説明

バンド巻付け装置

【課題】バンドを引き伸ばすスペースを可及的に小さくし、しかも乱積み等の荷姿に関わらずバンドの張力を維持しながら巻付け作業を可能とするバンド巻付け装置を提供する。
【解決手段】バンド1を荷物の前方部分から側方にかけて展開し、テンションロール140をバンド1の外側から荷物の後面側に引き伸ばしてバンドの巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開とし、さらに、押圧手段によりバンドの他方の端部を荷物後面に押圧固定してバックテンションを解除し、バンドの締め付けを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばパレット上に段積みされた定形,不定形の段ボール箱,麻袋等の荷物の荷崩れを防止するために荷物外周にバンドを巻付けるバンド巻付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、既に、繰り返し使用できるバンドを用いて省資源化に資するバンド巻付け装置を提案している(特許文献1参照)。
この装置は、搬送路を横切るようにバンドを配置し、バンドにテンションをかけて全展開してから巻付けるものであった。
しかし、巻付け初期にバンドを大きく引き伸ばすスペースが必要で、作業場所によってはスペース的に設置できない場合がある。
また、従来は前面から左右側面に巻付けた後、緩まないように左右側面を押さえ、その後締付け固定するようになっていたが、乱積みのような場合には、左右側面を押さえることができず、バンドが緩む場合もある。
【特許文献1】特開2006−76628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した要請に応えるべくなされたもので、その目的とするところは、バンドを引き伸ばすスペースを可及的に小さくし、しかも乱積み等の荷姿に関わらずバンドの張力を維持しながら巻付け作業を可能とするバンド巻付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、繰り返し使用可能な可撓性のバンドであって、一方の端部を巻き芯にして巻いた形態を初期形態とするバンドと、バンドの巻き芯となる端部を回転自在に保持する第1のチャックと、バンドの他方の端部を保持する第2チャックと、第1のチャックに対して巻き戻し方向のバックテンションを作用させるトルク発生手段と、バンドの中間部分に引っ掛けてバンドを引き伸ばす方向に移動させるテンション部材と、を備え、初期展開時には、前記第1のチャックと第2のチャックを搬送路を隔てて反対側に位置するように移動させ、トルク発生手段によるバックテンションをかけながら第1のチャックを回転させてバンドを所定量巻き出し、巻き出したバンド部分が荷物の搬送路を横切るように展開し、荷物進入時には、搬送路上を搬送されてくる荷物が待機中のバンド部分に進入し、前記バックテンションを受けながらバンド部分が押されることによって第1のチャックが回転してバンドがさらに巻き出され、巻き出されたバンドが荷物の前方部分から側方にかけて展開し、
全開時には、テンション部材をバンドの中途部に引っ掛け、テンション部材をバンドの外側から荷物の後面に沿って搬送方向と直交する方向に搬送路側に移動させてバンドを荷物後面の一方の角部に引っ掛けて引き伸ばし、この引き伸ばし動作によって第1のチャックをさらに回転させてバンドの巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開とし、
巻き芯側の第1のチャックを荷物後面側に移動させてバンドの巻き芯側の部分を荷物後面の一方の角部に引っ掛けると共に、該角部に引っ掛かった部分と第1のチャックとの間のバンド部分の中途部を荷物後面に押圧固定させる構成となっていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、引き伸ばした状態でテンション部材を荷物の後面に押圧して固定する構成となっていることを特徴とする。
【0005】
請求項3に係る発明は、バンドの一方の端部には枠を構成するアウター部材が設けられ、バンドの他方の端部には枠に挿通可能なインナー部材が設けられ、インナー部材をアウター部材の枠にくぐらせて折り返して締付け固定する構成となっていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、インナー部材を引っ張る力の方向は、水平方向成分と垂直下向き成分の合力の方向であり、インナー部材を斜め下向きに引っ張る構成となっていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、バンドのインナー部材をアウター部材の枠を通して折り返した折り返し部を巻き付けたバンド部分に重ね、重なった部分に設けられた面状ファスナを固定する押圧手段を備えていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、繰り返し使用可能な可撓性のバンドであって、一方の端部を巻き芯にして巻いた形態を初期形態とするバンドと、
前記バンドの巻き芯となる端部を回転自在に保持する第1のチャックと、
前記バンドの他方の端部を保持する第2チャックと、
第1のチャックに対して巻き戻し方向のバックテンションを作用させるトルク発生手段と、
バンドの中間部分に引っ掛けてバンドを引き伸ばすテンション部材と、
バンドを荷物に対して押圧してバンドを固定する押圧部材と、
前記第1のチャック、第2のチャック、トルク発生手段、テンション部材及び押圧部材を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
初期展開時には、前記第1のチャックと第2のチャックを搬送路を隔てて反対側に位置するように移動させ、前記トルク発生手段によるバックテンションをかけながら第1のチャックを回転させてバンドを所定量巻き出し、巻き出したバンド部分が荷物の搬送路を横切るように展開させ、
荷物進入時には、搬送路上を搬送されてくる荷物が待機中のバンド部分に進入し、前記バックテンションを受けながらバンド部分が押されることによって第1のチャックが回転してバンドがさらに巻き出され、巻き出されたバンドが荷物の前方部分から側方にかけて展開させ、
全開時には、前記テンション部材を荷物の一方の側面側に延びる第2のチャック側のバンド部分の外面に当接させて荷物の後面側に移動させ、バンドを荷物の一方の側面から後面側に引き伸ばすことによって第1のチャックをさらに回転させてバンドの巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開し、
