説明

バーナ

【課題】高負荷に対応すべく酸化剤の供給量を増やした場合にも、燃焼部での安定で適正な燃焼を可能にする、バーナを提供する。
【解決手段】火炎の形成方向に向く中心軸Lを有し、一端2a側が火炎の形成方向に開口し、内部にて酸化剤と燃料とを混合する筒状の混合部2と、混合部2の他端2b側に第1噴射口7を有し、第1噴射口7から混合部2内に燃料のうちの主燃料分を噴射する主燃料噴射部と、混合部2の内壁に第1開口6aを有し、第1開口6aから酸化剤を混合部2内に導入して混合部2内に旋回流を形成する旋回流形成部6と、主燃料噴射部の第1噴射口7より上流側に第2噴射口8を有し、第2噴射口8から混合部2内に燃料のうちの補助燃料分を噴射する補助燃料噴射部と、を備えるバーナ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化剤と燃料とが混合された混合気を燃焼させるためのバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、ガスタービン等の燃焼排ガス中のNOx(窒素酸化物)の低減要求が高まっている。そこで、燃料と空気等の酸化剤とをより良好に混合するため、燃焼器用のバーナの筒状の混合部内に、噴霧状に燃料を供給するとともに、混合部の断面接線方向から燃焼用空気(酸化剤)を導入し、強い旋回流を形成して乱流状態にするものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。このような燃焼器用バーナによれば、酸化剤を旋回させることによって酸化剤と燃料との混合を促進し、急速混合することで、火炎を安定化させ、かつ、燃焼ガス中の低NOx化を実現している。
【0003】
ところで、ガスタービン等ではさらなる性能の向上が要求されており、したがってこのようなガスタービン等に用いられる燃焼器に用いられるバーナでも、現状よりさらに高負荷に対応可能となるものが求められている。具体的には、酸化剤としての空気の供給量を現状より増やし、希薄燃焼させることで、火炎中のホットスポットを減少して高温火炎の発生をなくし、さらなる低NOx化を実現するといったことが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−340416号公報
【特許文献2】特開2007−255795号公報
【特許文献3】特開2002−162035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、空気(酸化剤)の供給量を増やした場合には以下に述べる課題がある。
燃焼は主にバーナの一端側に配置された燃焼部内で起こるが、燃焼は化学反応であるため、燃料と酸化剤との混合時間を含む反応時間がある程度必要になる。ところが、空気(酸化剤)の供給量を増やすと空気の流速が速くなるため、空気が燃焼部の燃焼領域に到達するまでの時間が短くなる。すると、空気が燃焼領域に到達するまでの間に燃料と十分に混合できず、これにより空気と燃料との混合が不十分になるため、燃焼性が低下してしまう。
【0006】
また、空気が燃焼領域に到達するまでの時間が短くなるため、十分な混合状態のもとで燃焼がなされる燃焼領域が従来の位置より下流側に移ってしまう。すると、燃焼部ではその下流側にて希釈空気を導入する場合があるため、このように希釈空気が導入される位置にまで燃焼領域が移ってしまうと、空気と燃料との比率が大きく変化してしまい、炎が消えてしまうおそれもある。
さらに、空気(酸化剤)の供給量を増やして空気の流速を速くすると、剪断力が強くなり過ぎ、燃焼の安定性が低下してしまうおそれもある。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高負荷に対応すべく酸化剤の供給量を増やした場合にも、燃焼部での安定で適正な燃焼を可能にする、バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバーナは、火炎の形成方向に向く中心軸を有し、一端側が前記火炎の形成方向に開口し、内部にて酸化剤と燃料とを混合する筒状の混合部と、
前記混合部の他端側に第1噴射口を有し、該第1噴射口から前記混合部内に前記燃料のうちの主燃料分を噴射する主燃料噴射部と、
前記混合部の内壁に第1開口を有し、該第1開口から前記酸化剤を前記混合部内に導入して前記混合部内に旋回流を形成する旋回流形成部と、
