説明

バイパスを備えていないデュアルチャンバ型容器

本発明は、2種類の別々の成分を収容して組み合わせるツインチャンバ型容器に関し、成分のうちの少なくとも一方は、液体である。ツインチャンバ型容器は、円筒形部材(15)を有し、円筒形部材(15)の2つの端部(5,70)の各々のところにクロージャ(20,60)がそれぞれ設けられ、即ち、液体成分側に上側クロージャ(60)が設けられ、固体成分側に下側クロージャ(20)が設けられ、ツインチャンバ型容器は、2つのチャンバ(30,50)相互間のシールとして円筒形部材内に設けられた分離プラグ(40)を更に有し、分離プラグは、高さHを有する。上側クロージャ(60)は、圧力の印加によって液体成分側に変位可能であり、上側クロージャ(60)は、その下面にカニューレ(45)を有する。カニューレは、或る特定の長さLを有し、カニューレは、その先端部とは反対側の端部に設けられた少なくとも1つの穴(42)を有する。Hは、Lよりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形本体内にバイパスが設けられていないダブルチャンバ型容器、その充填方法、及び、その用途に関する。
【背景技術】
【0002】
いつでも使用できる形態では、効能を非常に迅速に失う医薬配合物が存在する。これら医薬配合物をこれらの短い貯蔵寿命にもかかわらず使用することができるようにするために、これら配合物を使用直前に混合するための2コンパートメント方式が開発された。
かくして、長期間にわたって溶液の状態では利用できない医薬製剤を、例えば、凍結乾燥によって長持ちするよう製造可能であり、場合によっては、光が当たらないよう貯蔵されるのが良い。乾燥物質は、使用直前に、再び溶かすだけであり、即ち、再構成される。
【0003】
公知のように、凍結乾燥物は、2チャンバ方式を備えた準備済み注射器にも使用でき、凍結乾燥物と溶剤は、別々に貯蔵され、使用直前にのみ組み合わされる。この種の2チャンバ準備注射器は、ハー・ベッテル(H.Vetter)著,「ディー・リオフィリジエルウンク・フォン・アルツナイミッテルン・イン・フェルテックスプライツェン(Die Lyophilisierung von Arzneimitteln in Fertigspritzen )」,ディー・ファーマツオイティシェ・インダストリー(Die Pharmazeutische Industrie),第46年度版,1984年,ナンバー10,第1045〜1049頁に既に記載されている。これらの準備済み注射器は、2つの滅菌密閉容器及び注射器を取り扱う通常の多大な労力を無しで済まし、例えばラベルの付いていない使い捨て注射器との混同の恐れを無くすために開発された。
【0004】
準備済み注射器は、通常クリーニングされ、シリコーン処理され、そして、カニューレのための保護材が付けられる。主要な包装手段を被覆するシリコーン処理は、ゴムストッパをガラス注射筒体内に容易に押し込むことができるよう実施される。ゴムストッパとガラス注射筒体の内部の両方は、シリコーン油で覆われる。次に、準備済み注射器をバッチ方式であらかじめ滅菌し、滅菌条件下で充填するのが良い。次に、これら注射器に注射筒体ストッパを装着して完成状態にし、その時点でプランジャロッドを取り付ける。次に、注射器をラベル表示して包装する。充填及び密封は、カニューレ側端部のところの開口部が小さすぎるので、注射器の後側端部から実施される。
【0005】
特に、この種の準備済み注射器は、成分の各々がそれ自体のチャンバ内に収容されるように構成され、チャンバは、軸方向に互いに前後に配置され、使用直前にのみ互いに接触状態に置かれ、その結果、一方のチャンバ内の液体成分が他方のチャンバ内の乾燥成分に流れ至ることができるようになっている。これにより、所望の混合物が得られる。この目的のため、例えば、注射器内のガラス注射筒体の内径が拡径した部分の形態のバイパスを提供することが知られており、液体成分は、2つのチャンバを分離しているストッパをバイパス中に押し込むと、このバイパスを通って流れてストッパの周りに流れることができるようになっている。
【0006】
先行技術では、2種類の成分の滅菌性を維持した状態で2成分系を混合することができる改良策を見出す試みがなされた。このような方針に沿って数多くの提案がなされ、他方、この場合、上述したようにバイパスを備えていないシステムだけが、興味の対象になっている。
【0007】
例えば、独国特許第3,213,072号明細書は、粉末状薬剤及びその溶剤を収容する2つのコンパートメントに細分された注射器を記載しており、混合は、注射器のプランジャロッドを引っ込めて溶剤がプランジャの周りに流れることができるようにすることにより行われる。
【0008】
独国特許第1,809,892号明細書には、2チャンバ型注射器が記載されており、この注射器の充填は、液体がプランジャロッドに設けられた充填チャネルを通って追加されるので容易に行える。
【0009】
米国特許第5,785,683号明細書、及び、米国特許第6,602,223号明細書では、注射器内で2種類の成分を混合する方法は、プランジャを動かすことにより制御できる特別に設計された弁を用いて達成される。
【0010】
さらに、欧州特許第1,038,543号明細書は、医療目的のツインチャンバ型注射器を開示しており、このツインチャンバ型注射器は、突出ラッチ止め要素を備えたプランジャロッドを有し、これら突出ラッチ止め要素は、制御された混合プロセスを保証し、その次の混合物の投与を保証するよう直径方向に1対ずつ、且つ(或いは)、90°の回転角度をなして配置されている。
【0011】
また、独国特許第2,546,495号明細書から、注射器を専用ストッパを介して容器に連結することが知られており、この容器は、第2のストッパにより封止され、混合プロセスの前に放出される。
【0012】
上述したシステムは全て、専用設計の弁、及び、プランジャロッドに起因して構造が非常に複雑であるという欠点を有している。独国特許第2,546,495号明細書のシステムは、特に、注射器と容器を連結部材により互いに連結する複雑な構造に加えて、2つの容器を互いに接合しなければならないということであり、実際の弱点は、連結部材であり、この連結部材は、長期間にわたる貯蔵中に滑り落ち、又は、落下する場合がある。したがって、外部からの汚染の危険性がある。さらに、この設計は、非常に嵩張っており、したがって、貯蔵したり取り扱ったりするのが極めて容易であるというわけではない。
【0013】
