説明

バー、フィリング、被覆及びスプレッド用食品エマルジョンとその製法

本発明は、糖類と炭水化物とを含有する水中油型エマルジョン系の非乳製品型の食品組成物であって、水分活性が0.5〜0.75の範囲内、乾燥分含有量が食品組成物の全重量に基づいて80〜95重量%であり、粒度10μm以下の非糊化デンプンを含有し、脂肪分離がなく、かつ組成物が1〜15℃の温度で少なくとも6週間安定であることを特徴とする食品組成物に関する。本発明はその製造方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状ではなく、塑性挙動を示す水中油型エマルジョン系の非乳製品型食品組成物と、スナックバー(棒状スナック食品)のような食品におけるフィリング(詰め物)としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、食べるのと取り扱いが簡単な健康食品、特に脂肪と糖類の含有量が低い健康スナックバーをますます探し求めている。しかし、今日まで、これらの特性を有するスナックバーはあまり存在しない。
【0003】
特開昭58−212752号公報は、油脂5〜10%、乳化剤、糖類5〜40%、化学処理(化工)デンプン4〜10%を含有し、超高温処理を受けたプレエマルジョンから調製された、長期保存安定性を有する水中油型エマルジョンを記載している。しかし、デンプンは水相中に添加され、従って糊化(ゲル化)されている。さらに、デンプンの糊化は超高温処理により増大する。その結果、この組成物は糊化していないデンプンを全く含有しなくなる。さらに、この組成物の乾燥分(固形分)は多くても42重量%である。
【0004】
特開平4−71448号公報は、水相中に卵と糖類を含有し、油相中にデンプンを含有する水中油型エマルジョンを記載している。卵は単独で75%の水を含有する。従って、このエマルジョンの乾燥分含有量は70%以下である。さらに、水分活性が0.8より大きい。最後に、このエマルジョンはデンプンの糊化を引き起こす熱処理を受ける。
【特許文献1】特開昭58−212752号公報
【特許文献2】特開平4−71448号公報
【発明の開示】
【0005】
さらに、ますます多くの人々が乳製品、特に乳糖によるアレルギーの問題を抱えているので、乳製品を使用せずにクリーミーな口当たりとフレッシュなノート(note、香り)を有する食品が求められている。
【0006】
本発明者らは、非糊化デンプン(糊化していないデンプン)を使用すると、手で持ってその元の形状を保持するのに十分なテクスチャーを有しながら、なおスプーンですくえることができる柔らかさを持ち、脂肪と糖類の含有量が低く、かつクリーミーな口当たりを有する、脂肪分離のない水中油型エマルジョン系の非乳製品型食品組成物を提供できることを予想外にも見出した。
【0007】
非糊化デンプンを使用する利点は次の通りである:
・非糊化デンプンは、栄養学の見地からは、糊化デンプン(これはそれが完全に糊化した時には純グルコースに比すことができる)に比べて、デンプンの消化速度をより遅く、血糖指数より低くできる。さらに、非糊化デンプンには、全く消化されず、繊維と見なしうる抵抗性の部分が存在する。
【0008】
・官能(味覚)の目的にとって、非糊化デンプンは、水を吸収しているであろう糊化デンプンに比べて、フィリングの粘度をより低くできる。従って、官能または粘度への悪影響を及ぼさずに大量に使用することができ、それでも良好な栄養プロフィールを保つ。これに対し、糊化デンプンは大量に使用すると組成物にゴムのようなテクスチャーを与えよう。
【0009】
本発明は、糖類と炭水化物とを含有する水中油型エマルジョン系の非乳製品型食品組成物であって、水分活性が0.5〜0.75の範囲内、より有利には0.6〜0.75の範囲内、さらに一層有利には0.6〜0.7の範囲内で、乾燥分含有量(固形分含有量)が食品組成物の全重量に基づいて80〜95重量%、より有利には食品組成物の全重量に基づいて85〜90重量%であり、粒度10μm以下の非糊化デンプンを含有し、脂肪分離がなく、かつ組成物が1〜15℃の温度で少なくとも6週間は安定であることを特徴とする食品組成物に関する。
【0010】
本発明によると、「脂肪分離がない」とは、エマルジョン中に相の分離がないこと、特に目に見える脂肪相の出現がないことを意味する。
本発明によると、「安定」とは、本発明に係る非乳製品型食品組成物が、構造、脂肪分離の不存在、および汚染に関して変化しないことを意味する。
【0011】
食品の水分活性は食品分野では周知の概念である。往々にして(Aw)の形に略記されるこの測定は、サンプル中の水の利用能を測る。たいていの場合、この水分活性は、その食品の水分量には比例しない。
【0012】
例として、下記を挙げることができる:
・チョコレート:水分量約1%:(Aw)=0.50
・バター:水分量16%:(Aw)=0.99
・フルーツヨーグルト:水分量82%:(Aw)=0.99
・水中の10%グリセリン:(Aw)=0.95。
【0013】
食品のAwを測定することができる方法は当業者には公知である。
本発明の組成物のAw値は組成物をより安定にすることができる。
本発明に係る食品に使用することができる非糊化デンプンは、糊化しておらず、粒度が10μm以下、有利には2〜8μmの範囲内であれば、任意の種類のデンプンでよい。この粒度は、口内での粒子の存在の知覚を不可能にする。従って、口内で粒子は気づかれない。この粒度は、例えば、米デンプンのように天然でこの粒度を有するデンプンから直接得ることができ、或いは10μm以下の粒度が得られるようにデンプンを粉砕した後に得ることもできる。
【0014】
適当なデンプン源は、例えば、とうもろこし、米、小麦、ビート、大麦、大豆およびオート麦のような穀物粉である。これらの穀物粉の混合物も使用できる。穀物粉は全粒粉でもよく、或いは一部の部分を除去した粉でもよい。例えば、胚芽部分または穀皮部分を除去してもよい。米粉、とうもろこし粉、および小麦粉が、単独でまたは混合物のいずれでも特に好適である。
【0015】
有利には、使用したデンプンはグルテンを含まず、グルテンにアレルギーのある人にも摂取可能である。より有利には米粉を使用する。
有利には、本発明に係る食品は糊化デンプンを全く含有しない。
【0016】
