説明

バケット警報装置

【課題】バケットの吊り上げ移動時における作業員の安全性を向上させることが可能なバケット警報装置を提供することを目的とする。
【解決手段】クレーン等の建設機械によって吊り上げられるバケット10に設けられており、このバケット10が吊り上げられた際の地面Gまでの高さを検出する高さ検出装置1と、この高さ検出装置1に連動し、前記バケット10が所定の吊り上げ高さとなった際に警報を発する警報機2とを備えるバケット警報装置。このようなバケット警報装置によれば、上空を移動するバケット自体から警報が発せられることとなるので、バケットの通過ルート上で作業する作業員に警報が聞こえやすくなるとともに、作業員が上空に気を配ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン等の建設機械によって吊り上げられるバケットに設けられるバケット警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場におけるコンクリートや砂礫等の運搬は、コンクリートや砂礫等を収容したバケットを、クローラクレーンやジブクレーン等の建設機械によって吊り上げて、このバケットを所定の位置まで移動させることにより行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−179728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、バケットを吊り上げて移動させる際は、バケットが目的の場所まで移動する間に作業員の上空を通過するため、手持ちのサイレンを用いるなどして、バケットが上空を通過することを知らせ、バケットの通過ルートから退避するようにしていた。
ところが、作業員自身の足元で作業を行わなければならない際は、上空に気を配りながら作業をすることは困難である場合が多く、特に、そのような作業中は、予めバケットの通過ルートから退避している作業員によって手持ちのサイレンを鳴らされたとしても、聞こえづらい場合がある。
【0004】
本発明の課題は、バケットの吊り上げ移動時における作業員の安全性を向上させることが可能なバケット警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、バケット警報装置であって、クレーン等の建設機械によって吊り上げられるバケットに設けられており、
前記バケットが吊り上げられた際の地面までの高さを検出する高さ検出装置と、この高さ検出装置に連動し、前記バケットが所定の吊り上げ高さとなった際に警報を発する警報機とを備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバケット警報装置において、前記バケットは、バケット本体と、このバケット本体に一体形成されるとともに、前記バケットの立て起こし時および寝かせ時に、このバケット本体の下端部を地面から所定間隔離間させるように支持する支持フレームとを備えており、
前記高さ検出装置および警報機は、前記バケット本体の下端部と前記支持フレームとの間に位置していることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のバケット警報装置において、前記高さ検出装置は、前記支持フレームに取り付けられるブラケットに回動軸部を介して回動自在に連結される連結部に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クレーン等の建設機械によって吊り上げられるバケットに設けられており、バケットが吊り上げられた際の地面までの高さを検出する高さ検出装置と、この高さ検出装置に連動し、バケットが所定の吊り上げ高さとなった際に警報を発する警報機とを備えていることから、上空を移動するバケット自体から警報が発せられることとなるので、バケットの通過ルート上で作業する作業員に警報が聞こえやすくなるとともに、作業員が上空に気を配ることができる。これによって、従来に比して、バケットの吊り上げ移動時における作業員の安全性を確実に向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本実施の形態のバケット警報装置は、図1〜図4に示すように、クレーン等の建設機械によって吊り上げられるバケット10に設けられており、前記バケット10が吊り上げられた際の地面Gまでの高さを検出する高さ検出装置1と、この高さ検出装置1に連動し、前記バケット10が所定の吊り上げ高さとなった際に警報を発する警報機2とを備えている。
【0011】