加うるに、米国特許第3,810,469号明細書は、針を有するマルチチャンバ型アンプルを記載しており、このアンプルでは、チャンバが2つのメンブレンによって互いに分離されている。かかるアンプルを用いて、この中に入れられている流体を凍結乾燥させ、液体及び固体物質を混ぜ合わせ、次に、混合物を皮下注射することができる。したがって、非常に複雑な構造が存在することになっており、かかる構造では、メンブレンのうちの一方を針で部分的に穿孔するのでチャンバは封止されており、針は、この構造内に固定されるのが良い。固体物質と液体物質を混ぜ合わせると、第2のメンブレンを針で穿通し、液体を下側のチャンバから上側のチャンバ内に押し上げる。この場合の特定の欠点は、チャンバを封止する針は、非常に正確に調節されて固定されなければならないということにあり、もしそうでなければ、針がメンブレンを損傷させ、時期尚早な混合が生じる場合があるからである。これにより、取扱いが特に困難になる。かかる複雑なアンプルを製造する費用が高くつくことは、かかるアンプルを工業規模で全く使用できないということ意味している。
【0014】
【特許文献1】独国特許第3,213,072号明細書
【特許文献2】独国特許第1,809,892号明細書
【特許文献3】米国特許第5,785,683号明細書
【特許文献4】米国特許第6,602,223号明細書
【特許文献5】欧州特許第1,038,543号明細書
【特許文献6】独国特許第2,546,495号明細書
【特許文献7】米国特許第3,810,469号明細書
【非特許文献1】ハー・ベッテル(H.Vetter)著,「ディー・リオフィリジエルウンク・フォン・アルツナイミッテルン・イン・フェルテックスプライツェン(Die Lyophilisierung von Arzneimitteln in Fertigspritzen )」,ディー・ファーマツオイティシェ・インダストリー(Die Pharmazeutische Industrie),第46年度版,1984年,ナンバー10,p.1045−1049
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、2成分系の信頼性のある貯蔵及び混合を行うための取扱いが容易な装置が依然として要望されており、これら2成分系のうちの少なくとも一方は、液体の形態である。同時に、外部からの汚染ができるだけ防止されるべきであり、即ち、混合は、装置の滅菌状態の内部からコンポーネントを取り外すことなく且つ滅菌性を損なうことなく行われるべきである。この装置は又、貯蔵が容易であるべきである。加うるに、かかる装置を充填する容易な方法が提供されるべきである。かかる装置及び方法は又、工業規模による具体化に適したものであることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した目的は、請求項1に記載された特徴によって達成される。
【0017】
本発明によれば、2種類の別々の成分を収容して組み合わせるダブルチャンバ型容器であって、成分のうちの少なくとも一方は、液体であり、ダブルチャンバ型容器は、円筒形本体を有し、円筒形本体の2つの端部の各々のところにクロージャが設けられ、即ち、液体成分側に上側クロージャが設けられ、固体成分側に下側クロージャが設けられ、ダブルチャンバ型容器は、2つのチャンバ相互間のシールとして円筒形本体内に設けられた分離ストッパを更に有し、分離ストッパは、高さHを有し、上側クロージャは、圧力の印加によって液体成分側で動くことができ、上側クロージャは、その下面に長さLの中空針を有し、中空針は、その先端部とは反対側の端部に設けられた少なくとも1つの開口部を有し、Hは、Lよりも小さいことを特徴とするダブルチャンバ型容器が提供される。
【0018】
したがって、本発明は、バイパスを備えていないダブルチャンバ型システムが組み込まれたシングルチャンバ型容器に関する。液体成分は、分離ストッパを穿通する内蔵型中空針に設けられている開口部を通ってチャンバを移り変わる。したがって、2つのチャンバ相互間の分離ストッパに組み込まれている2種類の成分を混合する内部「バイパス」は、混合の直前にしか形成されない。その結果、従来の出来合いのダブルチャンバ型注射器、又は、カープル(carpule)に従来形成されているバイパスは、事実上一体的に設けられる。
【0019】
本発明に従って設計された中空針付きのクロージャを用いる場合、クロージャを外力、特に手で及ぼされるべき力の印加により分離ストッパに向かって押し、それと同時に圧力を液体側端部に及ぼし、それにより中空針を分離ストッパ内、又は、これを通って押し、ついには、液体成分が固体成分を収容しているチャンバに接近できるようにする。かくして、ダブルチャンバ型容器の滅菌状態を損なわないで2種類の成分を混ぜ合わすことができる。
【0020】
かくして、本発明によれば、一方のチャンバは、液体を収容するのが良く、他方のチャンバは、固体を収容するのが良い。本発明は、少なくとも1種類の成分が液体であることを条件として、2種類の成分の性状に関して制約されない。例えば、固体、例えば固体粉末状医薬配合物、好ましくは凍結乾燥物、即ちフリーズドライ薬剤の使用が可能である。凍結乾燥、又は、フリーズドライ法では、液体製品を凍結し、次に凍結状態の製品を昇華により乾燥させる。好ましくは、液体成分は、例えば、固体のための溶解、又は、分散媒質であるのが良く、この液体成分は、例えば、凍結乾燥物のための再構成媒質であるのが良い。固体が医薬配合物である場合、注入可能な溶液を溶解形態か分散形態かのいずれかで調製するのが良い。溶剤は、好ましくは、水であるが、他の何らかの溶剤であっても良いし、又は、溶剤の混合物であっても良い。
【0021】
本発明の円筒形本体は、2つの開口端部を備えた本質的に細長い中空本体であり、この中空本体は、好ましくは一体形成され、即ち、一体品の状態に作られ、そして、分離ストッパにより、2つのチャンバに細分される。「円筒形」本体は、必ずしも形状が円筒形である必要はない。ただし、これが、最も一般的な形状である。細長い中空本体に関して任意他の幾何学的形状、例えば、山形、又は、楕円形が可能であり、この場合、クロージャ及び分離ストッパ等を選択した形状に合わせることが必要である。円筒形本体の構成材料、又は、円筒形本体が収容する材料は、本発明によれば特に制限されることはない。容器は、プラスチック、又は、ガラスから選択されるのが良い。ガラスは、これが透明であり、しかも多くの医薬調合物と適合性があるので好ましい。したがって、円筒形本体は、好ましくは、ガラスから成り、又は、ガラスを含む。というのは、このようにすると、円筒形本体内に入っている成分に対して生じさせる影響が最も少ないからであり、本体は好ましくは透明である。しかしながら、特定の要件がある場合、他の材料、例えば専用プラスチック等が適している場合がある。医学的安全性が特に重要である。というのは、円筒形本体内に入っている媒質との相互作用ができるだけ少ないようにすることが望ましいからである。
【0022】
好ましくは、円筒形本体は、その全長にわたり同一の直径を有する。
【0023】
ダブルチャンバ型容器は、2つのクロージャを更に有し、これらクロージャのうち一方は、固体側端部(下端部)のところに設けられ、他方のクロージャは、液体側端部(上端部)のところに設けられる。クロージャ手段は、液体側端部のところのクロージャ器具が可動であることを条件として、それ以上制限されることはない。
【0024】
クロージャは、ストッパ、メンブレン、密封ディスクの中から選択されるのが良く、オプションとして、被覆キャップ、又は、フランジ付きキャップ等を備える。
