説明

バルブ装置

【課題】コンパクトで、凍結による体積膨張を吸収して確実に破損を防止することができる、信頼性がより向上したバルブ装置を提供する。

【解決手段】 本発明では、止水状態と吐水状態を切り替えることができるバルブ装置であって、弁座を備えたバルブ装置本体と、弁座に着座し又はこの弁座から離れることによって止水状態と吐水状態を切り替えるダイヤフラム式弁体と、内部の圧力が変化して、ダイヤフラム式弁体を上記弁座に近づけ又は離れるように移動させる圧力室と、を有するバルブ装置において、圧力室に直面して配設され、圧力室に対して後退する方向に移動することにより圧力室内の体積を増加させる第一部材と、第一部材より外側でバルブ装置本体に固定され、それ自体が撓むことにより圧力室内の体積を増加させる第二部材と、を有し、第一部材と第二部材との間には密閉空間が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水状態と吐水状態を切り替えることができるバルブ装置に係り、特に内部の液体の凍結による装置破損を防ぐバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバルブ装置では、バルブ装置内に水が充満している状態で冬期などに低温下にさらされると、内部の液体が凍結しバルブ装置の破損が生じる場合がある。このような不具合を解消するため、水通路やバルブ装置内の液体が凍結膨張すると、その膨張体積分は内部に設けられた可動部材が後退することにより吸収し凍結によるバルブ装置の破損を防ぐものがある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
さらに、特許文献1では、可動部材の周辺の液体が最初に凍結すると可動部材が後退することができなくなるので、可動部材の後方に設置した収納空間にスポンジ部材を充填させて、低温の外気の収納空間内への侵入を防止し、可動部材が低温の外気にさらされることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−202730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような場合、可動部材周辺が最初に凍結し不動になることを防ぐことができるが、凍結膨張の吸収を、スポンジ部材に内在する複数の気泡部分の収縮により行っているため、水通路やバルブ装置内の液体の体積膨張が大きい場合、充分に膨張を吸収することができないといった問題が生じる。
また、大きな体積膨張が生じても充分に膨張を吸収できるように、スポンジ部材自体を大きくすることが対策として考えられるが、そのような場合はバルブ装置全体が大きくなるという問題が生じる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、コンパクトで、凍結による体積膨張を吸収して確実に破損を防止することができる、信頼性がより向上したバルブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、止水状態と吐水状態を切り替えることができるバルブ装置であって、弁座を備えたバルブ装置本体と、弁座に着座し又はこの弁座から離れることによって止水状態と吐水状態を切り替えるダイヤフラム式弁体と、内部の圧力が変化して、ダイヤフラム式弁体を上記弁座に近づけ又は離れるように移動させる圧力室と、を有するバルブ装置において、圧力室に直面して配設され、圧力室に対して後退する方向に移動することにより圧力室内の体積を増加させる第一部材と、第一部材より外側でバルブ装置本体に固定され、それ自体が撓むことにより圧力室内の体積を増加させる第二部材と、を有し、第一部材と第二部材との間には密閉空間が形成されていることを特徴とする。
【0007】
圧力室内の液体が凍結すると、第一部材が密閉空間内に移動し体積膨張を吸収することに加えて、第二部材自体も撓むことで体積膨張を吸収するため、圧力室内の体積膨張分をより吸収することができるようになり、バルブ装置が凍結により破損することを確実に防ぐことができる。また、第一部材の外側には、密閉空間と第二部材とが配設されているので、第一部材が外気に直接さらされることがなく、第一部材周辺の水から凍り、第一部材が動かないといった不具合も発生することがない。さらに、第一部材と第二部材との間の密閉空間を第一部材が移動するため、例えば、その空間にスポンジ等を介在させる場合と比べ移動距離が大きくなり、バルブ装置全体としてコンパクトにすることができる。
