説明

バッテリーパック

【課題】ボックス本体に対してリッドが横方向にずれてもシールフランジ同士に隙間が生じにくくなり、シール性を高く保持することができるバッテリーパックを提供する。
【解決手段】ボックス本体3の外周部およびリッド5の外周部には、シールフランジ15,17,33がそれぞれ形成され、これらのシールフランジ同士15,17,33を当接してシールするバッテリーパック1であって、前記ボックス本体3およびリッド5のシールフランジ15を、上方が凸になるように所定の曲率半径Rをもって湾曲形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内方にバッテリーを収容して、電気自動車等に搭載されるバッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モーターを駆動源として走行する電気自動車が知られており、該電気自動車には、バッテリーを複数収容するバッテリーパックが配設されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載されたバッテリーパックは、乗員が着座するシートの下部に配設されており、下側に配置された箱形状のバッテリーボックスと、該バッテリーボックスの上側に配置されたリッドとから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3199296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1に係るバッテリーパックにおいては、バッテリーボックスとリッドとの合わせ部分が側方から見て直線状に形成されているため、バッテリーボックスに対してリッドが横方向に位置ずれしたまま組み付けられると、両者の間に隙間が生じてシール性能が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ボックス本体に対してリッドが位置ずれしてもシールフランジ同士に隙間が生じにくく、シール性を高く保持することができるバッテリーパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バッテリーを収容する箱形状のボックス本体の上部開口をリッドによって覆うと共に、前記ボックス本体の外周部およびリッドの外周部に形成されたシールフランジ同士を当接してシールするバッテリーパックであって、前記ボックス本体およびリッドのシールフランジの双方を、所定の曲率をもって湾曲形成したことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るバッテリーパックによれば、ボックス本体のシールフランジ上にリッドのシールフランジを載置して組み付けたときに、ボックス本体に対してリッドが横方向にずれてもシールフランジ同士に隙間が生じにくくなり、シール性を高く保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態にかかるバッテリーパックの斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のA−A線による断面図である。
【図4】図1のB−B線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態にかかるバッテリーパックの斜視図である。
【0011】
このバッテリーパック1は、車両搭載状態で下側に配置される箱形状のボックス本体3と、該ボックス本体3の上部開口を覆うように、ボックス本体3の上側に配置されるリッド5と、を備えている。前記ボックス本体3の外周部およびリッド5の外周部には、シールフランジがそれぞれ形成され、これらのシールフランジ同士を当接してシールされている。
【0012】
前記ボックス本体3は、前面の車幅方向中央部にコネクタ取付ブラケット7が設けられ、該コネクタ取付ブラケット7の左右両側には、バッテリーパック1を車体部材であるサイドメンバー29(図4参照)に支持する取付ブラケット9が取り付けられている。また、ボックス本体3の側面にも左右それぞれ4つずつの取付ブラケット9が取り付けられている。
【0013】
前記リッド5は、車両前方側に配置されて上方に膨出された第1凸部11と、車両後方側に配置されて上方に膨出された第2凸部13と、を備えており、これらの第1凸部11と第2凸部13とは、前後に所定間隔をおいて離間して配置されている。
【0014】
また、前記シールフランジは、車両前方側に配置されて車幅方向に延びる前方側シールフランジ15と、車両後方側に配置されて車幅方向に延びる図外の後方側シールフランジと、側方に配置されて車両前後方向に延びる側方側シールフランジ17とから一体形成されている。
【0015】
図2は、図1の正面図である。
【0016】