【0025】
好ましくは、中空針を備えたストッパが、上側クロージャとして用いられる。しかしながら、当該技術分野において知られている任意他のクロージャを用いることができる。ただし、かかるクロージャを圧力の印加により動かすことができ、又、このクロージャが、中空針を備えていることを条件とする。容器の液体側端部のところの上側クロージャが、プラスチック、又は、これに類似した材料で作られるのが良いストッパであれば、特に有利である。材料の例としては、ゴム、又は、ゴム状弾性材料、例えばエラストマー、熱可塑性樹脂及びエラストマー熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0026】
固体側端部のところの下側クロージャは、好ましくは、外側キャップ、又は、これを密封するディスクを備えた穿通可能なメンブレンであるのが良く、このメンブレンは、例えば可撓性であり、例えばフランジ付きキャップを有するのが良い。取り外し可能なカバーも又、設けられるのが良い。容器がカープル、又は、アンプルである場合、ゴムクロージャを一方の端部、又は、両方の端部のところに設けるのが良く、かかるゴムクロージャは、注射針で穿通可能である。しかしながら、当業者に公知の任意他のクロージャも又使用可能である。クロージャも又取り外し可能に固定できることは言うまでもない。いずれの場合においても、クロージャが無菌状態であるように気を付ける必要がある。
【0027】
中空針は、本発明の範囲内において特に制限されることはない。この中空針は、医療分野において用いられている従来型中空針、又は、カニューレであって良い。中空針は、一端に先端を有するのが良く、オプションとして角度をなして研削されており、オプションとして、中空針が良好に穿通できるようにする、尖った先端部を有する。
【0028】
中空針は、好ましくは、上側クロージャ、又は、ストッパのベースの中心に配置される。しかしながら、これは必須の要件ではない。中空針は、事実上ベースのどこにでも配置できるが、中心位置が、好ましい。例えば軟質弾性材料で作られたストッパが設けられる場合、中空針は、そのベースに所望の箇所で一体化されるのが良い。力伝達領域は、端ストッパの穿通を阻止するためにできるだけ広いことが必要である。
【0029】
中空針の材料は、通常、金属、又は、プラスチックである。中空針の内径は、液体成分に従って適当に選択されるのが良く、このようにすると、流入速度を制御することができる。好ましくは、中空針は、約0.2mm(29G)〜約1.6mm(14G)の内径を有するが、これよりも小さい、又は、大きい直径も又、可能である。
【0030】
中空針の開口部は、先端部と反対側の端部に設けられ、即ち、かなり上方に且つ場合によっては最も外側の上端部のところ、又は、他の或る適当な場所で中空針に設けられ、この開口部は、特定の形状、又は、寸法に制限されることはない。たとえば、丸形、楕円形、三角形、又は、矩形の開口部を使用することができる。これは、使用意図に従って選択されるのが良い。好ましくは、開口部は、約0.2mm〜約1.4mmの直径を有するが、これよりも小さい直径も可能であるし、又は、これよりも大きい直径も可能である。
【0031】
開口部のサイズ、及び、中空針の内径を調節して液体成分の所望のオーバーフローが容易であって、且つ、所望の速度で起こるようにすることが特に好ましい。
【0032】
中空針は、1つだけでなく2つ、3つ、又は、4つ以上の開口部を有するのが良い。
【0033】
本発明によれば、混合プロセスのための中空針を分離ストッパ内へ遠くまで押し込んで開口部が液体成分を収容しているチャンバ内に依然として少なくとも部分的に配置されるようにすることが特に好ましい。これは、液体成分を流通しやすくする。
【0034】
中空針は、好ましくは、上側クロージャ、又は、ストッパの中心に設けられる。しかしながら、これは全ての場合において必ずしも必要であるというわけではない。本発明によれば、1本の中空針だけでなく、複数本の中空針を用いることが可能である。
【0035】
円筒形本体内に配置された分離ストッパは、2つのチャンバのサイズ・容積・寸法を定め、液体成分のための液体バリヤ装置として機能し、液体成分は、他方のチャンバ内に流入するのが阻止される。分離ストッパの形状は、特に制限されることはない。分離ストッパは、適当な3次元形状を有し、2つのチャンバが互いに封止されるようにする。一般に認められるように、分離ストッパは、主として、円筒形本体内に静止状態で配置され、したがって、力を液体成分の入っているチャンバに加えても、移動できないが、分離ストッパを圧力の適当な印加により固体成分まで下方に押し下げることは可能である。
【0036】
分離ストッパは、好ましくは、弾性且つ軟質の材料、例えばゴム、カウチューク、天然ゴム、合成ゴム、プラスチック、例えばエラストマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等で作られる。分離ストッパの材料は、2つのチャンバ相互間の確実なシールを提供すべきであるが、それと同時に、中空針の穿通が容易であることが必要である。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、分離ストッパは、一方において、分離ストッパが円筒形本体内のその固定されると共に規定された位置から押されて離されるのを阻止するが、他方において、中空針を穿通させることができるほど軟質且つ柔軟性があるような形状、寸法、及び/(又は)、材料のものである。好都合には、分離ストッパのシフト、又は、変位は、所望ならば、これに対応して適当な形状の(粘着性、又は、付着性)隆起部、リップ、ビード、又は、ウェブを設けることによって且つ(或いは)適当な直径を選択することによって達成できる。
【0038】
本発明では、「形態(フォーム)」という用語は、外形、又は、幾何学的形状を意味する。「サイズ」という用語は、寸法、即ち、大きさの比を意味するようになっている。
【0039】
分離ストッパは、任意適当な形状のものであって良く、好ましい形状は、丸形、楕円形、円筒形、丸形側部を備えた円筒形、ダンベル形、直方体形、円錐形、切頭体形、又は、切頭円錐形である。
【0040】
分離ストッパは、好ましくは、円筒形本体の内径よりも大きな外形を有し、したがって、内壁と異形部材との間にこのインターフェイスを閉鎖するのに十分な圧力が生じるが、異形部材は、特定の用途に応じて、力の作用を受けて容器内で動くことができるようになっている。
【0041】
液体が圧力下に置かれた場合、分離ストッパは、摩擦力により円筒形本体の内壁に引き続きくっつく。円筒形本体の壁に対する分離ストッパの摩擦によるくっつきが特定の用途にとって十分ではない場合、偶発的な運動を阻止するため、分離ストッパは、円筒形本体の内壁にくっつく突出部、例えば小さな(密封)ビード、リップ、隆起部、又は、表面を更に備えるのが良い。したがって、圧力は、他方のチャンバ内では増大しない。その結果、2つのチャンバ相互間に差圧が生じ、その結果、アクセスチャネルがいったん形成されると、液体成分は、開口部を通って一方のチャンバから他方のチャンバ内に流れることができ、2種類の成分が混合されるようになる。
