説明

バッファ制御方法およびバッファ制御装置

【課題】小容量の内部バッファと大容量の外部バッファを備えるONUにおいてバッファの切り替え制御を行なうことにより、PONシステムの省電力化を図る。
【解決手段】OLTに入力したパケットの宛先とパケット長を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットをOLTの下りバッファ12に蓄積する制御を行う蓄積制御処理手段11と、パケット情報を記録管理する蓄積情報管理処理手段と、パケット情報により、ONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する外部バッファ起動状態判定処理手段14と、外部バッファ起動状態判定処理手段14の判定結果により、外部バッファが起動処理中でない場合には、ONUへ送信するパケットの出力間隔を調整せず、外部バッファが起動処理中である場合には、ONUへ送信するパケットの出力間隔を調整し、下りデータレートを一定値以下に制限する下りデータレート制御処理手段15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のネットワーク装置と第2のネットワーク装置が接続されるネットワークにおいて、第2のネットワーク装置に送信するデータをバッファリングする第1のネットワーク装置の下りバッファにおけるバッファ制御方法およびバッファ制御装置に関する。
【0002】
特に、第1のネットワーク装置に相当するOLT(Optical Line Terminal :局側装置)と、第2のネットワーク装置に相当するONU (Optical Network Unit:加入者側装置)が接続されるPON(Passive Optical Network :受動光回線網) システムにおいて、OLTの下りバッファにおけるバッファ制御方法およびバッファ制御装置に関する。
【背景技術】
【0003】
下りバッファを備える第1のネットワーク装置と、下りバッファとして内部バッファと外部バッファを備える第2のネットワーク装置とを接続したネットワークとして、10G−EPON(10 Gigabit Ethernet(登録商標) PON)システムの下りバッファを例に説明する。10G−EPONシステムでは、第1のネットワーク装置がOLT、第2のネットワーク装置がONUに相当する。また、外部バッファは、プロトコル制御用LSIに外付けしたメモリを用いて実装され、内部バッファは、プロトコル制御用LSIに内蔵したメモリを用いて実装されるものとする。
【0004】
図8は、10G−EPONシステムの下りバッファを示す。
図8において、OLTおよびOLTに接続される複数のONUは、共に下りバッファを備える。上位ネットワークに接続されるNNI(Network Node Interface) からの下り10Gbit/s のデータは、OLTの下りバッファを介してPON区間(実効通信速度 8.7Gbit/s )に送信され、PON区間から受信するデータはONUの下りバッファを介してUNI(User Network Interface) に出力される。
【0005】
UNIには、PON区間と比較して通信速度が同一もしくは高速な場合と低速な場合がある。高速な場合は、例えばUNIの通信速度が10Gbit/s の場合であり、低速な場合は、例えばUNIの通信速度が1Gbit/s の場合である。
【0006】
UNIが低速なONUは、出力の通信速度が入力よりも低速なため、大容量の下りバッファが必要である。一方、UNIが高速なONUは、出力の通信速度が入力よりも高速もしくは同一なため、小容量の下りバッファで対応できる。ただし、ONUでは、ユーザに応じてUNIの通信速度が異なるため、低速な通信速度に合わせて大容量の下りバッファを備える必要がある。
【0007】
大容量の下りバッファは一般に外部バッファが用いられ、小容量の下りバッファは内部バッファが用いられる。外部バッファを用いる場合には、プロトコル制御用LSI内に専用の制御回路とI/Oが必要になるため、内部バッファと比較して消費電力が大きい。
【0008】
ところで、近年、PONシステムに省電力化が求められるようになり、特にOLTに比べて装置台数が多いONUを省電力化することが求められている。ONUの下りバッファにおいては、非特許文献1のように、小容量の内部バッファと大容量の外部バッファの両方を下りバッファとして備え、状況に応じてこれらのバッファを切替制御部が切り替える方法が省電力化に有効である。当該状況とは、例えば、ONUの場合においてはバッファの蓄積量(バッファに蓄積中のパケット長の総和)である。
【0009】
ONUの下りバッファの切替制御動作について、図9を用いて説明する。
(1) 下りバッファの蓄積量が少ない場合は、外部バッファを停止し、入力データの蓄積は内部バッファのみで行う。
【0010】
(2) 下りバッファの蓄積量が多く、入力データの蓄積を内部バッファのみで行えなくなった場合は、切替制御部が外部バッファに起動指示を出し、外部バッファへの蓄積を開始する。
【0011】
(3) (2) の状態から再びバッファ蓄積量が少なくなった場合には、内部バッファに入力データを蓄積し、外部バッファが空になったら切替制御部は外部バッファに停止指示を出し、外部バッファを停止する。
【0012】
(2) の処理において、外部バッファに起動指示を出した直後は、外部バッファは初期化処理(以後、起動処理と呼ぶ)中であり、外部バッファにデータを蓄積することができない。このため、外部バッファの起動処理中に入力されるデータが廃棄されないように、外部バッファの起動処理中は、内部バッファの専用の蓄積領域(以後、起動用領域と呼ぶ)に蓄積する。当該領域の容量は、下りデータレートと外部バッファの起動処理時間の積で求まる値である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】鵜澤寛之他、”省電力PONにおけるOLTのバッファ制御方法の検討”、電子情報通信学会ソサイエティ大会(Sep,2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
下りバッファとして内部バッファと外部バッファとを備えるネットワーク装置(ONU)では、その内部バッファにおける起動用領域の容量は比較的大きい。そのため、内部バッファの容量を削減し、プロトコル制御用LSIのチップ面積を削減することが困難であった。
【0015】
