説明

バッテリー装置およびバッテリー装置における電力供給方法

【課題】車両を管理・制御する車載器を搭載した車両においてバッテリー切れの生じ難いバッテリー装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載された第1バッテリーと、二次電池よりなる第2バッテリーと、第2バッテリーに対して充電を行う充電手段と、車両の管理・制御を行う車載器への電力供給を第1バッテリーおよび第2バッテリー間で変更する変更手段と、第1バッテリーおよび第2バッテリーの電圧を検出する検出手段と、検出手段により検出された第1バッテリーの電圧に基づきエンジンの作動・停止を判断する判断手段と、判断手段によりエンジンが作動したと判断されると、変更手段により第1バッテリーから車載器へ電力供給するよう制御するとともに、充電手段により第2バッテリーに充電するよう制御し、判断手段によりエンジンが停止したと判断されると、変更手段により第2バッテリーから車載器に電力供給するよう制御する制御手段とを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー装置およびバッテリー装置における電力供給方法に関し、さらに詳細には、車両に設けられた電装系や各種コンピューターおよび車両の管理ならびに制御を行う車載器に対して電力供給するバッテリー装置およびバッテリー装置における電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の新しい利用形態として、所謂、カーシェアリングが注目されている。
【0003】
ここで、カーシェアリングとは、利用者は自ら自動車を所有せず、管理団体の会員となり、必要に応じてその団体の自動車を借りるというものである。
【0004】
また、カーシェアリングは、ある地域に限定したコミュニティーの中で会員同士で自動車を共有し、インターネットなどを通じて車両の利用状態の確認や利用予約を行うようにしているため、貸し出し手続に時間を必要とせず、貸し出し・返却場所は、居住しているマンションの駐車場であったり、あるいは、通勤駅の近くであったりと、会員が利用するにあたって便利な場所に設定されていることが多い。
【0005】
こうしたカーシェアリングにより、利用者は、自動車を所有する場合に比べて、自動車取得費用、維持経費ならびに駐車料金といった費用を削減することができるようになる。
【0006】
さらに、カーシェアリングが広く普及されることにより、自動車の総台数の低減が見込まれ、都市の交通渋滞の緩和やエネルギー消費量の低減により、二酸化炭素による地球温暖化を抑止する効果が期待されている。
【0007】
ところで、上記したようなカーシェアリングにおいては、例えば、図1のブロック構成図に示すようなシステムを構築し、このシステムにより車両予約、運行管理あるいは車両管理が行われている。
【0008】
即ち、こうしたカーシェアリングシステム100においては、カーシェアリングシステム100の管理団体のパーソナルコンピューター102と接続されるとともに当該管理団体の会員となった利用者のパーソナルコンピューター104や当該利用者の携帯電話106とネットワークを介して接続されるサーバー108と、車両110に設けられかつ携帯電話網でサーバー108と接続される車載器112と、車両110に設けられるとともに車載器112と接続されるカードリーダー114と、車両110に設けられるとともに車載器112に接続されるキーボックス116と、車両110に設けられるとともに車両110に設けられたランプ類やオーディオ、エアコンなどの電装系(図示せず。)、車両110に搭載された電子制御装置(図示せず。)および車載器112に電力供給するバッテリー118とを有して構成されている。
【0009】
このバッテリー118は、車両110に取り付けられた鉛蓄電池であって、車両利用時にはエンジンなどから伝達される機械的運動エネルギーがオルタネーター(図示せず。)で電気エネルギーに変換されて蓄電され、エンジンスタータ110a、ドアスイッチ110c、イグニッション110d、車載器112、カードリーダー114およびキーボックス116などに電力供給を行っている。
【0010】
以上の構成において、カーシェアリングシステム100を利用して車両110の予約や利用を行うには、まず、利用者が管理団体に会員登録を行う。これにより各利用者に対し、利用者固有の登録コードが作成されるとともに、当該登録コードを認証用コードとして記憶したICカードが配布される。
【0011】
そして、利用者が予約を行う場合には、利用者がパーソナルコンピューター104あるいは携帯電話106を利用してサーバー108に設けられた予約サイトにアクセスし、車両110の予約状況を確認し、利用者の要望にあった車両110の予約を行う。
【0012】
その後、予約した利用開始時間になると、携帯電話網を利用して、予約情報がサーバー108から車載器112に送られて、カードリーダー114が起動される。
【0013】
一方、利用者は、予約した利用開始時間に車両110が駐車された駐車場まで行き、カードリーダー114に会員登録時に取得したICカードを読み取らせて認証を受けることにより、ドアのロックが解除されるとともに、キーボックス116からキーが取り出せる状態となり車両110の利用が可能となる。
【0014】
そして、利用者は予約した時間内で車両110を利用するものであるが、予約した利用終了時間までに車両110を決められた駐車場に駐車させて、キーをキーボックス116に返却するとともに全てのドアを閉める。
【0015】
その後、再度、ICカードをカードリーダー114に読み取らせて認証を受けることにより、ドアのロックがなされるとともに、キーボックス116からキーが取り出せない状態となり、車載器112により走行距離などが確認され、確認された情報や予約情報に基づいて車両110の利用に関する料金の算出を行い、利用者のパーソナルコンピューター104あるいは携帯電話106に算出した料金を通知する。
【0016】
このように、こうしたカーシェアリングシステム100における車両110の管理ならびに制御を行うために、車両110においては車載器112が搭載されている。
【0017】
この車載器112は、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)により制御されている、例えば、エンジンスタータ110a、ドアロックアンロックシステム110b、ドアスイッチ110c、イグニッション110d、バッテリー電圧検出器110e、燃料残量検出器110fならびに車速検出器110gなどの所定の車載システムと接続され、車両110の管理ならびに制御を行うものである。
【0018】
こうした車載器112、エンジンスタータ110a、ドアロックアンロックシステム110b、ドアスイッチ110c、イグニッション110d、バッテリー電圧検出器110e、燃料残量検出器110fならびに車速検出器110gにおいては、それぞれバッテリー118から電力供給がなされている。
【0019】
ところで、こうしたカーシェアリングシステム100においては、利用者が車両利用後の認証を完了すると、車載器112によりドアスイッチ110cやイグニッション110dなどを監視し、その監視結果に基づいて、認証処理なしに車両110を不正に利用したと判断された場合には、その判断結果を携帯電話網を利用してサーバー108に出力し、サーバー108から管理団体のパーソナルコンピューター102に出力して、管理団体に報告するようにしていた。
【0020】
そして、この報告を受けて、管理団体における担当者がパーソナルコンピューター102により、エンジンスタータ110aを起動しないようにしたり、エンジンスタータ110aによりエンジンを停止するように制御して車両110を利用不可能にするための制御情報を入力し、当該制御情報をサーバー108から携帯電話網を利用して車載器112に出力し、出力された制御情報に基づいて車載器112の制御によって、エンジンスタータ110aを制御するようにしていた。
【0021】
従って、車両110においては、車両110に配設された車載器112は、利用者による車両利用後もドアスイッチ110cやイグニッション110dの監視などのために、常に作動した状態となっており、車載器112にはバッテリー118により利用者による車両利用後においても絶えず電力供給がなされているものである。
【0022】
しかしながら、こうした従来の技術によるバッテリー装置においては、単に、車両110に配設されたバッテリー118により車載器112に対して電力供給するものであるため、車両110を頻繁に利用する場合には、その都度バッテリー118は充電されるため問題ないが、車両110が利用されずに長時間が経過するとバッテリー切れを生じてしまい、バッテリー118から車載器112やエンジンスタータ110aなどに電力供給することができなくなり、車両112によるドアスイッチ110cやイグニッション110dの監視および車両利用時の車両110のエンジンの起動を行うことができなくなってしまっていた。
