合せを有するように調製することができ、それらは固定化物質を通る燃料流体の移動を可能にし、しかも固定化物質内の実質的に同じスペースに酵素を拘束する。
【0074】
他の態様において、酵素を固定化物質の孔に配置し、燃料流体が輸送管路を通って固定化物質に流入したり流出したりするのが好ましい。孔および輸送管路の相対サイズは、孔は酵素を固定化するのに充分に大きいが、輸送管路は酵素がそれを通るには小さすぎるようにすることができる。他の態様において、輸送管路が少なくとも約10nmの直径を有するのが好ましい。さらに他の態様において、孔/輸送管路の直径の比率は、少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上である。さらに他の態様において、輸送管路が少なくとも約10nmの直径を有し、孔/輸送管路の直径の比率が少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上であるのが好ましい。
【0075】
f.バイオアノード態様
他の態様において、バイオアノードが、電子メディエータ用の電気触媒を電子導体に吸着、重合または共有結合させることによって変性された電子導体から成るのが好ましい。この態様は、電子導体の表面積を増加させるという利点を有する。構成の前に、電子導体の表面に電気触媒を吸着させ、次に、電気触媒を化学または電気化学重合させることによる電子導体の処理は、非処理電子導体と比較して、より高い触媒活性を与える。
【0076】
他の態様において、バイオアノードが、構成の前にメチレングリーンで処理され、液圧プレスで所望の形にプレスされた非圧縮グラファイトワームから成る電子導体から成るのがより好ましい。電子導体をプレスした後、メチレングリーンの溶液中でのサイクリックボルタンメトリーによって、メチレングリーンを重合させた。電子導体を洗浄し、乾燥した後、最終物質をカーボン布に付着させて、電子導体を完成させた。次に、TBAB変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはTBAB変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を製造するために、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)で変性したパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を、前記および実施例に記載のように調製した。再流延の後に、酵素を溶液に添加した。固定化酵素を含有するこのTBAB変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはTBAB変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を、電子導体にピペットで移し、そして/または塗り、乾燥させた。
【0077】
1つの態様において、バイオアノードおよびカソードを、膜電極アセンブリ(MEA)に構成するのが好ましい。この態様において、カソードは、一般的なカソード、例えば白金添加(片面または二面添加)ガス拡散電極、または下記のようなバイオカソードであってよい。一般に、カソードを下に配置し、一枚のパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜をカソードの上に配置し、バイオアノードを膜の上に配置した。全体を、液圧プレスの発熱体の間に配置した;圧力を加え、それによってプレスの上および下プレートが接触し始め、次に、プレスを加熱し、最後に、より大きい圧力を加えた。または、下記以外は前記と同様にして、MEAを組み立てることもできる:バイオアノードと一枚のパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜との間、およびカソードと一枚のパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜との間に、数滴の液体パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜または変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜を適用し、加熱せずに前記のようにプレスした。
【0078】
他の態様において、電子メディエータを酵素に物理的に結合させることができる。物理的結合は、電子メディエータと酵素との共有結合またはイオン結合であってよい。さらに他の態様において、電子メディエータが電子導体において可逆性電気化学である場合、電子メディエータは酵素に物理的に結合することができ、電子メディエータは電子導体にも物理的に結合することができる。
【0079】
さらに他の態様において、電子メディエータを固定化物質に固定する。さらに他の態様において、酸化NAD+を、陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(陽イオン変性NafionTM)膜に固定化するのが好ましい。燃料流体を電池に添加した後、NAD+をNADHに還元し、NADHは陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(陽イオン変性NafionTM)膜に拡散することができる。
【0080】
他の態様において、本発明は、デヒドロゲナーゼ酵素を、塩抽出テトラブチルアンモニウム/パーフッ素化イオン交換ポリマー膜(例えば、NafionTM膜またはFlemionTM膜[旭硝子株式会社、東京])に固定化することを含む。塩抽出ポリマー懸濁液は中性であり、緩衝酵素溶液をこの懸濁液に添加することができる。混合物をアノードに流延して、変性電極を形成することができ、酵素を電極表面の近くに固定化する。
【0081】
他の態様において、本発明は、ポリマーのミセルに中性pHを生じる変性、および変性パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセルに組み込まれている1つまたはそれ以上の酵素を含んで成るパーフッ素化イオン交換ポリマーに関する。好ましいパーフッ素化イオン交換ポリマーは、NafionTMポリマーである。好ましい酵素は、有機燃料の酸化および補助因子の還元を触媒するデヒドロゲナーゼのようなレドックス酵素である。補助因子は、NAD+、NADP+およびFADを包含する。
【0082】
1つの態様において、本発明は、バイオアノードおよびカソードを含んで成る燃料電池であって、バイオアノードが、レドックスポリマーフィルム、変性イオン交換ポリマー膜およびデヒドロゲナーゼを含んで成る燃料電池に関する。デヒドロゲナーゼは、変性イオン交換ポリマー膜のミセル区画に組み込まれる。好ましくは、変性イオン交換ポリマー膜は、塩抽出第四級アンモニウムで処理されたパーフッ素化イオン交換ポリマーである。商業的に入手可能なパーフッ素化イオン交換ポリマーは、NafionTM(DuPont)およびFlemionTM(旭硝子株式会社)を包含する。好ましくは、パーフッ素化イオン交換ポリマーは、NafionTMポリマーまたはFlemionTMポリマーである。好ましい第四級アンモニウム塩は、テトラブチルアンモニウムブロミドを包含する。好ましいレドックスポリマーフィルムは、ポリメチレングリーンである。バイオアノードは、2つ以上の異なるデヒドロゲナーゼ、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼを含んで成ってもよい。
【0083】
2.燃料流体
燃料流体は、電子メディエータと固定化酵素との酸化反応において消費される。燃料流体サイズは、固定化物質への拡散係数を大きくするのに充分に小さい。例示できる燃料流体は以下のものである:水素、アンモニア、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール)、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物(例えば、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−ホスフェート、ラクテート、ラクテート−6−ホスフェート、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボースおよびマンノース)、グリセレート、補酵素A、アセチルCo−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリル−アルコール、シンナミル−アルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2および水素。
【0084】
他の態様において、好ましくは、燃料流体はアルコールであり、より好ましくはメタノールおよびエタノール、特にエタノールである。
【0085】
3.カソード
カソードは、一般的なカソードまたはバイオカソードである。一般的なカソードにおいて、カソードは白金に基づき、空気にさらされ、酸化剤を還元する。一般的なカソードを使用する場合、それは、塩橋によってアノードから離される。塩橋は種々の形態をとることができ、イオンがアノードとカソードの間を移動することを可能にする物質である。1つの態様において、塩橋がポリマー電解質膜(PEM)であるのが好ましい。
【0086】
1つの態様において、燃料電子は、前記のバイオアノードおよびバイオカソードを含んで成ってよく、該バイオカソードは、第二レドックスポリマーフィルム、第二変性イオン交換ポリマー膜およびO2−レダクターゼを含んで成る。第二変性イオン交換ポリマー膜は塩抽出第四級アンモニウム処理NafionTMポリマーであってよく、第二レドックスポリマーフィルムはポリ(N−ビニル−イミダゾール)であってよく、O2−レダクダーゼはラッカーゼであってよい。バイオ燃料電池がバイオアノードおよびバイオカソードの両方を含んで成るこの態様によれば、アノードをカソードから分離するために「塩橋」、即ちPEMを必要としない。この態様は、生物学的宿主、例えばヒトに、移植可能な電源として特に有用である。
【0087】
4.電気発生方法
本発明の種々の要旨の1つは、電力を発生させる方法であって、有機燃料(または水素、アンモニアまたは炭化水素を含んで成る燃料流体)を酸化する本発明のバイオアノードを、酸素または過酸化物のような酸化剤を還元するカソードと共に使用する方法である。さらに、本発明の他の要旨は、前記のバイオアノードおよびカソードを使用して電気を発生させる方法であって、電気負荷をバイオアノードとカソードの間に配置し、バイオアノード、電気負荷およびカソードが導電性物質によって連結している方法である。燃料流体はバイオアノードにおいて酸化され、酸化剤はカソードにおいて還元される。電気負荷は、電気を使用するデバイスである。1つの態様において、バイオアノードは、燃料流体および電子メディエータを含有する溶液に接触し、カソードは、緩衝溶液に接触する。バイオアノードに接触する溶液を、塩橋またはPEMによって、カソードに接触する溶液から分離する。
【0088】
他の態様において、電力発生方法が、バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)バイオアノードが、電子導体、電子メディエータ用の電気触媒、および燃料流体透過性であり、酵素を安定化させる酵素固定化物質に固定化された酵素、を含んで成り、(b)電子メディエータの酸化形態が、バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に還元され、そして(c)電子メディエータの還元形態が電気触媒によって酸化され、次にまたは同時に、電気触媒がバイオアノードにおいて酸化される。
【0089】
さらに他の態様において、電力発生方法が、バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)バイオアノードが、電子導体、および燃料流体透過性であり、酵素を安定化させる酵素固定化物質に固定化された酵素を含んで成り、電子導体において可逆的電気化学でありうる電子メディエータが、バイオアノードに接触する溶液に存在し、(b)電子メディエータの酸化形態が、バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に還元され、そして(c)電子メディエータがバイオアノードにおいて酸化される。
【0090】
さらに他の態様において、電力発生方法が、バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)バイオアノードが、電子導体、電子メディエータ用の電気触媒、およびミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質に固定化された酵素、を含んで成り、(b)電子メディエータの酸化形態が、バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に還元され、そして(c)電子メディエータの還元形態が電気触媒によって酸化され、次に、電気触媒がバイオアノードにおいて酸化される。
【0091】
さらに他の態様において、電力発生方法が、バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)バイオアノードが、電子導体、およびミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質に固定化された酵素を含んで成り、電子導体において可逆的電気化学でありうる電子メディエータが、バイオアノードに接触する溶液に存在し、(b)電子メディエータの酸化形態が、バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に還元され、そして(c)電子メディエータがバイオアノードにおいて酸化される。
【0092】
さらに他の態様において、本発明は、電力を発生させる方法であって、アノードに組み込まれたレドックス酵素の存在下にアノードにおいて有機燃料を酸化し;そして、カソードにおいて酸素を還元する;ことを含んで成る方法に関する。好ましい電力発生方法は、アノードにおいてアルコールを酸化し、カソードにおいて酸素を還元する工程を含んで成り、該方法において、(a)アノードが、ポリメチレングリーンポリマー、臭化第四級アンモニウム処理NafionTMポリマー、炭素繊維支持膜およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り;(b)アルコールデヒドロゲナーゼが、臭化第四級アンモニウム処理NafionTMポリマーのミセル区画に固定化され、(c)NAD+が、アノードにおけるアルコールの酸化の間にNADHに還元され、そして(d)NADHが、ポリメチレングリーンポリマーにおいてNAD+に電気酸化される。
【0093】
本発明によって、ポリ(メチレングリーン)変性アノードの表面に流延されたデヒドロゲナーゼ酵素固定化イオン伝導膜を使用して、バイオ燃料電池を構成した。本発明の1つの態様において、アルコールデヒドロゲナーゼおよびNAD+の存在下に、アルコール燃料をアルデヒドに酸化する。NADH生成物は、燃料電池用のレドックス媒介物質である。白金および炭素電極におけるNADH酸化は、低い反応速度を有し、大きい過電圧において起こるので[4]、ポリマーに基づく電気触媒を使用して、NAD+を再生し、NADHから電極に電子を移動させた。電気触媒は、好ましくはポリ(メチレングリーン)である[5]。
【0094】
アルコールデヒドロゲナーゼに加えてアルデヒドデヒドロゲナーゼを組み込んでいるこれらのバイオアノードを使用したエタノール/O2バイオ燃料電池は、ポリマー層におけるアルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼの比率に依存して、電力密度1.16mW/cm2〜2.04mW/cm2、および開放回路電圧0.6V〜0.82Vを生じる。これらのバイオアノードを使用したメタノール/O2バイオ燃料電池は、電力密度1.55mW/cm2、および開放回路電圧0.71Vを生じる。
【0095】
本発明の1つの態様において、ほぼ中性pHを有する変性イオン伝導性ポリマーにレドックス酵素を組み込むことは、バイオ燃料電池の電力密度の増加、およびバイオアノードの寿命の増加を可能にする。
【0096】
C.酵素センサー
