説明

バッテリ充電装置

【課題】発電機を1機として設備規模を押さえながら、その発電機から複数のバッテリに対して、それぞれ過不足なく充電する充電装置を提供する。
【解決手段】整流処理部40は、複数相を有する交流発電機出力電力を整流して、整流した出力電力を複数のバッテリ(3、4)に供給する。充電制御部30は、充電状態検出部20により充電が必要と判定されたバッテリが1つ以上ある場合、交流発電機1の出力に同期させて、整流された出力電力を充電が必要と判定された1つ以上のバッテリに供給して充電するよう整流処理部40を制御する。充電制御部30は、充電状態検出部20により充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、交流発電機1の出力に同期させて、整流された出力電力を充電が必要と判定された複数のバッテリに振り分けて供給して充電するよう整流処理部40を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリへの充電を制御するバッテリ充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用途ごとにバッテリに接続される負荷を分けて使用するため、複数のバッテリを配置するバッテリ充電設備を構成する場合がある。
このような用途を目的とする複数のバッテリへの充電を制御する充電装置について、特許文献1で示される技術が報告されている。
この技術によると、発電機を2機備え、それぞれの発電機ごとに配置される充電装置を介して接続されるバッテリの電圧を検出し、それぞれのバッテリに過不足なく充電することを可能としている。
【0003】
一方、発電機1機で構成する場合の従来のバッテリ充電装置について、図27に、その基本構成図を示す。
このバッテリ充電装置302は、バッテリ2つ(バッテリ3、4)に対して充電する構成にショート式と呼ばれる方式を応用した回路を備える。バッテリ充電装置302は、バッテリ3の電圧Vregを充電状態検出部320で検出する。検出されたバッテリ3の電圧Vregが予め定められた設定値を超えると、充電制御部330は、整流処理部340に備える3個のサイリスタS11、S12、S13を同時にオン状態にして、三相交流発電機301の出力を短絡する。バッテリ充電装置302は、出力が短絡された三相交流発電機301から、バッテリ3及びバッテリ4の充電をとめることにより過充電にならないように制御する。
また、バッテリ充電装置302は、電圧Vregが減少すると、充電状態検出部320が電圧Vregの低下を検出し、充電制御部330により、整流処理部340のサイリスタ群をオフ状態にして充電をするといったことを繰り返す方式である。
このような方式による充電電圧制御方法で充電を行う充電装置はショート式レギュレータと呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−128388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で示される技術による従来方式による回路では、それぞれのバッテリに過不足なく充電することを可能としている方式であるが、複数のバッテリの充電を行うには発電機を複数備える必要があり、構成品点数が多く大掛かりなものとなり設備規模が大きくなる。さらに、発電機を駆動するエンジンへの負荷も大きくかかることになるため、一般的ではないという問題がある。
【0006】
また、発電機を複数備えることにより増大することになる設備規模を削減する方法として1機の三相交流発電機301で構成する形態が図27のブロック図に示された。図示されたバッテリ充電装置302では、充電状態検出部320がバッテリ3の電圧Vregの検出を行う。
この方式によると、一方のバッテリの電圧Vregを基にして充電状態を検出している。その検出された充電状態により、サイリスタの導通を制御して、両方のバッテリを同時に充電、または、非充電に制御する方式である。そのため、アクセサリ系の負荷(例えば冷蔵庫、テレビなど)の使用状態によって、アクセサリ系の負荷で利用され電圧Vregを検出しない方のバッテリが大きく消耗し、駆動系の負荷に利用され電圧Vregを検出するバッテリが満充電となる現象が発生する。
すなわち、発電機を1機とすることにより、設備規模を削減することができる方式であるが、一方のバッテリの状態のみを検出することによって、双方のバッテリへの充電状態の検出を行っているため、双方のバッテリの充電量や負荷のバランスがよくない状態では、双方のバッテリの充電量を適切に管理しきれない場合が生じる。
【0007】
このように、各バッテリに接続されている負荷の状態によって放電量が異なるため、いずれか一方のバッテリ電圧のみを検出して充電を制御した場合には、上記のバッテリ充電装置は、負荷の状態によってバッテリの充電量に片寄りが生ずることが問題であった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、発電機を1機として設備規模を押さえながら、その発電機から複数のバッテリに対して、それぞれ過不足なく充電するバッテリ充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数相を有する交流発電機出力電力を整流して、前記整流した出力電力を複数のバッテリに供給する前記整流処理部と、前記複数のバッテリにおける各バッテリに対する充電の要否を判定する充電状態検出部と、前記充電状態検出部により充電が必要と判定されたバッテリが1つ以上ある場合、前記交流発電機の出力に同期させて、前記整流された出力電力を前記充電が必要と判定された1つ以上のバッテリに供給して充電するよう前記整流処理部を制御する充電制御部と、を備え、前記充電制御部は、前記充電状態検出部により充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、前記交流発電機の出力に同期させて、前記整流された出力電力を前記充電が必要と判定された複数のバッテリに振り分けて供給して充電するよう前記整流処理部を制御することを特徴とするバッテリ充電装置である。
【0010】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記充電状態検出部は、前記各バッテリの充電状態を判定し、前記判定した充電状態に基づいて、前記各バッテリの充電の要否を判定し、充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、前記充電が必要と判定された複数のバッテリの中から充電するバッテリを選択し、前記充電制御部は、前記選択されたバッテリに前記出力電力を供給して充電するよう前記整流処理部を制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記充電状態検出部は、前記各バッテリの電圧を検出し、前記検出した電圧を基準電圧と比較することにより前記各バッテリの充電状態を判定することを特徴とする。
【0012】
前記充電状態検出部は、前記交流発電機の出力に同期して、前記各バッテリの充電状態を判定し、前記充電するバッテリを選択することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記充電制御部は、前記交流発電機の出力の周期に対応付けられたタイミングで、 前記出力電力を供給するバッテリを時分割制御方式で切り替えるよう前記整流処理部を制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記充電制御部は、前記出力電力を供給するバッテリを位相制御方式で切り替えるよう前記整流処理部を制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記各バッテリは優先度を有し、充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、前記充電制御部は、前記優先度の高いバッテリから優先的に充電するよう前記整流処理部を制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記充電状態検出部は、前記各バッテリの充電状態と充電するバッテリとの対応関係を予め記憶しており、前記対応関係を参照して、前記各バッテリの充電状態から前記充電するバッテリを選択することを特徴とする。
【0017】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記交流発電機の各相にそれぞれ同期した複数の同期信号を生成する同期信号検出部を更に備え、前記同期信号は、前記複数相の位相にそれぞれ同期する複数の矩形波と、前記複数の矩形波にそれぞれ同期して半周期の間に単調増加する複数の同期波とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記充電状態検出部は、充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、前記複数のバッテリの中から充電するバッテリを選択し、当該選択したバッテリの電圧と基準電圧との差分に基づく誤差信号を充電制御部に入力し、前記充電制御部は、前記誤差信号と前記複数の同期波の一つとを比較し、前記誤差信号と前記複数の同期波の一つの電位が一致した時に、前記選択されたバッテリへの充電を開始するよう前記整流処理部を制御することを特徴とする。
【0019】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記交流発電機は、前記複数相のうちの一相に同期したタイミング信号を出力するサブコイルを備え、前記同期信号検出部は、前記タイミング信号を検出し、前記検出したタイミング信号から前記複数の矩形波と前記複数の同期波を生成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記整流処理部は、入力が前記交流発電機に接続され、出力が前記複数のバッテリに並列に接続されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記交流発電機は、三相交流発電機であり、前記複数のバッテリは第1と第2のバッテリを含み、前記整流処理部は、前記第1のバッテリと前記三相交流発電機とに接続され、前記三相交流発電機の各相にそれぞれ対応する第1から第3の整流素子と、前記第2のバッテリと前記三相交流発電機とに接続され、前記三相交流発電機の各相にそれぞれ対応する第4から第6の整流素子と、前記三相交流発電機に接続され、前記三相交流発電機の各相にそれぞれ対応する第7から第9の整流素子と、を備え、前記第7の整流素子は前記第1と前記第4の整流素子に接続され、前記第8の整流素子は前記第2と前記第5の整流素子に接続され、前記第9の整流素子は前記第3と前記第6の整流素子に接続されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明のバッテリ充電装置は、前記第1から前記第6の整流素子は、サイリスタであり、前記第7から前記第9の整流素子は、サイリスタ又はダイオードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、発電機を1機として設備規模を押さえながら、その発電機から複数のバッテリに対して、それぞれ過不足なく充電するバッテリ充電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のバッテリ充電装置の第1実施形態の基本構成例を示すブロック図である。
【図2】U、V、W相検出回路における矩形波を生成するメカニズムについて説明するための図である。
【図3】U、V、W相検出回路の構成と動作を説明するための図である。
【図4】U相の交流電圧波形に同期した矩形波を示す図である。
【図5】三角波を生成するメカニズムについて説明するための図である。
【図6】充電状態検出部20についてのブロック図である。
【図7】充電状態検出部20でのバッテリ電圧とモード判定の関係を説明するための図である。
【図8】充電状態検出部20で選択したモードについての切換手順を説明するための図である。
【図9】位相角制御によるサイリスタの点弧方法と導通時間を説明するための図(その1)である。
【図10】位相角制御によるサイリスタの点弧方法と導通時間を説明するための図(その2)である。
【図11】充電制御部30(点弧順成生部31)を説明するブロック図である。
【図12】点弧タイミングの説明を行う図(その1)である。
【図13】点弧タイミングの説明を行う図(その2)である。
【図14】モード判定とサイリスタの点弧制御の関係を示す図である。
【図15】位相制御によりモード切換を行うときの動作を説明するための図(その1)である。
【図16】位相制御によりモード切換を行うときの動作を説明するための図(その2)である。
【図17】位相制御によりモード切換を行うときの動作を説明するための図(その3)である。
【図18】位相制御によりモード切換を行うときの動作を説明するための図(その4)である。
【図19】時分割制御によりモード切換を行うときの動作を説明するための図(その1)である。
【図20】時分割制御によりモード切換を行うときの動作を説明するための図(その2)である。
【図21】時分割制御によりモード切換を行うときの動作を説明するための図(その3)である。
【図22】時分割制御によりモード切換を行うときの動作を説明するための図(その4)である。
【図23】整流処理部の一部をダイオードで構成したときのブロック図である。
【図24】充電制御部130(点弧順成生部131)を説明するブロック図である。
【図25】時分割制御によるサイリスタの点弧方法と導通時間を説明するための図である。
【図26】サブコイルを備えない三相交流発電機201を利用するときのブロック図である。
【図27】従来技術による構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
(本発明のバッテリ充電装置の第1実施形態の基本構成例の説明)
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明によるバッテリ充電装置の第1実施形態を示すブロック図である。この図では、三相交流発電機1の交流出力電圧を全波整流して、その出力でバッテリ3、4を充電するバッテリ充電装置2を例として示す。
【0026】
このバッテリ充電装置2は、三相交流発電機1からの交流出力電圧を整流する整流処理部40の整流回路を三相ブリッジ回路としている。
そして、各バッテリへの充電量を加減するにあたり、整流処理部40における各整流素子のスイッチング動作のタイミングを、バッテリ3、4の電圧に応じて三相交流発電機1の交流出力電圧に対して導通開始角の制御を行うことにより、バッテリの充電量を制御する。
【0027】
また、三相交流発電機1は、三相交流発電機1内のいずれか1相(この例ではU相)にセンサコイル(サブコイル)Suを備える。センサコイルSuは、交流出力電圧(U相、V相、W相の各相)に同期した信号を生成し出力する。
【0028】
以下、図1に示すバッテリ充電装置2の全体構成の概要について説明する。
バッテリ充電装置2は、同期信号検出部10、充電状態検出部20、充電制御部30、整流処理部40を備える。
【0029】
同期信号検出部10は、入力端子が三相交流発電機1のセンサコイルSuに接続され、出力端子が充電状態検出部20の入力端子及び充電制御部30の入力端子に接続される。
充電状態検出部20は、入力端子がバッテリ3、4の端子に接続され、出力端子は充電制御部30に接続される。
充電制御部30は、出力端子が整流処理部40の入力端子に接続される。
整流処理部40は、入力端子が三相交流発電機1の出力端子に接続され、出力端子がバッテリ3、4の端子に接続される。
【0030】
三相交流発電機1では、バッテリ充電装置2に出力する交流出力電圧に同期したタイミング信号がセンサコイルSuで生成され、バッテリ充電装置2に入力される。
【0031】
バッテリ充電装置2の同期信号検出部10は、三相交流発電機1から入力されるタイミング信号を検出し、三相交流発電機1が出力する交流出力電圧に同期する同期信号を生成し、出力する。
出力される同期信号は、三相交流発電機1の各相に同期するそれぞれの矩形波ならびにそれぞれの矩形波に同期し半周期の間に単調増加する三角波である。
【0032】
同期信号検出部10は、U、V、W相検出回路11と同期三角波発生回路12を備える。
同期信号検出部10のU、V、W相検出回路11は、三相交流発電機1のセンサコイルSuが出力するタイミング信号を検出し、U相の電圧波形(交流波形)Vuから、U相に同期する矩形波を生成し、同期三角波発生回路12に入力する。
また、同期信号検出部10のU、V、W相検出回路11は、同期三角波発生回路12から入力されるU相の矩形波に同期した三角波により、V、W相に同期した矩形波の信号を生成し、同期三角波発生回路12に入力する。
【0033】
同期信号検出部10の同期三角波発生回路12は、U、V、W相検出回路11から入力される三相分の矩形波の信号から、これらの信号に同期した三角波を生成する。この三角波は矩形波のパルス幅の大きさに無関係に高さ(三角波の最大値)が等しくなるような三角波である。同期した三角波の生成は、2段階の処理により生成される。最初に、U相電圧に同期したU相の三角波生成が行われ、U、V、W相検出回路11に入力される。次に、V相、W相の矩形波が、U、V、W相検出回路11から入力され、V、W相に同期した三角波が生成され、U相に同期した三角波と合わせて出力される。