有利には、本発明に係る食品組成物中の非糊化デンプンの量は、この非乳製品型食品組成物の全重量に基づいて5〜30重量%の範囲内、より有利には非乳製品型食品組成物の全重量に基づいて5〜25重量%の範囲内、より有利には非乳製品型食品組成物の全重量に基づいて8〜20重量%の範囲内、有利には非乳製品型食品組成物の全重量に基づいて8〜15重量%の範囲内、より有利には非乳製品型食品組成物の全重量に基づいて10〜40重量%の範囲内である。
【0017】
本発明に係る食品組成物の製造工程中にデンプンは食品組成物中の利用可能な水のほぼ全部を吸収するが、糊化しない。
デンプンの存在のために、本発明に係る非乳製品型食品組成物は脂肪含有量を低くすることができる。有利には、その脂肪含有量は食品組成物の全重量に基づいて15〜40重量%であり、より有利には食品組成物全重量に基づいて15〜35重量%である。
【0018】
任意の種類の食用脂肪を本発明で使用することができる。好適な脂肪は、特に食用油脂、特に植物性油脂、例えば、水素化大豆脂である。従って、脂肪は水素化または部分水素化植物性油脂、特に非ラウリン脂肪であってもよい。例えば、ひまわり油、紅花油、コーン油等の植物油を使用することができる。油を使用する場合には、モノ不飽和油の割合が高い油が特に好ましい。特に、脂肪は融点が20℃より高い。そのような脂肪の例は、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、ピーナッツ脂などの植物性脂肪、バター、マーガリン、水素化もしくは部分水素化植物油ならびに/または植物油の単独または混合物であり、パーム油が好ましい。
【0019】
本発明の特定の1態様において、本発明に係る非乳製品型食品組成物は糖類含有量が低く、糖類含有量は有利には食品組成物の全重量に基づいて10〜35重量%、より有利には食品組成物の全重量に基づいて10〜30重量%の範囲内である。
【0020】
本発明で使用できる糖類は、単糖、二糖、もしくはオリゴ糖、またはこれらの混合物である。特に、それはマルトデキストリン、フルクトース、サッカロース、デキストロース、マルトース、グルコース、例えば、Cerestar社が販売する噴霧乾燥グルコースもしくはグルコースシロップの形態のもの、ラクトース(乳糖)、スクロース、米シロップ、オリゴフルクトース、或いはソルビトールのようなポリオール類、またはこれらの混合物から選択することができる。糖類の一部としてオリゴ糖を使用することが好ましい。このオリゴ糖はグルコース、フルクトースなどの単糖3〜10個が結合したものからなる。オリゴ糖の構成成分の単糖の種類と個数に応じて、虫歯の予防ならびに甘味料の機能のような効果を得ることができる。そのようなオリゴ糖として、まず虫歯の予防効果を有するオリゴ糖には、例えば、ガラクトオリゴ糖及びフルクトオリゴ糖がある。中でも、フルクトオリゴ糖を使用することが好ましい。また、上記オリゴ糖はそれぞれ単独で、または2種以上の混合物として使用することができる。本発明に係る組成物のフレッシュな食品のノートを保持するように、その組成が媒質の甘味力を過度に増大させない糖の使用が好ましいだろう。
【0021】
本発明の別の態様において、本発明に係る非乳製品型食品組成物は、繊維、有利にはイヌリンまたはフルクトオリゴ糖またはポリデキストロースのような可溶性繊維を、特に食品組成物の全重量に基づいて5〜35重量%、より有利には食品組成物の全重量に基づいて10〜35重量%の量、さらに一層有利には食品組成物の全重量に基づいて10〜20重量%の量で含有する。
【0022】
本発明の別の有利な態様では、本発明に係る食品組成物は、0〜50%、有利には0〜45%、より有利には20〜45%、さらに一層有利には約30〜45%のオーバーランを与える。このオーバーランは、組成物を白くすることによりその見かけをより良好にする。このようなオーバーランはガス、特に空気または不活性ガスの添加により得ることができる。さらに、オーバーランは、本発明に係る組成物により滑らかな食感特性(クリーミーさ)を付与することができる。
【0023】
有利には、本発明に係る非乳製品型食品組成物にフレッシュな味わいを付与するために、組成物は、pH3〜5、有利には3.5〜5、より有利には4〜5、さらに一層有利にはクエン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸などを使用することにより、酸性化される。有利にはクエン酸および/または乳酸が使用され、より有利には食品組成物の全重量に基づいて0.1重量%のクエン酸および/または食品組成物の全重量に基づいて0.1重量%の乳酸が使用される。この酸性化は望ましくない微生物の増殖の可能性を著しく低減し、従って製品(食品)の貯蔵期間を増大させる。その結果、製品に対して微生物安定性を付与するための加熱工程が不要となる。
【0024】
本発明に係る非乳製品型食品組成物は乳化剤、特にモノグリセリドジアセチル酒石酸エステル(DATEM)またはモノおよびジグリセリドのクエン酸エステルまたは大豆レシチンを、有利には食品組成物の全重量に基づいて1〜5重量%、より有利には食品組成物の全重量に基づいて3〜5重量%の量で含有することができる。
【0025】
本発明に係る非乳製品型食品組成物はまた、例えば、乳汁タンパク質(ミルクプロテイン)のようなタンパク質を、有利には食品組成物の全重量に基づいて0〜10重量%、有利には食品組成物の全重量に基づいて0〜8重量%、より有利には食品組成物の全重量に基づいて1〜6重量%、さらに一層有利には食品組成物の全重量に基づいて3〜6重量%の量で含有することができる。特に、乳汁タンパク質は、脱脂粉乳の形態で、有利には5重量%以下の量で添加することができる(この脱脂乳の量は、乳糖を無視できる量でしかもたらさない)。大豆タンパク質または他の植物性タンパク質のような他の種類のタンパク質も使用できる。
【0026】
有利には、本発明に係る非乳製品型食品組成物の炭水化物含有量は、食品組成物の全重量に基づいて30〜60重量%の範囲内である。
本発明に係る非乳製品型食品組成物には、特にヨーグルト香料、ココア香料またはバニラ香料などの香料、微量元素およびミネラル、カルシウム、鉄、マグネシウム、リン、ビタミン類、特にビタミンC、DおよびE、酸化防止剤、着色料、保存料、安定剤などの他の添加剤も添加しうる。
