説明

バッテリ管理装置

【課題】バッテリの劣化の進行を抑制するためにバッテリの充電がより適正に行なわれるようにする。
【解決手段】車両のシステムオフがなされる毎に放置時間Tが閾値Tref以上となる毎に放置SOC(n)がRAM76の放置時間記憶領域に記憶し、所定のタイミングでRAM76の放置時間記憶領域に記憶した全ての放置SOC(n)の所定範囲毎の出現頻度(%)を計算し(S210)、放置SOC(n)の出現頻度(%)のグラフを作成して表示装置94に表示する(S220,S230)。これにより、ユーザやメンテナンスを行なう者に、ユーザによる高圧バッテリの放置時間Tが閾値Tref以上の放置における放置SOC(n)の出現頻度を知らせることができ、高圧バッテリを蓄電割合SOCが高い状態での放置するのを控えるよう促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ管理装置に関し、詳しくは、走行用のモータと、モータに電力を供給するバッテリと、外部電源に接続されて外部電源からの電力によりバッテリを充電する充電器と、を搭載する自動車に搭載され、バッテリから放電可能な電力の容量の全容量に対する割合としての蓄電割合を用いてバッテリを管理するバッテリ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバッテリ管理装置としては、走行用のモータと、モータに電力を供給するバッテリと、外部電源からの電力を用いてバッテリを充電する充電器と、を備える自動車に搭載される装置において、次に乗車する予定の時刻を入力し、入力した時刻にバッテリの充電が終了するようにバッテリの充電を開始するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、充電開始キーによって充電指示されたときに、バッテリからの放電量と充電器に供給される電源電圧と予め定められた充電電流値とに基づいて必要充電期間を演算し、必要充電期間と乗車予定時刻とに基づいて充電開始時刻を求め、充電開始時刻から充電電流値によるバッテリの充電を開始する。これにより、充電完了後から乗車までの長時間の報知による自己放電を防止するものとしている。
【0003】
また、走行用のモータと、モータに電力を供給するバッテリと、外部電源からの電力を用いてバッテリを充電する充電器と、を備える自動車に搭載される装置において、車両を始動した時間を学習することによって得られる始動予測時間とバッテリを充電する充電器のプラグを外部電源への差し込んだ時間とに基づいて長時間の放置が予測されるときには、外部電源によるバッテリの充電を予め定めた所定時間禁止するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この装置では、上述した制御により、高SOCで長時間放置されることを回避し、バッテリ性能の劣化進行を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−214412号公報
【特許文献2】特開2009−005450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気自動車に搭載されるバッテリ、特にリチウムイオン二次電池として構成されたバッテリは、満充電として放置すると、早期にバッテリの劣化が進行することが知られている。このため、バッテリを使用しないときには、バッテリの蓄電状態として比較的低い状態としておくのが好ましい。一方、バッテリの完全放電により車両が停止してしまうのを回避するために、ユーザは安心のためにバッテリを満充電や満充電に近い状態にする傾向がある。こうした課題に対して、上述の前者の装置では、乗車予定時刻に充電が完了するように制御することによってバッテリが満充電やこれに近い状態で放置されるのを防止することができるが、乗車予定が変更されるとバッテリが満充電やこれに近い状態で放置され、バッテリの劣化が進行してしまう。また、後者の装置では、長時間の放置が予測されるときには外部電源によるバッテリの充電を予め定めた所定時間禁止することによってバッテリが満充電やこれに近い状態で放置されるのを防止することができるが、学習による始動予測時間に始動されないときには、バッテリが満充電やこれに近い状態で放置され、バッテリの劣化が進行してしまう。これらの課題に対して、バッテリのロングライフ制御として80%充電することも提案されているが、この制御が適正に利用されているか否かを判定するのは困難である。
【0006】
本発明のバッテリ管理装置は、バッテリの劣化の進行を抑制するためにバッテリの充電がより適正に行なわれるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバッテリ管理装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明のバッテリ管理装置は、
走行用のモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、外部電源に接続されて外部電源からの電力により前記バッテリを充電する充電器と、を搭載する自動車に搭載され、前記バッテリから放電可能な電力の容量の全容量に対する割合としての蓄電割合を用いて前記バッテリを管理するバッテリ管理装置において、