他の態様において、本発明の固定化酵素を、センサーとして使用することができる。酵素センサーは、測定すべき化学種(被検体)が検出前にセンサーにおいて酵素触媒反応を受けるセンサーである。被検体と酵素(被検体はその酵素の基質であるべきである)との反応は、二次化学種を生じ、二次化学種の濃度は、被検体の濃度に比例するかまたは同じである。次に、二次化学種の濃度を、変換器によって、例えば電極または光ファイバーによって、電気化学的または分光分析的に検出する。
【0097】
酵素センサーの酵素は、一般に、試験流体に接触させるのに好適な膜に含有される。この場合、酵素は、センサーの膜の一部として含有させるか、またはセンサープロパー(proper)に、例えば電極の層の一部として、組み込むことができる。従って、センサーの外部への拡散後に、被検体が酵素に接触し、酵素/被検体反応が起こり、次に、二次化学種がセンサーの検出器部分に拡散する。ミセルまたは逆ミセル固定化物質中の固定化酵素は、好適な有孔性を有し、それによって、被検体が、試験流体から酵素に制御的に拡散することができ、それと同時に、酵素を保持して、酵素が試験流体に浸出されるのを防止する。
【0098】
1つの態様において、ガラス状カーボン電極をメチレングリーンで変性し、前記のように重合させた。それに加えて、アルコールデヒドロゲナーゼを固定化したテトラブチルアンモニウムブロミド変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜で、ガラス状カーボン電極を被覆した。酵素センサーはエタノールを検出した。
【0099】
D.固定化酵素の使用
一般に、本発明の固定化酵素は、種々の用途に使用できる。酵素を固定化するかまたは安定化することが好都合である用途は、特に関心が持たれるものである。
【0100】
他の態様において、固定化酵素を、バイオリアクターおよびバイオプロセスに使用する。ミセルまたは逆ミセル固定化物質のような固定化物質に固定化した酵素は、触媒作用による基質の化学反応を誘発する作用をする。本発明の基質は、固定化酵素が化学反応を触媒しうるあらゆる基質である。従って、基質を含有する供給流れが固定化酵素に接触し、該固定化酵素において基質が反応して生成物を形成する。さらに、基質は、固定化物質を通る際に、生成物から物理的に分離し、該固定化物質において、未反応基質が保持され、分離収集用のハウジングの出口端(exit end)を通る。
【0101】
バイオリアクターを使用する方法は、ワンパス(one-pass)、連続供給システムまたは再循環システムとして配置することができ、未反応基質は供給流れに戻され、生成物は、固定化酵素を通った後に別に収集される。保持される種および透過性の種は、一般に大きさによって、物理的に分離され、より小さい生成物は固定化物質を通り、より大きい基質は固定化物質を通るのを妨げられる。
【0102】
さらに他の態様において、本発明の固定化酵素をバイオアッセイに使用する。バイオアッセイ手順は、被験物質と適切な試薬、例えば酵素基質との反応、またはそれらの逆反応、ならびに、試薬(または試薬と反応した他の物質、指示薬)の特徴、例えば、色、放射能または他の物理的特徴の測定による、反応した試薬の量の直接的または間接的定量測定を含む。被験溶液を固定化酵素に接触させ、それによって反応が生じて、固定化錯体が生成される。放射性標識基質を導入し、非占有部位において反応させる。錯体における放射能を測定することによって、試料中の酵素の量を測定できる。
【0103】
さらに他の態様において、固定化酵素を酵素療法に使用する。酵素療法は、患者への酵素の投与から成り、投与された酵素は、患者自身の欠陥または欠失酵素が触媒することができない体内の反応を触媒する。固定化酵素は、増加した安定性の故に、この適用に有利であり、投与された酵素がより長く活性を維持することを可能にし、従って、より少ない治療頻度およびより少ない酵素用量にすることができる。
【0104】
他の態様において、本発明の固定化酵素をイムノアッセイに使用する。1つのそのようなアッセイは、定量的酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)であり、該アッセイにおいて、濾紙、多孔性膜、プラスチックパドルまたは他の固体表面において、色を視覚的に検出することができる。このアッセイは、定量アッセイ、および色に加えて他の検出可能なシグナルの使用に、容易に適合させることができる。
【0105】
他の態様において、固定化酵素をバイオ模擬物質として使用する。バイオ模擬物質において、生物学的系または天然系を模擬する合成系を調製する。例えば、細胞系またはより大きい生物学的系、例えば心血管系または内分泌系を模擬するために、生物模擬系は特定物質と選択的に反応し、そして生物模擬系から物質を放出しうる必要がある。選択的に反応し、物質を放出する1つの方法は、半透性膜に固定化された固定化酵素を使用することである。この方法において、例えば、半透性膜は細胞膜を模擬し、酵素仲介反応は、天然系において起こる多くの酵素仲介反応を模擬する。
【0106】
他の態様において、クレブスサイクル(またはクエン酸サイクル)を模擬する系において、固定化酵素を使用する。クレブスサイクルは、酢酸またはアセチル−CoAの二酸化炭素および水への酸化を含む。クレブスサイクルのバイオ模擬物質は、細胞のエネルギー産生サイクルに作用する因子についての情報を提供する。さらに、クレブスサイクルおよびそのバイオ模擬物質の研究は、バイオ模擬物質を使用してエネルギー産生を最大化するのに重要な側面の理解を助ける。
【0107】
定義
本明細書に使用される「燃料電池」は、電気短絡を防止するために分離されたアノードおよびカソードを有する。好ましくは、アノードおよびカソードは、ポリマー電解質膜によって分離される。バイオ燃料電池は、燃料流体、および燃料流体の酸化を触媒する酵素を使用する。1つの態様において、「バイオ燃料電池」は、エネルギー源としての有機燃料、および有機燃料の酸化を触媒するレドックス酵素を使用する。「燃料電池」および「バイオ燃料電池」という用語は、本発明の開示において互換的に使用される。1つの態様において、本発明の燃料電池は、電気供給を必要とする用途、例えば、器具、玩具、内部医療デバイス、および電動(電気)乗物に使用しうるが、これらに限定されない。他の態様において、本発明の燃料電池を生体に埋め込むことができ、その場合、有機燃料は生体から誘導され、燃料電池は生体に埋め込まれたデバイスに電力を供給する。
【0108】
本明細書に使用される「有機燃料」という用語は、ネルギーを蓄えたあらゆる炭素に基づく化合物を意味する。有機燃料は、核酸、炭水化物(例えばグルコース)、アルコール、脂肪酸および他の炭化水素、ケトン、アルデヒド、アミノ酸およびタンパク質を包含するがそれらに限定されない。有機燃料は、有機体中の生物学的化合物であってもよい。好ましい燃料は、メタノール、エタノール、ブタノールおよびイソプロパノールを包含するアルコール、および炭水化物、特にグルコースまたはそのポリマーである。好ましいアルコールは、エタノールおよびメタノールである。
【0109】
本発明はバイオアノードにも関する。バイオアノードは、燃料流体の酸化を触媒する酵素を含んで成るアノードである。1つの態様において、「バイオアノード」は、有機燃料の酸化を触媒するレドックス酵素を含んで成るアノードを意味する。アノードは、電気回路または電位差のための電子源を与える。他の態様において、好ましいバイオアノードは、イオン交換ポリマー膜に並置されたレドックスポリマー膜に並置された、支持膜または構造物、例えば、炭素繊維布または炭素フェルトのシートを含んで成る。1つの態様において、「バイオカソード」という用語は、酸素の還元を触媒するラッカーゼのようなレドックス酵素を含んで成る。
【0110】
本明細書において使用される「レドックスポリマー」、「レドックスポリマーフィルム」または「レドックスポリマー膜」という用語は、化合物から電子を受容するかまたは供与することができ、それによって、化合物をそれぞれ酸化または還元し、電気回路への移動に使用できる遊離電子を発生させる。好ましいレドックスポリマーは、文献5(Zouら、1996)に記載のように、ポリメチレングリーンである。レドックスポリマーによる電気触媒作用の基質である好ましい化合物は、還元アデニンジヌクレオチド、例えば、NADH、FADH2およびNADPHを包含する。バイオカソードに有用なレドックスポリマーフィルムは、ポリ(N−ビニル−イミダゾール)およびその誘導体を包含する。
【0111】
本明細書に使用される「支持膜」という用語は、電流を通すことができ、バイオ燃料電池電極のポリマー膜を支持するのに使用される硬質または半硬質不活性物質を意味する。支持膜は、あらゆる導電性物質、例えば、ステンレス鋼、ステンレス鋼メッシュ、カーボン、カーボンナノチューブ、白金または半導体物質を含んで成ってよい。好ましい支持膜はカーボンフェルトのシートである。「カーボンフェルト」、「カーボン布」および「カーボン布支持膜」という用語は、互換的に使用される。
【0112】
本明細書に使用される「イオン交換ポリマー」または「イオン交換ポリマー膜」という用語は、それを通るイオンの伝導を可能にしうるポリマーを意味する。好ましいイオン交換ポリマーは、パーフッ素化イオン交換ポリマー、例えばNafionTM(DuPont, Wilmington, DE)である。本発明は、スルホン酸交換部位において第四級アンモニウムイオンを含有する変性を有するパーフッ素化イオン交換ポリマーにも関する。その変性は、イオン交換ポリマーのミセルに中性pHを生じる。本発明によれば、1つまたはそれ以上のレドックス酵素が、塩抽出第四級アンモニウム処理パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル(または「ミセル区画」)に組み込まれているかまたは捕捉されている。
【0113】
1つの態様において、「酵素」または「レドックス酵素」という用語は、化学反応において触媒として作用するタンパク質を意味する。好ましい酵素は、燃料の酸化および「補助因子」の同時還元を触媒する「デヒドロゲナーゼ」を包含する。好ましい補助因子は、アデニンジヌクレオチド、例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP+)およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を包含する。デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼおよびピルビン酸デヒドロゲナーゼを包含する。バイオカソードに有用なレドックス酵素は、O2レダクターゼ、例えばラッカーゼを包含する。
【0114】
本明細書に使用される「炭化水素」および「ヒドロカルビル」という用語は、炭素および水素のみから成る有機化合物または基を意味する。これらの成分は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール成分を包含する。これらの成分は、他の脂肪族または環式炭化水素基、例えば、アルカリール、アルケナリールおよびアルキナリールで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール成分も包含する。特に指定しなければ、これらの成分は1〜20個の炭素原子を有するのが好ましい。
【0115】
本明細書に記載される「置換ヒドロカルビル」成分は、炭素以外の少なくとも1個の原子で置換されたヒドロカルビル成分であり、炭素鎖原子が、窒素、酸素、珪素、燐、硼素、硫黄またはハロゲン原子のようなヘテロ原子で置換されている成分を包含する。これらの置換基は、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルを包含する。
【0116】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素および水素以外の原子を意味する。
【0117】
本明細書において単独かまたは他の基の一部として使用される「ヘテロシクロ」または「複素環式」という用語は、少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、各環に好ましくは5個または6個の原子を有し、任意に置換され、完全飽和または不飽和、単環式または二環式、芳香族または非芳香族基を意味する。ヘテロシクロ基は、環に、1個または2個の酸素原子、1個または2個の硫黄原子、および/または1〜4個の窒素原子を有するのが好ましく、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りに結合しうる。例示できるへテロシクロは、複素芳香族炭化水素、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニルまたはイソキノリニル等を包含する。例示できる置換基は、1個またはそれ以上の下記の基を包含する:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテル。
【実施例】
【0118】
下記の実施例は本発明を例示するものである。
実施例1
固定化酵素
NafionTMおよび臭化第四級アンモニウムの混合流延膜の製造用の流延溶液を、本明細書に参照として組み入れられる文献2に記載のように調製した。混合流延溶液1mLを秤量ボートに入れ、乾燥させた。以前の試験は、膜に導入した全ての臭化物イオンが、水に膜を浸漬した際に、膜から放出されたことを示している[2]。従って、18MWの水7.0mLを秤量ボートに添加し、一晩浸漬した。水を除去し、フィルムを18MWの水で充分に濯ぎ、乾燥させた。次に、塩抽出フィルムを低級脂肪族アルコール1.0mLに再懸濁した。
【0119】
酵素/TBABの比率2:1(一般に、1.0μM酵素1200μL/600μL)の酵素/NafionTM 流延溶液および0.03g NAD+を、電極の被覆に備えて渦巻き状にした。溶液をピペットで電極に移し、カーボンフェルト電極に浸み込ませ、乾燥させた。
【0120】
溶液流延の手順
下記の臭化第四級アンモニウムを使用した:アンモニウムブロミド(Fisher)、テトラメチルアンモニウムブロミド(Aldrich)、テトラエチルアンモニウムブロミド(Fisher)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(Aldrich)、テトラブチルアンモ二ウムブロミド(Eastman)、およびテトラペンチルアンモニウムブロミド(Aldrich)。
【0121】
臭化第四級アンモニウムと5wt%NafionTM懸濁液(Solution Technologies, Inc.)とを共に流延することによって、臭化第四級アンモニウムを組み込んだNafionTM膜を形成した。臭化第四級アンモニウムを5wt%懸濁液に添加することによって、混合流延溶液を調製した。臭化第四級アンモニウムの濃度が、NafionTM懸濁液中のスルホン酸部位の濃度より高くなるように、全ての混合流延溶液を調製した。最適化の後、最も安定かつ再現性のある膜は、交換部位の濃度の3倍の臭化第四級アンモニウム濃度を有することが決定された。
【0122】
流延溶液1mLを秤量ボートに入れ、乾燥させた。以前の試験は、膜に導入した全ての臭化物イオンが、水に膜を浸漬した際に、膜から放出されたことを示している。従って、18MWの水7.0mLを秤量ボートに添加し、一晩浸漬した。水を除去し、フィルムを18MWの水で充分に濯ぎ、乾燥させた。次に、フィルムをメタノール1.0mLに再懸濁した。
【0123】
図4〜6は、pH7.15燐酸塩緩衝液中のNAD+および燃料流体の溶液で処理した種々の変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜に固定化した酵素の蛍光顕微鏡写真を示す。蛍光を示す蛍光顕微鏡写真は、特定の変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜に固定化した酵素が、固定化後もなお触媒的に活性な酵素であることを示す。これは、特定の固定化物質が、酵素の触媒活性を維持しながら酵素を固定化し安定化させるかどうかを決定する1つの方法である。下記の表は、準備した酵素および膜、ならびに酵素が固定化後に触媒活性を保持したかどうかを示す。表に「有り」と記されている場合、膜に固定化後に酵素がその触媒活性を保持し、「無し」と記されている場合、膜に固定化後に酵素がその触媒活性を保持していない。
【表2】
【0124】
実施例2
物理的電池装置