ここで、前記バケット10は、図1および図2に示すように、バケット本体11と、このバケット本体11に一体形成されるとともに、前記バケット10の立て起こし時および寝かせ時に、このバケット本体11の下端部を地面から所定間隔離間させるように支持する支持フレーム12とを備えている。
【0012】
また、前記バケット本体11は、図1および図2に示すように、コンクリートや砂礫等の材料の投入時に地面に寝かされるとともに、クレーン等の建設機械による吊り上げ時に立て起こされるものであり、コンクリートや砂礫等の材料を収容するための収容部11aと、この収容部11aの上部に位置し、材料が投入される投入口11bと、前記収容部11aの下部に位置し、材料が排出される排出口11cとを有している。
【0013】
そして、前記バケット本体11の収容部11aの上部は、図1に示すように、上方に向かうにつれて細くなるように形成されており、これによって、図2に示すように、前記バケット10の寝かせ時において前記投入口11bが斜め方向上方に向かって開放するように形成されている。
また、側面視において、前記投入口11bの反対に位置する前記バケット本体11の底面に位置する部分は、平らに形成されているので、図2に示すように、前記バケット10が地面Gに寝かされた際に、安定感に優れる。
【0014】
また、前記収容部11aの下部は、図1に示すように、下方に向かうにつれて細くなるように形成されており、この収容部11aの下端部には、前記排出口11cが設けられている。この排出口11cは、開閉ゲート式であり、例えば遠隔操作することによって開放または閉塞できるようになっている。
【0015】
前記支持フレーム12は、図1および図2に示すように、複数のフレーム材を接合して組まれている。
さらに、この支持フレーム12は、前記バケット10の吊り上げ時および寝かせ時に前記地面Gに接地する部分に、湾曲部12aを備えており、前記バケット10を寝かせた状態から吊り上げる際や、吊り上げた状態から寝かせる際の動作を、前記湾曲部12aに沿って円滑に行うことができるようになっている。
【0016】
また、前記湾曲部11aを備えるフレーム材のように、前記支持フレーム12の外郭に位置するとともに、地面Gに接地するフレーム材は、前記収容部11aの下部および排出口11cから所定間隔離間するように設定されている。
これによって、この支持フレーム12の外郭に位置するとともに、地面Gに接地するフレーム材が前記地面Gに接地している際に、前記収容部11aの下部および排出口11cは、前記地面Gから所定間隔離間していることとなる。すなわち、前記支持フレーム12によって、前記バケット本体11の下端部を地面Gから所定間隔離間させるように支持できるようになっている。
【0017】
さらに、前記バケット10は、図1および図2に示すように、前記バケット本体11に連結するとともに、クレーン等の建設機械に備えられるフックHが引っ掛けられる吊り上げ部13を備えている。
【0018】
一方、前記高さ検出装置1は、本実施の形態においては、例えば超音波式センサーを用いるものとする。すなわち、図1に示すように、前記バケット10が吊り上げられた際に、前記高さ検出装置1から発せられた音波の地面Gからの跳ね返りを受信することで、前記バケット10の吊り上げ高さを検出できるようになっている。
なお、このように、本実施の形態の高さ検出装置1として、超音波式センサーを用いるものとしたが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0019】
また、この高さ検出装置1の検出動作範囲は、例えば0.5〜10.0mであり、この検出動作範囲内で、適宜、前記警報機2が警報を発する作動高さ位置を設定できるようになっている。
さらに、高さ検出装置1の検出方向に障害物があると、前記バケット10の吊り上げ高さを誤検出してしまうため、前記バケット10が吊り上げられた際の高さ検出装置1の検出方向に、前記支持フレーム12を構成するフレーム材が設けられないようにすることが好ましい。
【0020】
また、前記高さ検出装置1は、図1および図2に示すように、前記バケット本体11の下端部下面に設けられており、この高さ検出装置1は、前記バケット本体11の下端部と前記支持フレーム12との間に位置していることとなる。
つまり、前記バケット本体11の下端部は、上述のように、前記支持フレーム12によって地面Gから所定間隔離間するように支持されているので、前記高さ検出装置1は、前記バケット10の立て起こし時においても、寝かせ時においても、前記地面Gに当たってしまうことがなくなる。これによって、前記高さ検出装置1の破損を確実に防ぐことができるので、前記バケット10の吊り上げ高さを確実かつ正確に検出することができ、前記バケット10の吊り上げ移動時における作業員の安全性の向上を図ることができる。