さらに、荷物の他方の側面側に延びる第1のチャック側のバンド部分について、第1のチャックを荷物の後面側に移動させて第1のチャック側のバンド部分を荷物の他方の側面と荷物後面の角部に引っ掛けると共に、該角部に引っ掛かった部分と第1のチャックとの間のバンド部分の中途部を荷物後面に押圧固定させる手順を実行する構成となっていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、制御手段は、バンドを全開まで引き伸ばしたテンション部材を荷物後面に押し付けてバンドを固定する手順を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、初期展開時から荷物進入段階まではトルク発生手段によるバックテンションを付与しているので、引き出されるバンドの長さは必要最小限でよく、設置スペースが小さくてすむ。
また、常時バンドにテンションを作用させているので、荷物の形が悪い場合でも対応可能である。
さらに、全開時には、テンション部材によって後面側に引き伸ばし、第1のチャック側のバンド部分については押圧部材によって押圧固定させるようになっているので、テンションが無い状態で締め付け作業を行うことができ、締め付け作業が容易となる。
バンドの一端に設けた枠を構成するアウター部材に、バンドの他端に設けたインナー部材をくぐらせる構成を採用することにより、バンドの固定を自動化することができる。
また、インナー部材をアウター部材の枠に通して折り返した後、インナー部材を斜め下向きに引っ張る構成とすれば、乱積みで上部が一部欠落しているような荷物にも対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態に係るバンド巻付け装置を示すもので、パレットに段積みされた段ボールの箱体を搬送する搬送ライン上に配置されるもので、搬送路Fに沿って搬送される段積みされた箱体群Bに、バンドを巻付けるようになっている。
【0008】
まず、本実施例で使用されるバンドについて、図5,図6を参照して簡単に説明する。
このバンドは、図5に示すように、繰り返し使用可能な可撓性の長尺帯であって、バンドの一方の端部には枠を構成するアウター部材としてのアウタープレート30が設けられ、バンドの他方の端部には枠に挿通可能なインナー部材としてのインナープレート50が設けられ、インナープレート50をアウタープレート30の枠にくぐらせて折り返し締付け固定する構成となっている。
アウタープレート30は、バンド本体10の一端に一対のつなぎ部材としてのつなぎバンド20を介して連結され、このアウタープレート30を介して折り返された折り返し部が重ね合わされる領域には、バンド本体10の剛性を部分的に高めた高剛性部Hがバンド本体10の幅方向に複数設けられ、バンド本体10に作用する張力を各高剛性部Hを起点にして作用させるようになっている。
【0009】
バンド本体10の折り返し部が重ね合わされる領域には、固定手段としての面状ファスナ40が設けられている。面状ファスナ40は互いに着脱自在に接着される接着側テープ41と被接着側テープ42によって構成される。この実施例の説明では、折り返される側に設けられるテープを接着側テープ41とし、折り返し部が重ねられる部分に設けられるテープを被接着側テープ42というものとする。
これら接着側テープ41及び被接着側テープ42はバンド本体10に縫いつけ等によって固定される。このテープ貼り付け部は部分的に高剛性となるので、この実施例では、面状ファスナを構成する被接着テープ42をバンド本体10の幅方向に配列して高剛性部Hを構成している。巻付け時にバンド本体10に作用する張力は、面状ファスナ40の被接着側テープを起点にして作用することになる。
【0010】
バンド本体10は、ナイロン,ポリエステル等の高強度繊維の織布で構成される長尺の平バンドで、全長に亘って一定の幅に成形されている。バンド本体10は、長手方向に若干の伸縮はするものの、基本的には伸縮性は無い。しかし、曲げ方向に対しては自由に変形し、荷物の形状に倣って巻付け可能である。
つなぎバンド20も、バンド本体10と同様、ナイロン,ポリエステルなどの高強度繊維の織布によって構成される。このつなぎバンド20も若干の伸縮はするものの基本的には伸縮性は無い。このつなぎバンド20の幅は狭小で、バンド本体10のアウター側端部を部分的に2点で支持することになる。
【0011】
アウタープレート30は、ポリアセタール等の硬質の樹脂材、あるいはアルミ材等の高剛性の部材によって構成される。アウタープレート30は棒状部材でもよいが、この実施例では、バンド本体10より若干厚肉の平板構成で、バンド本体10の一端の端辺に対して所定間隔を隔てて平行に配置され、両端につなぎバンド20が取り付けられる。アウタープレート30のバンド本体10が引っ掛けられる側の側辺には、図5(C),に示すように、高剛性部Hを構成する面状ファスナ40の被接着側テープ42が係合して幅方向の移動を規制する凹凸形状のウェイブ部70が設けられている。
また、このバンド本体10のアウター端部には、幅方向に芯材としての芯金60が挿入され、半固定されている。
【0012】
芯金60も、ポリアセタール等の硬質の樹脂材、あるいはアルミ材等の高剛性の部材によって構成され、アウター側端部に袋状に縫いつけられている。芯金60の長さは、バンド本体10の全幅よりぬい代分だけ少し短くなっている。
芯金60の両端はつなぎバンド20とは分離している。つなぎバンド10の縫いつけ固定部21は、バンド本体10のアウター側端部から芯金60の分だけ入り込んだ部分にあり、芯金60はつなぎバンド20内ではフリー状態である。
つなぎバンド20は柔軟性があるので、不規則な張力に対してねじれ・ゆがみ・ななめ等に変形して張力を各つなぎバンド20に分散し、一方向へ張力がかかってしまうことを防ぐことができる。
もう一つの働きとして、芯金60は固定されていないため、不規則な張力に対してバンド本体10のねじれ,ゆがみ,斜めなどの動きを妨げず、バンド本体10の動きに関わらず、張力のみを受け止めることができる。
【0013】
インナープレート50についても、ポリアセタール等の硬質の樹脂材、あるいはアルミ材等の高剛性の部材によって構成される。高剛性の部材であれば棒状部材でもよいが、この実施例では、図5(E)に示すように、2箇所の長穴51を持つ平板状のプレートで、アウタープレート30側の枠空間Sをくぐり抜けることができる高さ,幅に設定されている。幅については、つなぎバンド20の長さで調整可能である。
面状ファスナ40は、図1,図2に示すように、バンド本体10のインナー端部付近に設けられる接着側テープ41と、接着側テープ41の領域に続いて折り返し部が重なる範囲の全長に設けられる被接着側テープ42とによって構成される。
【0014】
接着側テープ41は、インナー端部から所定長さ分の第1領域に取り付けられる第1テープ41aと、インナープレート50を連結する一対の連結帯部11に取り付けられる第2テープ41bとを備えている。
