説明

バイスタティックレーダ断面積の測定装置

【課題】光伝送路で生じる位相変動を補償して、バイスタティックレーダ断面積を高精度に測定することができるバイスタティックレーダ断面積の測定装置を提供する。
【解決手段】レーダ断面積測定部18は、信号発生器11で発生したマイクロ波信号が、光ファイバケーブル3を経由して送信側信号方向制御手段と受信側信号方向制御手段とを往復したときの位相の変化に基づいて、光ファイバケーブル3で生じる位相変動を位相変動量として算出する位相変動量算出手段6を含み、受信アンテナ21で受信されて光ファイバケーブル3を経由して入力されたマイクロ波信号の位相について、位相変動量による補償を行い、補償後の位相を用いて、目標物4のバイスタティックレーダ断面積を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バイスタティックレーダのレーダ断面積を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバイスタティックレーダ断面積の測定装置は、送信アンテナと、受信アンテナと、電磁波情報取得手段と、バイスタティックレーダ断面積測定手段とを備えている。電磁波情報取得手段は、送信アンテナに供給した高周波電流と受信アンテナで受信した高周波電流との測定結果から、目標物で反射されたマイクロ波信号の振幅および位相を取得する。また、バイスタティックレーダ断面積測定手段は、電磁波情報取得手段が取得したマイクロ波信号の振幅および位相に基づいて、目標物のバイスタティックレーダ断面積を測定している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、バイスタティックレーダ断面積とは、目標物に向けてある方向からマイクロ波信号を放射し、放射した方向とは異なる方向において目標物からの反射波を受信したときに、この反射波を面積に換算したものである。このとき、例えば目標物が大きくなるにつれて、送受信間の距離が長くなる。
したがって、送受信間の距離が非常に長くなる場合には、一般的に、測定環境の変動しやすい屋外でバイスタティックレーダ断面積を測定することになる。
【0004】
上記特許文献1に記載のバイスタティックレーダ断面積の測定装置において、例えば目標物が大きくなるにつれて、送信アンテナと受信アンテナとの間の距離が長くなった場合には、送信アンテナと受信アンテナとを接続するケーブルが長くなる。
このとき、通常のマイクロ波信号帯域で使用されるケーブルでは、伝送損失が大きく、所望の測定を行うことができないという問題点があった。
【0005】
そこで、この問題点を解決するために、送信アンテナと受信アンテナとを接続するケーブルの一部を、例えば光ファイバ等の光伝送路で置き換えることが考えられる。
ここで、測定系におけるケーブルの一部を光ファイバに置き換える発明としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0006】
従来の小型無線端末用のアンテナ測定における高精度測定法は、被測定アンテナを給電するためのケーブルが、測定結果に影響を与えないようにするために、測定系の一部を光ファイバに置き換えている(例えば、非特許文献1参照)
なお、バイスタティックレーダ断面積の測定においても、上記非特許文献1で示されたような光ファイバを適用した測定系は有効である。
【0007】
【特許文献1】特開2003−344531号公報
【非特許文献1】深沢、下村、大塚、「小型無線端末用のアンテナ測定における高精度測定法」、電子情報通信学会論文誌 B、2003年9月、Vol.J86−B、No.9、pp.1895−1905
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術には、次のような問題点があった。
測定系の一部を光ファイバ等の光伝送路に置き換えた場合であっても、バイスタティックレーダ断面積の測定が屋外で実施されるときや、送信アンテナと受信アンテナとの間の距離が長いときには、光伝送路で位相変動が生じる恐れがある。