同期三角波発生回路12から出力される三角波は、三相交流発電機1が、スター結線であるときには、線間電圧の位相に合わせた三角波となる。線間電圧に同期する三角波は、相電圧の位相に対して、30°遅れた位相としたものが出力される。
同期信号検出部10の実施形態の詳細については、後述することとする。
【0034】
充電状態検出部20は、バッテリ3、4の電圧の検出値を予め定められた基準電位との比較により充電状態を判定し、バッテリ3、4の充電状態の組み合わせた結果から、予め定められた判定基準により充電を行うバッテリを選択し、選択されたバッテリの電圧を基準電位と比較して得られる誤差信号と、選択されたバッテリを示す選択信号を充電制御部に入力する。
それぞれのバッテリにおける実際のバッテリ電圧Vbatからのフィードバック信号Vfbと、バッテリ充電電圧の設定値(目標値)Vrefとを比較して、その差の信号を増幅し誤差アンプ出力Vcを検出する。
また、それぞれの誤差アンプ出力をもとに、充電するバッテリを選択し、選択されたバッテリに対応した誤差アンプ出力を出力する。
なお、誤差アンプ出力Vcは、バッテリ電圧Vbatが低く、「Vfb<Vref」の場合に、低い電圧を出力し、バッテリ電圧Vbatが高く、「Vfb>Vref」の場合に、高い電圧を出力する。
【0035】
充電状態検出部20は、VREG検出部21、誤差信号処理部22、モード判定部23、判定結果記憶部24、バッテリ選択情報記憶部25を備える。
充電状態検出部20のVREG検出部21は、バッテリ3、4のそれぞれの電圧が入力される。
入力されたバッテリの電圧は、予め設定された基準電圧3、4と比較される。入力されたバッテリの電圧と基準電圧との差が、そのバッテリに必要とされる充電量を示す誤差信号になる。
【0036】
充電状態検出部20の誤差信号処理部22は、VREG検出部21で検出されたそれぞれのバッテリに必要とされる充電量を示す誤差信号を、入力される選択信号に従って、該当するバッテリを充電する際に選択して出力する信号選択部として動作する。
【0037】
充電状態検出部20のモード判定部23は、VREG検出部21で検出されるそれぞれのバッテリに必要とされる充電量を示す誤差信号を検出し、予め定められた周期で検出された誤差信号によって、それぞれのバッテリの充電状態を判定し、判定された結果を判定結果記憶部24に記録する。
モード判定部23は、判定結果記憶部24に記憶されている判定された結果を参照し、充電を行うバッテリを選択し、選択されたバッテリを示す選択信号を出力する。
モード判定部23は、バッテリ3とバッテリ4と交互に充電を行う際に、次にいずれのバッテリに充電を行うかを示す情報をバッテリ選択情報記憶部25に記録する。また、交互に充電されるバッテリを選択する際に、バッテリ選択情報記憶部25に記憶されている情報を参照して、充電するバッテリを選択する。
【0038】
充電状態検出部20の判定結果記憶部24は、モード判定部23で判定された2個のバッテリ3、4の充電状態に対する判定結果を記憶する記憶部である。判定結果記憶部24は、半導体メモリなどの記憶素子に割り付けられた領域に情報が記録され、記録された情報を記憶する。
【0039】
充電状態検出部20のバッテリ選択情報記憶部25は、モード判定部23で判定された2個のバッテリ3、4のいずれから優先的に充電を行うための情報(選択フラグ)を記憶する記憶部である。バッテリ選択情報記憶部25は、半導体メモリなどの記憶素子に割り付けられた領域に情報が記録され、記録された情報を記憶する。
充電状態検出部20の実施形態の詳細については、後述することとする。
【0040】
充電制御部30は、充電状態検出部20から入力された誤差信号と、同期信号検出部10から入力された三角波とを比較することによって、誤差信号とそれぞれの三角波との電位が一致したときを前記整流素子の導通開始の契機とし、充電状態検出部20から入力される選択信号にしたがって点弧信号を整流処理部40に入力する。
【0041】
充電制御部30は、点弧順生成部31を主要要素とする。
点弧順生成部31の実施形態の詳細については、後述することとする。
【0042】
整流処理部40は、充電制御部30から入力される点弧信号に従って、三相交流発電機1が出力する交流出力電圧を整流し、それぞれ接続されているバッテリを充電する回路である。
整流処理部40は、サイリスタ(整流素子)S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9と、サイリスタ点弧回路41を備える。
【0043】
サイリスタは、接続されるバッテリの2つの系統ごとに配置される。配置されるサイリスタは、それぞれのバッテリの正極に接続される第1の系統となるサイリスタS1〜S3と、第2の系統となるサイリスタS4〜S6と、2つの系統に共通回路に共通して各バッテリの負極(接地極)に接続されるサイリスタS7〜S9との組み合わせで配置される。
整流処理部40のサイリスタ点弧回路41は、接続されるサイリスタS1〜S9を点弧させるドライバ回路TA1〜9を備える。
ドライバ回路TA1〜9は、接続されるサイリスタS1〜S9ごとに独立して配置され、各サイリスタのゲートに接続される。
サイリスタS1〜S3及びサイリスタS7〜S9は、バッテリ3の系統に接続され三相交流発電機1の出力を全波整流するブリッジとして機能する。
また、サイリスタS4〜S6及びサイリスタS7〜S9は、バッテリ4の系統に接続され三相交流発電機1の出力を全波整流するブリッジとして機能する。
【0044】
ここで、サイリスタS1〜S9の詳細接続を整理する。
サイリスタS1は、アノードが三相交流発電機1のU相に接続され、カソードがバッテリ3の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA1の出力に接続される。
サイリスタS2は、アノードが三相交流発電機1のV相に接続され、カソードがバッテリ3の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA2の出力に接続される。
サイリスタS3は、アノードが三相交流発電機1のW相に接続され、カソードがバッテリ3の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA3の出力に接続される。
【0045】
サイリスタS4は、アノードが三相交流発電機1のU相に接続され、カソードがバッテリ4の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA4の出力に接続される。
サイリスタS5は、アノードが三相交流発電機1のV相に接続され、カソードがバッテリ4の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA5の出力に接続される。
サイリスタS6は、アノードが三相交流発電機1のW相に接続され、カソードがバッテリ4の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA6の出力に接続される。
【0046】
サイリスタS7は、アノードが接地電位に接続され、カソードが三相交流発電機1のU相に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA7の出力に接続される。
サイリスタS8は、アノードが接地電位に接続され、カソードが三相交流発電機1のV相に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA8の出力に接続される。
サイリスタS9は、アノードが接地電位に接続され、カソードが三相交流発電機1のW相に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路41のドライバ回路TA9の出力に接続される。
【0047】
整流処理部40のサイリスタ点弧回路41は、独立して配置されている9個のサイリスタ点弧回路を備える。
それぞれのサイリスタ点弧回路は、入力端子が充電制御部30のサイリスタの点弧を制御する制御信号を出力するそれぞれの出力端子に接続され、出力端子がそれぞれのサイリスタのゲートに接続される。
充電制御部30の出力端子から、サイリスタの点弧を制御する制御信号が入力されるとサイリスタ点弧回路41は、当該のサイリスタに対して点弧信号を送出する。
それゆえ、サイリスタの導通開始角によって充電量が制御されているので、充電制御部30からの制御信号によってバッテリへの充電量は制御されることになる。
【0048】
(U、V、W相検出回路についての説明)
次に、同期信号検出部10におけるU、V、W相検出回路11の構成と動作について説明する。このU、V、W相検出回路11においては、三相のうちの1相(例えば、U相)と同期した矩形波の信号を基準として、残りの2相の位置(位相)を検出し、これら2相の矩形波の信号を生成する。この手段として、U相の矩形波の0°から180°の位相に同期した三角波(第1の三角波)を発生させ、同様にして、U相の矩形波の180°から360°の位相に同期した三角波(第2の三角波)を発生させる。
【0049】
そして、第1の三角波および第2の三角波の各々の三角波のピーク電圧に対して、2/3の電圧点でレベルが反転する矩形波を生成する。この矩形波はU相に同期した矩形波より120度遅延しており、この矩形波がV相に同期した矩形波となる。
【0050】
また、第1の三角波および第2の三角波の各々の三角波のピーク電圧に対して、1/3の電圧点でレベルが反転する矩形波を生成する。この矩形波はU相に同期した矩形波より240度遅延しており、この矩形波がW相に同期した矩形波となる。
【0051】
したがって、1個のセンサコイルのみで、U相、V相、W相に同期した矩形波の信号を生成できるため、これを通電タイミングの制御に利用することができ、三相交流発電機の構造の簡略化と外形の小形化が可能となり、また、交流発電機のコストの低減が図れる。
【0052】
次に、具体的な例を図に示して説明する。
図2は、U、V、W相検出回路の動作を説明するための図であり、U相に同期した矩形波Ruから、V相の矩形波RvおよびW相の矩形波Rwを生成する方法を説明するための図である。以下、図2を参照して、その手順について説明する。
【0053】
(手順1) 最初に、センサコイルSuの検出電圧からU相に同期した矩形波Ruを生成する。そして、この矩形波Ruの「H(ハイ)」側に同期した三角波(e)を生成する。
この三角波(e)は矩形波Ruに同期しており、位相幅が180°(0°〜180°)である。また、この三角波(e)は矩形波Ruのパルス幅の大きさに無関係に高さ(三角波のピーク電圧Vp)が等しくなるような三角波である。なお、矩形波のパルス幅の大きさに無関係に高さ(三角波のピーク電圧)が等しくなるような三角波の生成方法については後述する。
【0054】
(手順2) 同様にして、矩形波Ruの「L(ロー)」側に同期した三角波(f)を生成する。この三角波(f)は矩形波Ruに同期しており、位相幅が180°(180°〜360°)である。また、この三角波(f)についても矩形波Ruのパルス幅の大きさに無関係に高さ(三角波のピーク電圧Vp)が等しくなるような三角波である。
【0055】
(手順3) 次に、三角波(e)のピーク電圧Vpの1/3の高さの点X1と、2/3の高さの点X2を求める。これにより、点X0(三角波(e)の立ち上がり点)と点X1の間、点X1と点X2との間、および点X2と点X3(三角波(e)の立下り点)との間は、それぞれ位相幅が60°となる。同様にして、三角波(f)のピーク電圧Vpの1/3の高さの点Y1、2/3の高さの点Y2を求める。
【0056】
(手順4) 次に、点X2から点X3まで「H」となるパルスa1を生成し、また、点Y2から点Y3(三角波(f)の立下り点)まで「H」となるパルスb1を生成する。
【0057】
(手順5) そして、パルスa1の立ち上がりエッジで「H」となり、パルスb1の立ち上がりエッジで「L」に戻る矩形波Rvを生成し、これをV相に同期した矩形波とする。
【0058】
(手順6) 次に、点X1から点X3まで「H」となるパルスc1を生成し、また、点Y1から点Y3まで「H」となるパルスd1を生成する。
【0059】
(手順7) そして、パルスd1の立ち上がりエッジで「H」となり、パルスc1の立ち上がりエッジで0に戻る矩形波Rwを生成し、これをW相に同期した矩形波とする。
【0060】
上述した手順により、U相に対して120°位相が遅れたV相の矩形波Rv、U相に対して240°位相が遅れたW相の矩形波Rwを生成することができる。
【0061】
また、図3は、U相の矩形波とU相に同期した三角波(e)、(f)から、V相、W相の矩形波を生成する回路の構成例を示す図である。以下、図3を参照して、その動作について説明する。
【0062】
三角波のピーク電圧Vpは、直列に3本接続された抵抗Rにより分圧され、(1/3)×Vpの電圧が比較器A2、A4の反転入力端子に基準電圧として入力され、(2/3)×Vpの電圧が比較器A1、A3の反転入力端子に基準電圧として入力される。また、比較器A1、A2の非反転入力端子に三角波(e)が入力され、比較器A3、A4の非反転入力端子に三角波(f)が入力される。
【0063】
従って、比較器A1の出力は、点X2から点X3まで「H」となり、パルスa1となる。比較器A2の出力は、点X1から点X3まで「H」となり、パルスc1となる。比較器A3の出力は、点Y2から点Y3まで「H」となり、パルスb1となる。比較器A4の出力は、点Y1から点Y3まで「H」となり、パルスd1となる。
【0064】
また、比較器A1およびA3の出力は、オア回路OR1を介して、DフリップフロップD1のクロック端子の入力となる。比較器A2およびA4の出力は、オア回路OR2を介して、DフリップフロップD2のクロック端子の入力となる。
【0065】
従って、比較器A1の出力(パルスa1)の立ち上がりエッジが、DフリップフロップD1のクロック端子の入力となり、この時、D入力となるU相のレベルは「H」であるので、DフリップフロップD1の出力Qは「H」になる。
【0066】
また、比較器A3の出力(パルスb1)の立ち上がりエッジもDフリップフロップD1のクロック端子の入力となり、この時、D入力となるU相のレベルは「L」であるので、出力Qは「L」になる。従って、DフリップフロップD1の出力Qは、パルスa1の立ち上がりエッジからパルスb1の立ち上がりエッジまで「H」となり、V相の矩形波Rvが得られる。
【0067】
また、比較器A2の出力(パルスc1)の立ち上がりエッジが、DフリップフロップD2のクロック端子の入力となり、この時、D入力となるU相のレベルは「H」であるので、DフリップフロップD2の出力Qは「H」、出力Qの反転出力(Qバー)は「L」になる。
【0068】
また、比較器A4の出力(パルスd1)の立ち上がりエッジもDフリップフロップD2のクロック端子の入力となり、この時、D入力となるU相のレベルは「L」であるので、出力Qは「L」になり、出力Qの反転出力(Qバー)は「H」になる。従って、DフリップフロップD2の反転出力(Qバー)は、パルス(d1)の立ち上がりエッジからパルス(c1)の立ち上がりエッジまで「H」となり、W相の矩形波Rwとなる。
【0069】
上述した回路により、三相交流発電機1のU相のセンサコイルSuからの信号から、三相交流発電機1の交流出力電圧の位相を検出し、このU相の交流出力電圧に同期する矩形波を基準にして、他の2相に同期する矩形波を生成することができる。
なお、三相交流発電機1のV相にセンサコイルを設け、このV相の交流出力電圧に同期する矩形波を基準にして、他の2相に同期する矩形波を生成するようにしてもよい。同様にして、三相交流発電機1のW相にセンサコイルを設け、このW相の交流出力電圧に同期する矩形波を基準にして、他の2相に同期する矩形波を生成するようにしてもよい。
【0070】
(U、V、W相検出回路における三角波電圧の発生方法の説明)
上述のように、U、V、W相検出回路11において、U相に同期した矩形波からV相、W相の矩形波を生成する場合に、U相の矩形波のパルス幅の大きさに無関係に高さ(三角波のピーク電圧)が一定の三角波を生成する必要がある。ここで、図4および図5を参照して、矩形波Ruに同期したピーク電圧一定の三角波の発生メカニズムの一例について説明する。なお、ここで説明する三角波の生成メカニズムは、図1に示す同期三角波発生回路12において、三角波を生成する場合にも共通して使用されるものである。
【0071】
一般には三相交流発電機1が出力する交流電圧の周波数は急激に変化しないので、1サイクル前の波形と現在のサイクルの波形はほとんど同じと考えることができる。例えば、図4において、波形2が現在のサイクルの波形だとすれば、波形2の半周期T2と、その1サイクル前の波形1の半周期T1とはほとんど同じである。
【0072】
上述の特性を利用して、次の手順により三角波電圧VBを生成する。
(手順1) 図4に示すように、波形1のサイクルにおいて、三相交流発電機1が出力する交流電圧VAから矩形波Sを生成する。この波形1に対応する矩形波Sの半周期は、波形1のサイクルにおける交流電圧VAの半周期T1と一致する。
(手順2) 続いて、矩形波Sの半周期T1の時間をカウントする。
