説明

バルブおよびバルブの据付け方法

【課題】大口径や設置面の水平度が確保されていないバルブでも、ハウジングの重量を増加させることなく、容易で安全に水平出しをすることができるようにすることである。
【解決手段】ハウジング1のフランジ部1bの側部の外面に、バルブの水平出しをする基準となる鉛直な基準平面7aを設けることにより、大口径や設置面の水平度が確保されていないバルブでも、ハウジング1の重量を増加させることなく、容易に水平出しをすることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体配管の途中に据付けられるバルブと、バルブの据付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道等の水平方向に向けられた流体配管の途中にバルブを据付ける際には、そのハウジングのフランジ部の両側に連結される配管と中心線を合わせるように芯出しするとともに、流体通路が形成されたハウジングの管部に挿入される弁棒の鉛直度等を確保できるように、水平出しをする必要がある。
【0003】
このようなバルブの水平出しをする手段としては、ハウジングの底部の全面またはフランジ部の下縁に、バルブの設置面に当接させるフラット面を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ハウジングのフランジ部に設けられた連結用のボルト孔を利用して、フランジ部の最上部のボルト孔の中心から下げ振りを垂下し、下げ振りがフランジ面に沿って最下部のボルト孔の中心を通るように、バルブの水平出しをする方法も実際に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−4376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたバルブの水平出しをする手段は、バルブの設置面の水平度が確保されていることを前提としている。しかしながら、屋外や地中等に据付けられるバルブは、設置面の水平度が確保されていないことが多いので、このような場合は、適用できない問題がある。また、ハウジングの底部の全面にフラット面を形成する場合は、広い面積のフラット面を形成するために、ハウジングにかなりの余肉を付与する必要があり、ハウジングの重量が大幅に増加する問題もある。
【0007】
また、従来から採用されている下げ振りを使用する方法は、人の身長よりも高い大口径のバルブでは、作業者が脚立等の踏み台に乗って下げ振りを垂下する必要があり、地中等の狭くて足場の悪い設置環境では、作業が困難で危険なものとなる問題もある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、大口径や設置面の水平度が確保されていないバルブでも、ハウジングの重量を増加させることなく、容易で安全に水平出しをすることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、水平方向に向けられた流体配管の途中に据付けられ、弁棒が挿入される流体通路が形成されたハウジングの管部の両側に設けられたフランジ部に、前記流体配管が連結されるバルブにおいて、前記ハウジングの底面を除く外面のいずれかに、前記バルブの水平出しをする基準となる水平または鉛直な基準平面を設けた構成を採用した。
【0010】
すなわち、ハウジングの底面を除く外面のいずれかに、バルブの水平出しをする基準となる水平または鉛直な基準平面を設けることにより、大口径や設置面の水平度が確保されていないバルブでも、ハウジングの重量を増加させることなく、容易に水平出しをすることができるようにした。具体的な水平出し手段としては、ハウジングの基準平面に水準器の基準面を当接させる方法を採用することができる。なお、水準器には、底面に水平な基準面を有するもの、端面に鉛直な基準面を有するもの、およびこれらの両方の基準面を有するものとがあり、水平な基準平面を設ける場合は、水準器の水平な基準面を当接させ、鉛直な基準平面を設ける場合は、水準器の鉛直な基準面を当接させるとよい。
【0011】
前記基準平面を、前記管部または前記フランジ部の外面に設けることにより、水準器を当接させるスペースを容易に確保することができる。
【0012】
前記基準平面を、前記管部または前記フランジ部の側部に設けた鉛直面とすることにより、基準平面の高さ位置を低くし、大口径のバルブであっても、踏み台等を用いずに安全に水平出しをすることができるとともに、外面が縦向きとなる側部に簡単に基準平面を設けることができる。
【0013】
また、本発明は、水平方向に向けられた流体配管の途中にバルブを据付けるバルブの据付け方法において、前記バルブを上述したいずれかに記載のバルブとし、前記基準平面に水準器の基準面を当接させて、前記バルブの水平出しをする方法を採用することにより、大口径や設置面の水平度が確保されていないバルブでも、ハウジングの重量を増加させることなく、容易に水平出しをすることができるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るバルブは、ハウジングの底面を除く外面のいずれかに、バルブの水平出しをする基準となる水平または鉛直な基準平面を設けたので、大口径や設置面の水平度が確保されていないバルブでも、ハウジングの重量を増加させることなく、容易で安全に水平出しをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態のバルブを示す正面図