【0023】
このため、車両を管理ならびに制御する車載器を搭載した車両において、バッテリー切れの生じ難いバッテリー装置あるいはバッテリー装置における電力供給方法の提供が望まれていた。
【0024】
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、従来の技術の有する上記したような要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両を管理ならびに制御する車載器を搭載した車両において、バッテリー切れの生じ難いバッテリー装置およびバッテリー装置における電力供給方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために、本発明は、車両に搭載され、車両に設けられた電装系や電子制御装置などに電力供給する第1のバッテリーとは別に、二次電池よりなる第2のバッテリーを設け、車両の管理ならびに制御を行う車載器に対して、車両のエンジンが作動しているときは、第1のバッテリーから電力供給し、車両のエンジンが停止しているときは、第2のバッテリーから電力供給するようにしたものである。
【0027】
即ち、本発明によるバッテリー装置は、車両に搭載された電装系および電子制御装置に電力供給する第1のバッテリーと、二次電池よりなる第2のバッテリーと、上記第1のバッテリーにより電力供給されるとともに、上記第2のバッテリーに対して充電を行う充電手段と、上記車両の管理ならびに制御を行う車載器への電力供給を上記第1のバッテリーから上記第2のバッテリーまたは上記第2のバッテリーから上記第1のバッテリーへ変更する変更手段と、上記第1のバッテリーおよび上記第2のバッテリーの電圧を検出する検出手段と、上記検出手段により検出された上記第1のバッテリーの電圧に基づいて上記車両のエンジンの作動または停止を判断する第1の判断手段と、上記第1の判断手段により上記車両のエンジンが作動したと判断された場合には、上記変更手段により上記第1のバッテリーから上記車載器に対して電力供給するよう制御するとともに、上記充電手段により上記第2のバッテリーに対して充電を行うよう制御し、上記第1の判断手段により上記車両のエンジンが停止したと判断された場合には、上記変更手段により上記第2のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うよう制御する制御手段とを有するようにしたものである。
【0028】
また、本発明によるバッテリー装置は、上記した発明において、さらに、上記第1の判断手段により上記車両のエンジンが作動したと判断された場合にのみ、上記第2のバッテリーが充電途中であったのか否かを判断する第2の判断手段とを有し、上記第2の判断手段により上記第2のバッテリーが充電途中でなかったと判断されると、上記制御手段は、上記検出手段により検出された上記第2のバッテリーの電圧が所定の電圧値以上のときには、上記充電手段により上記第2のバッテリーに対して充電を行わず、上記検出手段により検出された上記第2のバッテリーの電圧が上記所定の電圧値より小さい値のときには、上記充電手段により上記第2のバッテリーに対して充電を行うようにし、上記第2の判断手段により上記第2のバッテリーが充電途中であったと判断されると、上記制御手段は、上記検出手段により検出された上記第2のバッテリーの電圧に依存することなく、上記充電手段により上記第2のバッテリーに対して充電を行うようにするようにしたものである。
【0029】
また、本発明によるバッテリー装置は、上記した発明において、さらに、上記第1のバッテリーにより電力供給されるとともに、上記第2のバッテリーの周辺温度を測定する測定手段とを有し、上記第1の判断手段により上記車両のエンジンが作動したと判断された場合には、上記制御手段は、上記測定手段により測定された上記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が第1の温度以下または上記第1の温度より高い第2の温度以上であるときには、上記充電手段を起動することなく上記充電手段による上記第2のバッテリーへの充電を行わず、該周辺温度が上記第1の温度より高く、かつ、上記第2の温度より低い温度であるときには、上記充電手段を起動して上記充電手段による上記第2のバッテリーへの充電を行い、上記第1の判断手段により上記車両のエンジンが停止したと判断された場合には、上記制御手段は、上記測定手段により測定された上記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が第3の温度以下または上記第3の温度より高い第4の温度以上であるときには、上記変更手段により上記第1のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うようにし、該周辺温度が上記第3の温度より高く、かつ、上記第4の温度より低い温度であるときには、上記変更手段により上記第2のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うようにしたものである。
【0030】
また、本発明によるバッテリー装置は、上記した発明において、上記制御手段は、上記充電手段による上記第2のバッテリーへの充電中に、上記測定手段により測定された上記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が上記第1の温度以下または上記第2の温度以上となった場合には、上記充電手段を停止して上記充電手段による上記第2のバッテリーへの充電を中止するとともに、該周辺温度が上記第1の温度と上記第2の温度との間の所定の範囲内の温度となると、上記充電手段を起動して上記充電手段により上記第2のバッテリーへの充電を再開し、上記第2のバッテリーよる上記車載器への電力供給中に、上記測定手段により測定された上記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が上記第3の温度以下または上記第4の温度以上となった場合には、上記変更手段により上記第1のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うようにするとともに、該周辺温度が上記第3の温度と上記第4の温度との間の所定の範囲内の温度となると、上記変更手段により再度上記第2のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うようにするようにしたものである。
【0031】
また、本発明によるバッテリー装置は、上記した発明において、上記第1の温度は、上記第2のバッテリーにおいて安全な充電が可能な下限温度より高い温度であり、上記第2の温度は、上記第2のバッテリーにおいて安全な充電が可能な上限温度より低い温度であり、上記第3の温度は、上記第2のバッテリーにおいて安全な放電が可能な下限温度より高い温度であり、上記第4の温度は、上記第2のバッテリーにおいて安全な放電が可能な上限温度より低い温度であるようにしたものである。
【0032】
また、本発明によるバッテリー装置は、上記した発明において、上記第2のバッテリーは、リン酸鉄リチウムイオン電池であるようにしたものである。
【0033】
また、本発明によるバッテリー装置における電力供給方法は、車両に搭載された電装系および電子制御装置に電力を供給する第1のバッテリーと、二次電池よりなる第2のバッテリーとを備えたバッテリー装置における電力供給方法であって、上記第1のバッテリーおよび上記第2のバッテリーの電圧を検出する検出工程と、上記検出工程で検出された上記第1のバッテリーの電圧に基づいて上記車両のエンジンの作動または停止を判断する第1の判断工程と、上記第1の判断工程で上記車両のエンジンが作動したと判断された場合には、上記第1のバッテリーから上記車載器に対して電力供給するようにするとともに、上記第2のバッテリーに対して充電を行い、上記第1の判断工程で上記車両のエンジンが停止したと判断された場合には、上記第2のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うよう制御する制御工程とを有するようにしたものである。
【0034】
また、本発明によるバッテリー装置における電力供給方法は、上記した発明において、さらに、上記第1の判断工程で上記車両のエンジンが操作したと判断された場合にのみ、上記第2のバッテリーが受電途中であったのか否かを判断する第2の判断工程とを有し、上記第2の判断工程で上記第2のバッテリーが充電途中でなかったと判断されると、上記制御工程では、上記検出工程で検出した上記第2のバッテリーの電圧が所定の電圧値以上のときには、上記第2のバッテリーに対して充電を行わず、上記検出工程で検出した上記第2のバッテリーの電圧が上記所定の電圧値より小さい値のときには、上記第2のバッテリーに対して充電を行うようにし、上記第2の判断工程で上記第2のバッテリーが充電途中であったと判断されると、上記制御工程では、上記検出工程で検出された上記第2のバッテリーの電圧に依存することなく、上記第2のバッテリーに対して充電を行うようにしたものである。
