説明

バックライト装置及びその制御方法

【課題】ディスプレイの発光効率を低下させることなく、バックライトからの光の輝度及び色の変動を抑制することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明のバックライト装置は、入力されたパルス信号により駆動され、液晶パネルのバックライトとして機能する複数の発光部と、複数の発光部のうち少なくとも一部の発光部に入力するパルス信号の周期、位相、または、デューティ比を変更することにより、1つの発光部のみが発光する期間である検出期間を発光部毎に設定する設定手段と、検出期間に発光している発光部である検出対象発光部の発光量を検出する検出手段と、検出手段で検出された発光量が所定の値からずれている場合に、検出対象発光部の発光量が所定の値になるように、検出対象発光部に入力するパルス信号のデューティ比とパルス振幅の少なくとも一方を調整する調整手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイのバックライトからの光の輝度や色は、バックライトを構成するLEDの経時劣化などにより変動する。従来、そのような変動を抑える技術が提案されている。
特許文献1に開示の技術では、液晶ディスプレイの垂直ブランキング期間または水平ブランキング期間にバックライトを構成する赤色LED、青色LED、緑色LEDの何れかのLEDが点灯される。点灯したLEDの光量を光センサで検出し、検出結果に応じてLEDの発光量を制御することにより、バックライトの色が調整される。
また、特許文献2に記載の技術では、各々が複数のLEDからなる複数の発光部のうち、光量検出の対象となる発光部のみを点灯させる検出用点灯が行われる。検出用点灯を各発光部に対して順次行うことにより、発光部毎に光量が検出される。検出結果に応じて発光部毎に発光量を制御することにより、バックライトの輝度や色が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−282936号公報
【特許文献2】特開2008−286854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、光量検出のために垂直ブランキング期間または水平ブランキング期間を設けなければならない。この期間では、LEDの点灯がモニタを通してユーザに見えないようにするために、液晶素子を非透過状態(バックライトからの光が透過されない状態)にして黒画面を表示する必要がある。そのため、特許文献1に開示の技術では、ディスプレイの発光時間(画面から光が出力される時間)が短くなってしまう、即ちディスプレイの発光効率が低下してしまうという問題があった。
また、特許文献2に開示の技術においても、検出用点灯時は、発光部が発する光がユーザに見えないようにするために、液晶素子を非透過状態にする必要がある。そのため、特許文献2に開示の技術でも、特許文献1に開示の技術と同様に、ディスプレイの発光効率が低下してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ディスプレイの発光効率を低下させることなく、バックライトからの光の輝度及び色の変動を抑制することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、入力されたパルス信号により駆動され、液晶パネルのバックライトとして機能する複数の発光部と、前記複数の発光部のうち少なくとも一部の発光部に入力するパルス信号の周期、位相、または、デューティ比を変更することにより、1つの発光部のみが発光する期間である検出期間を発光部毎に設定する設定手段と、前記検出期間に発光している発光部である検出対象発光部の発光量を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された発光量が所定の値からずれている場合に、前記検出対象発光部の発光量が前記所定の値になるように、前記検出対象発光部に入力するパルス信号のデューティ比とパルス振幅の少なくとも一方を調整する調整手段と、を有することを特徴とするバックライト装置である。
【0007】