そのため、測定系の一部を光伝送路に置き換えた場合であっても、バイスタティックレーダ断面積を高精度に測定することができないという問題点があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、光伝送路で生じる位相変動を補償して、バイスタティックレーダ断面積を高精度に測定することができるバイスタティックレーダ断面積の測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置は、マイクロ波信号を発生する信号発生器と、信号発生器で発生したマイクロ波信号を放射する送信アンテナと、送信アンテナから放射され、目標物で反射されたマイクロ波信号を受信する受信アンテナと、受信アンテナと受信側信号方向制御手段を介して接続された光伝送路と、光伝送路と送信側信号方向制御手段を介して接続されたレーダ断面積測定手段とを備え、受信側信号方向制御手段は、受信アンテナで受信されたマイクロ波信号を光信号に変換して光伝送路に出力するとともに、光伝送路から入力された光信号を折り返し再び光伝送路に出力し、送信側信号方向制御手段は、信号発生器で発生したマイクロ波信号を光信号に変換して光伝送路に出力するとともに、光伝送路から入力された光信号をマイクロ波信号に変換してレーダ断面積測定手段に出力し、レーダ断面積測定手段は、信号発生器で発生したマイクロ波信号が、光伝送路を経由して送信側信号方向制御手段と受信側信号方向制御手段とを往復したときの位相の変化に基づいて、光伝送路で生じる位相変動を位相変動量として算出する位相変動量算出手段を含み、受信アンテナで受信されて光伝送路を経由して入力されたマイクロ波信号の位相について、位相変動量による補償を行い、補償後の位相を用いて、目標物のバイスタティックレーダ断面積を測定するものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明のバイスタティックレーダ断面積の測定装置によれば、位相変動量算出手段は、信号発生器で発生したマイクロ波信号が、光伝送路を経由して送信側信号方向制御手段と受信側信号方向制御手段とを往復したときの位相の変化に基づいて、光伝送路で生じる位相変動を位相変動量として算出する。また、レーダ断面積測定手段は、受信アンテナで受信されて光伝送路を経由して入力されたマイクロ波信号の位相について、位相変動量による補償を行い、補償後の位相を用いて、目標物のバイスタティックレーダ断面積を測定する。
そのため、光伝送路で生じる位相変動を補償して、バイスタティックレーダ断面積を高精度に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置を示すブロック構成図である。
図1において、バイスタティックレーダ断面積の測定装置は、送信機1と、受信機2と、光ファイバケーブル3(光伝送路)と、目標物4と、回転台制御装置5とを備えている。
【0014】
送信機1は、信号発生器11と、送信アンテナ12と、方向性結合器13と、第2レーザダイオード(LD)14と、第1フォトダイオード(PD)15と、送信側分波器16と、受信部17と、レーダ断面積測定部18(レーダ断面積測定手段)とを含んでいる。
ここで、方向性結合器13、第2レーザダイオード14、第1フォトダイオード15および送信側分波器16により、送信側信号方向制御手段が構成されている。
【0015】
また、受信機2は、受信アンテナ21と、低雑音増幅器22と、第1レーザダイオード23と、第2フォトダイオード24と、受信側分波器25と、切り替えスイッチ26とを含んでいる。
ここで、第1レーザダイオード23、第2フォトダイオード24、受信側分波器25および切り替えスイッチ26により、受信側信号方向制御手段が構成されている。
また、目標物4は、回転台(図示せず)上に設置されている。回転台は、回転台制御装置5によって、任意の角度に回転される。
【0016】
まず始めに、送信機1側の機能について説明する。
信号発生器11は、発振器等で構成されており、あらかじめ定められた所定の振幅および位相を有するマイクロ波信号を発生する。
送信アンテナ12は、信号発生器11で発生したマイクロ波信号を、目標物4に向けて放射する。
【0017】
方向性結合器13は、信号発生器11で発生したマイクロ波信号の一部を参照信号として分岐する。
第2レーザダイオード14は、方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号を、波長λ2の光波(第2波長の光信号)に変換する。
第1フォトダイオード15は、光ファイバケーブル3を伝送されて送信機1に入力された波長λ1の光波(第1波長の光信号)を、マイクロ波信号に変換する。
【0018】
送信側分波器16は、第2レーザダイオード14からの波長λ2の光波を光ファイバケーブル3に出力するとともに、光ファイバケーブル3からの波長λ1の光波を第1フォトダイオード15に出力する。
受信部17は、第1フォトダイオード15からのマイクロ波信号を受信し、マイクロ波信号の振幅および位相をレーダ断面積測定部18に出力する。
【0019】
レーダ断面積測定部18は、位相変動量算出手段6を含んでいる。
