説明

バッテリの冷却風取入構造

【課題】車両用シートに組み付けられる吸気口ユニットと車体パネルに組み付けられる吸気ダクトとを、簡便に、かつ、双方の組み付け位置の誤差に伴う接続時のガタを吸収した状態に接続できるようにする。
【解決手段】車両用シート1の車両外側のサイド部分2Aに、バッテリを冷却するための空気を冷却風として車室内から取り入れるための吸気口21Aを設けたバッテリの冷却風取入構造であって、吸気口21Aを備え、サイド部分2Aに組み付けられる吸気口ユニット20と、車体パネルに組み付けられて吸気口ユニット20の吸気口21Aと連通するように接続される吸気ダクト30と、を有する。吸気口ユニット20の接続口21Bと吸気ダクト30の接続口31との接続は、吸気口ユニット20の接続口21Bがスポンジ23(弾性体)を介して吸気ダクト30の接続口31に弾性的に突き当てられることで行われるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの冷却風取入構造に関する。詳しくは、車両用シートの車両外側のサイド部分に、バッテリを冷却するための空気を冷却風として車室内から取り入れるための吸気口を設けたバッテリの冷却風取入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド車のバッテリを車体後部のラゲッジスペースに搭載し、このバッテリを冷却する冷却風を、後席シートの側部に連なるシートサイドガーニッシュの前面に設けた吸気口から取り入れるようにした技術が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4283326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術に示した吸気口を、シートサイドガーニッシュにではなく車両用シートのサイド部分に設定する場合、シート側の組み付け部材となる吸気口ユニットと、車体パネル側の組み付け部材となる吸気ダクトとの接続には、双方の組み付け位置の誤差に伴うガタが生じやすくなる。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、車両用シートに組み付けられる吸気口ユニットと車体パネルに組み付けられる吸気ダクトとを、簡便に、かつ、双方の組み付け位置の誤差に伴う接続時のガタを吸収した状態に接続できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のバッテリの冷却風取入構造は次の手段をとる。
第1の発明は、車両用シートの車両外側のサイド部分に、バッテリを冷却するための空気を冷却風として車室内から取り入れるための吸気口を設けたバッテリの冷却風取入構造であって、吸気口を備え、車両用シートに組み付けられる吸気口ユニットと、車体パネルに組み付けられて吸気口ユニットの吸気口と連通するように接続される吸気ダクトと、を有する。吸気口ユニットの接続口と吸気ダクトの接続口との接続は、一方の接続口が他方の接続口に対してそのどちらかに設けられた弾性体を介して弾性的に突き当てられることで行われるようになっている。
【0006】
この第1の発明によれば、吸気口ユニットの接続口と吸気ダクトの接続口とが、弾性体を介して互いに弾性的に突き当てられて接続される構成となっていることにより、双方の車両用シートや車体パネルに対する組み付け位置の誤差に伴う接続時のガタを弾性体により吸収させた状態として、双方を突き当てにより簡便に組み付ける(接続する)ことができる。
【0007】
第2の発明は、上述した第1の発明において、次の構成となっているものである。すなわち、弾性体が吸気口ユニットの接続口と吸気ダクトの接続口との間に全周に亘って設けられており、弾性体の弾発力によって、吸気口ユニットと吸気ダクトとが互いに全周に亘って密着された状態に接続されるようになっている。
【0008】
この第2の発明によれば、弾性体が両接続口の間に全周に亘って設けられることで、両接続口が互いに全周に亘って密着された状態に接続される。これにより、両接続口を簡便に気密性良く接続することができる。
【0009】
第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、次の構成となっているものである。すなわち、吸気口ユニットには、車両用シートの構成部材にあてがわれて差し込み式の締結具により締結される取付座が、吸気口ユニットの接続口を取り巻くようにフランジ状に張り出した形となって形成されている。弾性体が取付座上に設けられて、吸気ダクトの接続口が弾性体に突き当てられて接続されるようになっている。
【0010】