本発明の第2の態様は、入力されたパルス信号により駆動され、液晶パネルのバックライトとして機能する複数の発光部を有するバックライト装置の制御方法であって、前記複数の発光部のうち少なくとも一部の発光部に入力するパルス信号の周期、位相、または、デューティ比を変更することにより、1つの発光部のみが発光する期間である検出期間を発光部毎に設定する設定ステップと、前記検出期間に発光している発光部である検出対象発光部の発光量を検出する検出ステップと、前記検出ステップで検出された発光量が所定の値からずれている場合に、前記検出対象発光部の発光量が前記所定の値になるように、前記検出対象発光部に入力するパルス信号のデューティ比とパルス振幅の少なくとも一方を調整する調整ステップと、を有することを特徴とするバックライト装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ディスプレイの発光効率を低下させることなく、バックライトからの光の輝度及び色の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例に係る液晶ディスプレイの構成の一例。
【図2】発光部と光センサ部の配置の一例。
【図3】各LEDに入力するパルス信号の一例。
【図4】発光量を調整する前の各LEDの動作状態の一例。
【図5】発光部の発光量を調整する際のフローチャートの一例。
【図6】パルス信号の周期を変更した際の各LEDの動作状態の一例。
【図7】発光量の検出値と初期値の一例。
【図8】発光量の検出値と初期値の一例。
【図9】LEDの発光量を調整した際の各LEDの動作状態の一例。
【図10】パルス信号の位相を変更した際の各LEDの動作状態の一例。
【図11】発光量を調整する前の各LEDの動作状態の一例。
【図12】パルス信号のディーティ比を変更した際の各LEDの動作状態の一例。
【図13】発光部の発光量を調整する際のフローチャートの一例。
【図14】パルス信号の周期を変更した際の各LEDの動作状態の一例。
【図15】発光量の検出値と初期値の一例。
【図16】LEDの発光量を調整した際の各LEDの動作状態の一例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施例1>
以下、図面を参照して、本発明の実施例1に係るバックライト装置及びその制御方法について詳細に説明する。
図1は、本実施例に係るバックライト装置を有する液晶ディスプレイの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施例に係る液晶ディスプレイは、映像入力部110、映像処理部120、表示部130、バックライト装置200などを有する。
【0011】
映像入力部110は、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、DVI(Digital Visual Interface)、DisplayPortなどの映像入力端子である。映像入
力部110は、パーソナルコンピュータやビデオプレイヤーなどの映像出力機器と接続される。映像入力部110は、映像出力機器が出力する映像信号を受信し、受信した映像信号を映像処理部120に出力する。
映像処理部120は、映像入力部110が出力する映像信号に画像処理を施す。映像処理部120が行う画像処理は、後述する表示部130の表示特性などに応じて映像信号の輝度、色、ガンマ値などを補正するものである。映像処理部120は、画像処理が施され
た映像信号を表示部130に出力する。
表示部130は、例えば、液晶パネルであり、映像処理部120が出力する映像信号に基づく映像を表示する。表示部130の背面にはバックライト(具体的には、後述する発光部210〜240)が配置されている。バックライトが表示部130の背面から光を照射することにより、視聴者は表示部130に表示された映像を見ることができる。
【0012】
バックライト装置200は、発光部210、発光部220、発光部230、発光部240、光センサ部250、発光量制御部260などを有する。なお、発光部の数は4つに限らない。4つより少なくてもよいし、多くてもよい。
【0013】
発光部210は、入力されたパルス信号(発光量制御部260が出力するパルス信号)により駆動され、表示部130のバックライトとして機能する。本実施例では、発光部210は、互いに異なる色の光を発する複数のLED(赤色LED211、青色LED212、緑色LED213)で構成されている。各色のLED(発光素子)の発光量は、発光量制御部260が出力するパルス信号を制御することによって互いに独立に制御可能である。発光部210の各LEDは、発光量制御部260が出力するパルス信号がHighの期間は点灯し、Lowの期間は消灯する。そのため、発光量制御部260が出力するパルス信号のデューティ比(パルス信号の1周期の長さに対するHighの期間の長さの割合)が増加すると、パルス信号のHighの期間が長くなり、LEDの点灯期間も長くなるため、LEDの発光量が増加する。パルス信号のデューティ比が減少すると、パルス信号のHighの期間が短くなり、LEDの点灯期間も短くなるため、LEDの発光量が減少する。赤色LED211、青色LED212、緑色LED213の発する光が混色することにより、発光部210からは白色の光が得られる。