(手順3) 続いて、半周期T1の時間のカウント数を所定の分解能nで除算して、時間t1(=T1/n)を得る。ここで、分解能nは、三角波電圧VBのスロープの滑らかさを規定する量であり、分解能nが高い程、三角波電圧VBのスロープが滑らかになる。
(手順4) 続いて、三角波電圧VBのピーク電圧Vpを所定の分解能nで除算して、電圧v1(=Vp/n)を得る。
(手順5) 続いて、図5に示すように、次のサイクルの波形2の立ち上がりタイミング(T2をカウントし始めるタイミング)で、上記電圧v1だけ三角波電圧VBを上昇させ、この三角波電圧VBを上記時間t1の間だけ維持する。
(手順6) 同じ波形2のサイクルにおいて、上記時間t1が経過したタイミングで上記電圧v1だけ三角波電圧VBを更に上昇させ、これを全部でn回繰り返すと、図5に示すような階段状の波形が得られ、波形2のサイクルに対応する三角波電圧のスロープ部分に相当する階段状の波形が得られる。分解能nの値を大きくすれば、階段状の波形が滑らかになり、一層良好な三角波を得ることができる。
【0073】
以上の手順により、1サイクル前の交流電圧VAの波形を用いて、交流電圧VAの各周期に対応した三角波電圧であって、ピーク電圧Vpが一定の三角波を生成することができる。
【0074】
(充電するバッテリの選択)
本実施形態で示すバッテリ充電装置2は、予め定められた優先度によって充電するバッテリを選択する。
ここでは、予め定められた優先度が設定されたバッテリに対して、バッテリの充電状態に従って充電するバッテリを選択する手順を説明する。
【0075】
図6は、充電状態検出部20の主要な構成を示すブロック図である。
図示するように充電状態検出部20が備えるVREG検出部21、誤差信号処理部22、モード判定部23、判定結果記憶部24、バッテリ選択情報記憶部25の一実施形態を示す。
【0076】
充電状態検出部20のVREG検出部21は、演算増幅器211、212と8個の抵抗R21〜R28と基準電圧VREF3、VREF4、ならびに入力端子、出力端子を備える。
VREG検出部21における接続は、次のようになる。
抵抗R21は、一端が基準電圧VREF3に接続され、他端が演算増幅器211の反転入力端子に接続される。
抵抗R22は、一端が入力端子IP281に接続され、他端が演算増幅器211の非反転入力端子に接続される。
抵抗R23は、一端が演算増幅器211の非反転入力端子に接続され、他端が接地電位に接続される。
抵抗R24は、一端が演算増幅器211の出力端子に接続され、他端が演算増幅器211の反転入力端子に接続される。
抵抗R25は、一端が基準電圧VREF4と演算増幅器212の反転入力端子に接続される。
抵抗R26は、一端が入力端子IP282と演算増幅器212の非反転入力端子に接続される。
抵抗R27は、一端が演算増幅器212の非反転入力端子に接続され、他端が接地電位に接続される。
抵抗R28は、一端が演算増幅器212の出力端子に接続され、他端が演算増幅器212の反転入力端子に接続される。
【0077】
入力端子IP281には、バッテリ3の電圧を所定の比率で分圧された電位VREG3が入力される。
演算増幅器211は、入力されたバッテリ3の電位VREG3と基準電位VREF3の電位差を抵抗R21〜R24で設定される利得で増幅し、誤差信号FB3を出力する。
入力端子IP282には、バッテリ3の電圧を所定の比率で分圧された電位VREG4が入力される。
演算増幅器212は、入力されたバッテリ3の電位VREG4と基準電位VREF4の電位差を抵抗R25〜R28で設定される利得で増幅し、誤差信号FB4を出力する。
誤差信号が負の値を示すときには、バッテリの電圧が低く、充電不足であることを示す。
また、誤差信号FB3、FB4が負の値を示すときには、バッテリの電圧が高く、充電された状態であることを示す。
【0078】
充電状態検出部20の誤差信号処理部22は、信号切換器である。
誤差信号処理部22は、モード判定部23から選択端子SELに入力される切換信号により、VREG検出部21から入力される2系統の誤差信号FB3と誤差信号FB4とを選択し出力端子OP291に誤差信号を出力する。
また、誤差信号が正の値を示すときには、バッテリの電圧が高く、充電された状態であることを示す。
【0079】
充電状態検出部20のモード判定部23は、VREG検出部21によりバッテリ3、4の電圧の検出値を予め定められた基準電位と比較して得られた結果にしたがって、充電状態を判定する。モード判定部23は、判定された結果を判定結果記憶部24に記録する。
また、モード判定部23は、2個のバッテリ3、4の充電状態の組み合わせ結果と、優先的に充電を行うための情報(選択フラグ)とから、充電を行うバッテリを選択する。
モード判定部23は、選択フラグの情報をバッテリ選択情報記憶部25に記録し、充電するバッテリを選択する際に記憶されている情報を参照し選択条件とする。
モード判定部23は、選択された充電するバッテリを特定する信号として選択信号1、2を出力端子OP292、OP293にそれぞれ出力する。
【0080】
図7は、VREG検出部21で検出したバッテリ3、4の電圧と、それにより充電するバッテリを選択する方法について説明する図である。
図7(a)は、バッテリ3、4の電圧状態を示す図である。
それぞれのバッテリ電圧は、予め定められたそれぞれの基準電圧に対して比較される。その比較によってそれぞれの電圧状態の組み合わせにより4通りの状態が生じる。
その図に示す4通りの充電状態について整理する。
【0081】
第1の状態は、バッテリ3及びバッテリ4のいずれの電圧も基準電圧未満の状態である。すなわちいずれのバッテリも充電不足の状態である(以下、モード1という)。
第2の状態は、バッテリ3の電圧が基準電圧以上となっているが、バッテリ4の電圧は基準電圧未満の状態である。すなわちバッテリ3は、規定の充電が完了しているが、バッテリ4は、充電不足の状態である(以下、モード2という)。
第3の状態は、バッテリ4の電圧が基準電圧以上となっているが、バッテリ3の電圧は基準電圧未満の状態である。すなわちバッテリ4は、規定の充電が完了しているが、バッテリ3は、充電不足の状態である(以下、モード3という)。
第4の状態は、バッテリ3もバッテリ4もそれぞれの電圧が、基準電圧以上となっている状態である。すなわちいずれのバッテリも規定の充電が完了している状態である(以下、モード4という)。
【0082】
以上の4通りの状態を基準に、バッテリ3、4のいずれのバッテリに充電を行うか否かを決定する。その条件は、上記の4つのモードで規定することができ、それぞれのモードのときの充電処理について図7(b)に整理する。
【0083】
モード1では、いずれのバッテリも充電不足なので、電力を振り分けて充電することが必要になる。
モード2では、バッテリ3が充電完了状態であるので、バッテリ4への充電を行う。
モード3では、バッテリ4が充電完了状態であるので、バッテリ3への充電を行う。
モード4では、いずれのバッテリも充電完了状態なので、いずれのバッテリにも充電を行わない。
【0084】
ここで、モード1となったときのバッテリ3とバッテリ4への電力の振り分け方法を示す。
振り分け方法として、次の方法が考えられる。
第1の手段は、バッテリ3とバッテリ4の双方に同時に充電できるように、それぞれの系統の整流素子を同時に通電状態とする。
第2の手段は、バッテリ3とバッテリ4とに交互に充電できるように、それぞれの整流素子を交互に通電状態とする。
この第1の手段では、双方の系統へ通電可能な状態とすることができるが、実際にはバッテリ電圧が低い、あるいは、バッテリに接続されている負荷が重い方の系統に偏って電力が供給され、他方のバッテリは充電されないことがある。そのため、バッテリごとの充電状態を管理しきれないことが生じうる。
本実施形態では、第2の手段を採用することとしその説明を行う。
【0085】
上記で示した交互に充電を行う条件となるのは、2個のバッテリがともに充電が必要となるモード1のときであり、先に示したモード2、3のときには、充電が必要なバッテリは判定の結果で規定されるので、交互に充電する条件にはならない。また、モード4のときには、いずれも充電が不要な状態であるので、やはり、交互に充電を行う動作は必要にならない。
そこで、モード2、3、4が選択されたときは、選択フラグをクリアすることとする。
【0086】
一方、特定のバッテリを優先して充電させる必要がある場合において、上記のモード1の状態で交互に充電するとしても、先に充電を行う方のバッテリを特定することが必要になる。上記の選択フラグを利用することで、モード1になったときに先に充電するバッテリを特定することが可能となる。
前述のように、選択フラグは、モード2、3、4が選択されたときには、クリアされているので、新たにモード1が判定される条件になったときにそのフラグを参照して充電するバッテリを選択すれば、特定のバッテリの充電を最初とする交互の充電を開始させることができる。交互に充電を行う際に、優先させて充電を行うバッテリに充電したときに選択フラグをセットし、非優先のバッテリを充電したときに選択フラグをクリアすることにより、その選択フラグを参照することで交互に充電を行うことができる。
【0087】
図8は、図7で示した4通りの状態をモード判定部23においてモード判定に関する処理を行うためのフローチャートを示す。
下記に示すモード判定と判定に基づく充電するバッテリの選択に関する処理は、充電状態検出部20のモード判定部23によって行われる。
【0088】
初期状態処理として、モード判定部23は、状態を記憶させる記憶領域である判定結果記憶部24、バッテリ選択情報記憶部25に初期値の情報(クリア)を記録する(ステップSa0)。
【0089】
充電状態検出部20のモード判定部23は、同期信号検出部10のU、V、W相検出回路11が出力する同期信号によって、U相とV相の線間電圧(以下、UV相という)を基準としたときの0°の位相であるかの判定を繰り返し行う(ステップSa1)。
【0090】
モード判定処理は、同期信号検出部10から入力される信号により、UV相の位相が、0°であるときに、モード判定部23がモード判定を行う処理である。
モード判定処理は、次の手順で行われる。
まず、VREG検出部21がUV相の位相が0°であるときのバッテリ3、4の電圧を検出する。VREG検出部21は、検出されたバッテリ3、4の電圧と基準電圧との比較結果をモード判定部23に入力する。モード判定部23は、入力される比較結果の組み合わせで得られる4通りのバッテリの電圧状態から、そのときに必要とされる処理ごとに分類される4つのモードとしての判定を行う(ステップSa2)。
【0091】
モード判定部23は、判定された結果がモード4であるかの判定を行う(ステップSa3)。
判定結果がモード4であるときには、モード判定部23は、いずれのバッテリも充電を行わないことを選択し、いずれのバッテリも選択しないことを示す選択信号を出力する。モード判定部23が出力する選択信号1、2には、両方に「0」が出力される。
また、モード判定部23は、選択フラグをクリアしてバッテリ選択記憶部25に記録する。そして、次のUV相が0°となる時の検出を行う(ステップSa4)。
【0092】
モード判定部23は、判定された結果がモード4でなかったときは、モード2であるかの判定を行う(ステップSa5)。
判定結果がモード2であるときには、モード判定部23は、バッテリ4の充電を行うことを選択し、バッテリ4を選択する選択信号を出力する。モード判定部23が出力する選択信号には、選択信号1に「0」が、選択信号2に「1」が出力される(ステップSa6)。
また、モード判定部23は、選択フラグをクリアしてバッテリ選択記憶部25に記録する。そして、次のUV相が0°となる時を検出する(ステップSa7)。
【0093】
モード判定部23は、判定された結果がモード2でなかったときは、モード3であるかの判定を行う(ステップSa8)。
判定結果がモード3であるときには、モード判定部23は、バッテリ3の充電を行うことを選択し、バッテリ3を選択する選択信号を出力する。モード判定部23が出力する選択信号には、選択信号1に「1」が、選択信号2に「0」が出力される(ステップSa9)。
また、モード判定部23は、選択フラグをクリアしてバッテリ選択記憶部25に記録する。そして、次のUV相が0°となる時を検出する(ステップSa10)。
【0094】
モード判定部23は、バッテリ選択情報記憶部25に記憶されている選択フラグの情報を参照し、選択フラグがセットされているかの判定を行う(ステップSa11)。
判定により選択フラグがセットされていると判定されたときには、モード判定部23は、バッテリ4の充電を行うことを選択し、バッテリ4を選択する選択信号を出力する。モード判定部23が出力する選択信号には、選択信号1に「0」が、選択信号2に「1」が出力される(ステップSa12)。
また、モード判定部23は、選択フラグをクリアしてバッテリ選択情報記憶部25に記録する。そして、次のUV相が0°となる時を検出する(ステップSa13)。
【0095】
モード判定部23は、バッテリ選択情報記憶部25に記憶されている選択フラグの情報を参照し、選択フラグがセットされているか否かの判定を行い、選択フラグがセットされていないと判定されたときには、バッテリ3の充電を行うことを選択し、バッテリ3を選択する選択信号を出力する。モード判定部23が出力する選択信号には、選択信号1に「1」が、選択信号2に「0」が出力される(ステップSa14)。
また、モード判定部23は、選択フラグをセットしてバッテリ選択情報記憶部25に記録する。そして、次のUV相が0°となる時を検出する(ステップSa15)。
【0096】
以上に示したフローチャートに従って検出処理を行うことで、モード判定部23は充電を行うバッテリを特定する。
【0097】
図9〜図10を参照して、整流処理部40で行われる充電量制御のための位相制御によるサイリスタの導通角制御について示す。
図9(a)は、バッテリ3に接続される6個のサイリスタS1〜S3とS7〜S9及び三相交流発電機1の接続を示す。
先に説明したように、三相交流発電機1のU相には、サイリスタS1とS7とが接続され、V相には、サイリスタS2とS8とが接続され、W相には、サイリスタS3とS9とが接続される。
6個のサイリスタを図に示す接続とすることにより、三相交流を全波整流することができる。詳細の接続の説明は、前述の図1での説明を参照する。
また、サイリスタは、ダイオードと異なり、サイリスタを点弧する信号をゲートに入力することにより導通開始タイミングを制御することができる。
【0098】
それぞれの線間電圧から充電をするときに制御する対象となるサイリスタは、下記の通りとなる。
波形UVにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS1とS8であり、
波形UWにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS1とS9であり、
波形VWにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS2とS9であり、
波形VUにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS2とS7であり、
波形WUにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS3とS7であり、
波形WVにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS3とS8である。
【0099】
図9(b)に示すグラフは、各位相で通電開始したときの直流平均出力を示すグラフである。
x軸は、通電開始するときの位相角を示す。x軸は、60°から180°までの値をとる。y軸は、通電開始から通電が終了する180°までにバッテリに出力される直流平均出力を示している。y軸で示す値は、通電開始が、60°のときの直流平均出力を1としたときの比率で表す。このグラフから通電を開始する位相が早いほど、出力される電力が大きいことを示している。
【0100】
図10(a)〜(c)にサイリスタのゲート制御により導通開始タイミングを制御して、導通している期間が変化する様を示す。
ここでx軸は、原点Oを基準とした位相角を示し、y軸は全波整流した波形の電圧を示す。
図に点線で示した波形は、三相交流の線間電圧波形を全波整流したときの電圧波形を示す。交流半周期の波形がそれぞれ60°の位相差によって連なった波形となっている。
三相交流を全波整流しているため、6個の波形で一周期を表している。ここで、基準とする位相を、UV相とすることとし、それぞれの波形に、UV1、UW1、VW1、VU1、WU1、WV1の符号をつける。波形UV1は、V相を基準としたU相との線間電圧の波形で、U相の相電圧が高くなる期間の波形を表すこととする。逆に、波形VU1は、V相を基準としたU相との線間電圧で、U相の相電圧が低くなる期間の波形を表し、全波整流されることにより正の値を示している。
波形UV1の起点を、三相交流発電機1の線間出力電圧一周期の原点として以下説明する。すなわち、原点は、位相角が0°のときを表している。
【0101】
ここで、図10(a)〜(c)にサイリスタの導通開始角を、基準位相0°に対して、90°、100°、110°にそれぞれ遅らせた時のサイリスタの導通時間の違いを、図中の網掛け部によってそれぞれ示す。
ここでは、各サイリスタの点弧はそれぞれの線間電圧の波形に対して同じ導通開始角だけ遅れたタイミングで、それぞれのサイリスタを点弧させた波形を示す。すなわち、各波形UV1、UW1、VW1、VU1、WU1、WV1の基準位相に対して、通電波形UV1a、UW1a、VW1a、VU1a、WU1a、WV1aなどで示す。