前記主燃料噴射部の第1噴射口より上流側に第2噴射口を有し、該第2噴射口から前記混合部内に前記燃料のうちの補助燃料分を噴射する補助燃料噴射部と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
このバーナによれば、主燃料噴射部の第1噴射口より上流側に第2噴射口を有し、該第2噴射口から混合部内に補助燃料分を噴射する補助燃料噴射部を備えているので、この補助燃料噴射部の第2噴射口から噴射した補助燃料分を、主燃料噴射部の第1噴射口から主燃料分を噴射する前に、旋回流形成部の第1開口から導入された酸化剤と予備混合することができる。
【0010】
また、前記バーナにおいては、前記混合部は円筒状に形成されてなり、前記旋回流形成部は、前記混合部の内壁面の接線方向から該混合部内に前記酸化剤を導入することで、前記混合部の内部に旋回流を形成するよう構成されているのが好ましい。
このようにすれば、混合部の内部により良好な旋回流を形成することができる。
【0011】
また、前記バーナにおいては、前記旋回流形成部の第1開口より前記混合部の他端側に第2開口を有し、該第2開口から前記酸化剤を前記中心軸方向に沿って導入する、軸流形成部を備えているのが好ましい。
このようにすれば、軸流形成部から酸化剤を導入することで軸流が形成され、この軸流が旋回流に衝突することで強い乱流域が形成される。よって、この強い乱流域に補助燃料分が供給されることで、補助燃料分と酸化剤との予備混合がより良好になされるようになる。
【0012】
また、前記バーナにおいて、前記主燃料噴射部と前記補助燃料噴射部とは、主燃料噴射部からの主燃料分の噴射量と補助燃料噴射部からの補助燃料分の噴射量との比が、可変に構成されているのが好ましい。
このようにすれば、燃料中における補助燃料分の比率を適宜に設定することで、補助燃料分と酸化剤とを予備混合させて得られる予備混合物の量を適正化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバーナにあっては、補助燃料分と酸化剤との予備混合を可能にしているので、高負荷に対応すべく酸化剤の供給量を増やすことで酸化剤の流速が速くなっても、補助燃料分を酸化剤と予備混合しておくことにより、燃焼領域では燃料と酸化剤とがすでに良好に混合されている状態となる。したがって、燃焼性が良好な状態で安定する。また、燃焼領域が従来の適正な位置より下流側に移ってしまうことも防止することができ、これにより燃焼を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のバーナの第1実施形態を示す図であって、(a)はバーナの下流側から見た図、(b)は(a)のA−A線矢視断面図である。
【図2】本発明のバーナの第2実施形態を示す図であって、(a)はバーナの下流側から見た図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図である。
【図3】本発明のバーナの第3実施形態を示す図であって、(a)はバーナの下流側から見た図、(b)は(a)のC−C線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係るバーナの一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態のバーナでは、特に、従来のものに比べて高負荷に対応可能となるよう、酸化剤としての空気(燃焼用空気)の供給量が、従来に比べて増加されているものとする。また、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
(第1実施形態)
図1(a)、(b)は、本発明のバーナの第1実施形態を示す図であって、(a)はバーナの下流側から見た図、(b)は(a)のA−A線断面図である。図1(a)、(b)において符号1はバーナであり、このバーナ1は、円筒状の混合部2を有したものである。混合部2は、内部にて酸化剤である燃焼用空気と燃料とを混合し、得られた混合気を火炎に供給するように構成されたもので、図1(b)に示すように火炎の形成方向に向く中心軸Lを有したものである。
【0017】
すなわち、混合部2の一端2a側は、燃焼により火炎を生じる燃焼部3に連通した状態で、この燃焼部3に接続されている。また、混合部2の他端2b側は、混合部2の開口を覆う端板部2cとなっており、この端板部2cには、噴射ノズル4と軸流形成部5とが設けられている。さらに、混合部2の一端2aと他端2bとの間の内壁には、旋回流形成部6が設けられている。
【0018】
