説明

バラストの連続的な測定を含む、バラスト混入フロキュレーション(凝集)−沈降(沈殿)によって水を処理する方法および該方法に対応するシステム

本発明の対象は、バラストを注入するステップ(3)および前記バラストを再循環するステップ(7)を含む、フロキュレーション(4)または沈殿作用(5)によって水を処理する方法において、前記バラストの濃度を連続的に測定するステップ(11)と、前記測定値を基準値と比較するステップと、を含むことを特徴とする方法である。また、本発明の対象は、該方法を実施する水処理プラントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理の分野に関し、特に、廃水処理方法、具体的には、フロキュレーション(flocculation,凝集・綿状凝集・綿状沈殿)−沈降(沈殿)を行う廃水処理方法の枠組み内の用途に適用されるものである。
【背景技術】
【0002】
これらの方法は、1つまたは複数の反応剤を廃水に加え、廃水内の汚染物質の少なくとも大部分を綿状凝集(綿状沈殿)することを可能にし、次いで、このようにして形成されたフロック(綿状凝集物・綿状沈殿物・綿くず)を浄化された水から分離することから構成されている。
【0003】
好ましいシステムの一形式によれば、前記フロックを安定化させ、これによって、フロックの沈降(沈殿)を促進かつ加速するために、水よりも密度の高い少なくとも一種の粒状材料、例えば、砂を加える手段が、設けられている。このような装置は、特に、特許文献1に記載されている。
【0004】
バラスト、通常は、60μmから300μmの範囲内の平均直径を有する微細砂は、フロキュレーションステップの上流またはそのステップ中に、綿状凝集剤と共に被処理水内に導かれ、これによって、15m/h、場合によっては、さらに100m/hを超えることもある「ミラー(mirror)」速度でより迅速に沈降(沈殿)することができる重量のあるフロックを形成することになる。
【0005】
沈降(沈殿)の後、バラストは、フロックの残部をなすスラッジの大部分から分離され、スラッジは、システムから抽出されるが、バラストは、システムの先頭に再循環されるようになっている。
【0006】
「バラスト混入フロキュレーション(凝集)−沈降(沈殿)」、「バラスト混入フロキュレーション」、または「バラスト混入沈降(沈殿)」という用語は、以下、水および水溶解物よりも密度の高い微粒子バラストを用いるバラスト混入フロキュレーション−沈降(沈殿)の技術を指すものとする。「砂」という用語は、バラストが砂または他のバルク粒状材料のいずれからでも構成されるにも関わらず、ここでは、バラストを指すものとする。
【0007】
所定の特性(種類、懸濁固形物SSの濃度、および種々の汚染物質の濃度)を有する水、所定の形態(大きさ、密度、組成)のバラスト、および所定の綿状凝集剤に対して、もしフロキュレーション区域における平均砂濃度が、所定の濃度範囲内に維持されているなら、バラスト混入フロキュレーション−沈降(沈殿)は、最適に作用することになる。ここで、フロキュレーション区域における平均砂濃度は、砂率(同一の期間にわたってフロキュレーション区域に入る水のmに対するフロキュレーション区域における再循環された砂のkg)によって表わされるものとする。
【0008】
一般に処理される水の場合、最適な砂濃度は、1〜20kg/mの範囲内、最も一般的には、約3〜10kg/mの範囲内にある。
【0009】
これらの方法の実験によって、フロキュレーション区域における砂濃度は、特に以下の理由から、時間と共に変化する傾向にあることが分かっている。
【0010】
−システム内を循環しているバラストの一部は、このバラストが浮遊し易い極めて軽量のフロックに付着する極めて微細な砂粒子からなるという事実、バラスト粒子がフロキュレーション過程中にフロック内に一体化されず、バラスト混入フロックよりも緩慢に沈降(沈殿)する傾向があるという事実、または局部的な流体短絡回路によって、一部のバラスト混入フロックが沈降(沈殿)区域において沈降(沈殿)する時間がないという事実のいずれかによって、処理された水と共に離脱することがある。
【0011】
−システム内で循環しているバラストの他の部分が、システムから抽出されるスラッジと共に離脱することもある。実際、砂の粒子の大きさに基づいて、および砂を再循環させる前に過剰なスラッジから砂を分離するのに一般に用いられる液体サイクロンの格付けに基づいて、ある割合の砂が、液体サイクロンからオーバフローとして離脱することがある。また、液体サイクロンのアンダーフローが偶発的に詰まることによって、ある量の砂が、スラッジと共に急速に失われることもある。
