バンプ製造方法
【目的】 バンプの抵抗の増大、Alパッドとの密着強度の低下を防止する為に、厄介で困難な残渣・残留物の除去を簡単に行い、またポリイミドの保護膜が、後のポリイミドバンプの作成時に現像液で侵されず、またその後のキュア時にクラックが入ることのないバンプ製造方法を提供する。
【構成】 相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が形成されているその表面に、感光性ポリイミドを塗布し、乾燥し、電極に対して露光し、現像し、キュアしてポリイミドバンプを形成した後、アッシング処理を行う。またウェハーのAlパッドを有する半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像して、Alパッドを周縁以外に露出し、然る後バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されない温度でキュアし、保護膜を作成する。
【構成】 相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が形成されているその表面に、感光性ポリイミドを塗布し、乾燥し、電極に対して露光し、現像し、キュアしてポリイミドバンプを形成した後、アッシング処理を行う。またウェハーのAlパッドを有する半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像して、Alパッドを周縁以外に露出し、然る後バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されない温度でキュアし、保護膜を作成する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばLSIチップの実装用フリップチップなどの半導体素子と実装用基板とを電気的導通をとる為のバンプを電極上に作成する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば半導体素子上にポリイミドバンプを作成するには、図1に示すように半導体素子1上にAlパッド2を形成し、次にAlパッド2の周縁及び半導体素子1を図2に示すように保護膜3で被覆し、次いで全面に図3に示すように感光性ポリイミド4を塗布し、次に乾燥し、Alパッド2に対し図4に示すように露光し、次いで図5に示すように現像してAlパッド2上にのみ感光性ポリイミド4′を残し、次に感光性ポリイミド4′をキュアして図6に示すようにポリイミドバンプ5を形成し、然る後図7に示すようにポリイミドバンプ5の外表面及びAlパッド周縁に導電膜6を被覆している。この際、保護膜3をポリイミドで作成するときはAlパッド2を有する半導体素子1上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像してAlパッド2を周縁以外露出し、然る後 300℃でキュアしてポリイミド化し、保護膜3を作成すればよい。また、半導体素子上に金属(Pb−Sn又はAu)バンプを作成するには、図2R>2に示すようにAlパッド2の周縁及び半導体素子1を保護膜3で被ったその全面に、図8に示すようにTi(又はCr)、その上層にCuの2層の導電性バリヤ7を被覆し、次にその上に図9に示すように感光性レジスト8を塗布し、次いで乾燥後、Alパッド2に対し図10に示すように露光し、次に、図11に示すように現像してAlパッド2上の感光性レジスト8を除去し、凹部9を形成し、次いで図12に示すように凹部9内にPb−Snメッキ10を施し、次に図13に示すように感光性ジレスト8を除去し、さらにCu、Ti(又はCr)の導電性バリヤ7をエッチンッグにより除去している。ところで、前者のポリイミドバンプ作成方法では、図6に示すように現像し、キュアしてポリイミドバンプ5を形成した際、Alパッド2の露出した周縁上に現像時の残渣・残留物が、またキュア時に揮発性の残渣・残留物11が生じ、また後者の金属(Pb−Sn又はAu)バンプ作成方法では、図11に示すように現像してAlパッド2上の感光性レジスト8を除去し、凹部9を形成した際、現像むらにより凹部9の底面のAlパッド上に現像時の残渣・残留物11が生じる。このように残渣・残留物11が生じたまま図7に示すようにポリイミドバンプ5の外表面及びAlパッド周縁に導電膜6を形成したり、図13に示すように金属(Pb−Sn、Au)メッキ10を行ったりすると、導電膜6とAlパッド2の周縁間の抵抗が増大したり、またPb−SnめっきあるいはAuめっきとAlパッド2との密着強度が低下したりした。なお、保護膜3をポリイミドとしたときはAlパッド2上にポリイミドバンプ5を作成すべく、半導体素子1上に感光性ポリイミド4を塗布し、露光し、現像してAlパッド1上の感光性ポリイミド4′以外を除去し、然る後 350℃でキュアしてポリイミドバンプ5を作成する際、注意深く作成しなければバンプ用ポリイミドの現像液で前記保護膜3のポリイミドが侵されてしまい、Alパッド上の感光性ポリイミドをキュアした際、保護膜にクラックが入ることがあった。