発光部220、発光部230、発光部240は、それぞれ、発光部210と同様の機能構成を有する。
【0014】
なお、本実施例では、パルス信号のパルス幅(デューティ比)を変更(制御)すること(PWM(Pulse Width Modulation))によりLEDの発光量を制御するものとするが、LEDの発光量の制御方法はこれに限らない。LEDは、発光量制御部260が出力する駆動電流(パルス信号のパルス振幅)が増加すると発光量が増加し、駆動電流が減少すると発光量が減少する。そのため、パルス信号のパルス振幅を変更すること(PAM(Pulse Amplitude Modulation))によりLEDの発光量を制御してもよい。上記PWMとPAMの両方を組み合わせてもよい。即ち、パルス信号のデューティ比とパルス振幅の少なくとも一方を調整することにより発光部の発光量を制御することができる。
【0015】
光センサ部250は、入力された光(具体的には、発光部が発する光)の光量を検出する。本実施例では、光センサ部250は、入力された光の光量を赤色成分、青色成分、緑色成分に分けて検出する。例えば、光センサ部250は、カラーセンサとA/Dコンバータから構成される。カラーセンサは、発光部が発する光の赤色成分、青色成分、緑色成分の光量をそれぞれ検出する。カラーセンサは、各色の検出値(検出信号)をそれぞれA/Dコンバータに出力する。A/Dコンバータは、カラーセンサが出力する赤色、青色、緑色の検出値をデジタル値(デジタル信号)に変換する。A/Dコンバータは、デジタル値に変換した赤色、青色、緑色の検出値を発光量制御部260に出力する。
【0016】
図2に、発光部210、発光部220、発光部230、発光部240、光センサ部250の配置の一例を示す。なお、図2では、配置をわかりやすくするために、表示部130(表示面)もあわせて図示している。図2において、左上に発光部210、左下に発光部220、右上に発光部230、右下に発光部240が位置する。発光部210は、赤色LED211、青色LED212、緑色LED213から構成される。発光部220は、赤色LED221、青色LED222、緑色LED223から構成される。発光部230は
、赤色LED231、青色LED232、緑色LED233から構成される。発光部240は、赤色LED241、青色LED242、緑色LED243から構成される。表示面の中央に光センサ部250が位置する。
【0017】
発光量制御部260は、各発光部を制御する。具体的には、発光量制御部260は、光センサ部250が検出した赤色検出値、青色検出値、緑色検出値に基づいて各発光部のLEDに入力するパルス信号を制御する。図3に、発光量制御部260が発光部210の各LEDに入力するパルス信号のタイミングチャートを示す。図3において、表示部130が表示する映像信号のフレームレートは、例えば、60Hzである。発光量制御部260が赤色LED211、青色LED212、緑色LED213に入力するパルス信号の1周期の長さは、それぞれ、表示部130で表示される映像(表示部130に入力される映像信号)の1フレームの期間よりも短い。即ち、赤色LED211、青色LED212、緑色LED213には、それぞれ、表示部130で表示される映像の1フレームの期間中に複数周期のパルス信号が入力される。発光量制御部260による各発光部の制御の詳細は後述する。
【0018】
次に、バックライトからの光の輝度及び色(発光部の発光量)を調整する際のバックライト装置の動作の一例について説明する。
図4は、発光量を調整する前の各LEDの動作状態を示すタイミングチャートである。図4において、発光量制御部260が発光部210のLED211〜213、発光部220のLED221〜223、発光部230のLED231〜233、発光部240のLED241〜243に入力するパルス信号のデューティ比及び周期は互いに等しい。以後、発光部の発光量を調整する前のパルス信号を基準信号と呼ぶ。
