説明

バッテリパック

【課題】二つの保護回路基板を電気的に接続させる連結部材の信頼性が向上するバッテリパックを提供すること。
【解決手段】バッテリパックは、正極及び負極を有する再充電可能なバッテリセルと、バッテリと電気的に接続する第1保護回路基板200と、第1保護回路基板200と電気的に接続する第2保護回路基板300と、第1保護回路基板200と第2保護回路基板300とを接続する少なくとも1つの導電プレート410とを備えることにより、第1保護回路基板200及び第2保護300と導電プレート410とが強く接続されるため、信頼性が向上される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリパックに関するものであり、より詳細には、バッテリと保護回路基板との結合信頼性及び結合力が向上した構造を有するバッテリパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、ノート型パソコン、キャムコーダ等のコンパクトで軽量化された携帯用電子機器が活発に開発及び生産されている。これらの携帯用電子機器は電源が具備されていない場所でも作動するようにバッテリパックが内蔵されている。該バッテリパックは、経済的な理由を考慮して最近には充放電が可能な電池が採用されている。代表的な電池にはニッケル-カドミウム(Ni-Cd)電池、ニッケル-水素(Ni-MH)電池、リチウム(Li)電池及びリチウムイオン(Li-ion)二次電池等がある。
【0003】
特に、リチウムイオン二次電池は、ニッケル-カドミウム電池及びニッケル-水素電池よりも作動電圧が3倍程度も高く、また、単位重量当たりのエネルギー密度が高いことから、携帯用電子機器の電源として、従来から使用されているニッケル-カドミウム電池又はニッケル-水素電池よりも広く使用されるようになっている。
【0004】
携帯用電子機器のうちでもノート型パソコンに用いられるリチウムイオン二次電池は、使用電力量及び使用時間を考慮して複数個のバッテリセルが直列及び並列に連結されたバッテリパックが使用されている。
【0005】
この場合、ノート型パソコンに用いられるリチウムイオン二次電池は、ノート型パソコンに脱着可能なバッテリパックである。
【0006】
このようなバッテリパックは、ノート型パソコンの大きさ及び性能に応じて多様な形態に製作される。特に、大部分のノート型パソコンはその厚さが非常に薄い形態で製作されるため、バッテリパックもノート型パソコンの厚さの範囲内に実装されるように製作される。
【0007】
また、ノート型パソコンと脱着可能になるように製作されるバッテリパックには、バッテリの過熱、過電流、過充電、過放電及び寿命劣化等によってバッテリの電気流れを制御する保護回路が実装される。
【0008】
特に、ノート型パソコン用のバッテリパックは、複数個のリチウムイオン二次電池を利用するため、危険性が非常に高い。従って、ノートブック用バッテリパックは1つのリチウムイオン二次電池を制御する保護回路よりも機能が多いスマート型保護回路が実装されている。このようなスマート型保護回路は機能が多いため、その実装面積が増大して、バッテリパック内部でも少なくない容積を占めることになる。
【0009】
また、ノート型パソコンのバッテリ接触部と連結されるバッテリパックのコネクタは大容量の電流が流れるようになるため、バッテリパック内部に占める容積も増大する。
【0010】
したがって、バッテリパックに実装されるスマート型保護回路は、バッテリパックの内部空間を効率的に利用するために、コネクタを付着する基板と保護回路を付着する基板等とに分離して実装される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来のバッテリバックによれば、分離された基板は互いの間をワイヤによって連結されるが、このようなワイヤの一部は、バッテリの正極と負極との間で大電流の経路を形成するため、数十アンペア(A)の電流が流れるようになるという問題がある。
【0012】
この場合、ワイヤは電流が充分に流れるような面積が確保されなければ、発熱によって抵抗が高くなるため、電流の流れが邪魔されてリチウムイオン二次電池が過熱され、爆発又は寿命の劣化する虞がある。また、発熱によってワイヤの絶縁被覆が融ける危険性があり、他のワイヤ等と短絡現象が発生する虞がある。上記のような現象が発生した場合、保護回路は誤動作するか、又は損傷してバッテリパックの機能を失うことになる。
【0013】
併せて、分離された基板を連結させるワイヤは、バッテリパックを組立てる過程で基板の配置のために曲げる等しても、二つの基板から分離しないように十分な結合力を持たなければならない。
【0014】
そこで、本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、二つの保護回路基板を電気的に接続させる連結部材の信頼性が向上するバッテリパックを提供することにある。
【0015】