【0035】
また、本発明によるバッテリー装置における電力供給方法は、上記した発明において、さらに、上記第2のバッテリーの周辺温度を測定する測定工程とを有し、上記第1の判断工程で上記車両のエンジンが作動したと判断された場合に、上記制御工程では、上記測定工程で測定された上記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が第1の温度以下または上記第1の温度より高い第2の温度以上であるときには、上記第2のバッテリーへの充電を行わず、該周辺温度が上記第1の温度より高く、かつ、上記第2の温度より低い温度であるときには、上記第2のバッテリーへの充電を行うようにし、上記第1の判断工程で上記車両のエンジンが停止したと判断された場合に、上記制御工程では、上記測定工程で測定された上記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が第3の温度以下または上記第3の温度より高い第4の温度以上であるときには、上記第1のバッテリーから上記車載に対して電力供給を行うようにし、該周辺温度が上記第3の温度より高く、かつ、上記第4の温度より低い温度であるときには、上記第2のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うようにするようにしたものである。
【0036】
また、本発明によるバッテリー装置における電力供給方法は、上記した発明において、上記制御工程では、上記第2のバッテリーへの充電中に、上記測定工程で測定された上記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が上記第1の温度以下または上記第2の温度以上になった場合には、上記第2のバッテリーへの充電を中止するとともに、該周辺温度が上記第1の温度と上記第2の温度との間の所定の範囲内の温度となると、上記第2のバッテリーへの充電を再開し、上記第2のバッテリーによる上記車載器への電力供給中に、上記測定工程で測定された上記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が上記第3の温度以下または上記第4の温度以上となった場合には、上記第1のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うようにするとともに、該周辺温度が上記第3の温度と上記第4の温度との間の所定の範囲内の温度となると、上記第2のバッテリーから上記車載器に対して電力供給を行うようにするようにしたものである。
【0037】
また、本発明によるバッテリー装置における電力供給方法は、上記した発明において、上記第1の温度は、上記第2のバッテリーにおいて安全な充電が可能な下限温度より高い温度であり、上記第2の温度は、上記第2のバッテリーにおいて安全な充電が可能な上限温度より低い温度であり、上記第3の温度は、上記第2のバッテリーにおいて安全な放電が可能な下限温度より高い温度であり、上記第4の温度は、上記第2のバッテリーにおいて安全な放電が可能な下限温度より低い温度であるようにしたものである。
【0038】
また、本発明によるバッテリー装置における電力供給方法は、上記した発明において、上記第2のバッテリーは、リン酸鉄リチウムイオン電池であるようにしたものである。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、以上説明したように構成されているので、車両を管理ならびに制御する車載器を搭載した車両において、バッテリー切れが生じ難いという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、従来の技術によるバッテリー装置を備えた車両を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、本発明によるバッテリー装置を備えた車両を示すブロック構成図である。
【図3】図3は、本発明によるバッテリー装置における充電器により充電されるバッテリーの状態の遷移モデルを示す説明図である。
【図4】図4は、本発明によるバッテリー装置においてなされる充電開始処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明によるバッテリー装置においてなされる充電処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明によるバッテリー装置においてなされる電力供給処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるバッテリー装置およびバッテリー装置における電力供給方法の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0042】
なお、以下の説明においては、本発明のバッテリー装置およびバッテリー装置における電力供給方法の一例として、カーシェアリングシステムに使用される車両に配設されたバッテリー装置について説明するが、図1を参照しながら説明した従来の技術によるバッテリー装置と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜省略することとする。
【0043】
ここで、図2には、本発明によるバッテリー装置を備えた車両を利用したカーシェアリングシステムの概要を示すブロック構成図が示されている。
【0044】
この図2に示す本発明によるバッテリー装置50を備えた車両110を利用したカーシェアリングシステム10は、カーシェアリングシステム10の管理団体のパーソナルコンピューター102と接続されるとともに管理団体の会員となった利用者のパーソナルコンピューター104や当該利用者の携帯電話106とネットワークなどを介して接続されるサーバー108と、車両110に設けられるとともにサーバー108と携帯電話網を利用して接続される車載器12と、車両110に設けられるとともに車載器12と接続されるカードリーダー114と、車両110に設けられるとともに車載器12と接続されるキーボックス116と、車両110に設けられるとともに車両110に設けられたランプ類やオーディオ、エアコンなどの電装系(図示せず。)、車両110に搭載された各種コンピューター(図示せず。)および車載器12に電力供給するバッテリー装置50とを有して構成されている。
【0045】
より詳細には、車載器12は、車両110に備えられた装置や機能に対する監視や当該監視に基づく制御を行うものであり、GPS衛星14と通信するGPSモジュール12aと、携帯電話網と接続する通信モジュール12bと、カードリーダー114、GPSモジュール12a、通信モジュール12bおよび監視部12e(後述する。)からの各種情報を処理するとともに、操作部12d(後述する。)、音声モジュール12f(後述する。)、カードリーダー114、キーボックス116ならびに車載器12の全体の動きを制御するメインコントローラー12cと、メインコントローラー12cからの情報により車両110に設けられたエンジンスタータ110aおよびドアロックアンロックシステム110bを操作する操作部12dと、車両110に設けられたドアスイッチ110c、イグニッション110d、燃料残量検出器110f、車速検出器110g、キーボックス116およびバッテリー電圧検出器60(後述する。)を監視する監視部12eと、メインコントローラー12cからの情報によりキーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)から音声ガイダンスなどを出力させる音声モジュール12fとを有して構成されている。
【0046】
また、バッテリー装置50は、車両110に取り付けられた鉛蓄電池であって、車両利用時にはエンジンなどから伝達される機械的運動エネルギーがオルタネーター(図示せず。)により電気エネルギーに変換されて蓄電されるバッテリー118と、バッテリー118により電力供給されるとともに制御部62(後述する。)によりその起動が制御される充電器52と、リン酸鉄リチウムイオン電池であって、充電器52により充電されるバッテリー54と、バッテリー118により電力供給されるとともに、制御部62(後述する。)の制御により車載器12に対して電力供給する対象を、バッテリー118からバッテリー54またはバッテリー54からバッテリー118に変更する利用バッテリー変更部56と、バッテリー118により電力供給されるとともに、バッテリー54の近傍に配設されてバッテリー54の周辺温度を測定する温度測定器58と、バッテリー54およびバッテリー118の電圧を測定するバッテリー電圧測定器60と、バッテリー電圧検出器60の検出結果と温度測定器58の測定結果とに基づいて充電器52および利用バッテリー変更部56を制御する制御部62とを有して構成されている。
【0047】