【0012】
−流体条件の変動によって、例えば、処理される水の流量の増大によって、特に、砂がスクレーパによって沈降(沈殿)タンクの底の低い中心点に戻され、沈降(沈殿)タンクの底に砂滞留効果をもたらすと、フロキュレーション区域における砂濃度の変動、例えば、フロキュレーション区域における砂濃度の減少が生じることがある。
【0013】
前述した形式のシステムの場合、処理される流体内の粒子材料の濃度の監視は、通常、フロキュレーション区域から試料を直接採取し、粒子材料の濃度を測定するか、または処理された水の排出流量(m/h)に対する(フロックを安定化するための)再循環された粒子材料の流量(kg/h)の割合を求めるかのいずれかによって、行われている。粒子材料の流量は、再循環液体サイクロンのアンダーフローにおいて測定されている。
【0014】
しかし、この実施方法は、特に、以下に述べるいくつかの欠点を有している。
【0015】
−液体サイクロンのアンダーフローからの試料採取による砂濃度の測定は、(液体サイクロンのアンダーフローが、瞬時流量に基づき、異なる索状または落下傘状の噴流形状を呈することがあるスラッジ、砂、および水の混合噴流からなるので)、実行するのが困難であり、オペレータごとに比較し得ない結果をもたらすことがあり、従って、それらの結果を用いることには問題がある。
【0016】
−オペレータは、2つの測定時点の間、何も疑うことなく作業するので、これらの2つの測定時点の間に生じる運転の誤動作(例えば、液体サイクロンの詰まり)に対応することができない。従って、システムは、オペレータが対応する機会を得る前に、その砂の大部分を失う可能性がある。
【0017】
−この種の手動測定は、不快な作業であり、時間が掛かり、従って、効率の程度が制限されるので、費用が掛かることになる。
【0018】
2つの濃度測定時点の間に砂を損失する危険性を最小限に抑えるために、特許文献2に開示されている技術は、液体サイクロンから抽出されるスラッジの全てまたは一部に対して、沈降(沈殿)装置を設置することを提案している。沈降(沈殿)した砂の高さが、周期的に、例えば、15分ごとに測定され、測定後、開いたタンク底の弁を通して、沈降(沈殿)した砂が排出されるようになっている。測定期間(この場合、15分)中に異常な砂の高さが検出されると、アラームがオペレータに砂の異常な損失を知らせ、オペレータが早期に介入することを可能にするようになっている。
【0019】
しかし、この種の装置は、いまだに種々の欠点を残している。
【0020】
−この装置は、半連続的(前述の例では、15分間隔)でしか作動されないので、即時の対応を行うことができず、その結果、例えば、液体サイクロンのアンダーフローが予期せずに詰まった場合、著しい砂の損失が生じることがある。
【0021】
−この装置は、砂の異常な著しい損失を検出するが、フロキュレーション区域における砂濃度の変動を連続的に測定または計算することができず、またはこれらの変動を補償するために、これらの変動に自動的に対応することができない。従って、この技術は、実質的に異常な運転を検出することを目指すものであり、最適な運転を目的としてわずかな変動を修正することができるようにはなっていない。
【0022】
−この装置は、微細なシート金属から作製されているので、比較的高価である。
【0023】
これらの欠点は、特に、測定が液体サイクロンのオーバフローに対して行われ、このオーバフローは、極めてわずかな量のバラストしか含んでいないという事実によるものである。
【0024】
さらに、この技術は、バラストの再循環中に、バラストの測定を行っていないことに留意されたい。
【0025】
換言すると、この技術では、バラスト再循環手段の分岐が行われ、測定は、バラストの大部分の再循環と平行して、この分岐されたバラストに対して行われている。
【0026】
この技術は、その応答性が低い以外に、設置コストが著しく掛かる測定サブシステムの実施を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2627704号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2815714号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
特に、本発明の目的は、先行技術の欠点を軽減することにある。
【0029】