さらに、本発明の他の目的は、二つの保護回路基板を電気的に接続させる連結部材の結合力が向上するバッテリパックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、正極及び負極を有する再充電可能なバッテリセルと、バッテリセルと電気的に接続する第1保護回路基板と、第1保護回路基板と電気的に接続する第2保護回路基板と、第1保護回路基板と前記第2保護回路基板とを接続する少なくとも1つの導電プレートとを備えるバッテリパックが提供される。
【0017】
係るバッテリパックによると、第1保護回路基板と第2保護回路基板とが導電プレートにより接続されるため、バッテリの正極と負極との間で大電流が流れても、発熱等による爆発及び寿命の劣化を防止することができる。また、第1保護回路基板及び第2保護回路基板と導電プレートとの電気的接続の結合力が向上し、接続部の信頼性を向上させることができる。
【0018】
また、上記第1保護回路基板及び第2保護回路基板と上記導電プレートとを接続するソルダ部をさらに有してもよい。
【0019】
また、上記導電プレートは、少なくとも1つの折曲領域を有する第1導電プレート及び第2導電プレートから構成され、上記第1導電プレートと上記第2導電プレートとは所定の距離が離隔されていてもよい。
【0020】
また、上記第1導電プレートは、上記バッテリセルの正極と電気的に接続され、上記第2導電プレートは上記バッテリセルの負極と電気的に接続されてもよい。
【0021】
また、上記第1導電プレートと上記第2導電プレートとの間に形成され、上記第1保護回路基板と上記第2保護回路基板とを電気的に接続する軟性回路基板(FPCB)をさらに有してもよい。
【0022】
また、上記軟性回路基板(FPCB)は、上記第1導電プレート及び上記第2導電プレートの折曲領域と対応する形状であってもよい。
【0023】
また、上記導電プレートは、上記第1保護回路基板と接続する第1接続領域、該第1接続領域と連続する第1折曲領域、該第1折曲領域と連続する連結領域、該連結領域と連続する第2折曲領域及び、該第2折曲領域と連続し上記第2保護回路基板と接続する第2接続領域から構成されてもよい。
【0024】
また、上記ソルダ部は、上記第1保護回路基板と上記第1接続領域との間に形成される第1ソルダ部及び、上記第2折曲領域と上記第2保護回路基板との間に形成される第2ソルダ部から構成されてもよい。
【0025】
また、上記第1接続領域及び第1折曲領域と上記第2接続領域及び第2折曲領域とは、上記連結領域を挿んで対応する形状であってもよい。
【0026】
また、上記連結領域は、屈曲部を有し、上記導電プレートに接続する上記第1保護回路基板と上記第2保護回路基板との角度が80度以上且つ100度以下の範囲であってもよい。
【0027】
また、上記第1保護回路基板及び第2保護回路基板と上記導電プレートとの接続面は四角形状であり、上記ソルダ部は上記四角形状の周辺部に形成されてもよい。
【0028】
また、上記第1折曲領域は、上記第1接続領域の端部から折り曲げられた第1屈曲部と該第1屈曲部の端部から上記第1屈曲部とは逆方向に折り曲げられた第2屈曲部からなってもよい。
【0029】
また、上記ソルダ部は、上記第1保護回路基板と上記第1屈曲部との間に形成される結合面積確保領域、上記結合面積確保領域と連続し、上記第1保護回路基板と上記第2屈曲部との間に形成される結合力補強領域から構成されてもよい。
【0030】
また、上記第1屈曲部の湾曲点と接する仮想の第1接線と、上記第2屈曲部の湾曲点と接する仮想の第2接線との距離は、上記導電プレートの厚さの3%以上且つ15%以下の範囲であってもよい。
【0031】
また、上記導電プレートは、上記折曲領域を挟んで上記導電プレートの下面から上記導電プレートの上面までの離隔された距離は上記導電プレートの厚さの150%以上且つ250%以下であってもよい。
【0032】
また、上記導電プレートの厚さは、0.35mm以上且つ1.1mm以下であってもよい。
【0033】
また、上記第1保護回路基板は、第1絶縁基板、該第1絶縁基板に形成された第1印刷回路パターン、該第1印刷回路パターンと電気的に接続される保護回路から構成され、
上記第2保護回路基板は、第2絶縁基板、該第2絶縁基板に形成された第2印刷回路パターン、上記第2絶縁基板と接続されたコネクタから構成されてもよい。
【0034】
また、上記導電プレートは、上記コネクタと上記保護回路とを電気的に接続させてもよい。
【0035】
また、上記印刷回路パターンと導電プレートとの接続面積は、上記印刷回路パターンの上面面積の70%以上且つ90%以下の面積であってもよい。
【0036】
また、上記導電プレートは、上記第1保護回路基板及び上記第2保護回路基板と接続する周縁領域に半田付け溝を有してもよい。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、本発明に係るバッテリパックは、二つの保護回路基板を電気的に連結させる連結部材である導電プレート及び軟性回路基板が分離して形成されるため、信頼性を向上させることができる。