【0027】
本発明はまた、本発明に係る非乳製品型食品組成物の食品、有利にはスナックバーのフィリング(中身の詰め物)またはコーティング(被覆または外被)、より有利には例えばサンドイッチの形態のそのまま食べられる乾燥シリアル製品のフィリングまたは被覆としての、或いは完全シリアル被覆された非乳製品型食品組成物としての、或いはスプレッド(塗るための食材)としての使用にも関する。
【0028】
特に、このような食品のフィリングまたは被覆の含有量は食品の全重量に基づいて10〜90重量%の範囲内である。
本発明はまた、本発明に係る非乳製品型食品組成物の少なくとも1層を含んでいる多層食品にも関する。特に、本発明に係る多層食品は下から上の順で下記の層の組み合わせを有することができる:
・シリアル(穀物)層および本発明に係る非乳製品型食品組成物の層;
・シリアル層もしくはチョコレート層、本発明に係る非乳製品型食品組成物層、ならびにシリアル層もしくはチョコレート層;
・チョコレート層、シリアル層、本発明に係る非乳製品型食品組成物の層、シリアル層、およびチョコレート層;
・シリアル層、チョコレート層、本発明に係る非乳製品型食品組成物層、チョコレート層、およびシリアル層。
【0029】
本発明はまた、本発明に係る非乳製品型食品組成物をフィリングとして含み、このフィリングがシリアル(穀物)および/または果実および/または種子および/またはナッツ製品を含む被覆層で被覆されている、固体食品組成物(固体食品製品)にも関する。この被覆層は、フィリング全体を被覆していても、あるいはその一部だけを被覆していてもよい。有利には、フィリングは本発明に係るこの固体食品製品の30〜50重量%、より有利には40重量%を占める。
【0030】
本発明によると、「果実」なる用語とは、任意の乾燥果実または固体果実調製品(Awが0.75以下のもの)を意味するものである。そのような果実の例としては、それらに制限されないが、さくらんぼ、ぶどう、いちご、ラズベリー、いちじく、りんご、あんずのそれぞれ単独、またはそれらのいくつかの混合物が挙げられる。
【0031】
この用語は生の新鮮果物は含まない。果実は濃縮果実の形態であってもよい。
本発明によると、種子の例としては、それらに制限されないが、ゴマの種、かぼちゃの種、およびケシの種が挙げられる。
【0032】
本発明によると、「ナッツ製品」なる用語は、くるみ、アーモンド、ナッツの仁(nuts kernel)、カシューナッツ、マカデミアナッツなどのような任意のナッツを意味するものである。
【0033】
本発明において使用できるシリアルの例は、コーン、オート麦、または米のフレークである。小麦ふすま、コーンふすま、米ぬか、ライ麦ふすまなども、本発明に係るシリアル層の一部として使用可能である。この場合、被覆層は繊維を、有利には被覆層の全重量に基づいて15重量%以下、有利には被覆層の全重量に基づいて5重量%以下の量で含んでいる。
【0034】
有利には、被覆層は場合により果実および/またはナッツ製品および/または種子を含んでいてもよいシリアル層である。
より有利には、シリアル層は、シリアルの粒と、場合により果実および/または種子および/またはナッツ製品とを、糖類および炭水化物を含有するシロップにより結合させたものからなる、固体のそのまま食べられる層である。特に、この層はパリパリしていて、本発明に係る固体食品組成物にパリパリ食感(crunchiness)を付与する。有利にはシリアルおよび場合により含有させる果実および/または種子および/またはナッツ製品の量はシリアル層の全重量に基づいて60〜70重量%の範囲内である。より有利には、果実の量はシリアル層の全重量に基づいて15重量%未満であり、さらにより有利には濃縮果実を使用する場合はシリアル層の全重量に基づいて10重量%未満である。
【0035】
有利には、シリアル層は別のシリアル層またはチョコレート層などの別の層で被覆される。
有利な態様において、シリアル層の脂肪含有量は、シリアル層の全重量に基づいて0〜10重量%であり、より有利にはシリアル層の全重量に基づいて0〜8重量%である。
【0036】
本発明の特定の1態様において、シリアル層のAwは0.5〜0.75の範囲内である。
予想外にも、フィリングのAwが被覆層のAwより高くても、この固体食品組成物はパリパリしていて、4〜10℃の貯蔵温度でこの固体食品組成物の貯蔵期間内はパリパリのままである。
【0037】
本発明の別の特定の1態様では、シリアル層の水分含有量はシリアル層の全重量に基づいて5〜15重量%であり、より有利にはシリアル層の全重量に基づいて10〜15重量%である。
【0038】
有利には、本発明に係るシリアル層の糖分含有量はシリアル層の全重量に基づいて20〜40重量%である。
有利な形態において、本発明に係るシリアル層のタンパク質含有量はシリアル層の全重量に基づいて5〜15重量%であり、より有利にはシリアル層の全重量に基づいて5〜10重量%である。
【0039】
より有利には、本発明に係るシリアル層の炭水化物含有量はシリアル層の全重量に基づいて60〜85重量%である。
本発明に係るシリアル層には、特にヨーグルト香料、ココア香料、オレンジ香料、いちご香料、レモン香料、コーヒー香料、またはまたはバニラ香料などの香料、大豆レシチンなどの乳化剤、微量元素およびミネラル類、カルシウム、鉄、マグネシウム、リン、ビタミン類、特にビタミンC、DおよびE、酸化防止剤、着色料、保存料、安定剤などの他の添加剤も添加しうる。
【0040】
本発明のより特定の1態様では、本発明に係る固体食品組成物はプロバイオティクスを含有する。
プロバイオティクスは、食用(可食性)製品に添加される生きた微生物を含有し、宿主の腸内の微生物バランス、従って、宿主の一般的な安寧と健康に有益な効果を及ぼす成分である。例えば、いくつかの乳酸菌はヒトおよび動物の両方に対してこの種の健康増進プロバイオティク効果を有することが認められている。この効果は、その微生物が持つ、微生物集団の平衡化による腸内細菌叢の快適さを高めることによって、例えば、発がん性などの有害な化合物や病原性微生物の量を低下させるという能力に基づいている。乳酸菌はまた、アレルギー症状を低減させ、乳糖不耐性を軽減することも認められている。プロバイオティクスの健康効果としては、コレステロール低下効果、下痢の予防および治癒効果、免疫反応の刺激効果、さらにはガン危険性の低下を挙げることができる。プロバイオティク効果は、微生物が産生する化合物と、腸内細菌が持つ他の微生物の増殖を平衡化させる能力との両方から生じうる。