さらに具体的に、本発明の目的は、バラスト混入フロキュレーション(凝集)−沈降(沈殿)システムのフロキュレーション区域におけるバラスト濃度を連続的に監視する方法を提案することにある。
【0030】
また、本発明は、バラストの変動を補償し、水処理システムの歩留まりを最適化する目的で、バラストの変動の迅速な検出を可能にする、このような方法を提供することを目的としている。
【0031】
また、本発明は、特に、先行技術に関して述べた方法によるバラストの高さを測定する沈降カラムのような特別の重量のある機器の作製および実施を回避する点において、実施するのが安価である、このような方法を提供することを目的にしている。
【0032】
本発明の他の目的は、設計が簡単で、特に既存のシステムに対して実施するのが容易である、このような方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
これらの目的、および以下に明らかになる他の目的は、本発明によって達成されることになる。本発明が対象としているは、バラストを注入するステップおよびバラストを再循環するステップを含む、フロキュレーション(凝集)−沈降(沈殿)によって水を処理する方法において、前記バラストの濃度を連続的に測定するステップと、前記測定値を基準値と比較するステップと、を含むことを特徴とする方法である。
【0034】
従って、先行技術と違って、連続的な測定によって、検出された変動に対する迅速な補償が可能になり、処理システムの最適な歩留まりが確保されることになる。従って、本発明は、先行技術の場合におけるような異常な運転の検出に制限されるものではない。
【0035】
本発明がさらに対象としているのは、
前述した方法を実施する水処理システムにおいて、
−バラストを導入する手段および攪伴手段が設けられている少なくとも1つのフロキュレーション(凝集)区域と、
−スラッジとバラストとの混合物を回収する区域および浄化した水を排出する手段が設けられている少なくとも1つの沈降(沈殿)区域と、
−前記スラッジとの混合物に含まれているおよび/または前記スラッジから分離されている前記バラストを、前記再循環されたバラストの大部分を前記フロキュレーション区域内および/または前記フロキュレーション区域の上流に再注入する手段に向かって、再循環する手段と、
を備え、
前記システムは、前記バラストの濃度と相関関係のあるパラメータ用の少なくとも1つの測定センサを備え、前記1つまたは複数のセンサは、前記バラストが連続的に再循環している前記システムの区域に配置されることを特徴とする水処理システムである。
【0036】
第1の実施形態によれば、前記1つまたは複数のセンサは、前記再循環手段に配置されるようになっている。
【0037】
第2の実施形態によれば、前記1つまたは複数のセンサは、前記フロキュレーション区域および/または前記フロキュレーション区域の出口内に浸漬されるようになっている。
【0038】
従って、本発明は、バラストを再循環する手段において、すなわち、バラストが大量に存在するシステムの部分において測定を行うか、またはフロキュレーション区域において、すなわち、形成されるフロックの量にバラスト濃度が直接影響を与える箇所において、直接測定を行うかのいずれかを提案している。
【0039】
これによって、バラスト濃度の変動の連続的な測定が可能になり、その結果、高度の応答性が得られることになる。
【0040】
仏国特許公開第2815714に記載されている先行技術と対照的に、測定は、効率的かつ迅速に行われ、この測定は、バラスト再循環ラインにおいてまたは直接フロキュレーション区域において、すなわち、バラストラインを分岐させることなく、かつ特別のサブシステム(バラスト沈降(沈殿)カラム)を必要とすることなく、なされることになる。
【0041】
第1の代替的実施形態によれば、前記センサは、コリオリ効果型質量流量計センサである。
【0042】
この種のセンサは、高精度および良好な測定信頼性を有し、その結果、保守が容易である。
【0043】
好ましい第2の代替的実施形態によれば、前記センサは、超音波センサである。
【0044】
このようなセンサは、設置、較正、および保守が容易である点に特徴があり、また高度の精度および良好な測定信頼性を有し、これらの性能の全てを低コストで備えることができる。
【0045】
第3の代替的実施形態によれば、前記センサは、ノイズ分析を行う音響センサである。
【0046】
このようなセンサは、例えば、圧電センサであってもよい。圧電センサは、このセンサが埋設された壁に衝突する固体粒子によって生じたノイズを分析することによって、固体粒子の濃度を測定することができる。