【0008】
請求項2記載の発明のよれば、第一部材は、圧力室において、ダイヤフラム式弁体の中央軸と同軸上で、ダイヤフラム式弁体の可動範囲に隣接した位置に設けられていることを特徴とする。第一部材がダイヤフラム式弁体の近辺に設けられているため、万が一、ダイヤフラム式弁体周辺の水から凍結し、ダイヤフラム式弁体が破損するといったことを確実に防ぐことができる。
【0009】
請求項3記載の発明のよれば、第一部材は、密閉空間の方向に凹形状で形成されていることを特徴とする。第一部材が密閉空間の方向に凹形状で形成されているため、密閉空間が大きくなり、体積膨張をより吸収でき、バルブ装置が破損することをより確実に防ぐことができる。
【0010】
請求項4記載の発明のよれば、第一部材は、ダイヤフラム式弁体より延性のある延性素材で形成されていることを特徴とする。圧力室内が凍結した場合、ダイヤフラム弁体より先に第一部材が体積膨張を吸収するため、ダイヤフラム式弁体が破損することを防ぐことができる。
【0011】
請求項5記載の発明のよれば、第一部材はゴム素材で形成されていることを特徴とする。より安価に製造することができ、凍結膨張を吸収し、バルブ装置が破損することを確実に防ぐことができる。
【0012】
請求項6記載の発明のよれば、第二部材は樹脂素材で形成されていることを特徴とする。低温の外気にさらされることにより第二部材自体が凍結することを確実に防ぐことができ、凍結膨張を吸収し、バルブ装置が破損することを確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンパクトで、凍結による体積膨張を吸収して確実に破損を防止することができる、信頼性がより向上したバルブ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る吐水装置の全体断面図である。
【図2】図1に示す吐水装置の機能部を拡大した一部拡大図である。
【図3】押しボタンの操作直後の吐水装置を示す全体断面図である。
【図4】ダイヤフラムの開弁した状態の吐水装置を示す全体断面図である。
【図5】ダイヤフラムの閉弁直前の吐水装置を示す全体断面図である。
【図6】ゴムブッシュにて圧力室内の体積膨張を吸収している状態を示す一部拡大図である。
【図7】ゴムブッシュに加えてスペーサーにて圧力室内の体積膨張を吸収している状態を示す一部拡大図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る吐水装置の一部拡大図である。
【図9】本発明がボールタップに適用された場合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の第一の実施形態について説明する。
図1は本発明を適用した第一実施形態に係る吐水装置の全体断面図であり、図2はその機能部を拡大した一部拡大図である。
【0016】
第一実施形態は、本発明を、吐水装置の一つである、便器等に水を給・止水を行うフラッシュバルブ1に適用したものである。フラッシュバルブ1は、洗浄水を吐水させるために水平方向に可動させ操作する押しボタン2と、その押しボタン操作により上下に弁座3aを開閉するダイヤフラム式弁体3と、ダイヤフラム式弁体3の上流側と下流側とを結ぶ極めて細い小穴4aを備えたダイヤフラム式弁体3の受け板であるダイヤフラム受け4と、ダイヤフラム式弁体3と押しボタン2のシート部21とフラッシュバルブ本体11に囲まれた空間の圧力室5と、一次側から二次側に水を吐水させるノズル7を備え、給水口12からダイヤフラム小穴4aを通じて圧力室5は水で充填され、二次側にあるノズル7との差圧でダイヤフラム式弁体3及びダイヤフラム受け4は弁座3aを閉弁している。
【0017】
ここで、以下、ダイヤフラム式弁体3の開閉動作について説明する。
図3は押しボタンの操作直後の吐水装置を示す全体断面図であり、図4はダイヤフラムの開弁した状態の吐水装置を示す全体断面図、図5はダイヤフラムの閉弁直前の吐水装置を示す全体断面図である。
【0018】
図3に示すように押しボタン2を手動で水平方向に押し込む操作をすることで押しボタンばね22が縮み、押しボタン2のシート部21が開弁して二次側通路6に圧力室5内に充填していた水が解放される。
【0019】
圧力室5内の水が解放されることにより、シート部21より2次側通路6に流出する水と、図2に示したダイヤフラム受け小穴4aから圧力室5に流入する水とを比較してシート部21から流出する洗浄水が多くなる。これにより圧力室5内の圧力が次第に低下していく。
