バスバーカバー、及びカバー付きバスバー
【課題】単電池群同士を電気的に接続するためのバスバーを絶縁材料で被覆する技術の提供。
【解決手段】本発明のバスバーカバー5は、正負一対の電極端子32A,Bを含む複数の単電池31同士が並べられてなる単電池群3Bと、この単電池群3Bと隣り合った同種の単電池群3Cとの間において、対極同士の電極端子32A,B間を電気的に接続するために、両端部23A,Bが電極端子32A,Bにそれぞれ固定されるバスバー21に対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバー5であって、バスバー21の両端部23A,Bがそれぞれ露出するようにバスバー21を被覆する本体部51と、本体部51の端部に設けられるヒンジ部52A,Bと、ヒンジ部52A,Bを介して本体部51に取り付けられると共に、端部23A,Bを覆うように、及び端部23A,Bを露出させるようにヒンジ部52A,Bによって揺動する蓋部53A,Bとを備える。
【解決手段】本発明のバスバーカバー5は、正負一対の電極端子32A,Bを含む複数の単電池31同士が並べられてなる単電池群3Bと、この単電池群3Bと隣り合った同種の単電池群3Cとの間において、対極同士の電極端子32A,B間を電気的に接続するために、両端部23A,Bが電極端子32A,Bにそれぞれ固定されるバスバー21に対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバー5であって、バスバー21の両端部23A,Bがそれぞれ露出するようにバスバー21を被覆する本体部51と、本体部51の端部に設けられるヒンジ部52A,Bと、ヒンジ部52A,Bを介して本体部51に取り付けられると共に、端部23A,Bを覆うように、及び端部23A,Bを露出させるようにヒンジ部52A,Bによって揺動する蓋部53A,Bとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーカバー、及びカバー付きバスバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等における車両用の電池モジュールは、複数個の単電池同士が並べられてなる単電池群を備えている。単電池群を構成する各単電池は、それぞれ正極側の電極端子と、負極側の電極端子とを有しており、隣り合った単電池同士が有する対極同士の電極端子間が、金属製のバスバーによって電気的に接続されている。
【0003】
前記バスバーは、単電池群に複数個所ある前記電極端子間にそれぞれ取り付けられる。このようなバスバーを利用して、単電池群を構成する各単電池は、互いに電気的に直列接続されている。
【0004】
なお、前記バスバーを単電池群の各電極端子間にそれぞれ一個ずつ取り付けると、その取付作業に時間がかかってしまう。そのため、特許文献1等に示されるように、複数本のバスバーを各電極端子間に纏めて位置決めできる電池配線モジュールが利用されている。この種の電池配線モジュールは、複数本のバスバーが樹脂等からなる絶縁性の基材で保持されたものからなり、単電池群上に載せられた状態で固定される。
【0005】
ところで、単電池群に含まれる単電池数が多くなりすぎると、電極端子の取付誤差等が積み重なって、前記対極同士の電極端子間が、許容範囲を超えて広くなり、又は狭くなる場合がある。このような場合に、上述した電池配線モジュールを利用すると、却ってバスバーを前記電極端子間に取り付けることが難しくなることがある。そのため、上述した電池モジュールでは、全ての単電池を、1つの単電池群として纏めるのではなく、複数個の単電池群に分けて利用することがある。また、電池モジュールの搭載スペースの都合等によっても、複数個の単電池群に分けて利用されることがある。
【0006】
なお、複数個の単電池群同士は、専用のバスバーを利用して、互いに電気的に接続される。この種のバスバーは、その両端部が対極同士の各電極端子に対してそれぞれボルト締め等によって固定される。そして、両端部が固定された状態で、単電池群間に架け渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−8957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
単電池群間に架け渡された前記バスバーが、露出したままの状態であると、前記バスバーに工具等が触れて、電池モジュールが短絡(ショート)してしまう虞がある。そのため、前記バスバーを、絶縁材料で被覆することが考えられる。ただし、前記バスバーの端部は、少なくとも前記バスバーの取付作業中は、取付作業の妨げとならないように露出させておく必要がある。また、単電池群間に前記バスバーが取り付けられた後は、前記バスバーの端部も絶縁材料で被覆されていることが好ましい。
【0009】
しかしながら、これらの要求に応えつつ前記バスバーを絶縁材料で被覆する技術は知られておらず、問題となっている。
【0010】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであり、単電池群同士を電気的に接続するためのバスバーを絶縁材料で被覆する技術であって、前記バスバーが前記単電池群間に取り付けられる際は前記バスバーの端部が前記絶縁材料から露出可能であると共に、前記バスバーが前記単電池群間に取り付けられた後は、前記バスバーの端部が前記絶縁材料で被覆可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るバスバーカバーは、正負一対の電極端子を含む複数の単電池同士が並べられてなる単電池群と、この単電池群と隣り合った同種の単電池群との間において、対極同士の電極端子間を電気的に接続するために、両端部が前記電極端子にそれぞれ固定されるバスバーに対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバーであって、前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する本体部と、前記本体部の端部に設けられるヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記本体部に取り付けられると共に、前記バスバーの端部を覆うように、及び前記バスバーの端部を露出させるように前記ヒンジ部によって揺動する蓋部と、を備える。前記バスバーカバーがこのような構成を備えることによって、前記バスバーカバーは、必要に応じて前記バスバーの端部を露出させることができると共に、前記バスバーの端部を覆うことができる。
【0012】
前記バスバーカバーにおいて、前記蓋部に設けられる係合部と、前記本体部の端部に設けられると共に、前記係合部と係合することによって前記蓋部が前記バスバーの端部を覆った状態で固定される被係合部と、を備えることが好ましい。前記バスバーカバーが、前記係合部及び前記被係合部を備えることによって、前記蓋部が前記バスバーの端部を覆った状態で固定される。
【0013】
前記バスバーカバーにおいて、前記本体部は、前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する筒体と、この筒体の端部に設けられるとともに、前記筒体から露出した前記バスバーの端部を囲む枠体と、を有し、前記ヒンジ部及び前記被係合部が、それぞれ前記枠体に設けられることが好ましい。
【0014】
前記バスバーカバーにおいて、前記筒体は、前記バスバーの下面側を覆う底部と、前記バスバーの上面側を覆う天井部とを含み、前記底部及び前記天井部が前記バスバーに対して着脱可能に取り付けられてもよい。前記筒体が、前記バスバーに対して着脱可能であると、前記バスバーに対して、前記バスバーカバーを後付けできる構成となる。
【0015】
前記バスバーの端部は、前記電極端子上に載せられると共に前記電極端子に固定される固定部と、この固定部から立ち上がる立ち上がり部とを含んでもよい。前記バスバーの端部が前記固定部及び前記立ち上がり部を含んでいると、前記固定部に固定される相手側の電極端子との位置合わせを行い易くなる。
【0016】
本発明に係るカバー付きバスバーは、正負一対の電極端子を含む単電池同士が並べられてなる単電池群と、この単電池群と隣り合った同種の単電池群との間において、対極同士の電極端子間を電気的に接続するために、両端部が前記電極端子にそれぞれ固定されるバスバーと、前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する本体部と、前記本体部の端部に設けられるヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記本体部に取り付けられると共に、前記ヒンジ部によって前記バスバーの端部を覆うように、及び前記バスバーの端部を露出させるように揺動する蓋部とを有し、前記バスバーに対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバーと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単電池群同士を電気的に接続するためのバスバーを絶縁材料で被覆する技術であって、前記バスバーが前記単電池群間に取り付けられる際は前記バスバーの端部が前記絶縁材料から露出可能であると共に、前記バスバーが前記単電池群間に取り付けられた後は、前記バスバーの端部が前記絶縁材料で被覆可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係るカバー付きバスバーを備えた電池モジュールの平面図
【図2】単電池群の平面図
【図3】第1電池配線モジュールの平面図
【図4】第1接続部材の平面図
【図5】第2接続部材の平面図
【図6】樹脂プロテクタを構成する各連結ユニットの平面図
【図7】単電池群上に載せられた状態の第1電池配線モジュールの平面図
【図8】第1電池モジュールの平面図
【図9】単電池群上に載せられた状態の第2電池配線モジュールの平面図
【図10】互いに間隔を置いて隣り合った第1電池モジュール及び第2電池モジュールの平面図
【図11】バスバーの平面図
【図12】バスバーの側面図
【図13】展開された状態のバスバーカバーの平面図
【図14】蓋部が開いた状態のカバー付きバスバーの平面図
【図15】蓋部が開いた状態のカバー付きバスバーの正面図
【図16】蓋部が開いた状態のカバー付きバスバーの側面図
【図17】第1電池モジュール及び第2電池モジュールに蓋部が開いた状態で取り付けられているカバー付きバスバーの平面図
【図18】図1に示されるA−A’線におけるカバー付きバスバーを備えた電池モジュールの部分断面図
【図19】実施形態2に係るカバー付きバスバーの平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
(電池モジュール)
以下、本発明の実施形態1を、図1ないし図18を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1に係るカバー付きバスバー2を備えた電池モジュール1の平面図である。図1に示される電池モジュール1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両用の駆動源として利用される。図1に示されるように、電池モジュール1は、第1電池モジュール1Aと第2電池モジュール1Bとが、カバー付きバスバー2を介して互いに接続されたものからなる。図1において左側に第1電池モジュール1Aが示されており、右側に第2電池モジュール1Bが示されている。なお、図1における下側が、電池モジュール1の前側(正面側)に対応し、図1における上側が、電池モジュール1の後側(背面側)に対応する。また、図1における左右方向が、電池モジュール1の左右方向に対応する。
【0020】
(第1電池モジュール)
ここで、先ず、図1ないし図8を参照しつつ、一方の第1電池モジュール1Aについて説明する。第1電池モジュール1Aは、2個の単電池群3と、これらの単電池群3に固定される第1電池配線モジュール4Aと、この第1電池配線モジュール4Aに被せられる第1電池配線モジュール用カバー43Aとを備えている。
【0021】
(単電池群)
図2は、単電池群3の平面図である。図2には、4個の単電池群3A,3B,3C,3Dが一列に並んだ状態で示されている。これらのうち単電池群3A及び3Bは、第1電池モジュール1Aで利用される。なお、残りの単電池群3C及び3Dは、後述する第2電池モジュール1Bで利用される。
【0022】
図2に示されるように、各単電池群3(3A,3B,3C,3D)は、それぞれ4個の単電池31が、互いに積み重なるように並べられたものからなる。各単電池群3(3A,3B,3C,3D)は、互いに間隔を置いて、図2に示される左右方向に沿って並べられている。なお、本実施形態の場合、第1電池モジュール1Aに利用される単電池群3Bと、第2電池モジュール1Bに利用される単電池群3Cとの間の間隔は、その他の単電池群3間における間隔よりも広く設定されている。
【0023】
単電池群3を構成している各単電池31は、それぞれ内部に発電要素(不図示)を備えている。単電池31は、前記発電要素を内部に含む扁平な直方体状の本体部31aと、この本体部31aの上面に設けられる2つの電極端子32(32A,32B)とを備えている。一方の電極端子32Aが正極であり、他方の電極端子32Bが負極である。
【0024】
各単電池群3(3A,3B,3C,3D)における各電極端子32A,32Bは、単電池31(本体部31a)の上面において、それぞれ上方に向かって垂直に突出した形をなしている。電極端子32(32A,32B)は、角筒状のナットからなり、その中心に円形のネジ孔33が貫通形成されている。
【0025】
単電池群3を構成する各単電池31は、各々の電極端子32(32A,32B)が同じ方向(上方)を向くように並べられている。そして、単電池群3の各単電池31は、隣り合った単電池31同士において、隣接する電極端子32同士が互いに対極同士となるように並べられている。つまり各単電池31の積層方向(単電池群3の前後方向)において、各電極端子32が正負交互に並んでいる。
【0026】
第1電池モジュール1Aに利用される単電池群3A及び3Bの間においても、異なった単電池群3A,3B間で隣り合った単電池31同士において隣接する電極端子32同士が、互いに対極同士となっている。
【0027】
なお、第1電池モジュール1Aに利用される単電池群3Bと、第2電池モジュール1Bに利用される単電池群3Cとの間においても、異なった単電池群3B,3C間で隣り合った単電池31同士において隣接する電極端子32同士が、互いに対極同士となっている。