噴射ノズル4は、配管(図示せず)を介して燃料源(図示せず)に接続されたもので、その先端部が前記中心軸Lに沿って配置されたものである。この噴射ノズル4には、その先端において中心軸L上に開口する第1噴射口7と、噴射ノズル4の側壁に開口してなる第2噴射口8とが設けられている。第2噴射口8は、図1(a)に示すように中心軸Lを中心にして放射状に設けられ、かつ等間隔に配置されている。なお、本実施形態では第2噴射口8は4つ設けられている。このような構成のもとに第2噴射口8は、図1(b)に示すように噴射ノズル4から供給する燃料の流れにおいて、第1噴射口7より上流側(混合部2の他端2b側)に配置されたものとなっている。
【0019】
第1噴射口7と第2噴射口8とは、本実施形態では同じ噴射ノズル4に設けられていることから、同一の燃料源に接続されている。そして、第1噴射口7は、この燃料源から供給された燃料のうちの主燃料分(一部)を噴射し、第2噴射口8は、補助燃料分(残部)を噴射するようになっている。すなわち、第1噴射口7は、燃料源から供給された、必要とされる燃料のうちの例えば半分を超える量を噴射し、第2噴射口8は、その残りの量を噴射するようになっている。
【0020】
ここで、第1噴射口7から噴射する主燃料分と、第2噴射口8から噴射する補助燃料分との比率については、本実施形態では予め設定されている。つまり、この設定された比率に基づいて、第1噴射口7の開口面積と、第2噴射口8の合計の開口面積とが設計され、形成されている。なお、燃料源から供給される、必要とされる燃料は、従来と同じ量となっている。
【0021】
また、本実施形態では、第1噴射口7を含む噴射ノズル4とこれに接続する前記燃料源とを備えて主燃料噴射部が構成され、第2噴射口8を含む噴射ノズル4とこれに接続する前記燃料源とを備えて補助燃料噴射部が構成されている。ただし、これら主燃料噴射部と補助燃料噴射部とは、第1噴射口7と第2噴射口8との位置が異なるだけで、その他は共通とされている。
【0022】
また、本実施形態では、前記端板部2cの中央部、すなわち噴射ノズル4を囲む部位に、凹部9が形成されている。凹部9は、図1(a)に示すように外形が円環形状に形成されたもので、図1(b)に示すようにその底面が前記第2噴射口8より混合部2の他端2b側となるように形成されている。これにより、第2噴射口8から噴射される燃料(補助燃料分)は、一旦凹部9内に導入された後、混合部2の一端2a側に流れるようになっている。
【0023】
軸流形成部5は、端板部2cに配設された複数の第2開口5aと、該第2開口5aに配管等(図示せず)を介して接続された燃焼用空気(酸化剤)の供給源(図示せず)と、を備えて構成されたものである。このような構成のもとに軸流形成部5は、供給源から供給された燃焼用空気を、中心軸L方向に沿って混合部2内に導入するようになっている。すなわち、中心軸L方向に沿う軸流を形成するようになっている。
【0024】
また、第2開口5aは、本実施形態では噴射ノズル4の第1噴射口7より混合部2の他端2b側に配置されており、さらに、図1(a)に示すように前記凹部9の外側に、等間隔で4つ配設されている。なお、これら第2開口5aは、後述する旋回流形成部6の開口位置にそれぞれ対応して配置されている。
【0025】
旋回流形成部6は、図1(b)に示すように混合部2の一端2a側の内壁に配設された第1開口6aと、図1(a)に示すように該第1開口6aに連通する流路6bと、該流路6bを介して接続された燃焼用空気(酸化剤)の供給源(図示せず)と、を備えて構成されたものである。流路6bは、混合部2の内壁面2dの接線方向に延在して形成されたもので、本実施形態では混合部2の周方向に等間隔で4つ形成されている。
【0026】
このような構成のもとに旋回流形成部6は、供給源から供給された燃焼用空気を、流路6bを介して第1開口6aから導入することにより、混合部2内に強い旋回流を形成するようになっている。すなわち、第1開口6aから導入された燃焼用空気は、混合部2の内壁面2dを周方向、かつ、径方向内方に向かって流れることにより、混合部2内に強い旋回流を形成するようになっている。
【0027】
ここで、前記の軸流形成部5における第2開口5aは、図1(b)に示すように旋回流形成部6の第1開口6aより混合部2の他端2b側に配置されている。また、これら第2開口5aは、図1(a)に示すように対応する旋回流形成部6の第1開口6aの前方に配置されている。したがって、軸流形成部5の第2開口5aから中心軸L方向に沿って導入された燃焼用空気は、旋回流形成部6の第1開口6aから導入されて形成された強い旋回流に衝突する。その結果、前記の旋回流が部分的に破壊されて渦崩壊を生じ、下流側(混合部2の一端2a側)に大きな乱流を形成する。