本発明は、データが廃棄されることなく、内部バッファの起動用領域の容量を削減してネットワーク装置の内部バッファの容量を削減することができるバッファ制御方法およびバッファ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の発明のバッファ制御方法は、下りバッファを備える第1のネットワーク装置と、下りバッファとして内部バッファおよび外部バッファを備える第2のネットワーク装置とを接続し、第2のネットワーク装置で蓄積するデータ量が閾値を超えたときに該第2のネットワーク装置が外部バッファを起動し、外部バッファの起動処理完了後に外部バッファにデータを蓄積するネットワークの第1のネットワーク装置におけるバッファ制御方法であって、第1のネットワーク装置に入力したパケットの宛先とパケット長を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを第1のネットワーク装置の下りバッファに蓄積する制御を行う蓄積制御処理ステップと、パケット情報を記録管理する蓄積情報管理処理ステップと、パケット情報により、第2のネットワーク装置の外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する外部バッファ起動状態判定処理ステップと、外部バッファ起動状態判定処理ステップの判定結果により、外部バッファが起動処理中でない場合には、第2のネットワーク装置へ送信するパケットの出力間隔を調整せず、外部バッファが起動処理中である場合には、第2のネットワーク装置へ送信するパケットの出力間隔を調整し、下りデータレートを一定値以下に制限する下りデータレート制御処理ステップとを有する。
【0017】
第1の発明のバッファ制御方法において、第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、蓄積制御処理ステップは、OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットをOLTの下りバッファに蓄積する制御を行い、外部バッファ起動状態判定処理ステップは、ONU毎の下りデータ量とUNI通信速度情報からONU毎のバッファ蓄積量を算出し、当該算出結果が当該ONUの内部バッファの容量を超えた場合には、当該ONUの外部バッファが起動処理中であると推測し、予め計測した当該ONUの外部バッファの起動処理時間が経過するまでの間、下りデータレート制御処理ステップに対して下りデータレートを一定値以下に制限することを要求する構成であり、下りデータレート制御処理ステップは、外部バッファ起動状態判定処理ステップの要求に応じて下りデータレートを一定値以下に制限する。
【0018】
第1の発明のバッファ制御方法において、第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、蓄積制御処理ステップは、OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該UNI通信速度情報に基づいて、UNIの通信速度が低速なONU宛および複数ONU宛のパケットを低速ONU宛用バッファに蓄積し、UNIの通信速度が高速なONU宛のパケットを高速ONU宛用バッファに蓄積する制御を行い、外部バッファ起動状態判定ステップは、パケット情報によりUNIの通信速度が低速なONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定し、下りデータレート制御処理ステップは、外部バッファが起動処理中でない場合には全ONUへの下りデータレートを制限せず、外部バッファが起動処理中である場合には、低速ONU宛用バッファに蓄積されたパケットの下りデータレートを一定値以下に制限する。
【0019】
第1の発明のバッファ制御方法において、第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、蓄積制御処理ステップは、OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを宛先ONU毎の下りバッファに分けて蓄積する制御を行い、外部バッファ起動状態判定ステップは、パケット情報により各ONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定し、下りデータレート制御処理ステップは、外部バッファが起動処理中でない場合には当該ONUへの下りデータレートを制限せず、外部バッファが起動処理中である場合には当該ONUへの下りデータレートを一定値以下に制限する。
【0020】
第1の発明のバッファ制御方法において、第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、外部バッファ起動状態判定処理ステップは、ONUからOLTに通知される外部バッファの起動処理状態に基づき、当該ONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する。
【0021】
第2の発明のバッファ制御装置は、下りバッファを備える第1のネットワーク装置と、下りバッファとして内部バッファおよび外部バッファを備える第2のネットワーク装置とを接続し、第2のネットワーク装置で蓄積するデータ量が閾値を超えたときに該第2のネットワーク装置が外部バッファを起動し、外部バッファの起動処理完了後に外部バッファにデータを蓄積するネットワークの第1のネットワーク装置におけるバッファ制御装置であって、第1のネットワーク装置に入力したパケットの宛先とパケット長を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを第1のネットワーク装置の下りバッファに蓄積する制御を行う蓄積制御処理手段と、パケット情報を記録管理する蓄積情報管理処理手段と、パケット情報により、第2のネットワーク装置の外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する外部バッファ起動状態判定処理手段と、外部バッファ起動状態判定処理手段の判定結果により、外部バッファが起動処理中でない場合には、第2のネットワーク装置へ送信するパケットの出力間隔を調整せず、外部バッファが起動処理中である場合には、第2のネットワーク装置へ送信するパケットの出力間隔を調整し、下りデータレートを一定値以下に制限する下りデータレート制御処理手段とを備える。
【0022】