前記バッテリの充放電が所定時間以上に亘って行なわれなかったときの蓄電割合を複数記憶し、前記記憶した複数の蓄電割合の出現頻度に基づくバッテリ報知情報を報知する報知手段を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
この本発明のバッテリ管理装置では、バッテリの充放電が所定時間以上に亘って行なわれなかったときの蓄電割合を複数記憶し、この記憶した複数の蓄電割合の出現頻度に基づくバッテリ報知情報を報知する。この結果、ユーザやメンテナンスを行なう者は、ユーザによるバッテリの所定時間以上の放置におけるバッテリの蓄電割合の出現頻度に基づくバッテリ報知情報を知ることができる。ここで、所定時間は、例えば、8時間や9時間,10時間などのように人の生活習慣における1日のサイクルに基づく時間を用いたり、24時間や36時間などのように人の生活習慣における1週間のサイクルに基づく時間を用いることができる。
【0010】
こうした本発明のバッテリ管理装置において、報知手段は、蓄電割合に対する出現頻度をプロットしたグラフやその模式図をバッテリ報知情報として報知するものとしたり、出現頻度が予め定めた推奨頻度の範囲内となるときに「良好」の旨をバッテリ報知情報として報知し、出現頻度が前記推奨頻度の範囲外となるときに「不良」の旨をバッテリ報知情報として報知するものとしたりすることができる。グラフや模式図を報知する場合、ディスプレイに表示するものとしたり、インストルパネルに予め組み込んだ模式図を用いて表示したりすることができる。「良好」の旨の報知の一例としては、「バッテリの充電は良好に行なわれています。」などを音声や文字によって報知したり、インストルパネルに予め組み込まれたバッテリの充電の良好を示すランプを緑色点灯することによって報知したりすることができる。「不良」の旨の報知の一例としては、「バッテリの充電を控えめにしてください。」や「バッテリの充電量が多すぎます。」などを音声や文字によって報知したり、インストルパネルに予め組み込まれたバッテリの充電の良好を示すランプを赤色点灯することによって報知したりすることができる。
【0011】
また、本発明のバッテリ管理装置において、報知手段は、自動車のシステムオフが所定回数行なわれる毎にバッテリ報知情報を報知するものとしたり、予め定めた所定期間経過する毎にバッテリ報知情報を報知するものとしたり、報知の要請があったときに前記バッテリ報知情報を報知するものとしたりすることができる。ここで、所定回数としては、例えば、10回や20回などを用いることができる。また、所定期間としては、例えば、10日や20日あるいは1ヶ月などを用いることができる。報知の要請としては、報知の要請を行なうためのハード上のスイッチまたはソフト上のスイッチがオンとされたときを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】電子制御ユニット70により実行される放置情報処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】電子制御ユニット70により実行される放置情報放置処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】放置SOC(n)に対する出現頻度SOCのグラフの一例を横軸を蓄電割合SOCとして示す説明図である。
【図5】放置SOC(n)の出現頻度が適正な状態のグラフの一例を示す説明図である。
【図6】放置SOC(n)の出現頻度が適正ではない状態のグラフの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の一実施例としてのバッテリ管理装置を搭載する電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、例えば同期発電電動機として構成されて駆動輪26a,26bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸22に回転子が接続されたモータ30と、モータ30を駆動するためのインバータ32と、インバータ32が接続された高圧系の電力ライン40に接続されリチウムイオン二次電池として構成された高圧バッテリ42と、電力ライン40の電力を降圧して低圧系の電力ライン50に供給するDC/DCコンバータ44と、電力ライン50に接続された低圧バッテリ52と、車外の電源である交流の外部電源(例えば、家庭用電源(AC100V)など)100の外部電源側コネクタ102に接続される車両側コネクタ61と、車両側コネクタ61と電力ライン40との接続や接続の解除を行なう充電用リレー64と外部電源100からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ66と変換した直流電力の電圧を変換して高圧バッテリ42側に供給するDC/DCコンバータ68とを有する充電器60と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット70と、を備える。
【0015】