【0038】
また、本発明に係るバッテリパックは、二つの保護回路基板を電気的に連結させる連結部材である導電プレートが二つの保護回路基板を強く結合させるため、結合力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】本発明の一実施例によるバッテリパックの平面図である。
【図1B】図1Aに示されたバッテリパックの正面図である。
【図1C】図1Aに示されたバッテリパックのマルチセルバッテリを除去した状態の平面図である。
【図1D】図1Aに示された第1保護回路基板を示された矢印方向で広げた状態の平面図である。
【図1E】図1Dに示された平面図を下で眺めた底面図である。
【図1F】図1Eに示されたI-I線を切開して見た部分断面図である。
【図1G】図1Eに示された導電プレートの斜視図である。
【図1H】図1Eに示された1H領域を拡大して見た部分底面図である。
【図1I】図1Fに示された1I領域を拡大して見た部分断面図である。
【図2】本発明の他の実施例によるバッテリパックの導電プレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0041】
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係るバッテリパックの平面図である。図1Bは、図1Aに示されたバッテリパックの側面図である。図1Cは、図1Aに示されたバッテリパックのマルチセルバッテリを除いた平面図である。図1Dは、図1Cに示された第1保護回路基板を矢印方向に広げて第1保護回路基板と第2保護回路基板とを示す平面図である。図1Eは、図1Dに示した第1保護回路基板と第2保護回路基板との底面図である。図1Fは、図1EのI-I線の部分断面図である。図1Gは、図1Eに示した導電プレートの斜視図である。図1Hは、図1Eに示された1h領域を拡大した部分底面図である。図1Iは、図1Fに示された1i領域の部分断面図である。また、図2は、本発明の第2の実施形態に係るバッテリパックの導電プレートの斜視図である。
【0042】
(第1の実施形態)
図1A〜図1Iに示すように、本発明の第1の実施形態に係るバッテリパック10は、マルチセルバッテリ100、第1保護回路基板200、第2保護回路基板300、一対の導電プレート400及び一対のソルダ部500により形成される。また、本発明の第1の実施形態に係るバッテリパック10は、軟性回路基板600をさらに含んでいる。第1保後回路基板200は、マルチセツバッテリ100及び第2保護回路基板300と電気的に接続されている。
【0043】
図1Aに示すように、マルチセルバッテリ100は、複数のバッテリセル101で構成される。マルチセルバッテリ100は、再充電可能なリチウムイオン電池であり、正極110と負極120とを有する。また、複数個のバッテリセル101は、お互いに直列及び並列に連結されて正極110と負極120とを有するマルチセルバッテリ100を形成している。ここで、複数個のバッテリセル101は、リードタップによってお互いの間が電気的に連結される。本実施形態においては、複数個のバッテリセル101から構成されるマルチセルバッテリ100を示しているが、1つのバッテリセル101からでもマルチセルバッテリ100を構成することができる。
【0044】
また、図1D及び図1Fに示すように、第1保護回路基板200は、第1絶縁基板210、第1印刷回路パターン220及び保護回路230から構成される。
【0045】
第1絶縁基板210は、エポキシ樹脂又はベークライト(bakelite)等の樹脂系の材質から形成される。また、第1絶縁基板210は、複数の層が圧着されて形成され、図示は省略するが上面と下面とを貫通するビアホールが形成される。
【0046】
第1印刷回路パターン220は、第1絶縁基板210に銅等の伝導性金属を圧着して形成される。第1印刷回路パターン220は、第1絶縁基板210の上面及び下面の表面に形成される。また、第1印刷回路パターン220は、第1絶縁基板210の中間層にも挿入されて形成される。
【0047】
保護回路230は、第1印刷回路パターン220と電気的に接続され、第1絶縁基板210に圧着される。保護回路230は、マルチセルバッテリ100の電圧状態によってマルチセルバッテリ100の充電及び放電に関する電気的な接続を制御する。より具体的に、保護回路230は、受動素子、充電FET、放電FET、温度素子及び制御回路から構成される。制御回路は充電時に充電FETと放電FETとをターンオン又はターンオフさせてマルチセルバッテリ100を充電又は放電させる。また、制御回路はマルチセルバッテリ100の温度が温度素子によって所定の値以上の温度を感知した場合、充電FET及び放電FETをターンオフさせてマルチセルバッテリ100の過熱を防止する。また、制御回路はマルチセルバッテリ100の電圧を測定して、測定された電圧によってマルチセルバッテリ100の過充電及び過放電状態を認識して、制御回路は充電FETをターンオフさせて充電を禁止させるか、又は放電FETをターンオフさせて放電を禁止させる。また、制御回路はマルチセルバッテリ100で過電流が流れる時に充電FETと放電FETとをターンオフさせてマルチセルバッテリ100を保護する。また、制御回路はマルチセルバッテリ100の充電及び放電サイクルを計算して、計算された充電及び放電サイクルによって充電電流を調節して、マルチセルバッテリ100の寿命を延長させる役割をする。