【0047】
1つの有利な解決策によれば、前記再循環手段は、前記フロキュレーション区域の上流に配置されるスラッジまたはバラスト分離手段を備えている。
【0048】
この場合、前記スラッジまたはバラスト分離手段は、好ましくは、少なくとも1つの液体サイクロンを備えている。
【0049】
第1の代替的実施形態によれば、前記センサは、前記液体サイクロンの上流側の前記再循環手段に配置されるようになっている。
【0050】
第2の代替的実施形態によれば、前記センサは、前記再循環手段における前記液体サイクロンのアンダーフローに配置されるようになっている。
【0051】
他の考えられる解決策によれば、前記スラッジとの混合物に含まれている前記バラストを前記フロキュレーション区域に循環するために、前記再循環手段が設けられている。この場合、スラッジまたはバラスト分離手段は、周期的にしか運転されず、または並列運転される再循環ラインに設置されるようになっている。
【0052】
1つまたは複数のセンサがフロキュレーション区域および/またはフロキュレーション区域の出口に浸漬される場合、センサは、好ましくは、遠赤外吸収センサである。
【0053】
このようなセンサは、フロキュレーション区域における通常の濃度範囲内の懸濁固形物の濃度を測定する場合、良好な信頼性をもたらすことになる。
【0054】
前記バラストは、有利には、約60〜約300μmの範囲内にある平均粒子直径を有する微細砂から構成されている。
【0055】
システムは、好ましくは、前記1つまたは複数のセンサから得られたデータを処理する手段を備え、該手段は、前記データを所定の闘値と比較する手段を備えている。
【0056】
この場合、単独または組合わされた、いくつかの考えられる有利な特性によれば、前記比較手段は、
−前記データと前記闘値との比較に基づいて、前記回収区域用の前記モータポンプユニットを開始または停止するために、前記モータポンプユニットに結合され、
−前記データと前記闘値との比較に基づいて起動され得るアラームに結合され、
−測定点においてセンサによって測定されたパラメータとバラスト濃度との間に確立された相互関係に基づいて、システムにおける所定の点(例えば、フロキュレーション区域または測定点)におけるバラスト濃度を計算する手段に結合され、
−時間に対する濃度を表す曲線の勾配に基づいてバラストの損失を計算する手段に結合され、
−前記データと前記闘値との比較に基づいて作動または停止され得るバラスト補給分を注入する手段に結合され、および
−前記フロキュレーション区域の運転を停止または許可するために、前記フロキュレーション区域に結合されるようになっている。
【0057】
他の有利な特性によれば、前記データ処理手段は、システム内の少なくとも1点に対してバラストの計算された濃度を表示する少なくとも1つの手段に、結合されるようになっている。
【0058】
さらに他の有利な特性によれば、前記データ処理手段は、時間に対してバラストの濃度を表す曲線からバラストの損失を計算する手段を備えている。
【0059】
本発明の他の特性および利点は、非制限的な例示的実施例としてもたらされる本発明の好ましい実施形態および/またはそのいくつかの代替的実施形態の以下の説明を読むことによって、および添付の図面から、さらに明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態による水処理システムの概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による水処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
前述したように、本発明の原理は、バラスト混入フロキュレーション(凝集)−沈降(沈殿)を介して水を処理するシステムにおいて、バラストの再循環中に、バラスト再循環ラインにおけるバラスト濃度と相関関係のあるパラメータを測定することに基づいている。
【0062】
本発明によるシステムは、
−処理される水用の少なくとも1つの入口1、および少なくとも1つのフロキュレーション攪拌タンク4であって、少なくとも1つの綿状凝集剤が注入手段2を介して注入され、微細砂のようなバラストの戻り分が注入手段3を介して注入される、少なくとも1つのフロキュレーション攪拌タンク4と、
−沈降(沈殿)タンク5であって、沈降(沈殿)ブレード15が装備されている、または装備されていない、また浄化された水を排出する手段6およびスラッジとバラストとの混合物を回収する区域51が設けられている、沈降(沈殿)タンク5と、
