説明

バンドパスフィルタ

【課題】減衰量を可変としたバンドパスフィルタを提供する。
【解決手段】低誘電率誘電体層であるエポキシ樹脂層と高誘電率誘電体層であるアルミナ層とを交互に積層して2つの反射器を構成し、その2つの反射器の間にフェライト層23による共振層を備えてファブリ・ペロー型共振器20を構成し、これを方形導波管50の内部に挿入する。そして、方形導波管50の外部からフェライト層23に対して、電磁石60によって電磁波の伝搬方向の直流磁界を印加するとともに、その磁界の強度を制御することによって通過帯域の減衰量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファブリ・ペロー型共振器を用いたバンドパスフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気光学体である1次元磁性フォトニック結晶を用いたバンドパスフィルタが考案されている。1次元磁性フォトニック結晶は、数種の誘電体がその厚さに規則性を持って交互に積層された誘電体多層膜と、磁性体からなる不規則層(欠陥層)とを備えたものである(特許文献1参照)。
【0003】
図1は、従来の1次元磁性フォトニック結晶の構成を説明する図である。
磁気光学体10は、2種類の誘電体(誘電体薄膜)11,12がその厚さに規則性をもって交互に積層された2つの多層膜13,14と、該2つの多層膜13,14の間に設けた磁性体15(磁気光学薄膜)とからなっている。
【0004】
多層膜13,14は、ファブリ・ペロー共振器の反射鏡の役割を果たすものであり、各誘電体11,12の膜厚は、光学長(実膜厚×屈折率)がλ/4(λは光の波長)となるように設計されている。また、光の局在が生じる磁性体15からなる不規則層(欠陥層)の光学長は、mλ/2(mは正の整数)となっている。
【0005】
この磁気光学体10は、偏光子と検光子との間に配置されて光アイソレータを構成する
【特許文献1】特開2002−90525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁気光学体10を光アイソレータとして構成した場合、通過帯域の減衰量は偏光子と検光子との位置関係などによって定まる。偏光子と検光子との位置関係は通常は固定されており、そのため、従来は通過帯域の減衰量が固定で、減衰量を調整する機能が要求される用途には用いることができなかった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、通過帯域の減衰量を調整可能にしたバンドパスフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のバンドパスフィルタは、ファブリ・ペロー型共振器と導波管と磁界印加手段と磁界強度変更手段とを備える。ファブリ・ペロー型共振器は、2つの反射器と共振層とを備える。反射器は、低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層とが交互に積層配置されたものである。共振層は、2つの反射器の間に設けた磁性体からなり2つの反射器による阻止帯域内に通過帯域を生じさせる。導波管は、ファブリ・ペロー型共振器を収容し、伝搬する電磁波を電界の振幅方向が特定の方向であるTEモードに制限する。磁界印加手段は、電磁波の伝搬方向に平行な直流磁界を、導波管の外部から共振層に印加する。磁界強度変更手段は、直流磁界の強度を変化させる。
【0009】
この構成では、低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層とがファブリ・ペロー干渉を起こし、フォトニック結晶におけるバンドギャップが生じる。これにより反射器が、電磁気的に帯域阻止フィルタとして作用する。共振層がフォトニック結晶における欠陥層として作用し、局在モードの共振を生じさせる。これにより、阻止帯域内に通過帯域が生じる。磁界印加手段が、共振層に電磁波の伝搬方向に平行な直流磁界を印加し、共振層を伝搬する電磁波の偏波面をファラデー効果により旋回させる。磁界強度変更手段が、直流磁界の強度を変化させ、導波管を伝搬する電磁波の偏波面の旋回角を変化させる。導波管が、ファブリ・ペロー型共振器を伝搬する電磁波のモードを、電界の振幅方向が特定方向であるTEモードに制限する。したがって、電磁波の偏波面の旋回角に応じてTEモードの電磁波の減衰量が変化し、通過帯域の電磁波の減衰量が、磁界強度変更手段の設定に応じて任意に可変制御される。
【0010】