【0048】
また、図1C及び図1Fに示すように、第2保護回路基板300は、第2絶縁基板310、第2印刷回路パターン320及びコネクタ330から構成される。第2保護回路基板300は、第1保護回路基板200の実装空間が狭小である場合、保護回路230の構成要素を選択的に実装することができる。ここで、第2保護回路基板300は、一対の導電プレート400及び軟性回路基板600によって第1保護回路基板200と電気的に接続される。
【0049】
第2絶縁基板310は、第1絶縁基板210と同一又は類似の形状及び材質で形成されるため、重複する説明は省略する。
【0050】
第2印刷回路パターン320は、第2絶縁基板310の上面及び下面の表面並びに中間層に形成される。また、第2印刷回路パターン320は、第2絶縁基板310のビアホールに形成される。このような第2印刷回路パターン320は第1印刷回路パターン220と同様に銅のような伝導性金属から形成される。
【0051】
コネクタ330は、第2絶縁基板310の一面に接続され、複数個の接触端子と、該接触端子を囲むケース部とから構成される。コネクタ330は、第1導電プレート410及び第2導電プレート420からなる導電プレート400に流れるマルチセルバッテリ100の正極110及び負極120の大電流をノート型パソコンのような携帯用電子機器に供給する。この場合、導電プレート400は、コネクタ330と保護回路230とを電気的に接続させることにより、保護回路230がマルチセルバッテリ100を保護するようにする電気的な通路の役割をする。
【0052】
ここで、コネクタ330が装着された第2保護回路基板300は、第1保護回路基板200と分離して形成されるため、バッテリパックの製作時に携帯用電子機器のバッテリ接触端子と接触されるコネクタ330の位置を容易に確保することができる。導電プレート400は、第1保護回路基板200と第2保護回路基板300とを電気的に接続させると同時に二つの基板を強く結合させるものであり、安定した構造のバッテリパックを製作することができる。
【0053】
また、図1Aに示すように、導電プレート400は、第1導電プレート410及び第2導電プレート420から構成される。第1導電プレート410はマルチセルバッテリ100の正極110と電気的に接続され、第2導電プレート420はマルチセルバッテリ100の負極120と電気的に接続される。すなわち、導電プレート400は、マルチセルバッテリ100の充電及び放電の大電流経路に該当する。また、導電プレート400は、ニッケル又はニッケルを含む合金から形成されて第1及び第2印刷回路パターンとの接続時に伝導性が向上されて、ソルダ部500との結合力が向上する。
【0054】
図1Gに示すように、第1導電プレート410は、第1接続領域411、第1折曲領域412、連結領域413、第2折曲領域414及び、第2接続領域415から構成される。
【0055】
図1Fに示すように、第1接続領域411は、第1保護回路基板200と接続する。図1Hに示すように、第1接続領域411と第1保護回路基板200との接続面は四角形状であり、ソルダ部500は第1接続領域411と第1保護回路基板200とが接続する周辺に四角ボックス形状で形成される。このように、第1接続領域411と第1保護回路基板200との接続面が四角形状となるため、第1導電プレート410は、第1保護回路基板200との結合力が向上して安定した構造を提供することができる。また、第1接続領域411は、結合面積を増加させるために四角形状の端部周辺が丸い面取りになって丸い形状で形成されることができる。
【0056】
第2印刷回路パターン320は、該第2印刷回路パターン320における上面面積の70%よりも大きい面積で、導電プレート400と接続することにより、第2印刷回路パターン320と導電プレート400との間の伝導性を向上させることができる。また、第2印刷回路パターン320における上面面積の90%以下の面積で、導電プレート400と接続することにより、ソルダ部500が形成される空間が提供されるようにする。
【0057】
第1折曲領域412は、第1導電プレート410における第1接続領域411と連結領域413との間に位置し、第1屈曲部412a及び第2屈曲部412bから構成される。
【0058】
第1屈曲部412aは第1接続領域411と連続しており、第1接続領域411の末端から、第1保護回路基板200と離間するように折り曲げられて円弧型に形成される。これにより、第1保護回路基板200と第1導電プレート410とを接続するソルダ部500が第1保護回路基板200と第1屈曲部412aとの間にも形成され、第1導電プレート410と第1保護回路基板200との間の結合力を向上させることができる。
