説明

バッテリボックスユニットのアース構造

【課題】組み付け作業性を悪化させることなく、バッテリボックスに取り付けられる複数の外板をアースさせる。
【解決手段】バッテリを収容するバッテリボックス11と、バッテリボックス11の外面に取り付けられる複数の外板18、19、20、21と、各外板18、19、20、21の締結部に電気的に導通させて設けられたプレート30と、バッテリボックス11に電気的に導通させて設けられた被締結部17と、各外板18、19、20、21のプレート30とバッテリボックス11の被締結部17とを締結して各外板18、19、20、21とバッテリボックス11とを電気的に導通させるためのボルト31と、バッテリボックス11及び複数の外板18、19、20、21の内少なくとも一つに取り付けられ、バッテリボックス11を介して複数の外板18、19、20、21をアースさせるためのアース線とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるバッテリボックスユニットのアース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、バッテリがバッテリボックスに収容され(例えば、特許文献1参照)、バッテリボックスの外面に外板が取り付けられることがある。
【0003】
特に、高電圧のバッテリを使用する電気自動車やハイブリッド自動車等の車両においては、バッテリボックスを覆う外板は電気的な失陥時に帯電しないようにアースさせておく必要があり、アース線及びアースボルトを使用して外板をアース(導通)させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−50769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アースが必要な部品毎にアース線を接続する必要があるため、アースが必要な外板が複数になるとその分アース線が必要となり、作業工数が増え、組み付け作業性が悪化するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、組み付け作業性を悪化させることなく、バッテリボックスに取り付けられる複数の外板をアースさせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、バッテリを収容するバッテリボックスと、該バッテリボックスの外面に取り付けられる複数の外板と、各外板の締結部に電気的に導通させて設けられたプレートと、上記バッテリボックスに電気的に導通させて設けられた被締結部と、各外板のプレートと上記バッテリボックスの被締結部とを締結して各外板と上記バッテリボックスとを電気的に導通させるためのボルトと、上記バッテリボックス及び上記複数の外板の内少なくとも一つに取り付けられ、上記バッテリボックスを介して上記複数の外板をアースさせるためのアース線とを備えたものである。
【0008】
上記プレート及び上記アース線を上記ボルトにより共締めするようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組み付け作業性を悪化させることなく、バッテリボックスに取り付けられる複数の外板をアースさせることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリボックスユニットのアース構造の概略を示す斜視図である。
【図2】図2は、サービスプラグカバーをバッテリボックスに取り付けた状態を示す、図1のII−II線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るバッテリボックスユニット10は、バッテリ及び電気回路等(図示せず)を収容するバッテリボックス11と、バッテリボックス11が載置される支持フレーム12と、バッテリボックス11の外面に取り付けられる複数の外板(18、19、20、21)とを備えている。
【0013】
バッテリボックス11は、上部に上部開口13が形成されたボックス形状に形成されている。バッテリボックス11の後面には、後部開口14が形成されている。また、バッテリボックス11の上部には、フランジ15が一体的に形成されている。また、バッテリボックス11の上縁には、防水や防塵のためのシール材16が貼り付けられている。
【0014】
バッテリボックス11は導電性の材料(例えば、鉄板や鋼板等)からなり、バッテリボックス11は後述する被締結部(ナット17;図2参照)を除いて絶縁塗料で塗装されている。
【0015】
本実施形態では、上記複数の外板は、バッテリボックス11の上部開口13を覆うトップカバー18と、バッテリボックス11の後部開口14を覆うサービスプラグカバー19と、バッテリボックス11の後面を覆うリアカバー20と、バッテリボックス11の側面を覆うサイドカバー21とで構成されている。
【0016】
トップカバー18にはフランジ22が一体的に形成されており、トップカバー18のフランジ22をバッテリボックス11のフランジ15に重ね、ボルト23によってトップカバー18をバッテリボックス11に固定するようになっている。
【0017】
サービスプラグカバー19の前面には防水や防塵のためのシール材24(図2参照)が貼り付けられており、サービスプラグカバー19をバッテリボックス11の後面に重ね、ボルト25によってサービスプラグカバー19をバッテリボックス11に固定するようになっている。
【0018】
リアカバー20の上部にはフランジ26が一体的に形成されており、リアカバー20のフランジ26をトップカバー18のフランジ15に重ね、ボルト27によってリアカバー20をバッテリボックス11に固定するようになっている。
【0019】
サイドカバー21の上部にはフランジ28が一体的に形成されており、サイドカバー21のフランジ28をトップカバー18のフランジ15に重ね、ボルト29によってサイドカバー21をバッテリボックス11に固定するようになっている。
【0020】
トップカバー18、サービスプラグカバー19、リアカバー20及びサイドカバー21はそれぞれ、導電性の材料(例えば、鉄板や鋼板等)からなり、トップカバー18、サービスプラグカバー19、リアカバー20及びサイドカバー21はそれぞれ、後述するプレート30を除いて絶縁塗料で塗装されている。
【0021】