共振層は、その光路長が通過帯域のほぼ中心周波数で1/2波長であると好適である。共振層がファブリ・ペロー型共振器の共振層として作用するのは、その共振層の光路長が1/2波長の整数倍であるときであり、通過帯域の波長をλ、整数をnとすると、共振層の光路長はn・λ/2で表され、nは2,3またはそれ以上であっても共振層として作用する。しかしながら、n=1、すなわち共振層の光路長を1/2波長とすることによって共振層が最も薄くなって、共振層における透過率が最も大きく、すなわち減衰量が最も小さくなるため、磁界強度変更手段の設定による減衰量の制御範囲を大きく確保できる。
【0011】
低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層の光路長は前記阻止帯域の波長でそれぞれほぼ1/4波長であると好適である。この場合、低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層とでファブリ・ペロー干渉を起こしながら、各層の厚みを必要最低限に薄くできるので、磁界強度変更手段の設定による減衰量の制御範囲を大きく確保できる。
【0012】
低誘電率誘電体層は樹脂であり、ファブリ・ペロー型共振器最外層が樹脂層であると好適である。この場合、ファブリ・ペロー型共振器の成形が光造形法によって容易となるためである。
【0013】
共振層はフェライトからなると好適である。この場合、外部から与える直流磁界の変化に対するファラデー効果による偏波面の旋回角が大きく変化して、通過帯の電磁波の減衰量変化を大きくすることができるためである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、電磁波の伝搬方向に平行な直流磁界を変化させることによって、共振層を伝搬する電磁波の偏波面の、TEモードからの旋回角を変化させ、電磁波の減衰量を任意に可変制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず、第1の実施形態に係るバンドパスフィルタについて説明する。
図2は第1の実施形態に係るバンドパスフィルタに用いるファブリ・ペロー型共振器の断面図である。
本実施形態に係るファブリ・ペロー型共振器20は、高誘電率誘電体層をなすアルミナ層21と、低誘電率誘電体層をなすエポキシ樹脂層22と、最外層をなすエポキシ樹脂層24と、共振層をなすフェライト層23とを備える。各層は、一定方向に積層されている。ファブリ・ペロー型共振器20の積層方向両端にはエポキシ樹脂層24がそれぞれ設けられている。それらの内側には、多層膜25がそれぞれ設けられている。多層膜25は、3層のアルミナ層21と3層のエポキシ樹脂層22とを交互に配列したものである。ファブリ・ペロー型共振器20の中央の、多層膜25に挟まれた位置には、フェライト層23が設けられている。
【0016】
ファブリ・ペロー型共振器20は1次元フォトニック結晶であり、アルミナ層21とエポキシ樹脂層22とがファブリ・ペロー干渉を起こし、バンドギャップが生じる。また、フェライト層23はフォトニック結晶における欠陥層として作用し、局在モードの共振を生じさせる。これによりファブリ・ペロー型共振器20は、電磁気的にはバンドギャップの阻止帯域内に欠陥層による通過帯域が存在する。
【0017】
アルミナ層21およびエポキシ樹脂層22の厚み寸法は、ファブリ・ペロー型共振器20のバンドギャップの中心周波数においてほぼ1/4波長となる寸法に定める。またフェライト層23の厚み寸法は、通過帯域の中心周波数でほぼ1/2波長となる寸法に定める。なお、バンドギャップの中心周波数と通過帯域の中心周波数とを一致させてもよい。
【0018】
また、基本的にエポキシ樹脂層はアルミナ層よりも屈折率が空気に近いため、反射による損失を抑制するために、ファブリ・ペロー型共振器20の両端にアルミナ層21ではなくエポキシ樹脂層24を設けている。また、後述する光造形法で作製することを考慮すると最外層をアルミナ層21ではなくエポキシ樹脂層24にした方が作りやすいので、本構成はコスト的に有利でもある。
【0019】
また、低誘電率誘電体層であるエポキシ樹脂層22や高誘電率誘電体層であるアルミナ層21は、光路長が1/4波長となる厚みにすることが原則である。そのため、エポキシ樹脂層24もそのような厚みにしてもよい。しかし、空気との境界での反射などの影響によっては、エポキシ樹脂層24の厚みが薄いほうがよい場合があり、そのため、本実施形態では、エポキシ樹脂層24の厚み寸法をエポキシ樹脂層22より薄く形成している。
【0020】
ここで、各部寸法の設計法の一例を説明する。