第2の発明のバッファ制御装置において、第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、蓄積制御処理手段は、OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットをOLTの下りバッファに蓄積する制御を行う構成であり、外部バッファ起動状態判定処理手段は、ONU毎の下りデータ量とUNI通信速度情報からONU毎のバッファ蓄積量を算出し、当該算出結果が当該ONUの内部バッファの容量を超えた場合には、当該ONUの外部バッファが起動処理中であると推測し、予め計測した当該ONUの外部バッファの起動処理時間が経過するまでの間、下りデータレート制御処理手段に対して下りデータレートを一定値以下に制限することを要求する構成であり、下りデータレート制御処理手段は、外部バッファ起動状態判定処理手段の要求に応じて下りデータレートを一定値以下に制限する構成である。
【0023】
第2の発明のバッファ制御装置において、第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、蓄積制御処理手段は、OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該UNI通信速度情報に基づいて、UNIの通信速度が低速なONU宛および複数ONU宛のパケットを低速ONU宛用バッファに蓄積し、UNIの通信速度が高速なONU宛のパケットを高速ONU宛用バッファに蓄積する制御を行う構成であり、外部バッファ起動状態判定手段は、パケット情報によりUNIの通信速度が低速なONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する構成であり、下りデータレート制御処理手段は、外部バッファが起動処理中でない場合には全ONUへの下りデータレートを制限せず、外部バッファが起動処理中である場合には、低速ONU宛用バッファに蓄積されたパケットの下りデータレートを一定値以下に制限する構成である。
【0024】
第2の発明のバッファ制御装置において、第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、蓄積制御処理手段は、OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを宛先ONU毎の下りバッファに分けて蓄積する制御を行う構成であり、外部バッファ起動状態判定手段は、パケット情報により各ONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する構成であり、下りデータレート制御処理手段は、外部バッファが起動処理中でない場合には当該ONUへの下りデータレートを制限せず、外部バッファが起動処理中である場合には当該ONUへの下りデータレートを一定値以下に制限する構成である。
【0025】
第2の発明のバッファ制御装置において、第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、下りデータレート制御処理手段は、外部バッファが起動処理中のONU宛のデータを出力する際に、OLTのプロトコル制御用LSIが要するクロックサイクル数を記録し、当該データの出力開始から記録した当該クロックサイクル数に所定の値を乗算した値と等しい時間が経過するまでの間、当該ONU宛のデータをOLTから出力することを禁止し、所定の値を、下りデータレートを制限しない時の通信速度と下りデータレート制限時の通信速度の比とOLTのプロトコル制御用LSIの1クロックサイクル時間との積とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、第2のネットワーク装置(ONU)が外部バッファの起動処理を行っている間は、第1のネットワーク装置(OLT)が当該ONU宛の下りデータレートを一定値以下に制限するため、ONUの下りバッファにおける内部バッファの起動用領域を削減して内部バッファの容量を削減することが可能になる。また、OLTが下りデータレートを一定値以下に制限している間にOLTから出力されないデータはOLTの下りバッファに蓄積されるため、データは失われない。また、下りデータレートを一定値以下に制限する期間は、ONUの外部バッファの起動処理が完了するまでの間だけであるため、OLTの下りバッファに蓄積するデータ量は少なく、本発明の適用によるOLTのバッファ容量の増大を抑えることができる。
【0027】
本発明適用時のONUの下りバッファの蓄積動作およびその効果について図10を参照して説明する。ONUが受信する下りパケットに対して、ONUにおいてパケットが蓄積されるバッファの種類と、その蓄積量の合計値を示す。横軸は時間であり、縦軸は蓄積量の合計値である。
【0028】
OLTが本発明を適用しない場合には、ONUが外部バッファの起動処理を行っている間も下りデータレートは変化せず、破線のように蓄積量が増大するため、内部バッファの起動用領域を小さくすることができない。
【0029】
これに対して、OLTが本発明を適用した場合には、ONUが外部バッファの起動処理を行っている間は、下りデータレートが一定値以下に下がり、実線のように蓄積量の傾きが緩やかになるため、内部バッファの起動用領域を小さくして内部バッファの容量を削減することができる。
【0030】
また、下りデータレートの制限は、外部バッファが起動する可能性があるUNIの通信速度が低速なONU宛の下りデータに対して実施することで、OLTが備える下りデータレートを制限するための制御回路は単一でよく、下りデータレート制限時のOLTのデータ出力制御が容易になる。
【0031】
また、下りデータレートの制限は、外部バッファが起動する可能性があるUNIの通信速度が低速なONUへの下りデータに対してのみデータレートの制限を実施するため、UNIの通信速度が高速なONUへの下りデータに対する遅延を防ぐことができる。
【0032】
また、外部バッファが起動処理中のONUの下りデータレートを任意の通信速度に制限することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1のバッファ制御装置の構成例を示す図である。
【図2】外部バッファ起動状態判定処理部14の構成例を示す図である。
【図3】下りデータレート制御処理部15におけるパケット出力動作例を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施例2のバッファ制御装置の構成例を示す図である。