本発明のバイオアノードを、図1に示す直径2.6cm、高さ14.8cmおよび長さ7.6cmの注文製造「U」字形円筒形ガラス管系から成る物理試験電池において試験した。約50mLの溶液を、NafionTM膜(Aldrich)の両側に含有させた。試験電池のカソード側は、外部源(AirGas)によって泡立たせて添加した溶解酸素で飽和したpH7.15燐酸塩緩衝液を含有していた。カソード物質は、Vulcan XC-72(E-Tek)上に20%白金を有するELAT電極である。試験電池のアノード側に、1.0mM NAD+および1.0mM燃料(エタノールまたはメタノール)を含有するpH7.15緩衝液を充填した。酵素を含んで成る本発明のバイオアノードをアノードとして使用した。データ収集前に、電池全体を2〜6時間平衡させた。PCコンピューターに接続したCH Instruments 810 potentiostatを使用して、試験電池について全てのデータを収集し分析した。バイオ燃料電池の各タイプを三重に試験し、記録された全ての不確定要素は、1つの標準偏差に対応する。
【0125】
実施例3
エタノール用バイオアノード
エタノール用バイオアノードを図2に示すように設計した。これらのバイオアノードは、塩抽出テトラブチルアンモニウム(「TBAB」)/NafionTM膜に固定化したNAD+およびアルコールデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼの混合物を有する。膜を、ポリ(メチレングリーン)変性カーボン布電極に流延する。これらのバイオアノードは30日より長く機能することができ、この機能は、燃料電池の初期発電量の20%より以上の発電量によって決定される。
【0126】
TBAB/NafionTM膜に固定化したアルコールデヒドロゲナーゼを使用した生物アノードは、20℃および緩衝液pH7.15において、0.60〜0.62Vの開放回路電位差を示した。エタノールを基剤とするバイオ燃料電池の平均最大電力密度は、1.16±0.05mW/cm2である。エタノール/O2燃料電池についての典型的な電力曲線を図3に示す。図3で試験したバイオアノードは、TBAB/NafionTM膜に固定化された1.2x10−9モルのアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を有する。酵素に関する至適pHは8.6〜9.0である[7]が、ポリ(メチレングリーン)電気触媒は中性pHに[5]おいてNADHの酸化に関して最も高い触媒有効性を有するので、pH7.15燐酸塩緩衝液を選択した。この電力曲線は、2日後に取った。最大電力が最初の7日間で6.1%減少した。
【0127】
TBAB/NafionTM膜に固定化したアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼとの混合物を使用したバイオアノードを製造し、試験した。このバイオアノードは、TBAB/NafionTM膜に固定化したアルコールデヒドロゲナーゼ1.2x10−9モルおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ1.2x10−9モルを使用した。アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼを使用したエタノール/O2燃料電池の開放回路電位差は、0.82Vである。アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの等モル量の混合物を使用したエタノールを基剤とする燃料電池の最大電力密度は、2.04mW/cm2である。
【0128】
これらのアルコール/O2バイオ燃料電池を文献のバイオ燃料電池と比較するために、メタノール/O2バイオ燃料電池を製造し、試験した。メタノールバイオアノードは、TBAB/NafionTM膜に固定化されたアルコールデヒドロゲナーゼ1.2x10−9モル、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ1.2x10−9モルおよび蟻酸デヒドロゲナーゼ1.2x10−9モルを有していた。アルコールデヒドロゲナーゼはメタノールをホルムアルデヒドに酸化し、次に、そのホルムアルデヒドがホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼによってホルメートに酸化される。最後に、ホルメートが、蟻酸デヒドロゲナーゼによって二酸化炭素に酸化され、それによって、反応した燃料1モル当たりNADH3モルが生成される。
【0129】
現在の技術のメタノールを基剤とするバイオ燃料電池は、20℃および緩衝液pH7.15において、0.64〜0.71Vの開放回路電位差を有する。メタノールを基剤とするバイオ燃料電池の平均最大電力密度は、1.55±0.19mW/cm2である。Whitesidesおよび共同研究者によって開発された現在の技術のメタノール/O2バイオ燃料電池は、開放回路電位差0.8V、および電池の最大発電量0.67mW/cm2を有していた[8]。文献1に記載のメタノールバイオ燃料電池は、固定化酵素を有さず、従って、燃料電池の寿命は長くて数日に限られる。TBAB/NafionTM膜に基づく本発明のメタノールバイオ燃料電池は、性能の低下を生じずに5日間より以上にわたって試験された。
【0130】
他の多くのメタノールバイオ燃料電池が文献に示されているが[9〜11]、報告されている最も高い開放回路電位差は0.3Vである。これは、低レドックス媒介物質および低触媒活性の組み合わせるによるものである。ポリ(メチレングリーン)レドックス媒介物質は、水性レドックス媒介物質または吸着レドックス媒介物質より高い安定性を示し、NADHの酸化過電圧を400mV減少させ[5]、TBAB/NafionTM膜は、酵素固定化に理想的な環境を与える。
【0131】
実施例4
試薬および電極製造
メチレングリーン(Sigma)、硝酸ナトリウム(Fisher)、硼酸ナトリウム(Fisher)、NafionTM1100懸濁液(Aldrich)およびNafionTM117 (Aldrich)を購入し、入手した状態で使用した。使用した酵素は、アルコールデヒドロゲナーゼ(E.C. 1.1.1.1、初期活性300〜500単位/mg)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(E.C. 1.2.1.5、初期活性2〜10単位/mg)、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(E.C. 1.2.1.2、初期活性1〜6単位/mg)、および蟻酸デヒドロゲナーゼ(E.C. 1.2.1.46、初期活性5〜15単位/mg)を包含する。酵素は、Sigma(St. Louis, MO)およびRoche Applied Science(Indianapolis, IN)から購入し、0℃で保存し、入手した状態で使用した。さらに、NAD+およびNADHをSigmaから購入し、入手した状態で使用した。
【0132】
バイオアノードは、メチレングリーンと電気重合させた1cmx1cmの正方形のカーボンフェルト(Alfa Aesar)で構成する。10mM四硼酸ナトリウム中に0.4mMメチレングリーンおよび0.1M硝酸ナトリウムを含有する溶液において、スキャン速度0.05V/秒で、12のスイープセグメント(sweep segments)について、−0.3ボルト〜1.3ボルトでCH Instruments 810または620 potentiostat(Austin, TX)を使用して、サイクリックボルタンメトリーを行なうことによって、ポリ(メチレングリーン)の薄膜を形成した。電極を濯ぎ、次に、さらに変性する前に一晩乾燥させた。
【0133】
実施例5〜7
種々の燃料流体用のバイオアノード
指定の酵素および燃料流体を使用した以外は、実施例3で使用したのと同じ手順。
【表3】
【0134】
実施例8
ポリメチレングリーンで処理したグラファイトワーム
メチレングリーン(Sigma)、硝酸ナトリウム(Fisher)、硼酸ナトリウム(Fisher)を購入し、入手した状態で使用した。GATエキスパンデッドグラファイトワーム、ラボコード:3-96-16(Superior Graphite Co.)、防水性でないカーボン布(E-Tek)およびカーボンテープ(Spi Supplies)を、入手した状態で使用した。
【0135】
1mM濃度のメチレングリーン、硝酸ナトリウムおよび硼酸ナトリウムを添加することによって、18MΩ水中に、メチレングリーン含有緩衝液を調製した。使用前に、溶質を充分に溶解させた。次に、適量のメチレングリーン緩衝溶液を充填した大きい容器に、所望量のGATエキスパンデッドグラファイトワームを入れた。グラファイトおよびメチレングリーン緩衝溶液を、30分間充分に混合して、グラファイト表面へのメチレングリーンの完全な吸着を確実にした。
【0136】
グラファイトと緩衝溶液との混合物を、溶液中のグラファイトの低密度に基づいて分離させた。次に、過剰の緩衝剤をグラファイトから流し出し、次に、グラファイトを18MΩ水で洗浄した。各洗浄後に、溶液を分離させ、過剰量を流し出し、追加の洗浄を行なった。洗浄溶液が透明になり、過剰のメチレングリーンを含有していないと思われるようになるまで、この工程を繰り返した。最終洗浄液を流し出し、前処理されたグラファイト物質を、さらに使用する前に、完全に乾燥させた。
【0137】
得られた物質は、ルース(loose)グラファイト粉末に類似し、使用可能な電極形態に加工する必要があった。あらゆる所望の寸法または形に最終電極を加工することにおいて、かなりの順応性があった。選択されたパラメータは、2.5cmx2.5cm電極を調製することであった。これは、所望寸法の注文製造プレキシグラス鋳型に、前処理グラファイト物質を充填することによって行なわれた。油圧ジャッキを使用して、該物質を変化する圧力に加圧した。一般に3000psiを使用した。
【0138】
3000psi未満のウォームの加圧はいずれも、機械的に不安定な電子導体を生じた。一般に、電子導体は3000〜4000psiに加圧される。これは、炭素繊維にそれを付着させるような付加的支持なしに、使用するのに充分な機械的安定性であった。さらに、これらの加圧条件は、液体に半透性の電子導体を生じた。より高い圧力は、あまりに緻密すぎて液体が電子導体に容易に吸収されない電子導体を生じた。
【0139】
得られた電極は粗く、さらなる安定性のために支持物質に付着させることできた。使用した支持物質はカーボン布であった。両面カーボンテープの層をカーボン布の一方の面に付着させ、その上に、前処理プレスグラファイトワームを配置した。
【0140】
この時点で、レドックス種の安定性および寿命を向上させるためにレドックス種の重合を行なった。重合は、化学的または電気化学的手段によって行なうことができる。この場合、1mMメチレングリーン、1mM硝酸ナトリウムおよび1mM硼酸ナトリウムを含有する溶液に、構成した電極を入れることによって、レドックス種を電気化学的に重合させた。その系を、使用電極として作用する構成電極、白金対電極(counter electrode)およびAg/AgCl基準(reference)を有するCH Instruments 810 potentiostatに連結した。14のスイープセグメントについて、電位差を−0.3Vから1.3Vそして−0.3Vで走査した。これは、電極上に安定なメチレングリーンポリマーを生じた。
【0141】
実施例9
バイオカソード
第四級アンモニウム添加NafionTMフィルム中の固定化オキシダーゼ、特にラッカーゼ酵素は、固定化デヒドロゲナーゼ酵素に類似している。一系列の第四級アンモニウム塩を使用して、酵素を固定化した際にどの塩が至適酵素活性を与えるかを決定する。酵素は一般に、酸化剤として酸素を使用する。酵素活性は、種々のpH範囲を有する種々の緩衝剤中の飽和酸素環境において、電気化学的(サイクリックボルタンメトリー)に測定されるが、大部分の電極物質における過酸化物の低電気化学により、レドックス媒介物質が必要である。試験されるレドックス媒介物質は、[Fe(ビピリジン)3]2+、[Os(ビピリジン)3]2+、[Ru(ビピリジン)3]2+、および物理的に安定であり、可逆性電気化学を有し、標準還元電位差0.8V〜2.0Vを有するあらゆる他のレドックスカップルを包含する。このレドックス媒介物質は、膜と共に混合流延するか、最終流延の前に膜に塩抽出するか、または流延後に膜に抽出することができる。
【0142】
実施例10
膜電極アセンブリ(MEA)
膜電極アセンブリ(MEA)工程を、バイオアノードの構成から開始した。バイオアノードは、前記の炭素、グラファイトまたは金属電極材料のいずれからでも構成することができる。全般的MEA工程は変わらない。
【0143】
メチレングリーン前処理非圧縮グラファイトワームを使用する場合、前記のように電極を製造した。電極を液圧下に所望の規格値にプレスし、メチレングリーンと電気重合させ、変性NafionTM/酵素/補酵素ポリマーで被覆し、乾燥させた後に、MEAに使用する準備ができた。電極は、一般に両面において、NafionTM/酵素/補酵素ポリマーで被覆された。
【0144】
MEAの製造方法は、先ず、カプトン(DuPont)を清浄化し、敷くことを含んでいた。カプトンは、MEAが加熱プレスに付着するを防止し、MEAを清浄に維持する。白金添加(片面または両面添加)ガス拡散電極(Etek)を、カプトンの上に置き、その上に、ガス拡散電極より約2.5倍大きく切ったNafionTM117、112または111を置いた。次に、前もって製造したバイオアノードを、NafionTM膜の上に置いた。アセンブリを結合させるために、バイオアノードの上に別のカプトンを置く前に、アセンブリを少し湿らせた。
【0145】
次に、MEAアセンブリを、液圧プレスの発熱体の間に配置した。プレスの上部および下部定盤がちょうど接触しはじめるのに充分なだけの圧力を加えた。熱を加え、定盤を120〜135℃に加熱した。それらがその温度に達したら、圧力を所望の規格、一般に3000〜4000psiに加える。MEAアセンブリをプレスに配置する前に、定盤を予熱することができる。手順は、必ずしもこれらの工程に正確に従う必要はなく、手順に変更を加えて、首尾よく行なうこともできる。
【0146】
3〜5分間加圧下においた後、MEAを取り出し、カプトンから分離する前に冷却させた。
【0147】
熱プレスせずにMEAを形成することができる。数滴の液体NafionTMまたは塩変性NafionTMを、アノードとNafionTM117、112または111の間、およびカソードとNafionTM117、112または111の間の両方に添加する以外は同様にMEAを構成した。次に、液体NafionTMが乾燥するまで、このアセンブリを加熱せずにプレスした。
【0148】
さらに、アノードを下記のように前もって製造することもできる。レドックスポリマーが必要な場合、所望の電極物質をレドックスポリマーに電気重合させるかまたは化学的に重合させた。この時に、酵素を配置せずにMEAアセンブリに電極を配置し、前記のように熱プレスした。プレスし冷却した後、酵素を、完成MEAのアノード側に流延した。
【0149】
9個のバイオ燃料電池MEAを製造し、そのうちの7個が適切に作用した。バイオ燃料電池MEAによって生じた開放回路電位差は0.36〜0.599Vであり、電力密度は0.15〜1.49mW/cm2であった。
【0150】
実施例11
PQQ依存性酵素
非変性電極において酸化することができる補酵素の例は、ピロロキノリンキノン(PQQ)である。PQQは、細菌アルコールデヒドロゲナーゼにおけるレドックス補助因子として見出された。PQQは、非変性炭素基剤電極において、その酸化形態と還元形態の間の、有効なpH依存性および可逆性の電子移動を示すo−キノン成分を含有する。PQQ依存性デヒドロゲナーゼ酵素の使用は、バイオ燃料電池およびセンサーに使用される電気触媒を除去することを可能にする。これは、電極構成を簡単にし、コストを低減し、そして、より小さい分子サイズ故に、膜を通るPQQのより高い流動率(flux)によって、遅い物質移動による電力損失をより少なくする。
【0151】
実施例12
酵素センサー
化学的または電気化学的手段によって重合させたメチレングリーンで、ガラス状カーボン電極を変性した。実施例1に記載した手順を使用して、アルコールデヒドロゲナーゼを、テトラブチルアンモニウムブロミド変性NafionTM膜に固定化し、固定化した酵素を変性ガラス状カーボン電極に重ね、乾燥させた。変性ガラス状カーボン電極を乾燥させた後、pH7.15の燐酸塩緩衝液1.5mLに入れ、平衡させた。平衡させた後、電流測定検出を電位差−0.4Vで行なった。基線示度を確定した後、燐酸塩緩衝液中の8mMエタノール溶液1mLを、溶液に注入した。図10は、電流測定センサーについての電流対時間のグラフを示す。
【0152】