【0021】
ファブリ・ペロー型共振器によるバンドギャップの設計中心周波数を13GHzとする場合、13GHzの真空中の光路長(1波長)は約23.06mmであり、その1/4波長は約5.77mmである。そこで、光路長(1/4波長)が約5.77mmとなるエポキシ樹脂層22の厚みと、アルミナ層21の厚みとを求める必要がある。求める厚み寸法は、必要とする光路長を、比誘電率の平方根で割った値となる。そのため、エポキシ樹脂層22の比誘電率が約2.8の場合、エポキシ樹脂層22の厚み寸法は約3.5mmとなる。また、アルミナ層21の比誘電率が約8.4の場合、アルミナ層21の厚み寸法は約2.0mmとなる。また、エポキシ樹脂層24の厚み寸法は、エポキシ樹脂層22よりも薄い方がよく、例えば約1.0mmとすることができる。
【0022】
また、ファブリ・ペロー型共振器による通過帯域の設計中心周波数を13GHzとする場合、13GHzの真空中の光路長の1/2波長は約11.53mmである。そこで、光路長(1/2波長)が約11.53mmとなるフェライト層の厚みを求める必要がある。フェライト層の比誘電率が約11.8の場合、フェライト層の厚み寸法は約3.2mmとなる。
【0023】
なお、上記したエポキシ樹脂、アルミナ層、フェライト層の比誘電率はSパラ法(Nicorson−Ross法)で測定したものを用いることができる。
【0024】
図3はファブリ・ペロー型共振器20の製造工程を説明する図である。
ファブリ・ペロー型共振器20の実際の製造工程では、光造形装置(例えば、株式会社ディーメック製SCS−300P)を用い、紫外線硬化エポキシ樹脂(SCR−730)を材料として、図3(A)に示すような複数のスリット(窪み)41,42を有する直方体形状のエポキシ樹脂構造体40を作成する。
【0025】
続いて図3(B)のように、スリット41に3枚のアルミナ板を挿入しアルミナ層21を構成する。スリット42には2枚のフェライト板を挿入しフェライト層23を構成する。スリット41,42の厚み寸法はアルミナ層21およびフェライト層23の厚み寸法に合わせ、スリット41,42の間隔は、エポキシ樹脂層の厚み寸法に合わせておく。なお、アルミナ板やフェライト板は、複数枚により各層を構成しなくても単板で各層を構成してもよい。
【0026】
次に、図3(C)に示すように図における上部にエポキシ樹脂を続けて造形してスリット41,42の隙間およびアルミナ層21およびフェライト層23の上部を樹脂封止する。
【0027】
その後、図3(D)に示すように、アルミナ層21およびフェライト層23の端縁周囲の不要な樹脂をそれぞれ切断除去する。これによって四側面にアルミナ層21およびフェライト層23が露出した、アルミナ層21、フェライト層23およびエポキシ樹脂層22,24からなるファブリ・ペロー型共振器20が構成されことになる。
【0028】
なお、使用した部材の寸法・組成・特性の一例は次のとおりである。
アルミナ板
組成:純度96%のアルミナ
寸法:18.8×9.3×0.635mm
比誘電率:8.4
フェライト板
組成:YIG (Y Ca)(Fe V Al In)O12系のフェライト
寸法:18.95×9.45×1.962mm
比誘電率:11.8
エポキシ樹脂
比誘電率:2.8
なお、フェライト板としては、スピネル系フェライト(Mg−Mnフェライト、Mg−Mn−Alフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−Alフェライト、Li−Feフェライト)や、ガーネット系フェライト(Y−Feフェライト、Gd−Feフェライト)なども使用可能である。
【0029】
図4はファブリ・ペロー型共振器20を備えたバンドパスフィルタ全体の構成を示す断面図である。
【0030】
バンドパスフィルタ100は方形導波管50とファブリ・ペロー型共振器20と電磁石60と磁界制御部70とを備えている。
【0031】
方形導波管50は、伝搬する電磁波の電界振幅方向が上下方向であるTEモードのみを伝搬する。すなわち、電界の方向は同図中の上下方向であり、磁界ループの面は紙面に垂直な方向である。また、この方形導波管50はAl、Cu、または樹脂にCuやAgをメッキしたものを用いる。
【0032】
ファブリ・ペロー型共振器20は、方形導波管50の内部に挿入(充填)されている。また、方形導波管50の両端には信号入出力のためのプローブ51をそれぞれ配置していて、同軸コネクタで信号の入出力を行うように構成している。
【0033】