【0042】
混合は、例えば、凍結乾燥物の再構成であるのが良い。この段階の実施の間、液体、又は、固体成分に接触する容器の他の部分は、存在しない。
【0043】
分離ストッパの高さは、中空針Lの長さよりも小さいように選択され、したがって、中空針が分離ストッパを容易に通過することができるようになっている。中空針の開口部は、完全な穿通後、これが依然として分離ストッパの上方に、即ち、液体成分を収容しているチャンバ内に位置するようにすることが有利な場合がある。したがって、開口部は、好ましくは、長さLが分離ストッパの高さHよりも大きな部分に設けられ、この場合、L>Hである。
【0044】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、スペーサ、及び/(又は)、ストップが、中空針に、上側クロージャのところ、及び/(又は)、分離ストッパのところで設けられ、それにより、中空針の開口部が分離ストッパ内に完全に侵入するのを困難にし、又は、不可能にしている。これらは、例えば小さな隆起部から成るのが良い。
【0045】
好ましくは、ダブルチャンバ型容器は、注射器ではなく、2種類の物質を別々に貯蔵する容器、例えば、1回使用、又は、多数回使用向きのアンプル(ampoule )、又は、カープル(carpule)である。
【0046】
ダブルチャンバ型容器の測定値は、作られるべき溶液の容積で決まり、人間医学においては、10ml(ミリリットル)の量を超えることは滅多になく、このことは、最高約20ml(ミリリットル)の量で十分であることを意味している。しかしながら、例外的な場合や獣医学的用途に関しては、これら量を大幅に超えることが可能である。
【0047】
本発明は又、本発明のダブルチャンバ型容器を充填する方法であって、
(1)円筒形本体(15)を下端部(5)のところで密封する段階と、
(2)円筒形本体(15)に凍結乾燥溶液を充填する段階と、
(3)円筒形本体を凍結乾燥器内で凍結乾燥させて凍結乾燥物ケーク(30)を得る段階と、
(4)高さHの分離ストッパ(40)を凍結乾燥物ケーク(30)上に配置する段階と、
(5)円筒形本体(15)に分離ストッパの上方に再構成媒質(50)を充填する段階と、
(6)円筒形本体(15)を中空針(45)を有するクロージャで密封する段階とを有し、クロージャ(60)は、圧力の印加によって液体成分側端部で動くことができ、クロージャ(60)は、その下面に長さLの中空針(45)を有し、中空針は、その先端部とは反対側の端部に設けられた少なくとも1つの開口部(42)を有し、Hは、Lよりも小さく、中空針(45)は、分離ストッパ(40)の方へ差し向けられることを特徴とする方法に関する。
【0048】
以下において、この方法を詳細に説明するが、この方法に関連して説明する個々の特徴は、ダブルチャンバ型容器にもそのまま当てはまり、又、この逆の関係が成り立つ。
【0049】
本発明の充填方法の第1の段階では、円筒形本体の下端部、又は、口を密封する。下端部は、例えば、テーパを有していても良い。クロージャは、例えば、ストッパ、メンブレン、ディスク、特に密封ディスクであるのが良く、オプションとして、カバー、例えば被覆キャップ、又は、フランジ付きキャップ等を備える。クロージャは、これが適当なシールを提供し、加えられるべき媒質に対して不活性であり、しかも滅菌条件を満たす限り、特に制限されることはない。下側シールは、最も好ましくは、穿通可能なメンブレン、ゴムストッパ、又は、弾性ディスクであり、オプションとして、フランジ付きキャップを備える。また、取り外し可能なクロージャを設けることが可能である。容器が、カープル、又は、アンプルである場合、注射針で穿通可能なゴムクロージャを設けるのが良い。しかしながら、当該技術分野において知られている任意他のシールも使用できる。
【0050】
次に、固体成分か固体成分を含んだ液体かのいずれかを追加する。後者の場合、次に、円筒形本体に円筒形本体の開口した下端部を介して凍結乾燥溶液を充填する(段階(2))。これは、凍結乾燥されるべき任意所望の溶液であって良い。これは、例えば、凍結乾燥法により持ちが良いように作られるべき薬剤であるのが良い。
【0051】
凍結乾燥は、当該技術分野において知られているやり方で段階(3)で実施され、溶剤は、円筒形本体の開口した下端部から逃げ出る。凍結乾燥機は、標準型の市販形式のものであり、このプロセスパラメータは、例えば自動的に調節される。
【0052】
凍結乾燥後、円筒形本体を段階(4)において凍結乾燥物ケーク上の分離ストッパを円筒形本体内に押し込むことにより密封され、この段階は、凍結乾燥器内でも実施できる。この分離ストッパは、好ましくは、円筒形本体内の中央に配置されるのが良いが、特定の用途及び2つのチャンバの所望のサイズに応じてどこか他の場所に位置決めすることもできる。円筒形本体の閉鎖は、最も好ましくは、真空下で行われ、したがって、分離ストッパを所望の場所に容易に位置決めすることができるようになっている。このように、分離ストッパを既に密封されているチャンバ内に過剰の圧力を生じさせないで、円筒形本体内に十分深く押し込むことができる。
【0053】
次に、密閉容器を、例えば、充填ステーションまで運び、この充填ステーションで段階(5)においてこの容器に、いまや再び開口している円筒形本体の頂端部を通って再構成媒質を充填し、即ち、溶剤、又は、分散媒質を上側チャンバ内に注ぎ込む。容器を凍結乾燥物のための再構成媒質、即ち溶解、又は、分散媒質で満たした後、分離ストッパの方へ差し向けられた中空針を有するクロージャを容器に取り付ける(段階(6))。例えば、ストッパを上側クロージャとして用いるのが良い。ストッパの材料の例は、ゴム、又は、ゴム状材料、例えばエラストマー、熱可塑性樹脂、エラストマー熱可塑性樹脂等である。
【0054】
ストッパ、及び/(又は)、クロージャメンブレンを洗浄及び滅菌装置、又は、オートクレーブによって供給して、滅菌コリドールに沿って供給して挿入すれば、特に都合が良い。容器を密閉した後、エアロックを通って容器を滅菌領域から取り出し、最後にこれをラベル表示して包装する。理解されるように、このプロセスでは、表面及び機器の全ては、滅菌作業用に設計されている。
【0055】
ダブルチャンバ型容器に関する上述の詳細な説明は、この容器を充填する方法にも同様に当てはまる。
【0056】
本発明は又、ダブルチャンバ型容器内で少なくとも一方が液体である2種類の別々の成分を混合する方法であって、ダブルチャンバ型容器は、
【0057】
円筒形本体を有し、円筒形本体の2つの端部の各々のところにクロージャが設けられ、即ち、液体成分側に上側クロージャが設けられ、固体成分側に下側クロージャが設けられ、
【0058】
2つのチャンバ相互間のシールとして円筒形本体内に設けられた分離ストッパを有し、
