バルブ管理システム
【課題】次の作業のために開いた状態のままに保持する必要がある開いた状態に保持したバルブをのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止することができ、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供する。
【解決手段】 複数の配管ラインと、配管ラインに設けられた複数のバルブとを備えた配管網において、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に指定して、所定の作業終了後に、次の作業のためにホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持し、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止するように構成されている。
【解決手段】 複数の配管ラインと、配管ラインに設けられた複数のバルブとを備えた配管網において、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に指定して、所定の作業終了後に、次の作業のためにホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持し、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の配管ラインと、これらの配管ラインに設けられたバルブを備えた配管網において、バルブの開閉状態を管理するバルブ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原油から種々の石油製品を製造する製油所、あるいは原料油から各種の製品を製造する石油化学工場では、蒸留装置、反応装置などの製造装置に加えて、製造装置に送る各種の原料油を外部から受け入れる際の受け入れ設備、原料油を貯蔵する多数の原料油タンク、製造装置から送出された各種の製品・半製品油を貯蔵する、製品・半製品油タンク、各種の製品油を混合する混合設備、製品油の出荷設備など、様々な付帯設備が必要である。
【0003】
通常、製造装置は、複雑な製造工程を組み合わせて製品油を製造する関係から、プラントサイト、すなわち「オンサイト」と呼ばれるエリアに集中して配置される。
一方、付帯設備は、原料油の搬入および製品の搬出に便利な、例えば海岸に近い「オフサイト」と呼ばれる広いエリアに比較的に分散して配置され、複数の配管ラインからなる配管網によって接続されている。
【0004】
オンサイトに配置されている製造装置以外の種々の付帯設備およびそれに付随する配管網は、まとめてオフサイトと呼ばれている。換言すれば、オフサイトは、種々の付帯設備と、それら付帯設備同士、および付帯設備とオンサイトの製造装置を接続する複数の配管ラインからなる配管網と、から構成されている。
【0005】
ところで、このような製造所内の油の取り扱いには、船からタンクへの受け入れ、タンクから装置へのチャージ、装置からのランダウン、タンク間の油の移送、出荷等の各作業がある。
【0006】
このため、これらの作業を行うための設備として、配管ラインが複雑に張り巡らされ、その配管にはバルブやポンプなど様々な機器が取り付けられている。
すなわち、配管ラインは、機器(オンサイトの製造装置、オフサイトの設備、およびバルブやポンプなどを含む)から始まって機器に終わる流体経路、または別の配管ラインを通って機器に終わる流体経路であって、必ずその配管ラインまたはその配管ラインに接続する他の配管ラインにバルブを有する。なぜなら、バルブが設けられていないと、その流体経路を通る流体が外部に流出してしまうことになるからである。
【0007】
ところで、このような配管網は、非常に複雑であるため、製油所への油の受け入れ/払出しを行う入出荷作業や油を別のタンクに移動する移送作業、油を混合するブレンド作業、オンサイトの装置からの油を受け入れたり、オンサイトの装置へ油を供給する装置受払作業などは、予め操油JOBとして運転管理システムに登録され、このシステムを用いた運用を行っている。
【0008】
このような操油JOBシステム100は、例えば、図10に示したように行われている。
すなわち、タンクT1に、配管12が接続され、この配管12に、遠隔で開閉操作が可能なタンク元弁である自動開閉バルブV1が設けられている。
【0009】
同様に、タンクT2に、配管14が接続され、この配管14に、タンク元弁である自動開閉バルブV2が設けられている。また、タンクT3に、配管16が接続され、この配管16に、タンク元弁である自動開閉バルブV3が設けられている。さらに、タンクT4に、配管18が接続され、この配管18に、タンク元弁である自動開閉バルブV4が設けられている。
【0010】
そして、これらの配管12〜18は、配管20に合流するように接続され、この配管20には、遠隔操作が可能なサクションバルブV10が配置され、ポンプP1に接続されている。
【0011】
なお、図示しないが、タンクT1〜T4と同様な複数のタンクから、配管22、自動開閉バルブV20を介して、配管24、自動開閉バルブV30を介して、それぞれポンプP1に接続されている。
【0012】
一方、ポンプP1の下流側の配管26には、自動開閉バルブV100、中間バルブV200に接続されている。そして、中間バルブV200の下流側の配管28には、手動で操作される手動開閉バルブV300、流量計F1、流量制御バルブVR1が設けられ、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に接続されている。
【0013】
また、中間バルブV200の下流側の配管28には、別の配管30が分岐しており、この配管30には、手動開閉バルブV400、流量計F2、流量制御バルブVR2が設けられ、桟橋Q2のタンカーなどの船舶S2に接続されている。
【0014】
なお、自動開閉バルブV1〜V4、サクションバルブV10〜V30、自動開閉バルブV100、中間バルブV200は、バルブの開閉状態を信号で通知する機能が備えられており、この信号を操油JOBシステム100のコンピュータ(図示せず)へ送ることで、個々のバルブの開閉状態を集中管理することができるようになっている。
【0015】
ところで、一つの作業である操油JOBを行うためには、複雑な配管網の中から最も効率の良い油を流すルートを決めなければならない。
このため、操油JOBシステム100では、例えば、出荷のために、タンクT1から、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する場合(以下、これを「JOB1」と言う)には、自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV300を開いた状態にする。
【0016】
そして、自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV400を閉止した状態にする。
これにより、タンクT1から、配管12、20、26、28を介して、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する配管経路が確立されるようになっている。
【0017】
このように、操油JOBをシステム化したものは既に完成されており、入出荷作業、タンク間移送作業といった油を操る操油作業に適用できるシステムが、例えば下記のように商品化され、これにより操油作業におけるバルブ開閉の誤操作が防止できるようになっている。
【0018】
商品名:オフサイト制御システムExaoms3000(横河電機株式会社製)
オフサイト運転管理OCS(株式会社山武製)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、このような従来の操油JOBシステム100では、1つの作業である上記JOB1の作業が終了した後には、JOB1において、開いた状態とした自動開閉バルブV1、V10、V100、手動開閉バルブV300を閉止した状態とするのが通常である。
【0020】
なお、中間バルブV200は、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、JOB1の作業が終了した後でも開いた状態としている。
そして、図11に示したように、次の作業である、例えば、出荷のために、タンクT1から、桟橋Q2のタンカーなどの船舶S2に油を移送する場合(以下、これを「JOB2」と言う)には、自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV400を開いた状態にする。
【0021】
そして、自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV300を閉止した状態にする。
これにより、タンクT1から、配管12、20、26、30を介して、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する配管経路が確立されるようになっている。
【0022】
しかしながら、上記のJOB1とJOB2の際のバルブの開いた状態からも明らかなように、自動開閉バルブV1、V10は、JOB1の作業が終了した後に、再び、JOB2の作業の際に開いた状態とする必要がある。
【0023】
このように、従来の操油JOBシステム100では、一つの操油作業(例えば、JOB1)が終了するたびに、バルブを閉止しており、次の操油作業(例えば、JOB2)では、特定のバルブ(例えば、JOB2では、自動開閉バルブV1、V10)を開にしていた。
【0024】
このため、例えば、タンク元のバルブである自動開閉バルブV1であれば、開いた状態から自動閉止までの平均的な時間は、10〜60秒かかっており、また、次回の作業で、開いた状態で使用する時には、閉止状態から自動で開になるまで同程度の時間が必要となる。
【0025】
また、一つの作業で、開いた状態で使用するバルブは、3から10数台であるが、バルブの開閉指令は、自動化されており、開閉信号のみを自動で順に指令するだけのため時間的には10数秒かかることになる。一つの作業終了においても、バルブの開閉指令に要する時間も同様に、10数秒かかることになる。
【0026】
従って、従来は一つの作業毎にバルブの開閉が行われていたので、操油作業のたびにバルブを開閉するために、上記のようなバルブ自体の開閉に要する時間、開閉指令に要する時間といった無駄な時間が必要であり、作業が非効率であり、バルブの開閉に必要なエネルギー(電気)の消費およびバルブの磨耗が発生するという問題があった。
【0027】
本発明は、このような現状に鑑み、一つの作業が終了するたびに、バルブを閉止するのではなく、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブを開いた状態に保持でき、作業が効率的であり、バルブの開閉に必要なエネルギー(電気)の消費を低減でき、バルブの磨耗が発生することのないバルブ管理システムを提供すること
を目的とする。
【0028】
また、本発明は、このように次の作業のために開いた状態のままに保持する必要がある開いた状態に保持したバルブをのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止することができ、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、本発明のバルブ管理システムは、
複数の配管ラインと、前記配管ラインに設けられたバルブとを備えた配管網において、前記バルブの開閉状態を管理するバルブ管理システムであって、
前記配管網において、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に指定して、
前記所定の作業終了後に、次の作業のためにホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持するように構成されていることを特徴とする。
【0030】