【0021】
なお、前記高さ検出装置1が、前記バケット10の寝かせ時に、このバケット10の立て起こし時と同じ向きであった場合、この高さ検出装置1の検出方向を、地面Gと略平行する向けることになってしまい、誤作動することとなる。
そこで、前記高さ検出装置1を、図3に示すように、前記支持フレーム12に取り付けられるブラケット1aに回動軸部1bを介して回動自在に連結される連結部1cに取り付けるようにする。
これによって、図1および図2に示すように、前記バケット10が立て起こされている際も、寝かされている際も、前記高さ検出装置1の検出方向を地面Gに向けることができるので、誤作動等を確実に防ぐことができ、より正確な前記バケット10の吊り上げ高さを検出できることとなる。
【0022】
なお、前記回動軸部1bに、前記高さ検出装置1をON・OFFさせる回動式スイッチとしての機能を具備させるようにしてもよい。つまり、前記回動軸部1bに、図示しない電力切り替え部を設けて、前記ブラケット1aに対する前記連結部1cの回動動作に応じて、電力切り替え部を操作できるようにする。
すなわち、図2に示すように、前記バケット10の寝かせ時においては、前記連結部1cの向きが前記ブラケット1aの延在方向に沿っている状態となっている。そして、前記連結部1cがこのような状態の時に、前記高さ検出装置1がOFF状態となるように設定する。
一方、前記バケット10の立て起こし時においては、図1に示すように、前記連結部1cの向きが前記ブラケット1aの延在方向に直交する状態となっている。そして、前記連結部1cがこのような状態になる時に、前記連結部1cの回動動作によって前記回動軸部1bのスイッチ機能が切り替わり、これによって、前記高さ検出装置1がON状態となるように設定する。
これによって、例えば作業員が前記高さ検出装置1を操作する手間を省くことができるとともに、前記バケット10の寝かせ時に、前記高さ検出装置1が誤作動してしまうことも防ぐことができる。
【0023】
また、この高さ検出装置1は、図3に示すように、前記連結部1cに取り付けられたカバー部1dによって覆われた状態となっており、このカバー部1dによって、前記高さ検出装置1は、例えば障害物への衝突や、風雨等の外部からの影響を受けにくくなっているので、好ましい。
【0024】
一方、前記警報機2は、図4に示すように、前記支持フレーム12の幅方向に沿って設けられる横フレーム材12bに取り付けられている。
また、このように、前記警報機2は、図1および図2に示すように、前記横フレーム材12bに取り付けられていることから、前記バケット本体11の下端部と前記支持フレーム12との間に位置していることとなる。
したがって、この警報機2は、前記バケット10の立て起こし時においても、寝かせ時においても、前記地面Gに当たってしまうことがなくなる。これによって、この警報機2の破損を確実に防ぐことができるので、前記バケット10の吊り上げ移動時に確実に警報を発することができ、前記バケット10の吊り上げ移動時における作業員の安全性の向上を図ることができる。
【0025】
なお、この警報機2は、図1に示すように、前記バケット10の吊り上げ時に下を向くように取り付けられていることから、吊り上げられたバケット10の下方で作業を行う作業員が警報が聞き取りやすくなるので、好ましい。
【0026】
また、前記横フレーム材12bには、図4に示すように、ランプ3も取り付けられている。このランプ3は、前記警報機2に連動して点灯するようになっており、例えば日没直前や夜間における前記バケットの吊り上げ移動を、視覚的に認識できるようになる。
なお、このランプ3の点灯は、前記警報機2に連動するとしたが、例えば前記高さ検出装置1に連動させて、前記バケット10が所定の高さ位置まで吊り上げられた際に点灯するようにしてもよく、適宜変更可能である。
【0027】
そして、前記支持フレーム12には、図1および図2に示すように、制御装置が内蔵された制御ボックス4が取り付けられている。
この制御ボックス4および制御装置と、前記高さ検出装置1および警報機2、ランプ3とは接続されており、前記高さ検出装置1によって検出された前記バケット10の吊り上げ高さを、この制御装置に入力し、この制御装置からの制御信号を前記警報機2やランプ3に出力できるようになっている。これによって、前記警報機2およびランプ3を確実かつ正確に制御して作動させることができる。
【0028】
なお、前記バケット本体11の排出口11cと前記高さ検出装置1とを連動させ、前記制御装置によって、この排出口11cの開閉のロック・ロック解除を制御してもよい。すなわち、例えば前記バケット10が所定の高さまで下げられなければ、前記排出口11cのロック解除をできないようにすることで、前記バケット10が吊り上げられている際における、遠隔操作の誤りによる前記排出口11cの開放を防ぐことができる。
