説明

バンド締付具

【課題】回動レバーを使用せずに電柱等の支柱に対し簡単にバンドを取付けることができるバンド締付具を提供すること。
【解決手段】樹脂バンド2を支柱へ取り付けるためのバンド締付具11であって、雌ネジ部11aを有すると共に、その両端部に支柱の外周を回した樹脂バンド2の両端が連結されるバンド連結部材11と、支柱の外周方向に貫通した中空部12aを有し、その中空部12aにバンド連結部材11を挿通させると共に、その中空部12a上方の上面12bに引張力付与ネジ13を通す通し孔12cが形成され、下面側12dが支柱の外周面に当接するベース部材12と、引張力付与ネジ13とを有し、引張力付与ネジ13は、ベース部材12の通し孔12cに挿入され、その中空部12aにてバンド連結部材11の雌ネジ部11aに螺合し、その回転によりバンド連結部材11を支柱に対し浮かせて樹脂バンド2を締め付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状に形成されたバンドを電柱等の支柱の外周に回して締め付けるためのバンド締付具に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状に形成されたプラスチック製や金属性のバンドを電柱へ取り付けるためのバンド締付具として、例えば、片方のバンドを係止しバンド巻込み用の回動レバーを受ける軸受けを有する締付具本体に、カム状のバンド巻込み軸でその近傍にバンド用の挿通孔を設けた回動レバーを取り付けたバンド締付具とし、バンドの巻込みの後半でカム状の先端の傾きと本体軸受けの傾斜に沿って、レバー回転軸が前方下部へ摺動して行き、レバーの戻りに対抗する位置関係となりバンドを押えこむような構造としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−298084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このバンド締付具では、回動レバーを起伏させてバンドを締め付けるため、バンドの取り付けや取り外しの際、大きな力が必要という問題がある。また、回動レバーを倒す際、指を挟むおそれがあるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、回動レバーを使用せずに電柱等の支柱に対し簡単にバンドを取付けることができるバンド締付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のバンド締付具は、帯状に形成されたバンドを電柱等の支柱の外周に回して締め付けるためのバンド締付具であって、雌ネジ部を有すると共に、その両端部に支柱の外周を回したバンドの両端が連結されるバンド連結部材と、前記バンド連結部材の雌ネジ部に螺合し、その回転により前記バンド連結部材を支柱に対し浮かせて前記バンドを締め付ける引張力付与ネジと、を有することを特徴とする。
ここで、前記バンド締付具において、さらに、支柱の外周方向に貫通した中空部を有し、その中空部に前記バンド連結部材を挿通させると共に、その中空部上方の上面に前記引張力付与ネジを通す通し孔が形成され、下面側が支柱の外周面に当接するベース部材を有し、前記引張力付与ネジは、前記ベース部材の通し孔に挿入され、その中空部にて前記バンド連結部材の雌ネジ部に螺合し、その回転により前記バンド連結部材を支柱に対し浮かせて前記バンドを締め付けるようにしても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明のバンド締付具は、雌ネジ部を有すると共に、その両端部に支柱の外周を回したバンドの両端が連結されるバンド連結部材と、前記バンド連結部材の雌ネジ部に螺合し、その回転により前記バンド連結部材を支柱に対し浮かせて前記バンドを締め付ける引張力付与ネジとを有するので、回動レバーを使用せずに電柱等の支柱に対し簡単にバンドを取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明にかかる実施形態1のバンド締付具全体を示す斜視図である。
【図2】(a)〜(d)それぞれ、本発明にかかる実施形態1のバンド締付具全体を示す平面図、右側面図、正面図、A−A線断面図である。
【図3】(a)〜(c)それぞれ、バンド連結部材の平面図、B−B線面図、底面図である。
【図4】(a)〜(e)それぞれ、ベース部材の平面図、正面図、底面図、右側面図、C−C線面図である。
【図5】(a)〜(d)それぞれ、引張力付与ネジの平面図、正面図、D−D線断面図、底面図である。
【図6】(a),(b)それぞれ、実施形態1のバンド締付具の動作を示す図である。
【図7】本発明にかかる実施形態2のバンド締付具の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかるバンド締付具の実施形態1,2について、図面を参照して説明する。
【0010】
実施形態1.