位相変動量算出手段6は、方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号が、光ファイバケーブル3を経由して送信機1と受信機2とを往復したときの位相の変化に基づいて、光ファイバケーブル3で生じる位相変動を位相変動量として算出する。
【0020】
また、レーダ断面積測定部18は、受信アンテナ21で受信され、光ファイバケーブル3を伝送されて送信機1に入力されたマイクロ波信号の位相について位相変動量による補償を行い、補償後の位相とこのマイクロ波信号の振幅とに基づいて、目標物4のバイスタティックレーダ断面積を測定する。
なお、バイスタティックレーダ断面積の測定方法は、例えば上記特許文献1に記載された方法と同様の方法とする。
【0021】
続いて、受信機2側の機能について説明する。
受信アンテナ21は、目標物4で反射されたマイクロ波信号を受信する。
低雑音増幅器22は、受信アンテナ21で受信されたマイクロ波信号を増幅して出力する。
【0022】
第1レーザダイオード23は、低雑音増幅器22で増幅されたマイクロ波信号、および第2フォトダイオード24からのマイクロ波信号を、波長λ1の光波に変換する。
第2フォトダイオード24は、光ファイバケーブル3を伝送されて受信機2に入力された波長λ2の光波を、マイクロ波信号に変換する。
【0023】
受信側分波器25は、第1レーザダイオード23からの波長λ1の光波を光ファイバケーブル3に出力するとともに、光ファイバケーブル3からの波長λ2の光波を第2フォトダイオード24に出力する。
【0024】
切り替えスイッチ26は、第1レーザダイオード23と低雑音増幅器22および第2フォトダイオード24との接点を切り替える。なお、切り替えスイッチ26の切り替え処理は、図示しないスイッチ制御手段によって実行される。
【0025】
具体的には、まず、目標物4がある角度に設定されると、回転台制御装置5が位相変動量算出手段6に対して目標物4の角度設定の完了を通知する。続いて、位相変動量算出手段6は、スイッチ制御手段に対して、切り替えスイッチ26の切り替え指令を出力し、スイッチ制御手段は、切り替えスイッチ26を端子aに切り替える。
次に、送信アンテナ12からマイクロ波信号を放射し、マイクロ波信号が受信アンテナ21および光ファイバケーブル3を経由してレーダ断面積測定部18に入力されると、位相変動量算出手段6は、スイッチ制御手段に対して、切り替えスイッチ26の切り替え指令を出力し、スイッチ制御手段は、切り替えスイッチ26を端子bに切り替える。
続いて、方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号が、光ファイバケーブル3を経由して送信機1と受信機2とを往復し、レーダ断面積測定部18に入力されると、位相変動量算出手段6は、回転台制御装置5に対して、目標物4の角度設定指令を出力する。
なお、切り替えスイッチ26の切り換えは、角度の設定毎に行われてもよいし、測定開始時に1度だけ行われてもよい。
【0026】
以下、上記構成のバイスタティックレーダ断面積の測定装置の動作について説明する。
まず、信号発生器11で発生したマイクロ波信号は、送信アンテナ12から目標物4に向けて放射され、目標物4で反射されて受信アンテナ21に受信される。
受信アンテナ21で受信されたマイクロ波信号は、低雑音増幅器22によって増幅され、端子aに切り替えられた切り替えスイッチ26を通って、第1レーザダイオード23により、波長λ1の光波に変換される。
【0027】
第1レーザダイオード23で変換された波長λ1の光波は、受信側分波器25を経由して光ファイバケーブル3を伝送され、送信側分波器16を経由して第1フォトダイオード15に入力される。
第1フォトダイオード15に入力された波長λ1の光波は、マイクロ波信号に変化され、受信部17に入力される。
このとき、受信部17によって、マイクロ波信号の振幅Amおよび位相Pmが抽出され、レーダ断面積測定部18に出力される。また、このとき、スイッチ制御手段により、切り替えスイッチ26が端子bに切り替えられる。
【0028】
続いて、方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号は、第2レーザダイオード14により、波長λ2の光波に変換される。
第2レーザダイオード14で変換された波長λ2の光波は、送信側分波器16を経由して光ファイバケーブル3を伝送され、受信側分波器25を経由して第2フォトダイオード24に入力される。
【0029】
第2フォトダイオード24に入力された波長λ2の光波は、マイクロ波信号に変換され、端子bに切り替えられた切り替えスイッチ26を通って、第1レーザダイオード23により、波長λ1の光波に変換される。
