説明

バスバー配線層の製造方法及び連結バスバー

【課題】バスバー配線層を、比較的簡素な製造設備で製造でき、かつ、その製造作業を容易に行えるようにする、バスバー配線層の製造方法及び連結バスバーを提供する。
【解決手段】連結バスバー10は、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…が、第1のブリッジ16で一定的に連結されると共に、第1のブリッジ16よりも分断容易な第2のブリッジ18で一体的に連結されている。はじめに、第1のブリッジ16を切断すると共に所定の曲げ加工を施す。次に、第2のブリッジ18を手で分断しつつ、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…をバラバラにして、所定の配列に並び替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バスバーによる配線層を組立てるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車における分岐配線等に用いられるジャンクションボックスでは、バスバーによって適宜配線回路が構成されている。
【0003】
上記のようなバスバーの組立は例えば次のようにしてなされている。
【0004】
まず、板状金属部材を、各バスバーを構成する配線パターン形状に打抜く。この際、各バスバーが適宜ブリッジで繋がれるような態様で打抜き、各バスバーがバラバラになってしまわないようにする。
【0005】
次に、プレス曲げ加工等で、各バスバーの端部を曲げ起してタブ部を形成する。このタブ部は、異なる層間でのバスバー同士の接続や他の部材(外部コネクタ等)との接続に供される。
【0006】
そして、プレス切断加工等で上記ブリッジを切断して、各バスバーをバラバラな状態にした後、各バスバーを所定の配列に並べ替えて、絶縁板に取付ける。これにより、所定のバスバー配線層が完成する。
【0007】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては、特許文献1が挙げられる。
【0008】
【特許文献1】特開2003−197297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記バスバーの組立技術では、タブ部等を曲げ加工するプレス工程と、ブリッジを切断するプレス工程とをそれぞれ別々に行っている。このため、別々のプレス装置を準備する必要があり、プレス金型費用及び設備費が多大になる。
【0010】
また、各バスバーをプレス切断加工等で完全にバラバラに分離した後、各バスバーを所定の配列に並べ替えているため、その並び替え作業が煩雑である。
【0011】
そこで、本発明は、バスバー配線層を、なるべき簡素な製造設備で製造でき、かつ、その製造作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るバスバー配線層の製造方法は、複数のバスバーを有するバスバー配線層の製造方法であって、前記各バスバーが第1のブリッジで一体的に連結されると共に前記第1のブリッジよりも分断容易な第2のブリッジで一体的に連結された連結バスバーを形成する工程と、前記連結バスバーに対して曲げ加工を施すと共に、前記第1のブリッジを分断する工程と、前記第2のブリッジを分断しつつ、前記各バスバーを並び替える工程とを備えたものである。
【0013】
この場合に、前記第1のブリッジはプレス装置にて分断できる程度の強度を有する部分であり、前記第2のブリッジは手作業にて分断できる程度の強度を有する部分であってもよい。
【0014】
また、前記第2のブリッジは、板状部分の略中央部に穴を形成した形状に形成されていてもよい。
【0015】
さらに、前記第2のブリッジは、その幅方向に沿って溝を形成した部材であってもよい。
【0016】
さらに、前記第2のブリッジは、隣合う前記各バスバーを一方向に曲げることによって分断可能な位置に設けられていてもよい。
【0017】
また、この発明に係る連結バスバーは、複数のバスバーと、前記各バスバーを一体的に連結する第1のブリッジと、前記各バスバーを一体的に連結し、かつ、前記各第1のブリッジよりも分断容易な第2のブリッジとを備えたものである。
【0018】
この場合に、前記第1のブリッジはプレス装置にて分断できる程度の強度を有する部分であり、前記第2のブリッジは手作業にて分断できる強度を有する部分であってもよい。
【0019】
また、前記第2のブリッジは、板状部分の略中央部に穴を形成した形状に形成されていてもよい。
【0020】
さらに、前記第2のブリッジは、その幅方向に沿って溝を形成した部材であってもよい。
【0021】
さらに、前記第2のブリッジは、隣合う前記各バスバーを一方向に曲げることによって分断可能な位置に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係るバスバー配線層の製造方法によると、各バスバーが第1のブリッジで一体的に連結されると共に前記第1のブリッジよりも分断容易な第2のブリッジで一体的に連結された連結バスバーを形成する工程と、前記連結バスバーに対して曲げ加工を施すと共に、前記第1のブリッジを分断する工程とを備えているため、第2のブリッジを分断させずに残したまま、第1のブリッジの分断作業と連結バスバーに対する曲げ加工とを施すことができ、製造設備を削減することができる。また、この状態では、各バスバーは第2のブリッジで連結された状態となっているため、前記第2のブリッジを分断しつつ、各バスバーを並び替えることができ、バスバーの組立作業を容易に行うことができる。
