説明

バッテリーの取付構造

【課題】バッテリーの着脱時における作業性を損なうことなく、部品点数を削減し製造コストを低減することができるバッテリーの取付構造を提供する。
【解決手段】車体(車体フレームF)にバッテリー2を取り付けるためのバッテリー2の取付構造であって、バッテリー2と、上方に開口する凹状に形成され、バッテリー2を保持する保持体1と、を備え、保持体1は、車体(受け皿31)に取り付けられ、バッテリー2を載置するトレー部4と、トレー部4に一体的に形成されて、バッテリー2の外側面を覆うカバー部5と、を有し、カバー部5には、把持部51aが一体的に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エンジンルーム内に設置されるバッテリーは、エンジンなどから発生する熱によって、バッテリー液の温度が上昇することを防止するために、バッテリーカバーで覆われている。また、従来のバッテリーとしては、車体に対する着脱作業を容易にするために、取っ手が備えられた発明が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−220793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、取っ手がバッテリーに対して別部品として構成されているため、部品点数が増加するという問題があった。また、別部品である取っ手を形成するための金型が別途必要になるとともに、取っ手を形成するための製造工程がさらに必要になるため、製造コストが高騰するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような観点から創案されたものであり、バッテリーの着脱時における作業性を損なうことなく、部品点数を削減し製造コストを低減することができるバッテリーの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、車体にバッテリーを取り付けるためのバッテリーの取付構造であって、前記バッテリーと、上方に開口する凹状に形成され、前記バッテリーを保持する保持体と、を備え、前記保持体は、前記車体に取り付けられ、前記バッテリーを載置するトレー部と、前記トレー部に一体的に形成されて、前記バッテリーの外側面を覆うカバー部と、を有し、前記カバー部には、把持部が一体的に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、トレー部とカバー部とが一体化されて保持体を構成すると共に、把持部がカバー部に一体的に形成されていることによって、バッテリーに別部品の取っ手を設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。
また、バッテリーに別部品の取っ手を設ける必要がないため、取っ手を形成するための金型や製造工程が必要な従来構造に比べ、製造コストを低減することができる。
さらに、トレー部とカバー部とが一体化されて保持体を構成すると共に、把持部がカバー部に一体的に形成されているため、把持部を掴んで保持体を持ち上げることによって、トレー部に載置されているバッテリーを同時に持ち上げることができる。したがって、バッテリーの周辺に十分な空間がなくてもバッテリーの車体に対する着脱作業が容易になる。
【0008】
また、把持部は、カバー部の一部を構成し且つ対向配置される一対の側壁の外面に設けられていることが好ましい。このようにすると、両手を使ってそれぞれの把持部を掴み、バッテリーの重心位置を安定させながら持ち上げることができるので、バッテリーの車体に対する着脱作業がより一層容易となり、作業性が向上する。
【0009】
また、把持部の下側には、貫通孔が形成されていることが好ましい。このようにすると、把持部をより一層掴みやすくなる。
【0010】
また、カバー部の一部を構成し且つ対向配置される一対の側壁と、バッテリーとの間には、間隙が形成されていることが好ましい。このようにすると、間隙に両手(両手の指)を入れることができるので、保持体からバッテリーを取り出す際の作業性が向上する。
【0011】
また、間隙を挟んでバッテリーと対峙する一対の側壁の上縁には、バッテリーの外側面を露出させる切り欠き部が形成されていることが好ましい。このようにすると、バッテリーを掴みやすくなり、保持体からバッテリーを取り出す際の作業性がより一層向上する。
【0012】
また、前記バッテリーの外側面には、その内部に充填されるバッテリー液の液量の目安となる目盛りが形成されており、前記バッテリーは、前記目盛りが前記側壁の切り欠き部に対向する状態で、前記トレー部に載置されていることが好ましい。このようにすると、バッテリーの目盛りが保持体の切り欠き部に対向して露出するため、バッテリー液量を視認しやすくなり、バッテリー液量の確認を容易に行うことができる。
【0013】
また、カバー部には、上下方向に沿って延在するリブが設けられ、リブは、把持部に連続して形成されていることが好ましい。このようにすると、把持部の上下方向の強度を高めることができる。
【0014】