また、第3テープ41cが、第2テープ41bと同様にバンド本体10の二本の連結帯11上に縫いつけられているが、この第3テープ41cは、図5(B),図6(B)等に示すように、背面側に取り付けられ、図6(C),(D)に示すように、締付けバンド1の巻取り収納時の結束に用いられる。巻取りは、アウタープレートを芯にして巻取り、最終的に接着側の第3テープ41cを被接着テープ42に接着することによって結束される。
【0015】
被接着側テープ42は、第1領域に続く第2領域に取り付けられる。
第1領域と第2領域の境界部には、折り返し部12が設けられ、剛性が高められている。折り返し部12は、所定長さだけZ字形状に折り畳んで構成され、バンド本体10の強化補強を行いねじれを防止する。
被接着側テープ42は、バンド本体10の長手方向と平行に複数列、この実施例では3列のテープ42a,42b,42cが所定間隔を隔てて取り付けられている。この3本の被接着側テープ42a,42b,42cの長さは、アウタープレート30から折り返されたバンドの接着に必要な長さに設定される。被接着側テープ42の本数は任意であり、図6(B)に示すように3本以上としてもよい。特に奇数が好ましく、中心に1本設置することが好ましい。各被接着側テープ42の間には隙間gを必ず作る。本数が多い場合には、テープ幅を狭くして対応する。このように、全体として、折り返し部12よりインナー端部側の第1領域は、作業中の変形,ズレなどが無いような強い構造として作業効率を上げている。
【0016】
図5(D),(E)は、バンドの他の構成例を示している。
バンド1のインナープレート50側の端部を、アウタープレート30をくぐらせていくので、バンドの側縁がアウタープレート30のつなぎバンド20と干渉する。そこで、バンドの折り返し部がアウタープレート50のつなぎバンド20間をスムーズに通過するように、図5(D)では、バンド1のインナープレート50側の部分を所定長さ分だけ、先細となる方向に傾斜させている。この傾斜辺部分45については、折り返して縫い付けている。折り返すことにより、傾斜辺部分45が補強され、耐久性向上につながる。また、インナープレート50の中央部に細いくびれ部51を設けた構成となっている。
図5(E)では、バンド1のインナープレート側部分を、傾斜辺とはしないで、所定長さ分だけ幅を小さくして直線状の段付き辺部46としたものである。
また、この構成では、接着側テープ41のうちの第2テープ41bが、被接着側テープ42に合わせてバンドの長さ方向に3列設けられている。また、被接着側テープ42の幅は、強度がそれほど必要とされない両側のテープが細くなっている。
【0017】
次に、図1乃至図4を参照して、バンド巻付け装置の装置構成について説明する。
図1は装置構成を上方から見た平面図である。上部ガイドフレーム101越しに各構成部分が見えている。上部ガイドフレーム101はたとえばロールレーンとなっている搬送路F上方に搬送路Fに対して直交方向に延びている。図示例では、上部ガイドフレーム101は搬送路Fの左右両側に配置されたサイドフレーム102,102間に架設されているが、天井に配置するようにしてもよい。
この上部ガイド101には、バンドの一方の端部であるアウタープレート30を回転自在に保持する第1のチャック110が組み付けられた第1チャック機構104と、他方の端部であるインナープレート50を保持する第2チャック120が組み付けられた第2チャック機構105とが移動自在に支持されている。
【0018】
図2には、第1のチャック機構104を示している。
すなわち、第1のチャック110は、バンドのアウタープレート30の上下端部を支持するように、上下方向に所定距離だけ離間して上下一対設けられ、チャック支持台111から突出する上下一対のブラケット112に回転自在に支持されている。チャック支持台111は、上下方向に延びるZ軸案内台113に対して上下方向に移動自在に支持され、Z軸案内台113は搬送方向に沿ってY軸方向に案内するY軸案内台114に支持され、さらにY軸案内台114が上ガイドフレーム101に対してX軸方向に移動自在に支持されている。これにより、第1のチャック110は、X、Y、Z軸方向と、Z軸回りの回転方向の自由度を有する。X、Y、Z軸方向には、それぞれモータ及び動力伝達機構を含む駆動手段によって独立して駆動制御される。
図示例では、X軸方向には、図1に示すように、モータ220Xの回転がベルト220aを用いた伝動機構によってX軸方向の直線運動に変換される。Y軸方向には、図2(B),(C)に示すように、ねじ送り機構220bによってモータ220Yの回転がY軸方向の直線運動に変換される。Z軸方向についても、モータ220Zの回転が、ねじ送り機構220cによってZ軸方向の直線運動に変換される。
【0019】
また、第1のチャック110を支持する上下のブラケット112は、図2(A)に示すように、ガイドバーを介して上下に所定距離だけ移動自在となっており、上下に配置された空気圧シリンダ231,231によって独立して駆動される。空気圧シリンダ231,231が伸長するとチャックが外れ、空気圧シリンダ231が収縮するとチャックするようになっている。
そして、チャック支持台111には、中央にトルク発生手段としてのサーボモータ130が取り付けられ、サーボモータ130の回転駆動力が、ベルト等の動力伝達機構131を介して上下の第1のチャック110に伝達されるようになっている。動力伝達機構131は、サーボモータ130と平行に配置される中間伝達軸132と、中間伝達軸132とサーボモータ130を作動連結するベルト133と、中間伝達軸132と第1のチャック110間を作動連結するベルト134と、を備えている。中間伝達軸132と第1のチャック110間を作動連結するベルト134は、第1のチャック110を支持するブラケット112に取り付けられる。中間伝達軸132は上下両端がチャック支持台111に回転自在に支持されており、ブラケット112を貫通し、ブラケット112に設けられたベルト駆動用のプーリに嵌合している。プーリと中間伝達軸132は回転方向には相対的に固定で、軸方向には移動可能となっており、第1のチャック110着脱時のブラケット112の移動を許容する。
また、チャック支持台111には、バンド1を押さえるための押圧ロール160がY軸方向に移動可能に支持され、エアシリンダ231によって前進後退の駆動が制御される。
【0020】
図3及び図4には、第2のチャック機構105を示している。
第2のチャック120は、インナープレート50の上下端部を支持するように、上下方向に所定距離だけ離間させて上下一対設けられ、チャック支持台121から突設される上下一対のブラケット122に回転自在に支持されている。チャック支持台121は、下端を支点として受け台123に対して揺動に支持されており、チャック支持台121の上端部と受け台123上端部間には、トグルリンク124によって連結され、トグルリンク124の連結部と受け台の下端部との間に、トグルリンク124を駆動して支持台を受け台に対して斜めに揺動させる空気圧あるいは油圧等の流体圧シリンダ125が介装されている。