関連文献の記載
本明細書を通して引用した文献を、その番号によってここに列挙し、それらは本明細書に参照として組み入れられる。ここに記載した文献の考察は、文献の著者によってなされた主張を要約するものにすぎず、いずれかの文献が先行技術を構成することを認めるものではない。出願人は引用文献の正確性および妥当性に意義を申し立てる権利を留保する:
1.G.T.R. Palmore; G.M. Whitesides, "Microbial and Enzymatic Biofuel Cells", ACS Symposium Series 566 (1994) 271-290。
2.M. Schrenk; R. Villigram; N. Torrence; S. Brancato; S.D. Minteer, "Effect of Mixture Casting NafionTM with Quaternary Ammonium Bromide Salts on the Ion-Exchange Capacity and Mass Transport in the Membranes」, Journal of Membrane Science 205 (2002) 3-10。
3.T.J. Thomas; K.E. Ponnusamy; N.M. Chang; K. Galmore; S.D. Minteer, "Effects of Annealing on Mixture-Cast Membranes of NafionTM and Quaternary Ammonium Bromide Salts", Journal of Membrane Science, Vol. 213, (2003) 55-56。
4.W.J. Blaedel; R.A. Jenkins, "Study of the Electrochemical Oxidation of Reduced Nicotinamide Adenine Dinucleotide", Analytical Chemistry 47 (1975) 1337-1338。
5.D. Zhou; H.Q. Fang; H. Chen; H. Ju; Y. Wang, "The Electrochemical Polymerization of Methylene Green and its Electrocatalysis for the Oxidation of NADH", Analytica Chimica Acta 329 (1996) 41-48。
6.D.W. Green; H.W. Sun; B.V. Plapp, "Inversion of the Substrate Specificity of Yeast Alcohol Dehydrogenase", Journal of Biological Chemistry 268 (1993) 7792-7798。
7.Worthington, V. "Worthington Enzyme Manual" (1988) 16。
8.G.T.R. Palmore; H. Bertschy; S.H. Bergens; G.M. Whitesides, "A Methanol/Dioxygen Biofuel Cell that Uses NAD+-Dependent Dehydrogenases as Catalysts: Application of an Electro-Enzymic Method to Regenerate Nicotinamide Adenine Dinucleotide at Low Overpotentials", Journal of Electroanalytical Chemistry 443 (1998) 155-161。
9.E.V. Plotkin, I.J. Higgins; H.A.O. Hill, "Methanol Dehydrogenase Bioelectrochemical Cell and Alcohol Detector"、Biotechnology Letters 3 (1981) 187-192。
10.G. Davis; H.A.O. Hill; W. J. Aston; I.J. Higgins; A.P.F. Turner, "Bioelectrochemical Fuel-Cell and Sensor Based on a Quinoprotein, Alcohol-Dehydrogenase", Enzyme and Microbial Technology 5 (1983) 383-388。
11.P.L. Yue; K. Lowther, "Enzymatic Oxidation of C1 Compounds in a Biochemical Fuel Cell", Chemical Engineering Journal. 33B (1986) 69-77。
【0153】
前記を考慮して、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることが理解される。
【0154】
本発明の範囲を逸脱せずに、種々の変更を前記の方法に加えることができるので、先の記載に含まれ、添付の図面に示されている全ての内容は、例示するものであって、限定するものではないと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】バイオ燃料電池の概略図(一定比率でない)である。
【図2】エタノールのアルデヒドへの酸化が、NAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によって触媒される。NADHが、ポリ(メチレングリーン)変性電極において電気分解される。
【図3】室温における、開放回路電圧0.60Vでの、エタノール/O2バイオ燃料電池の典型的電力曲線である。
【図4】pH7.15燐酸塩緩衝剤中のNAD+およびエタノールで処理した変性NafionTM膜に固定化したアルコールデヒドロゲナーゼにおける、NADHの形成の一系列の蛍光顕微鏡写真である。図中、(a)は未変性NafionTM膜であり、(b)はテトラメチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜であり、(c)はテトラエチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜であり、(d)はテトラプロピルアンモニウムブロミド/NafionTM膜であり、(e)はテトラブチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜であり、そして(f)はテトラペンチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜である。
【図5】pH7.15燐酸塩緩衝液中のNAD+およびエタノール溶液で処理されたテトラブチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜に固定化された、アニールされたアルコールデヒドロゲナーゼの蛍光顕微鏡写真である。
【図6】pH7.15燐酸塩緩衝液中のNAD+およびアセトアルデヒド溶液で処理されたテトラペンチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜に固定化された、アルデヒドデヒドロゲナーゼの蛍光顕微鏡写真である。
【図7】NafionTM膜に固定化されたラッカーゼを使用したバイオカソードの概略図である。
【図8】テトラブチルアンモニウムブロミド/NafionTM膜について、燃料を比較したサイクリックボルタモグラム(cyclic voltammogram)である。
【図9】裸ガラス状カーボン電極における、ピロロキノリンキノン(PQQ)のサイクリックボルタモグラムである。
【図10】エタノールセンサーについての電流対時間曲線を示すグラフである。
【図11】バイオ燃料電池用の膜電極アセンブリ(MEA)の概略図である。
【図12】開放回路電圧0.599Vを与える室温で作動するエタノール/O2膜電極アセンブリ(MEA)バイオ燃料電池の、典型的電力曲線である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、:
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、
(c) 酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質、および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項2】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体透過性である酵素固定化物質、および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項3】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、
(c) ミセル構造または逆ミセル構造を有する酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質、および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項4】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、ミセル構造または逆ミセル構造を有し、燃料流体透過性である酵素固定化物質、および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項5】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) 酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質
含むバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項6】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる酵素、および
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、少なくとも1つの酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項7】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) ミセル構造または逆ミセル構造を有する酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項8】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、ミセル構造または逆ミセル構造を有し、燃料流体透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項9】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) 変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項10】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、アルキルアンモニウム塩抽出パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成り、燃料流体透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項11】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、を含んで成るバイオ燃料電池
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
を有するバイオアノード
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素;
(c) 変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質;および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒。
【請求項12】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素;
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成り、燃料流体透過性である酵素固定化物質;および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項13】
電子導体が、炭素系物質、金属導体、半導体、金属酸化物または変性導体から成る請求項1〜12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項14】
電子導体が、カーボン布、カーボン紙、カーボンスクリーン印刷電極、カーボン紙、カーボンブラック、炭素粉末、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイヤモンド被覆導体、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、離層精製フレークグラファイト、高性能グラファイト、炭素粉末、高規則熱分解性グラファイト、熱分解グラファイト、多結晶質グラファイト、金、白金、鉄、ニッケル、銅、銀、ステンレス鋼、水銀、タングステン、コバルトまたはダイヤモンドから製造したナノ粒子、銀メッキニッケルスクリーン印刷電極、金属酸化物、金属硫化物、ナノポーラス酸化チタン、酸化錫被覆ガラス、酸化セリウム粒子、硫化モリブデン、窒化硼素ナノチューブ、炭素で変性したエーロゲル、炭素で変性したゾルゲル、ルテニウム炭素エーロゲル、および炭素で変性したメソポーラスシリカ;燐、硼素、ガリウム、砒素、インジウムまたはアンチモンでドーピングすることができる珪素またはゲルマニウムから成る請求項1〜13のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項15】
電子導体が、炭素系物質から成る請求項13に記載のバイオ燃料電池。
【請求項16】
電子導体が、カーボン布、カーボン紙、カーボンスクリーン印刷電極、カーボンブラック、炭素粉末、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイヤモンド被覆導体、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、離層精製フレークグラファイト、高性能グラファイト、高規則熱分解性グラファイト、熱分解グラファイトまたは多結晶質グラファイトから成る請求項15に記載のバイオ燃料電池。
【請求項17】
酵素固定化物質が、NH4+より大きい疎水性陽イオンで変性されている請求項1〜16のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項18】
疎水性陽イオンが、アンモニウムに基づく陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン、アルキルトリメチルアンモニウム陽イオン、有機陽イオン、ホスホニウム陽イオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウム陽イオン、イミダゾリウム陽イオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリンに基づく金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+または[Fe(フェナントロリン)3]3+から成る請求項17に記載のバイオ燃料電池。
【請求項19】
疎水性陽イオンが、式1:
【化1】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外のものである]
で示される第四級アンモニウム陽イオンから成る請求項17に記載のバイオ燃料電池。
【請求項20】
R1、R2、R3およびR4が、独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが水素以外のものである請求項19に記載のバイオ燃料電池。
【請求項21】