第1レーザダイオード23で変換された波長λ1の光波は、受信側分波器25を経由して光ファイバケーブル3を伝送され、送信側分波器16を経由して第1フォトダイオード15に入力される。
【0030】
第1フォトダイオード15に入力された波長λ1の光波は、マイクロ波信号に変化され、受信部17に入力される。
このとき、受信部17によって、マイクロ波信号の振幅Atおよび位相Ptが抽出され、レーダ断面積測定部18に出力される。また、このとき、スイッチ制御手段により、切り替えスイッチ26が端子aに切り替えられる。
【0031】
次に、レーダ断面積測定部18により、光ファイバケーブル3における位相変動量Poが算出される。
ここで、信号発生器11で発生したマイクロ波信号の振幅をPaとすると、方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号の位相Ptは、光ファイバケーブル3を2回伝送されることから、次式(1)のように表される。なお、式(1)において、Pt’は、光ファイバケーブル3における位相変動量Po以外の位相変動量を示している。
【0032】
Pt=Pa+2×Po+Pt’ ・・・(1)
【0033】
式(1)において、光ファイバケーブル3以外の位相変動量Pt’が十分に小さいとすると、光ファイバケーブル3における位相変動量Poは、次式(2)のように表される。
【0034】
Po≒(Pt−Pa)/2 ・・・(2)
【0035】
また、レーダ断面積測定部18により、目標物4のバイスタティックレーダ断面積が測定される。
このとき、レーダ断面積測定部18は、受信アンテナ21で受信されて送信機1に入力されたマイクロ波信号の位相Pmから、光ファイバケーブル3における位相変動量Poを減算した補正後位相Pdに基づいて、バイスタティックレーダ断面積を測定する。
補正後位相Pdは、次式(3)のように表される。
【0036】
Pd=Pm−Po=Pm−(Pt−Pa)/2 ・・・(3)
【0037】
この発明の実施の形態1に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置によれば、レーダ断面積測定部18は、光ファイバケーブル3における位相変動量Poを算出する。また、レーダ断面積測定部18は、受信アンテナ21で受信されて送信機1に入力されたマイクロ波信号の位相Pmから、光ファイバケーブル3における位相変動量Poを減算して補正後位相Pdを算出し、補正後位相Pdに基づいてバイスタティックレーダ断面積を測定する。
そのため、光ファイバケーブル3における位相変動量Poの影響を補償して、バイスタティックレーダ断面積を高精度に測定することができる。
【0038】
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置を示すブロック構成図である。
図2において、送信機1Aは、図1に示した送信側分波器16および受信部17に代えて、送信側分波器16A、受信部17Aおよび第3フォトダイオード19を含んでいる。
ここで、方向性結合器13、第2レーザダイオード14、第1フォトダイオード15、第3フォトダイオード19および送信側分波器16Aにより、送信側信号方向制御手段が構成されている。
【0039】
また、受信機2Aは、図1に示した受信側分波器25および切り替えスイッチ26に代えて、受信側分波器25Aおよび第3レーザダイオード27を含んでいる。
ここで、第1レーザダイオード23、第2フォトダイオード24、第3レーザダイオード27および受信側分波器25Aにより、受信側信号方向制御手段が構成されている。
その他の構成については、前述の実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0040】
まず始めに、送信機1A側の機能について説明する。なお、前述の実施の形態1と同様の機能については、説明を省略する。
第3フォトダイオード19は、光ファイバケーブル3を伝送されて送信機1Aに入力された波長λ3の光波(第3波長の光信号)を、マイクロ波信号に変換する。
【0041】
送信側分波器16Aは、第2レーザダイオード14からの波長λ2の光波を光ファイバケーブル3に出力する。また、送信側分波器16Aは、光ファイバケーブル3からの波長λ1の光波を第1フォトダイオード15に出力する。また、送信側分波器16Aは、光ファイバケーブル3からの波長λ3の光波を第3フォトダイオード19に出力する。
【0042】
受信部17Aは、第1フォトダイオード15および第3フォトダイオード19からのマイクロ波信号を受信し、マイクロ波信号の振幅および位相をレーダ断面積測定部18に出力する。
【0043】
続いて、受信機2A側の機能について説明する。なお、前述の実施の形態1と同様の機能については、説明を省略する。