また、特に図示していないが、第2のチャック120は、不図示の空気圧シリンダによって駆動され、第2のチャック120をチャック位置と非チャック位置に駆動制御される。
【0021】
また、第2のチャック120の側方には受け渡し用の把持具170が配置されている。この把持具170は、第2のチャック120に保持されるインナープレート50に向かって進退可能で、インナープレート50の中間部分を把持可能となっている。把持具17については、空気圧シリンダ251によって前進後退の駆動が制御される。
この受け台123は上下方向に延びるZ軸案内台126に対して上下方向に移動自在に支持されている。また、Z軸案内台126は搬送方向に沿ってY軸方向に案内するY軸案内台127に支持され、さらにY軸案内台127は上ガイドフレーム101に対してX軸方向に移動自在に支持されている。これにより、第2のチャック120も、X、Y、Z軸方向と、Z軸回りの回転方向の自由度を有する。X、Y、Z軸方向には、特に図示しないが、それぞれモータ及び動力伝達機構を含む駆動手段によって独立して駆動制御される。
図示例では、X軸方向には、図1に示すように、モータ240xの回転がベルト240aを用いた伝動機構によってX軸方向の直線運動に変換される。Y軸方向には、図2(B),(C)に示すように、ねじ送り機構240bによって不図示のモータの回転がY軸方向の直線運動に変換される。Z軸方向についても、モータ240zの回転が、ねじ送り機構240cによってZ軸方向の直線運動に変換される。
【0022】
また、図1には、バンド1の中間部分に引っ掛けてバンド1を引き伸ばす方向に移動させるテンション部材としてのテンションロール140を支持するテンションロール支持機構106についても記載されている。
このテンションロール140についても搬送方向と直交するX軸方向、搬送方向と平行のY軸方向に移動自在に支持されており、バンド1の中間部分に引っ掛けてバンド1を引き伸ばす方向、この例では搬送方向に直交し荷物Bの後面に沿って搬送路の外側から内側に向けて移動させる構成となっている。もちろん、Z軸方向にも移動自在に支持する構成としてもよい。
また、このテンションロール140は、バネを介して連結され、荷物後面に当接した際の荷物の凹凸分を吸収するようになっている。
図示例では、X軸方向には、図1に示すように、モータ260xの回転がベルト260aを用いた伝動機構によってX軸方向の直線運動に変換される。Y軸方向についても、上記した第1のチャック機構,第2のチャック機構と同様に、ねじ送り機構等を用いて不図示のモータの回転運動を直線運動に変換する構成となっている。
【0023】
次に、上記バンド巻付け装置による巻付け作業について、図7乃至図11を参照して具体的に説明する。
(1)初期状態(図7(A)参照)
初期状態では、荷物の進行方向に対して片側、この実施例では進行方向に向かって左側に(図中右側)、アウタープレート30に巻いた状態のバンド1と、テンションロール140が配置されている。もちろん、アウタープレート30は第1チャック110によって保持され、インナープレート50は第2チャック機構の第2チャック120によって保持され、テンションロール140はテンショロール支持機構106によって保持されているが、図示するといたずらに複雑になるので、バンド1,テンションロール140のみを図示している。以下同様とする。
【0024】
(2)初期展開(図7(B)参照)
次に、バンドが初期展開される。
アウタープレート30は、第1のチャック110よりバックテンションを受けながら、回転しつつ左側の設定位置で停止する。
バックテンションはアウターチャック30のサーボモータ130によって、アウタープレート30が左回転とすれば、右回転に回転させようと駆動力が作用する。
インナープレート50とテンションロール140は停止している。
すなわち、初期展開時には、第1のチャック110と第2のチャック120を搬送路Fを隔てて反対側に位置するように移動させ、トルクを発生させるサーボモータ130によるバックテンションをかけながら第1のチャック110を回転させてバンド1を所定量巻き出し、巻き出したバンド部分が荷物の搬送路Fを横切るように展開する。
【0025】
(3)荷物により3/4展開(図8(A)参照)
搬入される荷物の慣性力によって、バンド2が荷物の周長の3/4程度、展開される。
(3)−1)荷物Bが侵入し、荷物Bがバンド1を押して行き、設定位置で停止する。この停止制御は、ロールレーンを停止してもよいし、強制的にストッパなどによって停止させてもよい。
(3)−2)アウタープレート30が、第1のチャック110によりバックテンションを受けつつ、図上左回転しながらバンド1を展開していく。
このとき、テンションロール140が搬送路Fに向かって固定ガイド位置まで移動し、インナープレート50がテンションロール140よりやや右側となるように配置され、バンド1はテンションロール140に接触しながら展開していく。
すべての装置、第1のチャック110(バックテンションは駆動)、第2のチャック120、テンションロール140は固定している。
すなわち、荷物進入時には、搬送路F上を搬送されてくる荷物Bが待機中のバンド部分に進入し、前記バックテンションを受けながらバンド部分が押されることによって第1のチャック110が回転してバンド1がさらに巻き出され、巻き出されたバンド1が荷物Bの前方部分から側方にかけて展開する。
荷物は搬送路上に不図示のストッパを突出させて荷物の移動を停止させるか、または荷物を搬送するために配置された搬送ロールの駆動を停止する。
【0026】
(4)バンド全展開(図8(B)参照)
テンションロール140が、所定位置まで移動してバンドを全開状態とする。
(4)−1)テンションロール140が進行方向に向かって右側(搬送レーン内側)へ移動する。これにより、テンションロール140がバンド1の中途部に当接して、所定量だけ内側に引き伸ばしてテンションを付与する。テンションロール140には進行方向に向かって右方向に常時重り等によって引っ張り力が作用している。
(4)−2)このテンションロール140の動作に追従するように、アウタープレート30はサーボモータ130からバックテンションを受けながら回転しつつバンド1を展開し、引き切られた状態で(バンドと一直線)となる。
その後、アウターチャック30のサーボモータ130をOFFし、回転フリーとする。回転フリーとなった時点で、バンド1のテンションによってバンド1と一直線となる。
この時点で、テンションはテンションロール140にて保ち続ける。