この第3の発明によれば、吸気口ユニットの車両用シートへの取り付け部として構成された取付座上に弾性体を設ける構成としたことにより、弾性体を設置するための構成を別途新設することなく合理的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1のバッテリの冷却風取入構造が適用された車両用シートの概略斜視図である。
【図2】車両用シートの後方側からの斜視図である。
【図3】シートバックのサイド部分の分解斜視図である。
【図4】シートバックのサイド部分の組み図である。
【図5】図4のV-V線断面図である。
【図6】図4のVI-VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
始めに、実施例1のバッテリの冷却風取入構造について、図1〜図6を用いて説明する。本実施例のバッテリの冷却風取入構造は、図1〜図2に示すように、ハイブリッド車両のモータ・ジェネレータを作動させるための電源装置(図示省略)内に、その前方の車両用シート1(リヤシート)に設けた吸気口21Aから車室内の空気を冷却風として取り入れるための構成を成すものである。上記ハイブリッド車両は、2列シートを備えたセダンタイプの車両となっており、電源装置は、図示は省略しているが、車体後部のトランクルームの下方に容器状に凹んで形成された凹部内に収容されている。この電源装置は、そのバッテリを内部に収容する防水ケースが、吸気ダクト30によって、上記車両用シート1に設けた吸気口21Aに後方側から接続されている。これにより、防水ケースのケース内空間が、吸気ダクト30を介して、車両用シート1の吸気口21Aから車室内空間に連通された状態とされている。
【0014】
上記防水ケースには、同じく図示は省略されているが、冷却を終えた冷却風を、防水ケースの外側へ排出するための排気ダクトが接続されている。この排気ダクトは、その下流端が、トランクルームの内装材とリヤフェンダとの間に取り付けられており、排気した冷却風の一部を車室内に戻し、残りを車外に排出するようになっている。上記排気ダクトの下流端には、電動式のファンが設けられており、このファンの回転により発生する負圧によって、車室内の空気が吸気口21Aから吸気ダクト30内に吸入される。この吸気ダクト30内に吸入された冷却風は、図示しない防水ケース内に入って、バッテリ及びインバータやDC−DCコンバータ等の高圧電装部品を冷却し、その後に排気ダクトを通って外部へ排出される。
【0015】
なお、上述した図示しない電源装置の構成は、特許第4283326号公報等に記載された公知の電源装置と基本的構成は同じものとなっているため、詳細については省略することとする。また、上述した吸気ダクト30と車両用シート1に設けた吸気口21Aとの接続構造については、後に詳述することとする。ここで、車両用シート1は、ハイブリッド車両における助手席シートの後側のリヤシートとして構成されており、シートバック2とシートクッション3と備える。シートバック2は、その乗降ドアと隣接する車両外側のサイド部分2Aが、シートバック2から車両外側に向かって連続的に張り出すように設けられた別体の構造により構成されている。このサイド部分2Aは、シートバック2と同様に、着座乗員の背凭れ荷重を柔らかく受け止めることのできるクッション構造を備えた構成となっており、シートバック2と同様に、車室とトランクルームとを仕切るパーティションパネルやホイールハウス等の車体パネルBPに固定されて設けられている。このサイド部分2Aの前面には、前述した吸気口21Aが開口した状態となって設けられている。以下、上記シートバック2のサイド部分2Aの構成について詳しく説明する。
【0016】
図3に示すように、サイド部分2Aは、その骨格を成す樹脂フレーム10と、樹脂フレーム10に前側から組み付けられるパッド部材2A1と、パッド部材2A1の表面に被せ付けられる表皮部材2A2と、樹脂フレーム10に後側から一体に組み付けられる樹脂製の吸気口ユニット20と、から成る。樹脂フレーム10は、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂材料により一体成形されており、その中央部に縦長状の形に開口した開口部11が形成されている。この開口部11内には、後述する吸気口ユニット20の吸気口21Aが後側から嵌め込まれてセットされるようになっている。上記樹脂フレーム10の開口部11の周縁の後面部には、複数のビス孔12が形成されている。各ビス孔12は、樹脂フレーム10の後面部に小筒状に突出して形成された部分の先にそれぞれ形成されており、後述する吸気口ユニット20の取付座22のビス差込部22Aを後側からあてがえてビス22Bにより締結する部位となっている。
【0017】