本実施例では、発光部毎に、その発光部の発光量を調整する。例えば、発光量制御部260は、調整する発光部を映像処理部120からの同期信号に同期して切り替える。但し、調整する発光部の切り替え方法はこれに限らない。同期信号とは無関係に調整する発光部が切り替えられてもよい(映像処理部120は発光量制御部260へ同期信号を出力しなくてもよい)。
【0019】
最初に、発光量制御部260は、発光部210の発光量を調整する。図5に発光量制御部260が発光部210の発光量を調整する際のフローチャートを示す。
ステップ11において、発光部210の発光量を検出するために、発光量制御部260は、バックライト装置200が有する複数の発光部のうち少なくとも一部の発光部に入力するパルス信号の周期を変更する。また、本実施例では、発光量制御部260は、発光部に入力するパルス信号の周期を、表示部130で表示される映像の1フレーム期間あたりの該発光部の発光量が維持されるように変更する。例えば、発光部210を構成する各LEDに入力するパルス信号の周期を基準信号の周期の2倍に変更する。
図6は、ステップ11後の(発光量制御部260がパルス信号の周期を変更した際の)各LEDの動作状態を示すタイミングチャートである。図6に示すように、発光量制御部260が発光部210の赤色LED211、青色LED212、緑色LED213に入力するパルス信号の周期は、それぞれ、図4の周期(基準信号の周期)の2倍に変わっている。パルス信号の周期を2倍に変更しても1フレーム期間にLEDが点灯する時間は変わらないため、発光部210の発光量は変化しない。そのため、表示部130が表示する映像は、上記周期の変更による影響を受けない。
【0020】
ステップ11の処理により、発光部210のみが発光し(具体的には、発光部210を構成する全てのLED211〜213が同時に発光し)、発光部220,230,240が発光していない期間(図6における期間ts1)が設定される。このように、1つの発光部のみが発光する期間を、検出期間と呼ぶ。
なお、本実施例では、発光部220,230,240の各LEDに入力するパルス信号
の周期を変更することにより、発光部210のみが発光する期間が設定されてもよい。
【0021】
ステップ12において、光センサ部250は、上記検出期間に発光している発光部210を検出対象発光部として、その発光量(具体的にはLED211〜213のそれぞれの発光量)を検出する。光センサ部250は、期間ts1に検出した赤色検出値、青色検出値、緑色検出値を発光量制御部260に出力する。発光量制御部260は、光センサ部250から赤色検出値、青色検出値、緑色検出値を取得する。
【0022】
ステップ13において、発光量制御部260は、ステップ12で検出した発光部210の発光量と以前の検出値(所定の値;初期値)、すなわち、発光部210からの光の輝度及び色が変動する前に光センサ部250で検出された値とを比較する。具体的には、色毎に、ステップ12で取得した検出値と、初期値とを比較する。初期値は、例えば、工場の製造工程において光センサ部250により検出した検出値である。ステップ12で検出した発光部210の発光量が所定の値からずれている場合、即ちLED211〜213の中に、ステップ12で取得した検出値が初期値からずれているLEDが存在する場合には、ステップ14に進む。ステップ12で検出した発光部210の発光量が所定の値からずれていない場合には、発光部210の発光量は変動していないため、発光量制御部260は発光部210の発光量の変更を行わない。
【0023】
ステップ14では、発光量制御部260が、発光部210の発光量が初期値となるように、発光部210に入力するパルス信号のデューティ比を調整する。具体的には、ステップ12で取得した検出値が初期値からずれているLEDの発光量が初期値となるように、該LEDに入力するパルス信号のデューティ比を調整する。より具体的には、色毎に、検出値の変化量(ステップ12で取得した検出値と初期値の差)に応じて、変化量が0となるように、その色のLED(発光部210のLED)に入力するパルス信号のデューティ比を変更する。なお、デューティ比ではなくパルス振幅が調整されてもよいし、デューティ比とパルス振幅の両方が調整されてもよい。