すなわち、テンションロール140をバンド1の中途部に引っ掛け、テンションロール140をバンド1の外側から荷物Bの後面に沿って搬送方向と直交する方向に搬送路F側に移動させ、バンド1を荷物後面の一方の角部に引っ掛けて引き伸ばし、この引き伸ばし動作によってアウタープレート3をさらに回転させてバンド1の巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全展開とする。
(4)−3)この全開位置でテンションロール140を荷物の後面に向かってY軸方向に押圧してバンド1を固定する。
【0027】
(5)アウタープレート30移動(図8(C)参照)
アウタープレート30を通し設定位置に移動させる。
(5)−1)アウタープレート30が図中右側へ移動・停止
アウタープレート30通し設定位置で停止する。
通し設定位置は、荷物の進行方向に対して右側面より後面側に回り込んだ位置で、バンドは荷物後面の右角部に引っ掛かり斜め後方に延びる。
(5)−2)アウタープレート30は回転フリーの状態であり、(5)−1の移動によるバンド1の傾きと同じ角度なる。
上記動作終了後、アウタープレート30をロックする(回転しない)。
(5)−3)押圧ロール160を前進させて、バンド1の荷物角部からアウタープレートまでの後方に延びる部分の中途部を荷物後面に押圧固定する。図示例では、角部近傍において固定している。
テンションロール140は常に進行方向に対して右側に引かれており、テンションをかけ続けている。
【0028】
(6)インナープレート50移動(図9(A)参照)
インナープレート50をアウタープレート30に向かって移動させる。
(6)−1)インナープレート50を図中左側(荷物の進行方向に対して右側)へ移動し、停止させる。
停止位置はアウタープレート30通し位置より少し右側とする。
(6)−2)上記インナープレート50の動作によってテンションが緩むので、テンションロール140はテンションをかけ続けるように進行方向に対して右側に移動して停止する。
テンションロール140で押さえられた位置からインナープレート50までのバンド部分はテンションが無くなり、自由状態となっている。
【0029】
(7)アウタープレート30通し(図9(B)参照)
アウタープレート30にインナープレート50を通す。
(7)−1)図に示すように、押さえロール160とテンションロール140でバンド1は荷物に押さえられた状態で通していく。
すなわち、図3(A),(B)に示すように、第2のチャック120の側方には受け渡し用の把持具170が配置されている。この把持具170は、第2のチャック120に保持されているインナープレート50に向かって進退可能で、アウタープレート30がインナープレート50と受け渡し用把持具170の間に進入すると、受け渡し用把持具170を前進させてインナープレート50を把持し(図9(D),(E)参照)、第2のチャック120を外し、第2のチャック120をX軸方向に移動するとバンド1がアウタープレート30に引っ掛かる(図9(F),(G))。その後、把持具170を再度前進させインナープレート50を第2のチャック120に把持し、受け渡し用把持具170を外す(図9(G),(H)参照)。
【0030】
(8)アウタープレート30のチャック解除(図9(C))
アウタープレート30のチャックが解除される。
これによって、押さえロール160とアウタープレート30間のバンド部分のテンションが無くなり、テンションロール140とインナープレート50間のバンド部分と合わせて自由状態となっている。
【0031】
(9)締め込み<1>(図10(A),(B)参照)
(9)−1)インナープレート50を進行方向に対して左方向に移動させてバンド1を引っ張り、自由状態となっている押さえロール160とアウタープレート30間のバンド部分、テンションロール140とインナープレート50間のバンド部分を張り、さらに所定の力で引っ張り強く締め付ける。この締付けで、押さえロールとテンションロールで押さえていたバンド部分も強く引っ張られて張力が増大する。
(9)−2)押さえロールを後退させて、アウター側のバンドの押さえを外す。
(9)−3)テンションロールを抜き取る。
テンションロール140は、荷物の進行方向に対して左側に移動し、搬送路の外側に出て初期位置に戻る。
(10)インナープレート50接近(図10 (C)参照 )
バンド1を引きながら(図中1−1方向)、荷物後面に接近し(図中1−2方向)、設置位置で停止する。進行方向に対して左側へは引き続ける。
(11)接着<1>(図11(A),(B)参照)
(11)−1 第1のチャック110上の押圧ロール160を前進させ、バンド1と荷物Bを共に押す。
これにより、バンド表面と折り返し部との重なり部の面状ファスナ40が接着される。
(11)−2 インナープレート50は締め込みの状態で、バンドを引きつけている。
【0032】
(11)接着<2>(図11(C)参照)参照)
(11)−1)押圧ロールを押し続けながら、図中右側へ移動する。
第1のチャック110と第2のチャック120が接触寸前まで第1のチャックを移動する。
(11)−2)インナープレート50は引き続ける。
上記動作後、あるいは動作の途中のある程度接着した時点でインナープレート50を第2のチャック120より開放する。
(12)終了(図11(D)参照)
(12)−1)押圧ロール160は,インナープレート50開放後も、さらに右側へ移動し、完全に接着する。このとき、第2のチャック120も第1のチャック110の接着ロール160と同調して右側へ移動する。
【0033】
・乱積みの場合
混載等により乱積みの場合について説明する。
図11(E)のような荷物の欠けなどの荷姿に対応するバンド1の締め込みについて説明する。
(1)〜(9)−2の行程は、すべて同じ動作である。
(9)′−3)
インナープレート50は常にバンド1を引き続けており、締め込み状態のまま、インナープレート50(インナー側の第2のチャック120)を下へ下げる(設定位置で停止)。
このとき、1,2の動きは連動して斜め下に向けて引っ張られる。
この締め込み動作は、テンションロール140の抜き取り動作と同時に行われる。
また、インナープレート50の左方向(バンドを引く方向)への動きを停止し、下への動きのみとして設定位置にて停止し(1の動作)、停止後、左方向への動きをさせるようにしてもよい。
その後、上記(10)〜(12)の行程に進み、完了する。
なお、接着行程において、このバンドの折り返し部が斜めになるので、折り返し部の接着行程の途中の、接着が確実になった時点でインナープレートの上下両端を保持する第2のチャック120を外し、インナープレート50の中間部を把持する中間の把持具170によって把持してインナープレート50が斜めになることを許容させる。
以上、乱積み時は、上記した(17)と(18)の動作の間に、(17)′の動作を追加すればよい。
【0034】