R1、R2、R3およびR4が同一であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである請求項19に記載のバイオ燃料電池。
【請求項22】
R1、R2、R3およびR4がブチルである請求項19に記載のバイオ燃料電池。
【請求項23】
酵素がオキシドレダクターゼから成る請求項1〜22のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項24】
酵素がデヒドロゲナーゼから成る請求項1〜22のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項25】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼまたはピルビン酸デヒドロゲナーゼから成る請求項1〜22のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項26】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼから成る請求項25に記載のバイオ燃料電池。
【請求項27】
バイオアノードおよびカソードが、塩橋またはポリマー電解質膜によって分離されている請求項1〜26のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項28】
バイオアノードおよびカソードが、ポリマー電解質膜によって分離され、バイオアノード、ポリマー電解質膜およびカソードが、膜電極アセンブリに構成されている請求項27に記載のバイオ燃料電池。
【請求項29】
ポリマー電解質膜が、パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマーから成る請求項28に記載のバイオ燃料電池。
【請求項30】
燃料流体の溶液をさらに含んで成る請求項1〜29のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項31】
燃料流体が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−ホスフェート、ラクテート、ラクテート−6−ホスフェート、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、補酵素A、アセチルCo−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリル−アルコール、シンナミル−アルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2または水素から成る請求項30に記載のバイオ燃料電池。
【請求項32】
燃料流体が、メタノール、エタノールまたはプロパノールから成る請求項31に記載のバイオ燃料電池。
【請求項33】
燃料流体がエタノールから成る請求項32に記載のバイオ燃料電池。
【請求項34】
電子メディエータが溶解状態である請求項1〜33のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項35】
カソードがバイオカソードから成る請求項1〜34のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項36】
電子導体が、電子メディエータ用の電気触媒で処理された非圧縮グラファイトワームから成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項37】
電子メディエータ用の電気触媒がメチレングリーンから成る請求項36に記載のバイオ燃料電池。
【請求項38】
電子メディエータ用の電気触媒が、アジン、導電性ポリマーまたは電気活性ポリマーから成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項39】
電子メディエータ用の電気触媒が、メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントテルピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属リガンド、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオール、[Re(フェン−ジオン)(CO)3Cl]、[Re(フェン−ジオン)3](PF6)2、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ボリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b']ジチオフェン)、ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)またはポリ(ニュートラルレッド)から成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項40】
電子メディエータ用の電気触媒が、メチレングリーンから成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項41】
電子メディエータ用の電気触媒が、ポリ(メチレングリーン)から成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項42】
酵素固定化物質が、パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー、変性パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー、ポリスルホン、ミセルポリマー、ポリ(エチレンオキシド)に基づくブロックコポリマー、マイクロエマルジョンから生成されたポリマー、ミセル重合から生成されたポリマー、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレートおよびスチレンのコポリマー、セラミック、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、脂質、リン脂質、ドデシル硫酸ナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、(4−[(2−ヒドロキシル−1−ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸モノナトリウム塩)、リノール酸、リノレン酸、コロイド、リポソームまたはミセル網状構造物から成る請求項1〜8のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項43】
酵素固定化物質が、パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマーから成る請求項42に記載のバイオ燃料電池。
【請求項44】
酵素固定化物質が、変性パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマーから成る請求項42に記載のバイオ燃料電池。
【請求項45】
電子メディエータが、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)から成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項46】
電子メディエータが、ピロロキノリンキノン、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンまたはフェリシアン化カリウムから成る請求項5〜10のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項47】
電子導体が、ポリ(メチレングリーン)で処理された非圧縮グラファイトワームから成り、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーがテトラブチルアンモニウムイオンで変性され、酵素がアルコールデヒドロゲナーゼから成り、エタノールおよびNAD+を含有する溶液をさらに含んで成る請求項12に記載のバイオ燃料電池。
【請求項48】
請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池を使用して電気を発生させる方法であって、下記を含んで成る方法:
(a) バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元し;
(b) バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に、電子メディエータの酸化形態を還元し;
(c) 電気触媒を還元し;そして
(d) 電子導体において電気触媒を酸化する。
【請求項49】
請求項5〜10のいずれかに記載のバイオ燃料電池を使用して電気を発生させる方法であって、下記を含んで成る方法:
(a) バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元し;
(b) バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に、電子メディエータの酸化形態を還元し;
(c) 電子導体において電子メディエータを酸化する。
【請求項50】
燃料流体が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−ホスフェート、ラクテート、ラクテート−6−ホスフェート、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、補酵素A、アセチルCo−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリル−アルコール、シンナミル−アルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2または水素から成る請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
燃料流体がメタノール、エタノールまたはプロパノールから成る請求項48または49に記載の方法。
【請求項52】
燃料流体がエタノールから成る請求項50に記載の方法。
【請求項53】
電子メディエータ用の電気触媒が、アジン、導電性ポリマーまたは電気活性ポリマーから成る請求項48、50、51または52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
電子メディエータ用の電気触媒が、メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントテルピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属リガンド、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオール、[Re(フェン−ジオン)(CO)3Cl]、[Re(フェン−ジオン)3](PF6)2、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ボリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b']ジチオフェン)、ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)またはポリ(ニュートラルレッド)から成る請求項48、50、51または52のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
電子メディエータ用の電気触媒がメチレングリーンから成る請求項54に記載の方法。
【請求項56】
電子メディエータ用の電気触媒がポリ(メチレングリーン)から成る請求項54に記載の方法。
【請求項57】
電子メディエータが、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)から成る請求項48、50〜55または56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
電子メディエータがNAD+から成る請求項48、50〜55または56のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
電子導体がポリ(メチレングリーン)で処理された非圧縮グラファイトワームから成り、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーがテトラブチルアンモニウムイオンで変性され、酵素がアルコールデヒドロゲナーゼから成り、燃料流体がエタノールから成り、電子メディエータがNAD+から成る請求項48に記載の方法。
【請求項60】
電子メディエータが、ピロロキノリンキノン、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンまたはフェリシアン化カリウムから成る請求項49に記載の方法。
【請求項61】
電子メディエータがピロロキノリンキノン(PQQ)から成る請求項60に記載の方法。
【請求項62】
電子導体がカーボン布から成り、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーがテトラブチルアンモニウムイオンで変性され、酵素がアルコールデヒドロゲナーゼから成り、燃料流体がエタノールから成り、電子メディエータがPQQから成る請求項49に記載の方法。
【請求項63】
酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である非天然コロイド固定化物質に固定化された酵素。
【請求項64】
酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である非気泡性コロイド固定化物質に固定化された酵素。
【請求項65】
酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性であるミセルまたは逆ミセル固定化物質に固定化された酵素。
【請求項66】
酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーに固定化された酵素。
【請求項67】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼまたはピルビン酸デヒドロゲナーゼから成る請求項63〜66のいずれかに記載の固定化酵素。
【請求項68】
酵素が少なくとも約30、60、90、120、150、180、240、300または365日間にわたって活性である請求項63〜67のいずれかに記載の固定化酵素。
【請求項69】
固定化物質が、陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る請求項63〜65、67または68のいずれかに記載の固定化酵素。
【請求項70】
陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーが、NH4+より大きい疎水性陽イオンで変性されている請求項69に記載の固定化酵素。
【請求項71】
疎水性陽イオンが、アンモニウムに基づく陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン、アルキルトリメチルアンモニウム陽イオン、有機陽イオン、ホスホニウム陽イオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウム陽イオン、イミダゾリウム陽イオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲンおよびベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリンに基づく金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+または[Fe(フェナントロリン)3]3+から成る請求項70に記載の固定化酵素。
【請求項72】
疎水性陽イオンが、式1:
【化2】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外のものである]
で示される第四級アンモニウム陽イオンから成る請求項70に記載の固定化酵素。
【請求項73】