【0028】
また、全ての第1開口6aから供給される燃焼用空気と、全ての第2開口5aから供給される燃焼用空気との合計量は、従来に比べ増加している。これは、前述したように本実施形態のバーナは従来のものに比べて高負荷に対応可能となっているためである。
【0029】
また、噴射ノズル4に設けられた第2噴射口8は、それぞれ、旋回流形成部6の第1開口6aとこれの前方に配置された第2開口5aとに対応して配置されている。すなわち、本実施形態では、第1開口6a、第2開口5a、第2噴射口8は全て同数設けられ、互いに対応した位置に配設されたものどうしで4つのグループを形成している。そして、第2噴射口8は、その噴射方向が、対応する第2開口5aより対応する第1開口6a側となるように、これらの間に向けられて噴射ノズル4の側面に配設されている。
【0030】
次に、このような構成のバーナ1の作用について説明する。
まず、噴射ノズル4の第1噴射口7から燃料のうちの主燃料分を、図1(b)中の実線矢印で示すように噴射するとともに、第2噴射口8から燃料のうちの補助燃料分を、図1(b)中の破線矢印で示すように噴射する。
また、軸流形成部5の各第2開口5aから中心軸L方向に沿って燃焼用空気を導入するとともに、旋回流形成部6の各第1開口6aから混合部2の内壁面に沿って燃焼用空気を導入する。
【0031】
すると、燃焼用空気は、前述したように軸流形成部5の第2開口5aから導入された燃焼用空気が、旋回流形成部6の第1開口6aから導入されて形成された強い旋回流に衝突することで、大きな乱流を形成する。
また、第2噴射口8は第1噴射口7より上流側に位置しているため、第2噴射口8から噴射された補助燃料分は、第1噴射口7から噴射された主燃料分が前記の大きな乱流を形成する燃焼用空気に混合されるのに先立って、この燃焼用空気に混合される。
【0032】
すなわち、第2噴射口8から噴射された補助燃料分は、第1噴射口7から噴射された主燃料分に先だって、燃焼用空気に予備混合される。特に、本実施形態では第2噴射口8の噴射方向を、対応する第2開口5aと第1開口6aとの間に向けて配設しているので、補助燃料分は、第1開口6aから導入された燃焼用空気の旋回流に直接導入され、その後第2開口5aから導入された燃焼用空気の軸流によって空気と燃料との混合が促進されるようになる。もちろん、その後も旋回流に軸流が衝突することで形成された大きな乱流に同伴されることで、その混合度を増すようになる。
【0033】
また、第1噴射口7から噴射された主燃料分は、大きな乱流を形成している燃焼用空気とこれに予備混合された補助燃料分との混合気に導入され、混合される。すなわち、燃焼用空気が形成する大きな乱流はその後も大きな乱れを維持したまま燃焼部3側に流れることで、第1噴射口7から噴射された主燃料分は、混合部2から燃焼部3側に流れつつ、前記の乱流に巻き込まれ、前記の混合気に混合される。
【0034】
したがって、燃焼部3の火炎形成領域(図示せず)に到達した際には、補助燃料分及び主燃料分は、第1開口6a及び第2開口5aから導入された燃焼用空気と十分に混合される。よって、本実施形態のバーナ1にあっては、燃焼性を良好な状態に安定させることができる。
【0035】
また、従来のように第2噴射口8が無く第1噴射口7のみである場合、燃焼用空気の供給量が増えて空気の流速が速くなると、前述したように空気が燃焼部3での燃焼領域に到達するまでの時間が短くなり、燃料と空気との混合が不十分になって燃焼性が低下していた。しかしながら、本実施形態のバーナ1では、燃焼用空気の供給量が従来に比べて増加しているものの、第2噴射口8を設けて補助燃料分を燃焼用空気に予備混合させることで、第1噴射口7からの主燃料分を合わせた全燃料を燃焼用空気と十分に混合させることができ、したがって、燃焼領域が適正な位置より下流側に移ってしまうことも防止し、燃焼を適正化することができる。
【0036】
また、このように十分に混合された混合気を燃焼部3に供給するため、空気の供給量が従来に比べて増加してその分剪断力が強くなっても、燃焼の安定性を低下させるおそれがなくなる。
よって、本実施形態のバーナ1によれば、高負荷に対応すべく従来に比べて燃焼用空気の供給量を増やしても、燃焼部での安定で適正な燃焼を可能にすることができる。
【0037】