【0028】
第1電池モジュール1Aに利用される単電池群3A及び3Bの各電極端子32(32A,32B)は、同一平面上に配されている。各単電池群3(3A,3B,3C,3D)は、各単電池31の下面側に配されている保持板(不図示)上に載置された状態で、それぞれ固定されている。
【0029】
(第1電池配線モジュール)
図3は、第1電池配線モジュール4Aの平面図である。第1電池配線モジュール4Aは、単電池群3A及び3Bの各上面上に載せられる形で、これらの単電池群3A及び3Bに取り付けられる。そして、2つの単電池群3A及び3B同士が、第1電池配線モジュール4Aによって接続される。このような第1電池配線モジュール4Aは、主として、複数本の接続部材41と、これらの接続部材41を収容する容器状の樹脂プロテクタ42Aとを備えている。
【0030】
(接続部材)
接続部材41は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料を所定形状に加工したものからなる。接続部材41は、概ね長尺状(帯状)をなしており、一般的に、バスバーとして知られているものからなる。本実施形態の場合、接続部材41として、長さが異なる2種類のものが利用される。これらのうち、長い方を第1接続部材41Aと称し、短い方を第2接続部材41Bと称する。図4は、第1接続部材41Aの平面図である。図4に示されるように、第1接続部材41Aは、長手状の本体部141(141A)と、この本体部141(141A)の長手方向における両端部にそれぞれ設けられる固定用ボルトの軸部が挿通される通し孔48と、本体部141(141A)の各端部にそれぞれ通し孔48を挟むように設けられる切り欠き部49とを備えている。
【0031】
図5は、第2接続部材41Bの平面図である。図5に示されるように、第2接続部材41Bは、第1接続部材よりも長さが短いものの、その基本的な構成は、第1接続部材41Aと同じである。具体的には、第2接続部材41Bは、長手状の本体部141(141B)と、この本体部141(141B)の長手方向における両端部にそれぞれ設けられる固定用ボルトの軸部が挿通される通し孔48と、本体部141(141B)の各端部にそれぞれ通し孔48を挟むように設けられる切り欠き部49とを備えている。
【0032】
各接続部材41は、単電池群3に複数個所ある対極同士の電極端子32A,32B間に、それぞれ電気的に接続するように架け渡される。そして、各接続部材41によって、単電池群3(3A,3B)を構成する各単電池31が、互いに直列接続される。第1接続部材41Aは、単電池群3A及び3Bとの間において、隣り合った単電池31同士が有する対極同士の電極端子32A,32B間を、電気的に接続するために利用される。これに対して、第2接続部材41Bは、単電池群3A及び3Bのそれぞれにおいて、積層方向(前後方向)で隣り合った単電池31同士が有する対極同士の電極端子32A,32B間を、電気的に接続するために利用される。なお各接続部材41は、樹脂プロテクタ42Aに保持された状態で、利用される(図3参照)。
【0033】
接続部材41の端部は、電極端子32上に重ね合わせられた状態で、電極端子32に固定される。その際、接続部材41の端部にある通し孔48の位置と、電極端子32が有するネジ孔33の位置とが合わせられる。そして、接続部材41の通し孔48及び電極端子32のネジ孔33に、それぞれ固定用ボルト(不図示)の軸部が挿入され、接続部材41及び電極端子32が互いに密着するように前記固定用ボルトがネジ孔33に螺着される。
【0034】
なお、接続部材41に設けられている通し孔48の形状は、上面から見て、所謂、長穴状となっており、電極端子32のネジ孔33よりも大きく設定されている。そして、通し孔48は接続部材41の長手方向に拡がった形をなしている。接続部材41は、このような長穴状の通し孔48を備えているため、電極端子32の位置が、本来あるべき位置からずれてしまっても、固定用ボルトを挿入できるように、その電極端子32のネジ孔33に、接続部材41の通し孔48を位置合わせできる。なお、このような電極端子32の位置ずれは、例えば、単電池31における電極端子32の取付誤差、単電池31の膨張等による変形、単電池群3A及び3Bにおける配置間隔の誤差等によって生じる。
【0035】
複数本の接続部材41は、容器状の樹脂プロテクタ42A内において、所定のパターンをなしている(図3参照)。第1接続部材41Aは、図3の左右方向に沿って配されている。これに対して、第2接続部材41Bは、図3の上下方向に沿って配されている。つまり、第1接続部材41Aと、第2接続部材41Bとは、互いに垂直な方向に沿って、それぞれ配されている。
【0036】
(樹脂プロテクタ)
樹脂プロテクタ42Aは、絶縁性を有する合成樹脂材料を、所定形状に加工したものからなる。図6は、樹脂プロテクタ42Aを構成する各連結ユニット42A1,42A2,42A3,42A4の平面図である。本実施形態の樹脂プロテクタ42Aは、図6に示される4つの連結ユニット42A1,42A2,42A3,42A4が、互いに組み合せられたものからなる。
【0037】
連結ユニット42A1は、連結ユニット42A2と組み合せられる。そして、これらの連結ユニット42A1,42A2によって、第1接続部材41Aを収容する連結部材収容部43(43A)が2つ形成される。連結部材収容部43(43A)は、図6の左右方向に沿って延びた小型の容器状をなしており、その内側で第1接続部材41Aを保持する。また、接続部材収容部43(43A)は、第1接続部材41Aの長手方向に沿って伸縮可能に構成されている。
【0038】
接続部材収容部43(43A)は、第1接続部材41Aが載せられる長手状の底板部と、この底板部の周りを囲む角筒状の周壁部とを備えている。前記底板部及び前記周壁部は、それぞれ連結ユニット42A1側と、連結ユニット43A2側とに分かれている。前記底板部における長手方向の両端には、それぞれ開口部44が設けられている。この開口部44は、第1接続部材41Aの端部を、電極端子32と接触できるように接続部材収容部43(43A)から露出させている。
【0039】
前記周壁部の内面側には、第1接続部材41Aがその厚み方向に(上方に)浮き上がるのを規制する規制突起46が複数個設けられている。この規制突起46は、前記周壁部の内面から突出した形状をなしており、第1接続部材41Aをその上面側から底板部側に向かって押さえている。また、前記周壁部の内面側には、第1接続部材41Aの各切り欠き部49とそれぞれ係合する係合突起47が複数個設けられている。図3に示されるように、係合突起47は、前記周壁部の内面から突出した形状をなすと共に、第1接続部材41Aの長手方向に沿って延びた形状をなしている。また、係合突起47は、切り欠き部49よりも小さく設定されており、そして、係合突起47の前記長手方向における両端部分と切り欠き部49との間に、予め隙間が設けられている。
【0040】
接続部材収容部43(43A)の連結ユニット42A1側は、その係合突起47が切り欠き部49内を移動できる範囲内において、第1接続部材41Aの長手方向に沿って図3の左右方向に移動することができる。同様に、連結部材収容部43(43A)の連結ユニット42A2側も、その係合突起47が切り欠き部49内を移動できる範囲内において、第1接続部材41Aの長手方向に沿って左右方向に移動することができる。このようにして、接続部材収容部43(43A)は、第1接続部材41Aの長手方向に沿って伸縮可能(所謂、スライド可能)となっている。
【0041】
また、連結ユニット42A3は、連結ユニット42A4と組み合せられる。そして、これらの連結ユニット42A3,42A4によって、第1接続部材41Aを収容する接続部材収容部43(43A)が2つ形成される。これらの連結ユニット42A3,42A4によって形成される接続部材収容部43(43A)の基本的な構成は、上述した2つの連結ユニット42A1,42A2によって形成される接続部材収容部43(43A)と同様である。これらの連結ユニット42A3,42A4によって形成される接続部材収容部43(43A)も、第1接続部材41Aの長手方向に沿って伸縮可能(所謂、スライド可能)となっている。
【0042】
また、上述した連結ユニット42A1は、連結ユニット42A3とも組み合せられる。そして、これらの連結ユニット42A1,42A3によって、第2接続部材41Bを収容する接続部材収容部43(43B)が1つ形成される。接続部材収容部43(43B)は、図6の上下方向に沿って延びた小型の容器状をなしており、その内側で第2接続部材41Aを保持する。また、接続部材収容部43(43B)は、第2接続部材41Bの長手方向に沿って伸縮可能に構成されている。
【0043】
接続部材収容部43(43B)は、第2接続部材41Bが載せられる長手状の底板部と、この底板部の周りを囲む角筒状の周壁部とを備えている。前記底板部及び前記周壁部は、それぞれ連結ユニット42A1側と、連結ユニット42A3側とに分かれている。前記底板部における長手方向の両端には、それぞれ開口部44が設けられている。この開口部44は、第2接続部材41Bの端部を、電極端子32と接触できるように接続部材収容部43(43B)から露出させている。
【0044】
前記周壁部の内面側には、第2接続部材41Bがその厚み方向に(上方に)浮き上がるのを規制する規制突起46が複数個設けられている。この規制突起46は、前記周壁部の内面から突出した形状をなしており、第2接続部材41Bをその上面側から底板部側に向かって押さえている。また、前記周壁部の内面側には、第2接続部材41Bの各切り欠き部49とそれぞれ係合する係合突起47が複数個設けられている。図3に示されるように、係合突起47は、前記周壁部の内面から突出した形状をなすと共に、第2接続部材41Bの長手方向に沿って延びた形状をなしている。また、係合突起47は、切り欠き部49よりも小さく設定されており、そして、係合突起47の前記長手方向における両端部分と切り欠き部49との間に、予め隙間が設けられている。
【0045】
接続部材収容部43(43B)の連結ユニット42A1側は、その係合突起47が切り欠き部49内を移動できる範囲内において、第2接続部材41Bの長手方向に沿って図3の上下方向に移動することができる。同様に、接続部材収容部43(43B)の連結ユニット42A3側も、その係合突起47が切り欠き部49内を移動できる範囲内において、第2接続部材41Bの長手方向に沿って図3の上下方向に移動することができる。このようにして、接続部材収容部43(43B)は、第1接続部材41Bの長手方向に沿って伸縮可能(所謂、スライド可能)となっている。
【0046】
また、連結ユニット42A2は、連結ユニット42A4とも組み合せられる。そして、これらの連結ユニット42A2,42A4によって、第2接続部材41Bを収容する接続部材収容部43(43B)が1つ形成される。これらの連結ユニット42A2,42A4によって形成される接続部材収容部43(43B)の基本的な構成は、上述した連結ユニット42A1,42A3によって形成される接続部材収容部43(43B)と同様である。これらの連結ユニット42A2,42A4によって形成される接続部材収容部43(43B)も、第2接続部材41Bの長手方向に沿って伸縮可能(所謂、スライド可能)となっている。
【0047】
なお、連結ユニット42A3には、第2接続部材41Bを収容する接続部材収容部43(43C)が設けられている。この接続部材収容部43(43C)は、第2接続部材41Bの長手方向に沿って伸縮しないものの、接続部材収容部43(43B)と同様、底板部と、この底板部を取り囲む周壁部とを備えている。また、接続部材収容部43(43C)は、接続部材収容部43(43B)と同様、開口部44、係合突起47等を備えている。
【0048】
また、連結ユニット42A2と連結ユニット42A4とには、それぞれ開口部45A,45Bが設けられている。これらの開口部45A,45Bからは、電池配線モジュール4Aが単電池群3A,3Bに載せられた際に、直列接続された各単電池31の端部に位置する電極端子32がそれぞれ露出される。連結ユニット42A2の開口部45Aからは、単電池群3Bの最も後方にある単電池31の電極端子32(32B)が露出される。これに対して、連結ユニット42A4の開口部45Bからは、単電池群3Bの最も前方にある単電池31の電極端子32(32A)が露出される。なお、本実施形態の場合、開口部45Bの方が、開口部45Aよりも大きく設定されている。
【0049】
このような樹脂プロテクタ42Aは、電極端子32の取付誤差等によって生じる接続部材41の端部と電極端子32との位置ずれ等に応じて、左右方向(第1接続部材41Aの長手方向)及び前後方向(第2接続部材41Bの長手方向)に、それぞれある程度、伸長し、又は収縮して、変形(伸縮変形)することができる。なお、樹脂プロテクタ42Aは、全体的に見て、1つの底板401と、この底板401を取り囲む扁平な角筒状の周壁402とを備えているとも言える。
【0050】
樹脂プロテクタ42A内には、接続部材41以外に、各単電池31の電圧を検知するための複数個の電圧検知端子(不図示)が設けられている。各電圧検知端子は、各接続部材41上に重ねられており、そして各電圧検知端子には、電圧検知用電線(不図示)が圧着等によってそれぞれ接続されている。なお、これらの電圧検知用電線は、電池ECU(不図示)に接続されている。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各単電池31の電圧、電流、温度等の検知や、各単電池31の放充電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0051】
樹脂プロテクタ42の周壁402には、突起状の係止部403が複数個設けられている。係止部403は、樹脂プロテクタ42の長辺側の周壁402に設けられている。この係止部403は、カバー43Aを樹脂プロテクタ42Aに取り付ける際に利用される。
【0052】
図7は、単電池群3A及び3B上に載せられた状態の第1電池配線モジュール4Aの平面図である。図7に示されるように、第1電池配線モジュール4Aは、2つの単電池群3A及び3Bの上面上に、載せられた状態で固定される。この第1電池配線モジュール4Aによって、2つの単電池群3A及び3Bが互いに電気的に接続される。つまり、2つの単電池群3A及び3Bに含まれる各単電池31は、第1電池配線モジュール4Aを利用して、直列接続されている。
【0053】
(モジュール用カバー)