このように、1つの所定の作業が終了した時は、バルブを閉止するのが通常であるが、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブを、ホールド弁に指定しておく。
【0031】
そして、1つの所定の作業が終了した後に、次回の別の作業の際に、ホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持する。
これによって、バルブの開閉にかかる時間の無駄を省くことができ、作業を効率化することができ、しかも、バルブの開閉に必要なエネルギー(電気)の消費を低減でき、バルブの磨耗が発生することがない。
【0032】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする。
【0033】
このように各作業を繰り返した後には、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブが存在することになるが、そのままの開いた状態では、万が一ではあるが、漏油等が発生するおそれもあるため、閉止させる必要のあるバルブも存在する。
【0034】
このため、上記のように構成することによって、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止することによって、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することができる。
【0035】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあり、かつ現在作業に使用していないバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする。
【0036】
このように構成することによって、例えば、2日にわたって作業する必要がある、現在作業に使用しているバルブを誤って一括閉止することがなく、現在の作業に支障をきたすことがなく、引き続き実施することができる。
【0037】
また、本発明のバルブ管理システムは、
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブであって、開いた状態を保持する必要があるバルブを閉止禁止に指定して、
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、前記閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする。
【0038】
すなわち、例えば、中間バルブのように、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、作業が終了した後でも開いた状態として、安全上閉止しないで開の状態で運用するバルブも存在する。
【0039】
従って、このようにホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブであって、開いた状態を保持する必要があるバルブを閉止禁止に指定しておく。
そして、ホールド弁に指定したバルブのうち、閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブを選択して、一括で閉止することによって、作業が終了した後でも開いた状態として、安全上閉止しないで開の状態で運用するバルブを誤って一括閉止することがなく、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止することができる。
【0040】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記閉止禁止に指定したバルブについて、閉止禁止指定の解除ができるように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、閉止禁止に指定したバルブについて、開いた状態を保持する必要がなく、漏油等が発生するおそれのために閉止する必要が生じた場合に、閉止禁止指定の解除ができる、
従って、この閉止禁止指定の解除がなされたバルブを選択して、一括で閉止することによって、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することができる。
【0041】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記一括で閉止する際に、閉止の指令をしたバルブが、閉止禁止のバルブである場合に、警告表示を行い、閉出力を行わないように構成されていることを特徴とする。
【0042】
このように構成することによって、一括で閉止する際に、閉止の指令をしたバルブが、閉止禁止のバルブである場合に、事前にオペレーターに警告表示で通知することができ、それをオペレーターにアラームにより確実に伝えることができ、また、閉出力を行わないので、誤って、閉止禁止のバルブを閉止するのを防止することができる。
【0043】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記ホールド弁の指定、選択、解除の各操作が、オペレーターのコンピューターの画面で操作できるように構成されていることを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、ホールド弁の指定、選択、解除の各操作が、オペレーターのコンピューターの画面で操作できるので、1つの画面でオペレーターが操作ができる作業効率が向上することになる。
【0045】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記配管網が、製油所の配管網であることを特徴とする。
このように、特に、製油所の配管網であるオフサイト、オンサイトに、このバルブ管理システムを適用することによって、製油所のオフサイト、オンサイトの運転をより安全で、しかも、確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、1つの所定の作業が終了した時は、バルブを閉止するのが通常であるが、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブを、ホールド弁に指定しておく。
【0047】
そして、1つの所定の作業が終了した後に、次回の別の作業の際に、ホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持する。
これによって、バルブの開閉にかかる時間の無駄を省くことができ、作業を効率化することができ、しかも、バルブの開閉に必要なエネルギー(電気)の消費を低減でき、バルブの磨耗が発生することがない。
【0048】
このように各作業を繰り返した後には、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブが存在することになるが、そのままの開いた状態では、万が一ではあるが、漏油等が発生するおそれもあるため、閉止させる必要のあるバルブも存在する。
【0049】
このため、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止することによって、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することができる。
【0050】
また、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあり、かつ現在作業に使用していないバルブを選択して、一括で閉止するので、例えば、2日にわたって作業する必要がある、現在作業に使用しているバルブを誤って一括閉止することがなく、現在の作業に支障をきたすことがなく、引き続き実施することができる。
【0051】
また、例えば、中間バルブのように、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、作業が終了した後でも開いた状態として、安全上閉止しないで開の状態で運用するバルブも存在する。
【0052】
従って、このようにホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブであって、開いた状態を保持する必要があるバルブを閉止禁止に指定しておく。
そして、ホールド弁に指定したバルブのうち、閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブを選択して、一括で閉止することによって、作業が終了した後でも開いた状態として、安全上閉止しないで開の状態で運用するバルブを誤って一括閉止することがなく、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止することができる。
【0053】
また、閉止禁止に指定したバルブについて、開いた状態を保持する必要がなく、漏油等が発生するおそれのために閉止する必要が生じた場合に、閉止禁止指定の解除ができる、
従って、この閉止禁止指定の解除がなされたバルブを選択して、一括で閉止することによって、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することができる。
【0054】
また、一括で閉止する際に、閉止の指令をしたバルブが、閉止禁止のバルブである場合に、事前にオペレーターに警告表示で通知することができ、それをオペレーターにアラームにより確実に伝えることができ、誤って、閉止禁止のバルブを閉止するのを防止することができる。
【0055】
さらに、ホールド弁の指定、選択、解除の各操作が、オペレーターのコンピューターの画面で操作できるので、1つの画面でオペレーターが操作ができる作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明のバルブ管理システムの制御システムの構成概略図である。
【図6】図6は、本発明のバルブ管理システムのバルブ機器情報データベース(D/B)に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示す図である。
【図7】図7は、本発明のバルブ管理システムのバルブ設備データベース(D/B)に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示す図である。
【図8】図8は、本発明のバルブ管理システムのHOLD弁一括閉操作画面を示す図である。
【図9】図9は、図8の画面の「指令」ボタンを押した後に表示されるHOLD弁一括閉操作画面を示す図である。
【図10】図10は、従来のバルブ管理システムを適用した操油作業の一例を示す概略図である。
【図11】図11は、従来のバルブ管理システムを適用した操油作業の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1〜4は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図、図5は、本発明のバルブ管理システムの制御システムの構成概略図、図6は、本発明のバルブ管理システムのバルブ機器情報データベース(D/B)に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示す図、図7は、本発明のバルブ管理システムのバルブ設備データベース(D/B)に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示す図、図8は、本発明のバルブ管理システムのHOLD弁一括閉操作画面を示す図、図9は、図8の画面の「指令」ボタンを押した後に表示されるHOLD弁一括閉操作画面を示す図である。
【0058】
図1の操油作業、各バルブ、配管、流量計などの配置については、上記の背景技術の欄において説明したので、その詳細については省略する。
本発明のバルブ管理システム10では、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に指定している。