【0059】
第2屈曲部412bは、第1屈曲部412aと連結領域413との間に位置し、第1屈曲部412aから、該第1屈曲部412aとは逆方向に折り曲げられて円弧型に形成される。すなわち、第2屈曲部412bにより、連結領域413が、第1接続領域411とおおよそ平行な状態をなすように形成される。
【0060】
ここで、図1Iに示すように、第1屈曲部412aの湾曲点と会う仮想の第1接線D11と、第2屈曲部412bの湾曲点と会う仮想の第2接線D12との間の距離D10が、第1導電プレート410の厚さの3%以上且つ15%以下の範囲内になるように、第1屈曲部412a及び第2屈曲部412bをそれぞれ形成する。距離D10が3%以上且つ15%以下の場合には、第1屈曲部412a及び第2屈曲部412bの十分な屈曲がなされて、ソルダ部500による第1保護回路基板200と第1折曲極領域412との結合面積が増大する。一方、距離D10が導電プレート400の厚さの15%よりも大きい場合の第1屈曲部412aと第2屈曲部412bとは過度に屈曲された状態になって、ソルダ部500によって結合される面積が小さくなるようになるため、ソルダ部500と第1保護回路基板200又は第1折曲極領域412との結合力が弱くなる。従って、距離D10が、第1導電プレート410の厚さの3%以上且つ15%以下の範囲になるように、第1屈曲部412a及び第2屈曲部412bを形成してソルダ部500による第1保護回路基板200と第1折曲極領域412との結合力を維持しなければならない。
【0061】
連結領域413は第1折曲領域412と第2折曲領域414との間に連続している。図1F及び図1Gには、連結領域413が第1接続領域411とほぼ平行になるように形成された一例を示している。
【0062】
図1Bに示すように、連結領域413は中央部に屈曲部を有していても良い。連結領域413を折り曲げて形成することにより、第1保護回路基板200と第2保護回路基板300との角度が80度以上且つ100度以下の範囲になるようにすれば、保護回路が形成された第1保護回路基板200とコネクタ330が形成された第2保護回路基板300とが、バッテリパック内部で横方向及び縦方向の互いに異なる方向となる実装を容易にすることができる。
【0063】
第2折曲領域414は、第1導電プレート410における連結領域413と第2接続領域415との間に位置し、第3屈曲部414a及び第4屈曲部414bからなる。第3屈曲部414a及び第4屈曲部414bは、第1折曲領域412の第1屈曲部412a及び第2屈曲部412bと対応する形状で形成される。すなわち、導電プレート400における第1折曲領域411と第2折曲領域414とはそれぞれ連結領域413の中央を基準に前記導電プレート400の長さ方向と垂直した基準線に対して対称になるように形成される。従って、第2折曲領域414の第3屈曲部414a及び第4屈曲部414bに対する重複される説明は省略する。
【0064】
第2接続領域415は、第2折曲領域414と連続しており、第2保護回路基板300と接続する。第2接続領域415は、第1接続領域411と対応する形状であり、接続される対象が第2保護回路基板300であることのみが第1接続領域411と異なる。従って、第2接続領域415の重複される説明は省略する。
【0065】
また、第2導電プレート420は、マルチセルバッテリ100の負極120と電気的に連結される。この場合、第2導電プレート420は、第1導電プレート410と短絡を防止するために、第1保護回路基板200及び第2保護回路基板上に所定の距離が離隔されて配置される。第2導電プレート420の形状及び材質は、第1導電プレート410の形状及び材質と同一または類似であるため、重複される説明は省略する。
【0066】
また、図1Iに示すように、例として第1折曲領域412を用いて説明するが、導電プレート400に形成される各々の折曲領域に共通して、第1折曲領域412を挟んで導電プレート400の下面から導電プレート400の上面までの離隔された距離D20は導電プレート400の厚さT10の150%以上且つ250%以下となるように形成されなければならない。本実施形態に係る導電プレート400は、それぞれ0.35mm〜1.1mmの厚さである。距離D20が150%未満である場合には、第1保護回路基板200と第1導電プレート410との間に形成されるソルダ部500が占める空間が非常に少なくなるため、導電プレート400と保護回路基板との間の結合力が非常に低くなる。また、距離D20が250%を超過する場合には、導電プレート400における折曲領域が非常に長くなり、導電プレート400の実装体積が不必要に増加される。一方、導電プレート400の厚さT10が0.3mm未満である場合には導電プレート400の強度が小さくなり、小さな衝撃にも撓うなどして短絡を誘発させることがある。また、導電プレート400の厚さT10が1.1mmよりも大きい場合、折曲領域を形成し難くなり、導電プレート400と保護回路基板との間に形成されるソルダ部500が形成される領域も小さくなるため、導電プレート400と保護回路基板との間の結合力は弱くなる。