磁界制御部70は、電磁石60への入力電力を制御する。電磁石60は、方形導波管50の外部からファブリ・ペロー型共振器20のフェライト層23に対して直流磁界Hを印加する。直流磁界Hの方向は、方形導波管50内部を伝搬する電磁波の伝搬方向である。このように方形導波管50の外部から直流磁界Hを印加する都合上、方形導波管50の少なくとも両端部は、例えばFe等の磁気シールド性のある材質は基本的に使用できない。
【0034】
プローブ51から方形導波管を伝搬する電磁波のモードは、電界の振幅方向が特定方向であるTEモードに制限される。一方、フェライト層23に直流磁界Hが印加されることで、ファラデー効果により共振層で電磁波の偏波面が旋回し、前記モードの減衰量が変化する。直流磁界Hの大きさを磁界制御部70にて制御することにより、ファラデー効果による電磁波の偏波面の旋回角が変化し、前記モードの減衰量が調整できる。
【0035】
次に、本実施形態のファブリ・ペロー型共振器20の性能を確認するために行った、性能シミュレーションと実性能測定の結果を説明する。
【0036】
図5は比較例として示すファブリ・ペロー型共振器30の断面図である。
ファブリ・ペロー型共振器30は、上述のフェライト層に代えてアルミナ層を備えた構成である。ファブリ・ペロー型共振器30の両端にはエポキシ樹脂層34が設けられる。それらの内側にはアルミナ層31とエポキシ樹脂層32とを交互に13層配置した周期構造体である。換言すると比較例のファブリ・ペロー型共振器30は、上述のファブリ・ペロー型共振器20において中央のフェライト層23を、高誘電率誘電体層であるアルミナ層31に置換したものに等しい。比較例のファブリ・ペロー型共振器30のアルミナ層31およびエポキシ樹脂層32,34の厚み寸法は、ファブリ・ペロー型共振器20と同様である。このファブリ・ペロー型共振器30は、ファブリ・ペロー型共振器20と同様に光造形法によりエポキシ樹脂製の構造体を作成し、中央のスリットにフェライト層ではなくアルミナ層31を挿入することで構成する。
【0037】
次に、バンドパスフィルタの特性について説明する。
図6(A)はバンドパスフィルタ100の伝送線路理論に基づくシミュレーションによる透過特性S21を示す図である。同図(B)は、比較例のファブリ・ペロー型共振器30を用いたバンドパスフィルタのシミュレーションによる透過特性S21を示す図である。
【0038】
同図(B)のように、フェライト層23による欠陥層が存在しない場合には、約11.0〜16.0GHzの帯域で、フォトニック結晶におけるバンドギャップが観測された。また、ギャップ中心周波数は約13.5GHzで約−35dBであった。これに対しフェライト層23を備えたファブリ・ペロー型共振器20を挿入した場合には、同図(A)に示すように、約10.0〜16.5GHzの帯域で、フォトニック結晶におけるバンドギャップが観測された。また、欠陥層により生じる通過帯域の中心周波数、即ち欠陥周波数は約13.1GHzで約−12dBであった。
【0039】
図7(A)は、バンドパスフィルタ100の透過特性S21を示す実測結果である。同図(B)は、比較例のファブリ・ペロー型共振器30を用いたバンドパスフィルタの透過特性S21を示す実測結果である。図6に示したシミュレーションの場合とほぼ同様の特性が観測された。なお、実測結果では、約16GHz付近に急峻な不透過スペクトルが生じているが、これは導波管の特性によるものである。
【0040】
次に、電磁石60によって、ファブリ・ペロー型共振器20に直流磁界Hを印加した場合について説明する。
【0041】
図8は、直流磁界Hとして、磁束密度を0.38Tとした例でのバンドパスフィルタ100の透過特性S21を示す実測結果である。図9は、磁束密度を0.40Tとした例でのバンドパスフィルタ100の透過特性S21を示す実測結果である。図10は、磁束密度を0.42Tとした例でのバンドパスフィルタ100の透過特性S21を示す実測結果である。図11は、磁束密度を0.00T、0.38T、0.40T、および0.42Tとした各例を比較する図である。
【0042】
磁束密度を0.00Tとした例では、欠陥周波数は約13.1GHzで約−12dBであった。磁束密度を0.38Tとした例では、欠陥周波数は約13.2GHzで約−12dBであり、周波数13.1GHzでの減衰量は約−15dBであった。磁束密度を0.40Tとした例では、欠陥周波数は約13.3GHzで約−16dBであり、周波数13.1GHzでの減衰量は約−26dBであった。磁束密度を0.38Tとした例では、通過帯域がほとんど無くなり、周波数13.1GHzでの減衰量は約−28dBであった。
【0043】