【0041】
その定義によると、プロバイオティクスは、栄養物の非消化性成分であって、1種または数種の有益な腸内細菌の増殖および/または活性を選択的に刺激し、従って宿主の健康に有益な作用をもたらすものである。現在の知識によると、ある種のオリゴ糖および多糖、ならびに恐らくペプチドで、胃腸管内で加水分解も吸収もされないものはプロバイオティクスとして作用しうる。プロバイオティクスの重要な1群はフルクトオリゴ糖であり、プロバイオティク効果を持つ他の化合物としては、例えば、トランスグリコシル化(グリコシル交換)された二糖類、ラクツロース、パラチノース−オリゴ糖、および大豆オリゴ糖が挙げられる。
【0042】
また、本発明によると、本発明に係る固体食品組成物の被覆シリアル層中にプロバイオティクスが存在する場合には、この被覆シリアル層中の糖類も、オリゴ糖、特にフルクトオリゴ糖を含有しうる。オリゴ糖の混合比は特に制限されないが、組成全体に基づいて1〜8重量%の範囲内とすることが好ましい。また、上記オリゴ糖はそれぞれ単独で用いても、あるいは2種以上の混合物として用いてもよい。
【0043】
本発明によると、プロバイオティクスは、例えば、乳酸菌、ビフィズス菌(bifidobacterium)、または連鎖球菌といったプロバイオティク効果を有する任意の微生物でもよい。そのような微生物としては、サッカロミセス属 (Saccharomyces)、デバロミセス属 (Debaromyces)、カンジダ属 (Candida)、ピチア属 (Pichia)およびトルロプシス属 (Torulopsis)のような酵母、アスペルギルス属 (Aspergillus)、リゾープス属 (Rhizopus)、ムコール属 (Mucor)、およびペニシリウム属 (Penicillium)のようなカビ、ならびにビフィドバクテリウム属 (Bifidobacterium)、バクテロイド属 (Bacteroides)、クroストリジウム属 (Clostridium)、フソバクテリウム属 (Fusobacterium)、メリッソコッカス属 (Melissococcus)、プロピオニバクテリウム属 (Propionibacterium)、ストレプトコッカス属 (Streptococcus)、エンテココッカス属 (Enterococcus)、ラクトコッカス属 (Lactococcus)、スタフィロコッカス属 (Staphylococcus)、ペプトストレポコッカス属 (Peptostrepococcus)、バチルス属 (Bacillus)、ペディオコッカス属 (Pediococcus)、ミクロコッカス属 (Micrococcus)、ロイコノストック属 (Leuconostoc)、バイセラ属 (Weissella)、アエロコッカス属 (Aerococcus)、オエノコッカス属 (Oenococcus)、およびラクトバチルス属 (Lactobacillus、乳酸桿菌属)等の細菌が挙げられる。
【0044】
好適なプロバイオティクス微生物の具体例は次の通りである: サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviseae), バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans), バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformins), 枯草菌(Bacillus subtilis), ビフィドバクテリウム・アニマリ(Bificobacterium animalis), ビフィドバクテリウム・ビフィズム(Bifidobacterium bifidum), ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis), ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum), エンテロコッカス・フェキウム(Enterococcus faecium), エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis), アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus), ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius), ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus), カゼイ菌(Lactobacillus casei subsp. casei), カゼイ菌シロタ株(Lactobacillus casei Shirota), ラクトバチルス・クルバツス(Lactobacillus curvatus), ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbruckii subsp. lactis), ラクトバチルス・ファルキミヌ(Lactobacillus farciminus), ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri), ラクトバチルス・ヘルベチクス(Lactobacillus helveticus), ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii), ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum), ラクトバチルス・ルテリイ(Lactobacillus reuterii), ラクトバチルス・ラムノスス(Lactobacillus rhamnosus (Lactobacillus GG)), ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake), ラクチス菌(Lactobacillus