また、前記トレー部が取り付けられる前記車体の取付部には、上方に開口しているスリットが形成されており、前記リブは、前記スリットに上方から嵌合することが好ましい。このようにすると、リブを保持体の位置決めとしても利用することができる。また、リブは、側壁の外面に形成されているので、リブとスリットとの位置をしっかりと確認しながら、車体の取付部に保持体を取り付けることが可能となり、車体側に保持体を取り付ける際の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、バッテリーの着脱時における作業性を損なうことなく、部品点数を削減し製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係るバッテリー取付構造の斜視図である。
【図2】本実施形態に係るバッテリー取付構造の分解斜視図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図1のX−X線断面図である。
【図5】図1の正面図である。
【図6】図1のY−Y線断面図である。
【図7】変形例に係るバッテリー取付構造の斜視図である。
【図8】変形例に係る保持体及び受け皿の構成を示す分解斜視図である。
【図9】変形例に係る受け皿の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
本実施形態に係るバッテリー2の取付構造は、バッテリー2を車体に取り付けるための取付構造である。
図1に示すように、バッテリー2は、保持体1に収容された状態で、固定手段3を介してエンジンルームER内に配設された車体フレームFに取り付けられている。なお、車体フレームFは、車体の一部を構成する部材である。
【0019】
保持体1は、図1及び図2に示すように、上方に開口する凹状に形成されており、主としてバッテリー2を保持する機能を有する。保持体1は、図2に示すように、バッテリー2を載置するトレー部4と、トレー部4の周縁から上方に向かって延出するカバー部5と、を有する。なお、本実施形態の保持体1は、樹脂素材で構成されており、トレー部4とカバー部5とは一体的に形成されている。
【0020】
トレー部4は、図1及び図2に示すように、バッテリー2の底面を下方から覆っており、バッテリー2を載置する機能を有する。トレー部4は、平面視矩形状を呈し、保持体1の底部(底壁)を成している。トレー部4の下面には、図2に示すように、長手方向に間隔を空けて、複数(例えば3つ)の位置決めピン4a,4a・・・が設けられている。また、図2に示すように、トレー部4の各位置決めピン4a・・・と、後記する受け皿31の各位置決め孔31d・・・と、車体フレームFの各位置決め孔Fa・・・とは、それぞれ上下に対応する位置に形成されている。そして、保持体1は、受け皿31の位置決め孔31d及び車体フレームFの位置決め孔Faに対して、位置決めピン4aを挿入することで、車体側に位置決めされる。なお、位置決めピン4aは、少なくとも受け皿31の位置決め孔31dに挿入されていればよい。
【0021】
カバー部5は、図1及び図2に示すように、バッテリー2の側面を外側から覆っており、エンジン(図示省略)などから発生する熱を遮断し、バッテリー液の温度が上昇することを防止する機能を有する。カバー部5は、図2に示すように、保持体1の側部を成しており、4つの側壁51,51,52,52から構成されている。
【0022】
一対の側壁51,51は、図2に示すように、同一の形状及び大きさに形成され、トレー部4を挟んで対向している。側壁51,51の上端外面には、それぞれ把持部51a,51aが一体的に形成されている。把持部51aは、上方に開口する凹状に形成されており、側壁51の外面から側方(バッテリー2と反対側)に向かって水平に突出する本体部51bと、本体部51bの基端部及び先端部から連続して上方に向かって延出する突条部51c,51cと、から構成されている。突条部51cは、本体部51bの全長に亘って形成されている。この突条部51cを設けることによって、保持体1を掴んだ手が滑り落ちにくくなり、しっかりと掴むことができるため、保持体1に収容されたバッテリー2を安定して運搬することができる。
【0023】
なお、本実施形態の把持部51aは、側壁51の上端外面に形成されているが、これに限定されることなく、例えば、側壁51の上下方向の中央外面に形成されてもよい。また、突条部51cを本体部51bから下方に向かって延出させて、把持部51aを下方に開口する凹状に形成してもよいし、突条部51cを設けなくても構わない。
【0024】
把持部51aの下側には、図1乃至図4に示すように、矩形状を呈する貫通孔51dが板厚方向に貫通して形成されている。貫通孔51dの左右両側には、図1乃至図3に示すように、側壁51の外面から突出し且つ上下方向に沿って延在するリブ51eが、それぞれ2つずつ形成されている。リブ51eは、図3及び図4に示すように、把持部51aの下面に連続して形成されているとともに、把持部51aの下面から下方に向かうに従って、その突出長さ(幅寸法)が漸減するように形成されている。なお、リブ51eの数は、適宜設定すればよい。