導通開始角がそろった条件の波形を示している。
サイリスタS1〜S9の導通開始角は、それぞれの位相で60°〜180°の範囲内で設定が可能である。
また、点弧されたサイリスタは、逆バイアス電圧がかかるまで導通状態が維持される。
【0102】
このようにして、サイリスタを導通させる期間を制御することで、三相交流発電機1からバッテリ3への電力を制限し、充電量を制御する。
【0103】
図11は、充電制御部30および点弧順生成部31に接続される三相交流発電機1、充電状態検出部20、整流処理部40との接続を示す概略ブロック図である。
充電制御部30は、点弧順生成部31が主たる構成要素となる。
点弧順生成部31は、6個の比較器311〜316、9個のパルス発生器321〜329、23個のダイオードD331〜D336、D341〜D346、D351〜D359、D351〜D359、2個のDフリップフロップFF361〜FF362、6個のスイッチ371〜376、入力端子IP381〜IP389、出力端子OP391〜OP399を備える。
【0104】
比較器311〜316は、2個の入力端子と出力端子を有し、入力端子に入力されるアナログ信号の電圧を比較し、判定結果を論理的に出力する電圧比較器である。第1の入力端子の電圧が、第2の入力端子の電圧より、高い電圧となるときに出力端子から「H(ハイ)」が出力される。
【0105】
パルス発生器321〜329は、トリガ入力に入力される信号の立ち上がりエッジを検出し、検出すると出力に予め定められた期間「H」となるパルスを出力するワンショット回路である。また、図示されていないが、出力端子の初期状態は「L」が出力される。
【0106】
DフリップフロップFF361〜FF362は、クロック入力端子に入力される信号の立ち上がりエッジを検出すると、D入力端子に入力された信号の論理状態を保持し、出力端子に出力するDフリップフロップである。出力端子Qの状態は、クロック入力端子に入力される信号の次の立ち上がりエッジを検出するまで保持される。また、図示されていないが、出力端子の初期状態は「L」が出力される。
【0107】
スイッチ371〜376は、それぞれが制御機能つきSPST(Single-Pole/Single-Throw)スイッチであり、制御端子に「H」が入力されるとスイッチが導通される。
【0108】
次に主たる構成要素の接続を示す。
比較器311は、第1の入力端子が入力端子IP381に接続され、第2の入力端子が入力端子IP387に接続され、出力端子がダイオードD331とD341のアノードに接続される。
パルス発生器321は、クロック入力端子がダイオードD341のカソードに接続され、出力端子がダイオードD351のアノードに接続される。
ダイオード351のカソードは、出力端子OP398に接続される。
比較器312は、第1の入力端子が入力端子IP382に接続され、第2の入力端子が入力端子IP387に接続され、出力端子がダイオードD332とD342のアノードに接続される。
パルス発生器323は、クロック入力端子がダイオードD342のカソードに接続され、出力端子がダイオードD353のアノードに接続される。
ダイオード353のカソードは、出力端子OP399に接続される。
パルス発生器322は、クロック入力端子がダイオードD331とダイオードD332のカソードに接続され、出力端子がダイオードD352のアノードに接続される。ダイオードD331とダイオードD332とにより、それぞれのアノードに入力される信号が論理的に加算され、パルス発生器322に入力される。
【0109】
比較器313は、第1の入力端子が入力端子IP383に接続され、第2の入力端子が入力端子IP387に接続され、出力端子がダイオードD333とD343のアノードに接続される。
パルス発生器324は、クロック入力端子がダイオードD343のカソードに接続され、出力端子がダイオードD354のアノードに接続される。
ダイオード354のカソードは、出力端子OP398に接続される。
比較器312は、第1の入力端子が入力端子IP382に接続され、第2の入力端子が入力端子IP387に接続され、出力端子がダイオードD334とD344のアノードに接続される。
パルス発生器326は、クロック入力端子がダイオードD344のカソードに接続され、出力端子がダイオードD356のアノードに接続される。
ダイオード356のカソードは、出力端子OP397に接続される。
パルス発生器325は、クロック入力端子がダイオードD333とダイオードD334のカソードに、出力端子がダイオードD355のアノードに接続される。ダイオードD333とダイオードD334とにより、それぞれのアノードに入力される信号が論理的に加算され、パルス発生器325に入力される。
【0110】
比較器311は、第1の入力端子が入力端子IP385に接続され、第2の入力端子が入力端子IP387に接続され、出力端子がダイオードD335とD345のアノードに接続される。
パルス発生器321は、クロック入力端子がダイオードD345のカソードに接続され、出力端子がダイオードD356のアノードに接続される。
ダイオード356のカソードは、出力端子OP397に接続される。
比較器312は、第1の入力端子が入力端子IP386に接続され、第2の入力端子が入力端子IP387に接続され、出力端子がダイオードD336とD346のアノードに接続される。
パルス発生器323は、クロック入力端子がダイオードD346のカソードに接続され、出力端子がダイオードD357のアノードに接続される。
ダイオード357のカソードは、出力端子OP399に接続される。
パルス発生器326は、クロック入力端子がダイオードD335とダイオードD336のカソードに、出力端子がダイオードD358のアノードに接続される。ダイオードD335とダイオードD336とにより、それぞれのアノードに入力される信号が論理的に加算され、パルス発生器328に入力される。
【0111】
DフリップフロップFF361は、D入力が入力端子388に接続され、クロック入力端子がパルス発生器321の出力端子に接続され、出力端子がスイッチ371、372、373の制御端子に接続される。
DフリップフロップFF362は、D入力が入力端子389に接続され、クロック入力端子がパルス発生器321の出力端子に接続され、出力端子をスイッチ374、375、376の制御端子に接続される。
【0112】
スイッチ371は、信号端子の一端がダイオード352のカソードに接続され、信号端子の他端が出力端子OP391に接続される。
スイッチ372は、信号端子の一端がダイオード358のカソードに接続され、信号端子の他端が出力端子OP392に接続される。
スイッチ373は、信号端子の一端がダイオード355のカソードに接続され、信号端子の他端が出力端子OP393に接続される。
【0113】
スイッチ374は、信号端子の一端がダイオード352のカソードに接続され、信号端子の他端が出力端子OP394に接続される。
スイッチ375は、信号端子の一端がダイオード358のカソードに接続され、信号端子の他端が出力端子OP395に接続される。
スイッチ376は、信号端子の一端がダイオード355のカソードに接続され、信号端子の他端が出力端子OP396に接続される。
【0114】
入力端子IP381は、同期信号検出部10に接続され、同期信号検出部10から波形DLTUVを基準とする三角波が入力される。
入力端子IP382は、同期信号検出部10に接続され、同期信号検出部10から波形DLTUWを基準とする三角波が入力される。
入力端子IP383は、同期信号検出部10に接続され、同期信号検出部10から波形DLTWVを基準とする三角波が入力される。
入力端子IP384は、同期信号検出部10に接続され、同期信号検出部10から波形DLTWUを基準とする三角波が入力される。
入力端子IP385は、同期信号検出部10に接続され、同期信号検出部10から波形DLTVWを基準とする三角波が入力される。
入力端子IP386は、同期信号検出部10に接続され、同期信号検出部10から波形DLTVUを基準とする三角波が入力される。
【0115】
入力端子IP387は、充電状態検出部20の出力端子OP291に接続され、充電状態検出部20から誤差信号が入力される。
入力端子IP388は、充電状態検出部20の出力端子OP292に接続され、充電状態検出部20から選択信号1が入力される。
入力端子IP389は、充電状態検出部20の出力端子OP293に接続され、充電状態検出部20から選択信号2が入力される。
【0116】
出力端子OP391は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA1を介して、サイリスタS1のゲートに接続される。出力端子OP391からは、U相にかかるサイリスタS1を点弧させるタイミング信号が出力される。
出力端子OP392は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA2を介して、サイリスタS2のゲートに接続される。出力端子OP392からは、V相にかかるサイリスタS2を点弧させるタイミング信号が出力される。
出力端子OP393は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA3を介して、サイリスタS3のゲートに接続される。出力端子OP393からは、W相にかかるサイリスタS3を点弧させるタイミング信号が出力される。
【0117】
出力端子OP394は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA4を介して、サイリスタS4のゲートに接続される。出力端子OP394からは、U相にかかるサイリスタS4を点弧させるタイミング信号が出力される。
出力端子OP395は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA5を介して、サイリスタS5のゲートに接続される。出力端子OP395からは、V相にかかるサイリスタS5を点弧させるタイミング信号が出力される。
出力端子OP396は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA6を介して、サイリスタS6のゲートに接続される。出力端子OP396からは、W相にかかるサイリスタS6を点弧させるタイミング信号が出力される。
【0118】
出力端子OP397は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA7を介して、サイリスタS7のゲートに接続される。出力端子OP397からは、U相にかかるサイリスタS7を点弧させるタイミング信号が出力される。
出力端子OP398は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA8を介して、サイリスタS8のゲートに接続される。出力端子OP398からは、V相にかかるサイリスタS8を点弧させるタイミング信号が出力される。
出力端子OP399は、整流処理部40のサイリスタ点弧回路41に接続され、ドライバ回路TA9を介して、サイリスタS9のゲートに接続される。出力端子OP399からは、W相にかかるサイリスタS9を点弧させるタイミング信号が出力される。
【0119】
図12を参照して、点弧順生成部31の動作を説明する。
この図は、UV線間電圧を整流する際に、対応するサイリスタへの点弧信号を発生させる原理を示す図である。
この図のx軸は、時間の経過を示す。時刻t110から時刻t118までの時間は、三相交流発電機1の出力周波数の2周期に当たる時間である。
【0120】
グラフ(a)は、三相交流発電機1のUV線間電圧出力の絶対値を示す波形である。すなわち、全波整流された波形に相当する。
この電圧波形が0Vとなる時刻を基準として順に、時刻t110、t112、t114、t116、t118と定める。
【0121】
グラフ(b)は、グラフ(a)に示した三相交流発電機1のUV線間電圧出力に同期した矩形波RECUVの変化を示す。
このグラフが示す矩形波RECUVが、「H」となる期間が、UV線間電圧出力を正の値を示す期間を示し、「L(ロー)」となる期間は、UV線間電圧出力が負の値を示す期間を示す。
【0122】
グラフ(c)に示す第1の波形である波形DLTUVは、UV線間電圧出力に同期し、時刻t110から時刻t112の間、初期値から単調増加する三角波と、時刻t112から時刻t114が先の三角波の初期値を連続的に示す波形とが交互に切り換わる基準波形を示す。
この波形の信号は、同期信号検出部10から点弧順生成部31の入力端子IP381に入力される信号に相当する。
第2の波形である波形FBは、充電状態検出部20に入力されたバッテリ3の電位と基準電位VREF3の電位差をもとに充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の波形である。
【0123】
グラフ(d)に示す波形は、グラフ(b)に示した2つの信号が入力された比較器311の出力信号である。
入力された第1の波形である波形DLTUVの電圧が、第2の波形である波形FBの電圧より高いときに、「H」が出力される(時刻t111からt112までなど)。
【0124】
グラフ(e)に示すパルスは、グラフ(d)の信号が入力されたパルス発生器322から出力されるパルスである。この信号をもとにサイリスタS1を点弧させる信号を示す。
グラフ(f)に示すパルスは、後述するグラフ(h)の信号が入力されたパルス発生器328から出力されるパルスである。この信号をもとにサイリスタS2を点弧させる信号を示す。
【0125】
グラフ(g)に示す第1の波形である波形DLTVUは、UV線間電圧出力に同期し、時刻t112から時刻t114の間、初期値から単調増加する三角波と、時刻t114から時刻t116が先の三角波の初期値を連続的に示す波形が交互に切り換わる基準波形を示す。
この波形の信号は、同期信号検出部10から点弧順生成部31の入力端子IP386に入力される信号に相当する。
第2の波形である波形FBは、充電状態検出部20に入力されたバッテリ3の電位と基準電位VREF3の電位差をもとに充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の波形である。
【0126】
グラフ(h)に示す波形は、グラフ(g)に示した2つの信号が入力された比較器316の出力信号である。
入力された第1の波形である波形DLTVUの電圧が、第2の波形である波形FBの電圧より高いときに、「H」が出力される(時刻t113からt114までなど)。
【0127】
グラフ(i)に示すパルスは、グラフ(d)の信号が入力されたパルス発生器322から出力されるパルスである。この信号をもとにサイリスタS8を点弧させる信号を示す。
グラフ(j)に示すパルスは、グラフ(h)の信号が入力されたパルス発生器328から出力されるパルスである。この信号をもとにサイリスタS7を点弧させる信号を示す。
【0128】
まず、(b)同期信号検出部10は、充電状態検出部20に入力する矩形波RECUVを三相交流発電機1からの交流出力に同期して時刻t110で立ち上げ、(c)あわせて同期信号検出部10が充電状態検出部20に入力する波形DLTUVの電圧を徐々に増加させる。
(c)同期信号検出部10が充電状態検出部20に入力する波形DLTUVの電圧が、時刻t111で、充電状態検出部20が充電制御部30に入力する誤差信号の波形FBの電圧より高くなると、(d)電圧の変化を検出した充電制御部30の比較器311は、出力が反転して「H」を出力する。
充電制御部30のパルス発生器322、321が比較器311の出力の立ち上がりエッジを検出すると、充電制御部30は、サイリスタの点弧制御信号TRGS11(e)とTRGS81(i)を出力する。
この点弧制御信号が入力されたサイリスタS1とS8は、点弧され、導通を開始する。
【0129】
時刻t112になると、サイリスタS1とS8は、逆バイアスされることにより遮断する。
【0130】
続いて、(b)同期信号検出部10は、充電状態検出部20に入力する矩形波RECUVを三相交流発電機1からの交流出力に同期して時刻t112で立ち下げ、(c)あわせて同期信号検出部10は、充電状態検出部20に入力する波形DLTUVを立ち下げ、(g)あわせて同期信号検出部10は、充電状態検出部20に入力する波形DLTVUを徐々に増加させる。
(g)同期信号検出部10が充電状態検出部20に入力する波形DLTVUの電圧が、時刻t113で、充電状態検出部20が充電制御部30に入力する誤差信号の波形FBの電圧より高くなると、(h)電圧の変化を検出した充電制御部30の比較器316は、出力が反転して「H」を出力する。
充電制御部30のパルス発生器328、329が比較器316の出力の立ち上がりエッジを検出すると、充電制御部30は、サイリスタの点弧制御信号TRGS21(f)とTRGS71(j)が出力する。
この点弧制御信号が入力されたサイリスタS2とS7は、点弧され、導通を開始する。
【0131】
時刻t114になると、サイリスタS2とS7は、逆バイアスされることにより遮断する。
この動作をそれぞれの相の信号を参照して繰り返し行い、三相交流からの充電量を制御する。
【0132】
図12おける説明は、バッテリ3への充電を行う場合を例として説明した。
なお、バッテリ4への充電を行う場合の説明は、サイリスタS1〜S3をサイリスタS4〜S6に、バッテリ3をバッテリ4に読み替えることにより置き換えることができる。
