説明

バーコード読み取り装置及びバーコード読み取り方法

【課題】 白黒縞を構成する各バーの高さが低い(小さい)バーコードを読み取るのに適したバーコード読み取り装置と、ペン型スキャナを用いた新しいバーコードの読み取り方法を提供する。
【解決手段】 ペン型スキャナ1と、該ペン型スキャナ1を内部に収容できるホルダ3とからなり、ホルダ3内は中空の収容部4となり、収容部4を貫通し、ペン型スキャナ1の走査方向に伸長する一面側のスキャナ挿入穴5および他面側のスリット部6を備え、収容部4内にはペン型スキャナ1の係止部と係合する係合部7を設ける。スリット部6に沿って複数回走査した画像から、郵便バーコードの画像を合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバーコード読み取り装置及びバーコード読み取り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、JANコード等のバーコードを読み取るバーコード読み取り装置として、ペン型スキャナが用いられている。ペン型スキャナはバーコードを構成する白・黒の縞に沿って移動させることにより、バーコードから連続した明暗の繰り返し情報を取得し、数字、文字、記号等に変換するためのものである。
【0003】
そして、JANコード等の、いわゆる一次元バーコードは、連続する複数のバーの幅方向の配列に情報を付与しており、各バーの高さ方向には情報を付与していないので、バーをどの程度の高さで印字するかはある程度ユーザの自由であった。よって、狭い範囲に多くのバーコードを印字しようと思えば、バーコードの高さを小さくすることも可能であった。
【0004】
【特許文献1】1には、ペン型スキャナの内部構造が記載されている。
【特許文献2】特開平7−302298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ペン型スキャナは手で持ってバーコードの幅方向に走査(移動)してこれを読み取るものであるため、各バーの高さが低いと、バーコードからスキャナがはみ出し易く、走査が困難になるという問題があった。
【0006】
また、近年、葉書11などの郵便バーコード12(図1)のように、白黒縞を構成する各バーが幅方向のみならず高さ方向にも展開する新しいバーコードが使われ始めている。このような新しいバーコードは、従来のようにペン型スキャナで一度スキャンするだけでは読み取ることができないという問題もあった。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は、白黒縞を構成する各バーの高さが低い(小さい)バーコードを読み取るのに適したバーコード読み取り装置と、ペン型スキャナを用いた新しいバーコードの読み取り方法とを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第一の発明であるバーコード読み取り装置が採用する構成は、手に持って移動させる際に指掛けとなる係止部を側面に備えたペン型スキャナと、該ペン型スキャナを内部に収容するホルダとからなり、前記ホルダは中空の収容部と、該収容部を貫通し、ペン型スキャナの走査方向に伸長する一面側のスキャナ挿入穴および他面側のスリット部とを備え、前記収容部内にはペン型スキャナの係止部と係合する係合部を設けたことにより、前記ホルダはペン型スキャナを保護、携行する用途に供するのと共に、前記ペン型スキャナでバーコードを走査する際に定規としても使用できるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、第二の発明であるバーコード読み取り方法が採用する手段は、二次元的に展開するバーコードに対し、平行に区分された複数のエッジを有する定規をあてがい、前記エッジに沿ってペン型スキャナにて複数回走査することにより、読み込んだ複数のスキャン結果から一つの二次元バーコード画像を復元することを特徴とする。
【0010】
上記第一の手段によれば、ペン型スキャナをホルダと一体化して持ち運べるので、携行時にペン型スキャナの保護が図られると共に、定規などのガイド部材を別途用意しなくても、縦横寸法比の大きな一次元バーコードを手で走査して読み取ることができる。また、定規をホルダとしたことで携行忘れや置き忘れの危険性も低減できる。
【0011】
また、第二の発明によると長方形のスリット部の内周縁に沿って、ペン型スキャナを複数回走査させることにより、郵便バーコードなどの二次元的に展開するバーコードを読み取ることができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、携行時等のペン型スキャナの保護、定規の携行忘れや置き忘れの防止が図れると共に、手でペン型スキャナを用い走査するのが困難なバーコードであっても容易に読み取ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、定規に形成したスリット部の内周縁に沿ってペン型スキャナを複数回走査させることにより、郵便バーコードなどの二次元的に展開するバーコードを読み取ることができるようになるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
実施の形態に係るバーコード読み取り装置100はペン型スキャナ1およびそのホルダ3とからなる(図3)。