【0025】
一対の側壁52,52は、図2に示すように、同一の形状及び大きさに形成され、トレー部4を挟んで対向している。側壁52,52には、図1及び図2に示すように、上縁の一部を切り欠いて切り欠き部52a,52aがそれぞれ形成されている。切り欠き部52aは、正面視台形状を呈し、バッテリー2の側面の一部を露出させている(図1及び図5参照)。
【0026】
なお、本実施形態では、把持部51aが側壁51に形成され、切り欠き部52aが側壁52に形成されているが、これに限定されることなく、把持部及び切り欠き部が同一の側壁に形成されてもよい。例えば、側壁52の切り欠き部52aの下側に把持部が形成されてもよい。この場合には、受け皿31の掛止部31gを側壁51側に形成するとともに、バッテリークランプ32の両端部を側壁51側に配置して、締付けボルト33を側壁51側に配置する。
【0027】
バッテリー2は、公知のバッテリーの中から適宜選択して用いることができる。バッテリー2は、図2に示すように、直方体を呈しており、その上面には陽極端子2a及び陰極端子2bが設けられているとともに、バッテリー液を補給するための複数(例えば6つ)の補給用キャップ2c,2c・・・が設けられている。また、バッテリー2の側面には、図1及び図2に示すように、バッテリー液量の目安となる2つの目盛り2d,2dが上下方向に間隔を空けて刻まれている。なお、上側に位置する目盛り2dがバッテリー液量の上限を示すものであり、下側に位置する目盛り2dがバッテリー液量の下限を示すものである。
【0028】
バッテリー2は、図1及び図5に示すように、その目盛り2dがカバー部5の切り欠き部52aに対向した状態で、トレー部4上に載置されている。換言すると、バッテリー2は、目盛り2dが外部に露出した状態で、トレー部4上に載置されている。また、バッテリー2の外面とカバー部5の内面との間には、図4及び図6に示すように、作業者の手(指)が入る程度の間隙Gが形成されている。なお、間隙Gの大きさは、適宜設定すればよい。また、本実施形態では、カバー部5の各側壁51,51,52,52と、バッテリー2との間に間隙Gを形成したが、これに限定されることなく、例えば、一対の側壁51,51と、バッテリー2との間だけに間隙Gを形成してもよいし、一対の側壁52,52と、バッテリー2との間だけに間隙Gを形成しても構わない。
【0029】
固定手段3は、車体フレームFに対して、保持体1及びバッテリー2を着脱自在に固定する役割を果たしている。固定手段3は、図1及び図2に示すように、受け皿31と、バッテリークランプ32と、締付けボルト33と、から主に構成されている。
【0030】
車体の取付部としての受け皿31は、図1及び図2に示すように、金属素材で構成されており、ボルトBによって車体フレームFに固定されている。受け皿31は、図2に示すように、保持体1を載置する底壁31aと、底壁31aの周縁から上方に向かって延出する側壁31b,31b,31c,31cと、から構成されている。
【0031】
底壁31aは、図2に示すように、平面視矩形状を呈し、長手方向に間隔を空けて、複数(例えば3つ)の位置決め孔31d,31d・・・が形成されている。
【0032】
一対の側壁31b,31bは、図2に示すように、同一の形状及び大きさに形成され、底壁31aを挟んで対向している。一対の側壁31b,31bの外面には、脚部31eがそれぞれ2本ずつ形成されている(3本のみ図示)。脚部31eは、側壁31bの外面から側方に向かって水平に突出しており、その下面が車体フレームFの上面に当接している(図1参照)。また、脚部31eには、ボルト挿通孔31fが形成されている。なお、図2に示すように、受け皿31の各ボルト挿通孔31f・・・と、車体フレームFのボルト挿通孔Fb・・・とは、それぞれ上下に対応する位置に形成されている。
【0033】
一対の側壁31c,31cは、図2に示すように、同一の形状及び大きさに形成され、一対の側壁31b,31bとの間に配置され且つ底壁31aを挟んで対向している。一対の側壁31c,31cには、上縁の一部を上方に突出させて掛止部31g,31gがそれぞれ形成されている(一方の掛止部のみ図示)。掛止部31gには、後記する締付けボルト33のフック部33aを掛止するための掛止孔31hが形成されている。
【0034】
バッテリークランプ32は、図1及び図2に示すように、平面視略クランク状を呈し、1枚の金属板材を折り曲げて形成されている。バッテリークランプ32は、図1に示すように、バッテリー2の上面に沿って配置されており、その両端部がバッテリー2の側面より外側に延出している。両端部には、図2に示すように、締付けボルト33のネジ部33bが挿通されるボルト挿通孔32aがそれぞれ形成されている。
【0035】
締付けボルト33は、図1及び図2に示すように、その一端にJ字状に折り曲げて形成されたフック部33aを有し、他端にネジ部33bを有している。フック部33aは、図1に示すように、受け皿31の掛止孔31hに引っ掛けられている。また、ネジ部33bは、バッテリークランプ32のボルト挿通孔32aに挿通されているとともに、ナットNが螺合されている。