取得した各色の検出値と、各色の初期値の一例を図7に示す。図7において、青色検出値が初期値よりも小さいことから、青色LED212の発光量が低下しているのが分かる。そのため、発光量制御部260は、青色LED212の発光量が初期値に近づくように、発光部210の青色LED212に入力するパルス信号のデューティ比を増やす制御を行う。図9は、発光量制御部260がパルス信号のデューティ比を変更した際(LEDの発光量を調整した際)の各LEDの動作状態を示すタイミングチャートである。図9において、青色LED212のパルス信号の1周期内におけるHighの時間がΔB1だけ増やされ、Lowの時間がΔB1だけ減らされている(デューティ比が増やされている)。それにより、青色LED212の点灯期間は長くなるため、青色LED212の発光量が増加する。
発光量制御部260は、以上説明した図3のフローチャートに示す動作を繰り返し行う。
以上により、発光部210の発光量が調整される。
【0024】
次に、発光量制御部260は、発光部220を検出対象発光部として、発光部220の発光量を調整する。発光部220の発光量の調整方法は、発光部210の発光量の調整方法と同様である。
発光部220の発光量を検出するために、発光量制御部260は、発光部220を構成する各LEDに入力するパルス信号の周期を基準信号の周期の2倍に変更する。それにより、検出期間(発光部220のみが発光し(具体的には、発光部220を構成する全てのLED221〜223が同時に発光し)、発光部210,230,240が発光していない期間)が設定される。
光センサ部250は、上記検出期間に発光している発光部220を検出対象発光部とし
て、その発光量(具体的にはLED221〜223のそれぞれの発光量)を検出する。光センサ部250は、検出した赤色検出値、青色検出値、緑色検出値を発光量制御部260に出力する。発光量制御部260は、光センサ部250から赤色検出値、青色検出値、緑色検出値を取得する。
【0025】
取得した各色の検出値と、各色の初期値の一例を図8に示す。図8において、緑色検出値が初期値よりも大きいことから、緑色LED223の発光量が増加しているのが分かる。そのため、発光量制御部260は、緑色LED223の発光量が初期値に近づくように、発光部220の緑色LED223に入力するパルス信号のデューティ比を減らす制御を行う。図9において、緑色LED223のパルス信号の1周期内におけるHighの時間がΔG2だけ減らされ、Lowの時間がΔG2だけ増やされている(デューティ比が減らされている)。それにより、緑色LED223の点灯期間は短くなるため、緑色LED223の発光量が減少する。
発光量制御部260は以上説明した動作を繰り返し行う。
以上により、発光部220の発光量が調整される。
【0026】
発光部230及び発光部240についても、発光部210、発光部220と同様に発光量が調整される。
発光量制御部260は、以上のような各発光部の発光量の調整動作を定期的に行い、各発光部の発光量の変化を抑える。したがって、バックライト装置200が表示部130を照射する白色の光の輝度及び色の変動が低減される。
【0027】
以上説明したように本実施例によれば、バックライト装置200が有する複数の発光部のうち少なくとも一部の発光部に入力するパルス信号の周期を変更することにより、1つの発光部のみが発光する期間である検出期間が発光部毎に設定される。そして、検出期間での光量の検出結果に基づいて、検出対象発光部に入力するパルス信号のデューティ比やパルス振幅、ひいては検出対象発光部の発光量が調整される。それにより、発光部を構成するLEDの経時劣化などによる発光部の発光量の変動を抑制することができ、バックライトからの光の輝度や色の変動を低減することができる。そして、本実施例では、表示部130に黒色(黒画面)を表示する必要がないため、ディスプレイの発光効率の低下を抑制することができる。
また、本実施例では、検出期間を設定する際に、発光部に入力するパルス信号の周期が、液晶パネルで表示される映像の1フレーム期間あたりの該発光部の発光量が維持されるように変更される。そのため、ディスプレイの発光効率の低下をなくすことができる。
【0028】
なお、本実施例では、光センサ部250にて各発光部の発光量を検出する際に、発光量制御部260が発光部に入力するパルス信号の周期を変更することにより、検出期間が設定されていた。しかし、検出期間の設定方法は、これに限るものではない。例えば、パルス信号の位相を変えることにより検出期間が設定されてもよい。発光部に入力するパルス信号の位相が、液晶パネルで表示される映像の1フレーム期間あたりの該発光部の発光量が維持されるように変更されることが好ましい。
図10は、発光量制御部260がパルス信号の位相を変更した際の各LEDの動作状態を示すタイミングチャートである。