図8は、第1電池モジュール1Aの平面図である。図8に示される第1電池モジュー1Aは、第1電池配線モジュール用カバー43Aを備えている。このカバー43Aは、樹脂プロテクタ42A内の接続部材41等を覆うように、第1電池配線モジュール4A(樹脂プロテクタ42A)に取り付けられる。カバー43Aは、上面から見て概ね左右方向に長い矩形状をなしている。カバー43Aは、工具等が接続部材41に接触して電池モジュール1(第1電池モジュール1A)が短絡すること等を防止するために、容器状の樹脂プロテクタ42Aの口(周壁402の上端部分が囲む部分)を覆うように、樹脂プロテクタ42Aに対して着脱可能に取り付けられる。カバー43Aは、樹脂プロテクタ42Aと同様、絶縁性の合成樹脂材料からなる。カバー43Aは、板状のカバー本体部143Aと、このカバー本体部143Aの長辺側の端部に設けられる複数個の被係止部404とを備えている。被係止部404は環状をなしており、この被係止部404内に、樹脂プロテクタ42Aが備える突起状の係止部403が挿入される。そして、係止部403と被係止部404とが互いに係わり合って、カバー43Aが樹脂プロテクタ42Aに取り付けられる。
【0054】
なお、図8に示されるように、カバー42Aの右端部分は凸状をなしており、第1電池配線モジュール4Aの一部は、前記カバー42Aによって覆われておらず、露出している。そして、この部分には、樹脂プロテクタ42Aの2つの開口部45A,45Bがそれぞれ配されており、これらの開口部45A,45Bから、それぞれ電極端子32(32B,23A)が露出している。
【0055】
(第2電池モジュール)
次いで、図1及び図9を参照しつつ、第2電池モジュール1Bについて説明する。図9は、単電池群3C,3D上に載せられた状態の第2電池配線モジュール1Bの平面図である。図1に示されるように、第2電池モジュール1Bは第1電池モジュール1Aと共に利用される。第2電池モジュール1Bは、上述した第1電池モジュール1Aと同種であり、第2電池モジュール1Bの基本的な構成は、第1電池モジュール1Aと同様である。図1に示される電池モジュール1Aを180°回転させると、概ね図1に示される電池モジュール1Bとなる。第2電池モジュール1Bは、2個の単電池群3C,3Dと、これらの単電池群3C,3Dに固定される第2電池配線モジュール4Bと、この第2電池配線モジュール4Bに被せられる第2電池配線モジュール用カバー43Bとを備えている。このカバー43Bの基本的な構成は、カバー43Aと同じである。
【0056】
第2電池配線モジュール4Bの基本的な構成は、概ね第1電池配線モジュール4Aと同じである。ただし、第2電池配線モジュール4Bが備える樹脂プロテクタ42Bの構造が、樹脂プロテクタ42Aと一部、異なっている。具体的には、樹脂プロテクタ42Bにおける2つの開口部45A,45Bの位置関係が、樹脂プロテクタ42Aの場合と逆になっている。
【0057】
図9に示されるように、第2電池配線モジュール4Bは、2つの単電池群3C及び3Dの上面上に、載せられた状態で固定される。この第2電池配線モジュール4Bによって、2つの単電池群3C及び3Dが互いに電気的に接続される。つまり、2つの単電池群3C及び3Dに含まれる各単電池31は、第2電池配線モジュール4Bを利用して、直列接続されている。
【0058】
樹脂プロテクタ42Bの開口部45Aからは、単電池群3Cの最も後方にある単電池31の電極端子32(32A)が露出される。これに対して、樹脂プロテクタ42Bの開口部45Bからは、単電池群3Cの最も前方にある単電池31の電極端子32(32B)が露出される。
【0059】
図10は、互いに間隔を置いて隣り合った第1電池モジュール1A及び第2電池モジュール1Bの平面図である。図10に示されるように、第1電池モジュール1Aの単電池群3B側と、第2電池モジュール1Bの単電池群3C側とが向かい合うように、第1電池モジュール1Aと第2電池モジュール1Bとが所定間隔を置いて並べられている。そして、第1電池モジュール1Aにおける露出した2つの電極端子32(32B,32A)と、第2電池モジュール1Bにおける露出した2つの電極端子32(32A,32B)とが、互いに近付けられている。
【0060】
図10に示されるように、第1電池モジュール1A側における開口部45Aから露出した電極端子32Bは、第2電池モジュール1B側における開口部45Aから露出した電極端子32Aと隣り合っている。これらの単電池群3B,3C間で隣り合った対極同士の電極端子32B及び32Aには、それぞれ外部接続端子(不図示)が接続される。そして、これらの外部接続端子には、外部のインバータ等に繋がる電線端末が接続される。
【0061】
また、図10に示されるように、第1電池モジュール1A側における開口部45Bから露出した電極端子32Aは、第2電池モジュール1B側における開口部45Bから露出した電極端子32Bと隣り合っている。これらの単電池群3B,3C間で隣り合った対極同士の電極端子32A及び32Bには、図1に示されるように、カバー付きバスバー2の端部がそれぞれ接続される。
【0062】
(カバー付きバスバー)
次いで、図11ないし図16を参照しつつ、カバー付きバスバー2の構造について説明する。カバー付きバスバー2は、バスバー21に、バスバーカバー5が取り付けられたものからなる。このカバー付きバスバー2が備えるバスバー21によって、第1電池モジュール1Aの単電池群3A,3Bと、第2電池モジュール1Bの単電池群3C,3Dとが、互いに電気的に接続(直列接続)される。
【0063】
(バスバー)
図11は、バスバー21の平面図であり、図12は、バスバー21の側面図である。図11に示されるように、バスバー21は、全体として概ね長尺状(帯状)をなしている。バスバー21は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料からなる板材を、所定形状に加工(例えば、打ち抜き加工、折り曲げ加工)したものからなる。バスバー21は、第1電池モジュール1Aと第2電池モジュール1Bとの間に架け渡されて、これらを互いに電気的に接続するために利用される。なお、本実施形態のバスバー21は、上述した第1電池配線モジュール4A等に利用される接続部材41よりも大きい(長い)。
【0064】
バスバー21は、バスバー本体部22と、このバスバー本体部22を挟むように配されている一対の端部23(23A,23B)とを備えている。各端部23(23A,23B)には、それぞれ通し孔24が設けられている。
【0065】
バスバー本体部22は、真っ直ぐに延びた長尺状の板状部分からなる。このバスバー本体部22の両端には、側面から見てL字状をなした板材部分からなる端部23(23A,23B)が、それぞれ延設されている。端部23は、平坦な固定部231と、この固定部231に延設された立ち上がり部232とからなる。
【0066】
固定部231は、電極端子32上に載せられると共に、その電極端子32に固定される部分である。固定部231は、概ね矩形状であるものの、図11に示されるように、その周縁部分は丸みを帯びている。また、固定部231には、上述した通し孔24が設けられている。この通し孔24は、図11に示されるように、上面から見て、所謂、長穴状となっており、バスバー本体部22の長手方向に沿って拡がった形状をなっている。この通し孔24は、電池モジュール1A,1Bが備える電極端子32のネジ孔33よりも大きく設定されている。このような通し孔24は、上述した金属材料からなる板材に、公知の穴あけ加工を施すことによって形成される。また、固定部231は、バスバー本体部22に対して平行に配されている。
【0067】
立ち上がり部232は、固定部231から上方に向かって立ち上がっている。そして、立ち上がり部232の上端部分は、バスバー本体部22に接続されている。立ち上がり部232は、バスバー本体部22及び固定部231に対して垂直に配されている。
【0068】
バスバー本体部22の長さ、立ち上がり部232の高さ(固定部231からの高さ)、及び固定部231の大きさ等のバスバー21における諸条件は、取付対象の第1電池モジュール1A及び第2電池モジュール1Bの形状等に応じて、適宜、設定される。なお、本実施形態の場合、図11及び図12において左側に示される端部23Aと、右側に示される端部23Bとは、互いに同じ形状に設定されている。
【0069】
(バスバーカバー)
バスバーカバー5は、絶縁性の合成樹脂材料を所定形状に加工したものからなる。図13は、展開された状態のバスバーカバー5の平面図である。本実施形態のバスバーカバー5は、バスバー21に対して着脱可能に取り付けられる。バスバーカバー5は、バスバー21に取り付けられると、全体として筒状をなす。これに対して、取り付けられる前の状態では、図13に示されるように、バスバーカバー5は展開されて平面状に広がった形をなすことができる。
【0070】
バスバーカバー5は、図13に示されるように、本体部51と、この本体部51の端部に設けられるヒンジ部52と、このヒンジ部52を介して前記本体部51に取り付けられる蓋部53とを備えている。なお、図14は、蓋部53が開いた状態のカバー付きバスバー2の平面図であり、図15は、蓋部53が開いた状態のカバー付きバスバー2の正面図であり、図16は、蓋部53が開いた状態のカバー付きバスバー2の側面図である。
【0071】
本体部51は、図14等に示されるように、バスバー21における長尺状のバスバー本体部22を覆う部分であり、バスバー21に取り付けられた際に、全体として筒状をなす部分である。この本体部51は、長手状の筒体511と、この筒体511の両端部に設けられる2つの枠体512(512A,512B)とを備えている。
【0072】
筒体511は、図13に示されるように、底部511Aと、天井部511Bとを有する。底部511Aは、主として、バスバー本体部22の下面側を覆う部分であり、細長く延びた板状をなしている。そして底部511Aの長手方向に沿った両端部は、それぞれ上方に向かって若干、立ち上がっている。これらのうち、一方の端部には、2つのヒンジ部513が設けられている。これらのヒンジ部513を介して底部511Aは、天井部511Bに接続されている。また、他方の端部には、2つの環状(リング状)の係合部514が設けられている。
【0073】
天井部511Bは、主として、バスバー本体部22の上面側を覆う部分であり、底部511Aと同様、細長く延びた板状をなしている。そして、天井部511Bの長手方向に沿った両端部は、図13に示されるようにバスバーカバー5が展開された状態で、それぞれ上方に向かって若干、立ち上がっている。これらのうち、一方の端部には、上述した2つのヒンジ部513が設けられている。また、他方の端部には、上述した環状の係合部514と係合する突起状の被係合部515が、2つ設けられている。
【0074】
ヒンジ部513は、可撓性を有しているため、折れ曲がるように変形することができる。そのため、ヒンジ部513を介して互いに繋がっている天井部511Bと底部511Aとが、互いに近付くように、及び互いに離れるように移動することができる。
【0075】
筒体511は、天井部511Bが底部511A上に重ね合わせられると、バスバー本体部11を包むような扁平な筒状となる。なお、天井部511Bが備える被係合部515を、底部511Aが備える係合部514に挿入させた状態で互いに係合させることによって、天井部511B及び底部511Aは互いに固定される。また、図14に示されるように、筒体511の両端からはバスバー22の両端部23(23A,23B)がそれぞれ露出している。
【0076】
枠体512(512A,512B)は、筒体511の両端からそれぞれ外側に突出する形で設けられている。本実施形態の場合、枠体512(512A,512B)は、底部511Aの両端部にそれぞれ延設されている。一方の枠体512Aは、図14に示されるように、バスバーカバー5がバスバー21に取り付けられた際に、上方から見て、バスバー21の端部23Aの周りを囲むような形をなしている。そして、図15に示されるように、枠体511Aは、端部23Aにおける固定部231よりも上方に配されている。枠体511Aは、上面から見て、概ねU字状をなしている。枠体511Aは、筒体511の長手方向に沿って互いに平行に配された2つの部分512a,512bと、これらの部分512a,512bによって挟まれた部分512cとからなる。2つの部分512a,512bのうち、一方の部分512aにヒンジ部52Aが設けられている。このヒンジ部52Aを介して蓋部53Aが枠体512Aに取り付けられている。また、他方の部分512bには、突起状の被係合部54が設けられている。
【0077】
また、他方の枠体512Bは、上述した枠体512Aと同じ形状であり、図14に示されるように、バスバーカバー5がバスバー21に取り付けられた際に、上方から見て、バスバー21の端部23Bの周りを囲むような形をなしている。そして、図15に示されるように、枠体511Bは、端部23Bにおける固定部231よりも上方に配されている。枠体511Bは、上面から見て、概ねU字状をなしている。枠体511Bは、枠体512Aと同様、筒体511の長手方向に沿って互いに平行に配された2つの部分512a,512bと、これらの部分512a,512bによって挟まれた部分512cとからなる。2つの部分512a,512bのうち、一方の部分512aにヒンジ部52Bが設けられている。このヒンジ部52Bを介して蓋部53Bが枠体512Bに取り付けられている。また、他方の部分512bには、突起状の被係合部54が設けられている。
【0078】
なお、図14等に示されるように、バスバー21の端部23(23A,23B)は、蓋部53(53A,53B)で覆われていない状態では、バスバーカバー5の本体部51から共に露出した状態にあると言える。
【0079】
蓋部53(53A,53B)は、枠体512(512A,512B)の内側にある開口部分を塞ぐような板状をなしている。そして、上述したように蓋部53Aは、ヒンジ部52Aを介して枠体512Aに接続されている。蓋部53Aの端部には、枠体512Aに設けられている突起状の被係合部54と係合する環状(リング状)の係合部531が設けられている。これに対して、蓋部53Bは、ヒンジ部52Bを介して枠体512Bに接続されている。そして、蓋部53Bの端部には、枠体512Bに設けられている突起状の被係合部54と係合する環状(リング状)の係合部531が設けられている。
【0080】