つまり、車載器12は、バッテリー装置50において、バッテリー電圧検出器60の検出結果と温度測定器58の測定結果とに基づいて、制御部62に制御により利用バッテリー変更部56を介して、バッテリー118またはバッテリー54のいずれか一方から常に電力が供給されることとなる。
【0048】
また、バッテリー118は、エンジンスタータ110a、ドアロックアンロックシステム110b、ドアスイッチ110c、イグニッション110d、燃料残量検出器110f、車速検出器110g、カードリーダー114、キーボックス116、充電器52、利用バッテリー変更部56、温度測定器58、バッテリー電圧検出器60および制御部62に電力を供給するものである。
【0049】
バッテリー電圧検出器60は、バッテリー118およびバッテリー54の電圧を測定し、測定したバッテリー118の電圧を監視部12eに出力するとともに、バッテリー118およびバッテリー54の電圧を制御部62に出力するものである。
【0050】
また、バッテリー電圧検出器60においては、バッテリー118およびバッテリー54の電圧を常に検出しており、検出した検出結果は、制御部62に出力される。
【0051】
温度測定器58は、バッテリー54の周辺温度を常に測定しており、測定した測定結果は、制御部62に出力される。
【0052】
また、制御部62は、バッテリー電圧検出器60から出力された検出結果に基づいて、車両110のエンジンの作動および停止を判断するとともに、充電器52の起動を制御してバッテリー54への充電を制御する。
【0053】
さらに、制御部62は、温度測定部58から出力された測定結果に基づいて、車載器12に電力供給するバッテリーをバッテリー118からバッテリー54あるいはバッテリー54からバッテリー118へ変更したり、充電器52の起動を制御してバッテリー54への充電を制御する。
【0054】
このバッテリー装置50は、通常は、車両110において、エンジンの停止時にはバッテリー54から車載器12に電力供給し、エンジンの作動時にはバッテリー118から車載器12に電力供給するとともに、充電器52を起動してバッテリー54に充電するものである。
【0055】
そして、このバッテリー装置50においては、バッテリー54の周辺温度に応じて、バッテリー54への充電器52による充電の停止や、バッテリー54による車載器12への電力供給の停止を行うものである。
【0056】
さらに、バッテリー装置50においては、バッテリー54の周辺温度やバッテリー54の電圧に応じて、使用するバッテリーをバッテリー54またはバッテリー118のどちらかに切り替えするものである。
【0057】
また、車載器12は、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)により制御されている、例えば、エンジンスタータ110a、ドアロックアンロックシステム110b、ドアスイッチ110c、イグニッション110d、バッテリー電圧検出器110e、燃料残量検出器110fならびに車速検出器110gなどの所定の車載システムと接続され、車両110の管理ならびに制御を行うものである。
【0058】
メインコントローラー12cは、サーバー108、カードリーダー114、監視部12eおよびGPS衛星14からの各種情報の入力を行い、入力した情報を記憶するとともに、サーバー108に対して各種情報を出力する。
【0059】
さらに、このメインコントローラー12cは、操作部12d、監視部12e、音声モジュール12f、カードリーダー114およびキーボックス116といった構成要素に対してそれらを制御する出力を行う。
【0060】
また、操作部12dは、後述するように、メインコントローラー12cから出力される監視部12eにおける監視結果に基づいて、エンジンスタータ110aを制御することにより、エンジンを始動することができない状態としたり、エンジンを停止したりする。
【0061】
さらに、操作部12dは、メインコントローラー12cから認証処理による認証が完了したとの情報を入力すると、ドアロックアンロックシステム110bを制御して車両110のドアのロックならびにロックの解除を行う。
【0062】
また、監視部12eは、ドアスイッチ110cから開閉信号を取得することによりドアの開閉状態の監視を行い、イグニッション110dからIG信号を取得することによりエンジンが始動した状態であるか否かの監視を行い、燃料残量検出器110fから燃料の残量信号を取得することにより車両110の燃料の残量の監視を行い、車速検出器110gから車速信号を取得することにより車両110の走行距離の監視を行い、キーボックス116から所定の情報を取得することによりキーの有無などの監視を行うものであるとともに、こうした監視結果をメインコントローラー12cに出力するものである。
【0063】
GPSモジュール12aは、GPS衛星14からGPS信号を受信するために必要なアンテナ12aaを備えており、また、通信モジュール12bは、車載器12が各種情報を携帯電話網を介して送受信するためのアンテナ12baを備えている。
【0064】
このGPSモジュール12aは、GPS衛星14からのGPS信号を取得し、当該GPS信号をメインコントローラー12cに出力するものであり、メインコントローラー12cにおいては、取得したGPS信号に基づいて車両110の位置情報を取得する。
【0065】
また、通信モジュール12bは、メインコントローラー12cにおける各種情報を携帯電話網を利用してサーバー108に出力するとともに、サーバー108から携帯電話網を利用して出力された各種情報をメインコントローラー12cに入力する。
【0066】
さらに、音声モジュール12fは、キーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)に接続されており、メインコントローラー12cの制御により、キーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)から音声ガイダンスを流すものである。
【0067】
また、カードリーダー114は、車両110内に配置されるとともに、車両110の外から利用者がICカードを翳すことにより、当該ICカードに記憶された認証用コードを読み取ることが可能な位置に配置されている。
【0068】
そして、カードリーダー114は、メインコントローラー12cによりその起動が制御されるとともに、読み取り部(図示せず。)にICカードが翳されると、ICカードから認証用コードを読み取り、読み取った認証用コードをメインコントローラー12cに出力する。
【0069】
さらに、カードリーダー114には、LEDランプ(図示せず。)が設けられており、メインコントローラー12cの制御により、このLEDランプ(図示せず。)を点滅させて、利用者に対してカードリーダー114にICカードを翳すように促す。
【0070】
また、キーボックス116は、認証処理が完了した後に、メインコントローラー12cによって、キーの取り出しを可能または不可能な状態に制御されるとともに、音声モジュール12fからの音声ガイダンスを、設けられたスピーカー(図示せず。)から流すものである。
【0071】
以上の構成において、図3乃至図5を参照しながら、本発明によるバッテリー装置50により車両110に搭載された車載器12に対して電力供給を行う場合について説明する。
【0072】
ここで、図3には、本発明によるバッテリー装置における充電器により充電されるバッテリーの状態の遷移モデルを表す説明図が示されており、図4には、本発明によるバッテリー装置においてなされる充電開始処理の処理ルーチンを表すフローチャートが示されており、図5には、本発明によるバッテリー装置においてなされる充電処理の処理ルーチンを表すフローチャートが示されており、図6には、本発明によるバッテリー装置においてなされる電力供給処理の処理ルーチンを表すフローチャートが示されている。
【0073】
このバッテリー装置50においては、基本的には、車両110が利用されているときには、バッテリー118により車載器12に対して電力供給がされるとともに、バッテリー54の充電が行われ、車両110が利用されていないときには、バッテリー54により車載器12に対して電力供給するようになされており、詳細については、以下において説明する。
【0074】
まず、車両110が利用されているとき、つまり、車両110のエンジンが作動しているときには、バッテリー118により車載器12に対して電力供給されるとともに、充電器52によってバッテリー54の充電が行われる。なお、こうした車両110のエンジンが作動しているか否かの判断は、例えば、バッテリー電圧検出器60によりバッテリー118の電圧が13.8V以上であるときに、制御部62において車両110のエンジンが作動していると判断されるものである。
【0075】
この充電器52によるバッテリー54への充電は、例えば、充電電流が0.5C(5〜6A)で実行され、制御部62においてバッテリー電圧検出器60の検出結果から、バッテリー54の内部保護回路が働き、電流が供給されなくなると、バッテリー54が満充電になったと判断されて、制御部62の制御による充電器52を停止させて、充電器52によるバッテリー54への充電を終了する。