【0023】
この場合、前記第1のブリッジはプレス装置にて分断できる程度の強度を有する部分であり、前記第2のブリッジは手作業にて分断できる程度の強度を有する部分であると、連結バスバーの形態では、各バスバーが比較的強固に連結された状態であるため、可搬性に優れる。また、第1のブリッジを分断した状態では、第2のブリッジを容易に手で分断して、各バスバーをバラバラな状態にできる。
【0024】
さらに、前記第2のブリッジは、板状部分の略中央部に穴を形成した形状に形成されていると、第2のブリッジによってバスバー同士を比較的安定した態様で連結保持することができると共に、第2のブリッジを容易に分断できる。
【0025】
また、前記第2のブリッジがその幅方向に沿って溝を形成した部材である場合も、該溝に沿って第2のブリッジを容易に分断できる。
【0026】
また、前記第2のブリッジは、隣合う前記各バスバーを一方向に曲げることによって分断可能な位置に設けられていると、隣合うバスバー同士を容易に分離することができる。
【0027】
また、この発明に係る連結バスバーによると、複数のバスバーと、前記各バスバーを一体的に連結する第1のブリッジと、前記各バスバーを一体的に連結し、かつ、前記各第1のブリッジよりも分断容易な第2のブリッジとを備えているため、第2のブリッジを分断させずに残したまま、第1のブリッジの分断作業と連結バスバーに対する曲げ加工等とを施すことができ、製造設備を削減することができる。また、第1のブリッジを分断した後、各バスバーは第2のブリッジで連結された状態となっているため、前記第2のブリッジを分断しつつ、各バスバーを並び替えることができ、バスバーの組立作業を容易に行うことができる。
【0028】
この場合、前記第1のブリッジはプレス装置にて分断できる程度の強度を有する部分であり、前記第2のブリッジは手作業にて分断できる程度の強度を有する部分であると、連結バスバーの形態では、各バスバーが比較的強固に連結された状態であるため、可搬性に優れる。また、第1のブリッジを分断した状態では、第2のブリッジを容易に手で分断できる。
【0029】
さらに、前記第2のブリッジは、板状部分の略中央部に穴を形成した形状に形成されていると、第2のブリッジによってバスバー同士を比較的安定した態様で連結保持することができると共に、第2のブリッジを容易に分断できる。
【0030】
また、前記第2のブリッジがその幅方向に沿って溝を形成した部材である場合にも、該溝に沿って第2のブリッジを容易に分断できる。
【0031】
また、前記第2のブリッジは、隣合う前記各バスバーを一方向に曲げることによって分断可能な位置に設けられていると、隣合うバスバー同士を容易に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、この発明の実施形態に係る連結バスバー及びバスバー配線層の製造方法について説明する。
【0033】
まず、連結バスバーについて説明する。図1は連結バスバーを示す図であり、図2は同連結バスバーにおける第1のブリッジを切断すると共に所定の曲げ加工を施した状態を示す図、図3は同連結バスバーにおける第2のブリッジを切断した状態を示す図である。
【0034】
この連結バスバー10は、例えば、金属板等の導電性板材をプレス加工で打抜くことにより形成され、複数のバスバー12A,12B,12C,12D,12E,…と、これらを一体的に連結する第1のブリッジ16と、同じように一体的に連結する第2のブリッジ18とを備えている。
【0035】
上記各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は、細帯状の導電性板状部材であり、所定の配線パターンを描くように形成されている。また、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…の所定の端部は、略L字状に折曲げられてタブ部13に形成される(図2参照)。各タブ部13は、異なる層間でのバスバー同士の接続や他の部材(外部コネクタ等)との接続に供される。
【0036】
これら各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は、後述するように別々に切離された後、所定の配列に並び替えられて、絶縁板に組付けられる。絶縁板に所定の配線経路を描くように各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…が組付けられることで、所定の配線経路を有するバスバー配線層が構成される。このようなバスバー配線層が複数積層状に組合わされて、所定のケース内に収容及び組付されることで、自動車等において電気的な分岐配線等を行うジャンクションボックスが製造されることになる。
【0037】