そこで本発明者らは、バンプ用感光性ポリイミドの現像液で保護膜のポリイミドが侵されないようにする為に、種々実験を試みた結果、保護膜用の感光性ポリイミドのキュア温度をバンプ用の温度より高くすると、バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されないことを知見した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、バンプの導電性の低下、電極との密着強度の低下を防止する為に、厄介で困難な残渣・残留物の除去を簡単に且つ完全に行うことのできる、また、ポリイミドで作成された保護膜が、後のポリイミドバンプの作成時に現像液で侵されず、キュア時にクラックが入らないようにしたバンプ製造方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明のバンプ製造方法の1つは、相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が形成されているその表面に、感光性ポリイミドを塗布し、乾燥し、電極に対して露光し、現像し、キュアしてポリイミドバンプを形成した後、アッシング処理を行ない、その後ポリイミドバンプの表面に導電膜を被覆することを特徴とするものである。本発明のバンプ製造方法の応用は、相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が露出形成されているその表面に、感光性レジストを塗布し、乾燥後、電極に対して露光し、現像して感光性レジストを除去し、凹部を形成した後、アッシンッグ処理を行い、その後凹部内にPb−SnメッキあるいはAuメッキを施し、次に感光性レジストと除去することを特徴とするものである。前記アッシング処理には、ドライエッチング又は逆スパッタリングも有効であるが、特にO2 プラズマが残渣・残留物を完全に除去できるので好ましい。本発明のバンプ製造方法の更に他の1つは、ウェハーのAlパッドを有する半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像して、Alパッドを周縁以外露出し、然る後バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されない温度でキュアし、保護膜を作成し、その後半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像してAlパッド上の感光性ポリイミド以外を除去し、その後、キュアしてポリイミドバンプを形成した後、ポリイミドバンプの表面に導電膜を被覆することを特徴とするものである。前記キュア温度は、Alパッド上に作成されるポリイミドバンプのキュア温度と同温又はそれ以上高い温度であることが好ましい。より具体的には 350℃〜400℃のキュア温度が好ましい。その理由は 350℃未満では効果が無く、 400℃を超えると半導体素子に悪影響を与えるからである。
【0005】
【作用】上記のように本発明は、バンプ作成時に電極上に生じた残渣・残留物をアッシング処理、ドライエッチング又は逆スパッタリングにより簡単且つ完全に除去できるので、その後、電極上のポリイミドバンプの外表面に導電膜を被覆したり、電極上に金属(Pb−Sn、Au)バンプを作成すると導電膜と電極周縁間の接触抵抗が低く安定し、また金属(Pb−Sn、Au)バンプと電極との密着強度が高く安定した品質、性能の良いものとなる。また、さらに上記のように本発明は、保護膜を、バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されない温度でキュアして作成するので、その後Alパッド上にポリイミドバンプを作成すべく、半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像してAlパッド上の感光性ポリイミド以外を除去した際、バンプ用ポリイミドの現像液で前記保護膜のポリイミドが全く侵されず、またこの後 350℃でキュアしてポリイミドバンプを作成しても保護膜にクラックが入ることがない。
【0006】
【実施例1】本発明のバンプ製造方法の1つの実施例を説明すると、図1に示すように半導体素子1上にAlパッド2を形成し、次にAlパッド2の周縁及び半導体素子1を図2に示すように保護膜3で被覆し、次いで全面に図3に示すように感光性ポリイミド4を塗布し、次に乾燥し、Alパッド2に対し図4にしめすように露光し、次に図5に示すように現像してAlパッド2上にのみ感光性ポリイミド4′を残し、次に感光性ポリイミド4′をキュアして図6に示すようにポリイミドバンプ5を形成した後、現像時に完全に除去できずにAlパッド2の周縁に残った感光性ポリイミド4′からの残渣・残留物11やキュア時に生じる揮発性残渣・残留物11をアッシング処理として、本例の場合O2 プラズマによるアッシング処理を行って除去した。そしてAlパッド2の周縁を検査した処、揮発性残渣・残留物11は完全に消失していた。その後、ポリイミドバンプ5の外表面に図7に示すようにAlの導電膜6を被覆してバンプを完成させた。このバンプはAlパッド周縁の残滓・残留物11が完全に除去されているので、外表面の導電膜6はAlパッド2の周縁に確実に密着し、接触抵抗が低く安定する。
【0007】