【0067】
また、図1Fに示すように、ソルダ部500は、第1ソルダ部510及び第2ソルダ部520から構成される。第1ソルダ部510は、第1導電プレート400の第1折曲領域412の少なくとも一部と第1保護回路基板200とを半田付け等により接続させている。また、ソルダ部500は、第1導電プレート400の第1折曲領域412の少なくとも一部と第2保護回路基板300とを半田付け等により接続させている。
【0068】
図1F及び図1Hに示すように、第1ソルダ部510は、第1接続領域411と第1保護回路基板200とが接続する第1接続領域411の周辺に形成されており、第2ソルダ部520は、第2接続領域415と第2保護回路基板300とが接続する第2接続領域415の周辺に形成されている。このように、第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300と導電プレート400との間の接続がソルダ部500によってなされるため、強い結合力を有するようになり、導電プレート400における連結領域413の中央部に屈曲部が設けられている場合には、第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300と導電プレート400との間の結合がさらに強い結合力を有するようになる。
【0069】
また、図1Iに示すように、第1ソルダ部510は、結合面積確保領域511と結合力補強領域512とから構成される。第2ソルダ部520も第1ソルダ部510と同様に形成されるため、重複する説明を省略する。
【0070】
結合面積確保領域511は、第1接続領域411と第1保護回路基板200とが接続する第1接続領域411の周辺のうち、第1屈曲部412aに沿って形成される。すなわち、結合面積確保領域511は、第1接続領域411に連続する第1屈曲部412aと第1保護回路基板200との間に満たされて、導電プレート400と第1保護回路基板200との結合面積が最大限に増加されるように形成される。
【0071】
結合力補強領域512は、結合面積確保領域511と連続して形成され、第1保護回路基板200と第2屈曲部412bとの間に形成される。結合力補強領域512は、導電プレート400と第1保護回路基板200との結合面積を確保した結合面積確保領域511を支えるようにして、導電プレート400と第1保護回路基板200との結合力をさらに向上するように形成される。
【0072】
また、図1B及び図1Eに示すように、軟性回路基板(FPCB)600は、第1導電プレート410と第2導電プレート420との間に形成され、第1保護回路基板200と第2保護回路基板300とを電気的に接続する。軟性回路基板600は、複数の銅箔及び該銅箔を被覆する絶縁フィルムにより形成される。軟性回路基板600は、複数の銅箔が一列に並んで配置された状態で絶縁フィルムに被覆されて、銅箔と絶縁フィルムとが一体型で結合された構造を形成する。このような軟性回路基板600は、マルチセルバッテリ100の電圧に関する信号及び保護回路の制御信号が流れるようにする電気的な通路の役割をする。
【0073】
また、軟性回路基板600は、導電プレート400の第1折曲領域412及び第2折曲領域414と対応する形状に曲げられて形成される。仮に、軟性回路基板600が導電プレート400の第1折曲領域412及び第2折曲領域414と対応する形状に曲げられずに形成されて、導電プレート400の中央部が折曲されると、軟性回路基板600は中央支点が過度に撓って第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300と接続される部位が剥離する虞がある。従って、軟性回路基板600は、導電プレート400の第1折曲領域412及び第2折曲領域414と対応する形状に曲げられて形成されることにより、第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300から剥離することを防止することができる。
【0074】
上述したように、本発明の第1の実施形態に係るバッテリパック10は、マルチセルバッテリ100の大電流を導電プレート400により通電させて、軟性回路基板600を利用して信号のみを通電させる。すなわち、第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300は、信号及び大電流の経路が一つの軟性回路基板により通電する従来の保護回路基板とは異なり、大電流経路の発熱によって溶けるなどにより、短絡される虞がないため、バッテリパック10の信頼性を向上させることができる。
【0075】