【0076】
また、充電器52はバッテリー118から電力供給されるものであり、そのときの消費電流は通常モードで3mA以下である。
【0077】
ここで、充電器52によるバッテリー54に対する充電では、まず、車両110のエンジンが始動すると、充電開始処理が実行される。
【0078】
この充電開始処理においては、一度充電が開始されると、途中で充電が停止した後にも、バッテリー54が満充電の状態となるまで繰り返し充電を行うようにするとともに、車両110のエンジンが始動したとき、つまり、バッテリー54への充電が開始可能となった時点でのバッテリー電圧検出器60の検出器に基づいて、制御部62においてバッテリー54への充電を行うか否かを判断するものである。
【0079】
即ち、充電器52によるバッテリー54に対する充電開始処理では、まず、充電器52によりバッテリー54に充電を開始するに際して、制御部62において、バッテリー54が充電の途中であったのか否かの判断を行う(ステップS402)。
【0080】
なお、バッテリー54の充電中、つまり、バッテリー54が満充電の状態となる前に、車両110のエンジンが停止して、バッテリー54による車載器12への電力供給が開始されると、制御部62においては、バッテリー54が充電の途中であるとの情報が制御部62に設けられた記憶部(図示せず。)に記憶されるものである。なお、当該記憶部において記憶されたバッテリー54が充電の途中であるとの情報は、一度読み出されると消去されるようにしてもよいし、バッテリー54が満充電の状態になると消去されるようにしてもよい。
【0081】
従って、制御部62においてバッテリー54が充電の途中であったのか否かの判断を行う際には、制御部62の記憶部(図示せず。)において、バッテリー54が充電の途中であることが記憶されているか否かの判断を行うことになる。
つまり、ステップS402の判断処理において、制御部62において、記憶部(図示せず。)にバッテリー54が充電の途中であることが記憶されていないと判断された場合には、バッテリー54が充電の途中ではないと判断される。
【0082】
そして、ステップS402の判断処理において、バッテリー54が充電の途中でないと判断されると、次に、制御部62において、バッテリー電圧検出部60の検出結果に基づいて、車両110のエンジンが始動したとき、つまり、バッテリー54への充電が開始可能となった時点でのバッテリー54の電圧が12.4V以上であるか否かの判断を行う(ステップS404)。
【0083】
このステップS404の判断処理において、バッテリー54の電圧が12.4V以上であると判断されると、制御部62によって充電器52が起動されず、充電処理(後述する。)に進むことなく充電開始処理を終了する。
【0084】
また、ステップS404の判断処理において、バッテリー54の電圧が12.4Vより小さい値であると判断されると、制御部62によって充電器52が起動され、充電器52によりバッテリー54への充電が開始されることとなり、充電処理(後述する。)に進むこととなる。
【0085】
一方、ステップS402の判断処理において、制御部62において、記憶部(図示せず。)にバッテリー54が充電の途中であることが記憶されていると判断された場合には、バッテリー54が充電の途中であると判断される。
【0086】
そして、ステップS402の判断処理において、バッテリー54が充電の途中であると判断されると、バッテリー54への充電が開始された時点でのバッテリー54の電圧値に依存することなく、制御部62によって充電器52が起動されてバッテリー54に対して充電が開始されることとなり、充電処理(後述する。)に進むこととなる。
【0087】
つまり、バッテリー54が充電の途中であると判断されると、バッテリー54への充電が開始可能となった時点でのバッテリー54の電圧が12.4V以上であっても、制御部62によって充電器52が起動され、充電器52によりバッテリー54への充電が開始されるものである。
【0088】
そして、充電開始処理が終了すると、実際に充電器52によるバッテリー54への充電を実行する充電処理に進む(図5を参照する。)。
【0089】
この充電処理においは、まず、制御部62により、バッテリー54の周辺温度が2℃より高く、かつ、43度より低い温度であるか否かの判断を行う(ステップS502)。
【0090】
ステップS502の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が2℃より高く、かつ、43℃より低い温度であると判断されると、充電器52によりバッテリー54への充電を行う通常モードとなり、バッテリー54の周辺温度が2℃より高く、かつ、43℃より低い温度でない、つまり、バッテリー54の周辺温度が2℃以下または43℃以上であると判断されると、充電器52によりバッテリー54への充電を中止する緊急処理モードとなる。
【0091】
なお、このステップS502の判断処理において、バッテリー54の周辺温度の下限温度として設定された2℃という温度については、バッテリー54であるリン酸鉄リチウムイオン電池において、安全な充電が可能とされる下限温度である充電最低温度0℃に基づき、当該充電最低温度0℃より高い温度に設定したものである。
【0092】
また、ステップS502の判断処理において、バッテリー54の周辺温度の上限温度として設定された43℃という温度については、バッテリー54であるリン酸鉄リチウムイオン電池において、安全な充電が可能とされる上限温度である充電最高温度45℃い基づき、当該充電最高温度45℃より低い温度に設定したものである。
【0093】
つまり、ステップS502の判断処理においては、制御部62において、温度測定器58の測定結果に基づいて、バッテリー54の周辺温度が2℃より高く、かつ、43℃より低い温度であると判断されると、制御部62により、通常モードとして充電器52を起動して充電器52によるバッテリー54への充電を行うようにし(ステップS504)、バッテリー54の周辺温度が2℃以下または43℃以上であると判断されると、制御部62により、緊急処理モードとして充電器52を停止して充電器52によるバッテリー54への充電を中止するようにする(ステップS506)。
【0094】
このステップS506の処理がなされると、次に、緊急処理モードにより充電器52によるバッテリー54への充電を中止した状態で、バッテリー54の周辺温度が5℃以上であり、かつ、35℃以下であるか否かの判断を行う(ステップS508)。
【0095】
即ち、ステップS508の判断処理においては、緊急処理モードにより充電器52によるバッテリー54への充電を中止しているときに、温度測定器58の測定結果に基づいて、制御部62においてバッテリー54の周辺温度が5℃以上であり、かつ、35℃以下であるか否かを判断をするものである。
【0096】
このステップS508の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が5℃以上であり、かつ、35℃以下でない、つまり、バッテリー54の周辺温度が5℃より低い温度である、あるいは、35℃より高い温度であると判断されると、ステップS506の処理に戻る。
【0097】
また、ステップS508の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が5℃以上であり、かつ、35℃以下であると判断されると、ステップS504の処理に進み、通常モードとなって充電器52によりバッテリー54への充電が開始される。
【0098】
そして、ステップS504の処理における通常モードにより充電器52によるバッテリー54への充電を行っている状態で、バッテリー54の周辺温度が2℃より高く、かつ、43℃より低い温度であるか否かの判断を行う(ステップS510)。
【0099】
即ち、このステップS510の判断処理においては、通常モードとして充電器52によりバッテリー54への充電を行っているときに、温度測定器58の測定結果に基づいて、制御部62においてバッテリー54の周辺温度が2℃より高く、かつ、43℃より低い温度であるか否かの判断を行うものである。
【0100】
このステップS510の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が2℃より低く、かつ、43℃より高くない、つまり、バッテリー54の周辺温度が2℃以下または43℃以上であると判断されると、ステップS506の処理に進み、緊急処理モードとなり、充電器52によるバッテリー54への充電が中止されることとなる。
【0101】
その後、ステップS508の判断処理に進み、バッテリー54の周辺温度が5℃以上であり、かつ、35℃以下になったと判断されると、ステップS504の処理に進み、再度通常モードとなり、充電器52によりバッテリー54への充電が開始される。
【0102】