電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,モータ30のロータの回転位置を検出する回転位置検出センサ31からの回転位置,インバータ32の三相電力ラインに取り付けられた図示しない相電流センサからの相電流Iu,Iv,高圧バッテリ42の出力端子間に取り付けられた電圧センサ42aからのバッテリ電圧Vb,高圧バッテリ42の出力端子近傍の高圧系の電力ライン40に取り付けられた電流センサ42bからの充放電電流Ibなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット70からは、インバータ32へのスイッチング制御信号,充電用リレー64への駆動信号,AC/DCコンバータ66やDC/DCコンバータ68への駆動信号,DC/DCコンバータ44への駆動信号,運転席近傍に取り付けられたスピーカ92への音声出力信号,運転席前方のインストルパネルに取り付けられた表示装置94への表示制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、電子制御ユニット70は、高圧バッテリ42を管理するために電流センサ42bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算したり、回転位置検出センサ31からの信号に基づいてモータ30の回転数Nmも演算している。なお、実施例のバッテリ管理装置としては、この電子制御ユニット70が該当する。
【0016】
こうして構成された実施例の電気自動車20は、イグニッションオフの状態で車両側コネクタ61を外部電源100の外部電源側コネクタ102に接続し、図示しない充電完了時蓄電割合設定ボタンにより充電完了時の蓄電割合SOCとして目標蓄電割合SOC*を設定し、図示しない充電開始スイッチを操作することによって高圧バッテリ41の充電が行なわれる。実施例では、充電開始スイッチを操作することによって直ちに高圧バッテリ41の充電を開始するだけでなく、充電開始スイッチにより充電完了時刻を設定することにより充電完了時刻に高圧バッテリ41の蓄電割合SOCが目標蓄電割合SOC*となるよう充電開始時刻を計算して高圧バッテリ41の充電を開始するタイマー充電も行なわれる。
【0017】
次に、実施例の電気自動車20の動作、特に高圧バッテリ42の放置に関する動作について説明する。図2は、車両がシステムオフされたときに電子制御ユニット70により実行される放置情報処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図3は、所定のタイミング、例えば車両のシステムオンの回数が10回や20回あるいは30回毎のタイミングや10日や20日あるいは1ヶ月毎のタイミングなどに電子制御ユニット70により実行される放置情報報知処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。まず、放置情報の処理について図2の放置情報処理ルーチンを用いて説明し、その後、放置情報を報知する処理について図3の放置情報報知処理ルーチンを用いて説明する。
【0018】
図2の放置情報処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、高圧バッテリ41の充電が行なわれるか否かを判定し(ステップS100)、高圧バッテリ41の充電が行なわれるときには、高圧バッテリ41の充電が終了するのを待つ(ステップS110)。高圧バッテリ41の充電が行なわれるか否かの判定は、車両側コネクタ61が外部電源100の外部電源側コネクタ102に接続されて図示しない充電開始スイッチにより充電開始されたか否か或いはタイマー充電が設定されているか否かにより行なうことができる。ステップS110の高圧バッテリ41の充電が終了するのを待つ処理は、タイマー充電が設定されているときには、タイマー充電により高圧バッテリ41の充電が終了するのを待つ処理、即ち、充電完了時刻を待つ処理となる。
【0019】
ステップS100で高圧バッテリ41の充電が行なわれないと判定されたときやステップS110で高圧バッテリ41の充電が終了したときには、放置時間Tの計時を開始し(ステップS120)、車両のシステムオンがなされるのを待つ(ステップS130)。車両のシステムオンがなされると、放置時間Tが閾値Tref以上であるか否かを判定し(ステップS140)、放置時間Tが閾値Tref以上のときには、高圧バッテリ41の蓄電割合SOCを入力すると共に(ステップS150)、入力した蓄電割合SOCを放置SOC(n)としてRAM76の予め定めた放置時間記憶領域に順に記憶して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。ここで、閾値Trefは、例えば、8時間や9時間,10時間などのように人の生活習慣における1日のサイクルに基づく時間を用いたり、24時間や36時間などのように人の生活習慣における1週間のサイクルに基づく時間を用いることができる。なお、放置時間Tが閾値Tref未満のときには、放置SOC(n)の記憶を行なうことなく、本ルーチンを終了する。これは、高圧バッテリ41の劣化の進行に対する長時間の放置から短時間の放置を除くためである。こうした処理により、車両のシステムオフがなされる毎に放置時間Tが閾値Tref以上であるか否かが判定され、放置時間Tが閾値Tref以上となる毎に放置SOC(n)がRAM76の放置時間記憶領域に記憶される。