ヒンジ部52(52A,52B)は、可撓性を有しているため、折れ曲がるように変形することができる。そのため、ヒンジ部52(52A,52B)を介して枠体512(512A,512B)に繋がっている蓋部53(53A,53B)は、枠体512(512A,512B)に近付いて前記バスバー21の端部23(23A,23B)を覆うように移動することができる。また、蓋部53(53A,53B)は、枠体512(512A,512B)から遠ざかって前記バスバー21の端部23(23A,23B)を露出させるように移動することもできる。つまり、蓋部53(53A,53B)は、枠体512(512A,512B)に対して近付くように、及び枠体512(512A,512B)から遠ざかるように、揺れ動く(揺動する)ことができる。
【0081】
なお、蓋部53が、枠体512の内側にある開口部分を塞ぐ際、蓋部53が備える環状の係合部531内に、枠体512が備える突起状の被係合部54が挿入されて、係合部531及び被係合部54が互いに係合される。そして、係合部531及び被係合部54が互いに係合されることによって、蓋部53が、枠体512に対して固定される。なお、蓋部53は、枠体512に対して、係合部531及び被係合部54を利用して、着脱可能に固定されている。
【0082】
図14ないし図16に示されるように、バスバーカバー5は、その蓋部53(53A,53B)が開いた状態で、バスバー21に取り付けることができる。つまり、バスバーカバー5は、バスバー21の端部23(23A,23B)を露出させたままの状態で、端部23以外の部分(つまり、バスバー本体部22)を覆うことができる。このようなバスバーカバー5を備えたバスバー21(つまり、カバー付きバスバー2)は、単電池群3B,3C間で隣り合った対極同士の電極端子32A及び32B(図10参照)に、取り付け易い。以下、その理由を説明する。
【0083】
(取付工程)
図17は、第1電池モジュール1A及び第2電池モジュール1Bに蓋部53A,53Bが開いた状態で取り付けられているカバー付きバスバー2の平面図である。図17に示されるように、単電池群3B,3C間で隣り合った対極同士の電極端子32A及び32Bに、それぞれカバー付きバスバー2の端部が載せられる。その際、バスバー21に取り付けられているバスバーカバー5の各蓋部53A,53Bは、それぞれ開いた状態となっており、バスバー21の各端部23A,23Bがバスバーカバー5から露出されている。
【0084】
このようにカバー付きバスバー2の蓋部53A,53Bが開いていると、バスバー21の各端部23A,23Bの位置を確認し易い。そのため、バスバー21の各端部23A,23Bの位置を確認しつつ、各電極端子32A,32B上に載せ易くなっている。
【0085】
カバー付きバスバー2の各端部が、各電極端子32A,32B上に載せられた後、各端部(端部23A,23B)に設けられている各通し孔24と、各電極端子32A,32Bに設けられているネジ孔33との位置合わせが行われる。この位置合わせの際も、カバー付きバスバー2の蓋部53A,53Bが開いていると、通し孔24の位置とネジ孔33の位置とをそれぞれ確認し易い。したがって、通し孔24とネジ孔33との位置合わせを行い易い。
【0086】
図18は、図1に示されるA−A’線におけるカバー付きバスバー2を備えた電池モジュール1の部分断面図である。図18に示されるように、互いに位置合わせされた通し孔24及びネジ孔33には、固定用ボルト6の軸部62が挿入される。そして、軸部62の端部に設けられている頭部61に、所定の工具が宛がわれて、固定用ボルト6が回転される。すると、頭部61がバスバー21の端部23を電極端子32に対して押さえ付けた状態で、固定用ボルト6の軸部62がネジ孔33に螺着される。つまり、バスバー21の端部23は、固定用ボルト6によって電極端子32に締付けられている。このように、固定用ボルト6を利用して、カバー付きバスバー2の端部(バスバー21の端部23)は、電極端子33に固定される(所謂、ボルト締めされる)。
【0087】
ところで、上述したような、固定用ボルト6をバスバー21の端部23及び電極端子33に取り付ける作業は、例えば、図17に示されるように、カバー付きバスバー2における蓋部53A,53Bが開けられた状態で行われる。固定用ボルト6の取付作業は、工具(例えば、六角レンチ)を、枠体512の内側に挿入した状態で行われる。そのため、図17に示されるように蓋部53が、枠体512の外側に広がった状態で開けられていれば、蓋部53が工具と接触し、干渉すること等が抑制される。つまり、バスバー21にバスバーカバー5が取り付けられていても、蓋部53が開けられていれば、バスバーカバー5が固定用ボルト6の取付作業の妨げとはならない。
【0088】
固定用ボルト6によってバスバー21の端部23と電極端子32とが固定された後、図18(又は図1)に示されるように、バスバーカバー5の各蓋部53A,53Bが閉じられる。なお、各蓋部53A,53Bは、各枠体512A,512Bに対して固定されている。つまり、それまでバスバーカバー5から露出していたバスバー21の各端部23A,23Bが、それぞれ各蓋部53A,53Bによって、上方から覆われることになる。要するに、第1電池モジュール1Aと第2電池モジュール1Bとの間に架け渡されたバスバー21の各端部23A,23Bは、各蓋部53A,53Bによって保護される。したがって、バスバー21の各端部23A,23Bに、工具等が接触することが防止される。
【0089】
また、これらの蓋部53A,53Bの表面は、本体部51(筒体511の天井部511B)の表面と共に、同一平面をなしている。つまり、バスバーカバー5全体の表面が、平坦になっている。本実施形態のカバー付きバスバー2は、バスバー21の両端部23A,23Bが、それぞれ下方に向かってL字状に突出した形になっている。そして、固定用ボルト6の頭部61の位置が、バスバー21の本体部22よりも低くなるように設定されている。つまり、固定用ボルト6の頭部61が、本体部22よりも上方に向かって突出しないように設定されている。したがって、蓋部53A,53Bの表面の位置を、本体部51(筒体511の天井部511B)の表面の位置と同じに設定することができる。そのため、本実施形態の蓋部53A,53Bは、本体部51よりも盛り上がって突出することがないため、蓋部53A,53Bが、電池モジュール1の外側にある物体等と干渉することが抑制される。
【0090】
また、これらの蓋部53A,53Bは、それぞれヒンジ部52A,52Bを介して、それぞれ枠体512A,512Bに直接取り付けられている。つまり、各蓋部53A,53Bは、本体部51に対して一体的に設けられている。そのため、蓋部53が本体部51から離脱して、紛失等する虞もない。
【0091】
なお、図18に示されるように、バスバーカバー5の枠体512Aは、樹脂プロテクタ42Aの開口部45Bを囲む容器状の部分に、重ね合わせられている。そして、バスバー21の端部23Aは、前記開口部45Bを囲む容器状の部分の内側に挿入されている。また、前記開口部45Bを囲む容器状の部分の底側に、電極端子32Aが露出するように配されている。このように、バスバー21の端部23Aが挿入される部分が、電極端子32Aを囲むような容器状となっていると、電極端子32A上に、バスバー21のL字状の端部23Aを導き易い。つまり、バスバー21の端部23Aを、容器状の部分に嵌合させることによって、バスバー21の端部23Aを電極端子32Aに概ね位置合わせできる。
【0092】
なお、バスバー21の端部23Aにおける立ち上がり部232は、前記開口部45を囲む容器状の部分の周壁と接触している。また、端部23Aにおける固定部231は、電極端子32Aの上面と共に、前記開口部45を囲む容器状の部分の底と接触している。
【0093】
同様に、バスバーカバー5の枠体512Aも、樹脂プロテクタ42Bの開口部45Bを囲む容器状の部分に、重ね合わせられている。そして、バスバー21の端部23Bは、前記開口部45Bを囲む容器状の部分の内側に挿入されている。また、前記開口部45Bを囲む容器状の部分の底側に、電極端子32Bが露出するように配されている。このように、バスバー21の端部23Bが挿入される部分が、電極端子32Bを囲むような容器状となっていると、電極端子32B上に、L字状のバスバー21の端部23Bを導き易い。つまり、バスバー21の端部23Bを、容器状の部分に嵌合させることによって、バスバー21の端部23Bを電極端子32Bに概ね位置合わせできる。
【0094】
なお、バスバー21の端部23Bにおける立ち上がり部232は、前記開口部45を囲む容器状の部分の周壁と接触している。また、端部23Bにおける固定部231は、電極端子32Bの上面と共に、前記開口部45を囲む容器状の部分の底と接触している。
【0095】
上述したように、本実施形態のカバー付きバスバー2は、各電池モジュール1A,1Bに対する取付作業中は、各蓋部53A,53Bが開けられていれば、その取付作業の妨げとはならない。そして、その取付作業後に、各蓋部53A,53Bが閉じられることによって、バスバー2の端部が絶縁材料で保護される。したがって、本実施形態のカバー付きバスバー2は、各電池モジュール1A,1Bに対する取付作業を行い易く、しかも取付作業後は、バスバー21がバスバーカバー5によって全体的に覆われるため、バスバー2が確実に絶縁材料で保護される。
【0096】
<実施形態2>
次いで、図19を参照しつつ、実施形態2を説明する。図19は、実施形態2に係るカバー付きバスバー2Aの平面図である。本実施形態2のカバー付きバスバー2Aは、実施形態1と同じバスバー21に、バスバーカバー5Aを取り付けたものからなる。このバスバーカバー5Aの基本的な構成は、実施形態1のバスバーカバー5と同じである。ただし、本実施形態のバスバーカバー5Aは、実施形態1のバスバーカバー5が備えている係合部531と、被係合部54とが除かれた構成となっている。
【0097】
本獅子形態のバスバーカバー5Aにおいて、各蓋部53A,53Bは、それぞれ枠体512A,512Bに対して、粘着テープ等を利用して取り付けられる。このように、粘着テープ等を利用して、各蓋部53A,53Bを各枠体512A,512Bにそれぞれ取り付けてもよい。
【0098】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、バスバー21の端部23がL字状に折れ曲がった形状となっていたが、他の実施形態のおいては、本体部22と共に端部32も真っ直ぐに延びた形状であってもよい。
【0099】
(2)上記実施形態では、バスバー21の本体部22は、真っ直ぐに延びた形状となっていたが、他の実施形態においては、例えば、クランク状等に曲がった形状であってもよい。
【0100】
(3)上記実施形態では、バスバーカバー5の蓋部53は、枠体512の部分512aにヒンジ部52を介して取り付けられていたが、他の実施形態においては、必要に応じて、枠体512に対する取付位置が変更されてもよい。
【0101】
(4)上記実施形態では、バスバーカバー5の蓋部53に、環状の係合部531が設けられ、枠体512に、突起状の被係合部54が設けられていたが、他の実施形態においては、反対に、蓋部53に突起状の被係合部54が設けられ、枠体512に環状の係合部531が設けられてもよい。
【0102】
(5)上記実施形態では、電池配線モジュール4Aによって接続された単電池群3A,3B同士と、電池配線モジュール4Bによって接続された単電池群3C,3D同士とが、バスバー21(カバー付きバスバー2)によって電気的に接続されていた。他の実施形態においては、各電池配線モジュール4A,4Bを備えていない単電池群同士が、バスバー21(カバー付きバスバー2)によって電気的に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…電池モジュール、1A…第1電池モジュール、1B…第2電池モジュール、2,2A…カバー付きバスバー、21…バスバー、22…バスバー本体部、23(23A,23B)…バスバーの端部、24…通し孔、231…固定部、232…立ち上がり部、3(3A,3B,3C,3D)…単電池群、31…単電池、32…電極端子、32A…電極端子(正極側)、32B…電極端子(負極側)、33…ネジ孔、4A…第1電池配線モジュール、4B…第2電池配線モジュール、41(41A,41B)…接続部材、5…バスバーカバー、5…バスバーカバー、51…バスバーカバー本体部、52(52A,52B)…ヒンジ部、53(53A,53B)…蓋部、531…係合部、54…被係合部、511…筒体、511A…筒体の底部、511B…筒体の天井部、512(512A,512B)…枠体、513…筒体のヒンジ部、514…筒体の係合部、515…筒体の被係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーカバー、及びカバー付きバスバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等における車両用の電池モジュールは、複数個の単電池同士が並べられてなる単電池群を備えている。単電池群を構成する各単電池は、それぞれ正極側の電極端子と、負極側の電極端子とを有しており、隣り合った単電池同士が有する対極同士の電極端子間が、金属製のバスバーによって電気的に接続されている。
【0003】
前記バスバーは、単電池群に複数個所ある前記電極端子間にそれぞれ取り付けられる。このようなバスバーを利用して、単電池群を構成する各単電池は、互いに電気的に直列接続されている。
【0004】
なお、前記バスバーを単電池群の各電極端子間にそれぞれ一個ずつ取り付けると、その取付作業に時間がかかってしまう。そのため、特許文献1等に示されるように、複数本のバスバーを各電極端子間に纏めて位置決めできる電池配線モジュールが利用されている。この種の電池配線モジュールは、複数本のバスバーが樹脂等からなる絶縁性の基材で保持されたものからなり、単電池群上に載せられた状態で固定される。
【0005】
ところで、単電池群に含まれる単電池数が多くなりすぎると、電極端子の取付誤差等が積み重なって、前記対極同士の電極端子間が、許容範囲を超えて広くなり、又は狭くなる場合がある。このような場合に、上述した電池配線モジュールを利用すると、却ってバスバーを前記電極端子間に取り付けることが難しくなることがある。そのため、上述した電池モジュールでは、全ての単電池を、1つの単電池群として纏めるのではなく、複数個の単電池群に分けて利用することがある。また、電池モジュールの搭載スペースの都合等によっても、複数個の単電池群に分けて利用されることがある。
【0006】
なお、複数個の単電池群同士は、専用のバスバーを利用して、互いに電気的に接続される。この種のバスバーは、その両端部が対極同士の各電極端子に対してそれぞれボルト締め等によって固定される。そして、両端部が固定された状態で、単電池群間に架け渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−8957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