第3レーザダイオード27は、第2フォトダイオード24からのマイクロ波信号を、波長λ3の光波に変換する。
【0044】
受信側分波器25Aは、第1レーザダイオード23からの波長λ1の光波を光ファイバケーブル3に出力する。また、受信側分波器25Aは、第3レーザダイオード27からの波長λ3の光波を光ファイバケーブル3に出力する。また、受信側分波器25Aは、光ファイバケーブル3からの波長λ2の光波を第2フォトダイオード24に出力する。
【0045】
以下、上記構成のバイスタティックレーダ断面積の測定装置の動作について説明する。なお、受信アンテナ21で受信されるマイクロ波信号が受信部17Aに入力される動作と、レーダ断面積測定部18の動作とは、前述の実施の形態1と同様なので、説明を省略する。ここでは、方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号が受信部17Aに入力される動作について説明する。
【0046】
方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号は、第2レーザダイオード14により、波長λ2の光波に変換される。
第2レーザダイオード14で変換された波長λ2の光波は、送信側分波器16Aを経由して光ファイバケーブル3を伝送され、受信側分波器25Aを経由して第2フォトダイオード24に入力される。
【0047】
第2フォトダイオード24に入力された波長λ2の光波は、マイクロ波信号に変換され、第3レーザダイオード27により、波長λ3の光波に変換される。
第3レーザダイオード27で変換された波長λ3の光波は、受信側分波器25Aを経由して光ファイバケーブル3を伝送され、送信側分波器16Aを経由して第3フォトダイオード19に入力される。
【0048】
第3フォトダイオード19に入力された波長λ3の光波は、マイクロ波信号に変化され、受信部17Aに入力される。
このとき、受信部17Aによって、マイクロ波信号の振幅Atおよび位相Ptが抽出され、レーダ断面積測定部18に出力される。
【0049】
この発明の実施の形態2に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置によれば、前述した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0050】
実施の形態3.
図3は、この発明の実施の形態3に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置を示すブロック構成図である。
図3において、送信機1Bは、図1に示した送信側分波器16および受信部17に代えて、送信側分波器16B、受信部17B、サーキュレータ20および第2フォトダイオード24を含んでいる。
ここで、方向性結合器13、第2レーザダイオード14、第1フォトダイオード15、第2フォトダイオード24、サーキュレータ20および送信側分波器16Bにより、送信側信号方向制御手段が構成されている。
【0051】
また、受信機2Bは、図1に示した受信側分波器25および切り替えスイッチ26に代えて、反射手段28を含んでいる。
ここで、第1レーザダイオード23、反射手段28および受信側分波器25Bにより、受信側信号方向制御手段が構成されている。
その他の構成については、前述の実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0052】
まず始めに、送信機1B側の機能について説明する。なお、前述の実施の形態1と同様の機能については、説明を省略する。
第2フォトダイオード24は、光ファイバケーブル3を伝送されて送信機1Bに入力された波長λ2の光波を、マイクロ波信号に変換する。
サーキュレータ20は、第2レーザダイオード14から入力された波長λ2の光波を送信側分波器16Bに出力する。また、サーキュレータ20は、送信側分波器16Bから入力された波長λ2の光波を第2フォトダイオード24に出力する。
【0053】
送信側分波器16Bは、第2レーザダイオード14からサーキュレータ20を介して入力された波長λ2の光波を光ファイバケーブル3に出力する。また、送信側分波器16Bは、光ファイバケーブル3からの波長λ1の光波を第1フォトダイオード15に出力する。また、送信側分波器16Bは、光ファイバケーブル3からの波長λ2の光波をサーキュレータ20に出力する。
【0054】
受信部17Bは、第1フォトダイオード15および第2フォトダイオード24からのマイクロ波信号を受信し、マイクロ波信号の振幅および位相をレーダ断面積測定部18に出力する。
【0055】
続いて、受信機2B側の機能について説明する。なお、前述の実施の形態1と同様の機能については、説明を省略する。