R1、R2、R3およびR4が、独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが水素以外のものである請求項72に記載の固定化酵素。
【請求項74】
R1、R2、R3およびR4が同じであり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである請求項72に記載の固定化酵素。
【請求項75】
R1、R2、R3およびR4がブチルである請求項72に記載の固定化酵素。
【請求項76】
酵素より小さい化合物が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−ホスフェート、ラクテート、ラクテート−6−ホスフェート、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、補酵素A、アセチルCo−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリル−アルコール、シンナミル−アルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2または水素から成る請求項63〜75のいずれかに記載の固定化酵素。
【請求項77】
バイオ燃料電池、バイオセンサー、バイオプロセッサー、バイオアッセイ、酵素センサー、バイオリアクター、酵素療法、イムノアッセイまたはバイオ模擬物質における、請求項63〜76のいずれかに記載の固定化酵素の使用。
【請求項78】
バイオアノードおよびカソードを含んで成る燃料電池であって、(a)バイオアノードが、レドックスポリマーフィルム、変性イオン交換ポリマー膜およびデヒドロゲナーゼから成り、(b)デヒドロゲナーゼが、変性イオン交換ポリマー膜のミセル区画に組み込まれている、燃料電池。
【請求項79】
変性イオン交換ポリマー膜が、塩抽出第四級アンモニウムで処理されたパーフッ素化イオン交換ポリマーである請求項78に記載の燃料電池。
【請求項80】
パーフッ素化イオン交換ポリマーが、NafionTMポリマーである請求項79に記載の燃料電池。
【請求項81】
第四級アンモニウムがテトラブチルアンモニウムブロミドである請求項80に記載の燃料電池。
【請求項82】
レドックスポリマーフィルムがポリメチレングリーンである請求項78に記載の燃料電池。
【請求項83】
デヒドロゲナーゼがアルコールデヒドロゲナーゼである請求項78に記載の燃料電池。
【請求項84】
アルデヒドデヒドロゲナーゼをさらに含んで成る請求項83に記載の燃料電池。
【請求項85】
カソードがバイオカソードであり、該バイオカソードが、第二レドックスポリマーフィルム、第二変性イオン交換ポリマー膜、およびO2−レダクターゼを含んで成る請求項78に記載の燃料電池。
【請求項86】
第二変性イオン交換ポリマー膜が、塩抽出第四級アンモニウムで処理したNafionTMポリマーであり、第二レドックスポリマーフィルムがポリ(N−ビニル−イミダゾール)であり、O2−レダクターゼがラッカーゼである請求項85に記載の燃料電池。
【請求項87】
バイオアノードおよびカソードを含んで成るバイオ燃料電池であって、(a)バイオアノードが、カーボン布、ポリメチレングリーンのレドックスポリマーフィルム、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマー、およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り、(b)アルコールデヒドロゲナーゼが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル区画に組み込まれ、そして(c)ポリメチレングリーンのレドックスポリマーフィルムが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーおよびカーボン布に並置されている、バイオ燃料電池。
【請求項88】
塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したNafionTMポリマーである請求項87に記載の燃料電池。
【請求項89】
アルデヒドデヒドロゲナーゼをさらに含んで成る請求項88に記載のバイオ燃料電池であって、アルデヒドデヒドロゲナーゼが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル区画に組み込まれている請求項88に記載のバイオ燃料電池。
【請求項90】
支持膜、レドックスポリマー、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーおよびデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードであって、(a)デヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーに組み込まれ、そして(b)レドックスポリマーが、支持膜および第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーに並置されている、バイオアノード。
【請求項91】
レドックスポリマーフィルムがポリメチレングリーンである請求項90に記載のバイオアノード。
【請求項92】
第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーが、第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーである請求項90の記載のバイオアノード。
【請求項93】
デヒドロゲナーゼが、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼおよび蟻酸デヒドロゲナーゼから成る群から選択される請求項90に記載のバイオアノード。
【請求項94】
デヒドロゲナーゼが、アルコールデヒドロゲナーゼである請求項90に記載のバイオアノード。
【請求項95】
アルデヒドデヒドロゲナーゼをさらに含んで成る請求項94に記載のバイオアノード。
【請求項96】
支持膜がカーボン布である請求項90に記載のバイオアノード。
【請求項97】
カーボン布支持膜、ポリメチレングリーンレドックスポリマー、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーおよびアルコールデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードであって、(a)デヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに組み込まれ、そして(b)レドックスポリマーが、カーボン布支持膜および第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに並置されている、バイオアノード。
【請求項98】
第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに組み込まれたアルデヒドデヒドロゲナーゼをさらに含んで成る請求項97に記載のバイオアノード。
【請求項99】
変性および1つまたはそれ以上の酵素を含んで成るパーフッ素化イオン交換ポリマーであって、酵素が変性パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセルに組み込まれているパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項100】
パーフッ素化イオン交換ポリマーがNafionTMポリマーである請求項99に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項101】
変性が、非変性パーフッ素化イオン交換ポリマーと比較して、ポリマーの陽子交換能力を減少させる請求項99に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項102】
酵素が、有機燃料の酸化および補助因子の還元を触媒するレドックス酵素である請求項99に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項103】
補助因子が、NAD+、NADP+およびFADから成る群から選択される請求項102に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項104】
補助因子がNAD+である請求項102に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項105】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼおよびピルビン酸デヒドロゲナーゼから成る群から選択される請求項102に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項106】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである請求項102に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項107】
アノードに組み込まれているレドックス酵素の存在下にアノードにおいて有機燃料を酸化し、カソードにおいて酸素を還元することを含んで成る電力発生方法であって、該方法において、(a)アノードが、イオン伝導性ポリマー、レドックスポリマー膜および支持膜を含んで成り、(a)レドックス酵素がイオン伝導性ポリマー内に固定化され、(b)アノードにおける酸化反応の間に補助因子が還元され、(c)レドックスポリマー膜が還元補助因子の酸化を触媒する、電気発生方法。
【請求項108】
レドックスポリマー膜がポリメチレングリーンから成る請求項107に記載の方法。
【請求項109】
イオン導電性ポリマーが、臭化第四級アンモニウムで処理されたNafionTMポリマーから成る請求項107に記載の方法。
【請求項110】
補助因子がNAD+であり、レドックス酵素がアルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである請求項107に記載の方法。
【請求項111】
有機燃料がアルコールである請求項107に記載の方法。
【請求項112】
アノードにおいてアルコールを酸化し、カソードにおいて酸素を還元することを含んで成る電力発生方法であって、該方法において、(a)アノードが、ポリメチレングリーンポリマー、臭化第四級アンモニウムで処理したNafionTMポリマー、炭素繊維支持幕およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り、(b)アルコールデヒドロゲナーゼが臭化第四級アンモニウムで処理したNafionTMポリマーのミセル区画内に固定化され、(c)アノードにおけるアルコールの酸化の間にNAD+がNADHに還元され、そして(d)ポリメチレングリーンポリマーにおいてNADHがNAD+に電気酸化される、電気発生方法。
【請求項1】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、:
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、
(c) 酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質、および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項2】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体透過性である酵素固定化物質、および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項3】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、
(c) ミセル構造または逆ミセル構造を有する酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質、および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項4】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素、
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、ミセル構造または逆ミセル構造を有し、燃料流体透過性である酵素固定化物質、および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項5】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) 酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質
含むバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項6】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる酵素、および
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、少なくとも1つの酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項7】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) ミセル構造または逆ミセル構造を有する酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項8】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、ミセル構造または逆ミセル構造を有し、燃料流体透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項9】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) 変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項10】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
燃料流体を酸化して電気を発生させるバイオアノードであって、
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができ、電子メディエータの還元形態が電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素、および
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、アルキルアンモニウム塩抽出パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成り、燃料流体透過性である酵素固定化物質
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項11】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、を含んで成るバイオ燃料電池
燃料流体;
電子メディエータ;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
を有するバイオアノード
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素;
(c) 変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る酵素固定化物質であって、燃料流体および電子メディエータ透過性である酵素固定化物質;および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒。
【請求項12】
電気発生用のバイオ燃料電池であって、
燃料流体;
電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成することができるカソード;並びに
(a) 電子導体、
(b) 電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、燃料流体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を生成することができる少なくとも1つの酵素;