【実施例2】次に本発明の残渣・残留物除去方法の他の1つの実施例を説明すると、図2に示すようにAlパッド2の周縁及び半導体素子1を保護膜3で被ったその全面に、図8に示すようにTi、その上にCuの2層の導電性バリヤ7を被覆し、次にその上に図9に示すように感光性レジスト8を塗布し、次いで乾燥後Alパッド2に対し、図10に示すように露光し、次に図11に示すように現像してAlパッド2上の感光性レジスト8を除去し、凹部9を形成した後、現像むらにより、凹部9の底面のAlパッド2に生じた現像時の残渣・残留物11′をアッシング処理として本例の場合逆スパッタリングを行って除去した。そしてAlパッド2の底面を検査した処、現像時の残渣・残留物11′は完全に消失していた。その後、凹部9内に図12に示すようにPb−Snメッキ10を施し、次に図13に示すように感光性レジスト8を除去し、さらにCu、Tiの導電性バリヤ7をエッチングにより除去して、バンプを完成させた。このバンプは、凹部9の底面のAlパッド2の現像時の残渣・残留物11′が完全に除去されているので、Alパッド2との密着強度が高く安定する。
【0008】
【実施例3】特に、ポリイミドで作成された保護膜の場合は、感光性ポリイミド4を塗布し、次に露光し、現像して、図3に示すようにAlパッド1を周縁以外露出し、然る後 350℃、60分間キュアして保護膜3を作成した。その後Alパッド1上にポリイミドバンプを作成すべく、半導体素子2上に図3に示す如く感光性ポリイミド4を塗布し、露光し、現像してAlパッド1上の感光性ポリイミド4以外を除去した際、バンプ用ポリイミドの現像液で前記保護膜3が全く侵されなかった。またこの後 350℃でキュアして図6に示すようにポリイミドバンプ5を作成した際、保護膜3にクラックが入ることがなかった。
【0009】
【発明の効果】以上の通り本発明によれば、バンプ作成時に電極上に生じた残渣・残留物を簡単且つ完全に除去できるので、その後バンプを完成させると、該バンプは抵抗が低く安定し、且つAlパッドとの密着強度が高く安定した、品質、性能の良いものとなる。また、特に、ポリイミドで作成された保護膜の場合も、保護膜が、後のポリイミドバンプの作成時に現像液で侵されず、またその後のキュア時にクラックが入ることのない保護膜を容易に得ることができる。従って抵抗が低く、Alパッドとの密着強度が高く安定した、クラックのない保護膜を有しバンプを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図2】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図3】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図4】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図5】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図6】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図7】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図8】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図9】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図10】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図11】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図12】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図13】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【符号の説明】
1 半導体素子
2 Alパッド
3 保護膜
4 感光性ポリイミド
4′ 感光性ポリイミド
5 ポリイミドバンプ
6 導電膜
7 導電性バリヤ
8 感光性レジスト
9 凹部
10 Pb−Snメッキ
11 残渣・残留物
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばLSIチップの実装用フリップチップなどの半導体素子と実装用基板とを電気的導通をとる為のバンプを電極上に作成する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば半導体素子上にポリイミドバンプを作成するには、図1に示すように半導体素子1上にAlパッド2を形成し、次にAlパッド2の周縁及び半導体素子1を図2に示すように保護膜3で被覆し、次いで全面に図3に示すように感光性ポリイミド4を塗布し、次に乾燥し、Alパッド2に対し図4に示すように露光し、次いで図5に示すように現像してAlパッド2上にのみ感光性ポリイミド4′を残し、次に感光性ポリイミド4′をキュアして図6に示すようにポリイミドバンプ5を形成し、然る後図7に示すようにポリイミドバンプ5の外表面及びAlパッド周縁に導電膜6を被覆している。この際、保護膜3をポリイミドで作成するときはAlパッド2を有する半導体素子1上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像してAlパッド2を周縁以外露出し、然る後 300℃でキュアしてポリイミド化し、保護膜3を作成すればよい。