また、ステップS510の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が2℃より高く、かつ、43℃より低い温度であると判断されると、制御部62によりバッテリー54が満充電の状態であるか否かの判断を行う(ステップS512)。
【0103】
このステップS512の判断処理において、バッテリー54が満充電の状態でないと判断されると、ステップS504の処理に進み、充電器52によりバッテリー54へ充電を続ける。
【0104】
またステップS512の判断処理において、バッテリー54が満充電の状態であると判断されると、制御部62により充電器52を停止し、充電器52によるバッテリー54への充電を終了し(ステップS514)、充電処理を終了する。
【0105】
一方、車両110が利用されていないとき、つまり、車両110のエンジンが作動していないときには、バッテリー54により車載器12に対して電力供給が行われる。なお、こうした車両110のエンジンが作動しているか否かの判断は、例えば、バッテリー電圧検出器60により、バッテリー118の電圧が13.3V以下であるときに、制御部62において車両110のエンジンが作動していないと判断されるものである。
【0106】
そして、利用者により車両110のエンジンが停止されたとき、制御部62においては電力供給処理が開始され、温度測定器58の測定結果に基づいて、車載器12に対して電力供給するバッテリーの変更が行われる。
【0107】
この電力供給処理が開始されると、まず、バッテリー54の周辺温度が−17℃より高く、かつ、57℃より低い温度であるか否かの判断を行う(ステップS602)。
【0108】
なお、ステップS602の判断処理において、バッテリー54の周辺温度の下限温度として設定された−17℃という温度については、バッテリー54であるリン酸鉄リチウムイオン電池において安全な放電が可能とされる下限温度である放電最低温度−20℃に基づき、当該放電最低温度−20℃よりも高い温度に設定したものである。
【0109】
また、ステップS602の判断処理において、バッテリー54の周辺温度の上限温度として設定された57℃という温度については、バッテリー54であるリン酸鉄リチウムイオン電池において安全な放電が可能とされる上限温度である放電最高温度60℃に基づき、当該放電最高温度60℃よりも低い温度に設定したものである。
【0110】
つまり、このステップS602の判断処理においては、制御部62において、温度測定器58の測定結果に基づいて、バッテリー54の周辺温度が−17℃より高く、かつ、57℃より低い温度であると判断されると、制御部62により、通常モードとして利用バッテリー変更部56を制御して、バッテリー54から車載器12に対して電力供給を開始するようにし(ステップS604)、バッテリー54の周辺温度が−17℃以下または57℃以上であると判断されると、制御部62により、緊急処理モードとして利用バッテリー変更部56を制御して、バッテリー118から車載器12に対して電力供給を開始する(ステップS606)。
【0111】
このステップS606の処理がなされると、次に、緊急処理モードによりバッテリー118から車載器12に対して電力供給している状態のときに、バッテリー54の周辺温度が−15℃以上であり、かつ、50℃以下であるかの判断を行う(ステップS608)。
【0112】
即ち、このステップS608の判断処理においては、緊急処理モードとしてバッテリー118から車載器12に対して電力供給されているときに、温度測定器58の測定結果に基づいて、制御部62においてバッテリー54の周辺温度が−15℃以上であり、かつ、50℃以下であるか否かを判断するものである。
【0113】
このステップS608の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が−15℃以上であり、かつ、50℃以下でない、つまり、−15℃より低い温度または50℃より高い温度であると判断されると、ステップS606の処理に戻る。
【0114】
また、ステップS608の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が−15℃以下であり、かつ、50℃以下であると判断されると、制御部62により利用バッテリー変更部56を制御して、車載器12に電力を供給するバッテリーをバッテリー118からバッテリー54に変更し、ステップS604の処理に進み、通常モードとなって、バッテリー54から車載器12に対して電力供給が行われる。
【0115】
そして、ステップS604の処理における通常モードによりバッテリー54から車載器12に対して電力供給している状態で、バッテリー54の周辺温度が−17℃より高く、かつ、57℃より低い温度であるか否かの判断を行う(ステップS610)。
即ち、このステップS610の判断処理においては、通常モードとしてバッテリー54から車載器12に対して電力供給しているときに、温度測定器58の測定結果に基づいて、制御部62においてバッテリー54の周辺温度が−17℃より高く、かつ、57℃より低い温度であるか否かの判断を行うものである。
【0116】
このステップS610の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が−17℃より高く、かつ、57℃より低い温度でない、つまり、バッテリー54の周辺温度が−17℃以下または57℃以上であると判断されると、制御部62により利用バッテリー変更部56を制御して、車載器12に電力を供給するバッテリーをバッテリー54からバッテリー118に変更し、ステップS606の処理に進み、緊急処理モードとなり、バッテリー118から車載器12に対して電力供給が行われる。
【0117】
その後、ステップS608の処理に進み、バッテリー54の周辺温度が−15℃以上であり、かつ、50℃以下になったと判断されると、ステップS604の処理に進み、再度通常モードとなり、バッテリー54により車載器12に対して電力供給を行うようにする。
【0118】
また、ステップS610の判断処理において、バッテリー54の周辺温度が−17℃より高く、かつ、57℃低い温度であると判断されると、バッテリー54の電圧が12.0V以下であるか否かの判断を行う(ステップS612)。
【0119】
即ち、このステップS612の判断処理では、通常モードとしてバッテリー54から車載器12に対して電力供給している際に、バッテリー電圧検出器60の検出結果に基づいて、制御部62においてバッテリー54の電圧が12.0V以下であるか否かを判断するものである。
【0120】
そして、ステップS612の判断処理において、バッテリー54の電圧が12.0V以下でない、つまり、バッテリー54の電圧が12.0Vより高い値であると判断されると、ステップS604の処理に進み、ステップS604以降の処理を行う。
【0121】
また、ステップS612の判断処理において、バッテリー54の電圧が12.0V以下であると判断された場合には、バッテリー54による電力供給を終了して(ステップS614)、制御部62により利用バッテリー変更部56を制御して、車載器12に電力を供給するバッテリーをバッテリー54からバッテリー118に変更し、バッテリー118により車載器12に対する電力供給を行うようにし(ステップS616)、電力供給処理を終了する。
【0122】
以上において説明したように、本発明によるバッテリー装置50は、鉛蓄電池によるバッテリー118とリン酸鉄リチウムイオン電池によるバッテリー54とを設け、車両110のエンジンが作動した状態のときには、充電器52を起動してバッテリー54の充電を行うとともにバッテリー118から車載器12に対して電力供給を行うようにし、車両110のエンジンが作動していない状態のときには、バッテリー54から車載器12に対して電力供給を行うようにした。
【0123】
このため、本発明によるバッテリー装置50においては、車両110のエンジンの作動時および停止時において、バッテリー54とバッテリー118とを使い分けるようにしたため、バッテリー118のみにより電力供給を行うようにした従来の技術に比べてバッテリー切れが生じ難くなる。
【0124】
さらに、本発明によるバッテリー装置50では、バッテリー54においては、バッテリー54の周辺温度により、車載器12への電力供給をバッテリー118に変更するとともに、充電器52による充電を中止するようにしたため、安全にバッテリー54を使用することができる。
【0125】
また、本発明によるバッテリー装置50は、制御部62においてバッテリー54の電圧が12.4V以上であると判断された場合には、充電器52によるバッテリー54への充電を行わないようにした。
【0126】
さらに、本発明によるバッテリー装置50は、制御部62において、バッテリー54が満充電となる前に充電が中止された後に車載器12に電力供給を行った場合、次に充電が開始されるときには、バッテリー54の電圧に依存することなく充電が開始されるものとし、バッテリー54への充電が満充電となるまで、充電が繰り返されるようにした。
【0127】