【0059】
すなわち、図1に示したように、例えば、JOB1において、タンクT1から、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する場合には、自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV300を開いた状態にしている。
【0060】
そして、自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV400を閉止した状態にしている。
これにより、タンクT1から、配管12、20、26、28を介して、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する配管経路が確立されるようになっている。
【0061】
また、次の作業である、例えば、JOB2において、出荷のために、タンクT1から、桟橋Q2のタンカーなどの船舶S2に油を移送する場合には、自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV400を開いた状態にする。
【0062】
そして、自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV400を閉止した状態にしている。
これにより、タンクT1から、配管12、20、26、28を介して、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する配管経路が確立されるようになっている。
【0063】
ところで、従来では、1つの作業である上記JOB1の作業が終了した後には、JOB1において、開いた状態とした自動開閉バルブV1、V10、V100、手動開閉バルブV300を閉止した状態とするのが通常である。
【0064】
なお、中間バルブV200は、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、JOB1の作業が終了した後でも開いた状態としている。
しかしながら、従来では、このように上記のJOB1とJOB2の際のバルブの開いた状態からも明らかなように、自動開閉バルブV1、V10は、JOB1の作業が終了した後に、再び、JOB2の作業の際に開いた状態とする必要がある。
【0065】
これに対して、本発明のバルブ管理システム10では、このような所定の作業であるJOB1のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業であるJOB2のために、開いた状態のままに保持する必要があるバルブである自動開閉バルブV1、V10、中間バルブV200を、ホールド弁(「HOLD弁」)に指定している(図1中、ホールド弁を「H」で示している。
【0066】
なお、タンクT2の配管14のタンク元弁である自動開閉バルブV2、タンクT3の配管16のタンク元弁である自動開閉バルブV3、さらに、タンクT4の配管18のタンク元弁である自動開閉バルブV4も、タンクT1〜T4に切り替えてJOBが行われるので、同様に、ホールド弁に指定している。
【0067】
さらに、タンクT1〜T4と同様な複数のタンクからの配管22の自動開閉バルブV20、配管24の自動開閉バルブV30も、タンクT1〜T4と同様に、切り替えてJOBが行われるので、ホールド弁に指定している。
【0068】
そして、本発明のバルブ管理システム10では、所定の作業終了後に、次の作業のためにホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持するように構成されている。
また、本発明のバルブ管理システム10では、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止するように構成されている。
【0069】
以下に、上記の所定の作業である所定の作業であるJOB1、次の作業であるJOB2に基づいて、具体的に、本発明のバルブ管理システム10について説明する。
なお、以下の図1〜図3中では、理解の容易のために、開いた状態のバルブを「OPEN」、閉止した状態のバルブを「CLOSE」で示している。
【0070】
先ず、上記で説明したように、JOB1において、タンクT1から、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する場合には、以下のようなバルブの開閉が行われる。
(1)JOB1作業開始時(図1参照)
(1−A)開いた状態のバルブ
自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV300
(1−B)閉止した状態のバルブ
自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV400
(2)JOB1作業終了時(図2参照)
(2−A)開いた状態のバルブ
自動開閉バルブV1、V10、中間バルブV200
(2−B)閉止した状態のバルブ
自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、V100、手動開閉バルブV300、V400
すなわち、所定の作業であるJOB1の終了後に、次の作業であるJOB1のためにホールド弁に指定されたバルブである自動開閉バルブV1、V10、中間バルブV200を開いた状態に保持するようになっている。
【0071】
そして、次の作業である、例えば、JOB2において、出荷のために、タンクT1から、桟橋Q2のタンカーなどの船舶S2に油を移送する場合には、以下のようなバルブの開閉が行われる。
(3)JOB2作業開始時(図3参照)
(3−A)開いた状態のバルブ
自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV400
(3−B)閉止した状態のバルブ
自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV300
(4)JOB2作業終了時(図4参照)
(4−A)開いた状態のバルブ
自動開閉バルブV1、V10、中間バルブV200
(4−B)閉止した状態のバルブ
自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、V100、手動開閉バルブV300、手動開閉バルブV400
すなわち、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時、例えば、JOB1、JOB2が終了した際に、開いた状態にあるバルブである自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200のうちから、閉止する必要があるバルブ、この場合には、後述するように、閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブである自動開閉バルブV1を選択して、一括で閉止するようになっている。
【0072】
具体的には、図5の本発明のバルブ管理システムの制御システムの構成概略図に示したように、プロセスデータ収集32により、各バルブの開閉などの情報が、所定時間毎、例えば、1分毎に、DCS(Distributed Control System)42を介して、また、各バルブが開閉したというイベント毎に、データ収集される。
【0073】
そして、これらの各バルブのデータ、例えば、「バルブタグNo」、「開閉状態」、「HOLD弁一括閉操作禁止状態」などの情報が、図5の矢印(a)で示したように、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶される。
【0074】
すなわち、図6は、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示しており、各バルブの情報は、例えば、各バルブについて、図6に示したように、オペレーターの画面に選択して表示することができるようになっている。
【0075】
なお、図6は、例示として、自動開閉バルブV1の場合を示しており、「バルブタグNo」の欄には、自動開閉バルブV1であることを示す「V1」が表示され、「開閉状態」は、JOB1、JOB2を終了した時点での自動開閉バルブV1の現在の状態である「開」が黒塗り丸印マークで表示されている。
【0076】
また、「サービスステータス」の欄には、「未使用」の欄が、黒塗り丸印マークとなっており、現在、JOB、シミュレーションなどに使用しておらず、未使用であることを示している。
【0077】
さらに、「HOLD弁一括閉操作禁止状態」の欄には、「閉OK」が黒塗り丸印のマークで示されており、後述するHOLD弁一括操作が可能な状態であることを示している。なお、「HOLD弁一括閉操作禁止状態」の欄で、閉止禁止の場合には、「閉禁止」が示されることになる。
【0078】
さらに、図6では、「使用中JOB−NO」欄は、空白となっており、自動開閉バルブV1が、JOB使用中でないことを示しており、後述するHOLD弁一括操作が可能な状態であることを示している。
【0079】
従って、図示しないが、自動開閉バルブV10、中間バルブ200などの各バルブについての上記のような現在の情報が、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されている。
【0080】
そして、本発明のバルブ管理システム10では、図5の矢印(b)で示したように、予め、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に予め指定して、バルブ設備データベース(D/B)36に、予め記憶されている。
【0081】
すなわち、図7は、本発明のバルブ管理システムのバルブ設備データベース(D/B)36に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示しており、各バルブの情報は、例えば、各バルブについて、図7に示したように、オペレーターの画面に選択して表示することができるようになっている。
【0082】
なお、図7は、例示として、自動開閉バルブV1の場合を示しており、「バルブタグNo」の欄には、「V1」が表示され、「ホールド指定」の欄には、「YES」と表示され、「使用区分」の欄には、「タンク元弁」であることが示されている。さらに、「常時開指定」の欄には、「NO」と表示され、後述するHOLD弁一括操作が可能な状態であることを示している。
【0083】
従って、この「常時開指定」の欄には、「YES」と表示される場合には、例えば、安全のため開いた状態のままにしておきたいバルブを示すことになる。
従って、このように各バルブについての上記のような情報が、バルブ設備データベース(D/B)36に記憶されている。
【0084】
なお、上記のように、「使用区分」の欄には、自動開閉バルブV1〜V4のような「タンク元弁」の他、自動開閉バルブV10〜30のような「サクションバルブ」、中間バルブV200のような「中間バルブ」などの使用区分がある。
【0085】
そして、本発明のバルブ管理システム10では、図5の矢印(c)で示したように、バルブ設備データベース(D/B)36に記憶された各バルブの予め設定された情報が、コンピューター38のCPUなどの中央演算処理装置に読み出される。
【0086】
一方、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶された現在の各バルブの情報が、コンピューター38のCPUなどの演算処理装置に読み出される。
そして、このように読み出された、バルブ設備データベース(D/B)36に記憶された各バルブの予め設定された情報と、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶された現在の各バルブの情報とが、コンピューター38のCPUなどの演算処理装置において、比較演算処理がなされる。
【0087】
そして、オペレーターが、オペレーター用のコンピューター38を操作することによって、図5の矢印(d)で示したように、オペレーターのコンピューター操作画面40に、「HOLD弁一括閉操作画面」が表示される。