−再循環ライン7と、
−沈降(沈殿)した砂またはスラッジ混合物に用いられる抽出ポンプ10と、
−少なくとも1つの液体サイクロンであって、過剰なスラッジを当該手段を介して後続の貯蔵および処理手段に送る前に、砂の分離および再循環を可能にする、少なくとも1つの液体サイクロンと、
を備える形式のものである。
【0063】
図示されるように、再循環ライン7は、液体サイクロンのアンダーフロー3を介して再循環されたバラストの大部分の再注入をもたらすことになる。
【0064】
一代替的実施形態によれば、砂またはスラッジ混合物の抽出は、混合物を液体サイクロン8を通さずにフロキュレーションタンク4内に直接再注入させるために設けられたポンプ10bisおよびライン7bisによって、行われるようになっている。
【0065】
本発明の原理によれば、砂濃度と相関関係のあるパラメータ用の測定センサが設置されている。
【0066】
これを実施するために、センサ11が、液体サイクロンの上流側の再循環ラインに設けられている。従って、この設置個所では、砂がスラッジと混合されていることになる。
【0067】
1つの考えられる代替的実施形態によれば、センサは、砂再注入ラインに、具体的には、液体サイクロン8のアンダーフロー3に設けられている。
【0068】
さらに他の考えられる代替的実施形態によれば、センサ11bisが、砂またはスラッジ混合物をタンク4内に再注入する点の上流側の再循環ライン7bisに取り付けられている。
【0069】
1つ(または複数)のセンサ11,11bisは、好ましくは、以下のグループ、すなわち、
−クローネ・カンパニー(Krohne Company)から市販されている(オプティマス(Optimass) 1700、登録商標)またはエンドレス・ハウザー・カンパニー(Endress Hauser Company) から市販されている(プロマス(Promass) 83F、登録商標)のようなコリオリ効果型質量流量計、
−ソーラートン・モブレイ・カンパニー(Solarton Mobrey Company) から市販されている(MSM 400、登録商標)のような超音波信号伝達の減衰を測定する超音波流量計、または
−ロクサー・カンパニー(Roxar Company) から市販されている(エス・エー・エム(SAM) 400-TC、登録商標)のような配管の壁と衝突する固定粒子によって生じるノイズを分析する音響センサ
に属する形式のものである。
【0070】
流量計センサまたは音響センサが用いられる場合、システムは、超音波流量計が設置されたラインを通る流量を測定する手段(図示せず)も備えていることに留意されたい。
【0071】
前述した形式のセンサは、良好な結果をもたらすものであり、選択的に、特に、スラッジと砂との混合物の性質、0〜20g/l(リットル)の範囲内のスラッジ濃度の変動、および0〜600g/l(リットル)の範囲内の砂濃度の変動に関連して、選択的に用いられることになる。これに関連し、種々の形式のセンサに対して、一連の試験を行っている。
【0072】
種々のセンサに対して行った試験によれば、遠赤外吸収センサは、機能するが、特に高濃度(一部のIRセンサの場合、150g/l(リットル)を超える濃度、他のIRセンサの場合、400g/l(リットル)を超える濃度)の砂に対して十分に信頼できることが実証されないことが明らかにされ、またマイクロ波吸収センサも、機能するが、高価であり、大径および低温に対して適応性が乏しく、高濃度の微細砂に対しても適応性が乏しいことが、特に明らかにされている。
【0073】
この種の構造における通常の濃度(0.001〜600g/l(リットル))に適合する濃度範囲の砂(85μmの有効直径、さらに一般的には、60〜300μmの間の平均直径)に対して、0〜80℃の間の温度条件下で行われた試験によって、以下の性能が明らかになっている。
【0074】
−ノイズ分析を行う音響センサの場合、簡単かつ迅速な設置(大径の配管に対しても、15分以内の設置)、および迅速な応答が得られている。
【0075】
−超音波センサの場合、直接測定と比べて、良好な精度(2%)、すぐれた信頼性、(300mmを超える)大径配管への設置性、高保全性、合理的なコスト、および最小ヘッド損失が得られている。
【0076】