lactis), ミクロコッカス・バリアンス(Micrococcus varians), ペディオコッカス・アシディラクティキ(Pediococcus acidilactici), ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus paentosaceus), ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici), ペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus), ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis), ストレプトコッカス・ラムノスス(Streptococcus rhamnosus), サーモフィルス菌(Streptococcus thermophilus), スタフィロコッカス・カルノスス(Staphylococcus carnosus), およびスタフィロコッカス・キシロスス(Staphylococcus xylosus)。
【0045】
有利には、プロバイオティクスは細菌である。
ストレプトコッカス属、ラクトバチルス属およびビフィドバクテリウム属に属する微生物が有利であると考えられる。
【0046】
本発明の組成物は、1種の菌株のみからなる純粋培養物と、数種の異なる菌株を含有する混合培養物の両方の状態のプロバイオティクスを含有しうる。有利には、プロバイオティクスはビフィズス型のもの、好ましくはBifidobacterium animalis、より有利にはBifidobacterium animalis subsp lacti (CNCM I-2494) (EP 1297176)である。
【0047】
有利には、プロバイオティクスは、ラクトバチルス型のもの、好ましくはLactobacillus plantarum (DSM No. 9843、スウェーデンのPROBI ABより市販)である。有利には、本組成物はBifidobacterium animalisとLactobacillus plantarumとの混合培養物を含有する。
【0048】
より有利には、プロバイオティクスは被覆層のみ、より有利にはシリアル被覆層のバインダー(糖シロップ)中だけ、または脂肪とシリアル・フルーツのドライミックスとの混合物中だけに存在する。
【0049】
有利には、本発明に係る固体食品組成物中のプロバイオティクスの量は、固体食品組成物のg当たりで、106〜1012cfu/gの範囲内、有利には108〜1011cfu/gの範囲内である。特にシリアル被覆層中のプロバイオティクスの量はシリアル被覆層の全重量の0.1〜10重量%の範囲内である。
【0050】
高いプロバイオティクス含有量は本発明に係る固体食品組成物の重要な特徴である。所望のプロバイオティク効果が達成されるように十分な量のプロバイオティクスを組成物中に含有させる。そのため、組成物中のプロバイオティクスの量も、例えば、使用する菌株および1日当たりの合計摂取量に応じて広い範囲内で変動させうる。
【0051】
有利には、被覆シリアル層中に存在するプロバイオティクスは4℃〜室温の温度で少なくとも5週間は生きたままである。
本発明によると、「プロバイオティクスが生きたままである」とは、プロバイオティクスの量が1000cfu/gより多くは減少しない、有利には100cfu/gより多くは減少しないことを意味するものである。
【0052】
もちろん、本発明に係る固体食品組成物は、多くの形態で提供することができる。最も簡単な形態は、フィリング(即ち、本発明に係る非乳製品型食品組成物)が2層の本発明に係るシリアル被覆層の間に挟まれているサンドイッチの形態の棒状食品(フードバー)であるが、非乳製品型食品組成物とシリアル層とがこれとは違うように配置されている別の態様を提供することももちろん可能である。
【0053】
特定の1態様において、本発明に係る固体食品組成物は、被覆層が両端以外のフィリングの全面を覆う棒の形態、あるいは完全に被覆された棒の形態である。
有利には、本発明はグラノーラ・バーである。
【0054】
さらに、本発明は、下記工程を含む、本発明に係る非乳製品型食品組成物の製造方法に関する:
a.デンプンと乳化剤と場合によりタンパク質粉末とを含有するポンプ搬送可能な脂肪相を調製し、場合により例えば24時間貯蔵する;
b.炭水化物と糖類と場合により繊維および/またはタンパク質粉末とを含有する液状水相調製し、場合により例えば24時間貯蔵する;
c.上記の2相を、有利にはスタティック・ミキサーを用いて連続的に、好ましくは15〜50℃の温度、有利には35℃で混合する;
d.場合により、得られた混合物を室温〜35℃の温度、有利には30〜35℃の温度で泡立てる;
e.得られた非乳製品型食品組成物を回収する。
【0055】
特定の1態様において、脂肪層の調製工程(a)は、下記の逐次的な工程を含む:
a1.脂肪を有利にはその融点より最低10℃高い温度、より有利には30〜100℃の温度、さらにより有利には70℃に加熱し、
a2.乳化剤を添加して、有利には30〜100℃の温度、より有利には65℃の温度で混合し、
a3.デンプンを添加して混合し、15〜50℃の温度、有利には35℃の温度に冷却する。
【0056】
別の特定の1形態では、タンパク質の最大水和が必要である場合、水相の調製工程(b)は下記の逐次的工程を含む:
b1.1.場合により水をタンパク質と50〜100℃の温度、有利には60℃で混合し、25〜60℃の温度、有利には45℃に冷却し、
b1.2.糖類と場合により繊維を水または工程(b1.1)の水/タンパク質混合物に添加して、有利には25〜60℃の温度、より有利には30〜45℃の温度で混合し、
b1.3.場合により酸性化する。
【0057】
さらに別の特定の1態様において、糖類の最大水和/可溶化が必要である場合、水相の調製工程(b)は下記の逐次的な工程を含む:
b2.1.水を糖類および場合により繊維と、50〜100℃の温度、有利には80℃で混合し、25〜60℃の温度、有利には45℃に冷却し;場合により水の全量を2つに分けて、糖類と繊維を別々に溶解してもよく、
b2.2.工程(b2.1)の糖類溶液混合物にタンパク質粉末を添加し、有利には25〜45℃の温度、より有利には30〜45℃の温度で混合し、