図10において、発光量制御部260が発光部210の赤色LED211、青色LED212、緑色LED213に入力するパルス信号の位相は基準信号の位相からシフトされている。それにより、発光部210のみが発光する期間(図10における期間ts3)、即ち検出期間が設定される。パルス信号の位相をシフト(変更)しても1フレーム期間にLEDが点灯する時間は変わらないため、発光部210の発光量は変化しない。そのため、表示部130に表示する映像は、上記位相の変更による影響を受けない。この場合、光センサ部250は、図10における期間ts3に光量を検出する。
【0029】
また、パルス信号のデューティ比を変えることにより検出期間が設定されてもよい。発光部に入力するパルス信号のデューティ比が、液晶パネルで表示される映像の1フレーム期間あたりの該発光部の発光量が維持されるように変更されることが好ましい。この方法は、図11に示す発光部220の青色LED222のように、全期間において点灯しているLEDが存在する場合(全期間でパルス信号がHighの場合)に有効である。
図12は、発光量制御部260がパルス信号のディーティ比を変更した際の各LEDの動作状態を示すタイミングチャートである。
図12において、発光量制御部260が発光部210の各LEDに出力するパルス信号は、図11の状態に比べ、駆動電流(パルス振幅)が減らされ、ディーティ比が増やされている。振幅を減らして発光量が低下した分、ディーティ比を増やして発光量が増加するように、振幅とデューティ比が変更されているので、発光部210の発光量は図11に示す状態と同じである。また、図12において、発光量制御部260が発光部220の青色LED222に出力するパルス信号は、図11の状態に比べ、振幅が増やされ、ディーティ比が減らされている。振幅を増やして発光量が増加した分、ディーティ比を減らして発光量が低下するように、振幅とデューティ比が変更されているので、青色LED222の発光量は図11に示す状態と同じである。そのため、表示部130に表示する映像は、上記振幅及びデューティ比の変更による影響を受けない。
上述したようにパルス信号のデューティ比を変更することにより、発光部210のみが発光する期間(図12における期間ts4)、即ち検出期間が設けられる。この場合、光センサ部250は、図12における期間ts4に光量を検出する。
【0030】
また、本実施例では、各発光部が赤色、青色、緑色のLEDから構成されているものとした。しかし、各発光部の構成はこれに限らない。例えば、各発光部は、4色以上のLEDから構成されていてもよいし、白色LED(入力されたパルス信号により白色の光を発するLED)のみから構成されていてもよい。各発光部が白色LEDのみから構成されている場合には、光センサとしてフォトダイオードを用いることができる。
【0031】
<実施例2>
実施例1では、光センサ部が、赤色、青色、緑色の3色の光量を同時に検出し、各色の検出値を出力するものであった。本実施例では、光センサ部が1つの検出値のみを出力する場合について説明する。以下、実施例1と異なる点を中心に説明する。
本実施例に係るバックライト装置を有する液晶ディスプレイの構成を実施例1と同様に図1を用いて説明する。なお、実施例1と同様の機能については説明を省略する。
【0032】
本実施例では、光センサ部250は、発光部が発する光の光量を各色の光量に分けずに検出する。光センサ部250は、例えば、フォトダイオードとA/Dコンバータから構成される。フォトダイオードは、各発光部の赤色LED、青色LED、緑色LEDが発する光の光量を検出する。フォトダイオードは、カラーセンサとは異なり、赤色成分、青色成分、緑色成分の光を区別して検出することはできない。フォトダイオードは、検出値をA/Dコンバータに出力する。A/Dコンバータは、フォトダイオードが出力する検出値をデジタル値に変換する。A/Dコンバータは、デジタル値に変換した検出値を発光量制御部260に出力する。
【0033】
次に、バックライトからの光の輝度及び色(発光部の発光量)を調整する際のバックライト装置の動作の一例について説明する。
本実施例では、検出対象発光部を構成する複数のLEDが1つずつ発光するように検出期間を設定する。
以下、具体的に説明する。なお、発光量を調整する前の各LEDの動作状態は図4に示すとおりとする。
【0034】
最初に、発光量制御部260は、発光部210の発光量を調整する。図13に発光量制御部260が発光部210の発光量を調整する際のフローチャートを示す。