【0036】
次に、バッテリー2の取り付け作業の一例について、図1及び図2を参照して説明する。
【0037】
まず、バッテリー2の目盛り2dがカバー部5の切り欠き部52aに対向する状態で、バッテリー2をトレー部4上に載置する。
【0038】
次に、カバー部5の把持部51aを掴み、保持体1に収容されたバッテリー2を持ち上げて、車体フレームFに固定された受け皿31上に載置する。このとき、受け皿31の位置決め孔31d及び車体フレームFの位置決め孔Faに対して、トレー部4の位置決めピン4aを挿入して、保持体1の位置決めを行う。
【0039】
そして、バッテリー2の上面にバッテリークランプ32を配置し、受け皿31の掛止孔31hに対して、締付けボルト33のフック部33aを引っ掛ける。また、締付けボルト33のネジ部33bをバッテリークランプ32のボルト挿通孔32aに挿通して、ナットNを締め付ける。これによって、バッテリー2が受け皿31に対して押し付けられて、上下方向及び横方向への相対的な移動が規制される。
以上の工程を経て、バッテリー2は、受け皿31を介して車体フレームFに固定される。
【0040】
次に、バッテリー2の取り外し作業の一例について、図1及び図2を参照して説明する。
【0041】
まず、ナットNを弛めて取り外し、締付けボルト33からバッテリークランプ32を取り外す。
次に、受け皿31の掛止孔31hから締付けボルト33のフック部33aを取り出す。
【0042】
そして、カバー部5の把持部51aを掴み、保持体1に収容されたバッテリー2を保持体1ごと持ち上げてエンジンルームERの外部に搬出する。
【0043】
なお、保持体1からバッテリー2を取り出す場合には、切り欠き部52aを有する一対の側壁52,52と、バッテリー2との間に形成されている間隙Gにそれぞれ手(指)を差し込み、両手でバッテリー2を掴んで上方に持ち上げて取り出すことが好ましい。
【0044】
以上説明した本実施形態に係るバッテリー2の取付構造によれば、トレー部4とカバー部5とが一体化されて保持体1を構成すると共に、把持部51aがカバー部5に一体的に形成されているため、バッテリー2に別部品の取っ手を設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
また、バッテリー2に別部品の取っ手を設ける必要がないため、取っ手を形成するための金型や製造工程が必要な従来構造に比べ、製造コストを低減することができる。
また、トレー部4とカバー部5とが一体化されて保持体1を構成すると共に、把持部51aがカバー部5に一体的に形成されているため、把持部51aを掴んで保持体1を持ち上げることによって、トレー部4上に載置されているバッテリー2を同時に持ち上げることができる。したがって、バッテリー2の周辺に十分な空間がなくてもバッテリー2の車体に対する着脱作業が容易になる。
【0045】
また、把持部51aが、対向配置される一対の側壁51,51の外面に設けられているため、両手を使ってそれぞれの把持部51a,51aを掴み、バッテリー2の重心位置を安定させながら持ち上げることができるので、バッテリー2の車体に対する着脱作業がより一層容易となり、作業性が向上する。
【0046】
また、把持部51aの下側には、貫通孔51dが形成されているため、把持部51aをより一層掴みやすくなる。
【0047】
また、カバー部5とバッテリー2との間に手(指)が入る程度の間隙Gが形成されていることによって、間隙Gに両手(両手の指)を入れることができるので、保持体1からバッテリー2を取り出す際の作業性が向上する。
【0048】
また、間隙Gを挟んでバッテリー2と対峙する一対の側壁52,52には、上縁の一部を切り欠いて切り欠き部52aが形成されているので、バッテリー2を掴みやすくなり、保持体1からバッテリー2を取り出す際の作業性がより一層向上する。
【0049】
また、バッテリー液量の目安となる目盛り2dが側壁52の切り欠き部52aに対向することによって、目盛り2dが外部に露出するため、バッテリー2が保持体1に収容された状態でも、バッテリー液量を視認しやすくなり、バッテリー液量の確認を容易に行うことができる。
【0050】
さらに、カバー部5には、把持部51aの下面に連続して形成され且つ上下方向に沿って延在するリブ51eが設けられているので、把持部51aの上下方向の強度を高めることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0052】
以下に、本実施形態に係るバッテリー2の取付構造の変形例について、図7乃至図9を参照して説明する。なお、説明においては、本実施形態と相違する点について詳しく説明し、本実施形態と同一の要素については、本実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0053】
図7は、変形例に係るバッテリーの取付構造の全体斜視図であり、図8は、変形例に係る保持体及び受け皿の構成を示す分解斜視図である。
なお、変形例は、リブ51eを保持体1の位置決めに利用している点が、前記した実施形態と異なっている。
【0054】