また、例えば飛行機のエンジンなど、低温環境下で用いられる装置に適用されるバーナでは、供給する燃焼用空気(酸化剤)が低温になることから、第1噴射口7から液滴状の燃料を噴射するだけでは十分な混合度が得られなくなるおそれがある。しかしながら、本実施形態のバーナ1にあっては、第2噴射口8から補助燃料分を噴射して燃焼用空気と予備混合するようにしたので、燃焼用空気が低温であっても良好な混合度を得ることができ、したがって燃焼部での安定で適正な燃焼を可能にすることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図2(a)、(b)は、本発明のバーナの第2実施形態を示す図であって、(a)はバーナの下流側から見た図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図2(a)、(b)において符号10はバーナである。このバーナ10が図1(a)、(b)に示したバーナ1と異なるところは、主に噴射ノズルの構造にある。
【0039】
すなわち、図2(a)、(b)に示したバーナ10において噴射ノズル11は、内管12とこれに外挿する外管13とからなる二重管構造となっている。そして、内管12は、図2(b)に示すようにその先端が開口して第1噴射口14となっているのに対し、外管13は、その先端が閉塞されている。また、外管13には、その側壁に4つの第2噴射口15が形成されている。これら第2噴射口15は、図2(a)に示すようにその噴射方向が、対応する前記第2開口5aより対応する前記第1開口6a側となるように、これらの間に向けられて配設されている。すなわち、これら第2噴射口15は、図1(a)、(b)に示した第2噴射口8と同じ位置に配設されている。
【0040】
また、本実施形態では、第1噴射口14を形成した内管12には配管(図示せず)を介して燃料源(図示せず)が接続され、第2噴射口15を形成した外管13には、この外管13と内管12との間に連通する配管(図示せず)を介して燃料源(図示せず)が接続されている。ただし、内管12に接続する配管には第1バルブ16が設けられ、外管13と内管12との間に接続する配管には第2バルブ17が設けられている。
【0041】
すなわち、本実施形態においては、第1噴射口14を含む噴射ノズル11の内管12と、これに接続する前記燃料源と、さらに第1バルブ16とを備えて主燃料噴射部が構成されている。また、第2噴射口15を含む噴射ノズル4の外管13及び内管12と、これに接続する前記燃料源と、さらに第2バルブ17とを備えて補助燃料噴射部が構成されている。このような構成のもとに、第1噴射口14から噴射する主燃料分の噴射量と、第2噴射口15から噴射する補助燃料分の噴射量との比(噴射比)は、第1バルブ16、第2バルブ17の一方あるいは両方を調整することにより、変えることができるようになっている。
【0042】
このような構成からなるバーナ10にあっても、第2噴射口15が第1噴射口14より上流側に位置しているため、第2噴射口15から噴射された補助燃料分は、第1噴射口14から噴射された主燃料分が前記の大きな乱流を形成する燃焼用空気に混合されるのに先立って、この燃焼用空気に予備混合される。
【0043】
したがって、第1実施形態のバーナ1と同様に、補助燃料分及び主燃料分は燃焼部3の火炎形成領域(図示せず)に到達した際には、第1開口6a及び第2開口5aから導入された燃焼用空気と十分に混合される。
よって、本実施形態のバーナ10にあっても、燃焼性を良好な状態に安定させることができる。
【0044】
また、従来のように第1噴射口14のみである場合、燃焼用空気の供給量が増えて空気の流速が速くなると、前述したように空気が燃焼部3での燃焼領域に到達するまでの時間が短くなり、燃料と空気との混合が不十分になって燃焼性が低下していた。
しかしながら、本実施形態のバーナ10では、燃焼用空気の供給量が従来に比べて増加しているものの、第2噴射口15を設けて補助燃料分を燃焼用空気に予備混合させることで、第1噴射口14からの主燃料分を合わせた全燃料を燃焼用空気と十分に混合させることができ、したがって、燃焼領域が適正な位置より下流側に移ってしまうことも防止し、燃焼を適正化することができる。
【0045】
また、このように十分に混合された混合気を燃焼部3に供給するため、空気の供給量が従来に比べて増加してその分剪断力が強くなっても、燃焼の安定性を低下させるおそれがほとんどなくなる。
よって、本実施形態のバーナ10によれば、高負荷に対応すべく従来に比べて燃焼用空気の供給量を増やしても、燃焼部での安定で適正な燃焼を可能にすることができる。
【0046】