【0133】
図13を参照して、三相それぞれ導通開始角を判定するしくみについて示す。
この図は、図12で示したUV相における動作を、三相まとめて示したタイミングチャートである。
グラフ(a)は、三相交流発電機1のUV線間電圧に同期する信号として同期信号検出部10で生成した矩形波RECUVの変化を示す。
UV相の電圧波形が0Vとなる時刻を基準として順に、時刻t120U、t122U、t124U、t126U、t128Uと定める。
このグラフの矩形波RECUVが、「H」となる期間が、UV線間電圧出力を正の値を示す期間とすると、「L」となる期間は、UV線間電圧出力が負の値を示す期間になる。
【0134】
グラフ(b)に示す第1の波形である波形DLTUVは、UV線間電圧出力に同期し、時刻t120Uから時刻t122Uの間、初期値から単調増加する三角波と、時刻t122Uから時刻t124Uが先の三角波の初期値を示す波形が連続する基準波形を示す。
この波形の信号は、同期信号検出部10が生成し、同期信号検出部10が点弧順生成部31の入力端子IP381に入力する信号に相当する。
第2の波形である波形FBは、充電状態検出部20に入力されたバッテリ3の電位と基準電位VREF3の電位差をもとに充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の波形である。
【0135】
グラフ(c)に示す第1の波形である波形DLTVUは、UV線間電圧出力に同期し、時刻t122Uから時刻t124Uの間、初期値から単調増加する三角波と、時刻t124Uから時刻t126Uが先の三角波の初期値を示す波形が連続する基準波形を示す。
この波形の信号は、同期信号検出部10が生成し、同期信号検出部10が点弧順生成部31の入力端子IP386に入力する信号に相当する。
第2の波形である波形FBは、充電状態検出部20に入力されたバッテリ3の電位と基準電位VREF3の電位差をもとに充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の波形である。
【0136】
グラフ(d)に示す波形は、グラフ(b)に示した第1の波形である波形DLTUVの電圧ならびにグラフ(c)に示した第1の波形である波形DLTVUの電圧が、第2の波形である波形FBの電圧より高いと充電制御部30が判定したときに、充電制御部30が整流処理部40に出力するサイリスタS1、S2への点弧制御信号の波形である。
ここで示すパルスは、バッテリの正極に接続されているサイリスタを点弧させるタイミングパルスの発生位置を示している。
【0137】
グラフ(e)に示す波形は、グラフ(b)に示した第1の波形である波形DLTUVの電圧ならびにグラフ(c)に示した第1の波形である波形DLTVUの電圧が、第2の波形である波形FBの電圧より高いと充電制御部30が判定したときに、充電制御部30が整流処理部40に出力するサイリスタS7、S8への点弧制御信号の波形である。
ここで示すパルスは、バッテリの負極に接続されているサイリスタを点弧させるタイミングパルスの発生位置を示している。
【0138】
グラフ(f)は、三相交流発電機1のVW線間電圧出力に同期する信号として同期信号検出部10で生成した矩形波RECVWの変化を示す。
VW相の電圧波形が0Vとなる時刻を基準として順に、時刻t122V、t124V、t126V、t128Vと定める。
このグラフの矩形波RECVWが、「H」となる周期が、VW線間電圧出力を正の値を示す期間とすると、「L」となる期間は、VW線間電圧出力が負の値を示す期間になる。
【0139】
グラフ(g)に示す第1の波形である波形DLTVWは、VW線間電圧出力に同期し、時刻t122Vから時刻t124Vの間、初期値から単調増加する三角波と、時刻t124Vから時刻t126Vが先の三角波の初期値を示す波形が連続する基準波形を示す。
この波形の信号は、同期信号検出部10が生成し、同期信号検出部10が点弧順生成部31の入力端子IP385に入力する信号に相当する。
第2の波形である波形FBは、充電状態検出部20に入力されたバッテリ3の電位と基準電位VREF3の電位差をもとに充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の波形である。
【0140】
グラフ(h)に示す第1の波形である波形DLTWVは、VW線間電圧出力に同期し、時刻t124Vから時刻t126Vの間、初期値から単調増加する三角波と、時刻t126Vから時刻t128Vが先の三角波の初期値を示す波形が連続する基準波形を示す。
この波形の信号は、同期信号検出部10が生成し、同期信号検出部10が点弧順生成部31の入力端子IP383に入力する信号に相当する。
第2の波形である波形FBは、充電状態検出部20に入力されたバッテリ3の電位と基準電位VREF3の電位差をもとに充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の波形である。
【0141】
グラフ(i)に示す波形は、グラフ(g)に示した第1の波形である波形DLTVWの電圧ならびにグラフ(h)に示した第1の波形である波形DLTWVの電圧が、第2の波形である波形FBの電圧より高いと充電制御部30が判定したときに、充電制御部30が整流処理部40に出力するサイリスタS2、S3への点弧制御信号の波形である。
ここで示すパルスは、バッテリの正極に接続されているサイリスタを点弧させるタイミングパルスの発生位置を示している。
【0142】
グラフ(j)に示す波形は、グラフ(g)に示した第1の波形である波形DLTVWの電圧ならびにグラフ(h)に示した第1の波形である波形DLTWVの電圧が、第2の波形である波形FBの電圧より高いと充電制御部30が判定したときに、充電制御部30が整流処理部40に出力するサイリスタS8、S9への点弧制御信号の波形である。
ここで示すパルスは、バッテリの負極に接続されているサイリスタを点弧させるタイミングパルスの発生位置を示している。
【0143】
グラフ(k)は、三相交流発電機1のWU線間電圧出力に同期する信号として同期信号検出部10で生成した矩形波RECWUの変化を示す。
WU相の電圧波形が0Vとなる時刻を基準として順に、時刻t122W、t124W、t126Wと定める。
このグラフの矩形波RECWUが、「H」となる周期が、WU線間電圧出力を正の値を示す期間とすると、「L」となる期間は、WU線間電圧出力が負の値を示す期間になる。
【0144】
グラフ(l)に示す第1の波形である波形DLTWUは、WU線間電圧出力に同期し、時刻t122Wから時刻t124Wの間、初期値から単調増加する三角波と、時刻t124Wから時刻t126Wが先の三角波の初期値を示す波形が連続する基準波形を示す。
この波形の信号は、同期信号検出部10が生成し、同期信号検出部10が点弧順生成部31の入力端子IP384に入力する信号に相当する。
第2の波形である波形FBは、充電状態検出部20に入力されたバッテリ3の電位と基準電位VREF3の電位差をもとに充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の波形である。
【0145】
グラフ(m)に示す第1の波形である波形DLTUWは、WU線間電圧出力に同期し、時刻t124Wから時刻t126Wの間、初期値から単調増加する三角波と、時刻t126Wから時刻t128Wが先の三角波の初期値を示す波形が連続する基準波形を示す。
この波形の信号は、同期信号検出部10が生成し、同期信号検出部10が点弧順生成部31の入力端子IP382に入力する信号に相当する。
第2の波形である波形FBは、充電状態検出部20に入力されたバッテリ3の電位と基準電位VREF3の電位差をもとに充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の波形である。
【0146】
グラフ(n)に示す波形は、グラフ(l)に示した第1の波形である波形DLTWUの電圧ならびにグラフ(m)に示した第1の波形である波形DLTUWの電圧が、第2の波形である波形FBの電圧より高いと充電制御部30が判定したときに、充電制御部30が整流処理部40に出力するサイリスタS1、S3への点弧制御信号の波形である。
ここで示すパルスは、バッテリの正極に接続されているサイリスタを点弧させるタイミングパルスの発生位置を示している。
【0147】
グラフ(o)に示す波形は、グラフ(l)に示した第1の波形である波形DLTWUの電圧ならびにグラフ(m)に示した第1の波形である波形DLTUWの電圧が、第2の波形である波形FBの電圧より高いと充電制御部30が判定したときに、充電制御部30が整流処理部40に出力するサイリスタS7、S9への点弧制御信号の波形である。
ここで示すパルスは、バッテリの負極に接続されているサイリスタを点弧させるタイミングパルスの発生位置を示している。
【0148】
図の(b)、(c)、(h)、(i)、(l)、(m)に記載の波形FBは、誤差信号をあらわし同じ波形である。
UV相、VW相、WU相それぞれ、三相交流発電機1の交流出力電圧の1周期の間に、2回サイリスタの点弧タイミングが生成され、充電状態検出部20が生成し充電制御部30に入力する誤差信号の電圧の大きさに応じて、充電制御部30が整流処理部40に出力するサイリスタを点弧される信号の生成される時刻が前後する。
【0149】
上記では、バッテリ3に接続されているサイリスタS1〜S3、S7〜S9についての点弧タイミング信号の生成順について示した。
各バッテリにサイリスタは接続されているが、サイリスタS7〜S9は、各バッテリの共通回路となっているので、バッテリ3とバッテリ4に共通に接続されている。
バッテリの正極に接続されているサイリスタS1〜S3は、バッテリごとに独立した回路を構成している。前述の点弧タイミング生成において、それぞれのバッテリの充電期間に応じて、入力される誤差信号が、充電状態検出部20内部で切り換えられて入力され、また、生成したタイミング信号は、充電状態検出部20から入力される選択信号1、2により、充電するバッテリにかかるサイリスタにしか点弧タイミング信号が送出されないようにされている。
【0150】
サイリスタの正極に接続されたサイリスタの点弧回路に向けて信号が出力される前に、図10に示したスイッチ371〜376によって信号の出力が切り換えられ、タイミングパルスを出力するスイッチだけ導通するように切換信号端子が制御される。
充電状態検出部20から入力された選択信号は、サイリスタS1の点弧タイミングをパルス発生器321が検出し、出力パルス信号が送出された段階でDフリップフロップFF361、FF362のD入力端子の状態がDフリップフロップFF361、362で保持される。
DフリップフロップFF361、362は、DフリップフロップFF361、362で保持された状態による出力信号を、前述のスイッチ371〜376の切換を制御する制御信号として利用し、スイッチ371〜376の制御信号端子に入力する。
サイリスタS7〜S9への点弧制御信号には、サイリスタS1〜S6側で配置されているようなスイッチは不要とした。
ここで仮に、サイリスタS7〜S9に対してのみ点弧制御信号が出力されても、正極側に接続されているサイリスタS1〜S6への点弧制御信号が送出されないので、三相交流発電機1の出力が、バッテリに接続されることはない。
また、モード4という条件では、誤差信号の電圧が高くなり、点弧信号タイミングを決定する比較の対象範囲を超えているので、判定周期の間において比較器311〜316の出力が「H」に変化しない。
【0151】
図13における説明は、バッテリ3への充電を行う場合を例として説明した。
バッテリ4への充電を行う場合の説明は、サイリスタS1〜S3をサイリスタS4〜S6に、バッテリ3をバッテリ4に、基準電圧VREF3を基準電圧VREF4に読み替えることにより置き換えることができる。
【0152】
図14を参照して、バッテリ3、4の正極に接続されているサイリスタS1〜S9への点弧信号の出力について示す。
この図では、点弧信号の出力は、各バッテリの充電状況に応じて判定された前述の「モード」判定に従い切り換えられる状態を示している。
モード判定部23によって判定された結果によるモード番号と、判定フラグの状態により決定され、モード判定部23が充電制御部30に入力する選択信号1、2によって、充電するバッテリが指定され、充電制御部30は、対応するバッテリのサイリスタに対してサイリスタ点弧制御信号を整流制御部40に送出する。
すなわち、本バッテリ充電装置2は、選択信号1が「1」のときに、バッテリ3の充電を行い、選択信号2が「1」のときには、バッテリ4の充電を行う。
バッテリ3の充電を行うときには、サイリスタS1〜S3とサイリスタS7〜S9が点弧される。
バッテリ4の充電を行うときには、サイリスタS4〜S9が点弧される。
【0153】
また、先に説明したように選択信号1、2がともに「0」の時に、充電制御部30は、バッテリ3、4の正極に接続されているサイリスタS1〜S6に対して、点弧信号を送出しないようにスイッチ371〜376で遮断しているため点弧制御信号が出力されない。
この図のモード4の欄において、図11のブロック図に合わせサイリスタS7〜S9には、「○」印を記載している。しかし、実際の動作では、点弧制御信号は出力される条件となる入力信号が存在しないのは先に説明したとおりである。
【0154】
図15〜図18を参照して、連続して充電動作を行うときのモード切換動作を示す。
この図では、x軸方向に時間が経過する。図15から図18まで順につながるタイミングチャートである。
【0155】
時刻t141、t142、t143、t144、t145、t146、t147、t148、t149のタイミングでバッテリ3、4の充電状態を充電状態検出部20が検出するものとする。
ここで示す充電状態検出部20が行う検出間隔は、三相交流発電機1の1周期にあたり、検出するタイミングは、UV相の電圧波形の位相が0°を示すときになる。
すなわち、時刻t141、t142、t143、t144、t145、t146、t147、t148で始まる8周期にまたがる充電動作を示す。
三相交流発電機1の線間電圧を全波整流したときの電圧波形を破線で示した。例えば、第1周期目においては、UV11、UW11、VW11、VU11、WU11、WV11の6個の半周期の電圧波形で1周期となる。
本装置では、破線で示された電圧波形が有する電力の一部をサイリスタへの点弧制御によりバッテリに充電する電力として切り出す制御を行う。充電を行う位相は、網掛けされた範囲となる。例えば、第1周期目においては、波形UV11a、UW11a、VW11a、VU11a、WU11a、WV11aが充電を行うために充電制御部30が指定する位相を示す。
【0156】
また、図15〜図18において、上記で説明した電圧波形の下に記載されている各欄の説明を行う。
状態検出欄に示す逆三角形(「▽」印)は、充電状態検出部20が、バッテリの状態検出を行うタイミングであることを示す。
モード欄は、上記の時刻で充電状態検出部20が検出した結果にしたがって、充電状態検出部20が選択したモードを示す。
バッテリ欄は、充電状態検出部20が充電制御部30に入力する選択信号をもとに、充電制御部30がその周期で充電するバッテリを示す。
充電状態検出部20によって検出された結果は、次の判定の周期においてUV相のサイリスタS1が点弧されるまで、充電状態検出部20は、ひとつ前の周期で判定された状態を保持する。
また、S1からS9までの欄は、充電制御部30が生成し整流処理部40に出力するそれぞれのサイリスタS1〜S9を点弧するタイミング信号を示す。
【0157】
はじめに、図15において時刻t141において、充電状態検出部20が最初の充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに充電不足の状態であり、充電状態検出部20によってモード1と判定される。
バッテリ3、4の双方に充電が必要であるが、充電状態検出部20に記憶されている選択フラグがセットされていない状態であったことにより、充電状態検出部20は、バッテリ3を選択する。また、充電状態検出部20は、バッテリ3が選択されたことによって、選択フラグをセットする。
充電状態検出部20は、入力されるバッテリ3の電圧の検出値を基に、基準電圧と比較し、誤差信号を生成し出力する。
充電制御部30は、充電状態検出部20が出力する誤差信号の電圧と、同期信号検出部10が出力する線間電圧に同期した三角波を含む基準信号との電圧を比較し、後者の電圧が前者の電圧より高くなったタイミングを検出する。充電制御部30は、検出したタイミングをもとにサイリスタの点弧制御信号を生成し、整流処理部40に入力する。
【0158】
整流処理部40は、入力された点弧制御信号をもとにサイリスタを下記に記す順序で点弧させ、サイリスタが点弧されているときに三相交流発電機1の交流出力電圧を整流してバッテリ3に出力する。
UV相においては、サイリスタS1とS8が時刻t141aで点弧され通電波形UV11aが出力される。
UW相においては、サイリスタS1とS9が時刻t141bで点弧され通電波形UV11bが出力される。
VW相においては、サイリスタS2とS9が時刻t141cで点弧され通電波形UV11cが出力される。
VU相においては、サイリスタS2とS7が時刻t141dで点弧され通電波形UV11dが出力される。
WU相においては、サイリスタS3とS7が時刻t141eで点弧され通電波形UV11eが出力される。