第1のブリッジ16は、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を一体的に連結している。図1では、バスバー12Aとバスバー12Bとの間に適宜分散して4つの第1のブリッジ16が設けられ、バスバー12Aとバスバー12Cとの間に1つの第1のブリッジ16が設けられ、バスバー12Aとバスバー12Eとの間に一つの第1のブリッジ16が設けられ、また、バスバー12Bとバスバー12Dとの間に一つの第1のブリッジ16が設けられている。このように、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…間には、少なくとも一つの第1のブリッジ16が設けられている。そして、これら各第1のブリッジ16により、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…がバラバラにならずに一体となった態様で保持されている。
【0038】
これらの第1のブリッジ16は、第2のブリッジ18よりも分断困難に、ここでは、プレス装置によるプレス切断加工により分断できる程度の強度を有する形状に形成されている。より具体的には、第1のブリッジ16は、所定幅を有する細帯状に形成されている。このため、本連結バスバー10は、第1のブリッジ16で切離す前の状態では、多少の衝撃によっては、バラバラになり難く、遠隔地への搬送等、大がかりな搬送にも耐え得る一体化強度を有している。
【0039】
第2のブリッジ18も、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を一体的に連結している。図1及び図2では、バスバー12Aとバスバー12Bとの間に2つの第2のブリッジ18が設けられ、バスバー12Bとバスバー12Cとの間に1つの第2のブリッジ18が設けられ、バスバー12Dとバスバー12Eとの間に1つの第2のブリッジ18が設けられている。このように、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…間には、少なくとも一つの第2のブリッジ18が設けられている。そして、上記第1のブリッジ16が切離された状態においても、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は、バラバラにならずに一体となった態様で保持されている。
【0040】
これらの第2のブリッジ18は、上記第1のブリッジ16よりも分断容易に、ここでは、手作業にて分断できる程度の強度を有する形状に形成されている。より具体的には、第2のブリッジ18は、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…間を連結する細帯板状に形成されると共に、その略中央部に穴18h(ここでは丸穴)を形成した形状に形成されている。そして、上記第1のブリッジ16で切離した状態では、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は、各第2のブリッジ18によって一体となった態様で保持されている。そして、分割すべきバスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を作業者が手で持ってその厚み方向に曲げる等所要の力を加えると、それらの間の第2のブリッジ18が容易に破断するようになっている。
【0041】
なお、第2のブリッジ18を分断容易にするために、溝を形成するとよい。すなわち、図4に示す第2のブリッジ118は、上記第2のブリッジ18に、その幅方向に沿って溝としてのノッチ118a(ここでは断面略V字状の溝)を形成した構成とされている。また、図5に示す第2のブリッジ218は、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…間を連結する細帯板状に形成されると共に、その幅方向に沿って溝としてのノッチ218a(ここでは断面略V字状の溝)を形成した構成とされている。これらのノッチ118a,218aは、例えば、プレス作業にて形成される。なお、第2のブリッジ18,118,218の幅方向とは、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…間を結ぶ方向に対して略直交する方向をいう。
【0042】
また、隣合う各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…間に、第2のブリッジ18が2つ以上設けられている場合、それらの第2のブリッジ18は、隣合う各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を一方向に曲げることによって分断可能な位置に設けられている。換言すれば、隣合うバスバー12A,12B,12C,12D,12E,…間に、第2のブリッジ18が2つ以上存在する場合があり、隣合うバスバー12A,12B,12C,12D,12E,…各間において、それらの第2のブリッジ18は、一直線L上に位置するように設けられている。なお、図4及び図5のように、ノッチ118a,218aが形成されている場合、該ノッチ118a,218aも、該一直線Lに沿って延びるように形成されている。図1及び図2では、バスバー12Aとバスバー12B間において、一直線L上に位置するように第2のブリッジ18が2つ設けられている。そして、バスバー12Aとバスバー12Bとをその厚み方向に曲げるようにすると、それらの間の2つの第2のブリッジ18が折曲げられて破断し、バスバー12Aとバスバー12Bとが分離する(図3参照)。
【0043】