また、主燃料噴射部からの主燃料分の噴射量と、補助燃料噴射部からの補助燃料分の噴射量との比を可変にしたので、燃料中における補助燃料分の比率を適宜に設定することで、補助燃料分と燃焼用空気(酸化剤)とを予備混合させて得られる予備混合気(予備混合物)の量を適正化することができる。
【0047】
また、例えば飛行機のエンジンなど、低温環境下で用いられる装置に適用されるバーナでも、前述したように第2噴射口15から補助燃料分を噴射して燃焼用空気と予備混合するようにしたので、燃焼部での安定で適正な燃焼を可能にすることができる。
【0048】
(第3実施形態)
図3(a)、(b)は、本発明のバーナの第3実施形態を示す図であって、(a)はバーナの下流側から見た図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図3(a)、(b)において符号20はバーナである。このバーナ20が図1(a)、(b)に示したバーナ1と異なるところは、主に補助燃料噴射部の構成にある。
【0049】
すなわち、図3(a)、(b)に示したバーナ20において補助燃料噴射部は、混合部2の端板部2cに埋設されたリング管21と、このリング管21に連通する配管等(図示せず)を介して接続された燃焼源(図示せず)とを備え、さらに第2バルブ22を有するとともに、リング管21に複数の噴射管(図示せず)を設け、その噴射口を第2噴射口23として構成されたものである。第2噴射口23は、図3(b)に示すように混合部2の端板部2cに形成された凹部9の底面に設けられており、したがって噴射ノズル24に設けられた第1噴射口25より上流側に配置されている。
【0050】
また、第2噴射口23は、図3(a)に示すように旋回流形成部6の第1開口6aとこれの前方に配置された第2開口5aとに対応して4つ配置されている。すなわち、本実施形態でも、第1開口6a、第2開口5a、第2噴射口23は全て同数設けられ、互いに対応した位置に配設されたものどうしで4つのグループを形成している。そして、第2噴射口23は、その噴射方向が、対応する第2開口5aより対応する第1開口6a側となるように、これらの間に向けられて凹部9に配設されている。
ただし、第1実施形態や第2実施形態では、第2噴射口8(15)の噴射方向が中心軸Lと直交する方向であったのに対し、本実施形態の第2噴射口23は、中心軸Lと平行な方向、すなわち第2開口5aの噴射方向と同じ方向になっている。
【0051】
また、主燃料噴射部は、第1実施形態と同様に、第1噴射口25を含む噴射ノズル24と、配管等(図示せず)を介して接続された燃焼源(図示せず)とを備え、さらに第1バルブ26を有して構成されている。
このような構成のもとに、本実施形態にあっても、第1噴射口25から噴射する主燃料分の噴射量と、全ての第2噴射口23から噴射する補助燃料分の噴射量との比(噴射比)を、第1バルブ26、第2バルブ22の一方あるいは両方を調整することにより、変えることができるようになっている。
【0052】
このような構成からなるバーナ20にあっても、第2噴射口23が第1噴射口25より上流側に位置しているため、第2噴射口23から噴射された補助燃料分は、第1噴射口25から噴射された主燃料分が前記の大きな乱流を形成する燃焼用空気に混合されるのに先立って、この燃焼用空気に予備混合される。
【0053】
したがって、第1実施形態のバーナ1と同様に、補助燃料分及び主燃料分は燃焼部3の火炎形成領域(図示せず)に到達した際には、第1開口6a及び第2開口5aから導入された燃焼用空気と十分に混合される。
よって、本実施形態のバーナ20にあっても、燃焼性を良好な状態に安定させることができる。
【0054】
また、従来のように第1噴射口25のみである場合、燃焼用空気の供給量が増えて空気の流速が速くなると、前述したように空気が燃焼部3での燃焼領域に到達するまでの時間が短くなり、燃料と空気との混合が不十分になって燃焼性が低下していた。
しかしながら、本実施形態のバーナ20では、燃焼用空気の供給量が従来に比べて増加しているものの、第2噴射口23を設けて補助燃料分を燃焼用空気に予備混合させることで、第1噴射口25からの主燃料分を合わせた全燃料を燃焼用空気と十分に混合させることができ、したがって、燃焼領域が適正な位置より下流側に移ってしまうことも防止し、燃焼を適正化することができる。
【0055】
また、このように十分に混合された混合気を燃焼部3に供給するため、空気の供給量が従来に比べて増加してその分剪断力が強くなっても、燃焼の安定性を低下させるおそれがなくなる。