図12には、上記バンド巻き付け装置の主要な構成部分の制御ブロック図の一例を概念的に示している。
制御対象としては、第1のチャック110、押圧ロール160、第2のチャック120及びテンションロール140であり、制御部200からの制御信号によって制御される。制御部200は一般的なコンピュータであり、特に図示しないが、中央演算処理装置と、RAM,ROM等の記憶装置と、図示する入力部を有する構成で、記憶装置に記憶されたプログラムに基づいて制御信号を各制御対象に制御信号を出す。
第1のチャック110には、サーボモータ130が作動連結されており、このサーボモータ130が図示しないモータドライバを介して制御部200に接続され、制御部からの制御信号に応じて制御され、第1のチャックに付与するバックテンションが制御される。
第1のチャック110には、また、X軸,Y軸及びZ軸方向に駆動するための各駆動モータ220が各種運動伝達機構を介して作動連結されており、これらの駆動モータ220が図示しないモータドライバを介して制御部200に接続され、制御部200からの制御信号によって駆動制御される。駆動モータ220とは実際には3つの独立したモータであるが、総括して符号を付している。
【0035】
一方、押圧ロール160には、空気圧シリンダ231が作動連結され、この空気圧シリンダ231を制御する制御弁230が不図示のドライバを介して制御部200に接続され、制御部200からの制御信号によって駆動制御される。
第2のチャック120についても、X軸,Y軸及びZ軸方向に駆動するための駆動モータ240が各種運動伝達機構を介して作動連結されており、これらの駆動モータ240が図示しないモータドライバを介して制御部200に接続され、制御部200からの制御信号によって駆動制御される。この駆動モータ240も実際には3つの独立したモータであるが、総括して符号を付している。
また、この第2チャック120には、空気圧シリンダ231が作動連結され、この空気圧シリンダ251を制御する制御弁250が不図示のドライバを介して制御部200に接続され、制御部200からの制御信号によって駆動制御される。
テンションロール140には、X軸,Y軸方向に駆動するための駆動モータ260が各種運動伝達機構を介して作動連結されており、これらの駆動モータ260が図示しないモータドライバを介して制御部200に接続され、制御部200からの制御信号によって駆動制御される。
【0036】
制御部200は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出して、次の手順を実行する。
以下、制御手順について、図13乃至図17のフローチャート及び上記した巻付け作業工程の図に対応させて説明する。
初期位置では、第1のチャック110、第2のチャック120及びテンションロール140が搬送路Fの同じ側に位置している(図7(A)参照)。
初期展開時には、図13に示すように、サーボモータ220を駆動してバンド1にバックテンションをかけながら、駆動モータ220のうちX軸方向のモータを所定量駆動して第1のチャック110をX軸方向に移動させて第2のチャック120に対して搬送路Fを隔てて反対側に達した時点で停止する。この移動により、第1のチャック110が回転してバンド1が所定量巻き出され、巻き出されたバンド部分が荷物Bの搬送路Fを横切るように展開する(S1,S2、図7(B)参照)。
次いで、図13(B)に示すように、駆動モータ260のうちX軸方向のモータを所定量駆動し、テンションロール140をガイド位置まで移動させる(S3、図7(B)参照)。
【0037】
荷物進入時には、サーボモータ220は駆動を続けてバックテンションをかけ続けており、搬送路F上を搬送されてくる荷物Bが待機中のバンド部分に進入する。荷物によりバンド部分が押されることによって第1のチャック110が回転してバンド1がさらに巻き出され、巻き出されたバンド1が荷物の前方部分から側方にかけて展開する(S4,S5、図8(A)参照)。 荷物は搬送路上に不図示のストッパを突出させて荷物の移動を停止させるか、または荷物を搬送するために配置された搬送ロールの駆動を停止する。
次いで、図14に示すように、駆動モータ260を駆動してテンションロール140を荷物の一方の側面側に延びる第2のチャック120側のバンド部分の外面に当接させて荷物Bの後面側に移動させ、バンドBを荷物の一方の側面から後面側に引き伸ばすことによって第1のチャック110をさらに回転させてバンド1の巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開とすると共に、駆動モータ260のうちY軸方向のモータを駆動し、テンションロール140を荷物後面側に押し付けて引き伸ばされたバンド部分を荷物後面に押圧固定させる(S6、図8(B)参照)。
【0038】
さらに、第1チャック110のサーボモータ130を自由回転状態とし、駆動モータ220のうち、X軸方向のモータを駆動し、第1のチャック110を荷物Bの後面側のバンド通し設定位まで移動させる。移動する間に、第1のチャック110側のバンド部分が物Bの他方の側面と荷物後面の角部に引っ掛かっている(S7)。
次に、制御弁230を切り替えて空気圧シリンダ231を駆動して押圧ロール160を前進させ、角部に引っ掛かった部分と第1のチャック110との間のバンド部分の中途部を荷物後面に押圧固定する(S8、図8(C)参照)。
次いで、第2チャック120の駆動モータ240のうちX軸方向のモータを駆動して第2チャック120を搬送路1の内側の第1チャック1の近くまで所定量移動させる(S9,図9(A)参照)。
アウタープレート通し行程では、図15に示すように、駆動モータ240のうち、X軸方向のモータを駆動して、インナープレート50を保持する第2のチャック120をX軸方向に移動してアウタープレート30をくぐらせる(S10、図9(D)参照)。
次いで把持具170を駆動する空気圧シリンダ281を伸長させてインナープレート50を把持し(S11、図9(E)参照)、第2のチャック120を外しインナープレート50を把持具170のみによって保持する(S12)。
さらに、空気圧シリンダ281を収縮させてインナープレート50をY軸方向上流側にスライドさせてアウタープレート110トから離脱させる(S13、図9(F)参照)。
その後、駆動モータ260のうちX軸方向のモータを所定量駆動し、第2チャック120を第1チャック110から離れる方向に移動させて停止する(S14、図9(G)参照)。
【0039】
そして、再び空気圧シリンダ281を伸長駆動してインナープレート50を第2のチャック50まで移動させ、空気圧シリンダ251を動作させて第2のチャック50をインナープレート50の両端に係合する(S15,S16、図9(H)参照)。
次に、空気圧シリンダ271を駆動して、第1のチャック110をアウタープレート30から外す(S17、図9(C)参照)。