【図2】図1の側面図
【図3】図1のバルブの水平出しをする状態を示す拡大正面図
【図4】図2の変形例を示す側面図
【図5】第2の実施形態のバルブを示す正面図
【図6】図5の側面図
【図7】図5のバルブの水平出しをする状態を示す拡大正面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図3は、第1の実施形態を示す。このバルブは、図1および図2に示すように、水平方向に向けられた上下水道の流体配管Pの途中に据付けられるバタフライ弁であり、口径が2m以上の大口径のものとされている。このバルブは、流体通路が形成された直管部1aの両側に、流体配管Pと連結されるフランジ部1bを設けたハウジング1と、ハウジング1の上部に設けられた開口から直管部1aに鉛直に挿入された弁棒2と、弁棒2に取り付けられて流体通路を開閉す弁体3と、ハンドル4aを有する弁駆動部4とからなり、ハンドル4aは歯車減速機構(図示省略)を介して弁棒2を回転させるようになっている。
【0017】
前記ハウジング1には、設置面に接地される脚5が設けられ、各フランジ部1bには、両側の流体配管Pと連結するための多数のボルト孔6が設けられており、一方のフランジ部1bの上下中心となる側部の外面に、バルブの水平出しをする基準となる鉛直な基準平面7aが設けられている。この基準平面7aの高さ位置は、1〜1.5m程度の高さとなっている。
【0018】
図3は、上述したバルブの水平出しをする状態を示す。作業者(図示省略)は、水準器10を横向きに保持し、その端面に設けられた鉛直な基準面10aを、低い高さ位置にある鉛直な基準平面7aに当接させて、バルブの水平出しを行う。したがって、踏み台等を使用せずに、容易で安全に水平出し作業を行うことができる。
【0019】
図4は、上述したバルブの変形例を示す。この変形例では、前記鉛直な基準平面7aが、直管部1aの上下中心となる側部の外面に設けられている。図示は省略するが、作業者は、図3に示したものと同様の方法で、容易で安全に水平出しを行うことができる。
【0020】
図5乃至図7は、第2の実施形態を示す。このバルブも、図5および図6に示すように、水平方向に向けられた上下水道の流体配管Pの途中に据付けられるバタフライ弁であり、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであるが、口径が少し小さい1〜1.5m程度のものとされている。この実施形態では、ハウジング1の両側のフランジ部1bの最上部の外面に、バルブの水平出しをする基準となる水平な基準平面7bが設けられている。基準平面7bを両側のフランジ部1bに設けたのは、作業者の位置等に応じて使い分けできるようにするためであり、基準平面7bは片側のフランジ部1bのみに設けてもよい。
【0021】
図7は、上述したバルブの水平出しをする状態を示す。作業者は、水準器10を基準平面7bの上に置いて、その底面の水平な基準面10bを水平な基準平面7bに当接させ、バルブの水平出しを行う。
【0022】
上述した各実施形態では、バルブを鉛直な弁棒を有するバタフライ弁としたが、本発明に係るバルブは、スライド弁等の他のタイプのものにも適用でき、水平な弁棒を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0023】
P 流体配管
1 ハウジング
1a 直管部
1b フランジ部
2 弁棒
3 弁体
4 弁駆動部
4a ハンドル
5 脚
6 ボルト孔
7a、7b 基準平面
10 水準器
10a、10b 基準面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に向けられた流体配管の途中に据付けられ、弁棒が挿入される流体通路が形成されたハウジングの管部の両側に設けられたフランジ部に、前記流体配管が連結されるバルブにおいて、前記ハウジングの底面を除く外面のいずれかに、前記バルブの水平出しをする基準となる水平または鉛直な基準平面を設けたことを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記基準平面を、前記管部または前記フランジ部の外面に設けた請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記基準平面を、前記管部または前記フランジ部の側部に設けた鉛直面とした請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
水平方向に向けられた流体配管の途中にバルブを据付けるバルブの据付け方法において、前記バルブを請求項1乃至3のいずれかに記載のバルブとし、前記基準平面に水準器の基準面を当接させて、前記バルブの水平出しをするようにしたことを特徴とするバルブの据付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−158042(P2011−158042A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21069(P2010−21069)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】