前記バッテリーパック1を、リッド5が上側でボックス本体3が下側になるように配置したときに、ボックス本体3およびリッド5の前方側シールフランジ15を、上方が凸になるように形成している。即ち、前方側シールフランジ15は、車幅方向の中央部15aが最も高く、左右両端部15bが低くなるように、所定の曲率半径Rをもって左右均等に湾曲して形成されている。なお、前方側シールフランジ15の中央部15aと左右両端部15bとの高低差はDに設定されている。また、図1,2では、車両搭載状態で車両前方側の前方側シールフランジ15が湾曲しているが、図示しない車両後方側の後方側シールフランジも同様に上に凸状に湾曲している。
【0017】
図3は、図1のA−A線による断面図である。
【0018】
コネクタ取付ブラケット7には、コネクタ19が取り付けられ、該コネクタ19の後方側の端部19aは、バッテリーパック1の内部に突出しており、支持ボルト21を介して補機23に締結されている。
【0019】
図4は、図1のB−B線による断面図である。
【0020】
図4の二点鎖線で示すように、フロアパネル25の側端部には車幅方向外側(左側)に向けてフランジ27が突出して延びており、該フランジ27の下部には閉断面形状のサイドメンバー29が設けられている。
【0021】
前述したように、バッテリーパック1の側方からは車幅方向外側に向けて取付ブラケット9が突設されており、該取付ブラケット9の上側にサイドメンバー29がボルト31を介して締結されている。また、リッド5の外周部に設けられた側方側シールフランジ17と、ボックス本体3のシールフランジ33とは、ゴム製のシール部材35を介してシールされている。
【0022】
以下に、本発明の実施形態による作用効果を説明する。
【0023】
(1)本発明の実施形態によるバッテリーパック1は、内方にバッテリーを収容する箱形状のボックス本体3と、該ボックス本体3の上部開口を覆うリッド5と、を備え、前記ボックス本体3の外周部およびリッド5の外周部には、シールフランジ15,17,33がそれぞれ形成され、これらのシールフランジ同士を当接してシールしており、前記ボックス本体3およびリッド5のシールフランジ15,17,33を、所定の曲率半径Rをもって湾曲させて形成している。
【0024】
従って、ボックス本体3のシールフランジ33上に、シール部材35を介してリッド5のシールフランジ15,17を載置して組み付けたときに、ボックス本体3に対してリッド5が横方向にずれてもシールフランジ同士15,17,33に隙間が生じにくくなり、シール性を高く保持することができる。
【0025】
(2)また、特に前記バッテリーパック1を、リッド5が上側でボックス本体3を下側になるように配置したときに、ボックス本体3およびリッド5の前記シールフランジ15,17,33を、上方が凸になるように湾曲形成している。
【0026】
このため、バッテリーパック1を車体に搭載して車両走行をした場合に、路面からの泥や水等がシールフランジ15,17の上面を伝って下側に効率良く流れ落ちる。
【0027】
(3)上方が凸になるように湾曲形成したシールフランジ15を車両前側および車両後側の少なくともいずれか一方側(本実施形態では、車両前側と後側の双方)に配置した状態で、バッテリーパック1を車両に組み付けている。従って、車両が走行する際に前方側から後方側に向かって飛び散った路面からの泥や水等がシールフランジ15の上面にかかっても、車幅方向両側に向けて効率良く流れ落ちる。
【符号の説明】
【0028】
1…バッテリーパック
3…ボックス本体
5…リッド
15…前方側シールフランジ(シールフランジ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内方にバッテリーを収容する箱形状のボックス本体と、該ボックス本体の上部開口を覆うリッドと、を備え、前記ボックス本体の外周部およびリッドの外周部にシールフランジがそれぞれ形成され、これらのシールフランジ同士を当接してシールするバッテリーパックであって、
前記ボックス本体およびリッドのシールフランジを、所定の曲率をもって湾曲させて形成したことを特徴とするバッテリーパック。
【請求項2】
前記バッテリーパックを、リッドが上側でボックス本体が下側になるように車体に搭載したときに、ボックス本体およびリッドの前記シールフランジを、上方が凸になるように湾曲形成したことを特徴とする請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記湾曲形成させたシールフランジを車両前側および車両後側の少なくともいずれか一方側に配置した状態で、車体に搭載するように構成したことを特徴とする請求項2に記載のバッテリーパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−23230(P2011−23230A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167732(P2009−167732)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】