また、半導体素子上に金属(Pb−Sn又はAu)バンプを作成するには、図2R>2に示すようにAlパッド2の周縁及び半導体素子1を保護膜3で被ったその全面に、図8に示すようにTi(又はCr)、その上層にCuの2層の導電性バリヤ7を被覆し、次にその上に図9に示すように感光性レジスト8を塗布し、次いで乾燥後、Alパッド2に対し図10に示すように露光し、次に、図11に示すように現像してAlパッド2上の感光性レジスト8を除去し、凹部9を形成し、次いで図12に示すように凹部9内にPb−Snメッキ10を施し、次に図13に示すように感光性ジレスト8を除去し、さらにCu、Ti(又はCr)の導電性バリヤ7をエッチンッグにより除去している。ところで、前者のポリイミドバンプ作成方法では、図6に示すように現像し、キュアしてポリイミドバンプ5を形成した際、Alパッド2の露出した周縁上に現像時の残渣・残留物が、またキュア時に揮発性の残渣・残留物11が生じ、また後者の金属(Pb−Sn又はAu)バンプ作成方法では、図11に示すように現像してAlパッド2上の感光性レジスト8を除去し、凹部9を形成した際、現像むらにより凹部9の底面のAlパッド上に現像時の残渣・残留物11が生じる。このように残渣・残留物11が生じたまま図7に示すようにポリイミドバンプ5の外表面及びAlパッド周縁に導電膜6を形成したり、図13に示すように金属(Pb−Sn、Au)メッキ10を行ったりすると、導電膜6とAlパッド2の周縁間の抵抗が増大したり、またPb−SnめっきあるいはAuめっきとAlパッド2との密着強度が低下したりした。なお、保護膜3をポリイミドとしたときはAlパッド2上にポリイミドバンプ5を作成すべく、半導体素子1上に感光性ポリイミド4を塗布し、露光し、現像してAlパッド1上の感光性ポリイミド4′以外を除去し、然る後 350℃でキュアしてポリイミドバンプ5を作成する際、注意深く作成しなければバンプ用ポリイミドの現像液で前記保護膜3のポリイミドが侵されてしまい、Alパッド上の感光性ポリイミドをキュアした際、保護膜にクラックが入ることがあった。そこで本発明者らは、バンプ用感光性ポリイミドの現像液で保護膜のポリイミドが侵されないようにする為に、種々実験を試みた結果、保護膜用の感光性ポリイミドのキュア温度をバンプ用の温度より高くすると、バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されないことを知見した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、バンプの導電性の低下、電極との密着強度の低下を防止する為に、厄介で困難な残渣・残留物の除去を簡単に且つ完全に行うことのできる、また、ポリイミドで作成された保護膜が、後のポリイミドバンプの作成時に現像液で侵されず、キュア時にクラックが入らないようにしたバンプ製造方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明のバンプ製造方法の1つは、相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が形成されているその表面に、感光性ポリイミドを塗布し、乾燥し、電極に対して露光し、現像し、キュアしてポリイミドバンプを形成した後、アッシング処理を行ない、その後ポリイミドバンプの表面に導電膜を被覆することを特徴とするものである。本発明のバンプ製造方法の応用は、相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が露出形成されているその表面に、感光性レジストを塗布し、乾燥後、電極に対して露光し、現像して感光性レジストを除去し、凹部を形成した後、アッシンッグ処理を行い、その後凹部内にPb−SnメッキあるいはAuメッキを施し、次に感光性レジストと除去することを特徴とするものである。前記アッシング処理には、ドライエッチング又は逆スパッタリングも有効であるが、特にO2 プラズマが残渣・残留物を完全に除去できるので好ましい。本発明のバンプ製造方法の更に他の1つは、ウェハーのAlパッドを有する半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像して、Alパッドを周縁以外露出し、然る後バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されない温度でキュアし、保護膜を作成し、その後半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像してAlパッド上の感光性ポリイミド以外を除去し、その後、キュアしてポリイミドバンプを形成した後、ポリイミドバンプの表面に導電膜を被覆することを特徴とするものである。前記キュア温度は、Alパッド上に作成されるポリイミドバンプのキュア温度と同温又はそれ以上高い温度であることが好ましい。より具体的には 350℃〜400℃のキュア温度が好ましい。その理由は 350℃未満では効果が無く、 400℃を超えると半導体素子に悪影響を与えるからである。
【0005】
【作用】上記のように本発明は、バンプ作成時に電極上に生じた残渣・残留物をアッシング処理、ドライエッチング又は逆スパッタリングにより簡単且つ完全に除去できるので、その後、電極上のポリイミドバンプの外表面に導電膜を被覆したり、電極上に金属(Pb−Sn、Au)バンプを作成すると導電膜と電極周縁間の接触抵抗が低く安定し、また金属(Pb−Sn、Au)バンプと電極との密着強度が高く安定した品質、性能の良いものとなる。また、さらに上記のように本発明は、保護膜を、バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されない温度でキュアして作成するので、その後Alパッド上にポリイミドバンプを作成すべく、半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像してAlパッド上の感光性ポリイミド以外を除去した際、バンプ用ポリイミドの現像液で前記保護膜のポリイミドが全く侵されず、またこの後 350℃でキュアしてポリイミドバンプを作成しても保護膜にクラックが入ることがない。