そして、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…が分離された後、適宜配列に並び替えられて絶縁板やケースに組付けられて、ジャンクションボックスが製造される。
【0044】
次に、バスバー配線層の製造方法について説明する。図6はバスバー配線層の製造方法を示す工程図であり、図7は同バスバー配線層の製造ラインの一例を示す説明図である。
【0045】
この連結バスバー10は、例えば、図7に示す製造ラインに搬送される。図7に示す製造ラインでは、上流側から下流側に向けて、第1のプレス装置30、バスバー仮置き台32、並び替えステージ34、及び、第2のプレス装置36が設けられている。
【0046】
第1のプレス装置30は、金型間で圧力を加えることによって板材にプレス加工を施す装置であり、ここでは、プレス加工によって、連結バスバー10の一部分断及びタブ曲げ加工を行う。より具体的には、第1のプレス装置30は、連結バスバー10の第1のブリッジ16をプレス切断するのと同時に、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…の所定の端部を曲げてタブ部13を形成することが可能な金型を有している。
【0047】
バスバー仮置き台32は、連結バスバー10の一部分断及びタブ曲げ加工された連結バスバー10を一時的に仮置きしておくための台である。
【0048】
並び替えステージ34上には、パレットが配設されており、このパレット上に絶縁板が配設されると共に、該絶縁板に所定の配列に並び替えられた各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…が組付けられる。
【0049】
第2のプレス装置36は、金型間で圧力を加えることによって板材にプレス加工を施す装置である。ここでは、第2のプレス装置30は、パレット上で、所定の配列に並べられた状態で絶縁板に組付けられた各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…に対して、圧力を加えることで、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…のカシメや絶縁板の取付用の突起の部分的な圧潰等を行って、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を絶縁板に取付ける作業を行う。
【0050】
この製造ラインにおけるバスバー配線層の製造方法を説明する。
【0051】
図6に示すように、バスバー配線層を製造するにあたっては、金属板等の導電性板をプレス加工によって打抜く等して形成された連結バスバー10を準備する(図1参照)。この連結バスバー10は、本製造ラインの近傍の設備にて製造されるものであってもよいし、遠隔地にある設備で製造されるものであってもよい。特に、連結バスバー10は、比較的強固な第1のブリッジ16にて連結されているので、そのような遠隔地からの搬送にも十分に耐え得る強度を有している。
【0052】
そして、この連結バスバー10を上記第1のプレス装置30にセットして、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…の所定の端部を曲げて曲げ加工を施してタブ部13を形成する(バスバータブ曲げ)と共に、第1のブリッジ16の切断(一部分断)を行う。これにより、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は第2のブリッジ18によって一体的に連結された状態となり(図2参照、図2において切断部分を破線で示す)、第1のプレス装置30から取出されて、バスバー仮置き台32上に仮置きされる。
【0053】
第2のブリッジ18によって連結された状態である各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は、作業者に渡されて、作業者の手作業によって、各第2のブリッジ18で破断されつつ、所定の配列に並び替えられてパレット上に載置された絶縁板に組付けられる(図3参照、図3において手作業による破断部分を破線で示す)。なお、連結バスバー10の形態で、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は、絶縁板上に組付られる配列を基本としつつ、材料の無駄等を考慮して適宜変更を加えた位置に配列されている。このため、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を全てバラバラにしてしまった後、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を所定の配列に並び替えるよりも、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を一つずつ分断しながら所定の配列に並び替える方が、容易かつ迅速に並び替え作業を行える。
【0054】
そして、パレット上で、所定の配列に並べられた状態で絶縁板に組付けられた各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は、第2のプレス装置36にセットされる。そして、ここで、カシメや熱圧潰等を施されて、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…と絶縁板とが取付けられた状態となり、バスバー配線層が完成する。