【0088】
この「HOLD弁一括閉操作画面」は、図8のような画面表示となっており、「TAGNO」の欄に、バルブの番号が表示される。
そして、「閉禁止」の欄には、閉止禁止のバルブである場合(図7の「常時開指定」の欄に、「YES」と表示される場合)には、「Y」が表示され、閉止禁止でないバルブである場合には、この「閉禁止」の欄は、空白となっている。また、「現状値」の欄には、開いた状態のバルブを「OPEN」で示している
この場合、HOLD弁という名称で設定されたバルブの中から、現在、開いた状態になっているバルブで、かつ、現在作業で使っていないバルブを抽出するようになっている。
【0089】
さらに、予めバルブ設備データベース(D/B)36に設定した、安全のため開いた状態のままにしておきたいバルブ(図7の「常時開指定」の欄に、「YES」と表示される場合)は、表示させないよう自動チェックするようになっている。
【0090】
なお、「HOLD弁一括閉操作画面」では、安全上閉止しないで開いた状態で運用するバルブも確認のため必要であるので、「閉禁止」 の指定およびそのバルブも一覧表に表示されるようになっている。
【0091】
すなわち、この実施例の場合には、タンク元弁である自動開閉バルブV1は、閉止禁止でないバルブであるので、「閉禁止」の欄は、空白となっている。
また、サクションバルブである自動開閉バルブV10は、閉止禁止のバルブであるので、閉禁止」の欄には、「YES」と表示されている。
【0092】
さらに、中間バルブV200は、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、JOB1、JOB2の作業が終了した後でも開いた状態とする必要があるので、閉止禁止のバルブであるので、閉禁止」の欄には、「YES」と表示されている。
【0093】
そして、この「HOLD弁一括閉操作画面」の下方にある「指令」のボタンを、オペレーターがマウスなどで指示して押すことによって、図9に示したような「HOLD弁一括閉操作画面」が、オペレーターのコンピューターの操作画面40に表示される。
【0094】
この「HOLD弁一括閉操作画面」は、基本的には、図8の「HOLD弁一括閉操作画面」の表示項目と同じとなっている。
図9に示した「HOLD弁一括閉操作画面」では、右下欄に、「HOLD弁操作指令」のサブウィンドウが表示され、この「HOLD弁操作指令」の欄に、「閉止指令」、「閉禁止指定」、「閉禁止解除」、「初期MENU」の各ボタンが表示されている。
【0095】
そして、図9に示した「HOLD弁一括閉操作画面」では、サクションバルブである自動開閉バルブV10、中間バルブである自動開閉バルブV200は、いずれも閉止禁止のバルブであるので、「閉禁止」の欄には、「YES」と表示され、タンク元弁である自動開閉バルブV1は、閉止禁止でないバルブであるので、「閉禁止」の欄は、空白である。
【0096】
そして、図9に示したように、例えば、「TAGNO」の欄の「V1」の左にある白抜き四角のマーク「□」の箇所を、マウスなどで選択して、黒塗り四角のマークとすることによって、自動開閉バルブV1を指定する。
【0097】
この状態で、「HOLD弁操作指令」の欄の、「閉止指令」のボタンを、オペレーターが押すことによって、終業時、例えば、JOB1、JOB2が終了した際に、開いた状態にあるバルブである自動開閉バルブV1のみを閉止する指令が、図5の矢印(e)で示したように、コンピューター38に出力されるようになっている。
【0098】
そして、図5に示したように、コンピューター38からは、図5の矢印(f)で示したように、DCS(Distributed Control System)42を介して、各バルブの操作指令、この実施例の場合には、自動開閉バルブV1のみを閉止する指令が出されるようになっている。
【0099】
また、操作指令を受けたバルブからの信号が、図5の矢印(g)で示したように、DCS(Distributed Control System)42を介して、コンピューター38に入力されるようになっている。そして、コンピューター38において、出された操作指令と比較して、例えば、自動開閉バルブV1が開いた状態のままの信号が帰ってきた場合には、図5の矢印(h)で示したように、オペレーターのコンピューターの操作画面に、「異常メッセージ」44が表示されるとともに、図5の矢印(i)で示したように、「異常メッセージ」46の警告が音声、アラームなどで発せられるようになっている。
【0100】
さらに、一括で閉止する際に、「閉止指令」のボタンを押して、閉止の指令をしたバルブが、「閉禁止」の欄が、「Y」である閉止禁止のバルブである場合に、図5の矢印(h)(i)で示したような警告表示を行い、閉出力を行わないように構成されている。
【0101】
なお、「閉禁止」 を指定しているバルブに対して、「閉止指令」した場合には、安全上コンピューター38において、自動チェックが行われ無効となるように構成されている。
【0102】
また、図9に示した「HOLD弁一括閉操作画面」では、上記のように各バルブの「TAGNO」の欄の左にある白抜き四角のマーク「□」の箇所を、マウスなどで選択して、黒塗り四角のマークとすることによって、個別に、「HOLD弁操作指令」の欄の「閉禁止指定」、「閉禁止解除」を押すことによって、安全上などの点から、各バルブに対して、閉禁止指定、閉禁止解除をすることができるようになっている。
【0103】
なお、上記のように、「閉止指令」のボタンを押した場合には、コンピューター38において、操作画面から閉指定された各バルブに、例えば、下記の条件(1)〜(9)についてチェックを行い、条件(1)〜(9)を全て満たすバルブに対して、「閉止指令」を行うようになっている。
【0104】
(1)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「サービスステータス」の欄が、JOB使用中、または他の目的別オペレーション機能で使用中(「使用中」)でないバルブ、
(2)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「サービスステータス」の欄が、シミュレーション使用中(「SIM」)でないバルブ、
(3)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「サービスステータス」の欄が、使用不可状態のバルブ(「オフサービス」)でないバルブ、
(4)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「開閉状態」が、開状態(中間開を含む)(「開」、「中間」)のバルブ、
(5)図7のバルブ設備データベース(D/B)36に記憶されるデータにおいて、「ホールド指定」の欄が、ホールド指定(「Y」)のバルブ、
(6)図7のバルブ設備データベース(D/B)36に記憶されるデータにおいて、「使用区分」の欄が、「サクションバルブ」以外のバルブ、
(7)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「HOLD弁一括閉操作禁止状態」の欄が、禁止中(「閉禁止」)でないバルブ、
(8)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、データが、安全支援による札掛け中でないバルブ(図6では、図示せず)、
(9)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、DCSのアラームステータスが正常であること((図6では、図示せず)。
【0105】
なお、なお、上記の条件(1)〜(9)は、本発明のバルブ管理システム10を適用するプラントなどによって、変更できることはもちろんである。
また、上記の実施例では、図9においては、説明の便宜上、自動開閉バルブV10、中間バルブである自動開閉バルブV200のみを例示して、いずれも閉止禁止のバルブであるので、「閉禁止」の欄には、「YES」と表示され、タンク元弁である自動開閉バルブV1は、閉止禁止でないバルブであるので、「閉禁止」の欄は、空白として表示された場合を例示したが、これらの「閉禁止」の欄に、「YES」と表示されたバルブ、「閉禁止」の欄は、空白として表示したバルブは、一日で行ったJOBなどの作業の数に応じて、多数存在することはもちろんである。
【0106】
このように、本発明のバルブ管理システム10では、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に、開いた状態にある多数のバルブのうちから、閉止する必要があるバルブ、すなわち、閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブでバルブ群を選択して、一括で閉止することができるものである。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、操油作業の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、流体であれば、石油製品に限定されるものではなく、例えば、ガス、コンクリート、化学製品、食用油、飼料、塗料などのその他の流体、粉体、粉粒体を扱うタンクなどのプラントなどにも適用可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 バルブ管理システム
12〜30 配管
32 プロセスデータ収集
34 バルブ機器情報データベース(D/B)
36 バルブ設備データベース(D/B)
38 コンピューター
40 操作画面
42 DCS(Distributed Control System)
44、46 「異常メッセージ」
100 操油JOBシステム
P1 ポンプ
S1、S2 船舶
T1〜T4 タンク
Q1、Q2 桟橋
V1〜V4 自動開閉バルブ(タンク元弁)
V10-〜V30 自動開閉バルブ(サクションバルブ)
V100 自動開閉バルブ(中間バルブ)
V200 自動開閉バルブ(中間バルブ)
V300 手動開閉バルブ
V400 手動開閉バルブ
VR1 流量制御バルブ
VR2 流量制御バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の配管ラインと、これらの配管ラインに設けられたバルブを備えた配管網において、バルブの開閉状態を管理するバルブ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原油から種々の石油製品を製造する製油所、あるいは原料油から各種の製品を製造する石油化学工場では、蒸留装置、反応装置などの製造装置に加えて、製造装置に送る各種の原料油を外部から受け入れる際の受け入れ設備、原料油を貯蔵する多数の原料油タンク、製造装置から送出された各種の製品・半製品油を貯蔵する、製品・半製品油タンク、各種の製品油を混合する混合設備、製品油の出荷設備など、様々な付帯設備が必要である。
【0003】
通常、製造装置は、複雑な製造工程を組み合わせて製品油を製造する関係から、プラントサイト、すなわち「オンサイト」と呼ばれるエリアに集中して配置される。
一方、付帯設備は、原料油の搬入および製品の搬出に便利な、例えば海岸に近い「オフサイト」と呼ばれる広いエリアに比較的に分散して配置され、複数の配管ラインからなる配管網によって接続されている。
【0004】
オンサイトに配置されている製造装置以外の種々の付帯設備およびそれに付随する配管網は、まとめてオフサイトと呼ばれている。換言すれば、オフサイトは、種々の付帯設備と、それら付帯設備同士、および付帯設備とオンサイトの製造装置を接続する複数の配管ラインからなる配管網と、から構成されている。
【0005】
ところで、このような製造所内の油の取り扱いには、船からタンクへの受け入れ、タンクから装置へのチャージ、装置からのランダウン、タンク間の油の移送、出荷等の各作業がある。
【0006】
このため、これらの作業を行うための設備として、配管ラインが複雑に張り巡らされ、その配管にはバルブやポンプなど様々な機器が取り付けられている。