このように、直流磁界Hを印加していない状態での欠陥周波数約13.1GHzでは、直流磁界Hにより印加される磁束密度が大きくなるに従い減衰量が増加していき、例えば、磁束密度0.38Tから磁束密度0.40Tに変化させた場合に減衰量が−15dBから−26dBへと変化したように、ある磁束密度で急峻な変化をすることが観測された。また、同様の結果はシミュレーションにても確認できた。このことは、誘電体の周期構造によって多重反射が生じて、主にフェライト層でファラデー効果によって大きな偏波面の旋回が得られ、導波管内の電磁波の伝搬が阻止されることによると考えられる。
【0044】
なお、実施形態では13.0GHz帯で利用する例を挙げたが、この発明は1GHz〜100GHz程度の周波数帯に適用できる。この周波数帯の主な用途は通信であり、周波数可変バンドバスフィルタはマルチバンド送信機のフィルタに利用できる。
【0045】
また、実施形態では方形導波管を利用する例を挙げたが、本発明は、それ以外にも、特定の方向に電界の振幅方向が向くTEモードが立ち、偏波面の旋回角に応じて減衰量を変化させられる導波管であれば、円形状等の導波管であってもよく、多様な形状の導波管に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】特許文献1に示されている光アイソレータの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るバンドパスフィルタに用いるファブリ・ペロー型共振器の断面図である。
【図3】同ファブリ・ペロー型共振器の製造方法を示す図である。
【図4】同バンドパスフィルタの構成を示す断面図である。
【図5】比較例のファブリ・ペロー型共振器の断面図である。
【図6】バンドパスフィルタの透過特性のシミュレーション結果を示す図である。
【図7】バンドパスフィルタの透過特性の実測結果を示す図である。
【図8】外部から直流磁界を印加する場合のバンドパスフィルタの透過特性の実測結果を示す図である。
【図9】外部から直流磁界を印加する場合のバンドパスフィルタの透過特性の実測結果を示す図である。
【図10】外部から直流磁界を印加する場合のバンドパスフィルタの透過特性の実測結果を示す図である。
【図11】外部から印加する直流磁界を変化させた場合のバンドパスフィルタの透過特性の実測結果を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
21…アルミナ層
22…エポキシ樹脂層
22,24…エポキシ樹脂層
23…フェライト層
24…エポキシ樹脂層
25…多層膜
40…エポキシ樹脂構造体
41,42…スリット
50…方形導波管
51…プローブ
60…電磁石
70…磁界制御部
100…バンドパスフィルタ
H…直流磁界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層とを交互に積層配置した2つの反射器と、この2つの反射器の間に設けた磁性体からなり前記2つの反射器による阻止帯域内に通過帯域を生じさせる共振層と、を備えるファブリ・ペロー型共振器と、
前記ファブリ・ペロー型共振器を収容し、伝搬する電磁波を電界の振幅方向が特定の方向であるTEモードに制限する導波管と、
前記電磁波の伝搬方向に平行な直流磁界を、前記導波管の外部から前記共振層に印加する磁界印加手段と、
前記直流磁界の強度を変化させる磁界強度変更手段と、を備えるバンドパスフィルタ。
【請求項2】
前記共振層は、その光路長が前記通過帯域のほぼ中心周波数で1/2波長である請求項1に記載のバンドパスフィルタ。
【請求項3】
前記低誘電率誘電体層と前記高誘電率誘電体層の光路長は前記阻止帯域のほぼ中心周波数でそれぞれ1/4波長である請求項1または2に記載のバンドパスフィルタ。
【請求項4】
前記低誘電率誘電体層は樹脂であり、前記ファブリ・ペロー型共振器の最外層が樹脂層である請求項1〜3のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
【請求項5】
前記共振層はフェライトからなる請求項1〜4のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−147490(P2009−147490A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320456(P2007−320456)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】