単電池群間に架け渡された前記バスバーが、露出したままの状態であると、前記バスバーに工具等が触れて、電池モジュールが短絡(ショート)してしまう虞がある。そのため、前記バスバーを、絶縁材料で被覆することが考えられる。ただし、前記バスバーの端部は、少なくとも前記バスバーの取付作業中は、取付作業の妨げとならないように露出させておく必要がある。また、単電池群間に前記バスバーが取り付けられた後は、前記バスバーの端部も絶縁材料で被覆されていることが好ましい。
【0009】
しかしながら、これらの要求に応えつつ前記バスバーを絶縁材料で被覆する技術は知られておらず、問題となっている。
【0010】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであり、単電池群同士を電気的に接続するためのバスバーを絶縁材料で被覆する技術であって、前記バスバーが前記単電池群間に取り付けられる際は前記バスバーの端部が前記絶縁材料から露出可能であると共に、前記バスバーが前記単電池群間に取り付けられた後は、前記バスバーの端部が前記絶縁材料で被覆可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るバスバーカバーは、正負一対の電極端子を含む複数の単電池同士が並べられてなる単電池群と、この単電池群と隣り合った同種の単電池群との間において、対極同士の電極端子間を電気的に接続するために、両端部が前記電極端子にそれぞれ固定されるバスバーに対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバーであって、前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する本体部と、前記本体部の端部に設けられるヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記本体部に取り付けられると共に、前記バスバーの端部を覆うように、及び前記バスバーの端部を露出させるように前記ヒンジ部によって揺動する蓋部と、を備える。前記バスバーカバーがこのような構成を備えることによって、前記バスバーカバーは、必要に応じて前記バスバーの端部を露出させることができると共に、前記バスバーの端部を覆うことができる。
【0012】
前記バスバーカバーにおいて、前記蓋部に設けられる係合部と、前記本体部の端部に設けられると共に、前記係合部と係合することによって前記蓋部が前記バスバーの端部を覆った状態で固定される被係合部と、を備えることが好ましい。前記バスバーカバーが、前記係合部及び前記被係合部を備えることによって、前記蓋部が前記バスバーの端部を覆った状態で固定される。
【0013】
前記バスバーカバーにおいて、前記本体部は、前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する筒体と、この筒体の端部に設けられるとともに、前記筒体から露出した前記バスバーの端部を囲む枠体と、を有し、前記ヒンジ部及び前記被係合部が、それぞれ前記枠体に設けられることが好ましい。
【0014】
前記バスバーカバーにおいて、前記筒体は、前記バスバーの下面側を覆う底部と、前記バスバーの上面側を覆う天井部とを含み、前記底部及び前記天井部が前記バスバーに対して着脱可能に取り付けられてもよい。前記筒体が、前記バスバーに対して着脱可能であると、前記バスバーに対して、前記バスバーカバーを後付けできる構成となる。
【0015】
前記バスバーの端部は、前記電極端子上に載せられると共に前記電極端子に固定される固定部と、この固定部から立ち上がる立ち上がり部とを含んでもよい。前記バスバーの端部が前記固定部及び前記立ち上がり部を含んでいると、前記固定部に固定される相手側の電極端子との位置合わせを行い易くなる。
【0016】
本発明に係るカバー付きバスバーは、正負一対の電極端子を含む単電池同士が並べられてなる単電池群と、この単電池群と隣り合った同種の単電池群との間において、対極同士の電極端子間を電気的に接続するために、両端部が前記電極端子にそれぞれ固定されるバスバーと、前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する本体部と、前記本体部の端部に設けられるヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記本体部に取り付けられると共に、前記ヒンジ部によって前記バスバーの端部を覆うように、及び前記バスバーの端部を露出させるように揺動する蓋部とを有し、前記バスバーに対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバーと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単電池群同士を電気的に接続するためのバスバーを絶縁材料で被覆する技術であって、前記バスバーが前記単電池群間に取り付けられる際は前記バスバーの端部が前記絶縁材料から露出可能であると共に、前記バスバーが前記単電池群間に取り付けられた後は、前記バスバーの端部が前記絶縁材料で被覆可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係るカバー付きバスバーを備えた電池モジュールの平面図
【図2】単電池群の平面図
【図3】第1電池配線モジュールの平面図
【図4】第1接続部材の平面図
【図5】第2接続部材の平面図
【図6】樹脂プロテクタを構成する各連結ユニットの平面図
【図7】単電池群上に載せられた状態の第1電池配線モジュールの平面図
【図8】第1電池モジュールの平面図
【図9】単電池群上に載せられた状態の第2電池配線モジュールの平面図
【図10】互いに間隔を置いて隣り合った第1電池モジュール及び第2電池モジュールの平面図
【図11】バスバーの平面図
【図12】バスバーの側面図
【図13】展開された状態のバスバーカバーの平面図
【図14】蓋部が開いた状態のカバー付きバスバーの平面図
【図15】蓋部が開いた状態のカバー付きバスバーの正面図
【図16】蓋部が開いた状態のカバー付きバスバーの側面図
【図17】第1電池モジュール及び第2電池モジュールに蓋部が開いた状態で取り付けられているカバー付きバスバーの平面図
【図18】図1に示されるA−A’線におけるカバー付きバスバーを備えた電池モジュールの部分断面図
【図19】実施形態2に係るカバー付きバスバーの平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
(電池モジュール)
以下、本発明の実施形態1を、図1ないし図18を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1に係るカバー付きバスバー2を備えた電池モジュール1の平面図である。図1に示される電池モジュール1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両用の駆動源として利用される。図1に示されるように、電池モジュール1は、第1電池モジュール1Aと第2電池モジュール1Bとが、カバー付きバスバー2を介して互いに接続されたものからなる。図1において左側に第1電池モジュール1Aが示されており、右側に第2電池モジュール1Bが示されている。なお、図1における下側が、電池モジュール1の前側(正面側)に対応し、図1における上側が、電池モジュール1の後側(背面側)に対応する。また、図1における左右方向が、電池モジュール1の左右方向に対応する。
【0020】
(第1電池モジュール)
ここで、先ず、図1ないし図8を参照しつつ、一方の第1電池モジュール1Aについて説明する。第1電池モジュール1Aは、2個の単電池群3と、これらの単電池群3に固定される第1電池配線モジュール4Aと、この第1電池配線モジュール4Aに被せられる第1電池配線モジュール用カバー43Aとを備えている。
【0021】
(単電池群)
図2は、単電池群3の平面図である。図2には、4個の単電池群3A,3B,3C,3Dが一列に並んだ状態で示されている。これらのうち単電池群3A及び3Bは、第1電池モジュール1Aで利用される。なお、残りの単電池群3C及び3Dは、後述する第2電池モジュール1Bで利用される。
【0022】
図2に示されるように、各単電池群3(3A,3B,3C,3D)は、それぞれ4個の単電池31が、互いに積み重なるように並べられたものからなる。各単電池群3(3A,3B,3C,3D)は、互いに間隔を置いて、図2に示される左右方向に沿って並べられている。なお、本実施形態の場合、第1電池モジュール1Aに利用される単電池群3Bと、第2電池モジュール1Bに利用される単電池群3Cとの間の間隔は、その他の単電池群3間における間隔よりも広く設定されている。
【0023】
単電池群3を構成している各単電池31は、それぞれ内部に発電要素(不図示)を備えている。単電池31は、前記発電要素を内部に含む扁平な直方体状の本体部31aと、この本体部31aの上面に設けられる2つの電極端子32(32A,32B)とを備えている。一方の電極端子32Aが正極であり、他方の電極端子32Bが負極である。
【0024】
各単電池群3(3A,3B,3C,3D)における各電極端子32A,32Bは、単電池31(本体部31a)の上面において、それぞれ上方に向かって垂直に突出した形をなしている。電極端子32(32A,32B)は、角筒状のナットからなり、その中心に円形のネジ孔33が貫通形成されている。
【0025】
単電池群3を構成する各単電池31は、各々の電極端子32(32A,32B)が同じ方向(上方)を向くように並べられている。そして、単電池群3の各単電池31は、隣り合った単電池31同士において、隣接する電極端子32同士が互いに対極同士となるように並べられている。つまり各単電池31の積層方向(単電池群3の前後方向)において、各電極端子32が正負交互に並んでいる。
【0026】
第1電池モジュール1Aに利用される単電池群3A及び3Bの間においても、異なった単電池群3A,3B間で隣り合った単電池31同士において隣接する電極端子32同士が、互いに対極同士となっている。
【0027】
なお、第1電池モジュール1Aに利用される単電池群3Bと、第2電池モジュール1Bに利用される単電池群3Cとの間においても、異なった単電池群3B,3C間で隣り合った単電池31同士において隣接する電極端子32同士が、互いに対極同士となっている。
【0028】
第1電池モジュール1Aに利用される単電池群3A及び3Bの各電極端子32(32A,32B)は、同一平面上に配されている。各単電池群3(3A,3B,3C,3D)は、各単電池31の下面側に配されている保持板(不図示)上に載置された状態で、それぞれ固定されている。
【0029】
(第1電池配線モジュール)
図3は、第1電池配線モジュール4Aの平面図である。第1電池配線モジュール4Aは、単電池群3A及び3Bの各上面上に載せられる形で、これらの単電池群3A及び3Bに取り付けられる。そして、2つの単電池群3A及び3B同士が、第1電池配線モジュール4Aによって接続される。このような第1電池配線モジュール4Aは、主として、複数本の接続部材41と、これらの接続部材41を収容する容器状の樹脂プロテクタ42Aとを備えている。
【0030】
(接続部材)
接続部材41は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料を所定形状に加工したものからなる。接続部材41は、概ね長尺状(帯状)をなしており、一般的に、バスバーとして知られているものからなる。本実施形態の場合、接続部材41として、長さが異なる2種類のものが利用される。これらのうち、長い方を第1接続部材41Aと称し、短い方を第2接続部材41Bと称する。図4は、第1接続部材41Aの平面図である。図4に示されるように、第1接続部材41Aは、長手状の本体部141(141A)と、この本体部141(141A)の長手方向における両端部にそれぞれ設けられる固定用ボルトの軸部が挿通される通し孔48と、本体部141(141A)の各端部にそれぞれ通し孔48を挟むように設けられる切り欠き部49とを備えている。
【0031】
図5は、第2接続部材41Bの平面図である。図5に示されるように、第2接続部材41Bは、第1接続部材よりも長さが短いものの、その基本的な構成は、第1接続部材41Aと同じである。具体的には、第2接続部材41Bは、長手状の本体部141(141B)と、この本体部141(141B)の長手方向における両端部にそれぞれ設けられる固定用ボルトの軸部が挿通される通し孔48と、本体部141(141B)の各端部にそれぞれ通し孔48を挟むように設けられる切り欠き部49とを備えている。
【0032】
各接続部材41は、単電池群3に複数個所ある対極同士の電極端子32A,32B間に、それぞれ電気的に接続するように架け渡される。そして、各接続部材41によって、単電池群3(3A,3B)を構成する各単電池31が、互いに直列接続される。第1接続部材41Aは、単電池群3A及び3Bとの間において、隣り合った単電池31同士が有する対極同士の電極端子32A,32B間を、電気的に接続するために利用される。これに対して、第2接続部材41Bは、単電池群3A及び3Bのそれぞれにおいて、積層方向(前後方向)で隣り合った単電池31同士が有する対極同士の電極端子32A,32B間を、電気的に接続するために利用される。なお各接続部材41は、樹脂プロテクタ42Aに保持された状態で、利用される(図3参照)。
【0033】
接続部材41の端部は、電極端子32上に重ね合わせられた状態で、電極端子32に固定される。その際、接続部材41の端部にある通し孔48の位置と、電極端子32が有するネジ孔33の位置とが合わせられる。そして、接続部材41の通し孔48及び電極端子32のネジ孔33に、それぞれ固定用ボルト(不図示)の軸部が挿入され、接続部材41及び電極端子32が互いに密着するように前記固定用ボルトがネジ孔33に螺着される。
【0034】
なお、接続部材41に設けられている通し孔48の形状は、上面から見て、所謂、長穴状となっており、電極端子32のネジ孔33よりも大きく設定されている。そして、通し孔48は接続部材41の長手方向に拡がった形をなしている。接続部材41は、このような長穴状の通し孔48を備えているため、電極端子32の位置が、本来あるべき位置からずれてしまっても、固定用ボルトを挿入できるように、その電極端子32のネジ孔33に、接続部材41の通し孔48を位置合わせできる。なお、このような電極端子32の位置ずれは、例えば、単電池31における電極端子32の取付誤差、単電池31の膨張等による変形、単電池群3A及び3Bにおける配置間隔の誤差等によって生じる。