【0059】
分離ストッパは、高さHを有し、上側クロージャは、圧力の印加によって液体成分側で動くことができ、上側クロージャは、その下面に長さLの中空針を有し、中空針は、その先端部とは反対側の端部に設けられた少なくとも1つの開口部を有し、Hは、Lよりも小さく、
この方法は、
−圧力を変位可能な上側クロージャに加えて、ついには中空針が分離ストッパを完全に穿通するようにする段階と、
−液体成分が開口部及び中空針からオーバーフローして固体成分に至り、それにより混合物を生じさせる段階とを有することを特徴とする方法を提供する。
【0060】
好ましくは、上側クロージャは、中空針を有するストッパ、特にゴム製のストッパである。2種類の成分は、好ましくは、円筒形本体を垂直に、即ち、下側クロージャ、即ち固体側端部を底に位置した状態で保持することにより互いに混ぜ合わされる。好ましくは、固体側端部のところのクロージャは、オプションとしてカバー、例えばフランジ付きキャップを有する密封ディスク、又は、ストッパから成るが、任意他の適当なクロージャを用いることも可能である。
【0061】
指、又は、適当なパンチを用いて圧力を上側クロージャ、又は、ストッパに及ぼすことができる。圧力は、上側クロージャが分離ストッパに当接するまで加えられる。2つのストッパ相互間に残っている隙間は、液体成分が開口部まで流れ、ついには、液体が全て溢れ出るようにすることができるのに十分であることが判明した。
【0062】
分離ストッパを圧力の印加中及び中空針による穿通中、固体成分上に押し下げるのが良いが、これは、常に必要であるというわけではない。分離ストッパは、例えば、材料の選択、中空針の直径、円筒形本体内における分離ストッパの配置場所で決まる。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、中空針は、混合プロセスを実施するために、開口部が液体成分を収容しているチャンバ内に依然として少なくとも部分的に位置する箇所まで分離ストッパ中に押し込まれる。しかしながら、これは、必ずしも必要不可欠であるというわけではない。というのは、上述したように、可動上側クロージャと分離ストッパは、液体の流入を完全に阻止しないでも互いに直接的に接触できるからである。これは又、圧力が上側クロージャの変位により増大すると、液体成分は、圧力差が絶えず増大する結果として、隣接のチャンバ内にますます迅速に流れ、上側クロージャと分離ストッパが互いに接触したとき、依然として存在する液体が下方に押し下げられるようになっていることと関連している。
【0064】
好ましくは、このオーバーフローは、更に、開口部の形状、及び/(又は)、中空針のサイズ及び内径の選択によっても影響を受けて選択される場合があり、したがって、他方のチャンバ内への液体成分の流入速度を制御することができるようになっている。
【0065】
別の実施形態によれば、スペーサが、中空針を備えた上側クロージャ、及び/(又は)、分離ストッパに設けられるのが良く且つ(或いは)分離ストッパ内への開口部の完全な侵入を阻止し、又は、少なくとも妨げるためのストップが開口部の上方で中空針に設けられるのが良い。
【0066】
本発明は、更に、人間医学における本発明の容器の使用(用途)に関連するものであり、又は、本発明は、獣医学における本発明の容器の使用(用途)に関する。
【0067】
本発明は、以下のように多くの利点を有する。
【0068】
本発明により、液体成分が内部中空針によって2つのチャンバ相互間で移送されることが達成される。これにより、シングルチャンバ型容器内にダブルチャンバ型システムが作られる。かくして、この内部「バイパス」により、2種類の成分系を問題なく、即ち、これら成分の時期尚早な混合及びそれ故の効能の減少を生じさせないで貯蔵することができる。本発明に従って提供される2成分系をその滅菌され、予備充填されたいつでも使用できる状態で貯蔵することができる。2種類の成分を貯蔵後、使用直前に混ぜ合わす。ダブルチャンバ型容器を使用後に破棄することができる。
【0069】
かくして、所望の溶液を使用直前に作る手段としての装置が提供され、その結果、迅速且つ確実なシステムが得られるだけでなく、製造及び充填が容易になる。これは、「オールインワン(all-in-one)」の解決策である。換言すると、容器は、ストッパにより互いに分離された2つのチャンバを有する。
【0070】
本発明のダブルチャンバ型容器を用いることにより、容器それ自体に追加の外部、又は、内部バイパスを設ける必要がなく且つ(或いは)混合を実施するためにシステムのシールを破り、それによりシステムを望ましくない外部微生物による影響、化学的影響、又は、物理的影響にさらす必要なく、簡単な手段で密閉2チャンバ型システム内で混合、例えば凍結乾燥物の再構成を行うことが可能である。
【0071】
したがって、外部から侵入する恐れのある異物、例えば、バクテリア、汚れの粒子、破片等による汚染の恐れがない。容器を一次包装材として使用でき、又、その明確にラベル表示された形態で貯蔵できる。かくして、2成分系、特に、凍結乾燥製剤の使用を簡単にすることができる。
【0072】
また、分離ストッパの開口部及び中空針の内径の寸法決めにより、単位時間当たりに流通する液体の流れ速度、又は、量をそれに応じて調節することができる。このように、一方のチャンバから他方のチャンバ内への対応したゆっくりとした流入、又は、迅速なオーバーフローをチャネルサイズ、及び/(又は)、開口部のサイズによって制御できる。かなり費用の高くつく追加の機器を用いて液体成分のオーバーフロー速度を制限する必要はない。それにより、高すぎるほどの圧力がストッパに加えられた場合、液体成分が前方に波打って早すぎる状態でバイパスを越えて乾燥物質を収容したチャンバに至り、その結果、既に溶解している物質が注射器のカニューレから出るという注射器に関する問題は、本発明によれば全く生じない。かくして、これと関連したユーザの望ましくない汚染並びに溶解物質の損失及びそれ故にもはや正確に制御することができない服用が阻止される。
【0073】
本発明のもう1つの利点は、このシステムに必要なダブルチャンバ型容器が、1つ、又は、2つ以上の突起を備えたバイパスの形態をした外部の凹凸部を備えておらず、したがって、通常の加工機器で容易且つ確実に機械加工できるということにある。これは、例えば、充填、凍結乾燥、クロージャの取り付け、ラベル表示(ラベル貼付け)のような処理及びバイパスが容器の脆弱である可能性のある箇所となり、本発明では必要のない専用技術を必要とする取扱いにおいて利点を有する。
【0074】
上記説明は、多くの変形例に関し、当業者にはすぐに明らかになる想到可能な改造例の範囲を示唆している。
【0075】
添付の図面は、本発明の装置及び本発明をこの装置に限定しないで本発明に従って実施されるべき手順上の教示を記載している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0076】