すなわち、配管ラインは、機器(オンサイトの製造装置、オフサイトの設備、およびバルブやポンプなどを含む)から始まって機器に終わる流体経路、または別の配管ラインを通って機器に終わる流体経路であって、必ずその配管ラインまたはその配管ラインに接続する他の配管ラインにバルブを有する。なぜなら、バルブが設けられていないと、その流体経路を通る流体が外部に流出してしまうことになるからである。
【0007】
ところで、このような配管網は、非常に複雑であるため、製油所への油の受け入れ/払出しを行う入出荷作業や油を別のタンクに移動する移送作業、油を混合するブレンド作業、オンサイトの装置からの油を受け入れたり、オンサイトの装置へ油を供給する装置受払作業などは、予め操油JOBとして運転管理システムに登録され、このシステムを用いた運用を行っている。
【0008】
このような操油JOBシステム100は、例えば、図10に示したように行われている。
すなわち、タンクT1に、配管12が接続され、この配管12に、遠隔で開閉操作が可能なタンク元弁である自動開閉バルブV1が設けられている。
【0009】
同様に、タンクT2に、配管14が接続され、この配管14に、タンク元弁である自動開閉バルブV2が設けられている。また、タンクT3に、配管16が接続され、この配管16に、タンク元弁である自動開閉バルブV3が設けられている。さらに、タンクT4に、配管18が接続され、この配管18に、タンク元弁である自動開閉バルブV4が設けられている。
【0010】
そして、これらの配管12〜18は、配管20に合流するように接続され、この配管20には、遠隔操作が可能なサクションバルブV10が配置され、ポンプP1に接続されている。
【0011】
なお、図示しないが、タンクT1〜T4と同様な複数のタンクから、配管22、自動開閉バルブV20を介して、配管24、自動開閉バルブV30を介して、それぞれポンプP1に接続されている。
【0012】
一方、ポンプP1の下流側の配管26には、自動開閉バルブV100、中間バルブV200に接続されている。そして、中間バルブV200の下流側の配管28には、手動で操作される手動開閉バルブV300、流量計F1、流量制御バルブVR1が設けられ、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に接続されている。
【0013】
また、中間バルブV200の下流側の配管28には、別の配管30が分岐しており、この配管30には、手動開閉バルブV400、流量計F2、流量制御バルブVR2が設けられ、桟橋Q2のタンカーなどの船舶S2に接続されている。
【0014】
なお、自動開閉バルブV1〜V4、サクションバルブV10〜V30、自動開閉バルブV100、中間バルブV200は、バルブの開閉状態を信号で通知する機能が備えられており、この信号を操油JOBシステム100のコンピュータ(図示せず)へ送ることで、個々のバルブの開閉状態を集中管理することができるようになっている。
【0015】
ところで、一つの作業である操油JOBを行うためには、複雑な配管網の中から最も効率の良い油を流すルートを決めなければならない。
このため、操油JOBシステム100では、例えば、出荷のために、タンクT1から、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する場合(以下、これを「JOB1」と言う)には、自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV300を開いた状態にする。
【0016】
そして、自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV400を閉止した状態にする。
これにより、タンクT1から、配管12、20、26、28を介して、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する配管経路が確立されるようになっている。
【0017】
このように、操油JOBをシステム化したものは既に完成されており、入出荷作業、タンク間移送作業といった油を操る操油作業に適用できるシステムが、例えば下記のように商品化され、これにより操油作業におけるバルブ開閉の誤操作が防止できるようになっている。
【0018】
商品名:オフサイト制御システムExaoms3000(横河電機株式会社製)
オフサイト運転管理OCS(株式会社山武製)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、このような従来の操油JOBシステム100では、1つの作業である上記JOB1の作業が終了した後には、JOB1において、開いた状態とした自動開閉バルブV1、V10、V100、手動開閉バルブV300を閉止した状態とするのが通常である。
【0020】
なお、中間バルブV200は、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、JOB1の作業が終了した後でも開いた状態としている。
そして、図11に示したように、次の作業である、例えば、出荷のために、タンクT1から、桟橋Q2のタンカーなどの船舶S2に油を移送する場合(以下、これを「JOB2」と言う)には、自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV400を開いた状態にする。
【0021】
そして、自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV300を閉止した状態にする。
これにより、タンクT1から、配管12、20、26、30を介して、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する配管経路が確立されるようになっている。
【0022】
しかしながら、上記のJOB1とJOB2の際のバルブの開いた状態からも明らかなように、自動開閉バルブV1、V10は、JOB1の作業が終了した後に、再び、JOB2の作業の際に開いた状態とする必要がある。
【0023】
このように、従来の操油JOBシステム100では、一つの操油作業(例えば、JOB1)が終了するたびに、バルブを閉止しており、次の操油作業(例えば、JOB2)では、特定のバルブ(例えば、JOB2では、自動開閉バルブV1、V10)を開にしていた。
【0024】
このため、例えば、タンク元のバルブである自動開閉バルブV1であれば、開いた状態から自動閉止までの平均的な時間は、10〜60秒かかっており、また、次回の作業で、開いた状態で使用する時には、閉止状態から自動で開になるまで同程度の時間が必要となる。
【0025】
また、一つの作業で、開いた状態で使用するバルブは、3から10数台であるが、バルブの開閉指令は、自動化されており、開閉信号のみを自動で順に指令するだけのため時間的には10数秒かかることになる。一つの作業終了においても、バルブの開閉指令に要する時間も同様に、10数秒かかることになる。
【0026】
従って、従来は一つの作業毎にバルブの開閉が行われていたので、操油作業のたびにバルブを開閉するために、上記のようなバルブ自体の開閉に要する時間、開閉指令に要する時間といった無駄な時間が必要であり、作業が非効率であり、バルブの開閉に必要なエネルギー(電気)の消費およびバルブの磨耗が発生するという問題があった。
【0027】
本発明は、このような現状に鑑み、一つの作業が終了するたびに、バルブを閉止するのではなく、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブを開いた状態に保持でき、作業が効率的であり、バルブの開閉に必要なエネルギー(電気)の消費を低減でき、バルブの磨耗が発生することのないバルブ管理システムを提供すること
を目的とする。
【0028】
また、本発明は、このように次の作業のために開いた状態のままに保持する必要がある開いた状態に保持したバルブをのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止することができ、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、本発明のバルブ管理システムは、
複数の配管ラインと、前記配管ラインに設けられたバルブとを備えた配管網において、前記バルブの開閉状態を管理するバルブ管理システムであって、
前記配管網において、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に指定して、
前記所定の作業終了後に、次の作業のためにホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持するように構成されていることを特徴とする。
【0030】
このように、1つの所定の作業が終了した時は、バルブを閉止するのが通常であるが、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブを、ホールド弁に指定しておく。
【0031】
そして、1つの所定の作業が終了した後に、次回の別の作業の際に、ホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持する。
これによって、バルブの開閉にかかる時間の無駄を省くことができ、作業を効率化することができ、しかも、バルブの開閉に必要なエネルギー(電気)の消費を低減でき、バルブの磨耗が発生することがない。
【0032】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする。
【0033】
このように各作業を繰り返した後には、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブが存在することになるが、そのままの開いた状態では、万が一ではあるが、漏油等が発生するおそれもあるため、閉止させる必要のあるバルブも存在する。
【0034】
このため、上記のように構成することによって、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止することによって、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することができる。
【0035】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあり、かつ現在作業に使用していないバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする。
【0036】
このように構成することによって、例えば、2日にわたって作業する必要がある、現在作業に使用しているバルブを誤って一括閉止することがなく、現在の作業に支障をきたすことがなく、引き続き実施することができる。
【0037】
また、本発明のバルブ管理システムは、
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブであって、開いた状態を保持する必要があるバルブを閉止禁止に指定して、
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、前記閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする。
【0038】
すなわち、例えば、中間バルブのように、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、作業が終了した後でも開いた状態として、安全上閉止しないで開の状態で運用するバルブも存在する。
【0039】
従って、このようにホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブであって、開いた状態を保持する必要があるバルブを閉止禁止に指定しておく。