【図5】実施例2における蓄積制御処理部11の処理手順例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例3のバッファ制御装置の構成例を示す図である。
【図7】実施例3におけるONU#i宛のパケット出力処理手順例を示すフローチャートである。
【図8】10G−EPONシステムの下りバッファを示す図である。
【図9】ONUの下りバッファの切替制御動作例を示す図である。
【図10】ONUのバッファ蓄積動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の特徴は、下りバッファとして内部バッファと外部バッファの両方を備える第2のネットワーク装置(ONU)において、外部バッファが起動処理中は、第1のネットワーク装置(OLT)で受信した当該第2のネットワーク装置(ONU)宛のデータを第1のネットワーク装置(OLT)の下りバッファに蓄積し、第1のネットワーク装置(OLT)が当該第2のネットワーク装置(ONU)へ送信する下りデータレートを一定値以下に制限する機能を第1のネットワーク装置(OLT)が備えたところにある。
【0035】
以下、OLTとONUが接続されるPONシステムにおいて、OLTの下りバッファにおけるバッファ制御例について説明する。
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明の実施例1のバッファ制御装置の構成例を示す。
図1において、OLTの下りバッファにおけるバッファ制御装置は、蓄積制御処理部11、バッファ12、パケット情報管理処理部13、外部バッファ起動状態判定処理部14、下りデータレート制御処理部15により構成される。
【0037】
蓄積制御処理部11は、OLTの下りパケットが入力されると、当該パケットの宛先ONUを抽出し、当該ONUのUNIの通信速度を取得する。さらに、当該パケットをバッファ12に蓄積すると同時に、当該パケットの宛先、パケット長、パケットサイクル数、宛先ONUのUNI通信速度を含むパケット情報をパケット情報管理処理部13に通知する。パケットサイクル数とは、OLTのプロトコル制御用LSIが当該パケットを処理するのに要するクロックサイクル数である。パケット情報管理処理部13は、当該パケット情報を記録管理する。なお、ONU毎のUNI通信速度情報は、例えばOAMフレームを用いてOLTがONUから取得し、蓄積制御処理部11が記録管理する。この他の取得手段としては、MACフレームを用いる手段やプリアンブルの一部に埋め込む等の手段を用いてもよい。
【0038】
パケット情報管理処理部13は、下りデータレート制御処理部15からの要求に応じて、記録管理したパケット情報を外部バッファ起動状態判定処理部14および下りデータレート制御処理部15に通知する。
【0039】
外部バッファ起動状態判定処理部14は、当該パケット情報に基づいて、ONU毎の下りデータ量とUNI通信速度情報からバッファ蓄積量を算出し、当該算出結果がONUの内部バッファ容量を超えた場合には、予め計測した当該ONUの外部バッファの起動処理時間が経過するまでの間を、当該ONUの外部バッファが起動処理中であると推測する。また、下りデータレート制御処理部15は、外部バッファ起動状態判定処理部14が全ONUの外部バッファが起動処理中でないと判定した場合には、バッファ12からの読み出し間隔を調整せずに、前記パケット情報に基づいてバッファ12から読み出したパケットを出力する。一方、外部バッファ起動状態判定処理部14がいずれかのONUの外部バッファが起動処理中と判定した場合には、前記パケット情報に基づいてバッファ12からの読み出し間隔を調整し、ONUへの下りデータレートを一定値以下に制限する。
【0040】
以下、外部バッファ起動状態判定処理部14および下りデータレート制御処理部15の詳細について説明する。
【0041】
図2は、外部バッファ起動状態判定処理部14の構成例を示す。
図2において、外部バッファ起動状態判定処理部14は、ONU毎の外部バッファの起動処理状態を推測する切替制御処理部141−1〜141−Nと、ONU毎の起動処理状態の推測結果に基づいて、下りデータレートを一定値以下に制限するように下りデータレート制御処理部15に指示を行う制限要求処理部142から構成される。
【0042】
外部バッファ起動状態判定処理部14は、パケット情報管理処理部13からONU毎のパケット情報(宛先ONU、パケット長、UNI通信速度等)を取得し、宛先ONU#1〜ONU#Nに対応する切替制御処理部141−1〜141−Nにそれぞれ通知する。各切替制御処理部141は、図9のONUの下りバッファにおける切替制御部と同様の機能を備え、各ONUのバッファ蓄積量の計測と予め計測した外部バッファの起動処理時間とから、各ONUの外部バッファの起動処理状態を推測する。具体的には、バッファ蓄積量がONUの内部バッファのみで蓄積可能な値を超えた場合には、当該ONUが起動処理中であると推測し、予め計測したONUの外部バッファの起動処理時間が経過するまでの間、起動処理フラグを「1」にして制限要求処理部142に通知する。起動処理フラグとは、当該ONUの外部バッファが起動処理中か否かを示すフラグであり、「1」の場合には起動処理中、「0」の場合には起動処理中でないことを示す。バッファ蓄積量の計測は、入力パケットのパケット長をByte換算した値をバッファ蓄積量に加算し、当該ONUが単位時間当たりにUNIに出力可能なByte量(8×UNIの通信速度[bit/s] ×単位時間で求まる値) を、当該バッファ蓄積量から単位時間毎に減算して得る。なお、単位時間とは例えば、OLTのプロトコル制御用LSIの1クロックサイクル時間である。
【0043】
制限要求処理部142は、ONU毎の切替制御処理部141−1〜141−Nから通知される起動処理フラグの論理和をとり、制限要求フラグとして下りデータレート制御処理部15に通知する。制限要求フラグが「1」の場合には、各ONUのいずれかの外部バッファが起動処理中であることを意味するため、下りデータレート制御処理部15で下りデータレートを一定値以下に制限する要求を示す。制限要求フラグが「0」の場合には、ONUのいずれも外部バッファが起動処理中でないことを意味するため、下りデータレート制御処理部15で下りデータレートを一定値以下に制限する必要がないことを示す。
【0044】
図3は、下りデータレート制御処理部15におけるパケット出力動作例を示す。
下りデータレート制御処理部15は、外部バッファ起動状態判定処理部14から通知される制限要求フラグが「1」の場合には、バッファ12からのパケット読み出し間隔を調整して、所望の下りデータレートを得る。