(c) 電子メディエータを含んで成る酵素固定化物質であって、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成り、燃料流体透過性である酵素固定化物質;および
(d) 電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を生成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒
を有するバイオアノード
を含んで成るバイオ燃料電池。
【請求項13】
電子導体が、炭素系物質、金属導体、半導体、金属酸化物または変性導体から成る請求項1〜12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項14】
電子導体が、カーボン布、カーボン紙、カーボンスクリーン印刷電極、カーボン紙、カーボンブラック、炭素粉末、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイヤモンド被覆導体、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、離層精製フレークグラファイト、高性能グラファイト、炭素粉末、高規則熱分解性グラファイト、熱分解グラファイト、多結晶質グラファイト、金、白金、鉄、ニッケル、銅、銀、ステンレス鋼、水銀、タングステン、コバルトまたはダイヤモンドから製造したナノ粒子、銀メッキニッケルスクリーン印刷電極、金属酸化物、金属硫化物、ナノポーラス酸化チタン、酸化錫被覆ガラス、酸化セリウム粒子、硫化モリブデン、窒化硼素ナノチューブ、炭素で変性したエーロゲル、炭素で変性したゾルゲル、ルテニウム炭素エーロゲル、および炭素で変性したメソポーラスシリカ;燐、硼素、ガリウム、砒素、インジウムまたはアンチモンでドーピングすることができる珪素またはゲルマニウムから成る請求項1〜13のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項15】
電子導体が、炭素系物質から成る請求項13に記載のバイオ燃料電池。
【請求項16】
電子導体が、カーボン布、カーボン紙、カーボンスクリーン印刷電極、カーボンブラック、炭素粉末、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイヤモンド被覆導体、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、離層精製フレークグラファイト、高性能グラファイト、高規則熱分解性グラファイト、熱分解グラファイトまたは多結晶質グラファイトから成る請求項15に記載のバイオ燃料電池。
【請求項17】
酵素固定化物質が、NH4+より大きい疎水性陽イオンで変性されている請求項1〜16のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項18】
疎水性陽イオンが、アンモニウムに基づく陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン、アルキルトリメチルアンモニウム陽イオン、有機陽イオン、ホスホニウム陽イオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウム陽イオン、イミダゾリウム陽イオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリンに基づく金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+または[Fe(フェナントロリン)3]3+から成る請求項17に記載のバイオ燃料電池。
【請求項19】
疎水性陽イオンが、式1:
【化1】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外のものである]
で示される第四級アンモニウム陽イオンから成る請求項17に記載のバイオ燃料電池。
【請求項20】
R1、R2、R3およびR4が、独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが水素以外のものである請求項19に記載のバイオ燃料電池。
【請求項21】
R1、R2、R3およびR4が同一であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである請求項19に記載のバイオ燃料電池。
【請求項22】
R1、R2、R3およびR4がブチルである請求項19に記載のバイオ燃料電池。
【請求項23】
酵素がオキシドレダクターゼから成る請求項1〜22のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項24】
酵素がデヒドロゲナーゼから成る請求項1〜22のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項25】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼまたはピルビン酸デヒドロゲナーゼから成る請求項1〜22のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項26】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼから成る請求項25に記載のバイオ燃料電池。
【請求項27】
バイオアノードおよびカソードが、塩橋またはポリマー電解質膜によって分離されている請求項1〜26のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項28】
バイオアノードおよびカソードが、ポリマー電解質膜によって分離され、バイオアノード、ポリマー電解質膜およびカソードが、膜電極アセンブリに構成されている請求項27に記載のバイオ燃料電池。
【請求項29】
ポリマー電解質膜が、パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマーから成る請求項28に記載のバイオ燃料電池。
【請求項30】
燃料流体の溶液をさらに含んで成る請求項1〜29のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項31】
燃料流体が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−ホスフェート、ラクテート、ラクテート−6−ホスフェート、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、補酵素A、アセチルCo−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリル−アルコール、シンナミル−アルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2または水素から成る請求項30に記載のバイオ燃料電池。
【請求項32】
燃料流体が、メタノール、エタノールまたはプロパノールから成る請求項31に記載のバイオ燃料電池。
【請求項33】
燃料流体がエタノールから成る請求項32に記載のバイオ燃料電池。
【請求項34】
電子メディエータが溶解状態である請求項1〜33のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項35】
カソードがバイオカソードから成る請求項1〜34のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項36】
電子導体が、電子メディエータ用の電気触媒で処理された非圧縮グラファイトワームから成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項37】
電子メディエータ用の電気触媒がメチレングリーンから成る請求項36に記載のバイオ燃料電池。
【請求項38】
電子メディエータ用の電気触媒が、アジン、導電性ポリマーまたは電気活性ポリマーから成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項39】
電子メディエータ用の電気触媒が、メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントテルピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属リガンド、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオール、[Re(フェン−ジオン)(CO)3Cl]、[Re(フェン−ジオン)3](PF6)2、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ボリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b']ジチオフェン)、ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)またはポリ(ニュートラルレッド)から成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項40】
電子メディエータ用の電気触媒が、メチレングリーンから成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項41】
電子メディエータ用の電気触媒が、ポリ(メチレングリーン)から成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項42】
酵素固定化物質が、パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー、変性パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー、ポリスルホン、ミセルポリマー、ポリ(エチレンオキシド)に基づくブロックコポリマー、マイクロエマルジョンから生成されたポリマー、ミセル重合から生成されたポリマー、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレートおよびスチレンのコポリマー、セラミック、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、脂質、リン脂質、ドデシル硫酸ナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、(4−[(2−ヒドロキシル−1−ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸モノナトリウム塩)、リノール酸、リノレン酸、コロイド、リポソームまたはミセル網状構造物から成る請求項1〜8のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項43】
酵素固定化物質が、パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマーから成る請求項42に記載のバイオ燃料電池。
【請求項44】
酵素固定化物質が、変性パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマーから成る請求項42に記載のバイオ燃料電池。
【請求項45】
電子メディエータが、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)から成る請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項46】
電子メディエータが、ピロロキノリンキノン、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンまたはフェリシアン化カリウムから成る請求項5〜10のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
【請求項47】
電子導体が、ポリ(メチレングリーン)で処理された非圧縮グラファイトワームから成り、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーがテトラブチルアンモニウムイオンで変性され、酵素がアルコールデヒドロゲナーゼから成り、エタノールおよびNAD+を含有する溶液をさらに含んで成る請求項12に記載のバイオ燃料電池。
【請求項48】
請求項1〜4、11または12のいずれかに記載のバイオ燃料電池を使用して電気を発生させる方法であって、下記を含んで成る方法:
(a) バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元し;
(b) バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に、電子メディエータの酸化形態を還元し;
(c) 電気触媒を還元し;そして
(d) 電子導体において電気触媒を酸化する。
【請求項49】
請求項5〜10のいずれかに記載のバイオ燃料電池を使用して電気を発生させる方法であって、下記を含んで成る方法:
(a) バイオアノードにおいて燃料流体を酸化し、カソードにおいて酸化剤を還元し;
(b) バイオアノードにおける燃料流体の酸化の間に、電子メディエータの酸化形態を還元し;
(c) 電子導体において電子メディエータを酸化する。
【請求項50】
燃料流体が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−ホスフェート、ラクテート、ラクテート−6−ホスフェート、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、補酵素A、アセチルCo−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリル−アルコール、シンナミル−アルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2または水素から成る請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
燃料流体がメタノール、エタノールまたはプロパノールから成る請求項48または49に記載の方法。
【請求項52】
燃料流体がエタノールから成る請求項50に記載の方法。
【請求項53】
電子メディエータ用の電気触媒が、アジン、導電性ポリマーまたは電気活性ポリマーから成る請求項48、50、51または52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
電子メディエータ用の電気触媒が、メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントテルピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属リガンド、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオール、[Re(フェン−ジオン)(CO)3Cl]、[Re(フェン−ジオン)3](PF6)2、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ボリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b']ジチオフェン)、ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)またはポリ(ニュートラルレッド)から成る請求項48、50、51または52のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
電子メディエータ用の電気触媒がメチレングリーンから成る請求項54に記載の方法。
【請求項56】
電子メディエータ用の電気触媒がポリ(メチレングリーン)から成る請求項54に記載の方法。
【請求項57】
電子メディエータが、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)から成る請求項48、50〜55または56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
電子メディエータがNAD+から成る請求項48、50〜55または56のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