【0035】
複数本の接続部材41は、容器状の樹脂プロテクタ42A内において、所定のパターンをなしている(図3参照)。第1接続部材41Aは、図3の左右方向に沿って配されている。これに対して、第2接続部材41Bは、図3の上下方向に沿って配されている。つまり、第1接続部材41Aと、第2接続部材41Bとは、互いに垂直な方向に沿って、それぞれ配されている。
【0036】
(樹脂プロテクタ)
樹脂プロテクタ42Aは、絶縁性を有する合成樹脂材料を、所定形状に加工したものからなる。図6は、樹脂プロテクタ42Aを構成する各連結ユニット42A1,42A2,42A3,42A4の平面図である。本実施形態の樹脂プロテクタ42Aは、図6に示される4つの連結ユニット42A1,42A2,42A3,42A4が、互いに組み合せられたものからなる。
【0037】
連結ユニット42A1は、連結ユニット42A2と組み合せられる。そして、これらの連結ユニット42A1,42A2によって、第1接続部材41Aを収容する連結部材収容部43(43A)が2つ形成される。連結部材収容部43(43A)は、図6の左右方向に沿って延びた小型の容器状をなしており、その内側で第1接続部材41Aを保持する。また、接続部材収容部43(43A)は、第1接続部材41Aの長手方向に沿って伸縮可能に構成されている。
【0038】
接続部材収容部43(43A)は、第1接続部材41Aが載せられる長手状の底板部と、この底板部の周りを囲む角筒状の周壁部とを備えている。前記底板部及び前記周壁部は、それぞれ連結ユニット42A1側と、連結ユニット43A2側とに分かれている。前記底板部における長手方向の両端には、それぞれ開口部44が設けられている。この開口部44は、第1接続部材41Aの端部を、電極端子32と接触できるように接続部材収容部43(43A)から露出させている。
【0039】
前記周壁部の内面側には、第1接続部材41Aがその厚み方向に(上方に)浮き上がるのを規制する規制突起46が複数個設けられている。この規制突起46は、前記周壁部の内面から突出した形状をなしており、第1接続部材41Aをその上面側から底板部側に向かって押さえている。また、前記周壁部の内面側には、第1接続部材41Aの各切り欠き部49とそれぞれ係合する係合突起47が複数個設けられている。図3に示されるように、係合突起47は、前記周壁部の内面から突出した形状をなすと共に、第1接続部材41Aの長手方向に沿って延びた形状をなしている。また、係合突起47は、切り欠き部49よりも小さく設定されており、そして、係合突起47の前記長手方向における両端部分と切り欠き部49との間に、予め隙間が設けられている。
【0040】
接続部材収容部43(43A)の連結ユニット42A1側は、その係合突起47が切り欠き部49内を移動できる範囲内において、第1接続部材41Aの長手方向に沿って図3の左右方向に移動することができる。同様に、連結部材収容部43(43A)の連結ユニット42A2側も、その係合突起47が切り欠き部49内を移動できる範囲内において、第1接続部材41Aの長手方向に沿って左右方向に移動することができる。このようにして、接続部材収容部43(43A)は、第1接続部材41Aの長手方向に沿って伸縮可能(所謂、スライド可能)となっている。
【0041】
また、連結ユニット42A3は、連結ユニット42A4と組み合せられる。そして、これらの連結ユニット42A3,42A4によって、第1接続部材41Aを収容する接続部材収容部43(43A)が2つ形成される。これらの連結ユニット42A3,42A4によって形成される接続部材収容部43(43A)の基本的な構成は、上述した2つの連結ユニット42A1,42A2によって形成される接続部材収容部43(43A)と同様である。これらの連結ユニット42A3,42A4によって形成される接続部材収容部43(43A)も、第1接続部材41Aの長手方向に沿って伸縮可能(所謂、スライド可能)となっている。
【0042】
また、上述した連結ユニット42A1は、連結ユニット42A3とも組み合せられる。そして、これらの連結ユニット42A1,42A3によって、第2接続部材41Bを収容する接続部材収容部43(43B)が1つ形成される。接続部材収容部43(43B)は、図6の上下方向に沿って延びた小型の容器状をなしており、その内側で第2接続部材41Aを保持する。また、接続部材収容部43(43B)は、第2接続部材41Bの長手方向に沿って伸縮可能に構成されている。
【0043】
接続部材収容部43(43B)は、第2接続部材41Bが載せられる長手状の底板部と、この底板部の周りを囲む角筒状の周壁部とを備えている。前記底板部及び前記周壁部は、それぞれ連結ユニット42A1側と、連結ユニット42A3側とに分かれている。前記底板部における長手方向の両端には、それぞれ開口部44が設けられている。この開口部44は、第2接続部材41Bの端部を、電極端子32と接触できるように接続部材収容部43(43B)から露出させている。
【0044】
前記周壁部の内面側には、第2接続部材41Bがその厚み方向に(上方に)浮き上がるのを規制する規制突起46が複数個設けられている。この規制突起46は、前記周壁部の内面から突出した形状をなしており、第2接続部材41Bをその上面側から底板部側に向かって押さえている。また、前記周壁部の内面側には、第2接続部材41Bの各切り欠き部49とそれぞれ係合する係合突起47が複数個設けられている。図3に示されるように、係合突起47は、前記周壁部の内面から突出した形状をなすと共に、第2接続部材41Bの長手方向に沿って延びた形状をなしている。また、係合突起47は、切り欠き部49よりも小さく設定されており、そして、係合突起47の前記長手方向における両端部分と切り欠き部49との間に、予め隙間が設けられている。
【0045】
接続部材収容部43(43B)の連結ユニット42A1側は、その係合突起47が切り欠き部49内を移動できる範囲内において、第2接続部材41Bの長手方向に沿って図3の上下方向に移動することができる。同様に、接続部材収容部43(43B)の連結ユニット42A3側も、その係合突起47が切り欠き部49内を移動できる範囲内において、第2接続部材41Bの長手方向に沿って図3の上下方向に移動することができる。このようにして、接続部材収容部43(43B)は、第1接続部材41Bの長手方向に沿って伸縮可能(所謂、スライド可能)となっている。
【0046】
また、連結ユニット42A2は、連結ユニット42A4とも組み合せられる。そして、これらの連結ユニット42A2,42A4によって、第2接続部材41Bを収容する接続部材収容部43(43B)が1つ形成される。これらの連結ユニット42A2,42A4によって形成される接続部材収容部43(43B)の基本的な構成は、上述した連結ユニット42A1,42A3によって形成される接続部材収容部43(43B)と同様である。これらの連結ユニット42A2,42A4によって形成される接続部材収容部43(43B)も、第2接続部材41Bの長手方向に沿って伸縮可能(所謂、スライド可能)となっている。
【0047】
なお、連結ユニット42A3には、第2接続部材41Bを収容する接続部材収容部43(43C)が設けられている。この接続部材収容部43(43C)は、第2接続部材41Bの長手方向に沿って伸縮しないものの、接続部材収容部43(43B)と同様、底板部と、この底板部を取り囲む周壁部とを備えている。また、接続部材収容部43(43C)は、接続部材収容部43(43B)と同様、開口部44、係合突起47等を備えている。
【0048】
また、連結ユニット42A2と連結ユニット42A4とには、それぞれ開口部45A,45Bが設けられている。これらの開口部45A,45Bからは、電池配線モジュール4Aが単電池群3A,3Bに載せられた際に、直列接続された各単電池31の端部に位置する電極端子32がそれぞれ露出される。連結ユニット42A2の開口部45Aからは、単電池群3Bの最も後方にある単電池31の電極端子32(32B)が露出される。これに対して、連結ユニット42A4の開口部45Bからは、単電池群3Bの最も前方にある単電池31の電極端子32(32A)が露出される。なお、本実施形態の場合、開口部45Bの方が、開口部45Aよりも大きく設定されている。
【0049】
このような樹脂プロテクタ42Aは、電極端子32の取付誤差等によって生じる接続部材41の端部と電極端子32との位置ずれ等に応じて、左右方向(第1接続部材41Aの長手方向)及び前後方向(第2接続部材41Bの長手方向)に、それぞれある程度、伸長し、又は収縮して、変形(伸縮変形)することができる。なお、樹脂プロテクタ42Aは、全体的に見て、1つの底板401と、この底板401を取り囲む扁平な角筒状の周壁402とを備えているとも言える。
【0050】
樹脂プロテクタ42A内には、接続部材41以外に、各単電池31の電圧を検知するための複数個の電圧検知端子(不図示)が設けられている。各電圧検知端子は、各接続部材41上に重ねられており、そして各電圧検知端子には、電圧検知用電線(不図示)が圧着等によってそれぞれ接続されている。なお、これらの電圧検知用電線は、電池ECU(不図示)に接続されている。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各単電池31の電圧、電流、温度等の検知や、各単電池31の放充電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0051】
樹脂プロテクタ42の周壁402には、突起状の係止部403が複数個設けられている。係止部403は、樹脂プロテクタ42の長辺側の周壁402に設けられている。この係止部403は、カバー43Aを樹脂プロテクタ42Aに取り付ける際に利用される。
【0052】
図7は、単電池群3A及び3B上に載せられた状態の第1電池配線モジュール4Aの平面図である。図7に示されるように、第1電池配線モジュール4Aは、2つの単電池群3A及び3Bの上面上に、載せられた状態で固定される。この第1電池配線モジュール4Aによって、2つの単電池群3A及び3Bが互いに電気的に接続される。つまり、2つの単電池群3A及び3Bに含まれる各単電池31は、第1電池配線モジュール4Aを利用して、直列接続されている。
【0053】
(モジュール用カバー)
図8は、第1電池モジュール1Aの平面図である。図8に示される第1電池モジュー1Aは、第1電池配線モジュール用カバー43Aを備えている。このカバー43Aは、樹脂プロテクタ42A内の接続部材41等を覆うように、第1電池配線モジュール4A(樹脂プロテクタ42A)に取り付けられる。カバー43Aは、上面から見て概ね左右方向に長い矩形状をなしている。カバー43Aは、工具等が接続部材41に接触して電池モジュール1(第1電池モジュール1A)が短絡すること等を防止するために、容器状の樹脂プロテクタ42Aの口(周壁402の上端部分が囲む部分)を覆うように、樹脂プロテクタ42Aに対して着脱可能に取り付けられる。カバー43Aは、樹脂プロテクタ42Aと同様、絶縁性の合成樹脂材料からなる。カバー43Aは、板状のカバー本体部143Aと、このカバー本体部143Aの長辺側の端部に設けられる複数個の被係止部404とを備えている。被係止部404は環状をなしており、この被係止部404内に、樹脂プロテクタ42Aが備える突起状の係止部403が挿入される。そして、係止部403と被係止部404とが互いに係わり合って、カバー43Aが樹脂プロテクタ42Aに取り付けられる。
【0054】
なお、図8に示されるように、カバー42Aの右端部分は凸状をなしており、第1電池配線モジュール4Aの一部は、前記カバー42Aによって覆われておらず、露出している。そして、この部分には、樹脂プロテクタ42Aの2つの開口部45A,45Bがそれぞれ配されており、これらの開口部45A,45Bから、それぞれ電極端子32(32B,23A)が露出している。
【0055】
(第2電池モジュール)
次いで、図1及び図9を参照しつつ、第2電池モジュール1Bについて説明する。図9は、単電池群3C,3D上に載せられた状態の第2電池配線モジュール1Bの平面図である。図1に示されるように、第2電池モジュール1Bは第1電池モジュール1Aと共に利用される。第2電池モジュール1Bは、上述した第1電池モジュール1Aと同種であり、第2電池モジュール1Bの基本的な構成は、第1電池モジュール1Aと同様である。図1に示される電池モジュール1Aを180°回転させると、概ね図1に示される電池モジュール1Bとなる。第2電池モジュール1Bは、2個の単電池群3C,3Dと、これらの単電池群3C,3Dに固定される第2電池配線モジュール4Bと、この第2電池配線モジュール4Bに被せられる第2電池配線モジュール用カバー43Bとを備えている。このカバー43Bの基本的な構成は、カバー43Aと同じである。
【0056】
第2電池配線モジュール4Bの基本的な構成は、概ね第1電池配線モジュール4Aと同じである。ただし、第2電池配線モジュール4Bが備える樹脂プロテクタ42Bの構造が、樹脂プロテクタ42Aと一部、異なっている。具体的には、樹脂プロテクタ42Bにおける2つの開口部45A,45Bの位置関係が、樹脂プロテクタ42Aの場合と逆になっている。
【0057】
図9に示されるように、第2電池配線モジュール4Bは、2つの単電池群3C及び3Dの上面上に、載せられた状態で固定される。この第2電池配線モジュール4Bによって、2つの単電池群3C及び3Dが互いに電気的に接続される。つまり、2つの単電池群3C及び3Dに含まれる各単電池31は、第2電池配線モジュール4Bを利用して、直列接続されている。
【0058】
樹脂プロテクタ42Bの開口部45Aからは、単電池群3Cの最も後方にある単電池31の電極端子32(32A)が露出される。これに対して、樹脂プロテクタ42Bの開口部45Bからは、単電池群3Cの最も前方にある単電池31の電極端子32(32B)が露出される。
【0059】
図10は、互いに間隔を置いて隣り合った第1電池モジュール1A及び第2電池モジュール1Bの平面図である。図10に示されるように、第1電池モジュール1Aの単電池群3B側と、第2電池モジュール1Bの単電池群3C側とが向かい合うように、第1電池モジュール1Aと第2電池モジュール1Bとが所定間隔を置いて並べられている。そして、第1電池モジュール1Aにおける露出した2つの電極端子32(32B,32A)と、第2電池モジュール1Bにおける露出した2つの電極端子32(32A,32B)とが、互いに近付けられている。