図1は、凍結乾燥を実施する直前の本発明の容器10の略図である。円筒形本体15が、図示されており、この円筒形本体は、例えばガラスで作られるのが良い。円筒形本体は、一端部5のところにクロージャ20を備えている。これは、例えば、フランジ付きカバーを備えた密封ディスクストッパであるのが良い。円筒形本体15を凍結乾燥溶液33で満たし、次に、通常のやり方で凍結乾燥器内で凍結乾燥させる。次に、得られた凍結乾燥物ケーク30上に分離ストッパ40を侵入し、再構成媒質50を追加する。次に、円筒形本体15を円筒形本体15の上端部70のところに中空針を備えた改造型クロージャ、例えば端ストッパ60によって閉鎖し、中空針45は、分離ストッパの方へ差し向けられる。中空針は、好ましくは、端ストッパ60のベースの中心に設けられ、この中空針は、その上端部のところに、又は、更に中心(図示せず)に、液体が中空針内に流れることができるようにする1つ、又は、2つ以上の開口部42を有する。
【0077】
図2及び図3は、本発明のダブルチャンバ型容器10の機能を始動位置(図2)及び混合位置(図3)で概略的に示している。具体的に言えば、本発明のダブルチャンバ型容器10は、例えばガラスで作られた円筒形本体15と、円筒形本体15の開口端部5のところに設けられた固体側端クロージャ20と、円筒形本体15の開口端部70のところに設けられた液体側端クロージャ60とで構成された状態で示されている。クロージャ20は、この場合、ゴムクロージャで構成されており、このゴムクロージャは、外側キャップを備えた穿通可能なメンブレンであるのが良く、この外側キャップは、例えば排出端部のところの外縁部上にフランジで取り付けられる。外側カバーに連結された取り外し可能なディスクをこの上に設けるのが良い。明らかなこととして、当業者に知られている任意他のクロージャ、特に取り外し可能なクロージャを設けることも可能である。
【0078】
上側クロージャ60は、例えばストッパであるのが良く、このストッパは、適当な材料、例えばゴム、プラスチック等で作られるのが良い。このクロージャの性状は、これが圧力をチャンバ50内の液体成分に加えることができ、また中空針を有していて分離ストッパ40を穿通できるようになっていることを条件として、それ以上制限されることはない。
【0079】
分離ストッパ40は、容器10を2つのチャンバ30,50に細分しており、チャンバ30は、固体成分、例えば凍結乾燥物(lyophilisate)を収容し、他方のチャンバ50は、液体成分、例えば固体成分のための再構成媒質を収容している。クロージャ、又は、端ストッパ60は、開口部42を備えた中空針45を有し、分離ストッパの高さHは、中空針の長さLよりも小さい。中空針45は、例えば、斜切されると共に(或いは)尖らせた先端部を備えたカニューレであるのが良い。
【0080】
圧力をクロージャ、又は、端ストッパ60に加えた場合、クロージャ、又は、端ストッパは、分離ストッパ40の方向に動く。他方、中空針45は、分離ストッパ40に接触し、この分離ストッパは、円筒形本体15の壁との摩擦力の結果として、当初これが位置しているところに留まる。
【0081】
チャンバ50を2チャンバ型システムの液体成分の入ったチャンバ50(端部A)を固体成分の入ったチャンバ30(端部B)から分離する分離ストッパ40は、好ましくは、その側フェースのところに位置する従来型分離ストッパのように構成され、この分離ストッパは、円筒形本体15の壁と協働してシールを形成している。円筒形本体15の壁に対する分離ストッパ40の付着摩擦力が、意図した目的にとって十分でない場合、即ち、分離ストッパ40の望ましくない滑り、又は、運動を阻止するのに十分ではない場合、分離ストッパは、好ましくは追加的に、円筒形本体15の内面に設けられた小さな隆起部(図示せず)により定位置に保持されるのが良い。
【0082】
圧力が引き続き加えられると、中空針45は、最終的に、分離ストッパ40を穿通し、それにより開口部42を介するチャンバ30内への液体成分の通路を開く。例えば、凍結乾燥物を再構成することができる。
【0083】
好ましくは、中空針45の開口部42は、分離ストッパ40の穿通後、チャンバ30内に依然として完全に位置している。しかしながら、開口部42は、分離ストッパ45内に部分的に、又は、完全に侵入しても良い。
【0084】
ストッパ60及び分離ストッパ40は、任意適当なサイズ及び形状のものであって良い。例えば、図2及び図3に示すように、これらストッパは、大きな隆起部の形態をした種々の弓隆部を有するのが良い。しかしながら、これらストッパは、図4に例示的に示されているように、筒体、球形外面を備えた筒体、、又は、2つの密封面を備えたダンベル型に形成されても良い。
【0085】
図に関する上記説明は、本発明の装置及び本発明の方法を説明するのに役立つ。これは、本発明をその内容に制限することなく、純粋に、例示的に説明した考えられる手順として意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】開口端部を備えた本発明の容器を凍結乾燥前の状態で示す略図である。
【図2】本発明の容器を充填密封状態で示す略図である。
【図3】2種類の成分の混合中における本発明の容器の略図である。
【図4】取り得るストッパの形状の略図である。
【符号の説明】
【0087】
5 固体側の端部(端部B)
10 容器
15 円筒形本体
20 クロージャ,口
30 固体成分を収容したチャンバ
33 凍結乾燥溶液
40 高さHの分離ストッパ
42 開口部
45 長さLの中空針
50 液体成分を収容したチャンバ
60 クロージャ、又は、ストッパ
70 液体側の端部(端部B)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類の別々の成分を収容して組み合わせるダブルチャンバ型容器であって、前記成分のうちの少なくとも一方は、液体であり、前記ダブルチャンバ型容器は、円筒形本体(15)を有し、前記円筒形本体(15)の2つの端部(5,70)の各々のところにクロージャ(20,60)が設けられ、即ち、液体成分側に上側クロージャ(60)が設けられ、固体成分側に下側クロージャ(20)が設けられ、前記ダブルチャンバ型容器は、2つのチャンバ(30,50)相互間のシールとして前記円筒形本体内に設けられた分離ストッパ(40)を更に有し、前記分離ストッパは、高さHを有し、前記上側クロージャ(60)は、圧力の印加によって前記液体成分側で動くことができ、前記上側クロージャ(60)は、その下面に長さLの中空針(45)を有し、前記中空針は、その先端部とは反対側の端部に設けられた少なくとも1つの開口部(42)を有し、Hは、Lよりも小さい、ことを特徴とするダブルチャンバ型容器。
【請求項2】
前記チャンバのうち一方(50)は、液体成分を収容し、他方の前記チャンバ(30)は、固体成分を収容していることを特徴とする、請求項1記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項3】