反射手段28は、光ファイバケーブル3を伝送されて受信機2Bに入力された波長λ2の光波を全反射する。
【0056】
受信側分波器25Bは、第1レーザダイオード23からの波長λ1の光波を光ファイバケーブル3に出力するとともに、光ファイバケーブル3からの波長λ2の光波を反射手段28に出力する。
【0057】
以下、上記構成のバイスタティックレーダ断面積の測定装置の動作について説明する。なお、受信アンテナ21で受信されるマイクロ波信号が受信部17Bに入力される動作と、レーダ断面積測定部18の動作とは、前述の実施の形態1と同様なので、説明を省略する。ここでは、方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号が受信部17Bに入力される動作について説明する。
【0058】
方向性結合器13で参照信号として分岐されたマイクロ波信号は、第2レーザダイオード14により、波長λ2の光波に変換される。
第2レーザダイオード14で変換された波長λ2の光波は、サーキュレータ20および送信側分波器16Bを経由して光ファイバケーブル3を伝送され、受信側分波器25Bを経由して反射手段28に入力される。
【0059】
反射手段28に入力された波長λ2の光波は、全反射され、受信側分波器25Bを経由して光ファイバケーブル3を伝送され、送信側分波器16Bおよびサーキュレータ20を経由して第2フォトダイオード24に入力される。
【0060】
第2フォトダイオード24に入力された波長λ2の光波は、マイクロ波信号に変化され、受信部17Bに入力される。
このとき、受信部17Bによって、マイクロ波信号の振幅Atおよび位相Ptが抽出され、レーダ断面積測定部18に出力される。
【0061】
この発明の実施の形態3に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置によれば、前述した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の実施の形態1に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置を示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置を示すブロック構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係るバイスタティックレーダ断面積の測定装置を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
【0063】
1、1A、1B 送信機、2、2A、2B 受信機、3 光ファイバケーブル(光伝送路)、4 目標物、11 信号発生器、12 送信アンテナ、13 方向性結合器、14 第2レーザダイオード、15 第1フォトダイオード、16、16A、16B 送信側分波器、18 レーダ断面積測定部(レーダ断面積測定手段)、19 第3フォトダイオード、20 サーキュレータ、21 受信アンテナ、23 第1レーザダイオード、24 第2フォトダイオード、25、25A、25B 受信側分波器、26 切り替えスイッチ、27 第3レーザダイオード、28 反射手段、6 位相変動量算出手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波信号を発生する信号発生器と、
前記信号発生器で発生したマイクロ波信号を放射する送信アンテナと、
前記送信アンテナから放射され、目標物で反射されたマイクロ波信号を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナと受信側信号方向制御手段を介して接続された光伝送路と、
前記光伝送路と送信側信号方向制御手段を介して接続されたレーダ断面積測定手段と、を備え、
前記受信側信号方向制御手段は、前記受信アンテナで受信されたマイクロ波信号を光信号に変換して前記光伝送路に出力するとともに、前記光伝送路から入力された光信号を折り返し再び前記光伝送路に出力し、
前記送信側信号方向制御手段は、前記信号発生器で発生したマイクロ波信号を光信号に変換して前記光伝送路に出力するとともに、前記光伝送路から入力された光信号をマイクロ波信号に変換して前記レーダ断面積測定手段に出力し、
前記レーダ断面積測定手段は、
前記信号発生器で発生したマイクロ波信号が、前記光伝送路を経由して前記送信側信号方向制御手段と前記受信側信号方向制御手段とを往復したときの位相の変化に基づいて、前記光伝送路で生じる位相変動を位相変動量として算出する位相変動量算出手段を含み、