【0029】
次に、本実施の形態のバケット警報装置の動作形態について説明する。
まず、予め前記高さ検出装置1の検出動作範囲内における前記警報機2の作動高さ位置を設定しておく。本実施の形態においては、例えば、検出動作範囲を0.5〜10.0mとし、作動高さ位置を5.0mとする。また、前記ランプ3は、前記警報機2の作動に連動させるものとする。
【0030】
そして、図2に示すように、前記バケット10を地面Gに寝かせた状態にしてから、前記バケット本体11の収容部11aに、コンクリートや砂礫等の材料を、前記投入口11bから投入する。
【0031】
材料の投入が終了した後、前記吊り上げ部13に、前記フックHを引っ掛けて吊り上げを開始し、前記支持フレーム12の湾曲部12aに沿って前記バケット10を立て起こしていく。
また、前記高さ検出装置1は、上述のように0.5mから高さ検出を開始するので、前記バケット10が垂直に立て起こされた時、かつ吊り上げられる前に、前記高さ検出装置1が0.5m以上の高さに位置していれば、この高さ検出装置1による高さ検出が開始されていることとなる。
【0032】
その後、前記バケット10を、前記警報機2が警報を発する所定の高さ、5.0m以上まで吊り上げていく。この時、前記ランプ3も作動する。
なお、前記バケット10を移動させる前に、このバケット10を所定の高さまで吊り上げて、前記警報機2およびランプ3が作動してから、前記バケット10を移動させることが好ましい。
【0033】
前記バケット10を材料の排出位置まで移動させた後は、前記バケット10を、材料の排出に好適な高さまで下げてから、前記排出口11cから材料を排出する。
なお、前記バケット10を下げた時に、このバケット10の高さが、前記所定の高さよりも低くくなれば、前記警報機2およびランプ3の動作は止まるようになっている。
【0034】
本実施の形態によれば、前記バケット10が吊り上げられた際の地面までの高さを検出する高さ検出装置1と、この高さ検出装置1に連動し、前記バケット10が所定の吊り上げ高さとなった際に警報を発する警報機2とを備えていることから、上空を移動するバケット10自体から警報が発せられることとなるので、前記バケット10の通過ルート上で作業する作業員に警報が聞こえやすくなるとともに、作業員が上空に気を配ることができる。これによって、従来に比して、前記バケット10の吊り上げ移動時における作業員の安全性を確実に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】バケットの立て起こし状態であり、本発明のバケット警報装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】バケットの寝かせ状態であり、本発明のバケット警報装置の実施形態を示す説明図である。
【図3】高さ検出装置の取り付け形態を示す説明図である。
【図4】警報機およびランプの取り付け形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 高さ検出装置
2 警報機
10 バケット
11 バケット本体
12 支持フレーム
G 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン等の建設機械によって吊り上げられるバケットに設けられており、
前記バケットが吊り上げられた際の地面までの高さを検出する高さ検出装置と、この高さ検出装置に連動し、前記バケットが所定の吊り上げ高さとなった際に警報を発する警報機とを備えていることを特徴とするバケット警報装置。
【請求項2】
前記バケットは、バケット本体と、このバケット本体に一体形成されるとともに、前記バケットの立て起こし時および寝かせ時に、このバケット本体の下端部を地面から所定間隔離間させるように支持する支持フレームとを備えており、
前記高さ検出装置および警報機は、前記バケット本体の下端部と前記支持フレームとの間に位置していることを特徴とする請求項1に記載のバケット警報装置。
【請求項3】
前記高さ検出装置は、前記支持フレームに取り付けられるブラケットに回動軸部を介して回動自在に連結される連結部に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のバケット警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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