【0045】
図3(a) は、制限要求フラグが「0」の場合を示すタイミングチャートであり、図3(b) は、制限要求フラグが「1」の場合を示すタイミングチャートである。図3において、横軸は時間であり、Xは出力パケット#1のパケットサイクル数である。また、読み出し許可フラグは、下りデータレート制御処理部15が備えるフラグであり、「0」の場合にはバッファ12から次のパケットの読み出しを禁止、「1」の場合には読み出し許可を示す。
【0046】
図3(a) の制限要求フラグが「0」の場合には、下りデータレート制御処理部15がバッファ12が空でないこと(バッファ状態:0)を検出すると、読み出し許可フラグが「1」か否かを確認する。読み出し許可フラグが「0」の場合には、読み出し許可フラグが「1」になるまで待つ。図3(a) では、読み出し許可フラグが「1」であるため、読み出し可能と判断し、パケット情報管理処理部13からパケット情報を取得する。この際、取得したパケット情報は、同時に外部バッファ起動状態判定処理部14も取得する。下りデータレート制御処理部15は、当該パケット情報に基づいて、バッファ12からパケットを読み出して出力する。同時に、下りデータレート制御処理部15は、制限要求フラグが「1」か否かを確認する。図3(a) では、制限要求フラグが「0」であるため、パケットの出力開始から出力完了までの間、読み出し許可フラグを「0」にし、当該パケットの出力が完了すると読み出し許可フラグを「1」にする。
【0047】
図3(b) の制限要求フラグが「1」の場合には、パケット情報を下りデータレート制御処理部15が取得した後に、以下の方法でバッファ12からパケットの読み出し間隔を調整する点が図3(a) と異なる。下りデータレート制御処理部15は、パケット情報を取得すると同時に、制限要求フラグが「1」か否かを確認する。図3(b) では、制限要求フラグが「1」であるため、下りデータレート制御処理部15は、取得したパケット情報の内、パケットサイクル数Xの値に基づいて、バッファ12からパケットの出力を開始してX・τの時間が経過するまでの間、読み出し許可フラグを「0」にし、X・τの時間が経過すると、読み出し許可フラグを「1」にする。これにより、下りデータレートを所望の通信速度以下に制限することが可能になる。なお、τは下りデータレートを制限しない時の通信速度Snormal[bit/s] と下りデータレート制限時の通信速度Srate down [bit/s] の比とOLTのプロトコル制御用LSIの1クロックサイクル時間Tclk [s] との積で求まる(Snormal/Srate down)・Tclk である。
【実施例2】
【0048】
図4は、本発明の実施例2のバッファ制御装置の構成例を示す。
図4において、実施例2のバッファ制御装置は、蓄積制御処理部11、低速ONU宛用バッファ12A、高速ONU宛用バッファ12B、パケット情報管理処理部13、外部バッファ起動状態判定処理部14、下りデータレート制御処理部15により構成される。
【0049】
本実施例は、OLTの下りバッファにおけるバッファ12として、UNIの通信速度が低速なONU宛および複数のONU宛(以下、低速ONUグループと呼ぶ)のパケットを蓄積する低速ONU宛用バッファ12Aと、UNIの通信速度が高速なONU宛のパケットを蓄積する高速ONU宛用バッファ12Bとに分け、蓄積制御処理部11でそれぞれのパケットの蓄積制御を行う点が実施例1と異なる。ここで、複数のONU宛のパケットとは、マルチキャスト(もしくはブロードキャスト)パケットである。さらに、本実施例の外部バッファ起動状態判定処理部14は、低速ONUグループのパケットの蓄積量を算出し、低速ONUグループに属するONUのいずれかが外部バッファの起動処理を行っていると判定した場合には、下りデータレート制御処理部15に低速ONUグループへの下りデータレートの制限を要求する点が実施例1と異なる。さらに、本実施例の下りデータレート制御処理部15は、外部バッファ起動状態判定処理部14からの要求に応じて、低速ONU宛用バッファ12Aに対してのみパケット間隔の調整を行い、高速ONU宛用バッファ12Bに対してはパケット間隔の調整を行わない点が実施例1と異なる。
【0050】
以下、実施例2における蓄積制御処理部11および下りデータレート制御処理部15の詳細について説明する。パケット情報管理処理部13は、実施例1と同一の機能を有する。
【0051】
(1) 蓄積制御処理部11の詳細
実施例2の蓄積制御処理部11は、入力パケットの宛先ONUにおけるUNIの通信速度に応じて、低速ONU宛用バッファ12Aもしくは高速ONU宛用バッファ12Bに蓄積制御する。
【0052】
図5は、実施例2における蓄積制御処理部11の処理手順の一例を示す。
蓄積制御処理部11は、OLTの下りパケットが入力されると(ステップD1)、当該パケットの宛先ONUを抽出し(ステップD2)、当該パケットが複数のONU宛てのパケットか否かを判断し(ステップD3)、単一のONU宛てのパケットであれば(ステップD3:No)、宛先ONUのUNI通信速度を取得する(ステップD4)。取得した通信速度が低速であった場合(ステップD5:Yes )には、低速ONU宛用バッファ12Aに当該パケットを蓄積する(ステップD7)。逆に、取得した通信速度が高速であった場合(ステップD5:No)には、高速ONU宛用バッファ12Bに当該パケットを蓄積する(ステップD6)。また、入力パケットの宛先ONUが複数の場合(ステップD3:Yes )には、低速ONU宛用バッファ12Aに蓄積する(ステップD7)。この時、蓄積制御処理部11は、当該パケットのパケット長とパケットサイクル数を計測し(ステップD8)、パケット長、宛先ONU、UNI通信速度を少なくとも含むパケット情報をパケット情報管理処理部13に通知する。
【0053】
(2) 下りデータレート制御処理部15の詳細
実施例2の下りデータレート制御処理部15は、外部バッファ起動状態判定処理部14からの制限要求フラグが「1」の場合には、低速ONU宛用バッファ12Aに対してのみパケットの読み出し間隔を調整して下りデータレートを一定値以下に制限し、高速ONU宛用バッファ12Bからのパケットの読み出し間隔は調整せず、下りデータレートを一定値以下に制限しない。当該処理を実現するために、制限要求フラグが「1」の場合における低速ONU宛用バッファ12Aからのパケットの読み出しは、実施例1における読み出し許可フラグを低速読み出し許可フラグとして、実施例1と同様のパケットの読み出し間隔の調整を行う。低速読み出し許可フラグとは、下りデータレート制御処理部15が備えるフラグであり、「0」の場合には低速ONU宛用バッファ12Aからのパケットの読み出し禁止、「1」の場合には低速ONU宛用バッファ12Aからのパケットの読み出し許可を示すフラグである。