【0020】
さらに、圧力室5内の圧力の低下が続くと、図2に示したダイヤフラム式弁体3及びダイヤフラム受け4の上面と下面の差圧が小さくなり、ついには図4に示すように上面に比べて下面側の圧力が大きくなるのでダイヤフラム式弁体3は上面側に移動することで、図2に示す弁座3aが開弁し給水口12から供給された水がノズル7を通って外部に吐水される。
【0021】
次に押しボタン2を離すことで縮んでいた押しボタンばね22が自然長に戻ろうとするので、シート部21を閉弁する方向に作動し、図5に示すように圧力室5は2次側通路6と隔離される。圧力室5には給水口12から図2のダイヤフラム受け小穴4aを通じて洗浄水が流入する。
【0022】
洗浄水が流入することで圧力室5の圧力が上昇し、ダイヤフラム式弁体3及びダイヤフラム受け4の上面に受圧した圧力とダイヤフラム式弁体3及びダイヤフラム受け4の下面に受圧した圧力とが極めて等しくなった時に、再び図1のようにダイヤフラム式弁体3は下降方向に移動し、図2で示す弁座3aを閉弁して止水する。
【0023】
次に第一実施形態の機能部について、以下に説明する。
上述のフラッシュバルブにおいては、止水状態において圧力室5には水が充填しており、図2に示すように圧力室5の内部に、ダイヤフラム受け4の上方に延性材を材料に用いたスペーサー8(第二部材)が設けられている。スペーサー8はスペーサー縁部8aが上下に作動しないよう金属材料で形成された蓋10を介してフラッシュバルブ本体に固定され、スペーサー8の中央部分に形成されたスペーサー円筒部8bは、上下に撓むことができる薄さの膜厚を有するスペーサー横隔膜部8cで連結され、スペーサー円筒部8bの先端に、ゴムブッシュ9(第一部材)を配置し、スペーサー円筒部8bとゴムブッシュ9で空気を閉じ込めた密閉空間8dが形成されている。
【0024】
スペーサー8は、ゴムブッシュ9とスペーサーが一体となり上方に撓むことができるように、延性素材で形成されることが好ましい。
また、スペーサー8は、熱伝導の低い樹脂素材で形成することが好ましい。それにより、低温の外気にさらされることでスペーサー8自体が凍結することを確実に防ぐことができる、さらに、冷気が伝わりフラッシュバルブ1内部が低温になることも防ぐことができる。
【0025】
また、密閉空間8d内から空気が漏れることがないようにゴムブッシュ9の径はスペーサー円筒部8bの径より若干大きく、ゴムブッシュ9とスペーサー円筒部8bとの隙間がない状態にある。また、ゴムブッシュ9はスペーサー円筒部8bに対して上下に昇降自在に取り付けられている。ここで、ゴムブッシュ9がスペーサー円筒部8bに対してスムーズに昇降移動するように、かつ密閉空間8d内の空気を外部に漏らすことがないように、ゴムブッシュ9の周りにグリースを塗る事が望ましい。
【0026】
さらに、ゴムブッシュ9は、上部に凹部9aが形成されている。この凹部9aにより、密閉空間8dの空間をできるだけ広くしている。
【0027】
従来のものであれば、圧力室5が水で充填されている状態において、冬期などでフラッシュバルブ1の外気温が0℃以下になった場合に、大気中の冷気がフラッシュバルブ本体11の金属部を直接冷却すると、熱伝導により圧力室5内部の水が容易に凍結される。そして、圧力室5内部の洗浄水は凍結膨張により体積が増大することで圧力室5の内部圧力は上昇し、圧力室5に接しているダイヤフラム受け4のダイヤフラム受けコーン部4bの上面に受圧している水圧が上昇し、上昇圧力に耐えられずダイヤフラム式弁体が破損する。一例として、ダイヤフラム受けコーン部4bはノズル7の方向に破断する。
【0028】
しかしながら図2に示すように、ゴムブッシュ9がダイヤフラム受けコーン部4bの上方近辺に配置されているので、圧力室5内部、特にダイヤフラム受け4上部の圧力室空間51の水が凍結膨張しても図6に示すようにゴムブッシュ9に受圧される圧力の上昇に応じてゴムブッシュ9はスペーサー密閉空間8dにある空気を圧縮しながらスペーサー円筒空間8d内部を上昇方向に移動する。ゴムブッシュ9が上昇方向に移動することで圧力室空間51はゴムブッシュ9が初期位置にある時と比較して広くなるので、洗浄水の凍結膨張により発生する圧力を軽減することが出来る。
【0029】