前記受信アンテナで受信されて前記光伝送路を経由して入力されたマイクロ波信号の位相について、前記位相変動量による補償を行い、補償後の位相を用いて、前記目標物のバイスタティックレーダ断面積を測定することを特徴とするバイスタティックレーダ断面積の測定装置。
【請求項2】
前記受信側信号方向制御手段は、
前記受信アンテナで受信したマイクロ波信号を、第1波長の光信号に変換する第1レーザダイオードと、
前記光伝送路から入力された第2波長の光信号をマイクロ波信号に変換する第2フォトダイオードと、
前記第1レーザダイオードからの前記第1波長の光信号を前記光伝送路に出力するとともに、前記光伝送路からの前記第2波長の光信号を前記第2フォトダイオードに出力する受信側分波器と、
前記第1レーザダイオードと前記受信アンテナおよび前記第2フォトダイオードとの間の接点を切り替える切り替えスイッチと、を含み、
前記送信側信号方向制御手段は、
前記信号発生器で発生したマイクロ波信号の一部を分岐する方向性結合器と、
前記方向性結合器で分岐されたマイクロ波信号を前記第2波長の光信号に変換する第2レーザダイオードと、
前記光伝送路から入力された前記第1波長の光信号をマイクロ波信号に変換する第1フォトダイオードと、
前記第2レーザダイオードからの前記第2波長の光信号を前記光伝送路に出力するとともに、前記光伝送路からの前記第1波長の光信号を前記第1フォトダイオードに出力する送信側分波器と、を含むこと
を特徴とする請求項1に記載のバイスタティックレーダ断面積の測定装置。
【請求項3】
前記受信側信号方向制御手段は、
前記受信アンテナで受信したマイクロ波信号を、第1波長の光信号に変換する第1レーザダイオードと、
前記光伝送路から入力された第2波長の光信号をマイクロ波信号に変換する第2フォトダイオードと、
前記第2フォトダイオードで変換されたマイクロ波信号を第3波長の光信号に変換する第3レーザダイオードと、
前記第1レーザダイオードからの前記第1波長の光信号および前記第3レーザダイオードからの前記第3波長の光信号を前記光伝送路に出力するとともに、前記光伝送路からの前記第2波長の光信号を前記第2フォトダイオードに出力する受信側分波器と、を含み、
前記送信側信号方向制御手段は、
前記信号発生器で発生したマイクロ波信号の一部を分岐する方向性結合器と、
前記方向性結合器で分岐されたマイクロ波信号を前記第2波長の光信号に変換する第2レーザダイオードと、
前記光伝送路から入力された前記第1波長の光信号をマイクロ波信号に変換する第1フォトダイオードと、
前記光伝送路から入力された前記第3波長の光信号をマイクロ波信号に変換する第3フォトダイオードと、
前記第2レーザダイオードからの前記第2波長の光信号を前記光伝送路に出力するとともに、前記光伝送路からの前記第1波長の光信号および前記光伝送路からの前記第3波長の光信号を前記第1フォトダイオードおよび前記第3フォトダイオードにそれぞれ出力する送信側分波器と、を含むこと
を特徴とする請求項1に記載のバイスタティックレーダ断面積の測定装置。
【請求項4】
前記受信側信号方向制御手段は、
前記受信アンテナで受信したマイクロ波信号を、第1波長の光信号に変換する第1レーザダイオードと、
前記光伝送路から入力された第2波長の光信号を全反射させる反射手段と、
前記第1レーザダイオードからの前記第1波長の光信号を前記光伝送路に出力するとともに、前記光伝送路からの前記第2波長の光信号を前記反射手段に出力する受信側分波器と、を含み、
前記送信側信号方向制御手段は、
前記信号発生器で発生したマイクロ波信号の一部を分岐する方向性結合器と、
前記方向性結合器で分岐されたマイクロ波信号を前記第2波長の光信号に変換する第2レーザダイオードと、
前記光伝送路から入力された前記第1波長の光信号をマイクロ波信号に変換する第1フォトダイオードと、
前記光伝送路から入力された前記第2波長の光信号をマイクロ波信号に変換する第2フォトダイオードと、
前記第2レーザダイオードからサーキュレータを介して入力された前記第2波長の光信号を前記光伝送路に出力し、前記光伝送路からの前記第1波長の光信号を前記第1フォトダイオードに出力するとともに、前記光伝送路からの前記第2波長の光信号を前記サーキュレータに出力する送信側分波器と、を含み、
前記サーキュレータは、前記第2レーザダイオードからの前記第2波長の光信号を前記送信側分波器に出力するとともに、前記送信側分波器からの前記第2波長の光信号を前記第2フォトダイオードに出力することを特徴とする請求項1に記載のバイスタティックレーダ断面積の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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