−コリオリ効果型センサの場合、直接測定と比較して、すぐれた精度(0.15%)、すぐれた信頼性、および高保全性が得られる一方、高価格で、また配管寸法が制限されることによって、ヘッド損失が生じるが、これは一応満足できる範囲内にある。他のセンサの全てと違って、この種のセンサは、微細砂(バラスト)の濃度のみならず、その(質量)流束も測定するようになっている。このセンサは、再循環ループに流量測定値を加える必要がなく、または質量流束を得るために、自動制御システム内に流量値(設計値)を入力(プログラム化)する必要もないので、他の形式のセンサ(超音波センサ、音響センサなど)を上回る大きな利点をもたらすことになる。
【0077】
1つの好ましい代替的実施形態では、バラスト濃度と相関関係にあるパラメータの測定は、超音波吸収を介して行われている。この測定は、配管内を流れるバラストの濃度と関連付けるために、試料採取を介して較正されるようになっている。濃度の闘値は、ユーザによって定められることになる。計算されたバラスト濃度を表示し、センサデータを闘値と比較する目的で、センサ11、11bisのデータは、処理手段100に伝達され、その結果、いずれかの方向においてこれらの闘値を超えると、以下の作動、すなわち、
−高レベル濃度または低レベル濃度アラームの起動、
−バラスト混入フロキュレーション−沈降ユニットの停止、
−圧力ポンプ10,10bisの始動または停止、または圧力ポンプ10,10bisの回転速度の変更、
−スクレーパ12が沈降(沈殿)タンク5の底に設けられている場合、スクレーパ12の回転速度の増減、
−時間に対してバラスト濃度を表す曲線の勾配の値に基づくバラストの瞬時の損失の評価、
−測定によって検出されたバラストの損失を補償するために、貯蔵部13からの所定量のバラストの注入14、
のいずれかまたはいずれかの組合せの操作が行われることになる。
【0078】
図2は、センサ11が沈降区域の上流側のフロキュレーション区域またはそのフロキュレーション区域の出口に直接浸漬される、第2の実施形態に対応している。
【0079】
実験的試験において、用いられたプローブは、0.001〜50g/l(リットル)の濃度範囲内の懸濁固形物の濃度の測定を可能にする、すなわち、バラスト再循環ラインにおけるよりも低いフロキュレーション区域内の通常の砂濃度(0.5〜15g/l(リットル))によく適しているハチ・カンパニ(Hach Company)から市販されている遠赤外プローブ(Solitax sc TS-line、登録商標)である。
【0080】
プローブは、フロキュレーションタンクの出口の堰壁のすぐ背後において、堰の水平方向略中央の位置に、40cmの深さに設置されている。
【0081】
実験的試験中、プローブによる測定と手動測定手段による測定との間に、精度の差異(プローブ:0.4%、手動測定:5.8%)が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラストを注入するステップおよびバラストを再循環するステップを含む、フロキュレーションまたは沈殿作用によって水を処理する方法において、前記バラストの濃度を連続的に測定するステップと、前記測定値を基準値と比較するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法を実施する水処理システムにおいて、
−バラストを導入する手段(3)および攪伴手段が設けられている少なくとも1つのフロキュレーション区域(4)と、
−スラッジとバラストとの混合物を回収する区域(51)および浄化された水を排出する手段(6)が設けられている少なくとも1つの沈殿区域(5)と、
−前記スラッジとの混合物に含まれているおよび/または前記スラッジから分離されている前記バラストを、前記再循環されたバラストの大部分を前記フロキュレーション区域(4)内および/または前記フロキュレーション区域(4)の上流に再注入する手段に向かって、再循環する手段(7),(7bis)と、
を備え、
前記システムは、前記バラストの濃度と相関関係のあるパラメータ用の少なくとも1つの測定センサ(11)を備え、前記1つまたは複数のセンサは、前記バラストが連続的に循環している前記システムの区域に配置されることを特徴とする水処理システム。
【請求項3】
前記1つまたは複数のセンサは、前記再循環手段に配置されることを特徴とする請求項2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記センサは、前記フロキュレーション区域および/または前記フロキュレーション区域の出口に浸漬されることを特徴とする請求項2に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記センサ(11)は、コリオリ効果型質量流量計センサであることを特徴とする請求項2または3に記載の水処理システム。