さらに凍結が進むと、圧力室5の凍結膨張が促進されて圧力が上昇し、それと連動して圧力室空間51の内部圧力が上昇する。内部圧力が上昇することで、さらにゴムブッシュ9は密閉空間を上昇するが、密閉空間8d内の空気を最大限圧縮して、これ以上圧縮出来ない状態になる。
【0030】
すると、図7に示すように、ゴムブッシュ9はスペーサー8と一体になり、スペーサーの横隔膜部8cを上方に撓ませながら、さらに上部に上昇移動するので、圧力室5内の洗浄水が完全に凍結しても、その膨張した分の体積をゴムブッシュ9とスペーサー8が上昇移動して圧力室5内の体積を確保することで、ダイヤフラム弁体の破損を防止する。一例としてダイヤフラム受け4のコーン部4bの発生応力を軽減し破断を防止する。
【0031】
スペーサー横隔膜部8cを上方に撓せる場合に、スペーサー横隔膜部8cと蓋10の空間が密閉になっているとその空間にある空気がスペーサー横隔膜部8cの上方にしならせる動作を阻害するため、蓋10にエアー抜き小穴10aが配置されている。スペーサー横隔膜部8cが上方に撓む場合に空間に存在する空気はエアー抜き小穴10aから排出され、スペーサー横隔膜部8cが上方に動作しやすくしている。
【0032】
また、外気温が常温に近づくと圧力室5内の凍結膨張した水が解凍され、常温時の体積に収縮しようとする。圧力室5内にある水が収縮すると同時に、凍結膨張のために上方に撓らせられたスペーサー横隔膜部8cは、その剛性により圧力室5内が凍結膨張する前の状態に戻る。さらに、圧力室5内の解凍が進むと圧力室空間51内の水も解凍収縮され、ゴムブッシュ9が密閉空間8d内の空気に押し戻されて標準位置に戻る。
【0033】
上述した本発明の第一実施形態のフラッシュバルブ8によれば、圧力室内の水が凍結すると、ゴムブッシュ9が密閉空間8d内に移動し体積膨張を吸収することに加えて、スペーサー8自体も形状変形し体積膨張を吸収するため、圧力室内の体積膨張分をより吸収することができるようになり、バルブ装置が凍結により破損することを確実に防ぐことができる。また、ゴムブッシュ9の外側には、密閉空間8dとスペーサー8とが配設されているので、ゴムブッシュ9が外気に直接さらされることがなく、ゴムブッシュ9周辺の水から凍り、ゴムブッシュ9が動かないといった不具合も発生することがない。さらに、ゴムブッシュ9とスペーサー8との間の密閉空間8dをゴムブッシュ9が移動するため、例えば、その空間にスポンジ等を介在させる場合と比べ移動距離が大きくなり、バルブ装置全体としてコンパクトにすることができる。
【0034】
また、本実施形態のフラッシュバルブ8によれば、ゴムブッシュ9は、圧力室において、ダイヤフラム式弁体の中央軸と同軸上で、ダイヤフラム式弁体の可動範囲に隣接した位置、すなわちダイヤフラム式弁体の近辺に設けられているため、万が一、ダイヤフラム式弁体周辺の水から凍結し、ダイヤフラム式弁体が破損するといったことを確実に防ぐことができる。
【0035】
さらに、本実施形態のフラッシュバルブ8によれば、密閉空間8dが密閉空間8dの方向に凹形状で形成されているため、密閉空間8dが大きくなり、体積膨張をより吸収でき、バルブ装置が破損することをより確実に防ぐことができる。
【0036】
また、本実施形態のフラッシュバルブ8によれば、ゴムブッシュ9は、ダイヤフラム式弁体より延性のある延性素材で形成されているため、圧力室内が凍結した場合、ダイヤフラム弁体より先にゴムブッシュ9が体積膨張を吸収し、ダイヤフラム式弁体が破損することを防ぐことができる。
【0037】
さらに、本実施形態のフラッシュバルブ8によれば、ゴムブッシュ9はゴム素材で形成されているため、より安価に製造することができ、凍結膨張を吸収し、バルブ装置が破損することを確実に防ぐことができる。
【0038】
また、本実施形態のフラッシュバルブ8によれば、スペーサー8は樹脂素材で形成されているため、低温の外気にさらされることによりスペーサー8自体が凍結することを確実に防ぐことができ、凍結膨張を吸収し、バルブ装置が破損することを確実に防ぐことができる。
【0039】
上述した実施形態では、スペーサー8は蓋10を介してフラッシュバルブ本体に固定されているが、スペーサー8をフラッシュバルブ本体に直接固定しても良く、様々に変形させて実施形態を取ることも可能である。
【0040】
また、スペーサー8、蓋10の材質及び形状は上述の実施形態に限定されるものではなく、適時選択・設計することが可能である。
さらに、また、ゴムブッシュ9の材質、形状は上述の実施例に限定されるものではなく、適時選択・設計することが可能である。