第1のチャック110をアウタープレートの() 、荷物侵入方向と反対方向に移動させ、の搬送方向と反対方向に把持具のみで把持した状態でアウタープレートをを把持し、くぐったアウタープレートをXインナープレート 通しバンドを
バンド締付け行程では、図16に示すように、駆動モータ240のうちX軸方向のモータを駆動し、第2チャック120をX軸方向に移動してバンドを締め付ける(S18、図10(A),(B)参照)。モータは所定のトルクで駆動され、モータのトルクを制御することによって締付け荷重が設定される。
【0040】
次いで、空気圧シリンダ231を駆動して、押圧ロール160をバンド1から離間させる(S19、図10(C)参照)。
次に、駆動モータ240のうち、Y軸方向のモータを所定量駆動し、第2チャック120を荷物に接近させる(S20、図10(C)参照)。
その後、駆動モータ260を所定量駆動し、テンションロール140を搬送路の側方位置まで移動させ、駆動モータを停止する(S21、図10(C)参照)。
バンドの接着行程では、図17に示すように、空気圧シリンダ231を伸長駆動して押圧ロール160をバンド1に押圧させる(S22、図11(A)参照)。
次に、駆動モータ220のうちY軸方向のモータを駆動し、第1のチャック110をX軸方向に移動させてバンドの折り返し部分を押圧して接着する(S23、図11(B)参照)。
【0041】
次に、接着途中で空気圧シリンダ251を駆動し、第2のチャック120がインA−プレートから外し(S24)、駆動モータ220(Y軸方向)を停止する(S25、図11(C)参照)。
接着終了後、空気圧シリンダ281を駆動して把持具170をインナープレート50かあ外す(S25)。
上記ステップS24,26の手順は、特に、図1(F)で示したように、斜めに引っ張る場合の手順であり、把持具170がインナープレートの中途部を部分的に把持するので、 インナープレートが斜めに折り返されたバンドの傾斜に倣った傾きを許容する。乱積みで無い場合は、ステップS24の第2のチャックを外す手順を接着終了後に行ってもよい。
【0042】
図18には、バンドを折り返す際のアウタープレート通し行程の別の構成例を示している。
この例は、図18(A)に示すように、インナープレート120を保持する第2のチャック120をダブル配置としたものである。すなわち、中間の受け渡し用把持具170を駆動する空気圧シリンダ281の伸長位置と、収縮位置の双方に第2のチャック120A,120Bを配置している。この上下一対で一組として2組の第2のチャック120A,120Bは、上下1組の共通の空気圧シリンダ251で駆動することができる。
受け渡し前は一方の第2のチャック120Aに保持し、把持具170を離間させた状態でアウタープレート110を通す(図18(B)参照)。この位置では把持具170は他方の第2のチャック120Bの位置にある。ついで、第2のチャック120Aに保持されたインナープレート110を把持具170で把持し、空気圧シリンダ251を収縮させて第2チャック120Aを上下に移動して外してから、空気圧シリンダ281を収縮して把持具170を他方の第2のチャック120B位置まで移動させ(図18(C)参照)、空気圧シリンダ251を伸長して第2のチャック120Bによってインナープレート110の上下両端部をチャックし、そのまま第2のチャック120全体をX軸方向に移動し締付け行程に進む(図18(D)参照)。
【0043】
このように第2のチャック120A,120Bを2組設けることにより、アウタープレート通し行程の手順を削減することができる。
また、締付け行程では、第2のチャック120Bと共に中間の把持具170についても把持したままとし、インナープレート120を上下両端と中間の3点で支持した状態で締付ける。このようにすれば、チャックに加わる荷重を分散すると共に、インナープレート120に加わる荷重も平均化することができる。
また、アウタープレート通し行程前のバンド展開時にはインナープレート110は第2のチャック120Bにチャックされているが、このときも中間の把持具170で把持しておけば、チャックに加わる加重を分散できると共に、インナープレート120に加わる加重を平均化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係るバンド巻付け装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2は図1の第1チャック機構を示すもので、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
【図3】図3は図1の第2チャック機構を示すもので、同図(A)は第2のチャックと受け渡し用把持具が離れている状態を示す図、同図(B)は第2のチャックと受け渡し用把持具が重なった状態を示す図である。
【図4】図4は第2チャック機構の正面断面図である。
【図5】図5は図1のバンド巻付け装置に用いられるバンドを示すもので、(A)は一部省略正面図、(B)は面状ファスナの構成を示す図、(C)は芯金を示す図、同図(D),(E)はバンドの他の構成例を示す図である。
【図6】図6は図5のバンドの使用例を示すもので、(A)は巻付けた状態を示す概略斜視図、(B)はバンドを巻付けた状態を中身を省略して示した図、(C),(D)はアウタープレートを巻き芯として巻いたバンドの初期形態を示す斜視図である。
【図7】図7乃至図11は本発明のバンド巻付け装置の使用方法を説明するもので、図7(A)は初期状態の説明図、(B)は初期展開状態の説明図である。
【図8】図8(A)はバンドの3/4展開状態の説明図、(B)はテンションロール移動状態の説明図、(C)はアウタープレート移動状態の説明図である。
【図9】図9(A)はインナープレート移動状態の説明図、(B)はアウタープレート通し状態の説明図、(C)はアウタープレート解放状態の説明図である。
【図10】図10(A)は締め込み行程の説明図、同図(B)は同図(A)のG−G′線矢視図、同図(C)はアウタープレート接近状態の説明図である。
【図11】図11(A),(B),(C)は接着工程の説明図、(D)は終了状態の説明図、(E)は乱積み状態の荷姿を示す図、(F)は他の締め込み状態を説明する図である。
【図12】図12は本発明の実施例に係るバンド巻付け装置の制御ブロック図である。
【図13】図13は、バンドが3/4展開するまでの制御手順を示す図である。
【図14】図14は、バンドを全開する制御手順を示す図である。
【図15】図15は、バンドの通し行程の制御手順を示す図である。
【図16】図16はバンドの締め付け行程の制御手順を示す図である。
【図17】図17は、バンドの接着行程の制御手順を示す図である。
【図18】図18は第2のチャック機構の他の構成例を示すもので、同図(A)は概略構成を示す図、同図(B)乃至(D)はアウタープレート通し行程の動作説明図である。