また、本発明の第一の実施形態に係るバッテリパック10は、第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300を電気的に接続させる導電プレート400が、上記で説明したように第1保護回路基板200及び第2保護300と強く接続されるため、安定した構造を提供することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るバッテリパックについては第1の実施形態に係るバッテリパックと相違する点についてのみ説明する。
【0077】
図2に示すように、本発明の第2の実施形態に係るバッテリパックの導電プレート1400は、第1接続領域1410、第1折曲領域1420、連結領域1430、第2折曲領域1440及び第2接続領域1450から構成される。
【0078】
第1折曲領域1420、連結領域1430及び第2折曲領域1440は、第1の実施形態と同一の形状で形成されるため、重複する説明を省略する。
【0079】
第1接続領域1410及び第2接続領域1450は、それぞれ少なくとも1つの半田付け溝1460が設けられている。半田付け溝1460は、第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300と接続する第1接続領域1410及び第2接続領域1450の周縁領域に形成される。半田付け溝1460は、第1接続領域1410及び第2接続領域1450の周辺面積が増加するように形成されるため、導電プレート1400と第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300とを接続するソルダ部が形成される領域も増加する。従って、導電プレート1400は、第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300との結合力を向上させることができる。
【0080】
なお、第2の実施形態に係る導電プレート1400には、導電プレート1400と第1保護回路基板200及び第2保護回路基板300との結合力を向上させるために、半田付け溝1460を設けたが、結合力を向上させるための手段であればこれに限定されない。第1接続領域1410及び第2接続領域1450の周辺面積が増加するように形成するのであれば突起部等でも良い。
【0081】
上記のように、第2の実施形態に係るバッテリパックは、導電プレート1400に半田付け溝1460が形成されるため、第1保護回路基板と第2保護回路基板との結合力が向上して安定した構造を提供することができる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ること明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、バッテリと保護回路基板との結合信頼性及び結合力が向上した構造を有するバッテリパックに適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
100 マルチセルバッテリ
200 第1保護回路基板
300 第2保護回路基板
400、1400 導電プレート
410 第1導電プレート
411、1410 第1接続領域
412、1420 第1折曲領域
412a 第1屈曲部
412b 第2屈曲部
413、1430 連結領域
414、1440 第2折曲領域
415、1450 第2接続領域
420 第2導電プレート
500 ソルダ部
511 結合面積確保領域
512 結合力補強領域
600 軟性回路基板
1460 半田付け溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極を有する再充電可能なバッテリセルと、
前記バッテリセルと電気的に接続する第1保護回路基板と、
前記第1保護回路基板と電気的に接続する第2保護回路基板と、
前記第1保護回路基板と前記第2保護回路基板とを接続する少なくとも1つの導電プレートと、
を備えるバッテリパック。
【請求項2】
前記第1保護回路基板及び第2保護回路基板と前記導電プレートとを接続するソルダ部をさらに備える請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記導電プレートは、少なくとも1つの折曲領域を有する第1導電プレート及び第2導電プレートから構成され、前記第1導電プレートと前記第2導電プレートとは所定の距離が離隔されている請求項1〜2のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記第1導電プレートは、前記バッテリセルの正極と電気的に接続され、前記第2導電プレートは前記バッテリセルの負極と電気的に接続される請求項3に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記第1導電プレートと前記第2導電プレートとの間に形成され、前記第1保護回路基板と前記第2保護回路基板とを電気的に接続する軟性回路基板(FPCB)をさらに備える請求項3〜4のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記軟性回路基板(FPCB)は、前記第1導電プレート及び前記第2導電プレートの折曲領域と対応する形状である請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記導電プレートは、前記第1保護回路基板と接続する第1接続領域、該第1接続領域と連続する第1折曲領域、該第1折曲領域と連続する連結領域、該連結領域と連続する第2折曲領域及び、該第2折曲領域と連続し前記第2保護回路基板と接続する第2接続領域から構成される請求項1〜6のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項8】