電子導体がポリ(メチレングリーン)で処理された非圧縮グラファイトワームから成り、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーがテトラブチルアンモニウムイオンで変性され、酵素がアルコールデヒドロゲナーゼから成り、燃料流体がエタノールから成り、電子メディエータがNAD+から成る請求項48に記載の方法。
【請求項60】
電子メディエータが、ピロロキノリンキノン、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンまたはフェリシアン化カリウムから成る請求項49に記載の方法。
【請求項61】
電子メディエータがピロロキノリンキノン(PQQ)から成る請求項60に記載の方法。
【請求項62】
電子導体がカーボン布から成り、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーがテトラブチルアンモニウムイオンで変性され、酵素がアルコールデヒドロゲナーゼから成り、燃料流体がエタノールから成り、電子メディエータがPQQから成る請求項49に記載の方法。
【請求項63】
酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である非天然コロイド固定化物質に固定化された酵素。
【請求項64】
酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である非気泡性コロイド固定化物質に固定化された酵素。
【請求項65】
酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性であるミセルまたは逆ミセル固定化物質に固定化された酵素。
【請求項66】
酵素を固定化し安定化することができ、酵素より小さい化合物透過性である陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーに固定化された酵素。
【請求項67】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼまたはピルビン酸デヒドロゲナーゼから成る請求項63〜66のいずれかに記載の固定化酵素。
【請求項68】
酵素が少なくとも約30、60、90、120、150、180、240、300または365日間にわたって活性である請求項63〜67のいずれかに記載の固定化酵素。
【請求項69】
固定化物質が、陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーから成る請求項63〜65、67または68のいずれかに記載の固定化酵素。
【請求項70】
陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーが、NH4+より大きい疎水性陽イオンで変性されている請求項69に記載の固定化酵素。
【請求項71】
疎水性陽イオンが、アンモニウムに基づく陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン、アルキルトリメチルアンモニウム陽イオン、有機陽イオン、ホスホニウム陽イオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウム陽イオン、イミダゾリウム陽イオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲンおよびベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリンに基づく金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+または[Fe(フェナントロリン)3]3+から成る請求項70に記載の固定化酵素。
【請求項72】
疎水性陽イオンが、式1:
【化2】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外のものである]
で示される第四級アンモニウム陽イオンから成る請求項70に記載の固定化酵素。
【請求項73】
R1、R2、R3およびR4が、独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが水素以外のものである請求項72に記載の固定化酵素。
【請求項74】
R1、R2、R3およびR4が同じであり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである請求項72に記載の固定化酵素。
【請求項75】
R1、R2、R3およびR4がブチルである請求項72に記載の固定化酵素。
【請求項76】
酵素より小さい化合物が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−ホスフェート、ラクテート、ラクテート−6−ホスフェート、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、補酵素A、アセチルCo−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリル−アルコール、シンナミル−アルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2または水素から成る請求項63〜75のいずれかに記載の固定化酵素。
【請求項77】
バイオ燃料電池、バイオセンサー、バイオプロセッサー、バイオアッセイ、酵素センサー、バイオリアクター、酵素療法、イムノアッセイまたはバイオ模擬物質における、請求項63〜76のいずれかに記載の固定化酵素の使用。
【請求項78】
バイオアノードおよびカソードを含んで成る燃料電池であって、(a)バイオアノードが、レドックスポリマーフィルム、変性イオン交換ポリマー膜およびデヒドロゲナーゼから成り、(b)デヒドロゲナーゼが、変性イオン交換ポリマー膜のミセル区画に組み込まれている、燃料電池。
【請求項79】
変性イオン交換ポリマー膜が、塩抽出第四級アンモニウムで処理されたパーフッ素化イオン交換ポリマーである請求項78に記載の燃料電池。
【請求項80】
パーフッ素化イオン交換ポリマーが、NafionTMポリマーである請求項79に記載の燃料電池。
【請求項81】
第四級アンモニウムがテトラブチルアンモニウムブロミドである請求項80に記載の燃料電池。
【請求項82】
レドックスポリマーフィルムがポリメチレングリーンである請求項78に記載の燃料電池。
【請求項83】
デヒドロゲナーゼがアルコールデヒドロゲナーゼである請求項78に記載の燃料電池。
【請求項84】
アルデヒドデヒドロゲナーゼをさらに含んで成る請求項83に記載の燃料電池。
【請求項85】
カソードがバイオカソードであり、該バイオカソードが、第二レドックスポリマーフィルム、第二変性イオン交換ポリマー膜、およびO2−レダクターゼを含んで成る請求項78に記載の燃料電池。
【請求項86】
第二変性イオン交換ポリマー膜が、塩抽出第四級アンモニウムで処理したNafionTMポリマーであり、第二レドックスポリマーフィルムがポリ(N−ビニル−イミダゾール)であり、O2−レダクターゼがラッカーゼである請求項85に記載の燃料電池。
【請求項87】
バイオアノードおよびカソードを含んで成るバイオ燃料電池であって、(a)バイオアノードが、カーボン布、ポリメチレングリーンのレドックスポリマーフィルム、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマー、およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り、(b)アルコールデヒドロゲナーゼが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル区画に組み込まれ、そして(c)ポリメチレングリーンのレドックスポリマーフィルムが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーおよびカーボン布に並置されている、バイオ燃料電池。
【請求項88】
塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したNafionTMポリマーである請求項87に記載の燃料電池。
【請求項89】
アルデヒドデヒドロゲナーゼをさらに含んで成る請求項88に記載のバイオ燃料電池であって、アルデヒドデヒドロゲナーゼが、塩抽出テトラブチルアンモニウムブロミドで処理したパーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル区画に組み込まれている請求項88に記載のバイオ燃料電池。
【請求項90】
支持膜、レドックスポリマー、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーおよびデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードであって、(a)デヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーに組み込まれ、そして(b)レドックスポリマーが、支持膜および第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーに並置されている、バイオアノード。
【請求項91】
レドックスポリマーフィルムがポリメチレングリーンである請求項90に記載のバイオアノード。
【請求項92】
第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーが、第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーである請求項90の記載のバイオアノード。
【請求項93】
デヒドロゲナーゼが、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼおよび蟻酸デヒドロゲナーゼから成る群から選択される請求項90に記載のバイオアノード。
【請求項94】
デヒドロゲナーゼが、アルコールデヒドロゲナーゼである請求項90に記載のバイオアノード。
【請求項95】
アルデヒドデヒドロゲナーゼをさらに含んで成る請求項94に記載のバイオアノード。
【請求項96】
支持膜がカーボン布である請求項90に記載のバイオアノード。
【請求項97】
カーボン布支持膜、ポリメチレングリーンレドックスポリマー、第四級アンモニウム塩変性パーフッ素化イオン交換ポリマーおよびアルコールデヒドロゲナーゼ含むバイオアノードであって、(a)デヒドロゲナーゼが、第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに組み込まれ、そして(b)レドックスポリマーが、カーボン布支持膜および第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに並置されている、バイオアノード。
【請求項98】
第四級アンモニウム塩変性NafionTMポリマーに組み込まれたアルデヒドデヒドロゲナーゼをさらに含んで成る請求項97に記載のバイオアノード。
【請求項99】
変性および1つまたはそれ以上の酵素を含んで成るパーフッ素化イオン交換ポリマーであって、酵素が変性パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセルに組み込まれているパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項100】
パーフッ素化イオン交換ポリマーがNafionTMポリマーである請求項99に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項101】
変性が、非変性パーフッ素化イオン交換ポリマーと比較して、ポリマーの陽子交換能力を減少させる請求項99に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項102】
酵素が、有機燃料の酸化および補助因子の還元を触媒するレドックス酵素である請求項99に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項103】
補助因子が、NAD+、NADP+およびFADから成る群から選択される請求項102に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項104】
補助因子がNAD+である請求項102に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項105】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、蟻酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼおよびピルビン酸デヒドロゲナーゼから成る群から選択される請求項102に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項106】
酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである請求項102に記載のパーフッ素化イオン交換ポリマー。
【請求項107】
アノードに組み込まれているレドックス酵素の存在下にアノードにおいて有機燃料を酸化し、カソードにおいて酸素を還元することを含んで成る電力発生方法であって、該方法において、(a)アノードが、イオン伝導性ポリマー、レドックスポリマー膜および支持膜を含んで成り、(a)レドックス酵素がイオン伝導性ポリマー内に固定化され、(b)アノードにおける酸化反応の間に補助因子が還元され、(c)レドックスポリマー膜が還元補助因子の酸化を触媒する、電気発生方法。
【請求項108】
レドックスポリマー膜がポリメチレングリーンから成る請求項107に記載の方法。
【請求項109】
イオン導電性ポリマーが、臭化第四級アンモニウムで処理されたNafionTMポリマーから成る請求項107に記載の方法。
【請求項110】
補助因子がNAD+であり、レドックス酵素がアルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである請求項107に記載の方法。
【請求項111】
有機燃料がアルコールである請求項107に記載の方法。
【請求項112】
アノードにおいてアルコールを酸化し、カソードにおいて酸素を還元することを含んで成る電力発生方法であって、該方法において、(a)アノードが、ポリメチレングリーンポリマー、臭化第四級アンモニウムで処理したNafionTMポリマー、炭素繊維支持幕およびアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成り、(b)アルコールデヒドロゲナーゼが臭化第四級アンモニウムで処理したNafionTMポリマーのミセル区画内に固定化され、(c)アノードにおけるアルコールの酸化の間にNAD+がNADHに還元され、そして(d)ポリメチレングリーンポリマーにおいてNADHがNAD+に電気酸化される、電気発生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−508519(P2006−508519A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570766(P2004−570766)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037336
【国際公開番号】WO2004/051774
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(399007729)セント・ルイス・ユニバーシティ (5)
【氏名又は名称原語表記】ST.LOUIS UNIVERSITY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037336
【国際公開番号】WO2004/051774
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(399007729)セント・ルイス・ユニバーシティ (5)
【氏名又は名称原語表記】ST.LOUIS UNIVERSITY
【Fターム(参考)】
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