【0054】
下りデータレート制御処理部15は、制限要求フラグが「1」の場合において、低速読み出し許可フラグが「1」の場合には、低速ONU宛用バッファ12Aから優先してパケットを読み出し、低速読み出し許可フラグが「0」の場合には、高速ONU宛用バッファ12Bからパケットを読み出す。逆に、制限要求フラグが「0」の時には、以下の (1)〜(3) の場合に応じて、低速ONU宛用バッファ12Aまたは高速ONU宛用バッファ12Bからパケットを読み出して出力する。
【0055】
(1) 高速ONU宛用バッファ12Bが空の場合は、低速ONU宛用バッファ12Aが空か否かを確認し、空でなれば低速ONU宛用バッファ12Aからパケットを読み出して出力する。
【0056】
(2) 低速ONU宛用バッファ12Aが空の場合は、高速ONU宛用バッファ12Bが空か否かを確認し、空でなければ高速ONU宛用バッファ12Bからパケットを読み出して出力する。
【0057】
(3) 低速ONU宛用バッファ12Aおよび高速ONU宛用バッファ12Bがともに空でない場合は、読み出し許可に応じて、低速ONU宛用バッファ12Aと高速ONU宛用バッファ12Bのいずれかを選択し、選択されたバッファからパケットを読み出す。その選択方法は任意でよい。
【実施例3】
【0058】
図6は、本発明の実施例3のバッファ制御装置の構成例を示す。
図6において、実施例3のバッファ制御装置は、蓄積制御処理部11、各ONU宛のパケットを個別に蓄積するONU#1宛用バッファ12−1〜ONU#N宛用バッファ12−N、パケット情報管理処理部13、外部バッファ起動状態判定処理部14、低速ONUグループに属する各ONUに対して下りデータレートの制限を個別に実施する各ONU用の下りデータレート制御処理部15−1〜15−N、各下りデータレート制御処理部15−1〜15−Nを多重制御する多重制御処理部16により構成される。
【0059】
以下、実施例3における各部の詳細について説明する。
(1) 蓄積制御処理部11の詳細
実施例3の蓄積制御処理部11は、宛先ONU毎にパケットを蓄積制御する。OLTの下りパケットが入力されると、当該パケットの宛先ONUを抽出し、当該ONUのUNIの通信速度を取得する。また、当該宛先ONUに基づいて、当該ONU宛バッファに当該パケットを蓄積制御すると同時に、当該パケットのパケット長とパケットサイクル数を計測し、パケット長、宛先ONU、UNIの通信速度を少なくとも含むパケット情報をパケット情報管理処理部13に通知する。
【0060】
(2) パケット情報管理処理部13の詳細
実施例3のパケット情報管理処理部13は、宛先ONU毎にパケット情報を記録管理する点のみが実施例1と異なる。
【0061】
(3) 外部バッファ起動状態判定処理部14の詳細
実施例3の外部バッファ起動状態判定処理部14は、実施例1における制限要求処理がなく、ONU毎に備える切替制御処理部から出力される起動処理フラグを、後述する当該ONU#iの下りデータレート制御処理部15−iに通知する点が他の実施例と異なる。
【0062】
(4) 下りデータレート制御処理部15−1〜15−N
実施例3の下りデータレート制御処理部15−1〜15−Nは、外部バッファ起動状態判定処理部14からのONU毎の起動処理フラグに応じて、ONU#1宛用バッファ12−1〜ONU#N宛用バッファ12−Nからの読み出し間隔を個別に調整する点が他の実施例と異なる。この処理を実現するために、各ONU用の下りデータレート制御処理部15−1〜15−Nを備え、外部バッファ起動状態判定部14が起動処理フラグをONU毎の下りデータレート制御処理部15−1〜15−Nに通知する。また、他の実施例と異なり、個々のONU毎に備える下りデータレート制御処理部15−1〜15−Nを多重する多重制御処理部16を備える。
【0063】
下りデータレート制御処理部15−iは、当該ONU#iの起動処理フラグが「1」の場合には、当該ONU#i宛用バッファ12−iからのパケットの読み出し間隔を調整して下りデータレートを一定値以下に制限する。パケットの読み出し間隔の調整方法は、実施例1と同様であるが、実施例1の制限要求フラグを起動処理フラグにする。
【0064】
図7は、実施例3におけるONU#i宛のパケット出力処理手順例を示す。
下りデータレート制御処理部15−1〜15−Nおよび多重制御処理部16は、ONU宛用バッファ毎に本フローチャートに従って、パケットを読み出して出力する。下りデータレート制御処理部15−iは、ONU#i宛用バッファ12−iが空か否かを確認(ステップG1)し、空でなければ、読み出し許可フラグを確認する(ステップG2)。読み出し許可フラグが「0」の場合には、「1「になるまで待つ。読み出し許可フラグが「1」の場合には、多重制御処理部16がONU#i宛用バッファ12−iからの読み出しを選択するまで待つ(ステップG3)。なお、多重制御処理部16における当該選択方法は任意で良い。
【0065】
多重制御処理部16がONU#i宛用バッファ12−iからの読み出しを選択した場合には、ONU#i宛用バッファ12−iに蓄積されたパケットのパケット情報をパケット情報管理処理部13から取得し(ステップG4)、そのパケット情報に基づいてONU#i宛用バッファ12−iからパケットの読み出しを行う(ステップG5)。なお、読み出し許可が与えられていない場合には与えられるまで待つ。ステップG4、G5の処理は、実施例1と同様である。
【実施例4】
【0066】
実施例4の外部バッファ起動状態判定処理部14は、実施例1におけるONU毎の外部バッファの起動処理状態を推測する切替制御処理部141−1〜141−Nを備えないことを特徴とする。
【0067】
本実施例において、外部バッファの起動処理状態を各ONUがOLTに通知し、その通知結果を基にOLTは下りデータレートの制限を行う。外部バッファの起動処理状態の通知手段としては、各ONUが、例えばMPCPフレームを用いてOLTに通知する手段がある。この他通知手段としては、MPCPフレーム以外のMACフレームを用いる手段やプリアンブルの一部に埋め込む等の手段もある。ONUからの当該通知結果が外部バッファが起動処理中の場合には、当該ONUの起動処理フラグを「1」とし、起動処理中でない場合には、当該ONUの起動処理フラグを「0」として、制限要求処理部142に起動処理フラグを通知する。制限要求処理部142は、実施例1と同様に、ONU毎の起動処理フラグの論理和をとり、制限要求フラグとして下りデータレート制御処理部15に通知する。