WV相においては、サイリスタS3とS8が時刻t141fで点弧され通電波形UV11fが出力される。
点弧されたサイリスタは、その相の電圧が0となる位相180°となるタイミングまで、それぞれのサイリスタは通電状態となる。
【0159】
時刻t142に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに充電不足と検出されモード1が選択される。また、バッテリ3、4の双方に充電が必要であるが、充電状態検出部20に記憶されている選択フラグがセットされている状態であったことにより、充電状態検出部20は、バッテリ4を選択する。また、充電状態検出部20は、バッテリ4が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電状態検出部20は、入力されるバッテリ4の電圧の検出値を基に、基準電圧と比較し、誤差信号を生成し出力する。
充電制御部30は、充電状態検出部20が出力する誤差信号の電圧と、同期信号検出部10が出力する線間電圧に同期した三角波を含む基準信号との電圧を比較し、後者の電圧が前者の電圧より高くなったタイミングを検出する。充電制御部30は、検出したタイミングをもとにサイリスタの点弧制御信号を生成し、整流処理部40に入力する。
【0160】
整流処理部40は、入力された点弧制御信号をもとにサイリスタを下記に記す順序で点弧させ、サイリスタが点弧されているときに三相交流発電機1の交流出力電圧を整流してバッテリ4に出力する。
UV相においては、サイリスタS4とS8が時刻t142aで点弧され通電波形UV12aが出力される。
UW相においては、サイリスタS4とS9が時刻t142bで点弧され通電波形UV12aが出力される。
VW相においては、サイリスタS5とS9が時刻t142cで点弧され通電波形UV12aが出力される。
VU相においては、サイリスタS5とS7が時刻t142dで点弧され通電波形UV12aが出力される。
WU相においては、サイリスタS6とS7が時刻t142eで点弧され通電波形UV12aが出力される。
WV相においては、サイリスタS6とS8が時刻t142fで点弧され通電波形UV12aが出力される。
サイリスタが点弧されると、その相の電圧が0となる位相180°となるタイミングまで、それぞれのサイリスタは通電状態となる。
この周期では、バッテリ3は充電されずに、バッテリ4が充電される。
【0161】
図16において、時刻t143に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3の充電不足が検出されモード3が選択される。このときバッテリ4の充電は基準レベル以上に充電されている。また、充電状態検出部20は、バッテリ3が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電状態検出部20は、入力されるバッテリ3の電圧の検出値を基に、基準電圧と比較し、誤差信号を生成し出力する。
充電制御部30は、充電状態検出部20が出力する誤差信号の電圧と、同期信号検出部10が出力する線間電圧に同期した三角波を含む基準信号との電圧を比較し、後者の電圧が前者の電圧より高くなったタイミングを検出する。充電制御部30は、検出したタイミングをもとにサイリスタの点弧制御信号を生成し、整流処理部40に入力する。
【0162】
整流処理部40は、入力された点弧制御信号をもとにサイリスタを下記に記す順序で点弧させ、サイリスタが点弧されているときに三相交流発電機1の交流出力電圧を整流してバッテリ3に出力する。
UV相においては、サイリスタS1とS8が時刻t143aで点弧され通電波形UV13aが出力される。
UW相においては、サイリスタS1とS9が時刻t143bで点弧され通電波形UV13aが出力される。
VW相においては、サイリスタS2とS9が時刻t143cで点弧され通電波形UV13aが出力される。
VU相においては、サイリスタS2とS7が時刻t143dで点弧され通電波形UV13aが出力される。
WU相においては、サイリスタS3とS7が時刻t143eで点弧され通電波形UV13aが出力される。
WV相においては、サイリスタS3とS8が時刻t143fで点弧され通電波形UV13aが出力される。
サイリスタが点弧されると、その相の電圧が0となる位相180°となるタイミングまで、それぞれのサイリスタは通電状態となる。
この周期では、バッテリ4は充電されずに、バッテリ3が充電される。
【0163】
時刻t144に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3の充電不足が検出されモード3が選択される。このときバッテリ4の充電は基準レベル以上に充電されている。また、充電状態検出部20は、バッテリ3が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電状態検出部20は、入力されるバッテリ3の電圧の検出値を基に、基準電圧と比較し、誤差信号を生成し出力する。
充電制御部30は、充電状態検出部20が出力する誤差信号の電圧と、同期信号検出部10が出力する線間電圧に同期した三角波を含む基準信号との電圧を比較し、後者の電圧が前者の電圧より高くなったタイミングを検出する。充電制御部30は、検出したタイミングをもとにサイリスタの点弧制御信号を生成し、整流処理部40に入力する。
【0164】
整流処理部40は、入力された点弧制御信号をもとにサイリスタを下記に記す順序で点弧させ、サイリスタが点弧されているときに三相交流発電機1の交流出力電圧を整流してバッテリ3に出力する。
UV相においては、サイリスタS1とS8が時刻t144aで点弧され通電波形UV14aが出力される。
UW相においては、サイリスタS1とS9が時刻t144bで点弧され通電波形UV14aが出力される。
VW相においては、サイリスタS2とS9が時刻t144cで点弧され通電波形UV14aが出力される。
VU相においては、サイリスタS2とS7が時刻t144dで点弧され通電波形UV14aが出力される。
WU相においては、サイリスタS3とS7が時刻t144eで点弧され通電波形UV14aが出力される。
WV相においては、サイリスタS3とS8が時刻t144fで点弧され通電波形UV14aが出力される。
サイリスタが点弧されると、その相の電圧が0となる位相180°となるタイミングまで、それぞれのサイリスタは通電状態となる。
この周期では、バッテリ4は充電されずに、バッテリ3が充電される。
【0165】
図17において、時刻t145に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ4の充電不足が検出されモード2が選択される。このときバッテリ3の充電は基準レベル以上に充電されている。また、充電状態検出部20は、バッテリ4が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電状態検出部20は、入力されるバッテリ4の電圧の検出値を基に、基準電圧と比較し、誤差信号を生成し出力する。
充電制御部30は、充電状態検出部20が出力する誤差信号の電圧と、同期信号検出部10が出力する線間電圧に同期した三角波を含む基準信号との電圧を比較し、後者の電圧が前者の電圧より高くなったタイミングを検出する。充電制御部30は、検出したタイミングをもとにサイリスタの点弧制御信号を生成し、整流処理部40に入力する。
【0166】
整流処理部40は、入力された点弧制御信号をもとにサイリスタを下記に記す順序で点弧させ、サイリスタが点弧されているときに三相交流発電機1の交流出力電圧を整流してバッテリ4に出力する。
UV相においては、サイリスタS4とS8が時刻t145aで点弧され通電波形UV15aが出力される。
UW相においては、サイリスタS4とS9が時刻t145bで点弧され通電波形UV15aが出力される。
VW相においては、サイリスタS5とS9が時刻t145cで点弧され通電波形UV15aが出力される。
VU相においては、サイリスタS5とS7が時刻t145dで点弧され通電波形UV15aが出力される。
WU相においては、サイリスタS6とS7が時刻t145eで点弧され通電波形UV15aが出力される。
WV相においては、サイリスタS6とS8が時刻t145fで点弧され通電波形UV15aが出力される。
サイリスタが点弧されると、その相の電圧が0となる位相180°となるタイミングまで、それぞれのサイリスタは通電状態となる。
この周期では、バッテリ3は充電されずに、バッテリ4が充電された。
【0167】
時刻t146に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに基準値以上に充電されていることが検出されモード4が選択される。また、充電状態検出部20は、モード4が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
この周期では、充電を行わないため各サイリスタへの点弧信号は送出されない。
このモード4と検出された周期では、バッテリ3、4ともに充電されない。
【0168】
図18において、時刻t147において、充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに充電不足の状態であり、充電状態検出部20によってモード1と判定される。
バッテリ3、4の双方に充電が必要であるが、充電状態検出部20に記憶されている選択フラグがセットされていない状態であったことにより、充電状態検出部20は、バッテリ3を選択する。また、充電状態検出部20は、バッテリ3が選択されたことによって、選択フラグをセットする。
充電状態検出部20は、入力されるバッテリ3の電圧の検出値を基に、基準電圧と比較し、誤差信号を生成し出力する。
充電制御部30は、充電状態検出部20が出力する誤差信号の電圧と、同期信号検出部10が出力する線間電圧に同期した三角波を含む基準信号との電圧を比較し、後者の電圧が前者の電圧より高くなったタイミングを検出する。充電制御部30は、検出したタイミングをもとにサイリスタの点弧制御信号を生成し、整流処理部40に入力する。
【0169】
整流処理部40は、入力された点弧制御信号をもとにサイリスタを下記に記す順序で点弧させ、サイリスタが点弧されているときに三相交流発電機1の交流出力電圧を整流してバッテリ3に出力する。
UV相においては、サイリスタS1とS8が時刻t147aで点弧され通電波形UV17aが出力される。
UW相においては、サイリスタS1とS9が時刻t147bで点弧され通電波形UV17aが出力される。
VW相においては、サイリスタS2とS9が時刻t147cで点弧され通電波形UV17aが出力される。
VU相においては、サイリスタS2とS7が時刻t147dで点弧され通電波形UV17aが出力される。
WU相においては、サイリスタS3とS7が時刻t147eで点弧され通電波形UV17aが出力される。
WV相においては、サイリスタS3とS8が時刻t147fで点弧され通電波形UV17aが出力される。
サイリスタが点弧されると、その相の電圧が0となる位相180°となるタイミングまで、それぞれのサイリスタは通電状態となる。
【0170】
時刻t148に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに充電不足と検出されモード1が選択される。また、バッテリ3、4の双方に充電が必要であるが、充電状態検出部20に記憶されている選択フラグがセットされている状態であったことにより、充電状態検出部20は、バッテリ4を選択する。また、充電状態検出部20は、バッテリ4が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電状態検出部20は、入力されるバッテリ4の電圧の検出値を基に、基準電圧と比較し、誤差信号を生成し出力する。
充電制御部30は、充電状態検出部20が出力する誤差信号の電圧と、同期信号検出部10が出力する線間電圧に同期した三角波を含む基準信号との電圧を比較し、後者の電圧が前者の電圧より高くなったタイミングを検出する。充電制御部30は、検出したタイミングをもとにサイリスタの点弧制御信号を生成し、整流処理部40に入力する。
【0171】
整流処理部40は、入力された点弧制御信号をもとにサイリスタを下記に記す順序で点弧させ、サイリスタが点弧されているときに三相交流発電機1の交流出力電圧を整流してバッテリ4に出力する。
UV相においては、サイリスタS4とS8が時刻t148aで点弧され通電波形UV18aが出力される。
UW相においては、サイリスタS4とS9が時刻t148bで点弧され通電波形UV18aが出力される。
VW相においては、サイリスタS5とS9が時刻t148cで点弧され通電波形UV18aが出力される。
VU相においては、サイリスタS5とS7が時刻t148dで点弧され通電波形UV18aが出力される。
WU相においては、サイリスタS6とS7が時刻t148eで点弧され通電波形UV18aが出力される。
WV相においては、サイリスタS6とS8が時刻t148fで点弧され通電波形UV18aが出力される。
サイリスタが点弧されると、その相の電圧が0となる位相180°となるタイミングまで、それぞれのサイリスタは通電状態となる。
この周期では、バッテリ3は充電されずに、バッテリ4が充電された。
【0172】
以上がこれらの図によって示される充電動作の説明である。
充電制御部30は、充電を行っているバッテリの充電電圧を逐次基準電圧と比較する。これにより、充電制御部30は、それぞれの点弧のタイミングを、充電量が少ないときには早め、充電量が多いときには遅くする。充電制御部30は、UV相で始まる交流1周期にあたる充電周期の中で合わせて6回サイリスタの点弧のタイミングを設定する。そして、それぞれの点弧のタイミングごとに、点弧させるタイミングを位相制御することにより充電する量を充電周期の中でも細かく制御することができる。
【0173】
以上により、三相交流発電機を複数備えることなく、複数のバッテリを適性に充電することを可能とするバッテリ充電装置2を提供できる。
【0174】
(第2実施形態):時分割制御
第1実施形態で示した充電量の制御方法は、図15から図18で説明したように充電状態検出部20によって検出された状態を基にしながら、その充電周期の間で、バッテリ電圧に基づいた充電量を逐次検出を行いながら充電量を位相制御により制御する方法を示した。
第2実施形態では、充電状態検出部20は、バッテリの充電状態の周期的な検出を、第1実施形態と同様に行うが、その周期的な検出点でのバッテリの充電状態をもとにして、次に充電状態検出部20の検出が行われるまで、最大充電量で充電するという変形が行われた形態を示す。
このときのバッテリの充電の切換は、充電状態検出部20による検出周期を基準とする周期をもとにして充電するバッテリが選択される。その選択された情報をもとにして、充電制御部30は、充電するバッテリを時分割で切り換え、充電されるバッテリへの充電量を制御する。
【0175】
図19から図22を参照し、連続して充電動作を行うときのモード切換動作を示す。
最大の充電量で充電するため、それぞれのサイリスタは、各線間電圧波形の基準位相から60°遅れたタイミングで点弧され、サイリスタが逆バイアスされるまで通電状態が保持される。
また、充電制御部30が行うサイリスタの点弧制御の順序は、バッテリ3への充電では、UV相においては、サイリスタS1とS8、UW相においては、サイリスタS1とS9、VW相においては、サイリスタS2とS9、VU相においては、サイリスタS2とS7、WU相においては、サイリスタS3とS7、WV相においては、サイリスタS3とS8の順でサイリスタが点弧される。
また、バッテリ4への充電では、UV相においては、サイリスタS4とS8、UW相においては、サイリスタS4とS9、VW相においては、サイリスタS5とS9、VU相においては、サイリスタS5とS7、WU相においては、サイリスタS6とS7、WV相においては、サイリスタS6とS8の順でサイリスタが点弧される。
【0176】
この図では、x軸方向に時間が経過する。図19から図22まで順につながるタイミングチャートである。
【0177】
時刻t151、t152、t153、t154、t155、t156、t157、t158、t159のタイミングでバッテリ3、4の充電状態を充電状態検出部20が検出するものとする。
ここで示す充電状態検出部20が行う検出間隔は、三相交流発電機1の1周期にあたり、検出するタイミングは、UV相の電圧波形の位相が0°を示すときになる。
すなわち、時刻t151、t152、t153、t154、t155、t156、t157、t158で始まる8周期の充電動作を示す。
三相交流発電機1の線間電圧を全波整流したときの電圧波形を破線で示した。例えば、第1周期目においては、UV21、UW21、VW21、VU21、WU21、WV21の6個の半周期の電圧波形で1周期となる。
【0178】
また、図19〜図22において、上記で説明した電圧波形の下に記載されている各欄の説明を行う。
状態検出欄に示す逆三角形(「▽」印)は、充電状態検出部20が、バッテリの状態検出を行うタイミングであることを示す。
モード欄は、上記の時刻で充電状態検出部20が検出した結果にしたがって、充電状態検出部20が選択したモードを示す。
バッテリ欄は、充電状態検出部20が充電制御部30に入力する選択信号をもとに、充電制御部30がその周期で充電するバッテリを示す。
充電状態検出部20によって検出された結果は、次の判定の周期においてUV相のサイリスタS1が点弧される60°遅延したタイミングまで、ひとつ前の周期で判定された状態が保持される。