【0060】
図10に示されるように、第1電池モジュール1A側における開口部45Aから露出した電極端子32Bは、第2電池モジュール1B側における開口部45Aから露出した電極端子32Aと隣り合っている。これらの単電池群3B,3C間で隣り合った対極同士の電極端子32B及び32Aには、それぞれ外部接続端子(不図示)が接続される。そして、これらの外部接続端子には、外部のインバータ等に繋がる電線端末が接続される。
【0061】
また、図10に示されるように、第1電池モジュール1A側における開口部45Bから露出した電極端子32Aは、第2電池モジュール1B側における開口部45Bから露出した電極端子32Bと隣り合っている。これらの単電池群3B,3C間で隣り合った対極同士の電極端子32A及び32Bには、図1に示されるように、カバー付きバスバー2の端部がそれぞれ接続される。
【0062】
(カバー付きバスバー)
次いで、図11ないし図16を参照しつつ、カバー付きバスバー2の構造について説明する。カバー付きバスバー2は、バスバー21に、バスバーカバー5が取り付けられたものからなる。このカバー付きバスバー2が備えるバスバー21によって、第1電池モジュール1Aの単電池群3A,3Bと、第2電池モジュール1Bの単電池群3C,3Dとが、互いに電気的に接続(直列接続)される。
【0063】
(バスバー)
図11は、バスバー21の平面図であり、図12は、バスバー21の側面図である。図11に示されるように、バスバー21は、全体として概ね長尺状(帯状)をなしている。バスバー21は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料からなる板材を、所定形状に加工(例えば、打ち抜き加工、折り曲げ加工)したものからなる。バスバー21は、第1電池モジュール1Aと第2電池モジュール1Bとの間に架け渡されて、これらを互いに電気的に接続するために利用される。なお、本実施形態のバスバー21は、上述した第1電池配線モジュール4A等に利用される接続部材41よりも大きい(長い)。
【0064】
バスバー21は、バスバー本体部22と、このバスバー本体部22を挟むように配されている一対の端部23(23A,23B)とを備えている。各端部23(23A,23B)には、それぞれ通し孔24が設けられている。
【0065】
バスバー本体部22は、真っ直ぐに延びた長尺状の板状部分からなる。このバスバー本体部22の両端には、側面から見てL字状をなした板材部分からなる端部23(23A,23B)が、それぞれ延設されている。端部23は、平坦な固定部231と、この固定部231に延設された立ち上がり部232とからなる。
【0066】
固定部231は、電極端子32上に載せられると共に、その電極端子32に固定される部分である。固定部231は、概ね矩形状であるものの、図11に示されるように、その周縁部分は丸みを帯びている。また、固定部231には、上述した通し孔24が設けられている。この通し孔24は、図11に示されるように、上面から見て、所謂、長穴状となっており、バスバー本体部22の長手方向に沿って拡がった形状をなっている。この通し孔24は、電池モジュール1A,1Bが備える電極端子32のネジ孔33よりも大きく設定されている。このような通し孔24は、上述した金属材料からなる板材に、公知の穴あけ加工を施すことによって形成される。また、固定部231は、バスバー本体部22に対して平行に配されている。
【0067】
立ち上がり部232は、固定部231から上方に向かって立ち上がっている。そして、立ち上がり部232の上端部分は、バスバー本体部22に接続されている。立ち上がり部232は、バスバー本体部22及び固定部231に対して垂直に配されている。
【0068】
バスバー本体部22の長さ、立ち上がり部232の高さ(固定部231からの高さ)、及び固定部231の大きさ等のバスバー21における諸条件は、取付対象の第1電池モジュール1A及び第2電池モジュール1Bの形状等に応じて、適宜、設定される。なお、本実施形態の場合、図11及び図12において左側に示される端部23Aと、右側に示される端部23Bとは、互いに同じ形状に設定されている。
【0069】
(バスバーカバー)
バスバーカバー5は、絶縁性の合成樹脂材料を所定形状に加工したものからなる。図13は、展開された状態のバスバーカバー5の平面図である。本実施形態のバスバーカバー5は、バスバー21に対して着脱可能に取り付けられる。バスバーカバー5は、バスバー21に取り付けられると、全体として筒状をなす。これに対して、取り付けられる前の状態では、図13に示されるように、バスバーカバー5は展開されて平面状に広がった形をなすことができる。
【0070】
バスバーカバー5は、図13に示されるように、本体部51と、この本体部51の端部に設けられるヒンジ部52と、このヒンジ部52を介して前記本体部51に取り付けられる蓋部53とを備えている。なお、図14は、蓋部53が開いた状態のカバー付きバスバー2の平面図であり、図15は、蓋部53が開いた状態のカバー付きバスバー2の正面図であり、図16は、蓋部53が開いた状態のカバー付きバスバー2の側面図である。
【0071】
本体部51は、図14等に示されるように、バスバー21における長尺状のバスバー本体部22を覆う部分であり、バスバー21に取り付けられた際に、全体として筒状をなす部分である。この本体部51は、長手状の筒体511と、この筒体511の両端部に設けられる2つの枠体512(512A,512B)とを備えている。
【0072】
筒体511は、図13に示されるように、底部511Aと、天井部511Bとを有する。底部511Aは、主として、バスバー本体部22の下面側を覆う部分であり、細長く延びた板状をなしている。そして底部511Aの長手方向に沿った両端部は、それぞれ上方に向かって若干、立ち上がっている。これらのうち、一方の端部には、2つのヒンジ部513が設けられている。これらのヒンジ部513を介して底部511Aは、天井部511Bに接続されている。また、他方の端部には、2つの環状(リング状)の係合部514が設けられている。
【0073】
天井部511Bは、主として、バスバー本体部22の上面側を覆う部分であり、底部511Aと同様、細長く延びた板状をなしている。そして、天井部511Bの長手方向に沿った両端部は、図13に示されるようにバスバーカバー5が展開された状態で、それぞれ上方に向かって若干、立ち上がっている。これらのうち、一方の端部には、上述した2つのヒンジ部513が設けられている。また、他方の端部には、上述した環状の係合部514と係合する突起状の被係合部515が、2つ設けられている。
【0074】
ヒンジ部513は、可撓性を有しているため、折れ曲がるように変形することができる。そのため、ヒンジ部513を介して互いに繋がっている天井部511Bと底部511Aとが、互いに近付くように、及び互いに離れるように移動することができる。
【0075】
筒体511は、天井部511Bが底部511A上に重ね合わせられると、バスバー本体部11を包むような扁平な筒状となる。なお、天井部511Bが備える被係合部515を、底部511Aが備える係合部514に挿入させた状態で互いに係合させることによって、天井部511B及び底部511Aは互いに固定される。また、図14に示されるように、筒体511の両端からはバスバー22の両端部23(23A,23B)がそれぞれ露出している。
【0076】
枠体512(512A,512B)は、筒体511の両端からそれぞれ外側に突出する形で設けられている。本実施形態の場合、枠体512(512A,512B)は、底部511Aの両端部にそれぞれ延設されている。一方の枠体512Aは、図14に示されるように、バスバーカバー5がバスバー21に取り付けられた際に、上方から見て、バスバー21の端部23Aの周りを囲むような形をなしている。そして、図15に示されるように、枠体511Aは、端部23Aにおける固定部231よりも上方に配されている。枠体511Aは、上面から見て、概ねU字状をなしている。枠体511Aは、筒体511の長手方向に沿って互いに平行に配された2つの部分512a,512bと、これらの部分512a,512bによって挟まれた部分512cとからなる。2つの部分512a,512bのうち、一方の部分512aにヒンジ部52Aが設けられている。このヒンジ部52Aを介して蓋部53Aが枠体512Aに取り付けられている。また、他方の部分512bには、突起状の被係合部54が設けられている。
【0077】
また、他方の枠体512Bは、上述した枠体512Aと同じ形状であり、図14に示されるように、バスバーカバー5がバスバー21に取り付けられた際に、上方から見て、バスバー21の端部23Bの周りを囲むような形をなしている。そして、図15に示されるように、枠体511Bは、端部23Bにおける固定部231よりも上方に配されている。枠体511Bは、上面から見て、概ねU字状をなしている。枠体511Bは、枠体512Aと同様、筒体511の長手方向に沿って互いに平行に配された2つの部分512a,512bと、これらの部分512a,512bによって挟まれた部分512cとからなる。2つの部分512a,512bのうち、一方の部分512aにヒンジ部52Bが設けられている。このヒンジ部52Bを介して蓋部53Bが枠体512Bに取り付けられている。また、他方の部分512bには、突起状の被係合部54が設けられている。
【0078】
なお、図14等に示されるように、バスバー21の端部23(23A,23B)は、蓋部53(53A,53B)で覆われていない状態では、バスバーカバー5の本体部51から共に露出した状態にあると言える。
【0079】
蓋部53(53A,53B)は、枠体512(512A,512B)の内側にある開口部分を塞ぐような板状をなしている。そして、上述したように蓋部53Aは、ヒンジ部52Aを介して枠体512Aに接続されている。蓋部53Aの端部には、枠体512Aに設けられている突起状の被係合部54と係合する環状(リング状)の係合部531が設けられている。これに対して、蓋部53Bは、ヒンジ部52Bを介して枠体512Bに接続されている。そして、蓋部53Bの端部には、枠体512Bに設けられている突起状の被係合部54と係合する環状(リング状)の係合部531が設けられている。
【0080】
ヒンジ部52(52A,52B)は、可撓性を有しているため、折れ曲がるように変形することができる。そのため、ヒンジ部52(52A,52B)を介して枠体512(512A,512B)に繋がっている蓋部53(53A,53B)は、枠体512(512A,512B)に近付いて前記バスバー21の端部23(23A,23B)を覆うように移動することができる。また、蓋部53(53A,53B)は、枠体512(512A,512B)から遠ざかって前記バスバー21の端部23(23A,23B)を露出させるように移動することもできる。つまり、蓋部53(53A,53B)は、枠体512(512A,512B)に対して近付くように、及び枠体512(512A,512B)から遠ざかるように、揺れ動く(揺動する)ことができる。
【0081】
なお、蓋部53が、枠体512の内側にある開口部分を塞ぐ際、蓋部53が備える環状の係合部531内に、枠体512が備える突起状の被係合部54が挿入されて、係合部531及び被係合部54が互いに係合される。そして、係合部531及び被係合部54が互いに係合されることによって、蓋部53が、枠体512に対して固定される。なお、蓋部53は、枠体512に対して、係合部531及び被係合部54を利用して、着脱可能に固定されている。
【0082】
図14ないし図16に示されるように、バスバーカバー5は、その蓋部53(53A,53B)が開いた状態で、バスバー21に取り付けることができる。つまり、バスバーカバー5は、バスバー21の端部23(23A,23B)を露出させたままの状態で、端部23以外の部分(つまり、バスバー本体部22)を覆うことができる。このようなバスバーカバー5を備えたバスバー21(つまり、カバー付きバスバー2)は、単電池群3B,3C間で隣り合った対極同士の電極端子32A及び32B(図10参照)に、取り付け易い。以下、その理由を説明する。
【0083】
(取付工程)
図17は、第1電池モジュール1A及び第2電池モジュール1Bに蓋部53A,53Bが開いた状態で取り付けられているカバー付きバスバー2の平面図である。図17に示されるように、単電池群3B,3C間で隣り合った対極同士の電極端子32A及び32Bに、それぞれカバー付きバスバー2の端部が載せられる。その際、バスバー21に取り付けられているバスバーカバー5の各蓋部53A,53Bは、それぞれ開いた状態となっており、バスバー21の各端部23A,23Bがバスバーカバー5から露出されている。
【0084】
このようにカバー付きバスバー2の蓋部53A,53Bが開いていると、バスバー21の各端部23A,23Bの位置を確認し易い。そのため、バスバー21の各端部23A,23Bの位置を確認しつつ、各電極端子32A,32B上に載せ易くなっている。
【0085】
カバー付きバスバー2の各端部が、各電極端子32A,32B上に載せられた後、各端部(端部23A,23B)に設けられている各通し孔24と、各電極端子32A,32Bに設けられているネジ孔33との位置合わせが行われる。この位置合わせの際も、カバー付きバスバー2の蓋部53A,53Bが開いていると、通し孔24の位置とネジ孔33の位置とをそれぞれ確認し易い。したがって、通し孔24とネジ孔33との位置合わせを行い易い。
【0086】
図18は、図1に示されるA−A’線におけるカバー付きバスバー2を備えた電池モジュール1の部分断面図である。図18に示されるように、互いに位置合わせされた通し孔24及びネジ孔33には、固定用ボルト6の軸部62が挿入される。そして、軸部62の端部に設けられている頭部61に、所定の工具が宛がわれて、固定用ボルト6が回転される。すると、頭部61がバスバー21の端部23を電極端子32に対して押さえ付けた状態で、固定用ボルト6の軸部62がネジ孔33に螺着される。つまり、バスバー21の端部23は、固定用ボルト6によって電極端子32に締付けられている。このように、固定用ボルト6を利用して、カバー付きバスバー2の端部(バスバー21の端部23)は、電極端子33に固定される(所謂、ボルト締めされる)。
【0087】