前記固体成分は、薬剤、特に凍結乾燥薬剤であることを特徴とする、請求項1又は2記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項4】
前記液体成分は、前記固体成分のための溶解媒質であるか、又は、分散媒質であることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項5】
前記円筒形本体(15)は、一体品の状態に作られていることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項6】
前記中空針(45)は、オプションとして、斜切され、オプションとして、尖らせた先端部を有するカニューレであることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項7】
前記中空針(45)は、約0.2mm〜約1.6mmの内径を有することを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項8】
前記中空針(45)は、複数個の開口部(42)を有することを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項9】
前記開口部(42)のサイズ及び前記中空針(45)の内径は、前記チャンバ(30)内への液体成分の流入速度が、調節可能であるように選択されることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項10】
前記開口部(42)は、約0.2mm〜約1.4mmの直径を有することを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項11】
前記クロージャ(60)のところで、且つ(或いは)、前記分離ストッパ(46)のところで、スペーサ、及び/(又は)、ストップが、前記中空針(45)に設けられ、前記スペーサ、及び/(又は)、ストップは、前記分離ストッパ(40)内への前記中空針(45)の前記開口部(42)の全ての侵入を妨げ、又は、侵入を阻止することを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか一の記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項12】
前記分離ストッパ(40)は、前記分離ストッパが前記円筒形本体(15)内のその固定され且つ規定された位置から動いて離れることが起こりにくく、且つ、前記中空針(45)が前記分離ストッパを穿通しやすくするのに適した形状、寸法、及び/(又は)、材料のものであることを特徴とする、請求項1〜11のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項13】
前記分離ストッパ(40)の材料は、ゴム、カウチューク、例えば、天然ゴム、又は、合成ゴム、プラスチック、例えば、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等の中から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項14】
前記分離ストッパ(40)は、円筒形、丸みのある側部を備えた円筒形、ダンベル形、直方体形、円錐形、切頭円錐体、又は、切頭円錐形のものであることを特徴とする、請求項1〜13のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項15】
前記分離ストッパ(40)は、(密封性、粘着性)隆起部、リップ、ビード、表面等を有することを特徴とする、請求項1〜14のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項16】
前記円筒形本体(15)は、ガラス、若しくは、プラスチックから成り、又は、ガラス、若しくは、プラスチックを含むことを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項17】
前記円筒形本体(15)は、透明なガラスから成り、又は、透明なガラスを含むことを特徴とする、請求項106載のダブルチャンバ型容器。
【請求項18】
前記ダブルチャンバ型容器(10)は、筒形アンプル、又は、ダブルチャンバ型カープル(carpule)等であることを特徴とする、請求項1〜17のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項19】
前記ダブルチャンバ型容器(10)は、1回使用向きであるか、又は、多数回使用向きであることを特徴とする、請求項1〜18のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器。
【請求項20】
請求項1〜19のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器を充填する方法であって、
(1)円筒形本体(15)を下端部(5)のところで密封する段階と、
(2)前記円筒形本体(15)に凍結乾燥溶液を充填する段階と、
(3)前記円筒形本体を凍結乾燥器内で凍結乾燥させて凍結乾燥物ケーク(30)を得る段階と、
(4)高さHの分離ストッパ(40)を前記凍結乾燥物ケーク(30)上に配置する段階と、
(5)前記円筒形本体(15)に前記分離ストッパの上方に再構成媒質(50)を充填する段階と、
(6)前記円筒形本体(15)を中空針(45)を有するクロージャで密封する段階とを有し、前記クロージャ(60)は、圧力の印加によって前記液体成分側端部で動くことができ、前記クロージャ(60)は、その下面に長さLの中空針(45)を有し、前記中空針は、その先端部とは反対側の端部に設けられた少なくとも1つの開口部(42)を有し、Hは、Lよりも小さく、前記中空針(45)は、前記分離ストッパ(40)の方へ差し向けられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記クロージャ(20,60)は、ストッパ、メンブレン、ディスク、特に密封ディスクの中から選択され、オプションとして、金属で作られたフランジ付きキャップ、又は、プラスチックで作られたキャップを備えていることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
ストッパが、前記クロージャ(60)として用いられることを特徴とする、請求項20又は21記載の方法。
【請求項23】
前記中空針(45)は、前記ストッパ(60)の中心に設けられていることを特徴とする、請求項20〜22のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
用いられる前記中空針(45)は、オプションとして、傾斜し、場合によっては、尖らせた先端部を有するカニューレであることを特徴とする、請求項20〜23のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