また、S1からS9までの欄は、充電制御部30が生成し整流処理部40に出力するそれぞれのサイリスタS1〜S9を点弧するタイミング信号を示す。
それぞれのサイリスタが点弧されるタイミングは、基準位相の60°ごとに固定されたタイミングで点弧される。また、バッテリへの充電は、それぞれの位相で60°〜180°の間、通電状態となるので、各充電サイクルにおいて最大充電能力によって充電が行われることになる。
【0179】
はじめに、図19において時刻t151での充電状態検出部20による最初の充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに充電不足の状態であり、充電状態検出部20によってモード1と判定される。
バッテリ3、4の双方に充電が必要であるが、充電状態検出部20に記憶されている選択フラグがセットされていない状態であったことにより、充電状態検出部20は、バッテリ3を選択する。また、充電状態検出部20は、バッテリ3が選択されたことによって、選択フラグをセットする。
充電制御部30は、サイリスタS1とS8、サイリスタS1とS9、サイリスタS2とS9、サイリスタS2とS7、サイリスタS3とS7、サイリスタS3とS8の順で点弧信号を生成し、各サイリスタを点弧させ、バッテリ3を充電する。
この周期での通電波形UV21a、UW21a、VW21a、VU21a、WU21a、WV21aにより、バッテリ4は充電されずに、バッテリ3が充電される。
【0180】
時刻t152に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに充電不足と検出されモード1が選択される。また、バッテリ3、4の双方に充電が必要であるが、充電状態検出部20に記憶されている選択フラグがセットされている状態であったことにより、充電状態検出部20は、バッテリ4を選択する。また、充電状態検出部20は、バッテリ4が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電制御部30は、サイリスタS4とS8、サイリスタS4とS9、サイリスタS5とS9、サイリスタS5とS7、サイリスタS6とS7、サイリスタS6とS8の順で点弧信号を生成し、各サイリスタを点弧させ、バッテリ4を充電する。
この周期での通電波形UV22a、UW22a、VW22a、VU22a、WU22a、WV22aにより、バッテリ3は充電されずに、バッテリ4が充電される。
【0181】
図20において、時刻t153に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3の充電不足が検出されモード3が選択される。このときバッテリ4の充電は基準レベル以上に充電されている。また、充電状態検出部20は、バッテリ3が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電制御部30は、サイリスタS1とS8、サイリスタS1とS9、サイリスタS2とS9、サイリスタS2とS7、サイリスタS3とS7、サイリスタS3とS8の順で点弧信号を生成し、各サイリスタを点弧させ、バッテリ3を充電する。
この周期での通電波形UV23a、UW23a、VW23a、VU23a、WU23a、WV23aにより、バッテリ4は充電されずに、バッテリ3が充電される。
【0182】
時刻t154に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3の充電不足が検出されモード3が選択される。このときバッテリ4の充電は基準レベル以上に充電されている。また、充電状態検出部20は、バッテリ3が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電制御部30は、サイリスタS1とS8、サイリスタS1とS9、サイリスタS2とS9、サイリスタS2とS7、サイリスタS3とS7、サイリスタS3とS8の順で点弧信号を生成し、各サイリスタを点弧させ、バッテリ3を充電する。
この周期での通電波形UV24a、UW24a、VW24a、VU24a、WU24a、WV24aにより、バッテリ4は充電されずに、バッテリ3が充電される。
【0183】
図21において、時刻t155に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ4の充電不足が検出されモード2が選択される。このときバッテリ3の充電は基準レベル以上に充電されている。また、充電状態検出部20は、バッテリ4が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電制御部30は、サイリスタS4とS8、サイリスタS4とS9、サイリスタS5とS9、サイリスタS5とS7、サイリスタS6とS7、サイリスタS6とS8の順で点弧信号を生成し、各サイリスタを点弧させ、バッテリ4を充電する。
この周期での通電波形UV25a、UW25a、VW25a、VU25a、WU25a、WV25aにより、バッテリ3は充電されずに、バッテリ4が充電された。
【0184】
時刻t156に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに基準値以上に充電されていることが検出されモード4が選択される。また、充電状態検出部20は、バッテリ4が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
この周期では、充電を行わないため各サイリスタへの点弧信号は送出されない。
このモード4と検出された周期では、バッテリ3、4ともに充電されない。
【0185】
図22において、時刻t147において、充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに充電不足の状態であり、充電状態検出部20によってモード1と判定される。
バッテリ3、4の双方に充電が必要であるが、充電状態検出部20に記憶されている選択フラグがセットされていない状態であったことにより、充電状態検出部20は、バッテリ3を選択する。また、充電状態検出部20は、バッテリ3が選択されたことによって、選択フラグをセットする。
充電制御部30は、サイリスタS1とS8、サイリスタS1とS9、サイリスタS2とS9、サイリスタS2とS7、サイリスタS3とS7、サイリスタS3とS8の順で点弧信号を生成し、各サイリスタを点弧させ、バッテリ3を充電する。
この周期での通電波形UV27a、UW27a、VW27a、VU27a、WU27a、WV27aにより、バッテリ4は充電されずに、バッテリ3が充電された。
【0186】
時刻t148に充電状態検出部20は、次の周期に行う充電のための充電状態の検出を行う。充電状態検出部20が行った検出の結果は、バッテリ3、4ともに充電不足と検出されモード1が選択される。また、バッテリ3、4の双方に充電が必要であるが、充電状態検出部20に記憶されている選択フラグがセットされている状態であったことにより、充電状態検出部20は、バッテリ4を選択する。また、充電状態検出部20は、バッテリ4が選択されたことによって、選択フラグをクリアする。
充電制御部30は、サイリスタS4とS8、サイリスタS4とS9、サイリスタS5とS9、サイリスタS5とS7、サイリスタS6とS7、サイリスタS6とS8の順で点弧信号を生成し、各サイリスタを点弧させ、バッテリ4を充電する。
この周期での通電波形UV28a、UW28a、VW28a、VU28a、WU28a、WV28aにより、バッテリ3は充電されずに、バッテリ4が充電された。
【0187】
以上がこれらの図によって示される充電動作の説明である。
それぞれのサイリスタの点弧のタイミングは、基準位相の60°ごとに固定されたタイミングで点弧される。また、バッテリへの充電は、それぞれの位相で60°〜180°の間、通電状態となるので、各充電サイクルにおいて最大充電能力によって充電が行われることになる。
【0188】
以上により、三相交流発電機を複数備えることなく、複数のバッテリを適性に充電する動作を第1実施形態と異なる制御を行うバッテリ充電装置2を用いて提供できる。
【0189】
(第3実施形態):ダイオード
先に示した実施形態では、9個のサイリスタを利用して、2系統のバッテリを充電する形態を示した。
図23を参照して、第3実施形態による整流処理部の形態を変更した実施形態を示す。
この図は、第3実施形態におけるバッテリ充電装置102に関する概略ブロック図である。
【0190】
バッテリ充電装置102は、同期信号検出部10、充電状態検出部20、充電制御部130、整流処理部140を備える。
【0191】
第1実施形態の図1に示したブロック図から変更されている点は、充電制御部130、整流処理部140になる。以下、変更されている点について整理する。
【0192】
先に整流処理部140について説明する。
バッテリ充電装置102における整流処理部140は、充電制御部130から入力される点弧信号に従って、三相交流発電機1が出力する交流出力電圧を整流し、それぞれ接続されているバッテリを充電する回路である。
整流処理部140は、サイリスタ(整流素子)S1、S2、S3、S4、S5、S6、ダイオードD1、D2、D3、サイリスタ点弧回路141を備える。
先に示した第1実施形態の整流処理部40の整流素子は、サイリスタによって構成されていた点が異なっている。
【0193】
サイリスタは、接続されるバッテリの2つの系統ごとに配置される。配置されるサイリスタは、それぞれのバッテリの正極に接続される第1の系統となるサイリスタS1〜S3と、第2の系統となるサイリスタS4〜S6とが配置されている点は第1実施形態と同じである。
2つの系統に共通回路に共通して各バッテリの負極(接地極)に接続される整流素子が、ダイオードD1〜D3の組み合わせで配置される。
【0194】
整流処理部140のサイリスタ点弧回路141は、独立して配置されている6個のサイリスタを点弧させるドライバ回路TA1〜TA6を備える。
サイリスタ点弧回路141が備えるドライバ回路TA1〜TA6は、接続されるサイリスタS1〜S6を点弧させるサイリスタを点弧させるドライバ回路であり、接続されるサイリスタS1〜S6ごとに独立してそのドライバ回路TA1〜TA6が配置されている。
【0195】
サイリスタS1〜S3及びダイオードD1〜D3は、バッテリ3の系統に接続され三相交流発電機1の出力を全波整流する混合ブリッジとして機能する。
また、サイリスタS4〜S6及びダイオードD1〜D3は、バッテリ4の系統に接続され三相交流発電機1の出力を全波整流する混合ブリッジとして機能する。
【0196】
ここで、サイリスタS1〜S6とダイオードD1〜D3の詳細接続を整理する。
サイリスタS1は、アノードが三相交流発電機1のU相に接続され、カソードがバッテリ3の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路141のドライバ回路TA1の出力に接続される。
サイリスタS2は、アノードが三相交流発電機1のV相に接続され、カソードがバッテリ3の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路141のドライバ回路TA2の出力に接続される。
サイリスタS3は、アノードが三相交流発電機1のW相に接続され、カソードがバッテリ3の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路141のドライバ回路TA3の出力に接続される。
【0197】
サイリスタS4は、アノードが三相交流発電機1のU相に接続され、カソードがバッテリ4の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路141のドライバ回路TA4の出力に接続される。
サイリスタS5は、アノードが三相交流発電機1のV相に接続され、カソードがバッテリ4の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路141のドライバ回路TA5の出力に接続される。
サイリスタS6は、アノードが三相交流発電機1のW相に接続され、カソードがバッテリ4の正極に接続され、ゲートがサイリスタ点弧回路141のドライバ回路TA6の出力に接続される。
【0198】
ダイオードD1は、アノードが接地電位に接続され、カソードが三相交流発電機1のU相に接続される。
ダイオードD2は、アノードが接地電位に接続され、カソードが三相交流発電機1のV相に接続される。
ダイオードD3は、アノードが接地電位に接続され、カソードが三相交流発電機1のW相に接続される。
【0199】
それぞれのサイリスタ点弧回路141のドライバ回路は、入力端子が充電制御部130のサイリスタの点弧を制御する制御信号を出力するそれぞれの出力端子に接続され、出力端子がそれぞれのサイリスタのゲートに接続される。
充電制御部130の出力端子から、サイリスタの点弧を制御する制御信号が入力されるとサイリスタ点弧回路141は、当該のサイリスタに対して点弧信号を送出する。
それゆえ、サイリスタの導通開始角で充電量が制御されているので、充電制御部130からの制御信号によってバッテリへの充電量は制御されることになる。
【0200】
図24を参照して、充電制御部130について説明する。
この図は、バッテリ充電装置102の充電制御部130のブロック図である。
【0201】
バッテリ充電装置102における充電制御部130は、整流処理部140に配置されたサイリスタの数量が6個となる。第1実施形態によるサイリスタS7〜S9にかかる回路が必要なくなり、バッテリ3、4の正極側に接続されているサイリスタS1〜S6への信号生成部を独立させた形態にあたる。
【0202】
第1実施形態における構成要素と同じ働きをするものに、同じ符号をつけ、その説明は前述を参照することとする。
【0203】
図25を参照して、整流処理部140で行われる充電量制御のための位相制御によるサイリスタの導通角制御について示す。
図25(a)は、バッテリ3に接続される3個ずつのサイリスタS1〜S3とダイオードD1〜D3及び三相交流発電機1の接続を示す。
【0204】
先に説明したように、三相交流発電機1のU相には、サイリスタS1とダイオードD1とが接続され、V相には、サイリスタS2とダイオードD2とが接続され、W相には、サイリスタS3とダイオードD3とが接続される。
3個のサイリスタと3個のダイオードを図に示すような接続とすることにより、三相交流を全波整流する。
また、ここで、バッテリ3の正極に接続されるサイリスタは、ダイオードと異なり、サイリスタを点弧する信号をゲートに入力することにより導通開始タイミングを制御する。
【0205】
それぞれの線間電圧から充電をするときに、充電制御部30が制御するときに対象となるサイリスタは、下記の通りとなる。
波形UV、波形UWにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS1である。
波形VW、波形VUにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS2である。
波形WU、波形WVにおいて点弧するサイリスタは、サイリスタS3である。
波形が60°の位相差で重なっている波形UVと波形UW、波形VWと波形VU、波形WUと波形WVは、波形UV、波形VW、波形WUのタイミングでそれぞれ1回サイリスタを点弧することにより、波形UW、波形VU、波形WVの180°の位相まで導通状態が継続することになる。
【0206】
図25(b)〜(d)にサイリスタのゲート制御により導通開始タイミングを制御して、導通している期間が変化する様を示す。
ここでx軸は、原点Oを基準とした位相角を示し、y軸は全波整流した波形の電圧を示す。
図に点線で示した波形は、三相交流の線間電圧波形を全波整流したときの電圧波形である。この波形は、交流半周期の波形がそれぞれ120°の位相差によって連なった波形となっている。
【0207】
三相交流を全波整流しているため、6つの波形で一周期を表している。ここで、基準とする位相を、UV相とすることとし、それぞれの波形に、UV3、UW3、VW3、VU3、WU3、WV3の符号をつける。波形UV3は、V相を基準としたU相との線間電圧の波形で、U相の相電圧が高くなる期間の波形を表すこととする。逆に、波形VU3は、V相を基準としたU相との線間電圧で、U相の相電圧が低くなる期間の波形を表し、全波整流されることにより正の値を示している。
波形UV3の起点を、三相交流発電機1の線間出力電圧一周期の原点として以下説明する。すなわち、原点は、位相角が0°のときを表している。
【0208】
ここで、図25(b)〜(d)にサイリスタの導通開始角を、基準位相0°に対して、90°、100°、110°遅らせた時の違いを、図中の網掛け部によってそれぞれ示す。
ここでは、各サイリスタの点弧はそれぞれの線間電圧の波形に対して同じだけ遅れたタイミングで、それぞれのサイリスタを点弧させた波形を示す。すなわち、各波形UV3、UW3、VW3、VU3、WU3、WV3の基準位相に対して、導通開始角がそろった条件を示している。
サイリスタS1〜S3の導通開始角は、波形UV3、VW3、WU3の位相で60°〜180°の範囲内で設定が可能である。
また、点弧されたサイリスタは、逆バイアス電圧がかかるまで導通状態が維持される。
なお、バッテリ3の代わりにバッテリ4を充電する系統とする場合には、サイリスタS1、S2、S3をS4、S5、S6と読み替える。