そして、ホールド弁に指定したバルブのうち、閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブを選択して、一括で閉止することによって、作業が終了した後でも開いた状態として、安全上閉止しないで開の状態で運用するバルブを誤って一括閉止することがなく、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止することができる。
【0040】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記閉止禁止に指定したバルブについて、閉止禁止指定の解除ができるように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、閉止禁止に指定したバルブについて、開いた状態を保持する必要がなく、漏油等が発生するおそれのために閉止する必要が生じた場合に、閉止禁止指定の解除ができる、
従って、この閉止禁止指定の解除がなされたバルブを選択して、一括で閉止することによって、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することができる。
【0041】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記一括で閉止する際に、閉止の指令をしたバルブが、閉止禁止のバルブである場合に、警告表示を行い、閉出力を行わないように構成されていることを特徴とする。
【0042】
このように構成することによって、一括で閉止する際に、閉止の指令をしたバルブが、閉止禁止のバルブである場合に、事前にオペレーターに警告表示で通知することができ、それをオペレーターにアラームにより確実に伝えることができ、また、閉出力を行わないので、誤って、閉止禁止のバルブを閉止するのを防止することができる。
【0043】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記ホールド弁の指定、選択、解除の各操作が、オペレーターのコンピューターの画面で操作できるように構成されていることを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、ホールド弁の指定、選択、解除の各操作が、オペレーターのコンピューターの画面で操作できるので、1つの画面でオペレーターが操作ができる作業効率が向上することになる。
【0045】
また、本発明のバルブ管理システムは、前記配管網が、製油所の配管網であることを特徴とする。
このように、特に、製油所の配管網であるオフサイト、オンサイトに、このバルブ管理システムを適用することによって、製油所のオフサイト、オンサイトの運転をより安全で、しかも、確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、1つの所定の作業が終了した時は、バルブを閉止するのが通常であるが、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブを、ホールド弁に指定しておく。
【0047】
そして、1つの所定の作業が終了した後に、次回の別の作業の際に、ホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持する。
これによって、バルブの開閉にかかる時間の無駄を省くことができ、作業を効率化することができ、しかも、バルブの開閉に必要なエネルギー(電気)の消費を低減でき、バルブの磨耗が発生することがない。
【0048】
このように各作業を繰り返した後には、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブが存在することになるが、そのままの開いた状態では、万が一ではあるが、漏油等が発生するおそれもあるため、閉止させる必要のあるバルブも存在する。
【0049】
このため、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止することによって、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することができる。
【0050】
また、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあり、かつ現在作業に使用していないバルブを選択して、一括で閉止するので、例えば、2日にわたって作業する必要がある、現在作業に使用しているバルブを誤って一括閉止することがなく、現在の作業に支障をきたすことがなく、引き続き実施することができる。
【0051】
また、例えば、中間バルブのように、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、作業が終了した後でも開いた状態として、安全上閉止しないで開の状態で運用するバルブも存在する。
【0052】
従って、このようにホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブであって、開いた状態を保持する必要があるバルブを閉止禁止に指定しておく。
そして、ホールド弁に指定したバルブのうち、閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブを選択して、一括で閉止することによって、作業が終了した後でも開いた状態として、安全上閉止しないで開の状態で運用するバルブを誤って一括閉止することがなく、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止することができる。
【0053】
また、閉止禁止に指定したバルブについて、開いた状態を保持する必要がなく、漏油等が発生するおそれのために閉止する必要が生じた場合に、閉止禁止指定の解除ができる、
従って、この閉止禁止指定の解除がなされたバルブを選択して、一括で閉止することによって、安全面でも、運用上においても効率的なバルブ管理システムを提供することができる。
【0054】
また、一括で閉止する際に、閉止の指令をしたバルブが、閉止禁止のバルブである場合に、事前にオペレーターに警告表示で通知することができ、それをオペレーターにアラームにより確実に伝えることができ、誤って、閉止禁止のバルブを閉止するのを防止することができる。
【0055】
さらに、ホールド弁の指定、選択、解除の各操作が、オペレーターのコンピューターの画面で操作できるので、1つの画面でオペレーターが操作ができる作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明のバルブ管理システムの制御システムの構成概略図である。
【図6】図6は、本発明のバルブ管理システムのバルブ機器情報データベース(D/B)に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示す図である。
【図7】図7は、本発明のバルブ管理システムのバルブ設備データベース(D/B)に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示す図である。
【図8】図8は、本発明のバルブ管理システムのHOLD弁一括閉操作画面を示す図である。
【図9】図9は、図8の画面の「指令」ボタンを押した後に表示されるHOLD弁一括閉操作画面を示す図である。
【図10】図10は、従来のバルブ管理システムを適用した操油作業の一例を示す概略図である。
【図11】図11は、従来のバルブ管理システムを適用した操油作業の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1〜4は、本発明のバルブ管理システムを適用する操油作業の一例を示す概略図、図5は、本発明のバルブ管理システムの制御システムの構成概略図、図6は、本発明のバルブ管理システムのバルブ機器情報データベース(D/B)に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示す図、図7は、本発明のバルブ管理システムのバルブ設備データベース(D/B)に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示す図、図8は、本発明のバルブ管理システムのHOLD弁一括閉操作画面を示す図、図9は、図8の画面の「指令」ボタンを押した後に表示されるHOLD弁一括閉操作画面を示す図である。
【0058】
図1の操油作業、各バルブ、配管、流量計などの配置については、上記の背景技術の欄において説明したので、その詳細については省略する。
本発明のバルブ管理システム10では、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に指定している。
【0059】
すなわち、図1に示したように、例えば、JOB1において、タンクT1から、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する場合には、自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV300を開いた状態にしている。
【0060】
そして、自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV400を閉止した状態にしている。
これにより、タンクT1から、配管12、20、26、28を介して、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する配管経路が確立されるようになっている。
【0061】
また、次の作業である、例えば、JOB2において、出荷のために、タンクT1から、桟橋Q2のタンカーなどの船舶S2に油を移送する場合には、自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV400を開いた状態にする。
【0062】
そして、自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV400を閉止した状態にしている。
これにより、タンクT1から、配管12、20、26、28を介して、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する配管経路が確立されるようになっている。
【0063】
ところで、従来では、1つの作業である上記JOB1の作業が終了した後には、JOB1において、開いた状態とした自動開閉バルブV1、V10、V100、手動開閉バルブV300を閉止した状態とするのが通常である。
【0064】
なお、中間バルブV200は、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、JOB1の作業が終了した後でも開いた状態としている。
しかしながら、従来では、このように上記のJOB1とJOB2の際のバルブの開いた状態からも明らかなように、自動開閉バルブV1、V10は、JOB1の作業が終了した後に、再び、JOB2の作業の際に開いた状態とする必要がある。
【0065】
これに対して、本発明のバルブ管理システム10では、このような所定の作業であるJOB1のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業であるJOB2のために、開いた状態のままに保持する必要があるバルブである自動開閉バルブV1、V10、中間バルブV200を、ホールド弁(「HOLD弁」)に指定している(図1中、ホールド弁を「H」で示している。
【0066】
なお、タンクT2の配管14のタンク元弁である自動開閉バルブV2、タンクT3の配管16のタンク元弁である自動開閉バルブV3、さらに、タンクT4の配管18のタンク元弁である自動開閉バルブV4も、タンクT1〜T4に切り替えてJOBが行われるので、同様に、ホールド弁に指定している。
【0067】
さらに、タンクT1〜T4と同様な複数のタンクからの配管22の自動開閉バルブV20、配管24の自動開閉バルブV30も、タンクT1〜T4と同様に、切り替えてJOBが行われるので、ホールド弁に指定している。
【0068】