【符号の説明】
【0068】
11 蓄積制御処理部
12 バッファ
12A 低速ONU宛用バッファ
12B 高速ONU宛用バッファ
13 パケット情報管理処理部
14 外部バッファ起動状態判定処理部
141 切替制御処理部
142 制限要求処理部
15 下りデータレート制御処理部
16 多重制御処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下りバッファを備える第1のネットワーク装置と、下りバッファとして内部バッファおよび外部バッファを備える第2のネットワーク装置とを接続し、第2のネットワーク装置で蓄積するデータ量が閾値を超えたときに該第2のネットワーク装置が前記外部バッファを起動し、前記外部バッファの起動処理完了後に前記外部バッファにデータを蓄積するネットワークの第1のネットワーク装置におけるバッファ制御方法であって、
前記第1のネットワーク装置に入力したパケットの宛先とパケット長を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを前記第1のネットワーク装置の下りバッファに蓄積する制御を行う蓄積制御処理ステップと、
前記パケット情報を記録管理する蓄積情報管理処理ステップと、
前記パケット情報により、前記第2のネットワーク装置の前記外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する外部バッファ起動状態判定処理ステップと、
前記外部バッファ起動状態判定処理ステップの判定結果により、前記外部バッファが起動処理中でない場合には、前記第2のネットワーク装置へ送信するパケットの出力間隔を調整せず、前記外部バッファが起動処理中である場合には、前記第2のネットワーク装置へ送信するパケットの出力間隔を調整し、下りデータレートを一定値以下に制限する下りデータレート制御処理ステップと
を有することを特徴とするバッファ制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のバッファ制御方法において、
前記第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、前記第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、
前記蓄積制御処理ステップは、前記OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを前記OLTの下りバッファに蓄積する制御を行い、
前記外部バッファ起動状態判定処理ステップは、ONU毎の下りデータ量とUNI通信速度情報からONU毎のバッファ蓄積量を算出し、当該算出結果が当該ONUの内部バッファの容量を超えた場合には、当該ONUの外部バッファが起動処理中であると推測し、予め計測した当該ONUの外部バッファの起動処理時間が経過するまでの間、前記下りデータレート制御処理ステップに対して前記下りデータレートを一定値以下に制限することを要求する構成であり、
前記下りデータレート制御処理ステップは、前記外部バッファ起動状態判定処理ステップの要求に応じて下りデータレートを一定値以下に制限する
ことを特徴とするバッファ制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載のバッファ制御方法において、
前記第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、前記第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、
前記蓄積制御処理ステップは、前記OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該UNI通信速度情報に基づいて、UNIの通信速度が低速なONU宛および複数ONU宛のパケットを低速ONU宛用バッファに蓄積し、UNIの通信速度が高速なONU宛のパケットを高速ONU宛用バッファに蓄積する制御を行い、
前記外部バッファ起動状態判定ステップは、前記パケット情報によりUNIの通信速度が低速なONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定し、
前記下りデータレート制御処理ステップは、前記外部バッファが起動処理中でない場合には全ONUへの下りデータレートを制限せず、前記外部バッファが起動処理中である場合には、前記低速ONU宛用バッファに蓄積されたパケットの下りデータレートを一定値以下に制限する
ことを特徴とするバッファ制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載のバッファ制御方法において、
前記第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、前記第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、
前記蓄積制御処理ステップは、前記OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを宛先ONU毎の下りバッファに分けて蓄積する制御を行い、
前記外部バッファ起動状態判定ステップは、前記パケット情報により各ONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定し、
前記下りデータレート制御処理ステップは、前記外部バッファが起動処理中でない場合には当該ONUへの下りデータレートを制限せず、前記外部バッファが起動処理中である場合には当該ONUへの下りデータレートを一定値以下に制限する
ことを特徴とするバッファ制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載のバッファ制御方法において、
前記第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、前記第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、
前記外部バッファ起動状態判定処理ステップは、前記ONUから前記OLTに通知される前記外部バッファの起動処理状態に基づき、当該ONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する