【0055】
完成したバスバー配線層は、次工程ラインに搬送されて、ジャンクションボックスの組立部品等として用いられる。
【0056】
図8は参考例としてのバスバー配線層の製造方法を示す工程図であり、図9は同参考例としてのバスバー配線層の製造ラインの一例を示す説明図である。
【0057】
すなわち、上記連結バスバー10において、第2のブリッジ18が無く、第1のブリッジ16だけで各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…が連結されている場合を考えてみる。この場合には、上記タブ曲げと、第1のブリッジ16の破断による各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…とを、同一のプレス装置で同一の作業工程で実施することはできない。タブ曲げを行った状態で、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…がバラバラになってしまうと、バラバラになったバスバー12A,12B,12C,12D,12E,…がプレス装置の金型上に残ってしまう等の不都合が生じるからである。
【0058】
このため、図9に示すように、製造ラインにおいて、タブ曲げを行うためのプレス装置30Aと、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…の分断を行うためのプレス装置30Bとを、それぞれ別々に備える必要がある。そして、図8に示すように、プレス装置30Aで、連結バスバーに対してタブ曲げを行った後、プレス装置30Bで、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を分断する必要がある。
【0059】
また、この場合、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は、一旦バラバラな状態になる。このため、各作業者は、並び替えステージ34において、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を一つずつ手にとって、配列位置を確認しつて所定の配列に並び替える必要がある。このため、参考例として説明した例では、図6及び図7を参照して説明した製造方法に比べて、金型やプレス装置等が多く必要となり、また、バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…の並び替え作業も繁雑であることがわかる。
【0060】
さらに、図6及び図7に示す例では、第2のプレス装置20専用のパレットを1種類準備すれば足りる。これに対し、参考例では、バラバラになったバスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を移動させるためのパレット等も必要であるし、また、バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…の並び替え本数や生産サイクルの要請等によっては、より多種のパレットを準備する必要がある。
【0061】
以上のように構成された連結バスバー及びバスバー配線層の製造方法では、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…が、第1のブリッジ16とこれよりも分断容易な第2のブリッジ16とでそれぞれ一体的に連結された連結バスバー10を形成する工程と、連結バスバー10に対して曲げ加工を施すと共に第1のブリッジ16で切離す工程とを備えている。このため、第2のブリッジ18を破断させずに残したまま、第1のブリッジ16の切離し作業と連結バスバー10に対する曲げ加工とを同時に同一のプレス装置30で施すことができ、比較的簡素な製造設備で製造できる。また、この状態では、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は第2のブリッジ18で連結された状態となっているため、第2のブリッジ18を分断して各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を一つずつバラバラにしつつ、それらを並び替えることができる。従って、それら各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…が一旦完全にバラバラにされてしまう場合と比べて、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…の組立作業を容易に行うことができる。
【0062】
しかも、第1のブリッジ16はプレス装置にて分断できる程度の強度を有する部分であり、第2のブリッジ18は手作業にて分断できる程度の強度を有する部分であるため、連結バスバー10の形態では、各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…は第1のブリッジ16を介して比較的強固に連結されており、遠隔地への搬送等、可搬性に優れる。また、第1のブリッジ18を切離した状態では、第2のブリッジを容易に手で分断できるので、上記手作業によって分断しつつ並び替える作業を容易に行える。
【0063】