図1および図2に示すように、本発明にかかるバンド締付具1は、帯状に形成された樹脂バンド2を電柱等の支柱3へ取り付けるためのもので、バンド連結部材11と、ベース部材12と、引張力付与ネジ13とから構成される。
【0011】
バンド連結部材11は、ポリアセタール(POM)樹脂等のプラスチックからなるもので、図1〜図3に示すように、その左右両端部には、それぞれ、支柱3の外周を回した樹脂バンド2の両端が連結されるスリット11a1,11a2,11b1が形成された連結部11a,11bが設けられている。また、その中央部には、図3に示すように、引張力付与ネジ13の雄ネジ部13a1が挿入される通し孔(バカ孔)11cが形成されており、この通し孔(バカ孔)11cの裏側には、引張力付与ネジ13の雄ネジ部13a1が螺合する雌ネジ部11d1を有するナット11dが嵌められている。なお、バンド連結部材11の図上右側の連結部11bでは、図2(d)に示すように、樹脂バンド2の先端部21aがスリット11b1に通された後、折り返されて、樹脂バンド2同士が接着剤やレーザー等により溶着されている。図上、21a1が樹脂バンド2同士の溶着部である。なお、ここでは、折り返した樹脂バンド2同士を溶着して固定しているが、本発明では、これに限らず、例えば、折り返した樹脂バンド2に筒体(図示せず。)を外嵌してカシメ等により固着しても良く、要は、バンド連結部材11に樹脂バンド2を留めることができれば良い。また、バンド連結部材11の図上左側の連結部11aでは、そのスリット11a1,11a2に、後述する図6に示すように、樹脂バンド2の図示しない他端部が挿入され、かつ、その長さや引張力を調整して折り返されて留められる。
【0012】
ベース部材12も、ポリアセタール(POM)樹脂等のプラススチックからなるもので、図4に示すように、支柱3の外周方向に貫通した中空部12aを有し、その中空部12aにバンド連結部材11を挿通させると共に、その中空部12a上方の上面12bに引張力付与ネジ13を通す通し孔12b1が形成されており、下面12cが支柱3の外周面に当接する。また、下面12cのほぼ中央には、引張力付与ネジ13の雄ネジ部13a1先端を逃がすための逃げ孔12c1が形成されていると共に、下面12cの端部には、ベース部材12の軽量化や樹脂量を減らすための軽量スリット12c2が形成されている。なお、ベース部材12の上面12bには、引張力付与ネジ13の頭部13bが嵌まる凹部12b2が形成されている。
【0013】
引張力付与ネジ13は、図5に示すように、金属製の六角ボルト13aと、ポリアセタール樹脂等のプラスチック製の頭部13bとからなり、六角ボルト13aのネジ部分に雄ネジ部13a1が形成されている。頭部13bには、この引張力付与ネジ13を回転させるためマイナスドライバ(図示せず。)用の切り溝13b1が形成されている。
【0014】
次に、実施形態1のバンド締付具1の動作について説明する。
まず、図1および図2に示すようにバンド連結部材11の連結部11bに樹脂バンド2の一端側が連結されたバンド締付具1のベース部材12を、図6(a)に示すように電柱等の支柱3に押し付け、支柱3の外周に樹脂バンド2を回し、樹脂バンド2の他端側をバンド連結部材11の連結部11aに連結する。そして、引張力付与ネジ13を回転させると、引張力付与ネジ13の雄ネジ部13a1が、バンド連結部材11の下面に嵌められたナット11dの雌ネジ部11d1に螺合しているので、図6(b)に示すように樹脂バンド2が連結されたバンド連結部材11が引張力付与ネジ13に対し上昇、すなわち支柱3から離れるように移動する。すると、樹脂バンド2が連結されたバンド連結部材11が支柱3に対し浮くので、樹脂バンド2を締め付けることができる。
【0015】
従って、実施形態1のバンド締付具1によれば、引張力付与ネジ13はベース部材12の通し孔12b1に挿入され、その中空部12aにてバンド連結部材11のナット11dの雌ネジ部11d1に螺合し、引張力付与ネジ13を回転させることによりバンド連結部材11を支柱3から移動させて樹脂バンド2を締め付けるようにしたので、回動レバーを使用せずに電柱等の支柱3に対し簡単に樹脂バンド2を取付けることができる。
【0016】
実施形態2.
実施形態1のバンド締付具1は、バンド連結部材11と、ベース部材12と、引張力付与ネジ13とから構成したが、図7に示す実施形態2のバンド締付具1’のようにベース部材12を省略して、バンド連結部材11と、引張力付与ネジ13とから構成するようにしても良い。このようにした場合、引張力付与ネジ13の雄ネジ部13a1先端が支柱3の外周面に直接当接するものの、引張力付与ネジ13を回転させることにより、引張力付与ネジ13に対しバンド連結部材11が上昇して、支柱3から離れるように移動するので、実施形態1のバンド締付具1と同様に、樹脂バンド2を締め付けることができる。
【符号の説明】
【0017】
1,1’ バンド締付具
11 バンド連結部材
11a,11b 連結部
11a1,11a2,11b1 スリット
11c 通し孔
11d ナット
11d1 雌ネジ部
12 ベース部材
12a 中空部
12b 上面
12b1 通し孔
12c 下面
12c1 逃げ孔
12c2 軽量スリット
13 引張力付与ネジ
13a 六角ボルト
13a1 雄ネジ部
13b 頭部
13b1 切り溝
2 バンド(樹脂バンド)
3 電柱(支柱)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に形成されたバンドを電柱等の支柱の外周に回して締め付けるためのバンド締付具であって、
雌ネジ部を有すると共に、その両端部に支柱の外周を回したバンドの両端が連結されるバンド連結部材と、
前記バンド連結部材の雌ネジ部に螺合し、その回転により前記バンド連結部材を支柱に対し浮かせて前記バンドを締め付ける引張力付与ネジと、
を有することを特徴とするバンド締付具。
【請求項2】
請求項1記載のバンド締付具において、
さらに、支柱の外周方向に貫通した中空部を有し、その中空部に前記バンド連結部材を挿通させると共に、その中空部上方の上面に前記引張力付与ネジを通す通し孔が形成され、下面側が支柱の外周面に当接するベース部材を有し、
前記引張力付与ネジは、前記ベース部材の通し孔に挿入され、その中空部にて前記バンド連結部材の雌ネジ部に螺合し、その回転により前記バンド連結部材を支柱に対し浮かせて前記バンドを締め付けることを特徴とするバンド締付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113354(P2013−113354A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258935(P2011−258935)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】