そして、本発明のバルブ管理システム10では、所定の作業終了後に、次の作業のためにホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持するように構成されている。
また、本発明のバルブ管理システム10では、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止するように構成されている。
【0069】
以下に、上記の所定の作業である所定の作業であるJOB1、次の作業であるJOB2に基づいて、具体的に、本発明のバルブ管理システム10について説明する。
なお、以下の図1〜図3中では、理解の容易のために、開いた状態のバルブを「OPEN」、閉止した状態のバルブを「CLOSE」で示している。
【0070】
先ず、上記で説明したように、JOB1において、タンクT1から、桟橋Q1のタンカーなどの船舶S1に油を移送する場合には、以下のようなバルブの開閉が行われる。
(1)JOB1作業開始時(図1参照)
(1−A)開いた状態のバルブ
自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV300
(1−B)閉止した状態のバルブ
自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV400
(2)JOB1作業終了時(図2参照)
(2−A)開いた状態のバルブ
自動開閉バルブV1、V10、中間バルブV200
(2−B)閉止した状態のバルブ
自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、V100、手動開閉バルブV300、V400
すなわち、所定の作業であるJOB1の終了後に、次の作業であるJOB1のためにホールド弁に指定されたバルブである自動開閉バルブV1、V10、中間バルブV200を開いた状態に保持するようになっている。
【0071】
そして、次の作業である、例えば、JOB2において、出荷のために、タンクT1から、桟橋Q2のタンカーなどの船舶S2に油を移送する場合には、以下のようなバルブの開閉が行われる。
(3)JOB2作業開始時(図3参照)
(3−A)開いた状態のバルブ
自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200、手動開閉バルブV400
(3−B)閉止した状態のバルブ
自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、手動開閉バルブV300
(4)JOB2作業終了時(図4参照)
(4−A)開いた状態のバルブ
自動開閉バルブV1、V10、中間バルブV200
(4−B)閉止した状態のバルブ
自動開閉バルブV2、V3、V4、V20、V30、V100、手動開閉バルブV300、手動開閉バルブV400
すなわち、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時、例えば、JOB1、JOB2が終了した際に、開いた状態にあるバルブである自動開閉バルブV1、V10、V100、中間バルブV200のうちから、閉止する必要があるバルブ、この場合には、後述するように、閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブである自動開閉バルブV1を選択して、一括で閉止するようになっている。
【0072】
具体的には、図5の本発明のバルブ管理システムの制御システムの構成概略図に示したように、プロセスデータ収集32により、各バルブの開閉などの情報が、所定時間毎、例えば、1分毎に、DCS(Distributed Control System)42を介して、また、各バルブが開閉したというイベント毎に、データ収集される。
【0073】
そして、これらの各バルブのデータ、例えば、「バルブタグNo」、「開閉状態」、「HOLD弁一括閉操作禁止状態」などの情報が、図5の矢印(a)で示したように、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶される。
【0074】
すなわち、図6は、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示しており、各バルブの情報は、例えば、各バルブについて、図6に示したように、オペレーターの画面に選択して表示することができるようになっている。
【0075】
なお、図6は、例示として、自動開閉バルブV1の場合を示しており、「バルブタグNo」の欄には、自動開閉バルブV1であることを示す「V1」が表示され、「開閉状態」は、JOB1、JOB2を終了した時点での自動開閉バルブV1の現在の状態である「開」が黒塗り丸印マークで表示されている。
【0076】
また、「サービスステータス」の欄には、「未使用」の欄が、黒塗り丸印マークとなっており、現在、JOB、シミュレーションなどに使用しておらず、未使用であることを示している。
【0077】
さらに、「HOLD弁一括閉操作禁止状態」の欄には、「閉OK」が黒塗り丸印のマークで示されており、後述するHOLD弁一括操作が可能な状態であることを示している。なお、「HOLD弁一括閉操作禁止状態」の欄で、閉止禁止の場合には、「閉禁止」が示されることになる。
【0078】
さらに、図6では、「使用中JOB−NO」欄は、空白となっており、自動開閉バルブV1が、JOB使用中でないことを示しており、後述するHOLD弁一括操作が可能な状態であることを示している。
【0079】
従って、図示しないが、自動開閉バルブV10、中間バルブ200などの各バルブについての上記のような現在の情報が、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されている。
【0080】
そして、本発明のバルブ管理システム10では、図5の矢印(b)で示したように、予め、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に予め指定して、バルブ設備データベース(D/B)36に、予め記憶されている。
【0081】
すなわち、図7は、本発明のバルブ管理システムのバルブ設備データベース(D/B)36に記憶される情報に関するメンテナンスの画面を示しており、各バルブの情報は、例えば、各バルブについて、図7に示したように、オペレーターの画面に選択して表示することができるようになっている。
【0082】
なお、図7は、例示として、自動開閉バルブV1の場合を示しており、「バルブタグNo」の欄には、「V1」が表示され、「ホールド指定」の欄には、「YES」と表示され、「使用区分」の欄には、「タンク元弁」であることが示されている。さらに、「常時開指定」の欄には、「NO」と表示され、後述するHOLD弁一括操作が可能な状態であることを示している。
【0083】
従って、この「常時開指定」の欄には、「YES」と表示される場合には、例えば、安全のため開いた状態のままにしておきたいバルブを示すことになる。
従って、このように各バルブについての上記のような情報が、バルブ設備データベース(D/B)36に記憶されている。
【0084】
なお、上記のように、「使用区分」の欄には、自動開閉バルブV1〜V4のような「タンク元弁」の他、自動開閉バルブV10〜30のような「サクションバルブ」、中間バルブV200のような「中間バルブ」などの使用区分がある。
【0085】
そして、本発明のバルブ管理システム10では、図5の矢印(c)で示したように、バルブ設備データベース(D/B)36に記憶された各バルブの予め設定された情報が、コンピューター38のCPUなどの中央演算処理装置に読み出される。
【0086】
一方、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶された現在の各バルブの情報が、コンピューター38のCPUなどの演算処理装置に読み出される。
そして、このように読み出された、バルブ設備データベース(D/B)36に記憶された各バルブの予め設定された情報と、バルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶された現在の各バルブの情報とが、コンピューター38のCPUなどの演算処理装置において、比較演算処理がなされる。
【0087】
そして、オペレーターが、オペレーター用のコンピューター38を操作することによって、図5の矢印(d)で示したように、オペレーターのコンピューター操作画面40に、「HOLD弁一括閉操作画面」が表示される。
【0088】
この「HOLD弁一括閉操作画面」は、図8のような画面表示となっており、「TAGNO」の欄に、バルブの番号が表示される。
そして、「閉禁止」の欄には、閉止禁止のバルブである場合(図7の「常時開指定」の欄に、「YES」と表示される場合)には、「Y」が表示され、閉止禁止でないバルブである場合には、この「閉禁止」の欄は、空白となっている。また、「現状値」の欄には、開いた状態のバルブを「OPEN」で示している
この場合、HOLD弁という名称で設定されたバルブの中から、現在、開いた状態になっているバルブで、かつ、現在作業で使っていないバルブを抽出するようになっている。
【0089】
さらに、予めバルブ設備データベース(D/B)36に設定した、安全のため開いた状態のままにしておきたいバルブ(図7の「常時開指定」の欄に、「YES」と表示される場合)は、表示させないよう自動チェックするようになっている。
【0090】
なお、「HOLD弁一括閉操作画面」では、安全上閉止しないで開いた状態で運用するバルブも確認のため必要であるので、「閉禁止」 の指定およびそのバルブも一覧表に表示されるようになっている。
【0091】
すなわち、この実施例の場合には、タンク元弁である自動開閉バルブV1は、閉止禁止でないバルブであるので、「閉禁止」の欄は、空白となっている。
また、サクションバルブである自動開閉バルブV10は、閉止禁止のバルブであるので、閉禁止」の欄には、「YES」と表示されている。
【0092】
さらに、中間バルブV200は、配管内に残留する油の圧力、膨張などによる配管の破損を防止するため、JOB1、JOB2の作業が終了した後でも開いた状態とする必要があるので、閉止禁止のバルブであるので、閉禁止」の欄には、「YES」と表示されている。
【0093】
そして、この「HOLD弁一括閉操作画面」の下方にある「指令」のボタンを、オペレーターがマウスなどで指示して押すことによって、図9に示したような「HOLD弁一括閉操作画面」が、オペレーターのコンピューターの操作画面40に表示される。
【0094】
この「HOLD弁一括閉操作画面」は、基本的には、図8の「HOLD弁一括閉操作画面」の表示項目と同じとなっている。
図9に示した「HOLD弁一括閉操作画面」では、右下欄に、「HOLD弁操作指令」のサブウィンドウが表示され、この「HOLD弁操作指令」の欄に、「閉止指令」、「閉禁止指定」、「閉禁止解除」、「初期MENU」の各ボタンが表示されている。
【0095】
そして、図9に示した「HOLD弁一括閉操作画面」では、サクションバルブである自動開閉バルブV10、中間バルブである自動開閉バルブV200は、いずれも閉止禁止のバルブであるので、「閉禁止」の欄には、「YES」と表示され、タンク元弁である自動開閉バルブV1は、閉止禁止でないバルブであるので、「閉禁止」の欄は、空白である。
【0096】
そして、図9に示したように、例えば、「TAGNO」の欄の「V1」の左にある白抜き四角のマーク「□」の箇所を、マウスなどで選択して、黒塗り四角のマークとすることによって、自動開閉バルブV1を指定する。
【0097】
この状態で、「HOLD弁操作指令」の欄の、「閉止指令」のボタンを、オペレーターが押すことによって、終業時、例えば、JOB1、JOB2が終了した際に、開いた状態にあるバルブである自動開閉バルブV1のみを閉止する指令が、図5の矢印(e)で示したように、コンピューター38に出力されるようになっている。
【0098】