また、上記樹脂フレーム10の後面部には、その上方部と下方部に、それぞれ後方側に向かってアーム状に延出する上側脚部13と下側脚部14とが形成されている。上側脚部13は、図6に示すように、その先端部に下向きに突出する係止爪13Aが形成されており、この係止爪13Aを車体パネルBPに形成された係止孔BP1内に上側から引掛けることにより、車体パネルBPに吊り掛けられて係止されるようになっている。また、下側脚部14は、その先端部に、車体パネルBPに形成された受け座BP2に面であてがえられる板状の当て座14Aが形成されており、この当て座14Aを受け座BP2にあてがえてボルト及びナットの締結具BTにより締結することによって、車体パネルBPに一体に結合されるようになっている。上記上側脚部13と下側脚部14とにより、樹脂フレーム10は、上側脚部13の係止爪13Aを車体パネルBPの係止孔BP1に引掛けて、下側脚部14の当て座14Aを車体パネルBPの受け座BP2にあてがえて締結具BTにより締結することで、車体パネルBPに対して強固に一体に組み付けられた状態とされている。
【0018】
また、上記樹脂フレーム10の上端部には、図1に示すシートベルト装置40のベルトガイド42を取り付けるためのガイド取付部15が形成されている。ここで、ベルトガイド42は、その上部にシートベルト装置40のウェビング41(ベルト)を中に通してその引き出し位置を案内するループ状の通し部42Aが形成されており、図3に示すように、その台座部42Bをガイド取付部15に上側からあてがえてビス42Cにより締結することで、樹脂フレーム10に一体に組み付けられている。上記ベルトガイド42により、図5に示すように、シートベルト装置40の不使用時におけるウェビング41の引き出し位置が、吸気口21Aの配設位置よりも車両内側にずれた位置を通るように案内されている。
【0019】
パッド部材2A1は、ウレタン樹脂を発泡成形させて形成したものである。このパッド部材2A1は、その中央部に縦長状の形に開口した開口部2A1aと、開口部2A1aの上方部と下方部とにそれぞれ形成された後方側に張り出す形の上側嵌合部2A1bと下側嵌合部2A1cと、パッド部材2A1の上面部に貫通して形成されたガイド取付孔2A1dと、を有する。開口部2A1aは、パッド部材2A1を樹脂フレーム10に前側から組み付けることにより、樹脂フレーム10の上述した開口部11に嵌まり込む。上側嵌合部2A1b及び下側嵌合部2A1cは、それぞれ、樹脂フレーム10の上側脚部13及び下側脚部14の後方側への突出形成によってそれらの前面部に凹んで形成された図示しない凹部内に嵌合する。ガイド取付孔2A1dは、上述した樹脂フレーム10の上端部に形成されたガイド取付部15を下方側から通して上方側に露出させられるようにする通し孔である。
【0020】
表皮部材2A2は、布や皮革等の面材により形成されており、上記パッド部材2A1に対して前面及び上下左右の各面を覆うように被せ付けられて、その周縁部が、パッド部材2A1の後方部に回し込まれて止着されている。この表皮部材2A2は、そのパッド部材2A1の前面部に被覆される部位面の中央部に縦長状の形に開口した開口部2A2aと、パッド部材2A1の上面部に被覆される部位面に貫通されたガイド取付孔2A2bと、を有する。開口部2A2aは、表皮部材2A2をパッド部材2A1に被せ付けることにより、パッド部材2A1の開口部2A1aと連通する開口を形成する。この表皮部材2A2の開口部2A2aの周縁部位は、図5及び図6に示すように、パッド部材2A1の開口部2A1aの内周と吸気口ユニット20の吸気口21Aの周壁21の外周との間を通って後方側に引き込まれて、樹脂フレーム10の開口部11まわりの周壁11Aに止着されて係止された状態とされている。図3に戻って、ガイド取付孔2A2bは、上述したパッド部材2A1のガイド取付孔2A1dと同様に、樹脂フレーム10の上端部に形成されたガイド取付部15を下方側から通して上方側に露出させられるようにする通し孔である。
【0021】
吸気口ユニット20は、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂材料により一体成形されており、その中央部に、前方側に向かって吸気口21Aが開口する筒状の周壁21が張り出して形成されている。この周壁21によって囲まれた筒状部の後端側の開口は、図5に示すように、前述した吸気ダクト30の接続口31が接続される接続口21Bとされている。この周壁21の後端側の周縁部には、接続口21Bを取り巻くようにフランジ状に張り出す取付座22が形成されている。この取付座22は、上記筒状に張り出す周壁21を、樹脂フレーム10の開口部11の周壁11A内に後側から嵌合させることにより、そのビス22Bの差し込み部として前方側に突出して形成されたビス差込部22Aが、樹脂フレーム10の開口部11まわりの後面部(詳しくは、前述した小筒状に突出する各ビス孔12の先端部)にそれぞれあてがわれ、このあてがえられた各ビス差込部22Aにビス22Bを挿通してビス孔12に締結することにより、樹脂フレーム10に一体に組み付けられるようになっている。ここで、上記ビス22Bが本発明の「差し込み式の締結具」に相当する。上記各ビス差込部22Aは、それぞれ、取付座22の座面に対して前方側に突出して凹状に形成されていることで、差し込んだ各ビス22Bの頭部が取付座22の座面上から突出しないように凹み内に収めることができるようになっている。これにより、後述する取付座22の後面部上に貼着するスポンジ23が、各ビス22Bの頭部と干渉しないようになっており、スポンジ23の取付座22に対する貼り付け性とそれ自体の弾性が適切に発揮されるようになっている。
【0022】
上述した吸気口21Aは、図3に示すように、その口内に、複数の羽板が縦横に組まれて成る格子状のルーバー21Cが形成されている。このルーバー21Cは、図6に示すように、横向きに配された各羽板が、吸気口21Aの開口方向である前方向に対して斜め下方に傾けられた状態に形成されている。これにより、車室内において吸気口21Aの高さ位置よりも低い箇所に滞留する比較的低温の空気が吸気口21A内に吸い込まれるようにその吸い込み方向が調整されている。詳しくは、図5〜図6に示すように、上記吸気口21Aのルーバー21Cは、サイド部分2Aの前面(表皮部材2A2の前面)よりも後方側に退避した位置に設けられており、着座乗員がサイド部分2Aに凭れ掛かった際にルーバー21Cの異物感が着座乗員に伝わりにくいようになっている。
【0023】
図5に示すように、上記吸気口ユニット20は、その接続口21Bを取り巻くように張り出す取付座22の後面部上に、吸気ダクト30の開口端部が突き当てられて、互いの矩形状に形成された接続口21B,31同士が連通した状態に接続されるようになっている。この取付座22の後面部上には、吸気ダクト30の開口端部の突き当てを弾性的に受け止められるためのスポンジ23が貼着されている。ここで、スポンジ23が本発明の「弾性体」に相当する。
【0024】
上記スポンジ23は、ポリウレタン等の合成樹脂を発泡成形して形成したものであり、図3〜図4に示すように、吸気口ユニット20の接続口21Bの全周を取り囲むように設けられるリング形状に形成されている。上記スポンジ23は、図5に示すように、その断面が矩形の断面形状とされており、その取付座22に貼着される面の全周に図示しない両面シールが貼着されて、取付座22に面当接した状態で貼着されている。ここで、取付座22の後面部上には、上記スポンジ23を貼着する箇所の内外周の縁部を部分的に縁取るように突出する突条部22Cと、スポンジ23の内周部の一部をあてがうように突出する当て板22Dと、が形成されている。前者の突条部22Cは、スポンジ23の貼着する各所の位置を示す目じるしとしての機能の他、スポンジ23を貼着する際の位置決め部としての機能や、貼着したスポンジ23が位置ずれしないように保持するガイドとしての機能を果たす。後者の当て板22Dも、上記突条部22Cと同様の機能を果たすことに加え、図3、図5及び図6に示すように、突条部22Cよりも大きく突出することで、スポンジ23を貼着する際の最初の当てがい面として機能するようになっている。
【0025】
上記スポンジ23が貼着された吸気口ユニット20の取付座22に対し、吸気ダクト30は次のように突き当てられて接続されている。ここで、吸気ダクト30は、その下流端が前述した図示しない電源装置の防水ケースに接続されており、ダクト本体自体は、その所々の箇所が車体パネルBPに固定された状態とされている。この車体パネルBPに固定された吸気ダクト30に対し、吸気口ユニット20は、先に、樹脂フレーム10に組み付けられて、樹脂フレーム10を前述したように車体パネルBPに組み付ける作業に伴って、その取付座22がスポンジ23に介して吸気ダクト30の開口端部に突き当てられて、その接続口21Bが吸気ダクト30の接続口31と接続された状態となる。
【0026】
この突き当てにより、スポンジ23が取付座22と吸気ダクト30の開口端部との間で押し潰された状態となり、両者の接続口21B,31に全周に亘って密着した状態となる。これにより、両接続口21B,31同士がスポンジ23を介して互いに気密性良く接続された状態となる。このとき、スポンジ23は、内部に細かな孔が無数に開いた多孔質の柔らかい材質より成ることから、上記突き当てにより押し潰されても、横方向(押し潰される方向に垂直な方向)に撓みにくく、吸気ダクト30の開口端部との当接から外れる方向に横ずれしたり捩れたりしにくい。したがって、吸気口ユニット20の樹脂フレーム10(車両用シート1)への組み付けや、吸気ダクト30の車体パネルBPへの組み付けに伴う双方の組み付け位置の誤差により双方の接続にガタが生ずる場合であっても、上記スポンジ23によりガタが吸収されて、吸気口ユニット20の接続口21Bと吸気ダクト30の接続口31とを気密性良く簡便に接続することができる。
【0027】
このように、本実施例のバッテリの冷却風取入構造によれば、吸気口ユニット20の接続口21Bと吸気ダクト30の接続口31とが、弾性体(スポンジ23)を介して互いに弾性的に突き当てられて接続される構成となっていることにより、双方の車両用シート1や車体パネルBPに対する組み付け位置の誤差に伴う接続時のガタをスポンジ23により吸収させた状態として、双方を突き当てにより簡便に組み付ける(接続する)ことができる。また、スポンジ23が両接続口21B,31の間に全周に亘って設けられることで、両接続口21B,31が互いに全周に亘って密着された状態に接続される。これにより、両接続口21B,31を簡便に気密性良く接続することができる。また、吸気口ユニット20の車両用シート1への取り付け部として構成された取付座22上にスポンジ23を設ける構成としたことにより、スポンジ23を設置するための構成を別途新設することなく合理的に形成することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、上記実施例では、吸気口ユニット20が、車両用シート1のシートバック2のサイド部分に組み付けられたものを例示したが、吸気口ユニットは、車両用シートを構成する他の部位に組み付けられるものであってもよい。また、上記実施例では、本発明の「弾性体」に相当するものとして、ポリウレタン等の合成樹脂を発泡成形して形成したスポンジ23を示したが、ゴム等の他の弾性体を用いることもできる。但し、適用される弾性体は、断面中空状に形成されるなどして、吸気口ユニットの接続口と吸気ダクトの接続口とを突き当てる押し付け力によって横方向に撓むことなく真っ直ぐに押し潰されるように形成されていると、両接続口を良好に密着させた状態に接続することができ好ましい。また、上記実施例では、弾性体となるスポンジ23が吸気口ユニット20に設けられたものを示したが、弾性体は、吸気ダクトに設けられるものであってもよく、両者に設けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 車両用シート
2 シートバック
2A サイド部分
2A1 パッド部材
2A1a 開口部
2A1b 上側嵌合部
2A1c 下側嵌合部
2A1d ガイド取付孔
2A2 表皮部材
2A2a 開口部
2A2b ガイド取付孔
3 シートクッション
10 樹脂フレーム
11 開口部
11A 周壁
12 ビス孔
13 上側脚部
13A 係止爪
14 下側脚部
14A 当て座
15 ガイド取付部
20 吸気口ユニット
21 周壁
21A 吸気口
21B 接続口
21C ルーバー
22 取付座
22A ビス差込部
22B ビス(差し込み式の締結具)
22C 突条部
22D 当て板
23 スポンジ(弾性体)
30 吸気ダクト
31 接続口
40 シートベルト装置
41 ウェビング
42 ベルトガイド
42A 通し部
42B 台座部
42C ビス
BP 車体パネル
BP1 係止孔
BP2 受け座
BT 締結具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートの車両外側のサイド部分に、バッテリを冷却するための空気を冷却風として車室内から取り入れるための吸気口を設けたバッテリの冷却風取入構造であって、
前記吸気口を備え、前記車両用シートに組み付けられる吸気口ユニットと、
車体パネルに組み付けられて前記吸気口ユニットの前記吸気口と連通するように接続される吸気ダクトと、を有し、
前記吸気口ユニットの接続口と前記吸気ダクトの接続口との接続は、一方の接続口が他方の接続口に対してそのどちらかに設けられた弾性体を介して弾性的に突き当てられることで行われるようになっていることを特徴とするバッテリの冷却風取入構造。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリの冷却風取入構造であって、
前記弾性体が前記吸気口ユニットの接続口と前記吸気ダクトの接続口との間に全周に亘って設けられており、該弾性体の弾発力によって前記吸気口ユニットと前記吸気ダクトとが互いに全周に亘って密着された状態に接続されるようになっていることを特徴とするバッテリの冷却風取入構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のバッテリの冷却風取入構造であって、
前記吸気口ユニットには、前記車両用シートの構成部材にあてがわれて差し込み式の締結具により締結される取付座が、前記吸気口ユニットの接続口を取り巻くようにフランジ状に張り出した形となって形成されており、前記弾性体が前記取付座上に設けられて、前記吸気ダクトの接続口が前記弾性体に突き当てられて接続されることを特徴とするバッテリの冷却風取入構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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