ステップ21において、発光量制御部260は、赤色LED211に出力するパルス信号の周期を基準信号の周期の2倍に変更する。
図14は、発光量制御部260が赤色LED211に出力するパルス信号の周期を変更した際の各LEDの動作状態を示すタイミングチャートである。図14に示すように、発光量制御部260が発光部210の赤色LED211に出力するパルス信号の周期は、図4の周期の2倍に変わっている。それにより、赤色LED211のみが発光する検出期間(図14における期間ts5)が設定される。
ステップ22において、光センサ部250は、上記検出期間に赤色LED211の発光量を検出する。光センサ部250は、期間ts5に検出した検出値を発光量制御部260に出力する。
【0035】
ステップ23において、発光量制御部260は、青色LED212に出力するパルス信号の周期を基準信号の周期の2倍に変更する。この時、赤色LED211に出力するパルス信号の周期は元に戻される。
ステップ24において、光センサ部250は、青色LED212のみが発光する期間(検出期間)に青色LED212の発光量を検出する。光センサ部250は、青色LED212のみが発光している検出期間に検出した検出値を発光量制御部260に出力する。
【0036】
ステップ25において、発光量制御部260は、緑色LED213に出力するパルス信号の周期を基準信号の周期の2倍に変更する。この時、青色LED212に出力するパルス信号の周期は元に戻される。
ステップ26において、光センサ部250は、緑色LED213のみが発光する期間(検出期間)に緑色LED213の発光量を検出する。光センサ部250は、緑色LED213のみが発光している検出期間に検出した検出値を発光量制御部260に出力する。
【0037】
ステップ27において、発光量制御部260は、色毎に、取得した検出値(ステップ22、ステップ24、または、ステップ26で検出された発光量)と、初期値とを比較する。LED211〜213の中に、取得した検出値が初期値からずれているLEDが存在する場合には、ステップ28に進む。存在しない場合には、発光部210の発光量は変動していないため、発光量制御部260は発光部210の発光量の変更を行わない。
【0038】
ステップ28では、発光量制御部260が、色毎に、検出値の変化量に応じて、変化量が0となるように、その色のLED(発光部210のLED)に入力するパルス信号のデューティ比を調整する。
取得した各色の検出値と、各色の初期値の一例を図15に示す。図15において、青色LED212の検出値が初期値よりも小さいことから、青色LED212の発光量が低下しているのが分かる。そのため、発光量制御部260は、光センサ部250で検出された検出値が初期値に近づくように、発光部210の青色LED212に出力するパルス信号のデューティ比を増やす制御を行う。また、図15において、緑色LED213の検出値が初期値よりも大きいことから、緑色LED213の発光量が増加しているのが分かる。そのため、発光量制御部260は、光センサ部250で検出された検出値が初期値に近づくように、発光部220の緑色LED213に出力するパルス信号のデューティ比を減らす制御を行う。
【0039】
図16は、発光量制御部260がパルス信号のデューティ比を変更した際(LEDの発光量を調整した際)の各LEDの動作状態を示すタイミングチャートである。図16において、青色LED212のパルス信号の1周期内におけるHighの時間はΔB3だけ増
やされ、Lowの時間はΔB3だけ減らされている。それにより、青色LED212の点灯期間は長くなるため、青色LED212の発光量が増加する。また、緑色LED213のパルス信号の1周期内におけるHighの時間はΔG4だけ減らされ、Lowの時間はΔG4だけ増やされている。それにより、緑色LED213の点灯時間は短くなるため、緑色LED213の発光量が減少する。
発光量制御部260は、以上説明した図13のフローチャートに示す動作を繰り返し行う。
以上により、発光部210の発光量が調整される。
【0040】
発光部220、発光部230、及び、発光部240についても、発光部210と同様に発光量が調整される。
発光量制御部260は、以上のような各発光部の発光量の調整動作を定期的に行い、光センサ部250が検出する各発光部の発光量の変化を抑える。したがって、バックライト装置200が表示部130を照射する白色の光の輝度及び色の変動が低減される。
【0041】