【0020】
次に、RAM76の放置時間記憶領域に複数記憶された放置SOC(n)を用いて放置情報を報知する処理について説明する。図3の放置情報報知処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、RAM76の放置時間記憶領域に記憶された全ての放置SOC(n)を入力し(ステップS200)。放置SOC(n)の所定範囲毎(例えば5%毎や10%毎)の出現頻度(%)を計算する(ステップS210)。この出現頻度(%)は、所定範囲が5%であれば、5%毎の範囲に属する放置SOC(n)の個数を全個数で除して100を乗ずることによって求めることができる。そして、横軸に蓄電割合SOC、縦軸に出現頻度(%)として出現頻度(%)のグラフを作成し(ステップS220)、作成したグラフを表示装置94に表示する(ステップS230)。放置SOC(n)に対する出現頻度SOCのグラフの一例を横軸を蓄電割合SOCとして示したものを図4に示す。
【0021】
続いて、作成した放置SOC(n)の出現頻度のグラフが適正範囲内であるか否かを判定し(ステップS240)、この判定結果に対応するアナウンス内容を決定し(ステップS250)、決定したアナウンス内容をスピーカ92から音声出力して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。放置SOC(n)の出現頻度のグラフが適正範囲内であるか否かの判定は、例えば、予め定めた適正範囲内に放置SOC(n)の出現頻度(%)が所定量以上(例えば70%以上や80%以上など)存在するか否かによって行なうことができる。放置SOC(n)の出現頻度(%)が適正な状態のグラフの一例を図5に示し、放置SOC(n)の出現頻度(%)が適正ではない状態のグラフのの一例を図6に示す。図示するように、蓄電割合SOCが低い状態で放置される出現頻度(%)が高いときが適正であり、逆に蓄電割合SOCが高い状態で放置される出現頻度(%)が高いときが適正ではない。これは、高圧バッテリ41としてリチウムイオン二次電池を用いた場合、蓄電割合SOCが高い状態で放置すると高圧バッテリ41の劣化が進行することに基づいている。アナウンス内容としては、放置SOC(n)の出現頻度のグラフが適正であると判定されたときには、例えば、「バッテリの充電は良好に行なわれています。」などと同様の旨の内容を用いることができ、放置SOC(n)の出現頻度のグラフが適正ではないと判定されたときには、例えば、「バッテリの充電を控えめにしてください。」や「バッテリの充電量が多すぎます。」などと同様の旨の内容を用いることができる。
【0022】
以上説明した実施例の電気自動車20が搭載するバッテリ管理装置によれば、車両のシステムオフがなされる毎に放置時間Tが閾値Tref以上であるか否かを判定し、放置時間Tが閾値Tref以上となる毎に放置SOC(n)がRAM76の放置時間記憶領域に記憶し、所定のタイミングでRAM76の放置時間記憶領域に記憶した全ての放置SOC(n)の所定範囲毎の出現頻度(%)を計算し、放置SOC(n)の出現頻度(%)のグラフを作成して表示装置94に表示することにより、ユーザやメンテナンスを行なう者に、ユーザによる高圧バッテリ41の放置時間Tが閾値Tref以上の放置における放置SOC(n)の出現頻度を知らせることができる。しかも、放置SOC(n)の出現頻度のグラフが適正範囲内であるか否かを判定し、判定結果に対応するアナウンス内容を音声出力するから、蓄電割合SOCが高い状態で高圧バッテリ41を放置するユーザに蓄電割合SOCが高い状態での放置を控えるよう促すことができる。こうしたアナウンスによりユーザが蓄電割合SOCが高い状態での放置を控えることにより、高圧バッテリ41の劣化の進行を抑制することができる。
【0023】
実施例の電気自動車20が搭載するバッテリ管理装置では、車両のシステムオフがなされる毎に放置時間Tが閾値Tref以上となるときの蓄電割合SOCを放置SOC(n)としてRAM76の放置時間記憶領域に記憶するものとしたが、車両のシステムオフがなされる毎の放置時間Tと蓄電割合SOCとをRAM76の放置時間記憶領域に記憶するものとしてもよい。この場合、放置時間T毎の出現頻度(%)をグラフとして表示装置94に表示するものとしてもよい。
【0024】
実施例の電気自動車20が搭載するバッテリ管理装置では、RAM76の放置時間記憶領域に記憶された全ての放置SOC(n)に対して所定範囲毎の出現頻度(%)を計算すると共に放置SOC(n)の出現頻度のグラフを作成して表示装置94に表示し、放置SOC(n)の出現頻度のグラフが適正範囲内であるか否かを判定し、判定結果に対応するアナウンス内容をスピーカ92から音声出力するものとしたが、放置SOC(n)の出現頻度のグラフを作成して表示装置94に表示するだけでアナウンス内容のスピーカ92からの音声出力は行なわないものとしてもよく、放置SOC(n)の出現頻度のグラフの表示装置94への表示は行なわずにアナウンス内容のスピーカ92からの音声出力だけを行なうものとしてもよい。また、放置SOC(n)の出現頻度のグラフの表示装置94への表示に代えて、放置SOC(n)の出現頻度が予め準備した良好パターン,不良パターンのいずれに類似するかを判定し、判定結果のパターンの模式図を表示装置94に表示するものとしてもよい。さらに、アナウンス内容の音声出力に代えて、アナウンス内容の文字表示出力としても構わない。