b2.3.場合により酸性化する。
【0058】
有利には、工程(c)において、脂肪相は、混合物の30〜60重量%を占め、有利には混合物の40〜60重量%を占め、より有利には混合物の40〜50重量%を占める。
工程(c)の後も数時間のあいだ、得られた生成物はポンプ搬送可能で、泡立て可能な状態にとどまる。従って、泡立て工程(d)を、例えば、モンドミックス(Mondomix)装置を用いて実施することができる。
【0059】
場合により、本発明に係る方法はさらに非乳製品型食品組成物を室温に冷却する追加工程(f)を含む。
本発明はまた、下記工程を含むことを特徴とする、本発明に係るサンドイッチ形態の固体食品組成物の製造方法に関する:
(A)本発明に係る下側のシリアル被覆層を形成し、場合によりこの下側シリアル被覆層を裁断し;
(B)下側シリアル被覆層の上に本発明に係る非乳製品型食品組成物により構成されるフィリングを押出し;
(C)サンドイッチを得るように前記フィリグの上に本発明に係る上側シリアル被覆層を載置し、場合により生成サンドイッチを小片に裁断する。
【0060】
従って、この方法は下記の工程から構成することができる:
(A1)本発明に係る下側のシリアル被覆層を形成し、この下側シリアル被覆層を小片に裁断し;
(B1)下側シリアル被覆層の上に本発明に係る非乳製品型食品組成物により構成されるフィリングを押出し;
(C1)サンドイッチを得るように前記フィリグの上に本発明に係る上側シリアル被覆層を載置する。
【0061】
この方法は下記の工程から構成することもできる:
(A2)本発明に係る下側のシリアル被覆層を形成し;
(B2)下側シリアル被覆層の上に本発明に係る非乳製品型食品組成物により構成されるフィリングを押出し;
(C2)サンドイッチを得るように前記フィリグの上に本発明に係る上側シリアル被覆層を載置し、形成されたサンドイッチを小片に裁断する。
【0062】
本発明はさらに、下記工程を含む、非乳製品型フィリングがシリアル層で被覆されている棒状形態の本発明に係る固体食品組成物の製造方法にも関する:
(α)本発明に係るシリアル被覆層をU型形状に成形または形成し、
(β)成形または形成されたシリアル被覆層の中に本発明に係る非乳製品型食品組成物により構成されるフィリングを充填し、
(γ)フィリングの上に本発明に係る上側のシリアル被覆層を追加して、両端を除いてフィリング全体がシリアル被覆層で被覆されている棒状体(バー)を得る。
【0063】
本発明はまた、下記工程を含む、本発明に係る固体食品のシリアル被覆層の製造方法にも関する:
1)水、糖類、炭水化物および場合により脂肪を含有するシロップを調製ならびに/または水と糖類とを含有する糖類溶液を調製、
2)場合により、シロップの全重量に基づいて水分量が12〜25重量%になるまでシロップをその沸点に加熱、
3)シロップまたは糖類溶液を、シリアル粒子、ならびに場合により乾燥果実および/もしくはナッツ製品および/もしくは種、ならびに場合により脂肪と混合、
4)固体の、そのまま食べられるシリアル被覆層を回収。
【0064】
シリアル被覆層がプロバイオティクスを含有する場合、プロバイオティクスの添加は、凍結乾燥形態で、工程(3)の直前に有利には70℃以下の温度で、または工程(3)の間に有利には70℃以下の温度で、或いは乾燥混合物の形態で行うことができる。有利には、プロバイオティクスの添加量は、シリアル被覆層に対して109〜1011cfu/gの範囲内である。
【0065】
本発明はまた、糖類、炭水化物およびプロバイオティクスを含有し、下記を特徴とするシロップにも関する:
・プロバイオティクスの濃度が106〜1011cfu/gの範囲内であり、
・シロップの脂肪含有量がシロップの全重量に基づいて0〜8重量%の範囲内であり、
・シロップのAwが0.5〜0.75の範囲内であり、
・シロップの水分含有量がシロップの全重量に基づいて10〜20重量%である。
【0066】
有利には、シロップの糖類含有量はシロップの全重量に基づいて50〜70重量%の範囲内である。
より有利には、シロップのタンパク質含有量はシロップの全重量に基づいて0〜1重量%の範囲内である。
【0067】
有利には、シロップの炭水化物含有量はシロップの全重量に基づいて65〜85重量%の範囲内である。
【実施例】
【0068】
制限ではない以下の実施例は、本発明に係る食品の特性を提示する処方例を示す。
実施例1:本発明に係る非乳製品型食品の製造
製造した非乳製品型食品組成物は下の表1、2に示す組成を有する。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
食品組成物は次のようにして製造される(表1):
水相の調製:
水を60℃に加熱する。次いで、脱脂粉乳を加え、水と混合する。添加後、混合物の温度は45℃となる。噴霧乾燥グルコース(ブドウ糖)を添加し、完全に溶けるまで混合する。この添加後、混合物の温度は30℃となる。その後、デキストロース、フルクトース(果糖)、サッカロース(しょ糖)、およびオリゴ糖を加え、完全に溶けるまで混合する。この混合物をクエン酸でpH3.9になるまで酸性化する。次いで、ヨーグルト香料を加える。こうして得られた水相は液状で、24時間まで保存(貯蔵)することができる。
【0072】
脂肪相の調製:
植物油を70℃に加熱する。乳化剤を加え、65℃で油と混合する。米デンプンを添加し、混合する。この添加後、混合物の温度は35℃となる。こうして得られた脂肪相はポンプ可能な流動性を有し、24時間まで保存することができる。
【0073】
水相と脂肪相とをスタティック・ミキサーを用いて35℃で混合する。こうして得られた混合物はもはや液状ではないが、なお注入とポンプ搬送が可能である。この混合物を次いで30℃に冷却する。冷却した混合物をモンドミックス装置を用いて空気の取り込みによりオーバーランが30%になるように泡立てる。
【0074】
実施例2:プロバイオティクスを含まない本発明に係るシリアル被覆層の製造
シリアル層は、加熱調理された糖シロップで結合されたシリアル(穀類)およびドライフルーツ(乾燥果実)の粒子から構成される。加熱調理前のシロップの組成を下の表3に示す。
【0075】
【表3】

【0076】
加熱調理後のシロップの組成を下の表4に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
シリアルおよびドライフルーツの粒子の組成を下の表5に示す。
【0079】
【表5】

【0080】
シリアル被覆層は次のようにして製造される:
水、マルトデキストリンおよびデキストロースを一緒に100℃で完全に溶けるまで混合する。フルクトースおよびマルトース、大豆レシチン、植物油、カラメル化糖シロップ、およびアラミンを加え、110℃の温度に加熱する。この混合物を次いで95℃に冷却する。シリアル層の全重量に基づいて30重量%のこの混合物を、シリアル層の全重量に基づいて70重量%の量のシリアルおよびドライフルーツの混合物と混ぜる。こうして、そのまま食べられる固体のシリアル層が得られる。
【0081】
実施例3〜6:Bifidobacterium animalis subsp. lacti (CNCM I-2494) (EP 1 297 176)を含有する本発明に係るシリアル被覆層の製造
添加前のBifidobacterium animalis (ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィズス菌の一種) は6×1010cfu/gを有する凍結乾燥品の形態である。
【0082】
シリアル層は実施例2と同じ組成を有し、下記の点を除いて実施例2の方法に従って製造される:
・シリアル被覆層が凍結乾燥形態で添加される上記ビフィズス菌を含有する;
・ビフィズス菌の添加時点はシリアルおよびフルーツと混合される直前の加熱調理されたシロップ中である(実施例3〜5)か、または加熱調理されたシロップとシリアルおよびフルーツとの混合中である(実施例6);
・ビフィズス菌の添加前に混合物またはシロップを70℃に冷却する。
【0083】
ビフィズス菌の添加量は次の通りである:
実施例3では:加熱調理シロップの全重量に基づいて1重量%;
実施例4では:加熱調理シロップの全重量に基づいて2.8重量%;
実施例5では:加熱調理シロップの全重量に基づいて5重量%;
実施例6では:シリアル、ドライフルーツおよび加熱調理シロップを含有する混合物の全重量に基づいて0.3重量%。
【0084】
4℃の温度で4週間貯蔵した後のビフィズス菌の生存率の結果を下の表6に示す。
【0085】
【表6】

【0086】
すべてのビフィズス菌の計数結果は、比較を可能にするために、バー(棒状体)グラムあたりの値(cfu/g)で表示するように補正した。一般に、この方法の誤差(不正確度)は対数目盛りの半分である。上の結果から、ビフィズス菌は少なくとも4週間はシリアル被覆層中で生きたままである。
【0087】
実施例8〜12:ビフィズス菌を含有し(実施例9〜12)または含有しない(実施例8)本発明に係るグラノーラ・バーの製造
フィリングとして実施例1に従った非乳製品型食品40重量%と、残り60重量%の実施例3、実施例4、実施例5、実施例6または実施例7に従ったシリアル被覆層(それぞれ実施例8、9、10、11、および12)とを含有するグラノーラ・バーを製造する。
【0088】
このグラノーラ・バー(重さ30g、幅2.7cm,高さ1.5cm、長さ8〜9cm)は、フィリングを2層のシリアル被覆層の間に挟んだサンドイッチ形態のものである。そのような形態にするために、フィリングをシリアル被覆層の上に押出すことができる。このバーの特性を下の表7および8に示す。
【0089】
【表7】

【0090】
【表8】

【0091】
4℃の温度で6週間貯蔵した後、実施例8〜12に従ったすべてのバーはパリッとしたままである。
【0092】
実施例13:Bifidobacterium animalis subsp. lacti (CNCM I-2494) (EP 1 297 176)およびLactobacillus plantarum (DSM No. 9843、スウェーデンPROBI ABより市販)を含有する本発明に係るシリアル被覆層の製造
シリアル層は、加熱調理された、脂肪を含まない糖シロップにより結合されたシリアルおよびドライフルーツの粒子から構成される。加熱調理前のシロップの組成は下の表9に示す。
【0093】
【表9】

【0094】
加熱調理後のシロップの組成を下の表10に示す。
【0095】
【表10】

【0096】
シリアルおよびドライフルーツの粒子の組成を下の表11に示す。
【0097】
【表11】

【0098】
シリアル被覆層は次のようにして製造される:
水、マルトデキストリン、デキストロースおよびグルコースシロップ類ならびにレシチンを、完全に溶けるまで100℃の温度で混合し、108℃の温度に加熱して水の一部を蒸発させる。
【0099】
脂肪を加熱して融解させ、シリアルと混合する。その後、この混合物にプロバイオティクスを添加する。その後、上で得られたシロップを次いで65〜95℃の温度、有利には65〜75℃の温度で添加する。こうして、そのまま食べられる固体シリアル層が得られる。
【0100】
実施例14:Bifidobacterium animalis subsp. lacti (CNCM I-2494) (EP 1 297 176)(ビフィズス菌)およびLactobacillus plantarum (DSM No. 9843、スウェーデンPROBI ABより市販)(プランタルム菌)を含有する本発明に係るグラノーラ・バーの製造
シリアル被覆は実施例13と同じ組成を有し、シロップを乾燥混合物(ドライミックス)に添加する前にプロバイオティクスをシロップと混合する点を除いて実施例14に記載されたのと同じ方法を用いて得られたものである。
【0101】
プロバイオティクスはシロップにそれを添加する前は凍結乾燥状態にあったものである。シロップとプロバイオティクスとの混合時間は1〜2分である。
混合段階での菌株の菌数(最終製品1gに基づく)は次の通りである:
ビフィズス菌:1.2×109
プランタルム菌:7.2×109
【0102】
フィリングとして実施例1に従った非乳製品型食品40重量%と、残り60重量%の上記シリアル被覆とを含有するグラノーラ・バーを製造する。
5週間の保存寿命までのこのバー中のBifidobacterium(ビフィズス菌)およびLactobacillus(プランタルム菌)の生菌数を図1に示す。5週間後もこのグラノーラ・バーは十分な量のプロバイオティクスを含有する。従って、プロバイオティクスは少なくとも5週間はグラノーラ・バー内で生きたままである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】5週間の生存試験での本発明に係るシリアル棒状食品中のBifidobacterium(ビフィズス菌)とLactobacillus plantarum(プランタルム菌)の生菌数の計数結果 (時間 <週> に対するシリアル棒状食品中の菌数計数値、cfu/25g)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類と炭水化物とを含有する水中油型エマルジョン系の非乳製品型食品組成物であって、水分活性が0.5〜0.75の範囲内、乾燥分含有量が食品組成物の全重量に基づいて80〜95重量%であり、粒度10μm以下の非糊化デンプンを含有し、脂肪分離がなく、かつ組成物が1〜15℃の温度で少なくとも6週間は安定であることを特徴とする食品組成物。
【請求項2】
その非糊化デンプン含有量が食品組成物の全重量に基づいて5〜30重量%であることを特徴とする、請求項1記載の非乳製品型食品組成物。
【請求項3】
その脂肪含有量が食品組成物の全重量に基づいて15〜40重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の非乳製品型食品組成物。
【請求項4】
その糖類含有量が食品組成物の全重量に基づいて10〜35重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非乳製品型食品組成物。
【請求項5】
繊維を特に食品組成物の全重量に基づいて5〜35重量%の量で含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非乳製品型食品組成物。
【請求項6】
0〜50%のオーバーランを与えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非乳製品型食品組成物。
【請求項7】
食品、有利にはスナックバー、のフィリングまたはコーティングとして、或いはスプレッドとしての、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非乳製品型食品組成物の使用。
【請求項8】
フィリングまたはコーティングの含有量がその食品の全重量に基づいて10〜90重量%であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の非乳製品型食品組成物からなる少なくとも1層を含むことを特徴とする、多層食品。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の非乳製品型食品組成物をフィリングとして含み、それがシリアルおよび/または果実および/または種子および/またはナッツ製品を含む層で被覆されている、固体食品組成物。
【請求項11】
プロバイオティクス、特にビフィズス型のものを含有することを特徴とする請求項10に記載の固体食品組成物。
【請求項12】
プロバイオティクスが被覆層にのみ存在することを特徴とする、請求項11に記載の固体食品組成物。
【請求項13】
被覆層が両端以外のフィリングの全面を被覆している棒または完全に被覆された棒状のサンドイッチ形態であることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載のに固体食品組成物。
【請求項14】
下記工程を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非乳製品型食品組成物の製造方法:
a.デンプンと乳化剤と場合によりタンパク質粉末とを含有する液状脂肪相を調製し、場合により貯蔵する;
b.炭水化物と糖類と場合により繊維および/またはタンパク質粉末とを含有する液状水相を調製し、場合により貯蔵する;
c.上記の2相を好ましくは15〜50℃の温度で混合する;
d.場合により、得られた混合物を25〜35℃の温度で泡立てる;
e.得られた非乳製品型食品組成物を回収する。
【請求項15】
下記工程を含むことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載のサンドイッチ形態の固体食品組成物の製造方法:
(A)下側のシリアル被覆層を形成し、場合によりこの下側シリアル被覆層を裁断し;
(B)下側シリアル被覆層の上に請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィリングを押出し;
(C)サンドイッチを得るようにフィリングの上に上側シリアル被覆層を載置し、場合により生成サンドイッチを小片に裁断する。
【請求項16】
下記工程を含むことを特徴とする、非乳製品型フィリングがシリアル被覆層で被覆されている棒状形態の請求項10〜13のいずれか1項に記載の固体食品組成物の製造方法:
(α)シリアル被覆層をU型形状に成形または形成し、
(β)成形または形成されたシリアル被覆層の中に請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィリングを充填し、
(γ)フィリングの上に上側のシリアル被覆層を加えて、両端を除いてフィリング全面がシリアル被覆層で被覆されている棒状体を得る。

【図1】
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【公表番号】特表2009−514515(P2009−514515A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538359(P2008−538359)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068032
【国際公開番号】WO2007/051816
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(506375923)
【氏名又は名称原語表記】COMPAGNIE GERVAIS DANONE
【Fターム(参考)】