ペン型スキャナ1は角柱状であり、その二側面の対称位置に凹部からなる係止部2が形成されている。該凹部2は、ペン型スキャナ1を手に持って走査(スキャン)する際には指掛けとなり、手に馴染んで滑りを防止すると共に、ペン型スキャナ1をホルダ3に収容する際にはホルダ3内の係合部7と係合してペン型スキャナ1をホルダ3内に固定するのに役立つ。
【0015】
ホルダ3は、図5に示す如く、外形が合同な長方形の板材を3枚積み重ねたような構造をなし、中間の板材を切り抜くことで中空の収容部4としている。該収容部4の内側にはペン型スキャナ1の軸部が収容され、その際、前述係止部2と係合する板ばねからなる係合部7,7が配設されている。該各係合部7は後述するスキャナ挿入穴5やスリット部6よりも引っ込んだ位置に設けられ、ペン型スキャナ1を走査する際にこれと干渉しないようになっている。
【0016】
図5の断面図中、ホルダ3の上部には、四角穴からなるスキャナ挿入穴5が形成され、該スキャナ挿入穴5内に角柱状のペン型スキャナ1の軸を摺動させて走査するのに都合よくなっている。
図5中、ホルダ3の断面図の下部には長方形のスリット部6が二つ平行に並んで形成されている。各スリット部6の内側に臨んで大小のテーパ面からなるエッジ8,9が形成されており、前記スキャナ挿入穴5から挿入したペン型スキャナ1の先端をスリット部6の内側に案内する。
【0017】
そして、ホルダ3を定規として使用する際には、図7,8のようにして用いる。
ここで、スリット部6,エッジ8,9と郵便バーコード12との位置関係を現すのが図2である。
郵便バーコード12は、中段に幅が規則的で密なバーがあり、上下段には中段のバーから連続する長短の粗密なバーがあるとみることができる。
【0018】
したがって、図2中のスリット部6内をペン型スキャナ1で、
(1)上のエッジ8に沿って走査
(2)中間のエッジ9に沿って走査
(3)下のエッジ8に沿って走査
することにより、中段のバーの画像に上段と下段のバーの画像を追加して読み取り機器のメモリ上で合成させ、元の郵便バーコード12の合成画像が得られる。尚、この際、ペン型スキャナの走査方向は、スリット部6の内縁に沿って「コ」の字型や「=」の字型などに動かすことができるが、走査順序は予め統一しておくものとし、各辺を走査する前にスキャンボタン(不図示)を走査するものとする。
【0019】
かくして、本実施の形態によれば、ホルダ3をペン型スキャナ1と一体化して持ち運べるので、スキャナの保護が図られると共に、定規などのガイド部材を別途用意しなくても、縦横寸法比の大きな一次元バーコードを手で走査して読み取ることができ、ホルダとしたことで携行忘れや置き忘れの危険性も低減できる。
【0020】
また、長方形のスリット部6の内周に沿って、ペン型スキャナ1を複数回走査させることにより、郵便バーコードなどの二次元的に展開するバーコードを読み取ることができるようになる。
【0021】
尚、上述した実施の形態ではペン型スキャナ1の軸の形状が角柱状の場合を例示したが、これに限定することなく、断面が多角形や円形、楕円形であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のバーコード読みとり装置は、二次元的に配列した複数の一次元バーコードを一度に複数個読み取る場合にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】郵便バーコードを示す説明図
【図2】郵便バーコードに定規(スリット部)を宛った状態の説明図
【図3】ペン型スキャナとホルダを示す外観斜視図
【図4】ホルダの正面図
【図5】図4中の矢示V−V方向断面図
【図6】ホルダにペン型スキャナを収納した状態の正面図
【図7】ペン型スキャナの使用説明図
【図8】一部断面とした図9の側面図
【符号の説明】
【0024】
1…ペン型スキャナ、2…係止部2、3…ホルダ、4…収容部、5…スキャナ挿入穴、6…スリット部、7…係合部、8,9…エッジ、12…郵便バーコード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
手に持って移動させる際に指掛けとなる係止部2を側面に備えたペン型スキャナ1と、該ペン型スキャナ1を内部に収容するホルダ3とからなり、前記ホルダ3は中空の収容部4と、該収容部4を貫通し、ペン型スキャナ1の走査方向に伸長する一面側のスキャナ挿入穴5および他面側のスリット部6とを備え、前記収容部4内にはペン型スキャナ1の係止部2と係合する係合部7を設けたことにより、前記ホルダ3はペン型スキャナ1を保護、携行する用途に供するのと共に、前記ペン型スキャナ1でバーコードを走査する際に定規としても使用できることを特徴とするバーコード読み取り装置。
【請求項2】
二次元的に展開するバーコード12に対し、平行に区分された複数のエッジ8,9を有する定規をあてがい、前記エッジ8,9に沿ってペン型スキャナ1にて複数回走査することにより、読み込んだ複数のスキャン結果から一つの二次元バーコード画像を復元することを特徴とするバーコード読み取り方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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