また、本実施形態に係るバッテリボックスユニット10は、各外板(トップカバー18、サービスプラグカバー19、リアカバー20、サイドカバー21)の締結部に電気的に導通させて設けられたプレート30と、バッテリボックス11に電気的に導通させて設けられた被締結部(17)と、各外板18、19、20、21のプレート30とバッテリボックス11の被締結部とを締結するボルト(本実施形態では、アースボルト)31と、バッテリボックス11に取り付けられたアース線(図示せず)とを備えている。
【0022】
図2はサービスプラグカバー19をバッテリボックス11に取り付けた状態を示すものである。
【0023】
図1及び図2に示すように、プレート30は導電性及び耐腐食性を有する材料(例えば、ステンレス)から板状に形成されており、そのプレート30が溶接によってサービスプラグカバー19の後面に接合されている。プレート30を溶接によってサービスプラグカバー19に接合することで、プレート30は溶接部分を介してサービスプラグカバー19と電気的に導通される。また、被締結部は導電性及び耐腐食性を有する材料(例えば、ステンレス)からなるナット17で構成されており、そのナット17が溶接によってバッテリボックス11の後部内面に接合されている。ナット17を溶接によってバッテリボックス11に接合することで、ナット17は溶接部分を介してバッテリボックス11と電気的に導通される。また、ボルト31は導電性及び耐腐食性を有する材料(例えば、ステンレス)からなる。
【0024】
ボルト31によってサービスプラグカバー19のプレート30とバッテリボックス11のナット17とを締結することで、プレート30、ボルト31及びナット17を介して、サービスプラグカバー19とバッテリボックス11とが電気的に導通される。
【0025】
サービスプラグカバー19以外の外板(トップカバー18、リアカバー20、サイドカバー21)にも同様のプレート30を設けておくと共に、バッテリボックス11に各外板18、20、21のプレート30に対応させて同様のナット17を設けておき、ボルト31によって各外板18、20、21のプレート30とバッテリボックス11のナット17とを締結することで、プレート30、ボルト31及びナット17を介して、各外板18、20、21とバッテリボックス11とが電気的に導通される。
【0026】
また、図示はしないが、上記アース線は、一端がバッテリボックス11に接続され、他端が車両のシャシーに接続されている。
【0027】
プレート30、ボルト31及びナット17を介して、各外板18、19、20、21とバッテリボックス11とをそれぞれ電気的に導通させているので、アース線をバッテリボックス11に取り付けることで、バッテリボックス11を介して複数の外板18、19、20、21が同時にアースされる。
【0028】
本実施形態の作用を説明する。
【0029】
本実施形態によれば、各外板18、19、20、21の締結部に電気的に導通させて設けられたプレート30と、バッテリボックス11に電気的に導通させて設けられたナット17(被締結部)と、各外板18、19、20、21のプレート30とバッテリボックス11のナット17とを締結するボルト31とを備えるので、プレート30、ボルト31及びナット17を介して、各外板18、19、20、21とバッテリボックス11とをそれぞれ電気的に導通させることができ、簡単な構造でバッテリボックスユニット10の等電位化が可能になる。また、ボルト31によって各外板18、19、20、21のプレート30とバッテリボックス11のナット17とを締結するようにしたので、締結及びアース(導通)を同時に行うことができ、作業工数を減らすことができるので、組み付け作業性を向上させることが可能になる。
【0030】
また、本実施形態によれば、バッテリボックス11に取り付けられたアース線を備えるので、そのアース線によってバッテリボックス11を介して複数の外板18、19、20、21を同時にアースさせることができ、外板18、19、20、21毎にアース線32を設ける必要がなく作業工数を減らすことができるので、組み付け作業性を向上させることが可能になる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態ではバッテリボックス11にアース線を取り付けるとしたがこれには限定はされず、トップカバー18、サービスプラグカバー19、リアカバー20及びサイドカバー21の内いずれかにアース線を取り付けるようにしても良い。また、バッテリボックス11及び複数の外板18、19、20、21の内二つ以上の部品にアース線を取り付けるようにしても良い。即ち、バッテリボックス11及び複数の外板18、19、20、21の内少なくとも一つにアース線を取り付ければ良い。
【0033】
また、複数の外板18、19、20、21にアース線を取り付ける場合、プレート30及びアース線をボルト31により共締めするようにしても良い。プレート30及びアース線をボルト31により共締めすることで、締結及びアース(導通)を同時に行うことができ、作業工数を減らすことができるので、組み付け作業性を向上させることが可能になる。
【符号の説明】
【0034】
10 バッテリボックスユニット
11 バッテリボックス
17 ナット(被締結部)
18 トップカバー(外板)
19 サービスプラグカバー(外板)
20 リアカバー(外板)
21 サイドカバー(外板)
30 プレート
31 ボルト(アースボルト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを収容するバッテリボックスと、該バッテリボックスの外面に取り付けられる複数の外板と、各外板の締結部に電気的に導通させて設けられたプレートと、上記バッテリボックスに電気的に導通させて設けられた被締結部と、各外板のプレートと上記バッテリボックスの被締結部とを締結して各外板と上記バッテリボックスとを電気的に導通させるためのボルトと、上記バッテリボックス及び上記複数の外板の内少なくとも一つに取り付けられ、上記バッテリボックスを介して上記複数の外板をアースさせるためのアース線とを備えたことを特徴とするバッテリボックスユニットのアース構造。
【請求項2】
上記プレート及び上記アース線を上記ボルトにより共締めするようにした請求項1に記載のバッテリボックスユニットのアース構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−173581(P2010−173581A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20543(P2009−20543)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】