よって、本実施形態のバーナ20によれば、高負荷に対応すべく従来に比べて燃焼用空気の供給量を増やしても、燃焼部での安定で適正な燃焼を可能にすることができる。
【0056】
また、主燃料噴射部からの主燃料分の噴射量と、補助燃料噴射部からの補助燃料分の噴射量との比を可変にしたので、燃料中における補助燃料分の比率を適宜に設定することで、補助燃料分と燃焼用空気(酸化剤)とを予備混合させて得られる予備混合気(予備混合物)の量を適正化することができる。
【0057】
また、例えば飛行機のエンジンなど、低温環境下で用いられる装置に適用されるバーナでも、前述したように第2噴射口23から補助燃料分を噴射して燃焼用空気と予備混合するようにしたので、燃焼部での安定で適正な燃焼を可能にすることができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係るバーナの好適な実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されないことは言うまでもない。前述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
例えば、前記実施形態においては、第1開口6a、第2開口5a、第2噴射口8(15、23)をそれぞれ4つずつ設けたが、本発明はこれに限定されることなく、3つ以下であっても、5つ以上であってもよい。また、第1開口6a、第2開口5a、第2噴射口8(15、23)は、互いに同数でなくてもよい。
【0060】
さらに、前記実施形態では、軸流形成部を設けて軸流を旋回流に衝突させ、より大きな乱流を形成するようにしたが、軸流形成部を設けることなく旋回流形成部のみを設ける構成としても、第2噴射口を設けることによる予備混合効果を十分に得ることができる。
【0061】
また、前記実施形態では、従来のものに比べて高負荷に対応可能となるよう、酸化剤としての空気(燃焼用空気)の供給量が、従来に比べて増加されているものとしているが、空気(燃焼用空気)の供給量が従来と同じにされたバーナについても、本発明はもちろん適用可能である。
また、前記実施形態では、本発明の酸化剤として燃焼用空気を用いる構成について説明したが、例えば酸化剤として酸素等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1、10、20…バーナ、2…混合部、2a…一端、2b…他端、2c…端板部、2d…内壁面、3…燃焼部、4、11、24…噴射ノズル、5…軸流形成部、5a…第2開口、6…旋回流形成部、6a…第1開口、7、14、25…第1噴射口、8、15、23…第2噴射口、9…凹部、12…内管、13…外管、16…第1バルブ、17…第2バルブ、21…リング管、22…第2バルブ、26…第1バルブ、L…中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎の形成方向に向く中心軸を有し、一端側が前記火炎の形成方向に開口し、内部にて酸化剤と燃料とを混合する筒状の混合部と、
前記混合部の他端側に第1噴射口を有し、該第1噴射口から前記混合部内に前記燃料のうちの主燃料分を噴射する主燃料噴射部と、
前記混合部の内壁に第1開口を有し、該第1開口から前記酸化剤を前記混合部内に導入して前記混合部内に旋回流を形成する旋回流形成部と、
前記主燃料噴射部の第1噴射口より上流側に第2噴射口を有し、該第2噴射口から前記混合部内に前記燃料のうちの補助燃料分を噴射する補助燃料噴射部と、
を備えることを特徴とするバーナ。
【請求項2】
前記混合部は円筒状に形成されてなり、
前記旋回流形成部は、前記混合部の内壁面の接線方向から該混合部内に前記酸化剤を導入することで、前記混合部の内部に旋回流を形成することを特徴とする請求項1記載のバーナ。
【請求項3】
前記旋回流形成部の第1開口より前記混合部の他端側に第2開口を有し、該第2開口から前記酸化剤を前記中心軸方向に沿って導入する、軸流形成部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーナ。
【請求項4】
前記主燃料噴射部と前記補助燃料噴射部とは、主燃料噴射部からの主燃料分の噴射量と補助燃料噴射部からの補助燃料分の噴射量との比が、可変に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバーナ。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate