バッテリパック、および、携帯型端末
【課題】落下等の衝撃に起因して防爆弁が開くことを防ぐことを可能としたバッテリパックを提供することである。
【解決手段】提案するバッテリパックは、バッテリセルを収納するバッテリセル缶と、前記バッテリセル缶を収納する外装ケースと、を備え、前記バッテリセル缶は防爆弁を有し、前記外装ケースは前記バッテリセル缶を収納した際、前記防爆弁が配置される第一の面と対向する第二の面に突起部を設けたものである。
【解決手段】提案するバッテリパックは、バッテリセルを収納するバッテリセル缶と、前記バッテリセル缶を収納する外装ケースと、を備え、前記バッテリセル缶は防爆弁を有し、前記外装ケースは前記バッテリセル缶を収納した際、前記防爆弁が配置される第一の面と対向する第二の面に突起部を設けたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下等の衝撃に対する耐性を強化したバッテリパック、および、そのバッテリパックを搭載した携帯型端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型端末は携帯して持ち歩く関係から、携帯時の電力供給源としてのバッテリを内蔵している。携帯型端末81は、図8に示すように、表示部82とキー入力部84とを備え、筐体本体86表面のキー入力部84が設けられた位置に対応する筐体本体86内部にバッテリパック88が収納されている。
【0003】
バッテリパック88は、図9に示すように、金属を巻いて扁平につぶした不図示のバッテリセルを収納し、バッテリ液を充填をして表蓋91−1、裏蓋91−2で密封したバッテリセル缶93をプラスチック製の外装ケース95に収納したものである。
【0004】
バッテリセル缶93の表蓋91−1には、バッテリセル缶93の内部に異常が発生して、バッテリセル缶93内部の圧力が上昇した時に爆発を防止するために、バッテリセル缶93の内側から外側に開く防爆弁(安全弁の一種)96が設けられている。
【0005】
持ち歩いていた携帯型端末81が図10に示すように何らかのはずみで地面89に鉛直方向に落下し、地面89に衝突すると衝撃Aが発生する。図11(a)に示すように、携帯型端末81に内蔵されているバッテリパック88は、落下方向とは逆向きで、落下による衝撃の反作用Xを受けることになる。すなわち、図11(b)や図11(c)に示すように、バッテリパック88のA−A断面やC−C断面で見たときに、外装ケース95の底面90全体で、落下による衝撃の反作用Xを受けることになる。携帯型端末81やバッテリパック88の外装ケース95等により衝撃を若干吸収することから、反作用Xより若干減少した力X’が、バッテリセル缶93内に伝わることになる。
【0006】
ここで、説明としては前後するが、バッテリセル缶93の表蓋91−1に設けられる防爆弁96について図12を参照して説明する。
図12の(S1)に示すように、通常時(携帯型端末81の正常動作時)は、温度分布(熱分布)は適正範囲に収まり、バッテリセル缶93内部の圧力Wの分布も適正範囲に収まっている。この場合、防爆弁96は開く(開放される)ことはなく、未開放状態(閉じた状態)にある。
【0007】
一方、例えば、携帯型端末81の内部が何らかの原因でショートして適性範囲に収まらない熱を持ち、その熱がバッテリセル缶93を通して内部のバッテリセルに伝わると、図12の(S2)に示すように、バッテリセル缶93内部の圧力が増していき、一定(圧力Y)以上の圧力になったとき、構造上、防爆弁96がバッテリセル缶93の内側から外側に向かって開く。この結果、バッテリセル缶93の内部からバッテリ液が漏れ出し、携帯型端末81は使用不能となるが、防爆弁96の本来の用途として、バッテリセルの爆発を防ぐことができる。
【0008】
これに対し、図10で示したように、携帯型端末81が何らかの原因で地面等に落下した場合、落下の途中は、図12の(S3)に示すように、図12の(S1)と略同じ圧力分布がバッテリセル缶93内部に生じているが、携帯型端末81が地面と衝突したときに、落下方向とは逆方向に、落下による衝撃の反作用Xが生じ、この反作用Xの一部が携帯型端末81の筐体本体86底部や外装ケース95に吸収され、やや減じられて、図11に示したように、反作用X’として、バッテリセル缶93内部のバッテリセルに伝えられる。
【0009】
この反作用X’が、故障時で圧力上昇時の圧力Yと同等の影響を防爆弁96に及ぼし、図12の(S4)に示すように、防爆弁96が開いてしまい、バッテリセル缶93内のバッテリ液が漏れ出て、故障でバッテリセル缶93内の圧力が上昇していないにもかかわらず、携帯型端末81を使用不能にしてしまう、という問題がある。
【0010】
関連技術として、特許文献1には、バッテリセル缶と外装ケース(外装材)の間にクッション材(緩衝材)を入れて衝撃によるバッテリセルのダメージを緩衝する技術が示されている。しかし、クッション材を満遍なくバッテリセル缶と外装ケースの間に詰めているわけではなく、クッション材の位置決めが難しいことや、クッション材が時間経過とともに劣化する等、緩衝手段としての安定性に欠ける。また、クッション材を使用することで部品点数が増すので製造コストが増すという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−123583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、落下等の衝撃に起因して防爆弁が開くことを防ぐことを可能としたバッテリパック、および、そのバッテリパックを搭載した携帯型端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
提案する第一のバッテリパックは、バッテリセルを収納するバッテリセル缶と、前記バッテリセル缶を収納する外装ケースと、を備え、前記バッテリセル缶は防爆弁を有し、前記外装ケースは前記バッテリセル缶を収納した際、前記防爆弁が配置される第一の面と対向する第二の面に突起部を設けたものである。
【0014】
提案する第二のバッテリパックは、前記第一のバッテリパックにおいて、前記突起部を複数配置したものである。
以下の実施形態において、外装ケース41、51の天井面41−1、51−1は、前記第一のバッテリパックにおける第一の面に対応し、外装ケース41、51の底面41−2、51−2は、前記第一のバッテリパックにおける第二の面に対応する。実施形態にて説明するように、第一の面、第二の面の双方に突起部が設けられることもある。
【発明の効果】
【0015】
提案する第一のバッテリパックでは、そのバッテリパックを内蔵する携帯型端末が落下して地面等に衝突したときに、その携帯型端末内のバッテリパックの防爆弁がある第一の面とは反対側の第二の面に突起部を設け、その突起部に落下による衝撃を吸収させ、バッテリセル缶内部に伝わる衝撃を分散させている。よって、突起部が衝撃を吸収した分、バッテリセル缶内部に伝わる衝撃が軽減されるので、落下等の衝撃に起因して防爆弁が開くことを防ぐことができる。
【0016】
また、第二のバッテリパックでは、前記第二の面に例えば、外装ケースを立脚させるように複数の突起部を設けて、落下による衝撃が、それら複数の突起部を通して外装ケースの外壁に伝えられることで、その落下による衝撃を一層分散してバッテリセル缶内部に伝えている。よって、複数の突起部とそれに連結する外壁に分散した分、バッテリセル缶内部に伝わる衝撃が軽減されるので、落下等の衝撃に起因して防爆弁が開くことを防ぐことができる。また、外装ケースはプラスチック等のバッテリセル缶より柔らかい素材となっていて、外装ケースの突起部内に空洞部を設けていることにより、落下の際に衝撃を吸収することによりバッテリセル缶内部に伝わる衝撃を軽減することができ、防爆弁が開くことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るバッテリパックを内蔵した携帯型端末の全体斜視図である。
【図2】バッテリセル缶の斜視図である。
【図3】本実施形態のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの斜視図である。
【図4】本実施形態の携帯型端末落下時の衝撃を示す図(その1)である。
【図5】本実施形態の携帯型端末落下時の衝撃を示す図(その2)である。
【図6】本実施形態の変形例のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの斜視図である。
【図7】本実施形態の変形例のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの断面図である。
【図8】従来のバッテリパックを内蔵した携帯型端末の全体斜視図である。
【図9】従来のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの斜視図である。
【図10】従来の携帯型端末落下時の衝撃を示す図(その1)である。
【図11】従来の携帯型端末落下時の衝撃を示す図(その2)である。
【図12】防爆弁の本来の開放と、落下時の衝撃による開放とをバッテリセル缶内の圧力状態を示して比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリパックを内蔵した携帯型端末の全体斜視図である。
【0019】
携帯型端末は携帯して持ち歩く関係から、携帯時の電力供給源としてのバッテリパックを内蔵している。携帯型端末11は、図1に示すように、表示部12とキー入力部14とを備え、筐体本体16表面のキー入力部14が設けられた位置に対応する筐体本体16内部にバッテリパック18が収納されている。バッテリパック18は、外装ケース41の底面41−2(防爆弁33の取付面とは対向した面)の両端部に突起部23−1、23−2が設けられている。なお、底面41−2と対向する天井面41−1側に後述のバッテリセル缶の防爆弁が設けられるように、バッテリセル缶25はバッテリパック18内に収納される。
【0020】
バッテリパック18は、外装ケース41にバッテリセル缶25を収納したものであり、バッテリセル缶25内には、正極と負極をセパレータを介して巻いて扁平につぶし積層したバッテリセル(不図示)とバッテリ液を充填したものを収納し両側から蓋をし収納したものである。図2に示すように、バッテリセル缶25は、長円の柱状の形状となっている。内部は、バッテリセルを収納させるために空洞となっている。天井面(第一の面)25−1には、バッテリセル缶25内部の圧力が上昇時の爆発防止用として、バッテリセル缶25の内側から外側に開く防爆弁(安全弁の一種)33が中央近傍に設けられている。対向する面である底面25−2は、天井面25−1と同一形状だが防爆弁がない面となっている。また、この2つの面を連結するように、側面が形成されている。、最も広い平面を形成する正面25−3は、天井面25−1の長手方向の一方の端辺と対向する底面25−2の長手方向の一方の端辺とを連結するように形成されている。背面25−4は、天井面25−1の長手方向の他方の端辺と対向する底面25−2の長手方向の他方の端辺とを連結するように形成されている。正面25−3と背面25−4は、対向した面となっている。また、もう一対の側面は、右側面25−5で、天井面25−1の短手方向の一方の端辺と対向する底面25−2の短手方向の一方の端辺とを連結するように形成されている。反対側に左側面25−6は、天井面25−1の短手方向の他方の端辺と対向する底面25−2の短手方向の他方の端辺とを連結するように形成されている。天井面25−1と底面25−2を連結する右側面25−5と左側面25−6の面の形状は、短手方向が円弧状をなしていて、中央部が外側へ膨らんでいる。
【0021】
図3は、本実施形態のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの斜視図である。
図3に示すように、バッテリパック18は、直方体形状をしている外装ケース(筐体本体)41の内部に、バッテリセル缶(破線で示す)25を収納している。直方体形状をした外装ケース41の各面は、内部のバッテリセル缶25の各面に対向した外側に形成されている。バッテリセル缶25の天井面(第一の面)25−1と外側に対向した面が外装ケース41の天井面41−1である。尚、外装ケース41の天井面41−1には、防爆弁33が解放された時、外装ケースが破損して、飛び散らないように、防爆弁33の周囲には、開口部が設けられている。また、外装ケース41の天井面41−1は、バッテリセル缶25の天井面25−1の外側に対向するように形成されている。
【0022】
外装ケース41の底面(第二の面)41−2は、バッテリセル缶25の底面25−2と外側に対向した面に形成されている。また、外装ケース41の底面(第二の面)41−2は、外装ケース41の天井面41−1と対向した面となっている。
【0023】
外装ケース41の正面41−3は、外装ケース41の天井面41−1の一方の長手方向の端辺と外装ケース41の底面(第二の面)41−2の一方の長手方向の端辺とを連結するように形成されている。また、外装ケース41の正面41−3は、バッテリセル缶25の正面25−3の外側に対向するように形成されている。
【0024】
外装ケース41の背面41−4は、外装ケース41の天井面41−1の他方の長手方向の端辺と外装ケース41の底面(第二の面)41−2の他方の長手方向の端辺とを連結するように形成されている。また、外装ケース41の背面41−4は、バッテリセル缶25の背面25−4の外側に対向するように形成されている。
【0025】
外装ケース41の右側面41−5は、外装ケース41の天井面41−1の一方の短手方向の端辺(円弧形状)と外装ケース41の底面(第二の面)41−2の一方の短手方向の端辺(円弧形状)とを連結するように形成されている。また、外装ケース41の側面41−5は、バッテリセル缶25の右側面25−5の外側に形成されている。
【0026】
外装ケース41の左側面41−6は、外装ケース41の天井面41−1の他方の短手方向の端辺(円弧形状)と外装ケース41の底面(第二の面)41−2の他方の短手方向の端辺(円弧形状)とを連結するように形成されている。また、外装ケース41の側面41−6は、バッテリセル缶25の右側面25−6の外側に形成されている。
【0027】
外装ケース41の底面(第二の面)41−2と外装ケース41の右側面41−5との接する端部(外装ケース41の底面(第二の面)41−2の長手方向の端部)に、外側に向かって、突設するように突起部23−1が形成されている。また、他方の端部にも外装ケース41の底面(第二の面)41−2と外装ケース41の左側面41−6との接する端部(外装ケース41の底面(第二の面)41−2の長手方向の端部)に、外側に向かって、突設するように突起部23−2が形成されている。この突起部23−1、23−2は、内部が空洞部44−1、44−2となっている。
【0028】
なお、外装ケース41の材料としては、プラスチック等が考えられるが、これに限定されるものではなく、他の素材等でも良い。
【0029】
持ち歩いていた携帯型端末11が図4に示すように、何らかのはずみで地面45に鉛直方向に落下し、衝撃Aが発生すると、図5(a)に示すように、携帯型端末11に内蔵されているバッテリパック18は、落下方向とは逆向きに、落下による衝撃の反作用Xを受けることになる。
【0030】
すなわち、図5(b)や図5(c)に示すように、バッテリパック18をA−A断面やC−C断面で見たときに、携帯型端末11の地面衝突時の衝撃の反作用Xは、地面衝突時にバッテリパック40の外装ケース41の底面41−2の両端部に設けられた突起部23−1、23−2、その突起部23−1、23−2に接する外装ケースの各面、例えば右側の突起部23−1の場合は、外装ケースの上面41−3、背面41−4、右側面41−5に反作用X1として吸収されることで分散されて、これらの断面において、バッテリセル48内を分散後に残存する力X2が伝わることになる。よって、突起部23−1、外壁41−3〜5に吸収し分散した分、突起部23−1の内側の面23−5から外装ケース41の底面41−2に伝わる衝撃のみが、バッテリセル缶25内部に伝わる衝撃となるので、衝撃が軽減され、落下等の衝撃に起因して防爆弁33が開くことを防ぐことができる。また、対面側の突起部23−2についても同様であり、説明は省略する。なお、突起部23−1、23−2の内部には空洞部44−1、44−2が設けられている。内部を空洞とすることで、内部を詰めた場合と比較し、衝撃が直接伝わりにくくなり、地面落下時等に受ける衝撃に対する軽減効果を一層高めることができる。
【0031】
なお、本実施形態の方法は、外装ケースの形状変更で落下時のバッテリセルに対する衝撃を緩衝するものであるから、上記特許文献1のように部品点数(クッション材)を追加する必要がなく、安価に製造できる。また、外装ケースの形状は一旦作成したら動いて変形していくことがないので、クッション材のように設置位置のバラツキで緩衝効果にバラツキがでることもなくなり、安定した落下時の衝撃に対する緩衝効果が得られる。
【0032】
続いて、図6および図7(a)(b)(c)を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
図6の変形例では、バッテリパック50において、外装ケース51の正面51−3と背面51−4を連結する天井面51−1、および底面(第二の面)51−2の、両端部に突起部54−1、54−2、54−3、54−4が形成されている。
【0033】
衝撃の緩衝という目的にとっては、外装ケースの複数の突起部を、防爆弁が設けられたバッテリセル缶25の底面25−2側(外装ケース50の底面(第二の面))に設ければ十分であるが、バッテリセル缶25を外装ケース51に収納するときに、向きも考慮しなければいけないというのは、製造工程における制御方法の複雑化につながり、好ましくない。
【0034】
変形例のように、突起部53−1〜4を外装ケース51の上面51−3と背面51−4の短手方向を連結する天井面51−1(第三の面)、底面(第二の面)51−2の双方に設けることで、バッテリセル缶25を外装ケース51に収納するときに向きを考慮する必要がなくなり、製造工程における制御方法を簡素化することができる。
【0035】
この変形例でも、図7(b)や図7(c)に示すように、バッテリパック50をA−A断面やC−C断面で見たときに、携帯型端末11の地面衝突時の衝撃の反作用Xは、地面衝突時にバッテリパック50の外装ケース51の天井面51−1(第三の面)および底面51−2(第二の面)の両端部に設けられた突起部54−1〜4、その突起部54−1〜4に接する各面、例えば底面右側の突起部53−1の場合は、外装ケースの正面51−3、背面51−4、右側面51−5に反作用X1として吸収されることで分散されて、これらの断面において、バッテリセル48内を分散後に残存する力X2が伝わることになる。よって、突起部53−1に接する各面に吸収し分散した分、バッテリセル缶25内部に伝わる衝撃が軽減されるので、落下等の衝撃に起因して防爆弁33が開くことを防ぐことができる。また、各突起部53−2、53−3、53−4についても同様なので、説明は省略する。
【0036】
なお、図7(a)および(c)突起部54−1〜4内部には空洞部64−1〜4が設けられている。内部を空洞とすることで、内部を詰めた場合と比較し、衝撃が直接伝わりにくくなり、地面落下時等に受ける衝撃に対する軽減効果を一層高めることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、バッテリセル(缶)の外装ケースの形状を工夫したことで、落下時の衝撃を緩和し、バッテリ液漏れの不具合をなくし、落下時の衝撃に対する抵抗力を強めている。すなわち、バッテリセル缶の強度のある部分(外壁、面)で落下時の衝撃を受けることにより、外壁の内側にあるバッテリセルに伝わる衝撃を分散・軽減して、缶内部の圧力上昇という本来の目的以外での防爆弁の開放を阻止している。
【0038】
なお、以上の説明では、外装ケース41の底面41−2あるいは外装ケース41の正面41−3の短手方向を連結する天井面41−1の双方の両端部に突起部を設けていたが、これ以外の設置パターンも考えられる。例えば座卓のように4本の脚(突起部)を外装ケースの底面に設けるようにしてもよい。つまり、外装ケースの外壁で衝撃を受け止め、吸収し、分散できるように複数の突起部を設ける任意の構成が採用可能である。また、突起の形状等も本実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0039】
11、81 携帯型端末
12、82 表示部
14、84 キー入力部
16、86 筐体本体
18、50、88 バッテリパック
23−1〜2、53−1〜4 突起部
23−5〜6、53−5〜8 突起部の内側の面
25、93 バッテリセル缶
25−1 バッテリセル缶の天井面(第一の面)
25−2 バッテリセル缶の底面
25−3 バッテリセル缶の正面
25−4 バッテリセル缶の背面
25−5 バッテリセル缶の右側面
25−6 バッテリセル缶の左側面
33、96 防爆弁
41、51、95 外装ケース
41−1、51−1 外装ケースの天井面(第三の面)
41−2、51−2、90 外装ケースの底面(第二の面)
41−3、51−3 外装ケースの正面
41−4、51−4 外装ケースの背面
41−5、51−5 外装ケースの右側面
41−6、51−6 外装ケースの左側面
44−1〜2、64−1〜4 空洞部
45、89 地面
48、92 バッテリセル
91−1 表蓋
91−2 裏蓋
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下等の衝撃に対する耐性を強化したバッテリパック、および、そのバッテリパックを搭載した携帯型端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型端末は携帯して持ち歩く関係から、携帯時の電力供給源としてのバッテリを内蔵している。携帯型端末81は、図8に示すように、表示部82とキー入力部84とを備え、筐体本体86表面のキー入力部84が設けられた位置に対応する筐体本体86内部にバッテリパック88が収納されている。
【0003】
バッテリパック88は、図9に示すように、金属を巻いて扁平につぶした不図示のバッテリセルを収納し、バッテリ液を充填をして表蓋91−1、裏蓋91−2で密封したバッテリセル缶93をプラスチック製の外装ケース95に収納したものである。
【0004】
バッテリセル缶93の表蓋91−1には、バッテリセル缶93の内部に異常が発生して、バッテリセル缶93内部の圧力が上昇した時に爆発を防止するために、バッテリセル缶93の内側から外側に開く防爆弁(安全弁の一種)96が設けられている。
【0005】
持ち歩いていた携帯型端末81が図10に示すように何らかのはずみで地面89に鉛直方向に落下し、地面89に衝突すると衝撃Aが発生する。図11(a)に示すように、携帯型端末81に内蔵されているバッテリパック88は、落下方向とは逆向きで、落下による衝撃の反作用Xを受けることになる。すなわち、図11(b)や図11(c)に示すように、バッテリパック88のA−A断面やC−C断面で見たときに、外装ケース95の底面90全体で、落下による衝撃の反作用Xを受けることになる。携帯型端末81やバッテリパック88の外装ケース95等により衝撃を若干吸収することから、反作用Xより若干減少した力X’が、バッテリセル缶93内に伝わることになる。
【0006】
ここで、説明としては前後するが、バッテリセル缶93の表蓋91−1に設けられる防爆弁96について図12を参照して説明する。
図12の(S1)に示すように、通常時(携帯型端末81の正常動作時)は、温度分布(熱分布)は適正範囲に収まり、バッテリセル缶93内部の圧力Wの分布も適正範囲に収まっている。この場合、防爆弁96は開く(開放される)ことはなく、未開放状態(閉じた状態)にある。
【0007】
一方、例えば、携帯型端末81の内部が何らかの原因でショートして適性範囲に収まらない熱を持ち、その熱がバッテリセル缶93を通して内部のバッテリセルに伝わると、図12の(S2)に示すように、バッテリセル缶93内部の圧力が増していき、一定(圧力Y)以上の圧力になったとき、構造上、防爆弁96がバッテリセル缶93の内側から外側に向かって開く。この結果、バッテリセル缶93の内部からバッテリ液が漏れ出し、携帯型端末81は使用不能となるが、防爆弁96の本来の用途として、バッテリセルの爆発を防ぐことができる。
【0008】
これに対し、図10で示したように、携帯型端末81が何らかの原因で地面等に落下した場合、落下の途中は、図12の(S3)に示すように、図12の(S1)と略同じ圧力分布がバッテリセル缶93内部に生じているが、携帯型端末81が地面と衝突したときに、落下方向とは逆方向に、落下による衝撃の反作用Xが生じ、この反作用Xの一部が携帯型端末81の筐体本体86底部や外装ケース95に吸収され、やや減じられて、図11に示したように、反作用X’として、バッテリセル缶93内部のバッテリセルに伝えられる。
【0009】
この反作用X’が、故障時で圧力上昇時の圧力Yと同等の影響を防爆弁96に及ぼし、図12の(S4)に示すように、防爆弁96が開いてしまい、バッテリセル缶93内のバッテリ液が漏れ出て、故障でバッテリセル缶93内の圧力が上昇していないにもかかわらず、携帯型端末81を使用不能にしてしまう、という問題がある。
【0010】
関連技術として、特許文献1には、バッテリセル缶と外装ケース(外装材)の間にクッション材(緩衝材)を入れて衝撃によるバッテリセルのダメージを緩衝する技術が示されている。しかし、クッション材を満遍なくバッテリセル缶と外装ケースの間に詰めているわけではなく、クッション材の位置決めが難しいことや、クッション材が時間経過とともに劣化する等、緩衝手段としての安定性に欠ける。また、クッション材を使用することで部品点数が増すので製造コストが増すという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−123583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、落下等の衝撃に起因して防爆弁が開くことを防ぐことを可能としたバッテリパック、および、そのバッテリパックを搭載した携帯型端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
提案する第一のバッテリパックは、バッテリセルを収納するバッテリセル缶と、前記バッテリセル缶を収納する外装ケースと、を備え、前記バッテリセル缶は防爆弁を有し、前記外装ケースは前記バッテリセル缶を収納した際、前記防爆弁が配置される第一の面と対向する第二の面に突起部を設けたものである。
【0014】
提案する第二のバッテリパックは、前記第一のバッテリパックにおいて、前記突起部を複数配置したものである。
以下の実施形態において、外装ケース41、51の天井面41−1、51−1は、前記第一のバッテリパックにおける第一の面に対応し、外装ケース41、51の底面41−2、51−2は、前記第一のバッテリパックにおける第二の面に対応する。実施形態にて説明するように、第一の面、第二の面の双方に突起部が設けられることもある。
【発明の効果】
【0015】
提案する第一のバッテリパックでは、そのバッテリパックを内蔵する携帯型端末が落下して地面等に衝突したときに、その携帯型端末内のバッテリパックの防爆弁がある第一の面とは反対側の第二の面に突起部を設け、その突起部に落下による衝撃を吸収させ、バッテリセル缶内部に伝わる衝撃を分散させている。よって、突起部が衝撃を吸収した分、バッテリセル缶内部に伝わる衝撃が軽減されるので、落下等の衝撃に起因して防爆弁が開くことを防ぐことができる。
【0016】
また、第二のバッテリパックでは、前記第二の面に例えば、外装ケースを立脚させるように複数の突起部を設けて、落下による衝撃が、それら複数の突起部を通して外装ケースの外壁に伝えられることで、その落下による衝撃を一層分散してバッテリセル缶内部に伝えている。よって、複数の突起部とそれに連結する外壁に分散した分、バッテリセル缶内部に伝わる衝撃が軽減されるので、落下等の衝撃に起因して防爆弁が開くことを防ぐことができる。また、外装ケースはプラスチック等のバッテリセル缶より柔らかい素材となっていて、外装ケースの突起部内に空洞部を設けていることにより、落下の際に衝撃を吸収することによりバッテリセル缶内部に伝わる衝撃を軽減することができ、防爆弁が開くことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るバッテリパックを内蔵した携帯型端末の全体斜視図である。
【図2】バッテリセル缶の斜視図である。
【図3】本実施形態のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの斜視図である。
【図4】本実施形態の携帯型端末落下時の衝撃を示す図(その1)である。
【図5】本実施形態の携帯型端末落下時の衝撃を示す図(その2)である。
【図6】本実施形態の変形例のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの斜視図である。
【図7】本実施形態の変形例のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの断面図である。
【図8】従来のバッテリパックを内蔵した携帯型端末の全体斜視図である。
【図9】従来のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの斜視図である。
【図10】従来の携帯型端末落下時の衝撃を示す図(その1)である。
【図11】従来の携帯型端末落下時の衝撃を示す図(その2)である。
【図12】防爆弁の本来の開放と、落下時の衝撃による開放とをバッテリセル缶内の圧力状態を示して比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリパックを内蔵した携帯型端末の全体斜視図である。
【0019】
携帯型端末は携帯して持ち歩く関係から、携帯時の電力供給源としてのバッテリパックを内蔵している。携帯型端末11は、図1に示すように、表示部12とキー入力部14とを備え、筐体本体16表面のキー入力部14が設けられた位置に対応する筐体本体16内部にバッテリパック18が収納されている。バッテリパック18は、外装ケース41の底面41−2(防爆弁33の取付面とは対向した面)の両端部に突起部23−1、23−2が設けられている。なお、底面41−2と対向する天井面41−1側に後述のバッテリセル缶の防爆弁が設けられるように、バッテリセル缶25はバッテリパック18内に収納される。
【0020】
バッテリパック18は、外装ケース41にバッテリセル缶25を収納したものであり、バッテリセル缶25内には、正極と負極をセパレータを介して巻いて扁平につぶし積層したバッテリセル(不図示)とバッテリ液を充填したものを収納し両側から蓋をし収納したものである。図2に示すように、バッテリセル缶25は、長円の柱状の形状となっている。内部は、バッテリセルを収納させるために空洞となっている。天井面(第一の面)25−1には、バッテリセル缶25内部の圧力が上昇時の爆発防止用として、バッテリセル缶25の内側から外側に開く防爆弁(安全弁の一種)33が中央近傍に設けられている。対向する面である底面25−2は、天井面25−1と同一形状だが防爆弁がない面となっている。また、この2つの面を連結するように、側面が形成されている。、最も広い平面を形成する正面25−3は、天井面25−1の長手方向の一方の端辺と対向する底面25−2の長手方向の一方の端辺とを連結するように形成されている。背面25−4は、天井面25−1の長手方向の他方の端辺と対向する底面25−2の長手方向の他方の端辺とを連結するように形成されている。正面25−3と背面25−4は、対向した面となっている。また、もう一対の側面は、右側面25−5で、天井面25−1の短手方向の一方の端辺と対向する底面25−2の短手方向の一方の端辺とを連結するように形成されている。反対側に左側面25−6は、天井面25−1の短手方向の他方の端辺と対向する底面25−2の短手方向の他方の端辺とを連結するように形成されている。天井面25−1と底面25−2を連結する右側面25−5と左側面25−6の面の形状は、短手方向が円弧状をなしていて、中央部が外側へ膨らんでいる。
【0021】
図3は、本実施形態のバッテリセル缶を収納したバッテリパックの斜視図である。
図3に示すように、バッテリパック18は、直方体形状をしている外装ケース(筐体本体)41の内部に、バッテリセル缶(破線で示す)25を収納している。直方体形状をした外装ケース41の各面は、内部のバッテリセル缶25の各面に対向した外側に形成されている。バッテリセル缶25の天井面(第一の面)25−1と外側に対向した面が外装ケース41の天井面41−1である。尚、外装ケース41の天井面41−1には、防爆弁33が解放された時、外装ケースが破損して、飛び散らないように、防爆弁33の周囲には、開口部が設けられている。また、外装ケース41の天井面41−1は、バッテリセル缶25の天井面25−1の外側に対向するように形成されている。
【0022】
外装ケース41の底面(第二の面)41−2は、バッテリセル缶25の底面25−2と外側に対向した面に形成されている。また、外装ケース41の底面(第二の面)41−2は、外装ケース41の天井面41−1と対向した面となっている。
【0023】
外装ケース41の正面41−3は、外装ケース41の天井面41−1の一方の長手方向の端辺と外装ケース41の底面(第二の面)41−2の一方の長手方向の端辺とを連結するように形成されている。また、外装ケース41の正面41−3は、バッテリセル缶25の正面25−3の外側に対向するように形成されている。
【0024】
外装ケース41の背面41−4は、外装ケース41の天井面41−1の他方の長手方向の端辺と外装ケース41の底面(第二の面)41−2の他方の長手方向の端辺とを連結するように形成されている。また、外装ケース41の背面41−4は、バッテリセル缶25の背面25−4の外側に対向するように形成されている。
【0025】
外装ケース41の右側面41−5は、外装ケース41の天井面41−1の一方の短手方向の端辺(円弧形状)と外装ケース41の底面(第二の面)41−2の一方の短手方向の端辺(円弧形状)とを連結するように形成されている。また、外装ケース41の側面41−5は、バッテリセル缶25の右側面25−5の外側に形成されている。
【0026】
外装ケース41の左側面41−6は、外装ケース41の天井面41−1の他方の短手方向の端辺(円弧形状)と外装ケース41の底面(第二の面)41−2の他方の短手方向の端辺(円弧形状)とを連結するように形成されている。また、外装ケース41の側面41−6は、バッテリセル缶25の右側面25−6の外側に形成されている。
【0027】
外装ケース41の底面(第二の面)41−2と外装ケース41の右側面41−5との接する端部(外装ケース41の底面(第二の面)41−2の長手方向の端部)に、外側に向かって、突設するように突起部23−1が形成されている。また、他方の端部にも外装ケース41の底面(第二の面)41−2と外装ケース41の左側面41−6との接する端部(外装ケース41の底面(第二の面)41−2の長手方向の端部)に、外側に向かって、突設するように突起部23−2が形成されている。この突起部23−1、23−2は、内部が空洞部44−1、44−2となっている。
【0028】
なお、外装ケース41の材料としては、プラスチック等が考えられるが、これに限定されるものではなく、他の素材等でも良い。
【0029】
持ち歩いていた携帯型端末11が図4に示すように、何らかのはずみで地面45に鉛直方向に落下し、衝撃Aが発生すると、図5(a)に示すように、携帯型端末11に内蔵されているバッテリパック18は、落下方向とは逆向きに、落下による衝撃の反作用Xを受けることになる。
【0030】
すなわち、図5(b)や図5(c)に示すように、バッテリパック18をA−A断面やC−C断面で見たときに、携帯型端末11の地面衝突時の衝撃の反作用Xは、地面衝突時にバッテリパック40の外装ケース41の底面41−2の両端部に設けられた突起部23−1、23−2、その突起部23−1、23−2に接する外装ケースの各面、例えば右側の突起部23−1の場合は、外装ケースの上面41−3、背面41−4、右側面41−5に反作用X1として吸収されることで分散されて、これらの断面において、バッテリセル48内を分散後に残存する力X2が伝わることになる。よって、突起部23−1、外壁41−3〜5に吸収し分散した分、突起部23−1の内側の面23−5から外装ケース41の底面41−2に伝わる衝撃のみが、バッテリセル缶25内部に伝わる衝撃となるので、衝撃が軽減され、落下等の衝撃に起因して防爆弁33が開くことを防ぐことができる。また、対面側の突起部23−2についても同様であり、説明は省略する。なお、突起部23−1、23−2の内部には空洞部44−1、44−2が設けられている。内部を空洞とすることで、内部を詰めた場合と比較し、衝撃が直接伝わりにくくなり、地面落下時等に受ける衝撃に対する軽減効果を一層高めることができる。
【0031】
なお、本実施形態の方法は、外装ケースの形状変更で落下時のバッテリセルに対する衝撃を緩衝するものであるから、上記特許文献1のように部品点数(クッション材)を追加する必要がなく、安価に製造できる。また、外装ケースの形状は一旦作成したら動いて変形していくことがないので、クッション材のように設置位置のバラツキで緩衝効果にバラツキがでることもなくなり、安定した落下時の衝撃に対する緩衝効果が得られる。
【0032】
続いて、図6および図7(a)(b)(c)を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
図6の変形例では、バッテリパック50において、外装ケース51の正面51−3と背面51−4を連結する天井面51−1、および底面(第二の面)51−2の、両端部に突起部54−1、54−2、54−3、54−4が形成されている。
【0033】
衝撃の緩衝という目的にとっては、外装ケースの複数の突起部を、防爆弁が設けられたバッテリセル缶25の底面25−2側(外装ケース50の底面(第二の面))に設ければ十分であるが、バッテリセル缶25を外装ケース51に収納するときに、向きも考慮しなければいけないというのは、製造工程における制御方法の複雑化につながり、好ましくない。
【0034】
変形例のように、突起部53−1〜4を外装ケース51の上面51−3と背面51−4の短手方向を連結する天井面51−1(第三の面)、底面(第二の面)51−2の双方に設けることで、バッテリセル缶25を外装ケース51に収納するときに向きを考慮する必要がなくなり、製造工程における制御方法を簡素化することができる。
【0035】
この変形例でも、図7(b)や図7(c)に示すように、バッテリパック50をA−A断面やC−C断面で見たときに、携帯型端末11の地面衝突時の衝撃の反作用Xは、地面衝突時にバッテリパック50の外装ケース51の天井面51−1(第三の面)および底面51−2(第二の面)の両端部に設けられた突起部54−1〜4、その突起部54−1〜4に接する各面、例えば底面右側の突起部53−1の場合は、外装ケースの正面51−3、背面51−4、右側面51−5に反作用X1として吸収されることで分散されて、これらの断面において、バッテリセル48内を分散後に残存する力X2が伝わることになる。よって、突起部53−1に接する各面に吸収し分散した分、バッテリセル缶25内部に伝わる衝撃が軽減されるので、落下等の衝撃に起因して防爆弁33が開くことを防ぐことができる。また、各突起部53−2、53−3、53−4についても同様なので、説明は省略する。
【0036】
なお、図7(a)および(c)突起部54−1〜4内部には空洞部64−1〜4が設けられている。内部を空洞とすることで、内部を詰めた場合と比較し、衝撃が直接伝わりにくくなり、地面落下時等に受ける衝撃に対する軽減効果を一層高めることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、バッテリセル(缶)の外装ケースの形状を工夫したことで、落下時の衝撃を緩和し、バッテリ液漏れの不具合をなくし、落下時の衝撃に対する抵抗力を強めている。すなわち、バッテリセル缶の強度のある部分(外壁、面)で落下時の衝撃を受けることにより、外壁の内側にあるバッテリセルに伝わる衝撃を分散・軽減して、缶内部の圧力上昇という本来の目的以外での防爆弁の開放を阻止している。
【0038】
なお、以上の説明では、外装ケース41の底面41−2あるいは外装ケース41の正面41−3の短手方向を連結する天井面41−1の双方の両端部に突起部を設けていたが、これ以外の設置パターンも考えられる。例えば座卓のように4本の脚(突起部)を外装ケースの底面に設けるようにしてもよい。つまり、外装ケースの外壁で衝撃を受け止め、吸収し、分散できるように複数の突起部を設ける任意の構成が採用可能である。また、突起の形状等も本実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0039】
11、81 携帯型端末
12、82 表示部
14、84 キー入力部
16、86 筐体本体
18、50、88 バッテリパック
23−1〜2、53−1〜4 突起部
23−5〜6、53−5〜8 突起部の内側の面
25、93 バッテリセル缶
25−1 バッテリセル缶の天井面(第一の面)
25−2 バッテリセル缶の底面
25−3 バッテリセル缶の正面
25−4 バッテリセル缶の背面
25−5 バッテリセル缶の右側面
25−6 バッテリセル缶の左側面
33、96 防爆弁
41、51、95 外装ケース
41−1、51−1 外装ケースの天井面(第三の面)
41−2、51−2、90 外装ケースの底面(第二の面)
41−3、51−3 外装ケースの正面
41−4、51−4 外装ケースの背面
41−5、51−5 外装ケースの右側面
41−6、51−6 外装ケースの左側面
44−1〜2、64−1〜4 空洞部
45、89 地面
48、92 バッテリセル
91−1 表蓋
91−2 裏蓋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルを収納するバッテリセル缶と、
前記バッテリセル缶を収納する外装ケースと、を備え、
前記バッテリセル缶は防爆弁を有し、
前記外装ケースは前記バッテリセル缶を収納した際、前記防爆弁が配置される第一の面と対向する第二の面に突起部を設けたことを特徴とするバッテリパック。
【請求項2】
前記突起部は、複数配置されていることを特徴とする、請求項1記載のバッテリパック
【請求項3】
前記突起部は、前記第二の面に対し鉛直方向に設けられている、ことを特徴とする請求項1記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記第一の面には、突起部がさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記突起部は、前記第一の面および第二の面にそれぞれ複数配置されていることを特徴とする、請求項4記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記突起部は、前記第一の面および第二の面に対しそれぞれ鉛直方向に設けられている、ことを特徴とする請求項4記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記突起部は、内部が空洞になっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに一つに記載のバッテリパック。
【請求項8】
電力系統接続時以外の電力供給源としてのバッテリパックを着脱可能に内蔵する携帯型端末において、
前記バッテリパックは、
バッテリセルを収納するバッテリセル缶と、
前記バッテリセル缶を収納する外装ケースと、を備え、
前記バッテリセル缶は防爆弁を有し、
前記外装ケースは前記バッテリセル缶を収納した際、前記防爆弁が配置される第一の面と対向する第二の面に突起部を設けたことを特徴とする携帯型端末。
【請求項1】
バッテリセルを収納するバッテリセル缶と、
前記バッテリセル缶を収納する外装ケースと、を備え、
前記バッテリセル缶は防爆弁を有し、
前記外装ケースは前記バッテリセル缶を収納した際、前記防爆弁が配置される第一の面と対向する第二の面に突起部を設けたことを特徴とするバッテリパック。
【請求項2】
前記突起部は、複数配置されていることを特徴とする、請求項1記載のバッテリパック
【請求項3】
前記突起部は、前記第二の面に対し鉛直方向に設けられている、ことを特徴とする請求項1記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記第一の面には、突起部がさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記突起部は、前記第一の面および第二の面にそれぞれ複数配置されていることを特徴とする、請求項4記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記突起部は、前記第一の面および第二の面に対しそれぞれ鉛直方向に設けられている、ことを特徴とする請求項4記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記突起部は、内部が空洞になっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに一つに記載のバッテリパック。
【請求項8】
電力系統接続時以外の電力供給源としてのバッテリパックを着脱可能に内蔵する携帯型端末において、
前記バッテリパックは、
バッテリセルを収納するバッテリセル缶と、
前記バッテリセル缶を収納する外装ケースと、を備え、
前記バッテリセル缶は防爆弁を有し、
前記外装ケースは前記バッテリセル缶を収納した際、前記防爆弁が配置される第一の面と対向する第二の面に突起部を設けたことを特徴とする携帯型端末。
【図2】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−77509(P2013−77509A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217824(P2011−217824)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
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