前記ソルダ部は、前記第1保護回路基板と前記第1接続領域との間に形成される第1ソルダ部及び、前記第2折曲領域と前記第2保護回路基板との間に形成される第2ソルダ部から構成される請求項7に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記第1接続領域及び第1折曲領域と前記第2接続領域及び第2折曲領域とは、前記連結領域を挿んで対応する形状である請求項7または8のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項10】
前記連結領域は、屈曲部を有し、前記導電プレートに接続する前記第1保護回路基板と前記第2保護回路基板との角度が80度以上且つ100度以下の範囲である請求項7〜9のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項11】
前記第1保護回路基板及び第2保護回路基板と前記導電プレートとの接続面は四角形状であり、前記ソルダ部は前記四角形状の周辺部に形成される請求項2〜10のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項12】
前記第1折曲領域は、前記第1接続領域の端部から折り曲げられた第1屈曲部と該第1屈曲部の端部から前記第1屈曲部とは逆方向に折り曲げられた第2屈曲部からなる請求項7〜11のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項13】
前記ソルダ部は、前記第1保護回路基板と前記第1屈曲部との間に形成される結合面積確保領域、前記結合面積確保領域と連続し、前記第1保護回路基板と前記第2屈曲部との間に形成される結合力補強領域から構成される請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項14】
前記第1屈曲部の湾曲点と接する仮想の第1接線と、前記第2屈曲部の湾曲点と接する仮想の第2接線との距離は、前記導電プレートの厚さの3%以上且つ15%以下の範囲である請求項12または13のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項15】
前記導電プレートは、前記折曲領域を挟んで前記導電プレートの下面から前記導電プレートの上面までの離隔された距離は前記導電プレートの厚さの150%以上且つ250%以下である請求項6〜14のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項16】
前記導電プレートの厚さは、0.35mm以上且つ1.1mm以下である請求項1〜15のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項17】
前記第1保護回路基板は、第1絶縁基板、該第1絶縁基板に形成された第1印刷回路パターン、該第1印刷回路パターンと電気的に接続される保護回路から構成され、
前記第2保護回路基板は、第2絶縁基板、該第2絶縁基板に形成された第2印刷回路パターン、前記第2絶縁基板と接続されたコネクタから構成される請求項1〜16のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項18】
前記導電プレートは、前記コネクタと前記保護回路とを電気的に接続させる請求項17に記載のバッテリパック。
【請求項19】
前記印刷回路パターンと導電プレートとの接続面積は、前記印刷回路パターンの上面面積の70%以上且つ90%以下の面積である請求項17または18のいずれかに記載のバッテリパック。
【請求項20】
前記導電プレートは、前記第1保護回路基板及び前記第2保護回路基板と接続する周縁領域に半田付け溝を有する請求項1〜19のいずれかに記載のバッテリパック。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−245942(P2009−245942A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71350(P2009−71350)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】