このため、本発明によるバッテリー装置50においては、頻繁な充電が行われることがなく、バッテリー54の寿命が長くなる。
【0128】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(6)に示すように変化することができるものである。
【0129】
(1)上記した実施の形態においては、車両110を利用したカーシェアリングシステムを構築する車載器に対して電力を供給するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、車両110のカーセキュリティシステムやカーナビゲーションシステムを構築するための車載器に対して電力を供給するようにしてもよい。
【0130】
(2)上記した実施の形態においては、バッテリー54をリン酸鉄リチウムイオン電池としたが、これに限られるものではないことは勿論であり、バッテリー54は、二次電池であればどのような電池を利用してもよい。
【0131】
この場合には、充電時に通常モードから緊急処理モードに変更される温度については、下限温度を使用する二次電池の充電最低温度より高い温度に設定するとともに、上限温度を使用する二次電池の充電最高温度より低い温度に設定する。
【0132】
また、電力供給時に通常モードから緊急処理モードに変更する基準となる温度については、下限温度を使用する二次電池の放電最低温度より高い温度に設定するとともに、上限温度を使用する二次電池の放電最高温度より低い温度に設定する。
【0133】
(3)上記した実施の形態においては、車両110のエンジンが停止し、バッテリー54により車載器12に電力供給しているときに、バッテリー54の周辺温度が−17℃以下または57℃以上になると通常モードから緊急処理モードに変更するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0134】
即ち、こうした場合に通常モードから緊急モードに変更する基準とするバッテリー54の周辺温度の下限温度としては、−16℃としてもよいし、−18℃としてもよく、要は、リン酸鉄リチウムイオン電池において安全な放電が可能とされる下限温度である、放電最低温度−20℃より高い温度であればよい。
【0135】
また、通常モードから緊急モードに変更する基準とするバッテリー54の周辺温度の上限温度としては、56℃としてもよいし、58℃としてもよく、要は、リン酸鉄リチウムイオン電池において安全な放電が可能とされる上限温度である放電最高温度60℃より低い温度であればよい。
【0136】
さらに、車両110のエンジンが作動し、充電器52によりバッテリー54に充電しているときに、バッテリー54の周辺温度が2℃以下または43℃以上になると通常モードから緊急処理モードに変更するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0137】
即ち、こうした場合に通常モードから緊急処理モードに変更する基準とするバッテリー54の周辺温度の下限温度としては、3℃でもよいし、1℃でもよく、要は、リン酸鉄リチウムイオン電池において安全な充電が可能とされる下限温度である充電最低温度0℃より高い温度であればよい。
【0138】
また、通常モードから緊急処理モードに変更する基準とするバッテリー54の周辺温度の上限温度としては、42℃でもよいし、44℃でもよく、要は、リン酸鉄リチウムイオン電池において安全な充電が可能とされる上限温度である充電最高温度45℃より低い温度であればよい。
【0139】
(4)上記した実施の形態においては、充電開始処理を行った後に、充電処理を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、充電開始処理を行うことなく充電処理を行うようにしてもよい。
【0140】
(5)上記した実施の形態においては、バッテリー電圧検出器60の検出結果から、バッテリー54の内部保護回路が働き、電流が供給されなくなると、制御部62においてバッテリー54が満充電の状態となったと判断されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、例えば、バッテリー54を4つの電池セルで構成するようにした場合には、各電池セルのうちのいずれか1つが3.5Vとなった時点で満充電の状態になったと判断するようにしてもよい。これにより、電池セルが過充電で破損することがなくなる。
【0141】
(6)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(5)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、車両を管理ならびに制御する車載器を搭載した車両の電源装置として用いて好適である。
【符号の説明】
【0143】
10、100 カーシェアリングシステム
12、112 車載器
50 バッテリー装置
52 充電器
54、118 バッテリー
56 利用バッテリー変更部
58 温度測定器
60、110e バッテリー電圧検出器
62 制御部
102、104 パーソナルコンピューター
106 携帯電話
108 サーバー
110 車両
110a エンジンスタータ
110b ドアロックアンロックシステム
110c ドアスイッチ
110d イグニッション
110f 燃料残量検出器
110g 車速検出器
114 カードリーダー
116 キーボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電装系および電子制御装置に電力供給する第1のバッテリーと、
二次電池よりなる第2のバッテリーと、
前記第1のバッテリーにより電力供給されるとともに、前記第2のバッテリーに対して充電を行う充電手段と、
前記車両の管理ならびに制御を行う車載器への電力供給を前記第1のバッテリーから前記第2のバッテリーまたは前記第2のバッテリーから前記第1のバッテリーへ変更する変更手段と、
前記第1のバッテリーおよび前記第2のバッテリーの電圧を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記第1のバッテリーの電圧に基づいて前記車両のエンジンの作動または停止を判断する第1の判断手段と、
前記第1の判断手段により前記車両のエンジンが作動したと判断された場合には、前記変更手段により前記第1のバッテリーから前記車載器に対して電力供給するよう制御するとともに、前記充電手段により前記第2のバッテリーに対して充電を行うよう制御し、前記第1の判断手段により前記車両のエンジンが停止したと判断された場合には、前記変更手段により前記第2のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行うよう制御する制御手段と
を有することを特徴とするバッテリー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリー装置において、さらに、
前記第1の判断手段により前記車両のエンジンが作動したと判断された場合にのみ、前記第2のバッテリーが充電途中であったのか否かを判断する第2の判断手段とを有し、
前記第2の判断手段により前記第2のバッテリーが充電途中でなかったと判断されると、前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記第2のバッテリーの電圧が所定の電圧値以上のときには、前記充電手段により前記第2のバッテリーに対して充電を行わず、前記検出手段により検出された前記第2のバッテリーの電圧が前記所定の電圧値より小さい値のときには、前記充電手段により前記第2のバッテリーに対して充電を行うようにし、
前記第2の判断手段により前記第2のバッテリーが充電途中であったと判断されると、前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記第2のバッテリーの電圧に依存することなく、前記充電手段により前記第2のバッテリーに対して充電を行うようにする
ことを特徴とするバッテリー装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載のバッテリー装置において、さらに、
前記第1のバッテリーにより電力供給されるとともに、前記第2のバッテリーの周辺温度を測定する測定手段とを有し、
前記第1の判断手段により前記車両のエンジンが作動したと判断された場合には、前記制御手段は、前記測定手段により測定された前記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が第1の温度以下または前記第1の温度より高い第2の温度以上であるときには、前記充電手段を起動することなく前記充電手段による前記第2のバッテリーへの充電を行わず、該周辺温度が前記第1の温度より高く、かつ、前記第2の温度より低い温度であるときには、前記充電手段を起動して前記充電手段による前記第2のバッテリーへの充電を行い、