【請求項6】
前記センサ(11)は、超音波センサであることを特徴とする請求項2または3に記載の水処理システム。
【請求項7】
前記センサ(11)は、ノイズ分析を行う音響センサであることを特徴とする請求項2または3に記載の水処理システム。
【請求項8】
前記再循環手段(7)は、前記フロキュレーション区域(4)の上流に配置されたスラッジまたはバラスト分離手段(8)を備えることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項9】
前記スラッジまたはバラスト分離手段(8)は、少なくとも1つの液体サイクロンを備えることを特徴とする請求項8に記載の水処理システム。
【請求項10】
前記センサ(11)は、前記液体サイクロンの上流側の前記再循環手段(7)に配置されることを特徴とする請求項9に記載の水処理システム。
【請求項11】
前記センサ(11)は、前記再循環手段(7)における前記液体サイクロンのアンダーフロー(3)に配置されることを特徴とする請求項10に記載の水処理システム。
【請求項12】
前記スラッジと混合されている前記バラストを前記フロキュレーション区域(4)に再循環するために、前記再循環手段(7bis)が設けられることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項13】
前記センサ(11)は、遠赤外吸収センサであることを特徴とする請求項4に記載の水処理システム。
【請求項14】
前記バラストは、微細な砂から構成され、前記微細な砂の粒子平均直径は、約60μmから約300μmの範囲内にあることを特徴とする請求項2〜13のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項15】
前記1つまたは複数のセンサ(11)から得られたデータを処理する手段(100)を備え、該データ処理手段(100)は、前記データを所定の闘値と比較する手段を備えることを特徴とする請求項2〜14のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項16】
前記比較手段は、前記データと前記闘値との前記比較に基づいて、前記回収区域(51)用のモータポンプユニット(10),(10bis)を開始または停止するために、前記モータポンプユニット(10),(10bis)に結合されることを特徴とする請求項15に記載の水処理システム。
【請求項17】
前記比較手段は、前記データと前記闘値との前記比較に基づいて起動され得るアラームに結合されることを特徴とする請求項15または16に記載の水処理システム。
【請求項18】
前記比較手段は、前記データと前記闘値との前記比較に基づいて起動または停止され得るバラスト補充分を注入する手段(14)に結合されることを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項19】
前記比較手段は、前記フロキュレーション区域(4)の運転を停止、または許可するために、前記フロキュレーション区域(4)に結合されることを特徴とする請求項15〜18のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項20】
前記データ処理手段(100)は、前記システム内の少なくとも一点に対してバラストの計算された濃度を表示する少なくとも1つの手段に結合されることを特徴とする請求項15〜19のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項21】
前記データ処理手段(100)は、時間に対してバラスト濃度を表す曲線からバラストの損失を計算する手段を備えることを特徴とする請求項15〜20のいずれか一項に記載の水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−545432(P2009−545432A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522224(P2009−522224)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057684
【国際公開番号】WO2008/015143
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(503289595)オテヴェ・ソシエテ・アノニム (25)
【Fターム(参考)】