そして、図5に示したように、コンピューター38からは、図5の矢印(f)で示したように、DCS(Distributed Control System)42を介して、各バルブの操作指令、この実施例の場合には、自動開閉バルブV1のみを閉止する指令が出されるようになっている。
【0099】
また、操作指令を受けたバルブからの信号が、図5の矢印(g)で示したように、DCS(Distributed Control System)42を介して、コンピューター38に入力されるようになっている。そして、コンピューター38において、出された操作指令と比較して、例えば、自動開閉バルブV1が開いた状態のままの信号が帰ってきた場合には、図5の矢印(h)で示したように、オペレーターのコンピューターの操作画面に、「異常メッセージ」44が表示されるとともに、図5の矢印(i)で示したように、「異常メッセージ」46の警告が音声、アラームなどで発せられるようになっている。
【0100】
さらに、一括で閉止する際に、「閉止指令」のボタンを押して、閉止の指令をしたバルブが、「閉禁止」の欄が、「Y」である閉止禁止のバルブである場合に、図5の矢印(h)(i)で示したような警告表示を行い、閉出力を行わないように構成されている。
【0101】
なお、「閉禁止」 を指定しているバルブに対して、「閉止指令」した場合には、安全上コンピューター38において、自動チェックが行われ無効となるように構成されている。
【0102】
また、図9に示した「HOLD弁一括閉操作画面」では、上記のように各バルブの「TAGNO」の欄の左にある白抜き四角のマーク「□」の箇所を、マウスなどで選択して、黒塗り四角のマークとすることによって、個別に、「HOLD弁操作指令」の欄の「閉禁止指定」、「閉禁止解除」を押すことによって、安全上などの点から、各バルブに対して、閉禁止指定、閉禁止解除をすることができるようになっている。
【0103】
なお、上記のように、「閉止指令」のボタンを押した場合には、コンピューター38において、操作画面から閉指定された各バルブに、例えば、下記の条件(1)〜(9)についてチェックを行い、条件(1)〜(9)を全て満たすバルブに対して、「閉止指令」を行うようになっている。
【0104】
(1)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「サービスステータス」の欄が、JOB使用中、または他の目的別オペレーション機能で使用中(「使用中」)でないバルブ、
(2)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「サービスステータス」の欄が、シミュレーション使用中(「SIM」)でないバルブ、
(3)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「サービスステータス」の欄が、使用不可状態のバルブ(「オフサービス」)でないバルブ、
(4)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「開閉状態」が、開状態(中間開を含む)(「開」、「中間」)のバルブ、
(5)図7のバルブ設備データベース(D/B)36に記憶されるデータにおいて、「ホールド指定」の欄が、ホールド指定(「Y」)のバルブ、
(6)図7のバルブ設備データベース(D/B)36に記憶されるデータにおいて、「使用区分」の欄が、「サクションバルブ」以外のバルブ、
(7)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、「HOLD弁一括閉操作禁止状態」の欄が、禁止中(「閉禁止」)でないバルブ、
(8)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、データが、安全支援による札掛け中でないバルブ(図6では、図示せず)、
(9)図6のバルブ機器情報データベース(D/B)34に記憶されるデータにおいて、DCSのアラームステータスが正常であること((図6では、図示せず)。
【0105】
なお、なお、上記の条件(1)〜(9)は、本発明のバルブ管理システム10を適用するプラントなどによって、変更できることはもちろんである。
また、上記の実施例では、図9においては、説明の便宜上、自動開閉バルブV10、中間バルブである自動開閉バルブV200のみを例示して、いずれも閉止禁止のバルブであるので、「閉禁止」の欄には、「YES」と表示され、タンク元弁である自動開閉バルブV1は、閉止禁止でないバルブであるので、「閉禁止」の欄は、空白として表示された場合を例示したが、これらの「閉禁止」の欄に、「YES」と表示されたバルブ、「閉禁止」の欄は、空白として表示したバルブは、一日で行ったJOBなどの作業の数に応じて、多数存在することはもちろんである。
【0106】
このように、本発明のバルブ管理システム10では、ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に、開いた状態にある多数のバルブのうちから、閉止する必要があるバルブ、すなわち、閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブでバルブ群を選択して、一括で閉止することができるものである。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、操油作業の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、流体であれば、石油製品に限定されるものではなく、例えば、ガス、コンクリート、化学製品、食用油、飼料、塗料などのその他の流体、粉体、粉粒体を扱うタンクなどのプラントなどにも適用可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 バルブ管理システム
12〜30 配管
32 プロセスデータ収集
34 バルブ機器情報データベース(D/B)
36 バルブ設備データベース(D/B)
38 コンピューター
40 操作画面
42 DCS(Distributed Control System)
44、46 「異常メッセージ」
100 操油JOBシステム
P1 ポンプ
S1、S2 船舶
T1〜T4 タンク
Q1、Q2 桟橋
V1〜V4 自動開閉バルブ(タンク元弁)
V10-〜V30 自動開閉バルブ(サクションバルブ)
V100 自動開閉バルブ(中間バルブ)
V200 自動開閉バルブ(中間バルブ)
V300 手動開閉バルブ
V400 手動開閉バルブ
VR1 流量制御バルブ
VR2 流量制御バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配管ラインと、前記配管ラインに設けられたバルブとを備えた配管網において、前記バルブの開閉状態を管理するバルブ管理システムであって、
前記配管網において、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に指定して、
前記所定の作業終了後に、次の作業のためにホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持するように構成されていることを特徴とするバルブ管理システム。
【請求項2】
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ管理システム。
【請求項3】
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあり、かつ現在作業に使用していないバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ管理システム。
【請求項4】
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブであって、開いた状態を保持する必要があるバルブを閉止禁止に指定して、
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、前記閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする請求項2から3のいずれかに記載のバルブ管理システム。
【請求項5】
前記閉止禁止に指定したバルブについて、閉止禁止指定の解除ができるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のバルブ管理システム。
【請求項6】
前記一括で閉止する際に、閉止の指令をしたバルブが、閉止禁止のバルブである場合に、警告表示を行い、閉出力を行わないように構成されていることを特徴とする請求項4から5のいずれかに記載のバルブ管理システム。
【請求項7】
前記ホールド弁の指定、選択、解除の各操作が、オペレーターのコンピューターの画面で操作できるように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のバルブ管理システム。
【請求項8】
前記配管網が、製油所の配管網であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のバルブ管理システム。
【請求項1】
複数の配管ラインと、前記配管ラインに設けられたバルブとを備えた配管網において、前記バルブの開閉状態を管理するバルブ管理システムであって、
前記配管網において、所定の作業のために開いた状態にしたバルブのうち、次の作業のために開いた状態のままに保持する必要があるバルブをホールド弁に指定して、
前記所定の作業終了後に、次の作業のためにホールド弁に指定されたバルブを開いた状態に保持するように構成されていることを特徴とするバルブ管理システム。
【請求項2】
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ管理システム。
【請求項3】
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあり、かつ現在作業に使用していないバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ管理システム。
【請求項4】
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、終業時に開いた状態にあるバルブであって、開いた状態を保持する必要があるバルブを閉止禁止に指定して、
前記ホールド弁に指定したバルブのうち、前記閉止禁止に指定されたバルブ以外のバルブを選択して、一括で閉止するように構成されていることを特徴とする請求項2から3のいずれかに記載のバルブ管理システム。
【請求項5】
前記閉止禁止に指定したバルブについて、閉止禁止指定の解除ができるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のバルブ管理システム。
【請求項6】
前記一括で閉止する際に、閉止の指令をしたバルブが、閉止禁止のバルブである場合に、警告表示を行い、閉出力を行わないように構成されていることを特徴とする請求項4から5のいずれかに記載のバルブ管理システム。
【請求項7】
前記ホールド弁の指定、選択、解除の各操作が、オペレーターのコンピューターの画面で操作できるように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のバルブ管理システム。
【請求項8】
前記配管網が、製油所の配管網であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のバルブ管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−169207(P2010−169207A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13092(P2009−13092)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
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