さらに、第2のブリッジ18は、板状部分の略中央部に穴18hを形成した形状に形成されているため、その穴18hを挟む両側部分で各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…が連結された状態に保持される。このため、第2のブリッジ18によって、比較的安定した態様で各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を連結保持することができ、また、その手作業による分断も容易にすることができる。
【0064】
さらに、隣合うバスバー12A,12B,12C,12D,12E,…間に2つ以上の第2のブリッジ18が設けられる場合、各第2のブリッジ18は、該隣合う各バスバー12A,12B,12C,12D,12E,…を一方向に曲げることによって分断可能な位置に設けられているため、隣合うバスバー12A,12B,12C,12D,12E,…同士を容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態に係る連結バスバーを示す図である。
【図2】同上の連結バスバーにおける第1のブリッジを切断すると共に所定の曲げ加工を施した状態を示す図である。
【図3】同上の連結バスバーにおける第2のブリッジを切断した状態を示す図である。
【図4】第2のブリッジの変形例を示す図である。
【図5】第2のブリッジの他の変形例を示す図である。
【図6】バスバー配線層の製造方法を示す工程図である。
【図7】バスバー配線層の製造ラインの一例を示す説明図である。
【図8】参考例としてのバスバー配線層の製造方法を示す工程図である。
【図9】参考例としてのバスバー配線層の製造ラインの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
10 連結バスバー
12A,12B,12C,12D,12E バスバー
13 タブ部
16 第1のブリッジ
18 第2のブリッジ
18h 穴
30 プレス装置
34 並び替えステージ
36 プレス装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバスバーを有するバスバー配線層の製造方法であって、
前記各バスバーが第1のブリッジで一体的に連結されると共に前記第1のブリッジよりも分断容易な第2のブリッジで一体的に連結された連結バスバーを形成する工程と、
前記連結バスバーに対して曲げ加工を施すと共に、前記第1のブリッジを分断する工程と、
前記第2のブリッジを分断しつつ、前記各バスバーを並び替える工程と、
を備えたバスバー配線層の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のバスバー配線層の製造方法であって、
前記第1のブリッジはプレス装置にて分断できる程度の強度を有する部分であり、
前記第2のブリッジは手作業にて分断できる程度の強度を有する部分である、バスバー配線層の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のバスバー配線層の製造方法であって、
前記第2のブリッジは、板状部分の略中央部に穴を形成した形状に形成されている、バスバー配線層の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバスバー配線層の製造方法であって、
前記第2のブリッジは、その幅方向に沿って溝を形成した部材である、バスバー配線層の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のバスバー配線層の製造方法であって、
前記第2のブリッジは、隣合う前記各バスバーを一方向に曲げることによって分断可能な位置に設けられている、バスバー配線層の製造方法。
【請求項6】
複数のバスバーと、
前記各バスバーを一体的に連結する第1のブリッジと、
前記各バスバーを一体的に連結し、かつ、前記各第1のブリッジよりも分断容易な第2のブリッジと、
を備えた連結バスバー。
【請求項7】
請求項6記載の連結バスバーであって、
前記第1のブリッジはプレス装置にて分断できる程度の強度を有する部分であり、
前記第2のブリッジは手作業にて分断できる強度を有する部分である、連結バスバー。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の連結バスバーであって、
前記第2のブリッジは、板状部分の略中央部に穴を形成した形状に形成されている、連結バスバー。
【請求項9】
請求項6〜請求項8のいずれかに記載の連結バスバーであって、
前記第2のブリッジは、その幅方向に沿って溝を形成した部材である、連結バスバー。
【請求項10】
請求項6〜請求項9のいずれかに記載の連結バスバーであって、
前記第2のブリッジは、隣合う前記各バスバーを一方向に曲げることによって分断可能な位置に設けられている、連結バスバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−18899(P2007−18899A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199633(P2005−199633)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】