ことを特徴とするバッファ制御方法。
【請求項6】
下りバッファを備える第1のネットワーク装置と、下りバッファとして内部バッファおよび外部バッファを備える第2のネットワーク装置とを接続し、第2のネットワーク装置で蓄積するデータ量が閾値を超えたときに該第2のネットワーク装置が前記外部バッファを起動し、前記外部バッファの起動処理完了後に前記外部バッファにデータを蓄積するネットワークの第1のネットワーク装置におけるバッファ制御装置であって、
前記第1のネットワーク装置に入力したパケットの宛先とパケット長を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを前記第1のネットワーク装置の下りバッファに蓄積する制御を行う蓄積制御処理手段と、
前記パケット情報を記録管理する蓄積情報管理処理手段と、
前記パケット情報により、前記第2のネットワーク装置の前記外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する外部バッファ起動状態判定処理手段と、
前記外部バッファ起動状態判定処理手段の判定結果により、前記外部バッファが起動処理中でない場合には、前記第2のネットワーク装置へ送信するパケットの出力間隔を調整せず、前記外部バッファが起動処理中である場合には、前記第2のネットワーク装置へ送信するパケットの出力間隔を調整し、下りデータレートを一定値以下に制限する下りデータレート制御処理手段と
を備えたことを特徴とするバッファ制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載のバッファ制御装置において、
前記第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、前記第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、
前記蓄積制御処理手段は、前記OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを前記OLTの下りバッファに蓄積する制御を行う構成であり、
前記外部バッファ起動状態判定処理手段は、ONU毎の下りデータ量とUNI通信速度情報からONU毎のバッファ蓄積量を算出し、当該算出結果が当該ONUの内部バッファの容量を超えた場合には、当該ONUの外部バッファが起動処理中であると推測し、予め計測した当該ONUの外部バッファの起動処理時間が経過するまでの間、前記下りデータレート制御処理手段に対して前記下りデータレートを一定値以下に制限することを要求する構成であり、
前記下りデータレート制御処理手段は、前記外部バッファ起動状態判定処理手段の要求に応じて下りデータレートを一定値以下に制限する構成である
ことを特徴とするバッファ制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載のバッファ制御装置において、
前記第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、前記第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、
前記蓄積制御処理手段は、前記OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該UNI通信速度情報に基づいて、UNIの通信速度が低速なONU宛および複数ONU宛のパケットを低速ONU宛用バッファに蓄積し、UNIの通信速度が高速なONU宛のパケットを高速ONU宛用バッファに蓄積する制御を行う構成であり、
前記外部バッファ起動状態判定手段は、前記パケット情報によりUNIの通信速度が低速なONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する構成であり、
前記下りデータレート制御処理手段は、前記外部バッファが起動処理中でない場合には全ONUへの下りデータレートを制限せず、前記外部バッファが起動処理中である場合には、前記低速ONU宛用バッファに蓄積されたパケットの下りデータレートを一定値以下に制限する構成である
ことを特徴とするバッファ制御装置。
【請求項9】
請求項6に記載のバッファ制御装置において、
前記第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、前記第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、
前記蓄積制御処理手段は、前記OLTに入力したパケットの宛先ONUとパケット長と当該ONUのUNI通信速度情報を少なくとも含むパケット情報を取得し、当該パケットを宛先ONU毎の下りバッファに分けて蓄積する制御を行う構成であり、
前記外部バッファ起動状態判定手段は、前記パケット情報により各ONUの外部バッファが起動処理中であるか否かを判定する構成であり、
前記下りデータレート制御処理手段は、前記外部バッファが起動処理中でない場合には当該ONUへの下りデータレートを制限せず、前記外部バッファが起動処理中である場合には当該ONUへの下りデータレートを一定値以下に制限する構成である
ことを特徴とするバッファ制御装置。
【請求項10】
請求項6に記載のバッファ制御装置において、
前記第1のネットワーク装置がPONシステムにおけるOLT、前記第2のネットワーク装置がPONシステムにおける複数のONUであり、
前記下りデータレート制御処理手段は、前記外部バッファが起動処理中のONU宛のデータを出力する際に、前記OLTのプロトコル制御用LSIが要するクロックサイクル数を記録し、当該データの出力開始から記録した当該クロックサイクル数に所定の値を乗算した値と等しい時間が経過するまでの間、当該ONU宛のデータをOLTから出力することを禁止し、前記所定の値を、下りデータレートを制限しない時の通信速度と下りデータレート制限時の通信速度の比と前記OLTのプロトコル制御用LSIの1クロックサイクル時間との積とする
ことを特徴とするバッファ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−49707(P2012−49707A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188581(P2010−188581)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】