【0025】
実施例の電気自動車20が搭載するバッテリ管理装置では、RAM76の放置時間記憶領域に記憶された全ての放置SOC(n)に対して所定範囲毎の出現頻度(%)を計算すると共に放置SOC(n)の出現頻度のグラフを作成して表示装置94に表示し、放置SOC(n)の出現頻度のグラフが適正範囲内であるか否かを判定し、判定結果に対応するアナウンス内容をスピーカ92から音声出力するものとしたが、放置SOC(n)の出現頻度(%)に関する情報を報知すればよいから、放置SOC(n)の出現頻度のグラフの表示装置94への表示もアナウンス内容の音声出力も行なわず、例えば、インストルパネルに予め組み込まれたバッテリの充電の良好を示すランプの点灯により放置SOC(n)の出現頻度(%)に関する情報を報知するものとしてもよい。この場合、例えば、放置SOC(n)の出現頻度(%)が良好なときにはランプを緑色点灯し、放置SOC(n)の出現頻度(%)が良好ではないときにはランプを赤色点灯するものとしてもよい。
【0026】
実施例の電気自動車20が搭載するバッテリ管理装置では、車両のシステムオンの回数が10回や20回あるいは30回毎のタイミングや10日や20日あるいは1ヶ月毎のタイミングなどの所定のタイミングに図3の放置情報報知処理ルーチンを実行するものとしたが、ハード上のスイッチまたはソフト上のスイッチがオンとされたときに図3の放置情報報知処理ルーチンを実行するものとしてもよい。
【0027】
実施例のバッテリ管理装置では、電気自動車20に搭載されるものとしたが、ハイブリッド自動車に搭載されるバッテリの充電に対して適用するものとしてもよい。
【0028】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ30が「モータ」に相当し、高圧バッテリ41が「バッテリ」に相当し、充電器60が「充電器」に相当し、図2の放置情報処理ルーチンや図3の放置情報報知処理ルーチンを実行する電子制御ユニット70が「バッテリ管理装置」に相当する。
【0029】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0030】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
20 電気自動車、22 駆動軸、24 デファレンシャルギヤ、26a,26b 駆動輪、30 モータ、32 インバータ、40 高圧系の電力ライン、42 高圧バッテリ、42a 電圧センサ、42b 電流センサ、44 DC/DCコンバータ、50 低圧系の電力ライン、52 低圧バッテリ、60 充電器、61 車両側コネクタ、62 コネクタセンサ、64 充電用リレー、66 AC/DCコンバータ、68 DC/DCコンバータ、70 電子制御ユニット、72 CPU、74 RAM、76 ROM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、92 スピーカ、94 表示装置、100 外部電源、102 外部電源側コネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用のモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、外部電源に接続されて外部電源からの電力により前記バッテリを充電する充電器と、を搭載する自動車に搭載され、前記バッテリから放電可能な電力の容量の全容量に対する割合としての蓄電割合を用いて前記バッテリを管理するバッテリ管理装置において、
前記バッテリの充放電が所定時間以上に亘って行なわれなかったときの蓄電割合を複数記憶し、前記記憶した複数の蓄電割合の出現頻度に基づくバッテリ報知情報を報知する報知手段を備える、
ことを特徴とするバッテリ管理装置。
【請求項2】
請求項1記載のバッテリ管理装置であって、
前記報知手段は、蓄電割合に対する出現頻度をプロットしたグラフを前記バッテリ報知情報として報知する手段である、
バッテリ管理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のバッテリ管理装置であって、
前記報知手段は、前記出現頻度が予め定めた推奨頻度の範囲内となるときに「良好」の旨を前記バッテリ報知情報として報知し、前記出現頻度が前記推奨頻度の範囲外となるときに「不良」の旨を前記バッテリ報知情報として報知する手段である、
バッテリ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−102648(P2013−102648A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245763(P2011−245763)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】