内径が約0.2mm〜約1.6mmの中空針(45)が用いられることを特徴とする、請求項20〜24のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
複数個の開口部(42)を備えた中空針(45)が用いられることを特徴とする、請求項20〜25のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記開口部(42)のサイズ及び前記中空針(45)の内径は、前記チャンバ(30)内への前記液体成分の流入速度が調節されるよう選択されていることを特徴とする、請求項20〜26のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
スペーサが、前記クロージャ(60)、及び/(又は)、前記分離ストッパ(40)に設けられると共に(或いは)ストップが、前記中空針(45)の1つ、又は、複数個の前記開口部(42)が前記分離ストッパ(40)内に完全に侵入するのを阻止するよう前記中空針(45)に設けられていることを特徴とする、請求項20〜27のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記分離ストッパ(40)の適当な形状、寸法、及び/(又は)、材料は、前記円筒形本体(15)内のその固定され且つ規定された位置からの変位を困難にするが、前記中空針(45)による穿通を容易にするよう選択されていることを特徴とする、請求項20〜28のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記分離ストッパ(40)の形状は、円筒形、丸みのある側部を備えた円筒形、ダンベル形、直方体形、円錐形、切頭円錐体、又は、切頭円錐形の中から選択されることを特徴とする、請求項20〜29のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記分離ストッパ(40)は、(密封性、付着性)隆起部、リップ、ビード、表面等を有することを特徴とする、請求項20〜30のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
請求項1〜19のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器内であって、少なくとも一方が液体である2種類の別々の成分を混合する方法であって、
前記ダブルチャンバ型容器は、
円筒形本体(15)を有し、前記円筒形本体(15)の2つの端部(5,70)の各々のところにクロージャ(20,60)が設けられ、即ち、液体成分側に上側クロージャ(60)が設けられ、固体成分側に下側クロージャ(20)が設けられ、
2つのチャンバ(30,50)相互間のシールとして前記円筒形本体内に設けられた分離ストッパ(40)を有し、
前記分離ストッパは、高さHを有し、前記上側クロージャ(60)は、圧力の印加によって前記液体成分側で動くことができ、前記上側クロージャ(60)は、その下面に長さLの中空針(45)を有し、前記中空針は、その先端部とは反対側の端部に設けられた少なくとも1つの開口部(42)を有し、Hは、Lよりも小さく、
前記方法は、
(あ)圧力を変位可能な前記上側クロージャ(60)に及ぼして、ついには、前記中空針(45)が前記分離ストッパ(40)を完全に穿通するようにする段階と、
(い)前記液体成分が前記開口部(42)及び前記中空針(45)からオーバーフローして前記固体成分に至り、それにより混合物を生じさせる段階とを有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記開口部(42)は、前記チャンバ(50)内での前記2種類の成分の混合中、少なくとも部分的に、好ましくは、全体が放置されることを特徴とする、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記クロージャ(60)が前記分離ストッパ(40)上に載るまで圧力が加えられることを特徴とする、請求項32又は33記載の方法。
【請求項35】
前記混合プロセス中、前記円筒形本体(15)は、前記クロージャ(20)がその底部のところに位置した状態で垂直に保持されることを特徴とする、請求項32〜34のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
圧力が、パンチを用いて前記変位可能な上側クロージャ(60)に及ぼされることを特徴とする、請求項32〜35のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記分離ストッパ(40)は、前記穿通の際、前記中空針(45)を通って前記固体成分に押し付けられることを特徴とする、請求項32〜36のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記中空針(45)は、混合のために、前記分離ストッパ(40)内に押し込まれ、ついには、前記開口部(42)が、前記液体成分を収容した前記チャンバ(50)内に、依然として、少なくとも部分的に収容されたままであるようにすることを特徴とする、請求項32〜37のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
スペーサが、前記クロージャ(60)、及び/(又は)、前記分離ストッパ(40)に設けられると共に(或いは)ストップが、前記中空針(45)の1つ、又は、複数個の前記開口部(42)が前記分離ストッパ(40)内に完全に侵入するのを阻止するように、前記中空針(45)に設けられていることを特徴とする、請求項32〜38のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
カニューレが、前記中空針(45)として用いられることを特徴とする、請求項32〜39のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
人間医学及び獣医学における請求項1〜19のうちいずれか1項に記載のダブルチャンバ型容器の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−504523(P2009−504523A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526488(P2008−526488)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065238
【国際公開番号】WO2007/020238
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(503137975)ベーリンガー インゲルハイム ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (129)
【Fターム(参考)】