【符号の説明】
【0045】
B 物品 箱体
1 締付けバンド
10 バンド本体
20 つなぎベルト(つなぎ部材)
30 アウタープレート
H 高剛性部
40 面状ファスナ(固定手段)
41 接着側テープ
41a 第1テープ
41b 第2テープ
41c 第3テープ
42 被接着側テープ
50 インナープレート
60 芯金(心材)
70 ウェイブ部
101 上部ガイドフレーム
F 搬送路
102 サイドフレーム
110 第1のチャック
104 第1チャック機構
120 第2チャック
111 チャック支持台
112 ブラケット
113 Z軸案内台
114 Y軸案内台
130 サーボモータ(トルク発生手段)
131 動力伝達機構
121 チャック支持台
122 ブラケット
123 受け台
124 トグルリンク
125 流体圧シリンダ
126 Z軸案内台1
127 Y軸案内台
140 テンションロール
106 テンションロール支持機構
150 固定ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し使用可能な可撓性のバンドであって、一方の端部を巻き芯にして巻いた形態を初期形態とするバンドと、
前記バンドの巻き芯となる端部を回転自在に保持する第1のチャックと、
前記バンドの他方の端部を保持する第2チャックと、
第1のチャックに対して巻き戻し方向のバックテンションを作用させるトルク発生手段と、
バンドの中間部分に引っ掛けてバンドを引き伸ばすテンション部材と、
バンドを荷物に対して押圧してバンドを固定する押圧手段、を備え、
初期展開時には、前記第1のチャックと第2のチャックを搬送路を隔てて反対側に位置するように移動させ、前記トルク発生手段によるバックテンションをかけながら第1のチャックを回転させてバンドを所定量巻き出し、巻き出したバンド部分が荷物の搬送路を横切るように展開させ、
荷物進入時には、搬送路上を搬送されてくる荷物が待機中のバンド部分に進入し、前記バックテンションを付与した状態のバンド部分が押されることによって第1のチャックが回転してバンドがさらに巻き出され、巻き出されたバンドを荷物の前方部分から側方にかけて展開させ、
全開時には、前記テンション部材を荷物の一方の側面側に延びる第2のチャック側のバンド部分の外面に当接させて荷物の後面側に移動させ、バンドを荷物の一方の側面から後面側に引き伸ばすことによって第1のチャックをさらに回転させてバンドの巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開とし、
さらに、荷物の他方の側面側に延びる第1のチャック側のバンド部分について、第1のチャックを荷物の後面側に移動させて第1のチャック側のバンド部分を荷物の他方の側面と荷物後面の角部に引っ掛けると共に、該角部に引っ掛かった部分と第1のチャックとの間のバンド部分の中途部を荷物後面に押圧固定させる構成となっていることを特徴とするバンド巻付け装置。
【請求項2】
引き伸ばした状態でテンション部材を荷物の後面に押圧して固定する構成となっている請求項1に記載のバンド巻付け装置。
【請求項3】
バンドの一方の端部には枠を構成するアウター部材が設けられ、バンドの他方の端部には枠に挿通可能なインナー部材が設けられ、インナー部材をアウター部材の枠にくぐらせて折り返して引っ張り締付け固定する構成となっている請求項1又は2に記載のバンド巻付け装置。
【請求項4】
インナー部材を引っ張る力の方向は、水平方向成分と垂直下向き成分の合力の方向であり、インナー部材を斜め下向きに引っ張る構成となっている請求項3に記載のバンド巻付け装置。
【請求項5】
バンドのインナー部材をアウター部材の枠を通して折り返した折り返し部を巻き付けたバンド部分に重ね、重なった部分に設けられた面状ファスナを押圧手段によって押圧固定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載のバンド巻き付け装置。
【請求項6】
繰り返し使用可能な可撓性のバンドであって、一方の端部を巻き芯にして巻いた形態を初期形態とするバンドと、
前記バンドの巻き芯となる端部を回転自在に保持する第1のチャックと、
前記バンドの他方の端部を保持する第2チャックと、
第1のチャックに対して巻き戻し方向のバックテンションを作用させるトルク発生手段と、
バンドの中間部分に引っ掛けてバンドを引き伸ばすテンション部材と、
バンドを荷物に対して押圧してバンドを固定する押圧手段と、
前記第1のチャック、第2のチャック、トルク発生手段、テンション部材及び押圧手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
初期展開時には、前記第1のチャックと第2のチャックを搬送路を隔てて反対側に位置するように移動させ、前記トルク発生手段によるバックテンションをかけながら第1のチャックを回転させてバンドを所定量巻き出し、巻き出したバンド部分が荷物の搬送路を横切るように展開させ、
荷物進入時には、搬送路上を搬送されてくる荷物が待機中のバンド部分に進入し、前記バックテンションを付与した状態のバンド部分が押されることによって第1のチャックが回転してバンドがさらに巻き出され、巻き出されたバンドを荷物の前方部分から側方にかけて展開させ、
全開時には、前記テンション部材を荷物の一方の側面側に延びる第2のチャック側のバンド部分の外面に当接させて荷物の後面側に移動させ、バンドを荷物の一方の側面から後面側に引き伸ばすことによって第1のチャックをさらに回転させてバンドの巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開とし、
さらに、荷物の他方の側面側に延びる第1のチャック側のバンド部分について、第1のチャックを荷物の後面側に移動させて第1のチャック側のバンド部分を荷物の他方の側面と荷物後面の角部に引っ掛けると共に、該角部に引っ掛かった部分と第1のチャックとの間のバンド部分の中途部を押圧手段により荷物後面に押圧固定させる手順を実行する構成となっていることを特徴とするバンド巻付け装置。
【請求項7】
制御手段は、バンドを全開まで引き伸ばしたテンション部材を荷物後面に押し付けてバンドを固定する手順を備えたことを特徴とするバンド巻付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−162640(P2008−162640A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353534(P2006−353534)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(504345148)株式会社ゼロテクノス (9)
【Fターム(参考)】