ところで、上述したような、固定用ボルト6をバスバー21の端部23及び電極端子33に取り付ける作業は、例えば、図17に示されるように、カバー付きバスバー2における蓋部53A,53Bが開けられた状態で行われる。固定用ボルト6の取付作業は、工具(例えば、六角レンチ)を、枠体512の内側に挿入した状態で行われる。そのため、図17に示されるように蓋部53が、枠体512の外側に広がった状態で開けられていれば、蓋部53が工具と接触し、干渉すること等が抑制される。つまり、バスバー21にバスバーカバー5が取り付けられていても、蓋部53が開けられていれば、バスバーカバー5が固定用ボルト6の取付作業の妨げとはならない。
【0088】
固定用ボルト6によってバスバー21の端部23と電極端子32とが固定された後、図18(又は図1)に示されるように、バスバーカバー5の各蓋部53A,53Bが閉じられる。なお、各蓋部53A,53Bは、各枠体512A,512Bに対して固定されている。つまり、それまでバスバーカバー5から露出していたバスバー21の各端部23A,23Bが、それぞれ各蓋部53A,53Bによって、上方から覆われることになる。要するに、第1電池モジュール1Aと第2電池モジュール1Bとの間に架け渡されたバスバー21の各端部23A,23Bは、各蓋部53A,53Bによって保護される。したがって、バスバー21の各端部23A,23Bに、工具等が接触することが防止される。
【0089】
また、これらの蓋部53A,53Bの表面は、本体部51(筒体511の天井部511B)の表面と共に、同一平面をなしている。つまり、バスバーカバー5全体の表面が、平坦になっている。本実施形態のカバー付きバスバー2は、バスバー21の両端部23A,23Bが、それぞれ下方に向かってL字状に突出した形になっている。そして、固定用ボルト6の頭部61の位置が、バスバー21の本体部22よりも低くなるように設定されている。つまり、固定用ボルト6の頭部61が、本体部22よりも上方に向かって突出しないように設定されている。したがって、蓋部53A,53Bの表面の位置を、本体部51(筒体511の天井部511B)の表面の位置と同じに設定することができる。そのため、本実施形態の蓋部53A,53Bは、本体部51よりも盛り上がって突出することがないため、蓋部53A,53Bが、電池モジュール1の外側にある物体等と干渉することが抑制される。
【0090】
また、これらの蓋部53A,53Bは、それぞれヒンジ部52A,52Bを介して、それぞれ枠体512A,512Bに直接取り付けられている。つまり、各蓋部53A,53Bは、本体部51に対して一体的に設けられている。そのため、蓋部53が本体部51から離脱して、紛失等する虞もない。
【0091】
なお、図18に示されるように、バスバーカバー5の枠体512Aは、樹脂プロテクタ42Aの開口部45Bを囲む容器状の部分に、重ね合わせられている。そして、バスバー21の端部23Aは、前記開口部45Bを囲む容器状の部分の内側に挿入されている。また、前記開口部45Bを囲む容器状の部分の底側に、電極端子32Aが露出するように配されている。このように、バスバー21の端部23Aが挿入される部分が、電極端子32Aを囲むような容器状となっていると、電極端子32A上に、バスバー21のL字状の端部23Aを導き易い。つまり、バスバー21の端部23Aを、容器状の部分に嵌合させることによって、バスバー21の端部23Aを電極端子32Aに概ね位置合わせできる。
【0092】
なお、バスバー21の端部23Aにおける立ち上がり部232は、前記開口部45を囲む容器状の部分の周壁と接触している。また、端部23Aにおける固定部231は、電極端子32Aの上面と共に、前記開口部45を囲む容器状の部分の底と接触している。
【0093】
同様に、バスバーカバー5の枠体512Aも、樹脂プロテクタ42Bの開口部45Bを囲む容器状の部分に、重ね合わせられている。そして、バスバー21の端部23Bは、前記開口部45Bを囲む容器状の部分の内側に挿入されている。また、前記開口部45Bを囲む容器状の部分の底側に、電極端子32Bが露出するように配されている。このように、バスバー21の端部23Bが挿入される部分が、電極端子32Bを囲むような容器状となっていると、電極端子32B上に、L字状のバスバー21の端部23Bを導き易い。つまり、バスバー21の端部23Bを、容器状の部分に嵌合させることによって、バスバー21の端部23Bを電極端子32Bに概ね位置合わせできる。
【0094】
なお、バスバー21の端部23Bにおける立ち上がり部232は、前記開口部45を囲む容器状の部分の周壁と接触している。また、端部23Bにおける固定部231は、電極端子32Bの上面と共に、前記開口部45を囲む容器状の部分の底と接触している。
【0095】
上述したように、本実施形態のカバー付きバスバー2は、各電池モジュール1A,1Bに対する取付作業中は、各蓋部53A,53Bが開けられていれば、その取付作業の妨げとはならない。そして、その取付作業後に、各蓋部53A,53Bが閉じられることによって、バスバー2の端部が絶縁材料で保護される。したがって、本実施形態のカバー付きバスバー2は、各電池モジュール1A,1Bに対する取付作業を行い易く、しかも取付作業後は、バスバー21がバスバーカバー5によって全体的に覆われるため、バスバー2が確実に絶縁材料で保護される。
【0096】
<実施形態2>
次いで、図19を参照しつつ、実施形態2を説明する。図19は、実施形態2に係るカバー付きバスバー2Aの平面図である。本実施形態2のカバー付きバスバー2Aは、実施形態1と同じバスバー21に、バスバーカバー5Aを取り付けたものからなる。このバスバーカバー5Aの基本的な構成は、実施形態1のバスバーカバー5と同じである。ただし、本実施形態のバスバーカバー5Aは、実施形態1のバスバーカバー5が備えている係合部531と、被係合部54とが除かれた構成となっている。
【0097】
本獅子形態のバスバーカバー5Aにおいて、各蓋部53A,53Bは、それぞれ枠体512A,512Bに対して、粘着テープ等を利用して取り付けられる。このように、粘着テープ等を利用して、各蓋部53A,53Bを各枠体512A,512Bにそれぞれ取り付けてもよい。
【0098】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、バスバー21の端部23がL字状に折れ曲がった形状となっていたが、他の実施形態のおいては、本体部22と共に端部32も真っ直ぐに延びた形状であってもよい。
【0099】
(2)上記実施形態では、バスバー21の本体部22は、真っ直ぐに延びた形状となっていたが、他の実施形態においては、例えば、クランク状等に曲がった形状であってもよい。
【0100】
(3)上記実施形態では、バスバーカバー5の蓋部53は、枠体512の部分512aにヒンジ部52を介して取り付けられていたが、他の実施形態においては、必要に応じて、枠体512に対する取付位置が変更されてもよい。
【0101】
(4)上記実施形態では、バスバーカバー5の蓋部53に、環状の係合部531が設けられ、枠体512に、突起状の被係合部54が設けられていたが、他の実施形態においては、反対に、蓋部53に突起状の被係合部54が設けられ、枠体512に環状の係合部531が設けられてもよい。
【0102】
(5)上記実施形態では、電池配線モジュール4Aによって接続された単電池群3A,3B同士と、電池配線モジュール4Bによって接続された単電池群3C,3D同士とが、バスバー21(カバー付きバスバー2)によって電気的に接続されていた。他の実施形態においては、各電池配線モジュール4A,4Bを備えていない単電池群同士が、バスバー21(カバー付きバスバー2)によって電気的に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…電池モジュール、1A…第1電池モジュール、1B…第2電池モジュール、2,2A…カバー付きバスバー、21…バスバー、22…バスバー本体部、23(23A,23B)…バスバーの端部、24…通し孔、231…固定部、232…立ち上がり部、3(3A,3B,3C,3D)…単電池群、31…単電池、32…電極端子、32A…電極端子(正極側)、32B…電極端子(負極側)、33…ネジ孔、4A…第1電池配線モジュール、4B…第2電池配線モジュール、41(41A,41B)…接続部材、5…バスバーカバー、5…バスバーカバー、51…バスバーカバー本体部、52(52A,52B)…ヒンジ部、53(53A,53B)…蓋部、531…係合部、54…被係合部、511…筒体、511A…筒体の底部、511B…筒体の天井部、512(512A,512B)…枠体、513…筒体のヒンジ部、514…筒体の係合部、515…筒体の被係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正負一対の電極端子を含む複数の単電池同士が並べられてなる単電池群と、この単電池群と隣り合った同種の単電池群との間において、対極同士の電極端子間を電気的に接続するために、両端部が前記電極端子にそれぞれ固定されるバスバーに対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバーであって、
前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する本体部と、
前記本体部の端部に設けられるヒンジ部と、
前記ヒンジ部を介して前記本体部に取り付けられると共に、前記バスバーの端部を覆うように、及び前記バスバーの端部を露出させるように前記ヒンジ部によって揺動する蓋部と、を備えるバスバーカバー。
【請求項2】
前記蓋部に設けられる係合部と、
前記本体部の端部に設けられると共に、前記係合部と係合することによって前記蓋部が前記バスバーの端部を覆った状態で固定される被係合部と、を備える請求項1に記載のバスバーカバー。
【請求項3】
前記本体部は、前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する筒体と、この筒体の端部に設けられるとともに、前記筒体から露出した前記バスバーの端部を囲む枠体と、を有し、
前記ヒンジ部及び前記被係合部が、それぞれ前記枠体に設けられる請求項2に記載のバスバーカバー。
【請求項4】
前記筒体は、前記バスバーの下面側を覆う底部と、前記バスバーの上面側を覆う天井部とを含み、前記底部及び前記天井部が前記バスバーに対して着脱可能に取り付けられる請求項3に記載のバスバーカバー。
【請求項5】
前記バスバーの端部は、前記電極端子上に載せられると共に前記電極端子に固定される固定部と、この固定部から立ち上がる立ち上がり部とを含む請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のバスバーカバー。
【請求項6】
正負一対の電極端子を含む単電池同士が並べられてなる単電池群と、この単電池群と隣り合った同種の単電池群との間において、対極同士の電極端子間を電気的に接続するために、両端部が前記電極端子にそれぞれ固定されるバスバーと、
前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する本体部と、前記本体部の端部に設けられるヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記本体部に取り付けられると共に、前記ヒンジ部によって前記バスバーの端部を覆うように、及び前記バスバーの端部を露出させるように揺動する蓋部とを有し、前記バスバーに対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバーと、を備えるカバー付きバスバー。
【請求項1】
正負一対の電極端子を含む複数の単電池同士が並べられてなる単電池群と、この単電池群と隣り合った同種の単電池群との間において、対極同士の電極端子間を電気的に接続するために、両端部が前記電極端子にそれぞれ固定されるバスバーに対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバーであって、
前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する本体部と、
前記本体部の端部に設けられるヒンジ部と、
前記ヒンジ部を介して前記本体部に取り付けられると共に、前記バスバーの端部を覆うように、及び前記バスバーの端部を露出させるように前記ヒンジ部によって揺動する蓋部と、を備えるバスバーカバー。
【請求項2】
前記蓋部に設けられる係合部と、
前記本体部の端部に設けられると共に、前記係合部と係合することによって前記蓋部が前記バスバーの端部を覆った状態で固定される被係合部と、を備える請求項1に記載のバスバーカバー。
【請求項3】
前記本体部は、前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する筒体と、この筒体の端部に設けられるとともに、前記筒体から露出した前記バスバーの端部を囲む枠体と、を有し、
前記ヒンジ部及び前記被係合部が、それぞれ前記枠体に設けられる請求項2に記載のバスバーカバー。
【請求項4】
前記筒体は、前記バスバーの下面側を覆う底部と、前記バスバーの上面側を覆う天井部とを含み、前記底部及び前記天井部が前記バスバーに対して着脱可能に取り付けられる請求項3に記載のバスバーカバー。
【請求項5】
前記バスバーの端部は、前記電極端子上に載せられると共に前記電極端子に固定される固定部と、この固定部から立ち上がる立ち上がり部とを含む請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のバスバーカバー。
【請求項6】
正負一対の電極端子を含む単電池同士が並べられてなる単電池群と、この単電池群と隣り合った同種の単電池群との間において、対極同士の電極端子間を電気的に接続するために、両端部が前記電極端子にそれぞれ固定されるバスバーと、
前記バスバーの両端部がそれぞれ露出するように前記バスバーを被覆する本体部と、前記本体部の端部に設けられるヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記本体部に取り付けられると共に、前記ヒンジ部によって前記バスバーの端部を覆うように、及び前記バスバーの端部を露出させるように揺動する蓋部とを有し、前記バスバーに対して取り付けられる絶縁性のバスバーカバーと、を備えるカバー付きバスバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−37988(P2013−37988A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174839(P2011−174839)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]