【0006】
【実施例1】本発明のバンプ製造方法の1つの実施例を説明すると、図1に示すように半導体素子1上にAlパッド2を形成し、次にAlパッド2の周縁及び半導体素子1を図2に示すように保護膜3で被覆し、次いで全面に図3に示すように感光性ポリイミド4を塗布し、次に乾燥し、Alパッド2に対し図4にしめすように露光し、次に図5に示すように現像してAlパッド2上にのみ感光性ポリイミド4′を残し、次に感光性ポリイミド4′をキュアして図6に示すようにポリイミドバンプ5を形成した後、現像時に完全に除去できずにAlパッド2の周縁に残った感光性ポリイミド4′からの残渣・残留物11やキュア時に生じる揮発性残渣・残留物11をアッシング処理として、本例の場合O2 プラズマによるアッシング処理を行って除去した。そしてAlパッド2の周縁を検査した処、揮発性残渣・残留物11は完全に消失していた。その後、ポリイミドバンプ5の外表面に図7に示すようにAlの導電膜6を被覆してバンプを完成させた。このバンプはAlパッド周縁の残滓・残留物11が完全に除去されているので、外表面の導電膜6はAlパッド2の周縁に確実に密着し、接触抵抗が低く安定する。
【0007】
【実施例2】次に本発明の残渣・残留物除去方法の他の1つの実施例を説明すると、図2に示すようにAlパッド2の周縁及び半導体素子1を保護膜3で被ったその全面に、図8に示すようにTi、その上にCuの2層の導電性バリヤ7を被覆し、次にその上に図9に示すように感光性レジスト8を塗布し、次いで乾燥後Alパッド2に対し、図10に示すように露光し、次に図11に示すように現像してAlパッド2上の感光性レジスト8を除去し、凹部9を形成した後、現像むらにより、凹部9の底面のAlパッド2に生じた現像時の残渣・残留物11′をアッシング処理として本例の場合逆スパッタリングを行って除去した。そしてAlパッド2の底面を検査した処、現像時の残渣・残留物11′は完全に消失していた。その後、凹部9内に図12に示すようにPb−Snメッキ10を施し、次に図13に示すように感光性レジスト8を除去し、さらにCu、Tiの導電性バリヤ7をエッチングにより除去して、バンプを完成させた。このバンプは、凹部9の底面のAlパッド2の現像時の残渣・残留物11′が完全に除去されているので、Alパッド2との密着強度が高く安定する。
【0008】
【実施例3】特に、ポリイミドで作成された保護膜の場合は、感光性ポリイミド4を塗布し、次に露光し、現像して、図3に示すようにAlパッド1を周縁以外露出し、然る後 350℃、60分間キュアして保護膜3を作成した。その後Alパッド1上にポリイミドバンプを作成すべく、半導体素子2上に図3に示す如く感光性ポリイミド4を塗布し、露光し、現像してAlパッド1上の感光性ポリイミド4以外を除去した際、バンプ用ポリイミドの現像液で前記保護膜3が全く侵されなかった。またこの後 350℃でキュアして図6に示すようにポリイミドバンプ5を作成した際、保護膜3にクラックが入ることがなかった。
【0009】
【発明の効果】以上の通り本発明によれば、バンプ作成時に電極上に生じた残渣・残留物を簡単且つ完全に除去できるので、その後バンプを完成させると、該バンプは抵抗が低く安定し、且つAlパッドとの密着強度が高く安定した、品質、性能の良いものとなる。また、特に、ポリイミドで作成された保護膜の場合も、保護膜が、後のポリイミドバンプの作成時に現像液で侵されず、またその後のキュア時にクラックが入ることのない保護膜を容易に得ることができる。従って抵抗が低く、Alパッドとの密着強度が高く安定した、クラックのない保護膜を有しバンプを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図2】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図3】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図4】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図5】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図6】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図7】半導体素子上にポリイミドバンプを作成する工程を示す図である。
【図8】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図9】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図10】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図11】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図12】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【図13】半導体素子上にPb−Snバンプを作成する工程を示す図である。