前記第1の判断手段により前記車両のエンジンが停止したと判断された場合には、前記制御手段は、前記測定手段により測定された前記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が第3の温度以下または前記第3の温度より高い第4の温度以上であるときには、前記変更手段により前記第1のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行うようにし、該周辺温度が前記第3の温度より高く、かつ、前記第4の温度より低い温度であるときには、前記変更手段により前記第2のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行う
ことを特徴とするバッテリー装置。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリー装置において、
前記制御手段は、
前記充電手段による前記第2のバッテリーへの充電中に、前記測定手段により測定された前記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が前記第1の温度以下または前記第2の温度以上となった場合には、前記充電手段を停止して前記充電手段による前記第2のバッテリーへの充電を中止するとともに、該周辺温度が前記第1の温度と前記第2の温度との間の所定の範囲内の温度となると、前記充電手段を起動して前記充電手段により前記第2のバッテリーへの充電を再開し、
前記第2のバッテリーよる前記車載器への電力供給中に、前記測定手段により測定された前記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が前記第3の温度以下または前記第4の温度以上となった場合には、前記変更手段により前記第1のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行うようにするとともに、該周辺温度が前記第3の温度と前記第4の温度との間の所定の範囲内の温度となると、前記変更手段により再度前記第2のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行うようにする
ことを特徴とするバッテリー装置。
【請求項5】
請求項3または4のいずれか1項に記載のバッテリー装置において、
前記第1の温度は、前記第2のバッテリーにおいて安全な充電が可能な下限温度より高い温度であり、
前記第2の温度は、前記第2のバッテリーにおいて安全な充電が可能な上限温度より低い温度であり、
前記第3の温度は、前記第2のバッテリーにおいて安全な放電が可能な下限温度より高い温度であり、
前記第4の温度は、前記第2のバッテリーにおいて安全な放電が可能な上限温度より低い温度である
ことを特徴とするバッテリー装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載のバッテリー装置において、
前記第2のバッテリーは、リン酸鉄リチウムイオン電池である
ことを特徴とするバッテリー装置。
【請求項7】
車両に搭載された電装系および電子制御装置に電力を供給する第1のバッテリーと、二次電池よりなる第2のバッテリーとを備えたバッテリー装置における電力供給方法であって、
前記第1のバッテリーおよび前記第2のバッテリーの電圧を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された前記第1のバッテリーの電圧に基づいて前記車両のエンジンの作動または停止を判断する第1の判断工程と、
前記第1の判断工程で前記車両のエンジンが作動したと判断された場合には、前記第1のバッテリーから前記車載器に対して電力供給するようにするとともに、前記第2のバッテリーに対して充電を行い、前記第1の判断工程で前記車両のエンジンが停止したと判断された場合には、前記第2のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行うよう制御する制御工程と
を有するバッテリー装置における電力供給方法。
【請求項8】
請求項7に記載のバッテリー装置における電力供給方法において、さらに、
前記第1の判断工程で前記車両のエンジンが操作したと判断された場合にのみ、前記第2のバッテリーが受電途中であったのか否かを判断する第2の判断工程とを有し、
前記第2の判断工程で前記第2のバッテリーが充電途中でなかったと判断されると、前記制御工程では、前記検出工程で検出した前記第2のバッテリーの電圧が所定の電圧値以上のときには、前記第2のバッテリーに対して充電を行わず、前記検出工程で検出した前記第2のバッテリーの電圧が前記所定の電圧値より小さい値のときには、前記第2のバッテリーに対して充電を行うようにし、
前記第2の判断工程で前記第2のバッテリーが充電途中であったと判断されると、前記制御工程では、前記検出工程で検出された前記第2のバッテリーの電圧に依存することなく、前記第2のバッテリーに対して充電を行うようにする
ことを特徴とするバッテリー装置における電力供給方法。
【請求項9】
請求項7または8のいずれか1項に記載のバッテリー装置における電力供給方法において、さらに、
前記第2のバッテリーの周辺温度を測定する測定工程とを有し、
前記第1の判断工程で前記車両のエンジンが作動したと判断された場合に、前記制御工程では、前記測定工程で測定された前記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が第1の温度以下または前記第1の温度より高い第2の温度以上であるときには、前記第2のバッテリーへの充電を行わず、該周辺温度が前記第1の温度より高く、かつ、前記第2の温度より低い温度であるときには、前記第2のバッテリーへの充電を行うようにし、
前記第1の判断工程で前記車両のエンジンが停止したと判断された場合に、前記制御工程では、前記測定工程で測定された前記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が第3の温度以下または前記第3の温度より高い第4の温度以上であるときには、前記第1のバッテリーから前記車載に対して電力供給を行うようにし、該周辺温度が前記第3の温度より高く、かつ、前記第4の温度より低い温度であるときには、前記第2のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行うようにする
ことを特徴とするバッテリー装置における電力供給方法。
【請求項10】
請求項9に記載のバッテリー装置における電力供給方法において、
前記制御工程では、
前記第2のバッテリーへの充電中に、前記測定工程で測定された前記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が前記第1の温度以下または前記第2の温度以上になった場合には、前記第2のバッテリーへの充電を中止するとともに、該周辺温度が前記第1の温度と前記第2の温度との間の所定の範囲内の温度となると、前記第2のバッテリーへの充電を再開し、
前記第2のバッテリーによる前記車載器への電力供給中に、前記測定工程で測定された前記第2のバッテリーの周辺温度に基づいて、該周辺温度が前記第3の温度以下または前記第4の温度以上となった場合には、前記第1のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行うようにするとともに、該周辺温度が前記第3の温度と前記第4の温度との間の所定の範囲内の温度となると、前記第2のバッテリーから前記車載器に対して電力供給を行うようにする
ことを特徴とするバッテリー装置における電力供給方法。
【請求項11】
請求項9または10のいずれか1項に記載のバッテリー装置における電力供給方法において、
前記第1の温度は、前記第2のバッテリーにおいて安全な充電が可能な下限温度より高い温度であり、
前記第2の温度は、前記第2のバッテリーにおいて安全な充電が可能な上限温度より低い温度であり、
前記第3の温度は、前記第2のバッテリーにおいて安全な放電が可能な下限温度より高い温度であり、
前記第4の温度は、前記第2のバッテリーにおいて安全な放電が可能な下限温度より低い温度である
ことを特徴とするバッテリー装置における電力供給方法。
【請求項12】
請求項7、8、9、10または11のいずれか1項に記載のバッテリー装置における電力供給方法において、
前記第2のバッテリーは、リン酸鉄リチウムイオン電池である
ことを特徴とするバッテリー装置における電力供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−9517(P2013−9517A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140558(P2011−140558)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(508077654)株式会社サージュ (14)
【Fターム(参考)】