【0041】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第二の実施形態について説明する。尚、第一の実施形態と同一の要素については符号も同一のものを付し、説明も適宜省略する。
図8は、第二の実施形態に係る吐水装置の機能部を拡大した一部拡大図である。
【0042】
第一の実施の形態では、凍結膨張時に密閉空間8dに存在している空気のゴムブッシュ9による圧縮を利用して圧力室空間51を増加させたが、図8に示すように、スペーサー円筒空間8d内をゴムブッシュ9が上方に移動する場合にゴムブッシュ9に下方にバネ力が付勢するようなばね81を配置してもよい。そうすることにより、圧力室空間51の凍結膨張がなくなった場合に、上昇したゴムブッシュ9を上昇前の初期位置に確実に戻すことが出来る。
【0043】
上述した本発明の第1実施形態及び第2実施形態による吐水装置においては、本件発明が便器等に給・止水するフラッシュバルブに適用された形態を一例として説明したが、このような形態に限定されず、他の形態についても適用可能である。
【0044】
例えば、他の形態として、フラッシュバルブに適用する代わりとして、便器洗浄水貯留タンク内に設置された図9に示すよう給水口12と吐水口13を備え、浮球14がタンク内の水によって上下に動くことでシート面21を開閉することで洗浄水を給・止水するボールタップに適用しても良く、本発明と同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0045】
1…フラッシュバルブ
2…押しボタン
3…ダイヤフラム
3a…ダイヤフラムシート面
4…ダイヤフラム受け
4a…ダイヤフラム受け小穴
4b…ダイヤフラムシート面
4c…ダイヤフラムコーン部
5…圧力室
6…2次側通路
7…ノズル
8…スペーサー
8a…スペーサー縁部
8b…スペーサー円筒部
8c…スペーサー横隔膜部
8d…密閉空間
9…ゴムブッシュ
9a…ブッシュ凹部
10…蓋
10a…エアー抜き小穴
11…フラッシュバルブ本体
12…給水口
13…吐水口
14…浮玉
21…シート面
22…押しボタンばね
51…圧力室空間
81…ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
止水状態と吐水状態を切り替えることができるバルブ装置であって、
弁座を備えたバルブ装置本体と、
弁座に着座し又はこの弁座から離れることによって止水状態と吐水状態を切り替えるダイヤフラム式弁体と、
内部の圧力が変化して、上記ダイヤフラム式弁体を上記弁座に近づけ又は離れるように移動させる圧力室と、を有するバルブ装置において、
前記圧力室に直面して配設され、前記圧力室に対して後退する方向に移動することにより前記圧力室内の体積を増加させる第一部材と、
前記第一部材より外側で前記バルブ装置本体に固定され、それ自体が撓むことにより前記圧力室内の体積を増加させる第二部材と、を有し、
前記第一部材と前記第二部材との間には密閉空間が形成されていることを特徴とするバルブ装置
【請求項2】
前記第一部材は、前記圧力室において、前記ダイヤフラム式弁体の中央軸と同軸上で、前記ダイヤフラム式弁体の可動範囲に隣接した位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記第一部材は、前記密閉空間の方向に凹形状で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記第一部材は、前記ダイヤフラム式弁体より延性のある延性素材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記第一部材はゴム素材で形成されていることを特徴とする請求項4記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記第二部材は樹脂素材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のバルブ装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−223414(P2010−223414A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74625(P2009−74625)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】