以上説明したように本実施例によれば、光センサ部250が各色の検出値を区別することができない場合でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、光センサ部250が各色の検出値を区別する必要がないため、より安価な構成で実施例1と同様の効果を得ることができる。具体的には、光センサ部250を、カラーセンサではなくフォトダイオードを用いた構成とすることができるため、カラーセンサを用いた構成よりも安価な構成で実施例1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
200 バックライト装置
210,220,230,240 発光部
250 光センサ部
260 発光量制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたパルス信号により駆動され、液晶パネルのバックライトとして機能する複数の発光部と、
前記複数の発光部のうち少なくとも一部の発光部に入力するパルス信号の周期、位相、または、デューティ比を変更することにより、1つの発光部のみが発光する期間である検出期間を発光部毎に設定する設定手段と、
前記検出期間に発光している発光部である検出対象発光部の発光量を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された発光量が所定の値からずれている場合に、前記検出対象発光部の発光量が前記所定の値になるように、前記検出対象発光部に入力するパルス信号のデューティ比とパルス振幅の少なくとも一方を調整する調整手段と、
を有することを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記発光部に入力するパルス信号の周期、位相、または、デューティ比を、前記液晶パネルで表示される映像の1フレーム期間あたりの該発光部の発光量が維持されるように変更する
ことを特徴とする請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記発光部は、互いに異なる色の光を発する複数のLEDで構成されており、
前記検出手段は、入力された光の光量を前記複数のLEDの色毎に分けて検出するものであり、
前記検出期間では、前記検出対象発光部を構成する全てのLEDが同時に発光する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記発光部は、互いに異なる色の光を発する複数のLEDで構成されており、
前記検出期間では、前記検出対象発光部を構成する複数のLEDが1つずつ発光する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のバックライト装置。
【請求項5】
前記発光部は入力されたパルス信号により白色の光を発する白色LEDで構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のバックライト装置。
【請求項6】
前記検出手段は、カラーセンサである
ことを特徴とする請求項3に記載のバックライト装置。
【請求項7】
前記検出手段は、フォトダイオードである
ことを特徴とする請求項4または5に記載のバックライト装置。
【請求項8】
入力されたパルス信号により駆動され、液晶パネルのバックライトとして機能する複数の発光部を有するバックライト装置の制御方法であって、
前記複数の発光部のうち少なくとも一部の発光部に入力するパルス信号の周期、位相、または、デューティ比を変更することにより、1つの発光部のみが発光する期間である検出期間を発光部毎に設定する設定ステップと、
前記検出期間に発光している発光部である検出対象発光部の発光量を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検出された発光量が所定の値からずれている場合に、前記検出対象発光部の発光量が前記所定の値になるように、前記検出対象発光部に入力するパルス信号のデューティ比とパルス振幅の少なくとも一方を調整する調整ステップと、
を有することを特徴とするバックライト装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−142224(P2012−142224A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−598(P2011−598)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】