【符号の説明】
1 半導体素子
2 Alパッド
3 保護膜
4 感光性ポリイミド
4′ 感光性ポリイミド
5 ポリイミドバンプ
6 導電膜
7 導電性バリヤ
8 感光性レジスト
9 凹部
10 Pb−Snメッキ
11 残渣・残留物
【特許請求の範囲】
【請求項1】 相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が形成されているその表面に、感光性ポリイミドを塗布し、乾燥し、電極に対して、露光し、現像し、キュアしてポリイミドバンプを形成した後、アッシング処理を行ない、その後ポリイミドバンプの表面に導電膜を被覆することを特徴とするバンプ製造方法。
【請求項2】 相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が露出形成されているその表面に感光性レジストを塗布し、乾燥後、電極に対して露光し、現像して感光性レジストを除去し、凹部を形成した後、アッシング処理を行ない、その後凹部内にPb−SnメッキあるいはAuメッキを施し、次に感光性レジストを除去することを特徴とするパンプ製造方法。
【請求項3】 アッシング処理がドライエッチング又は逆スパッタリングするることを特徴とする請求項1又は2記載のバンプ製造方法。
【請求項4】 アッシング処理が、O2 プラズマであることを特徴とする請求項1又は2記載のバンプ製造方法。
【請求項5】 ウェハーのAlパッドを有する半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像して、Alパッドを周縁以外露出し、然る後バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されない温度でキュアし、保護膜を作成し、その後、半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像してAlパッド上の感光性ポリイミド以外を除去し、その後キュアしてポリイミドバンプを形成した後、ポリイミドバンプの表面に導電膜を被覆することを特徴とするバンプ製造方法。
【請求項6】 キュア温度が、Alパッド上に作成されるポリイミドバンプのキュア温度と同温又はそれ以上高い温度であることを特徴とする請求項5記載のバンプ製造方法。
【請求項7】 キュア温度が 350℃〜 400℃であることを特徴とする請求項5又は6記載のバンプ製造方法。
【請求項1】 相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が形成されているその表面に、感光性ポリイミドを塗布し、乾燥し、電極に対して、露光し、現像し、キュアしてポリイミドバンプを形成した後、アッシング処理を行ない、その後ポリイミドバンプの表面に導電膜を被覆することを特徴とするバンプ製造方法。
【請求項2】 相互に電気的導通をとるウェハーの半導体素子と実装基板のいずれかの面に電極が露出形成されているその表面に感光性レジストを塗布し、乾燥後、電極に対して露光し、現像して感光性レジストを除去し、凹部を形成した後、アッシング処理を行ない、その後凹部内にPb−SnメッキあるいはAuメッキを施し、次に感光性レジストを除去することを特徴とするパンプ製造方法。
【請求項3】 アッシング処理がドライエッチング又は逆スパッタリングするることを特徴とする請求項1又は2記載のバンプ製造方法。
【請求項4】 アッシング処理が、O2 プラズマであることを特徴とする請求項1又は2記載のバンプ製造方法。
【請求項5】 ウェハーのAlパッドを有する半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像して、Alパッドを周縁以外露出し、然る後バンプ用感光性ポリイミドの現像液に侵されない温度でキュアし、保護膜を作成し、その後、半導体素子上に感光性ポリイミドを塗布し、露光し、現像してAlパッド上の感光性ポリイミド以外を除去し、その後キュアしてポリイミドバンプを形成した後、ポリイミドバンプの表面に導電膜を被覆することを特徴とするバンプ製造方法。
【請求項6】 キュア温度が、Alパッド上に作成されるポリイミドバンプのキュア温度と同温又はそれ以上高い温度であることを特徴とする請求項5記載のバンプ製造方法。
【請求項7】 キュア温度が 350℃〜 400℃であることを特徴とする請求項5又は6記載のバンプ製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【公開番号】特開平8−37192
【公開日】平成8年(1996)2月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−192107
【出願日】平成6年(1994)7月22日
【出願人】(000217228)田中貴金属工業株式会社 (146)
【公開日】平成8年(1996)2月6日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)7月22日
【出願人】(000217228)田中貴金属工業株式会社 (146)
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