変形例に係るバッテリー2の取付構造では、図7及び図8に示すように、リブ51eの突出長さが、上端から下端まで同一になるように形成されている。
【0055】
また、受け皿31の側壁31bには、複数のリブ51e,51e・・・が嵌合可能な複数のスリット(嵌合孔部)31i,31i・・・が、各リブ51eに対応した数だけ形成されている。スリット31iは、側壁31bの一部を外側に窪ませて形成されているとともに、上方に開口して形成されている。そして、リブ51eは、スリット31iに上方から嵌合している。本変形例では、保持体1は、受け皿31のスリット31iに対して、リブ51eを嵌合することで車体側に位置決めされる。
【0056】
なお、本変形例では、リブ51eが保持体1の位置決め部材としての機能も有するため、トレー部4の位置決めピン4aが省略されている。また、受け皿31の位置決め孔31d及び車体フレームFの位置決め孔Faは、受け皿31と車体フレームFとを連結するボルトBを挿通するためのボルト挿通孔として利用されている。そのため、受け皿31の脚部31e及び車体フレームFのボルト挿通孔Fbが省略されている。
【0057】
また、本変形例では、スリット31iは、側壁31bの一部を外側に窪ませて形成されているが、これに限定されない。例えば、図9に示すように、側壁31bの一部を板厚方向に貫通するように切り欠いてスリット31iを形成してもよい。
【0058】
以上説明した本変形例に係るバッテリー2の取付構造によれば、上方に開口しているスリット31iを受け皿31に形成するとともに、スリット31iにリブ51eを上方から嵌合するため、リブ51eを保持体1の位置決めとしても利用することができる。また、リブ51eは、側壁51の外面に形成されているので、リブ51eとスリット31iとの位置をしっかりと確認しながら、受け皿31に保持体1を取り付けることが可能となり、車体側に保持体1を取り付ける際の作業性が向上する。
【符号の説明】
【0059】
1 保持体
2 バッテリー
3 固定手段
31 受け皿(車体の取付部)
31i スリット(嵌合孔部)
4 トレー部
5 カバー部
51 側壁
51a 把持部
51b 本体部
51c 突条部
51d 貫通孔
51e リブ
52 側壁
52a 切り欠き部
G 間隙
F 車体フレーム(車体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体にバッテリーを取り付けるためのバッテリーの取付構造であって、
前記バッテリーと、
上方に開口する凹状に形成され、前記バッテリーを保持する保持体と、を備え、
前記保持体は、前記車体に取り付けられ、前記バッテリーを載置するトレー部と、前記トレー部に一体的に形成されて、前記バッテリーの外側面を覆うカバー部と、を有し、
前記カバー部には、把持部が一体的に形成されていることを特徴とするバッテリーの取付構造。
【請求項2】
前記把持部は、前記カバー部の一部を構成し且つ対向配置される一対の側壁の外面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの取付構造。
【請求項3】
前記把持部の下側には、貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバッテリーの取付構造。
【請求項4】
前記カバー部の一部を構成し且つ対向配置される一対の側壁と、前記バッテリーとの間には、間隙が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のバッテリーの取付構造。
【請求項5】
前記間隙を挟んで前記バッテリーと対峙する一対の前記側壁の上縁には、前記バッテリーの外側面を露出させる切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のバッテリーの取付構造。
【請求項6】
前記バッテリーの外側面には、その内部に充填されるバッテリー液の液量の目安となる目盛りが形成されており、
前記バッテリーは、前記目盛りが前記側壁の切り欠き部に対向する状態で、前記トレー部に載置されていることを特徴とする請求項5に記載のバッテリーの取付構造。
【請求項7】
前記カバー部には、上下方向に沿って延在するリブが設けられ、
前記リブは、前記把持部に連続して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のバッテリーの取付構造。
【請求項8】
前記トレー部が取り付けられる前記車体の取付部には、上方に開口しているスリットが形成されており、
前記リブは、前記スリットに上方から嵌合することを特徴とする請求項7に記載のバッテリーの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−238460(P2010−238460A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83917(P2009−83917)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】