【0209】
以上により、三相交流発電機を複数備えることなく、複数のバッテリを適性に充電することを可能とするバッテリ充電装置102を提供できる。
【0210】
(第4実施形態):電圧検出
先に示した実施形態では、三相交流発電機1がいずれか1相のコイルに同期が取れた信号を出力するサブコイルを備える形態を示した。
図26を参照して、第4実施形態による同期信号検出部の形態を変更した実施形態を示す。
この図は、第4実施形態におけるバッテリ充電装置202に関する概略ブロック図である。
【0211】
バッテリ充電装置202は、同期信号検出部210、充電状態検出部20、充電制御部30、整流処理部40を備える。
【0212】
第1実施形態の図1に示したブロック図から変更されている点は、同期信号検出部210と、三相交流発電機201になる。以下、変更されている点について整理する。
【0213】
先に三相交流発電機201について説明する。
三相交流発電機201は、サブコイル等を備えることなく、電力を三相交流で出力する。
【0214】
バッテリ充電装置202の同期信号検出部210は、三相交流発電機201から入力される交流出力電圧を検出し、交流出力電圧に同期したタイミング信号を生成し、三相交流発電機201が出力する交流出力電圧に同期する同期信号を生成し、出力する。
出力される同期信号は、三相交流発電機201の各相に同期するそれぞれの矩形波ならびにそれぞれの矩形波に同期し半周期の間に単調増加する三角波である。
【0215】
同期信号検出部210は、U、V、W相検出回路211と同期三角波発生回路12を備える。
同期信号検出部210のU、V、W相検出回路211は、三相交流発電機201から入力される交流出力電圧を検出し、交流出力電圧に同期したタイミング信号を生成し、U相の電圧波形(交流波形)Vuから、U相に同期する矩形波を生成し、同期三角波発生回路12に入力する。
また、同期信号検出部210のU、V、W相検出回路211は、同期三角波発生回路12から入力されるU相の矩形波に同期した三角波により、V、W相に同期した矩形波の信号を生成し、同期三角波発生回路12に入力する。
【0216】
同期信号検出部210の同期三角波発生回路12は、U、V、W相検出回路211から入力される三相分の矩形波の信号から、これらの信号に同期した三角波を生成する。この三角波は矩形波のパルス幅の大きさに無関係に高さ(三角波の最大値)が等しくなるような三角波である。同期した三角波の生成は、2段階の処理により生成される。最初に、U相電圧に同期したU相の三角波生成が行われ、U、V、W相検出回路211に入力される。次に、V相、W相の矩形波が、U、V、W相検出回路211から入力され、V、W相に同期した三角波が生成され、U相に同期した三角波と合わせて出力される。
同期三角波発生回路12から出力される三角波は、三相交流発電機201が、スター結線であるときには、線間電圧の位相に合わせた三角波となる。線間電圧に同期する三角波は、相電圧の位相に対して、30°遅れた位相としたものが出力される。
【0217】
第1実施形態における構成要素と同じ働きをするものに、同じ符号をつけ、その説明は前述を参照することとする。
【0218】
先に示した第1実施形態の同期信号検出部10におけるU、V、W相検出回路11に対して、ここでの同期信号検出部210におけるU、V、W相検出回路211は、入力される信号の処理が、三相交流発電機が備えるサブコイルからの信号ではなく、三相交流発電機の出力電圧から抽出する点が異なっている。
【0219】
このようにして、サイリスタを導通させる期間を制御することで、三相交流発電機201からバッテリ3、4への電力を制限し、充電量を制御できる。
【0220】
以上により、三相交流発電機を複数備えることなく、複数のバッテリを適性に充電することを可能とするバッテリ充電装置202を提供できる。
【0221】
なお、三相交流発電機1が出力する出力電力に同期する信号は、いずれか1相(ここでは、U相として説明した)に付与されたセンサコイル(サブコイル)によって出力電力に同期された信号が出力されることとして説明した。センサコイルが出力する信号の代わりとして、三相交流発電機1の出力電力に同期が取れる信号であればよく、センサコイルの代わりにピックアップコイルを利用することとしてもよい。
【0222】
なお、本実施形態の説明では、2系統のバッテリがバッテリ充電装置2に接続される構成として説明した。
バッテリ充電装置に接続されるバッテリの系統数に見合った数の整流処理部40と、充電状態検出部20、充電制御部30の機能を見直すことにより必要な系統数のバッテリ数に対応するバッテリ充電装置を提供することができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。本発明のバッテリ充電装置における、三相交流発電機、バッテリには、あらゆる種類の交流発電機及びバッテリを使用することができ、電源装置の構成数や接続形態についても特に限定されるものではない。
【0223】
なお、本発明のバッテリ充電装置は、接続されるバッテリに対して並列運転させることができる。複数のバッテリ充電装置の出力端子から、共通のバッテリに接続し、それぞれのバッテリ充電装置の出力を互いに補完しながら運転させることが可能である。
【0224】
なお、バッテリ充電装置2内にはマイクロコンピュータ(又はマイクロコントローラ)が搭載されており、バッテリ充電装置2内の同期信号検出部10や、充電状態検出部20や、充電制御部30や、その他の回路について、ソフトウェアプログラムを実行することにより、その処理機能を実現することができるものについては、ソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。勿論、ハードウェアにより構成するようにしてもよい。
上記は、バッテリ充電装置102、202についても適用できる。
【0225】
上述のバッテリ充電装置2は、同装置が備える処理をハードウェアによって構成することもでき、内部に、有するコンピュータシステムで行うことも可能である。そして、上述したバッテリ充電装置が有する同期信号検出(同期信号生成)、充電状態検出(モード判定)および充電制御(点弧順生成)の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
上記は、バッテリ充電装置102、202についても適用できる。
【0226】
なお、以上の実施形態に示したバッテリ充電装置2を、以下のように機能させてもよい。
【0227】
上記の実施形態において、充電制御部30は、整流処理部40から複数のバッテリ(バッテリ3、4)への充電量の制御を、充電状態検出部20により予め定められた判定周期で選択されたバッテリを切り換える時分割制御方式により行うこととした。
これにより、負荷の状態に左右されることなく常に複数のバッテリ(バッテリ3、4)を最適に充電できる。
【0228】
また、上記の実施形態において、充電制御部30は、整流処理部40からバッテリ3、4への充電量の制御を、充電状態検出部20により予め定められた判定周期で選択されたバッテリに対し、位相制御方式により行うこととした。
これにより、位相制御により電圧を直接制御できるため、抵抗制御のように電流を熱として捨てる無駄がない。
【0229】
また、上記の実施形態において、充電制御部30は、バッテリ3、4の充電順位に予め設定された優先度により、上記の優先度の高いバッテリから優先的に充電を行うこととした。
これにより、信頼度を高く設定したい用途のバッテリに優先度を高く設定して、優先的に充電するシステムとして、船舶や車両などの信頼性を必要とする動力制御に関係する用途に使用することができる。
【0230】
また、上記の実施形態において、充電状態検出部20は、各バッテリの電圧の検出値を予め定められた基準電位との比較により充電状態を判定し、バッテリ3、4の充電状態の組み合わせ結果から、予め定められた判定基準により充電を行うバッテリを選択し、選択されたバッテリ3、4の電圧の検出値を基準電位と比較して得られる誤差信号と、選択されたバッテリ3、4を示す選択信号を充電制御部に入力し、同期信号検出部10は、前記三相交流発電機1の各相の位相に同期するそれぞれの位相の矩形波ならびに前記それぞれの位相の矩形波に同期し半周期の間に単調増加する三角波を前記同期信号として出力し、充電制御部30は、充電状態検出部20から入力された誤差信号と、同期信号検出部10から出力された三角波とを比較することによって、前記誤差信号と前記それぞれの三角波との電位が一致したときを前記整流素子の導通開始の契機とし、充電状態検出部20から入力される前記選択信号にしたがって前記導通開始の契機とする信号を整流処理部に入力することとした。
これにより、三相交流発電機1の回転に同期させて整流手段を通電させる位相角制御によって、バッテリへの充電量を制御することができる。
【0231】
また、上記の実施形態において、整流処理部40は、U、V、W相に対応して少なくとも3個のサイリスタが前記整流素子としてバッテリごとに接続され、少なくとも3個のサイリスタ又は3個のダイオードがバッテリ3、4間に共通して接続されることとした。
これにより、サイリスタだけでブリッジを構成する必要はなくなり、高価なサイリスタの必要数を減らすことができ、サイリスタの一部をダイオードによって構成しても同じ効果を得ることができる。
【0232】
また、上記の実施形態において、三相交流発電機1は、いずれか1相にサブコイルを備え、同期信号検出部10は、上記のサブコイルから出力される信号を前記各相の位相に同期した信号として検出することとした。
これにより、いずれか1相にサブコイルを備える三相交流発電機1に適用するバッテリ充電装置を提供できる。
【0233】
また、上記の実施形態において、同期信号検出部10は、三相交流発電機1における各相の位相を、三相交流発電機1のいずれか1相の電圧により検出することとした。
これにより、サブコイルを備えていない三相交流発電機1にも適用するバッテリ充電装置を提供できる。
【符号の説明】
【0234】
1 三相交流発電機
2 バッテリ充電装置
3、4 バッテリ
10 同期信号検出部
11 U、V、W相検出回路
12 同期三角波発生回路
20 充電状態検出部
21 VREG検出部
22 誤差信号処理部
23 モード判定部
24 判定結果記憶部
25 バッテリ選択情報記憶部
30 充電制御部
31 点弧順生成部
40 整流処理部
41 サイリスタ点弧回路
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9 整流素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数相を有する交流発電機の出力電力を整流して、前記整流した出力電力を複数のバッテリに供給する整流処理部と、
前記複数のバッテリにおける各バッテリに対する充電の要否を判定する充電状態検出部と、
前記充電状態検出部により充電が必要と判定されたバッテリが1つ以上ある場合、前記交流発電機の出力に同期させて、前記整流された出力電力を前記充電が必要と判定された1つ以上のバッテリに供給して充電するよう前記整流処理部を制御する充電制御部と、
を備え、
前記充電制御部は、
前記充電状態検出部により充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、前記交流発電機の出力に同期させて、前記整流された出力電力を前記充電が必要と判定された複数のバッテリに振り分けて供給して充電するよう前記整流処理部を制御する
ことを特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項2】
前記充電状態検出部は、
前記各バッテリの充電状態を判定し、前記判定した充電状態に基づいて、前記各バッテリの充電の要否を判定し、充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、前記充電が必要と判定された複数のバッテリの中から充電するバッテリを選択し、
前記充電制御部は、
前記選択されたバッテリに前記出力電力を供給して充電するよう前記整流処理部を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ充電装置。
【請求項3】
前記充電状態検出部は、
前記各バッテリの電圧を検出し、前記検出した電圧を基準電圧と比較することにより前記各バッテリの充電状態を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のバッテリ充電装置。
【請求項4】
前記充電状態検出部は、
前記交流発電機の出力に同期して、前記各バッテリの充電状態を判定し、前記充電するバッテリを選択する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項5】
前記充電制御部は、
前記交流発電機の出力の周期に対応付けられたタイミングで、前記出力電力を供給するバッテリを時分割制御方式で切り替えるよう前記整流処理部を制御する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項6】
前記充電制御部は、
前記出力電力を供給するバッテリを位相制御方式で切り替えるよう前記整流処理部を制御する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項7】
前記各バッテリは優先度を有し、
充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、前記充電制御部は、前記優先度の高いバッテリから優先的に充電するよう前記整流処理部を制御する
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項8】
前記充電状態検出部は、
前記各バッテリの充電状態と充電するバッテリとの対応関係を予め記憶しており、前記対応関係を参照して、前記各バッテリの充電状態から前記充電するバッテリを選択する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項9】
前記交流発電機の各相にそれぞれ同期した複数の同期信号を生成する同期信号検出部を更に備え、
前記同期信号は、
前記複数相の位相にそれぞれ同期する複数の矩形波と、前記複数の矩形波にそれぞれ同期して半周期の間に単調増加する複数の同期波とを含む
ことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項10】
前記充電状態検出部は、充電が必要と判定されたバッテリが複数ある場合、前記複数のバッテリの中から充電するバッテリを選択し、当該選択したバッテリの電圧と基準電圧との差分に基づく誤差信号を充電制御部に入力し、
前記充電制御部は、前記誤差信号と前記複数の同期波の一つとを比較し、前記誤差信号と前記複数の同期波の一つの電位が一致した時に、前記選択されたバッテリへの充電を開始するよう前記整流処理部を制御する
ことを特徴とする請求項9に記載のバッテリ充電装置。
【請求項11】
前記交流発電機は、
前記複数相のうちの一相に同期したタイミング信号を出力するサブコイルを備え、
前記同期信号検出部は、
前記タイミング信号を検出し、前記検出したタイミング信号から前記複数の矩形波と前記複数の同期波を生成する
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のバッテリ充電装置。
【請求項12】
前記整流処理部は、
入力が前記交流発電機に接続され、出力が前記複数のバッテリに並列に接続される
ことを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項13】
前記交流発電機は、三相交流発電機であり、
前記複数のバッテリは第1と第2のバッテリを含み、
前記整流処理部は、
前記第1のバッテリと前記三相交流発電機とに接続され、前記三相交流発電機の各相にそれぞれ対応する第1から第3の整流素子と、
前記第2のバッテリと前記三相交流発電機とに接続され、前記三相交流発電機の各相にそれぞれ対応する第4から第6の整流素子と、
前記三相交流発電機に接続され、前記三相交流発電機の各相にそれぞれ対応する第7から第9の整流素子と、
を備え、
前記第7の整流素子は前記第1と前記第4の整流素子に接続され、
前記第8の整流素子は前記第2と前記第5の整流素子に接続され、
前記第9の整流素子は前記第3と前記第6の整流素子に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ充電装置。
【請求項14】
前記第1から前記第6の整流素子は、サイリスタであり、
前記第7から前記第9の整流素子は、サイリスタ又はダイオードである
ことを特徴とする請求項13に記載のバッテリ充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−94054(P2013−94054A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−272687(P2012−272687)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2008−88723(P2008−88723)の分割
【原出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】